2021年5月4日、山梨県大月市にある滝子山に登ってきました、標高は1,615mとなり大菩薩嶺から続く山脈(大菩薩連嶺)の南端に位置しています。
大菩薩連嶺は北は黒川鶏冠山から南は滝子山となるのですが、稜線を歩き続けることとなる大菩薩~ハマイバ丸付近の山々と比較すると渓流の景色が特徴的な景観に富んだ山というのが特徴です。
中央線沿線の山としては珍しい「温泉に下山することが可能」な山で、電車を使いアクセスしても下山後に温泉やお酒を楽しむことが出来る良い山です。
秀麗富岳十二景に選ばれる山であることから山頂からはもちろん富士山の眺望を得ることが出来ます。
渓流沿いに登ることが可能な山ということで、お勧めの時期は新緑か紅葉と考え今回は5月の新緑シーズンに登ってみることとしました。
渓流と新緑に包まれた滝子山を登り、お肌ツルツルの温泉に入り板蕎麦とビールを楽しみ帰宅するパーフェクト登山ルートをご紹介したいと思います。
新緑の滝子山は渓流沿いがお勧め
滝子山は多くの登山ルートを持つ山で、コース取りの種類がかなり多いです。
笹子スタートの場合は初狩駅と甲斐大和方面の下山が選択できますが、甲斐大和方面に降りる場合天目山温泉と景徳院と二つの下山ルートが存在しています。
登山をして温泉とお酒を楽しみたいと考えた場合は、やまと天目山温泉へ向かって下山するという選択肢しかありません。
渓流沿いを登り渓流沿いを下るこのコースは景観の満足度も高く非常に優れたコースなのですが、滝子山登山では意外にも紹介されることが少ないコースかなと思います。
大蔵沢林道へ降りるコースは非常によく整備されているのですが、地図上では破線扱いというのがその理由かと想像できますが……。
滝子山登山の基本情報
笹子駅から行く秀麗富岳滝子山登山
2021年5月4日午前8時30分、道証地蔵登山口。
9081人目……ということなんだろうかこのスイッチ。
はい、ということで登山口の登山者チェッカーを押そうとするRedsguarです、こんにちは。
今回は大月市にある滝子山を登ります、僕としては因縁がある山で……このブログを昔から見ている人は知っているかもしれませんが超初期の記事に「大菩薩南北縦走」というのがあるのですが、その際に残してしまった山がこの滝子山なのです。
あの頃は体力ないしコースタイムの読みが甘くて……しかも登り方も雑な感じで滝子山のようないい山を下山ルートの一部としか見ていませんでした。
それ以降、滝子山を調べていくと単体で登る価値のある山ということを知りいつ登ろうかと計画を練り続けてきて今日が来た、という感じ。
滝子山は実際訪れてみるとそれはもういい山でした、特に登山道が中央線沿線の山の中でもかなり楽しいです!
2021年5月4日午前6時35分、西国分寺駅。
目を覚ましたのは駅員の肩をゆする手……、目を覚ましたら僕は武蔵野線の終点府中本町にいました。
ぶふぅぁあああああああっ!!寝過ごしたぁああああ!!!(涙
終わった!!!滝子山おわったぁああああ!!!!
狼狽です、株ならおそらくパニック売りをしてしまったでしょう。
それくらいびっくり、俺としたことが電車の中で寝てしまうなんて……初めての経験でした、これが老いか。
慌てて西国分寺へと戻り中央線に飛び乗りましたが、その後八王子乗り換えでまた寝てて高尾で乗り換えるという失態、二回続けて電車の乗り換えをミスして30分のロスとなりました。
あなた疲れてるのよ……。
笹子に午前7時に到着し14時には帰路に就く、その予定だったのですが到着は7時40分予定となり早くも不安な気持ちになりますが後ろを振り返れば大量の登山者。
いやー、意外に少し遅い電車でもこんなに登山者がいるとは驚きでした。
午前7時40分、笹子駅。
中央線は高尾から先が長い、高速道路を走っていても中央道は高尾から先の山道……談合坂まで長いですもんね。
三度目の電車惰眠を貪った挙句さすがに笹子駅下車をミスることはありませんでした、良かった……。
世間はGWということもあり駅を降りたら警察の方々が登山届の回収を行っていました、僕はネットで出しているのでそのまま登山口へ。
滝子山の道証地蔵登山口ですが笹子駅から1時間ほど歩いたところにあります。
まずは「笹子駅といえば笹一酒造」直売もやっているいつか下山したら寄ってみたい酒屋さんを通り過ぎて吉久保入口まで向かいます。
バス停の目の前に滝子山の案内板があるので、見逃さないようにしましょう。
登山口へ向かう林道には鹿よけのゲートが設置されています、このゲートまで一部住宅地を通りますが案内板ちゃんとあるので見逃さないようにしてください。
こちらの柵の前後には駐車場があり、車アクセスでピストン登山を行う場合はここが便利です。
滝子山に向かい林道を歩き続けますが新緑シーズンの景観の片鱗がここからすでに始まっていました。
木漏れ日の林道に旅情を感じるぜ……ッ!
