2023年5月30日、栃木県は日光と那須の間にあるシロヤシオで有名な高原山を歩いてきました。
この年は「数十年に一度のシロヤシオの当たり年」といわれるような状況で、大間々台から山頂まで山中には5万本とも言われる自生したシロヤシオが一斉に花開き、真っ白な花のトンネルを作り上げていたのです。
というニュースを聞きつけたRedsugar、高原山は埼玉からはアクセスも良く数十年に一度ということであればこのチャンス……登っておくか!ということでやってきました。
高原山は多くの人が山頂として目指す釈迦ヶ岳まで、大間々台駐車場からはよく整備された道が続きます。
シロヤシオの群生が最も多いのが大入道周辺となるのですが、今回は山頂を一直線に目指すノーマルルートで歩きます。(当日ちょっと体調が悪くてロングコースが歩けなかった)
その山中のシロヤシオは見事なもので、新緑と白い花に彩られた道に春の終わりと初夏の訪れを感じるのでした。

数十年に一度の大当たりシロヤシオ、どこを歩いても花しかない一日が始まる……。
高原山釈迦ヶ岳日帰りピストンの概要
八方ヶ原から目指すシロヤシオの山


午前6時5分、大間々台駐車場。
おはようございます、Redsugarでございます。5月末のシロヤシオシーズンにニュースが飛び込んできまして、なんと今年は高原山のシロヤシオが大当たりなんだとか……、今までも散々花は見てきたので花が少し当ったくらいじゃ最近は登りに行こうとは思わなかったんですけど



数十年に一度の大当たりです!
なんてニュースが飛び込んできたこともあり、数十年に一度なら行ってみようと思い車を走らせてやってきました。
早朝の大間々台駐車場ですが、平日ということもありさすがに車は少なめです。


大間々台は高原山の観光地である八方ヶ原にある駐車場です。駐車場からその先にはレンゲツツジの花もすさまじい勢いで咲いていました。23年はツツジが全体的に当たりだったようだ。



なんか登山口まで来てあれだけど、なんか体調が良くない。仕事の疲れかガッツリ登れる気がしない……。


大間々台をスタートしてどうやって登ろうかなぁ~と思っていたのですが、前回来たときは見晴らしコースから登ったので、今回は林間コースから登ってみたいと思います。



この選択はシロヤシオ最盛期には辞めたほうがいいかなと後で思った。花が少ないので、見晴らしコースから入山して大入道経由で降りるのがおすすめだよ。つまり僕が初めて登った時と同じコースだね。


林間コースですがシロヤシオが無い代わりにヤマツツジは満開です。真っ赤に咲き誇るヤマツツジが登山道沿いにわんさか咲いているのが林間コース。



ただし、このコースにはシロヤシオの木が無い……!!


当たり年のヤマツツジは満開、高原山はツツジの山というわけですが当たり年に来るとすさまじい。



大間々台から歩いていけるミツモチもツツジ天国と聞く、高原山は全体的にツツジがあふれている。


わさわさと咲き誇るヤマツツジを楽しみながら林間コースを登っていきますが、シロヤシオはありません。おかしい、シロヤシオが全盛期と聞いてきたのだが……?


林間コースを進んでいくとシロヤシオの花がちらほらと現れるのですが、林間コースは樹勢がそこまででもないため花が目立つ感じは無し。数十年に一度の盛りといってもコースによってはこんなものかとガッカリし始めるRedsugar。
ちがうちがう!シロヤシオがあるのは大入道と剣ヶ峰周辺だよ!ということに気が付いていない。


標高をあげて森の奥へと入っていくと新緑のほうが目立つ感じに。
林間コースは初めて歩いたのですが、よく整備された道を使った森林浴コースという感じがする。
紅葉時期はいいかもしれないが、ツツジの時期はちょっと微妙。





新緑の紅葉はとってもきれいなんだけどねぇ。


やたら階段が整備された林道コースを詰めていくと花の姿はなく、奥秩父的な樹林帯と笹が生い茂る「あ、日光付近の山でよく見る景色!」みたいな感じになってくる。ここでようやくシロヤシオ時期に林間コースは失敗であるということに気が付くが時すでに遅し。



高原山全体でシロヤシオがブームだと思っていた……、とんだ勘違いをしていた。


林間コースの道中、上り詰めていくと巨岩がごーろごろ。角が鋭く風化の影響がまだ少なく見えるそれらに新しさをどことなく感じる。角も取れて苔むした岩とはまた雰囲気が違う。


シロヤシオを見に来たのにシロヤシオが現れない、虚無の林間コースを八海山神社の分岐まで1時間ほど歩き続けたRedsugar、みんなはどうかツツジを見に来るときは林間コースじゃない道を辿ってほしい。



大入道コースを辿ってくださいね、シロヤシオを見るコースは大入道コースだから。
釈迦ヶ岳、シロヤシオ満開の登山道を行く


林間コースを進み、シロヤシオが現れないことに落胆しきったその時……ついに奴は現れました。
新緑の木々の合間に咲き誇る真っ白な花、満開のシロヤシオがちらほら見れるようになってきたのです。






