2021年5月2日、箱根にある明神ヶ岳を登ってきました、明神ヶ岳の標高は1,169mで大雄山駅と箱根強羅駅の中間に位置しています。
GW付近、街では気温が高い日も出てきて里山も結構暑い時期なのですが、箱根明神ヶ岳などはちょうど新緑が美しい時期でもあります。
そう……4月から5月にかけてが明神ヶ岳や箱根の新緑が美しい時期というガイドブックの記述を見て今回歩いてみることにしました。
関東の方にとっては箱根は身近な観光地ですが、登山をやる人間にとっては金時山、神山、明神ヶ岳、幕山等で覚えるエリア!
そして今回登る明神ヶ岳の特徴は「旅情」にあると言えるでしょう。
今回は小田原から伊豆箱根鉄道大雄山線を利用して最乗寺奥の院から箱根強羅に向けて明神ヶ岳、明星ヶ岳を縦走するコースをたどりますが、歴史を感じさせる大寺院から温泉街へと降り立つその工程には「旅行してる感」が詰まっています。
ただの登山ではない、旅行と組み合わさった登山……、一日の満足度が本当に高くなる工程だったので明神ヶ岳は是非公共交通機関で楽しんでいただきたいと思った次第です。
それではいってみましょう、新緑の箱根明神ヶ岳旅行の始まりです!
明神ヶ岳登山のおすすめルートは最乗寺ルート
人気の登山スポット明神ヶ岳ですが、登山系のSNSを見ると強羅駅から宮城野登山口を利用した「箱根から入山して箱根に降りる」コースをたどる人が多いようです。
ですが今回は大雄山線の終着点から最乗寺奥の院を経由し新緑が輝く静かな道を辿り明神ヶ岳へと向かい、宮城野の温泉へと下るコースを歩きます。
この道の良い所は箱根登山鉄道大雄山線というローカル線を利用した旅情あふれるアクセスから始まり、最乗寺の美しい大寺院を巡る観光から登山を始め、宮城野の温泉を楽しみ箱根登山鉄道で締めるというすべての工程に旅行っぽさがあるところです。
小田原で晩御飯を食べて帰るともなれば、本当に一日を最大限利用した登山旅行を楽しむことが出来るはず!
明神ヶ岳最乗寺コース登山の概要
最乗寺奥の院から始まる旅情登山
2021年5月2日午前7時35分、大雄山最乗寺。
おはようございます、素晴らしい境内にやってきました……ここは大雄山最乗寺、曹洞宗のお寺です。
やってくるまでこんなに大きなお寺だとは知らなかったのですが、観光地としてもすごく楽しそうな立派なお寺でした。
本日はこの最乗寺から明神ヶ岳へと登ります、スタート地点は最乗寺奥の院ということで、まずはお寺の中を見学しながら奥の院を目指します。
あ、ちなみにバス時刻が遅かったのでタクシー使いました、片道1,500円です。
午前5時15分、東京駅より東海道線で小田原へ。
本日の工程を振り返りましょう、新緑シーズンの3月以降は車じゃなくて公共交通機関を利用した登山をメインに据えるのが関東ではお勧めと考え、今回も交通機関で大雄山へとやってきました。
公共交通機関を利用した登山の良い所は縦走が楽なところ、駅から別の駅へ……そして成人であれば下山後にお酒が飲めるところです。
早朝の人がいない東京駅で東海道線に乗り換え小田原駅へ向かいます。
午前6時45分、小田原駅大雄山線乗り換えホームより大雄山へ。
小田原駅に到着したら大雄山線へ向かいます、ここで注意なのは箱根登山鉄道と大雄山線は別のホームです。
JRを出て間違えて登山鉄道に行ってしまいましたが、大雄山線は写真のような単線の電車ということで駅の端にホームがあります、車両も少なく昔ながらの対面座席メインの旅情あふれる電車に乗って終点を目指しましょう。
この大雄山線がまず今回の旅情を最初に高めてくれるシーンでした、神奈川県で単線電車に乗れて……しかもすごい田舎の景色が目の前を通り過ぎていくわけです、素晴らしい!