林道を登り続けると奥多摩川苔山などに代表される山のように片手側が谷間となり渓流を眺めながら林道を登るという風景が広がるようになります、渓流沿いにどんどん林道を登っていきましょう。
午前8時30分、道証地蔵登山口。
笹子駅からかなり必死に歩いた結果、1時間以内に登山口に到着することが出来ました。
写真をとりながらなので基本コースタイムは遅めなのですが、とても頑張って歩いた結果巻けました!
登山口前後は砂利道になっていますが舗装されたように奇麗な道が続いています、林道爆走系の写真家の方とかもお勧めできそうな道ではある。
さて登山口ですが、登山者チェッカーがあったり登山届提出ボックスがあったりしっかりしていました、それではプレイボールです。
渓流と新緑の登山道
道証地蔵登山口からはまずこの橋を渡り登山道へ入っていきます、さっそく渓流を渡る……いいね!
滝子山登山道の始まりは例のごとく杉の樹林帯から始まります、関東はほとんどの山がこれ。
杉の回廊が続く登山道ですが片側は深い谷になっていて、登山道自体も早々に落ち葉で覆われた不明瞭な道になります。
落ち葉で足元が見えないので崖側からストーンと落ちたり……なんていうことがありそうで怖いね。
あたりを見回すとまだこの辺りは新緑が美しい。
奥行き感はあまり伝わらないと思うけど、目の前の登山道からシームレスに谷底に斜面がつながっています。
10m~20mくらいは余裕で落ちていけそう、下に流れる渓流はそんなに大きくないかな。
渓流沿いに登り続けます、滝子山の道証地蔵からのコースはずーっと渓流沿いを歩くのです。
景色は良く渓流の流れる音が癒しのASMRをプレゼントしてくれます、ひんやりとした空気感も相まって大変気持ちのいい沢沿いの道。
登山道ASMRがあれば買います。
やはり登山は晴れている日がいい、木漏れ日の作り出す景色や降り注ぐ新緑の色が気持ちいいもの。
ガスでもいい写真が撮れるからっていうのは個人的にはもう無いかな……、登山としてはやっぱり晴れ。
やっぱり、曇りの槍ヶ岳よりも晴れの高尾山だよ。
渓流沿いを登り続けますと新緑が鮮やかになってきます、所々渓流沿いに降りれるポイントがあるので水を汲みたいとか手を洗いたいという時は好きな場所で降りましょう。
最近のカメラはボディ内手振れ補正が優秀なため1/8秒とかは手振れ気にせずに撮れて嬉しいです。
Zにして一番良かったのがここで、軽量な超広角を利用して1/8秒が使えるので渓流を撮影するときに水の流れを感じる質感にすることが簡単にできます。
さて、地図上では「高巻の道」と「沢沿いの道」の分岐点となる場所にやってきました、写真一枚目が正規ルートの高巻ルート、二枚目以降が渓流沿いルートです。
滝子山の渓流で一番の見どころとなる「滑滝」を見るには破線扱いの渓流沿いルートに行く必要があります。
ここから先は崩落個所もあって、そういう場所の経験がない人は怪我をする可能性があるので注意してください。
渓流沿いに入ると小さめの滝がいくつか現れます、分岐の看板に書いてあったんだよね
「この先崩落個所アリ、滝はGOOD」って、ご丁寧にサムズアップの絵文字と共に……。
確かに渓流の具合はどんどん良くなっていきます、登山道も途中まではこれまでと変わらず歩きやすい道が続く……だがしかし!?