林間コース最上部を抜けて八海山神社に近づくにつれて多くなるシロヤシオの木々。「ここから先なら確実に見れる」と確信を抱かせてくれるような凄まじい花の付き方の木々が次々に現れます。
確かに……こんなに花をつけたら来年どうなっちゃうの??と思っていたのですが、24年は全く花が咲かない状況だったそうです。



全力を出し切ってしまったらしい。翌年はけがの調整のためシーズンを棒に振るような感じ……。


午前7時15分、八海山神社。
スタートから約1時間ほどで八海山神社跡地に到着。林間コースを登っているときは「シロヤシオが全く咲いてない、やっちまった」と思ったのですが、八海山神社から先に関してはその心配がなさそうな雰囲気です。



八海山神社ということは御嶽講の山っていうことかしら。釈迦ヶ岳の名前の通り信仰の歴史がこの火山には眠っているんでしょうね。
確かに険しい道が続きつつも、稜線に出れば浄土的な景色もある山だとは思う。


八海山神社からは関東平野方面を一望できるのですが、大地に沿うように広がる雲によって何も見えない……。
しかし、山肌をよく見てみると白い点がぽつりぽつりと……、全部シロヤシオ。
離れてみてもよくわかる花付きの良さ、これは期待できるという感覚を得ることが出来ました。


釈迦ヶ岳を目指して八海山神社からは再び樹林帯へ。深い緑に包まれた森に入っていくのですが、すぐにシロヤシオの楽園がやってきます。


常緑樹と新緑の合間に白地のキャンバスのような景色がぶわっと広がるシロヤシオ、花付きは確かに素晴らしい。



ぽつんとシロヤシオは結構写真を撮影していて楽しいなと思える。


午前7時25分、矢板市最高地点。
大入道分岐の手前で矢板市最高地点がやってきました。高原山はどこに属するかが中々難しく、日光、塩谷、矢板と色々な街の境目があるんですよね……。



矢板の主張がかなり強いと思える看板なので、高原山=矢板のイメージがついちゃってる。山頂的には日光でいいような気もする。


矢板市最高地点を越えたあたりからシロヤシオの祭りが始まりました、登山道の両脇を彩る白と萌黄の木々。花の勢いは素晴らしくどの木々も満開の花が両手いっぱいな感じ。


咲いたばかりのシロヤシオの花は真っ白で瑞々しさがあります。ツツジの中では一番高貴な印象があるよなぁ……というのは間違いない。ヤマツツジ、アカヤシオ、ヒカゲツツジ、レンゲツツジと山で見かける種類の中では一番凛とした花を咲かせる。






周囲を見回すとどこもかしこも花が満開……という状況。大入道分岐付近にかけては素晴らしく、山肌全体が白くなっているのではないかと思える位の勢いでシロヤシオの花が咲いていた。
高原山の良い所は道がよく整備されているところで、シロヤシオを楽しみつつも苦労することなくスイスイ歩ける、初心者のステップアップには良い山だろうなと思う。


登山道中、見渡せば至る所に花が咲くものだから中々速度が上がらない。今日を狙って歩きに来た登山客も多くがこの付近でシロヤシオを楽しんでいました。


体調は相変わらず完全ではないけども、シロヤシオに癒されて気力は十二分に回復しました。山頂まで頑張って歩こう……修験の山ということで決して楽な道ではないけども。


高原山は山頂に向かうにつれて火山の名残ともいえる岩、そこに根を張りながらも枯れてしまった木々が多くみられるようになります。そんな木々にもシロヤシオが寄り添い、白い花を咲かせているのです。



渋い景色が広がる山なんだけど、シロヤシオのせいでにぎやかな山中になってますね。
釈迦ヶ岳、青空と花の道の先へ






午前9時00分、釈迦ヶ岳。
シロヤシオロードを楽しみながらある程度上り詰め、山頂が近くなると新緑も小さく芽吹きの状態になってきました。お花も山頂付近ではまだまだといった感じで、花を楽しみに登っていた身としては山頂はさらっと流していいかなぁという感じで到着。



あ、あれ!?依然来た時よりも立派になってない!?
改めて自分の過去の記録を見返してみましたが、以前は立派な社や鳥居もなく、如来の像があっただけ。
ここ数年で随分と立派に改修されたようです。


釈迦ヶ岳といえばお釈迦様です。山頂にはとても立派な石像が奉納されています。いろいろ山を登ってきたけど、1,500mを越える山の山頂にこんな立派な石像が置かれている山ってあんまり記憶になく……珍しいものだなと思います。