大雄山線の旅情は本当に素晴らしい、すごい古い車両ですが窓の外には畑や瓦造りの家が立ち並び、目の前には箱根の山々が見えます。
午前7時30分、大雄山駅よりタクシーで最乗寺へ。
大雄山に到着したらバスを待つかタクシーに乗るかの選択が待っています、バスの始発が7時半以降なんだけど電車は7時前に到着してしまうんですね。
1時間バス停で待つか、タクシーに乗るか……ということで今回はタクシーに乗りました。
今回の登山はそもそもの交通費が5,000円以下なのでここで1,500円を払っても問題ない。
タクシーが境内まで運んでくれてびっくりしました、乗車時間は10分もないかな?
最乗寺に到着して思ったのは「こんなに立派なお寺だったんだ!?」ということ、事前に調べていた印象よりもはるかに立派でした。
明神ヶ岳へと向かう登山口ですが、最乗寺には二つ存在していて地図に乗っているのはこの入り口から登るものです。
ですが、今回は最乗寺奥の院から登る!ということで奥の院へと向かいます。
最初ちょっとここから登ってしまいました、途中で奥の院へ向かう道じゃないことに気が付き戻りました……
本当にこの「よく道を間違える癖」には困らされる。
最乗寺奥の院へは案内に従って境内を登っていきます、この境内がとても美しく、庭師の方に整えられた木々の新緑が美しいのなんのって……、ここで一日中新緑眺めていても気持ちがいいと思う。
境内にはいくつもの仏閣がありまして、全部回るだけで1時間以上は楽しめます。
道中にはこのような仏像とかが沢山あって、見ているだけで楽しいです。
そして早朝の新緑の黄緑の光が美しいんですね本当に!
奥の院の手前の御供橋・圓通橋を渡り巨大な杉に囲れた300段以上ある長い階段を登ると奥の院に到着、ということなんですが、まずは手前の御真殿へ参拝に。
奥の院の一つ手前なんですがあたりには滝があったりと自然豊か、本堂から結構離れた山の中なのでとても静かです。
そして奥の院へと向かう300段以上ある階段を登ってスタート地点へと向かいます。
この階段ですが、僕は土合駅とか奥多摩の鋸尾根とかでこれの崩落気味のやつを見たことがあったのでそんなにインパクトはなかったかなと……、普通に数分間黙って登ると終わります。
この奥の院までの道が滅茶苦茶旅情を感じました……、出来れば最乗寺だけもう一回行きたい。
奥の院から静かな森を歩き稜線を目指す
午前8時00分、奥の院登山口。
奥の院ですがあたりには明確な登山口の案内がありません、奥の院を正面に見た状態で左手に伸びる道を辿ると写真のような看板があるのですが、それが登山スタートの合図です。
明神ヶ岳まで140分、本当に一直線に登っていく男らしい道です。アップダウン無し!
最乗寺奥の院から登り始めるとGW時期はご覧のように新緑が美しい道が広がります。
奥の院周辺は杉林なのですが、すぐに杉林は終わっちゃうのでご安心を。
奥の院から登り続けるといったん林道へ、塚原林道という道でしょうか?
明神ヶ岳見晴らし茶屋というのが近くにあるらしいです。
林道へ合流しても目の前に登山口があるので迷うことはないかと思います、再び登り始めると金時山の名前が書かれた看板が登場します。
金時山まで縦走が可能らしいけど今回は温泉に入りたいので行きません。
道中天然のきくらげを発見しました、Redsguarは茸全般アレルギーが出るのですが唯一食べれるキノコです。
とはいっても好きではない……中華料理に入ってたら渋々食べる程度のものなんだけど……。
新しいカメラであるZ5とNikon24-200mmですが、仏果山から使ってみて大分いい感じ。
ボケが高倍率なのにうるさくないので重宝します。
登山道は写真のように土の地面がU字型に抉れたような部分が多い道でした、この日は「登りで登山者とすれ違わなかった」というのが素晴らしく、道が非常にきれいに整備されているのに静かという所にとても感動しましたね。
何よりもこの道は新緑が美しい、ブナが出てきてからが本当に雰囲気がいいです。
新緑を愛でようという気持ちを強く持って挑んだ明神ヶ岳、見事に美しい新緑を引き当て本当に満足でした。
GW付近であれば苔もイキイキとし始めていて、黄緑色に輝く森が登山者を出迎えてくれます。
富士山と箱根の眺望輝く明神ヶ岳へ
午前10時00分、明神ヶ岳稜線合流地点へ。
新緑を楽しみながら登り続けること2時間、バイケイソウが出現し始めたらそれなりに標高が上がったんだなという感じがします。
そしてすぐに明神ヶ岳への分岐……、つまり稜線へと合流することとなりました。
稜線に近づくとゴウゴウと音がします、気が付いてはいたんだけどこの日は強風だったんですよね。
稜線に合流すると気持ちが良すぎる景色が僕を待っていました。
刺激的過ぎます、見晴らしのいい稜線の向こうに冠雪した富士山がひょっこりと現れる……。
かなり風は強いのですがその風を忘れさせるくらい良い景色が目の前に広がっていました。
ちなみにこの撮影ポイントは明神ヶ岳方面とは逆側に少しだけ歩いた稜線上のポイントです、合流地点からすぐに明神ヶ岳へ向かうとこの景色は見られないからご注意ください。
最高だ……、最高すぎる……晴れの神よありがとう。
箱根の街も大涌谷も神山もばっちりだ、もう満足すぎるッ!