渓流沿いが破線扱いなのは歩いていて想像が付きます、この道常に側面が崩れてきているので所々道が無いのです。
崩落個所にはトラロープがかかっているのですが、足元がモロモロと崩れていくわ崩れていくわ……、これは確かに怖いよね。
谷底までも10mくらい普通にあるし、足元は砂が崩れるような感じで心もとないし、こんな場所が2か所くらいあるのがこの渓流沿いコースでした。
午前9時50分、滑滝到着。
崩落地を越えると滑滝に到着です、いきなり大きな一枚岩と言えるような斜面が現れます、天然のウォータースライダー現る。
滑滝部分では休憩できるスペースが用意されていて、到着した時は先着の方がコーヒータイムを過ごしていました。
滝子山の水で飲むコーヒーはおいしそうだ……。
滑滝の表面を触ってみると多少ぬめりがアリ、足を踏み入れたらそのまま下流まで流されてしまいそうだなと。
本当にウォータースライダーみたいな滑滝でした。
水の雰囲気はどんなものかと思い手を入れてみたのですが、ひんやりとしていてとても冷たい。
雪解け水ほどにキンキンに冷えているわけではないけど、上流まで行けば美味しいお水をいただけそうです。
滝子山、秀麗富岳の景色を楽しむ
滑滝から先に進むとすぐに巻道のルートと合流するのですが、ここもまた崩落気味で砂地……足を入れると半歩ずり落ちるような感じで歩きにくかったです。
それを越えると渓流の源流となる小川沿いの道へと景色が変わっていきます、高層の渓流っていうのかな、植生や森の雰囲気が一気に変わる。
先ほどまでの滑滝周辺の岩があふれた景色から、川底に灰色や白い小石が敷き詰められた小川の景色へ、標高が上がったということを実感できる景色が広がります。
このあたりの景色、登山道の雰囲気はかなり良かったです、川がとにかく奇麗!
小川は残念ながらすぐに終わってしまい尾根を伝って滝子山へと向かう道に、ようやくここで展望が開けることとなります。
防火帯のような形で尾根沿いの木々が伐採されている場所を歩いていきましょう。
切株が点々と残された登山道、眺望が開けるポイントなので尾根道で休む人がたくさんいました。
さっきまで人いなかったんだけど、ここで大勢の人と合流。
車でアクセスしていた人たちに追いついたみたいです、景色良いからここで休憩するのはわかるな。
午前11時00分、滝子山山頂到着。
滝子山山頂直下にあるのが鎮西ヶ池、源為朝にまつわる言い伝えがある池……本当に小さな池から水が滾々と湧き出ています。
ここの上にあるのが滝子山、小石にまみれた山道を登り切れば滝子山山頂に到着し目の前には富士山がスッと鎮座した景色を見ることが出来ます。
久しぶりだな!
うわぁー、箱根の明神ヶ岳で見た富士山のほうがきれいだった!
山頂に着いたのですが大賑わいで写真撮るような雰囲気無いなぁ、ということで昼食にします。
クリームパンを山に、景色にささげよ……。
貧弱なご飯ですが、軽い、どこでも手に入る、早く食べれる、いつでも食べれるということで最近は重宝しています。なんたって早く下山して家に帰らないと怒られてしまうので……昼飯にかけれる時間が無いのです。
秀麗富岳の山である滝子山ですが中央線を挟んで正対する本社ヶ丸や清八山といった山々の奥に見える状態。
富士山よりもその前景の本社ヶ丸を形成する山塊の山肌が特徴的だなと感じました。
この山は秀麗富岳じゃなくても渓流沿いの登山道が美しいので、個人的にはそちらの方に魅力を感じました。富士山はオマケかな。
オマケとは失礼な……。
米背負峠から温泉へと下山する
滝子山の山頂を後にした僕はほぼ人のいない大谷ヶ丸へと向かうことにしました、こちらに向かう人……本当に少ないです。
本谷ヶ丸へは鎮西ヶ池を越えてもう少し戻ると分岐があります、大菩薩縦走路の後半って普通に樹林だったなぁというのを思い出しながら進む。
ちょっと道が薄い部分とかもあったりしました、あんまり人歩いてないのかな?
午後12時15分、本谷ヶ丸到着。
本谷ヶ丸に来たらおじいさんが一人休憩していました、寂ショウ尾根を登ってこのまま甲斐大和駅に降りるんだとか。
僕は米背負峠から温泉なんですと互いの道情報を交換しました。
こういうのって事故にあった時とかに情報提供してもらえたりすることもあるということで、なるべく話しかけるようにしています。
本谷ヶ丸は基本展望なし、唯一甲府方面が見えて南アルプスの白根三山が見えます。
午後12時35分、米背負峠。
久しぶりじゃのぉ!!おれの顔忘れたとは言わせへんぞワレェ!!!
到着した時は思わず気持ちが高鳴りました、そしてこの瞬間をもって大菩薩嶺山頂から稜線を南北につないだ大菩薩南北縦走路……線がつながった瞬間です。
ここまで来たらあとは大蔵沢林道へと下り温泉へ向かうだけです!