ん?なんか足元にあるぞ??
登山者が運んできたのでしょうか、とても小さなかわいらしいお地蔵さんが2体奉納されていました。






山頂から周囲を見渡します。関東平野は相変わらず霞んでいて遠くまでは見えません。山頂から山肌を見下ろすとシロヤシオの花がどの尾根筋にも咲き誇っていて、森の中は素晴らしい景色なんだろうなと……。
鶏頂山は山頂の社が良く見えます、釈迦ヶ岳から少し遠いので中々行く気になれないピークの1つ。



大間々台から登ると鶏頂山や明神岳といったほかのピークは中々訪れにくい


山頂よりはシロヤシオが見たかったので、山頂から少し降りてシロヤシオが咲き誇るポイントで休憩することにしました。珍しくサービスエリアでパンを購入したので、そちらで小腹を満たします。クリームパンは食べやすくて登山には向いてるご飯だよなぁ……。






下山を進める中で、少し道を外れてシロヤシオが咲き誇る斜面に顔を出したりしてみました。シロヤシオの木があればすべて満開、枝につけれる限界まで花を咲かせるような感じでどの株も咲いてますね。


シロヤシオのトンネルが至る所に続いてまして、日当たりの関係上往路よりも復路のほうがきれいだなぁと思える場所が多かったです。新緑や紅葉と同じく、シロヤシオは日当たりに応じて見栄えが変わるから一日中楽しめるなぁ……。


矢板市最高地点があるピークを前に見上げてみると……、樹林帯に白くまだら模様が出来ていますね。
矢板市最高地点から大入道分岐まではシロヤシオトンネルが続いていたけど、その理由がよくわかる。


今度は先ほどのピークへ向かう道中から釈迦ヶ岳を見返すと……うん、冬枯れしてる。5月末だと1,500m以上はまだ春が始まってないんだなというのがわかりますね。中腹や日当たりがいい場所は萌黄色がいい感じだけども。



ツツジは春の花、一番最後に咲くレンゲツツジをもって新緑の季節は終わり夏へと接続されていく。


シロヤシオは白い花なので写真には撮りずらいかもしれない。帰り道は逆光な場所が多く、新緑の緑にかき消されて白く飛んでしまうような場面が多かった。順光でバシッととらえるのがやっぱり好きだな。
八方ヶ原のつつじと矢板温泉






午後12時15分、登山口。
体調的な問題で大入道をスルーして八海山神社まで戻ってきた後、見晴らしコースを歩いてそのまま登山口へと帰ってきました。林間コースで絶望していたのですが、見晴らしコースもシロヤシオがそこまであるわけではない状況。
やっぱり大入道周辺がすごいんだなぁ~と再確認する高原山でした。


剣ヶ峰から山頂にかけての大群生も素晴らしく、もうしばらくシロヤシオは見なくてもいいかも?と思えるほどでした。2~3年に一度は当たり年がやってきて花盛りの森を見れると思うので、狙っている人は以前の記録を調べて予測を立てるといいですよ。






午後12時30分、大間々台駐車場。
見晴らしコースから林道を歩いて大間々台へ帰還すると……めっちゃ駐車場混んでる。どうやら登山客ではなく八方ヶ原を楽しみに来た観光客の方々のようです。ツツジの時期はこうして大間々台の駐車場はどんどん埋まっていってしまうので、登山ということであればやはり早朝出発を意識したいものですね。






折角来たし少し八方ヶ原を歩いてみようということで足を延ばしてみましたが、小ぶりなレンゲツツジが満開で散策路は真っ赤な花でいっぱい。観光で歩くには確かに満足できる場所だなぁと思えました。




というわけで登山終了後は大間々台からほど近くにある「山の駅たかはら」で休憩。美味しいソフトクリームが売っているので下山後は是非お立ち寄りください。






下山後は矢板温泉まことの湯で汗を流すことにしました。高原山から矢板方面に降りてきたらここが一番近いはず。食事処も併設していて、美味しいハンバーグランチを食べることが出来ます。
これにて登山、花、風呂、食事が揃ったパーフェクトな登山を完了し、埼玉へと帰るのでした……。



シロヤシオが咲き誇る5月末の高原山、2度目だけど今回も満喫させてもらいました!花のタイミングは間違いなく楽しい山です。


矢板温泉まことの湯に入浴後、道の駅矢板に立ち寄ったのですがそちらで高原山の名を冠する日本酒を購入。矢板にある森戸酒造さんの作る醸造酒で、デイリーでガンガン飲めるタイプのお酒でした。



日常的に飲んでほしい晩酌用の酒ということだが、冷で飲むと癖が無くあっさりすっきり。癖がないので食事の際に気持ちよく飲むことが出来る、ごくごく飲める。
味が濃いご飯だとよく合うと僕の舌は感じた、日常によく合うお酒なのでこれを常備したいなという気持ちはよくわかります。
個人的には餃子、お好み焼きみたいな醤油やソースが聞いたあまじょっぱい食べ物に合わせると良いなぁと思えます。ちょっと油分を感じるような重めの食とバランスがいいすっきりとしたお酒でした。


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