富士山の展望も最高、箱根の景色も良いし相模湾も見える、不満無いじゃろ?ただし今日は爆風じゃ。
この稜線があまりにも気持ちよくて山頂まで10分のところを30分くらいかけて歩いてしまいました。
写真2枚目の自撮りを見ていただけるとわかりますが、ウインドブレーカーを羽織らないと強風の影響で結構寒いという日でした。
稜線の新緑は新芽の状態、今が一番緑が透き通ってて美しい時期間違いなし。
新緑の時期っていうのは花が無くてもいいんです、新緑をちゃんと楽しむことが出来れば花以上に美しさを見出すことできるので。
午前10時45分、明神ヶ岳山頂。
山頂まで非常に時間をかけて歩いたので11時近くになってしまいました……、明神ヶ岳山頂は比較的広い広場になっていて芝生エリアもあります。
今日は風が強すぎるから登山者は笹の陰に隠れて風をやり過ごしていました。
山頂からは富士山と強羅方面が良く見えるのですが、富士山の景色はやっぱりさっきの笹の道のほうが開放感があった。
今シーズンの定番、クリームパンを景色にささげます。
このクリームパン行動食としてとても優秀です、何が優秀ってコンビニ行けばどこでも手に入る。
午前10時55分、明神ヶ岳下山開始。
山頂でクリームパンを口に運び撮影を済ませたら下山に移ることとしました、なんていうか……さっきの合流地点の稜線のほうが景色好きだったので。
下山を開始してすぐに気が付いたのは相模湾の展望の良さ、山頂から箱根側に降りると弓なりの相模湾が目の前に飛び込んできます、これが開放感あって良い景色でした。
ちなみに相模湾が見えるのはこの瞬間だけ、あとはU字型の登山道に突入します。
午前11時30分、宮城野分岐で明星ヶ岳へ進むことを選択。
山頂から宮城野分岐までは30分ほどで到着します、道中はU字型に抉れた登山道と両脇に背の高い笹が茂る道が続く。
笹をモーセの十戒の海を割るシーンみたいに整えた登山道は明星ヶ岳まで続きます。
展望が全くないけど不思議と楽しい道です。
宮城野分岐から下山すると正午付近に下山することが可能となり温泉後に昼食を楽しむことが出来る……。
でもこのブログは食事よりも山を歩く時間やピークを踏むことを優先するRedsguarなので今回は明星ヶ岳まで行きます。
本当にずーっと左右を背の高い笹に覆われた道が続きます、びっくりするくらい展望ないです。
ここはRedsguarだから食事の情報よりも登山道中が優先されるのは仕方ない……。
明星ヶ岳より下山、温泉会館から強羅観光へ
午後12時5分、明星ヶ岳到着。
明星ヶ岳までは稜線のアップダウンを数回繰り返してたどり着きました、分岐から30分ほどでこの山頂に到着なのですがここも展望はありません。
その代わりとても静かで、あたりも芝生のようなところがあり数人の登山者が昼食を楽しむ牧歌的な場所になっていました。
注意深く歩かないと山頂の社を見逃してしまう程度には地味です、正直……明神ヶ岳から宮城野に降りる方がお勧めかも。
明星ヶ岳からも宮城野に下山することが出来るのですが、そちらの道は塹壕のような道を下ります。
雨上がりとかマジで滑りそうで怖い、というか川になりそうだ。
下の方に下ってくると普通の登山道なのですが、途中までは塹壕状態。
あとやっぱりこの辺も笹が多い……けど杉が全くなかったのは意外でした、広葉樹が多く新緑が最後まできれいですよ。
箱根の山は苔が奇麗、杉林があったのは最乗寺周辺だけであとは原生林のような明るい森が続き、そこで多くのコケやキノコを見ることが出来ました。
このコースの良い所はこういった杉林の少なさと優しい森の雰囲気に起因しているのかも。
午後12時45分、明星ヶ岳宮城野登山口到着。
明星ヶ岳下山開始から1時間もせずに登山口は到着しました、登山口は私有地みたいなところにあってなかなか入り口として使うにはわかりにくいような場所でしたね……。