米背負峠から一直線に伸びる大蔵沢林道方面の登山道、破線扱いなんですけど道は奇麗に整備されているし看板が数百メートルおきに配置されてるので迷いづらい道だとは思うんですよね……。
さらに道の雰囲気がいいです、前回は6月で緑が生い茂っていてよかったんですけど、今回は落ち葉と新緑でまた違った雰囲気でした。
米背負峠には水場マークがついていますが、それもそのはずでここは渓流の開始地点なんです。
降ってみて「あれ?」と思ったのはテントが張られていたこと、闇テント……なのか調査用のテントなのかはわからないけど、水場の近くだから滞在はしていたんでしょうね。
この登山道は渓流と苔が特徴です、開けた谷を歩いていくのですが斜面が穏やかで空が開けているので明るい雰囲気の道が続きます。
さらに写真のような看板が何か所も刺さっているんですね、なぜ破線なんだ……?
座布団みたいな苔をひっくり返したり、新緑の写真を撮影したり、水を汲んでみたり……、この渓流下りやすいのですぐに大蔵沢林道まで降りれてしまうので遊びながら下山を続けました。
午後1時20分、大蔵沢林道合流地点。
米背負峠から1時間もせずに大蔵沢林道へやってきました、だいぶ遊びながら歩いたので普通の人なら45分くらいで林道に合流できるかもしれない。
林道は一部崩落している状態ですが道は作られています、写真二枚目の崩落個所を越えたらあとは奇麗な車道が下山まで続きますよ。
この林道が実は一番長い、そして最後に真っ暗闇のトンネルがやってきます。
大蔵沢林道の雰囲気っていいんですよ……、滝子山は前半の林道も新緑の雰囲気が良かったけど下山時の雰囲気も良い。
落ち葉が降り積もった登山道が全編通して特徴的な山ですねここは。
1時間以上は林道を歩くこととなるのですが、新緑と紅葉の時期は飽きることなく下山することが出来そうです、森がきれいだからね。
林道を下山し続けるとトンネルが現れます、これが大蔵沢林道が破線である理由というか、みんなが嫌がる理由というか……。
このトンネル、灯が全くありません、反対側の入り口が少し遠くカーブした先にあるのでトンネル内はヘッドライトがなければとてもじゃないけど歩けないんです。
つまり、真っ暗でめちゃくちゃ怖い、何かあっても気が付かずに踏む可能性すらある
トンネルをどうしても通りたくない方、ヘッドライトを持っていない方はご安心ください、トンネルの壁に右手を添えて歩き続ければたどり着けますなんてことは言いません。
トンネルの左脇には一応トンネルを回避して出口に向かう巻き道が用意されています。
今回はヘッドライトがあったのでそのまま突っ切りました、ヘッドライトがあってもトンネルを一人で歩くのはめちゃくちゃ怖かったです。
やまと天目山温泉、下山後のビールの魔力
トンネルを抜けると普通に車が通っていそうな林道に出ます、車の行きかう音も聞こえてきて温泉はすぐそこといった状況に。
早く、早く俺を温泉に入れさせてくれッ!
今回の滝子山登山は新緑シーズンということでしたが、温泉の手前もかろうじて緑が新しく最後まで新緑シーズンとしての山を楽しむことができました。
もう少しシーズンが下ると緑が濃くなってしまうのと、下ると暑くなってしまうので今がちょうどいい時期だったかな。
午後2時15分、やまと天目山温泉到着。
トンネルを抜けて林道を歩き続け15分ほどで天目山温泉に到着しました、バスの時刻が心配だったんですけども時刻表を見る限り16時まではコンスタントにバスが出ていて問題なさそうです。
下山後の温泉を楽しんだ後はバスが来るまで豪遊タイムということでお酒をいただいたりご飯を食べたり、至福の時間帯を過ごすことにしました。
風呂上がりに生ビールを飲めるなんて気分がいいですね!電車登山の醍醐味!
ビールを頼んだ直後にやってきた板そば、天目山温泉はご飯もあります。
甲斐大和まで行くと食事処がほとんどなくなってしまうので、帰り道お腹がすくのが嫌な方は軽食を頼むのはお勧め!
心地よい風が吹く中、あたたかな太陽の光の下で楽しむビールとそばは格別でした……。
天目山温泉を後にし電車で帰路へ、帰りの車内で死んだように寝てしまいましたが気が付いたら家の近くの駅でした。
休日の武蔵野線という人があまりいないローカルな電車を利用できたこともあり、快適……快眠な電車の旅を楽しめました。
最後の最後、オロナミンを開けて今日の登山の成功を感謝するのでした……。
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