ここからは宮城野温泉会館へ向けて住宅街を抜けていきます、道中は明神ヶ岳から流れているであろう清流があったりして雰囲気が非常に良かったです。
意外に登山口から温泉まで遠いので注意してください、あとそれ以上に強羅駅まではかなり遠いのと上り坂を歩くことになりますので、時間に余裕もって行動しないと後悔します……。
午後1時00分、宮城野温泉会館到着。
明神ヶ岳登山の後にお勧めできる温泉はたくさんあるんでしょうけど……ここ箱根だしね。
僕は地元の人が行く温泉とかが好きなのでこの宮城野温泉会館を選択しました。
ここは宮城野に初めて湧出した温泉を利用した日帰り温泉施設とのこと、外には釣り堀とかもついています。
入浴料は大人650円となります、シャンプーはありません(石鹸はある)
釣り堀では観光客の方が釣りに興じていました、結構客入りがあるらしく観光の方も入浴しに来ていたのが意外。地元の人の温泉だと思ってた……。
午後2時00分、強羅駅到着。
手早く宮城野の湯を楽しんだ後は強羅駅へ、箱根登山鉄道は結構本数が出ているので帰りは安心ですが一つ問題が。
さっきも言ったけど、宮城野温泉会館から強羅駅まで歩くと坂道を結構上らされるので暑い時期は注意してください、再び汗をかくこととなります……。
てか強羅歩くと遠すぎッ!!
駅に着くまで結構大変でしたが無事到着してみれば発車までまだ時間がある状況、お土産を購入することにしました。
一本遅らせると家族に迷惑がかかるのでソフトクリームを食べたり、酒を飲む余裕がないので自分と家族へのお土産一本勝負です。
考えた結果僕は自分のお土産に地酒を購入していました、コシヒカリラガー。
帰ってから飲んでみたけど非常にフルーティーな味に感じました、信用できない味覚の持ち主である私ですが胸を張ってお勧めできる美味しいお酒。
これ生で出されたりしたらすごい美味しかったんだろうなぁ……
宮城野分岐から直接下山してたら昼食を強羅で食べれたのでちょっと後悔があります、明星ヶ岳がもっと派手な山ならよかったのに……。
帰路に着こうと強羅の景色を見渡すと「なんだあれ?」と思うものが山の上に……。
大文字焼きが……、確かに下山路になんか看板あったけどあれがまさかこんな形に……!
大文字焼といわれれば京都なんですけど、箱根も大文字焼の文化があるらしく1921年から続く由緒正しいお祭り……らしい。
ちなみに京都は江戸時代の文献があるから歴史では京都のほうが古いようです。
帰路は箱根登山鉄道に搭乗し箱根湯本で小田原行の電車に乗り換えることとなります。
箱根登山鉄道はカップルの観光客で溢れておりまして、土にまみれた登山者の僕は多少の場違い感が……ありました。
あ、そういえば麺類を探してない!
箱根登山鉄道を乗り継ぎ小田原に到着したタイミングで気が付くのですが、新しく始めた趣味の「ご当地乾麺」を購入するのを忘れていました、まだ間に合うと思い乾麺を探すもなかなか見つからず。
何とか小田原駅の地下街で足柄茶麺と呼ばれる「うどん」をゲットすることに成功しました。
蕎麦が欲しかったんですけどね僕……、ということで明神ヶ岳登山のエンディングは小田原駅で購入した足柄茶麺。
モンベルの軽量ザックに乾麺とお土産を押し込んで、湘南新宿ラインに乗車し帰路につくのでした。
ちなみにこの足柄茶麺ですが、茹でてみてびっくりする程にお茶の香りが強く味も濃厚で思わぬ収穫といった感じ。
麺の方さやのど越しも滑らかな部類でスルスルと美味しく食べることが出来ました、お茶の風味がちゃんと味覚に届くほど特徴があって「キャラ立ちした麺」だなという感想です。
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