2018年12月29日、山梨県笛吹市にある御坂黒岳に登ってきました、標高は1,792m。
富士山の展望台かつ河口湖と富士山の夜景撮影などの定番スポットとして知られる新道峠がある山です。
富士山カメラマン的には定番中の定番のスポットとなりますが、今回は朝の富士山を眺めながら登山の対象としてお隣の釈迦ヶ岳を含めた周回登山で楽しみたいと思います。
関東の初冬シーズン、登山では雪山か里山か迷う中で選んだ外輪山ですが、標高1,800m級にもかかわらず富士外輪という雪があまり降らないエリアにあるため落ち葉が敷き詰められた冬枯れの尾根道を堪能することが出来ました。
富士山展望の山ということですが、その道は非常に穏やかでアップダウンが少なく体力的にかなり楽な場所だなと感じましたので、アクセスする足さえあれば尾根道を散策するのにはいい場所だなと思います。
富士山の朝焼け撮影ついでに釈迦ヶ岳で甲府盆地と山々の姿をみて帰る、そんな欲張り登山を今回はしていきたいと思います。

御坂黒岳は登山スポットよりは撮影スポットとして有名。
富士山の撮影スポットとして利用される新道峠をさらに進んだ先にある黒岳ですが、山頂の眺望は新道峠とほぼ同等といった感じであることと道中がとにかく地味であることから、登山スポットとしてはスペクタクルを求めるタイプの場所ではありません。
お隣の釈迦ヶ岳は甲府盆地側の眺望が良いことと、山頂の開放感があるため登山対象としてはこちらのほうが気持ちが良いかなと思います。
周回を前提としてもアップダウンが少なく歩きやすい道が続くこの山は「かなり早く、気軽に歩ける」ので、標高1,800m台の稜線を気軽に歩きたいということであればおすすめができます。
御坂黒岳登山の概要
新道峠から見る夜明けの富士山

2018年12月29日午前6時50分、新道峠第一展望台。
おはようございます、Redsugarです……とても寒い12月29日。師走の中の師走の早朝1,700mの吹き曝しの尾根道にいます。
普通であれば家で、家族でこたつを囲んでいるような日になぜ僕はこんなところで富士山を撮影しているのか、しかも大して朝焼けが奇麗じゃないし。夜中の登山道すごい怖かったし、最初から何というか不満が噴出していますが今日は御坂黒岳を登ります。

振り返って数時間前……、談合坂SAで朝食を食べたRedsugarは「朝焼けの富士山を新道峠から撮影する」という「富士山写真の定番の一枚を僕もとってみたい!ついでに山も登れば一石二鳥!」という甘え考えを持ちながら深夜の山道を走らせていました。やめておけばいいのに。

欲が出た、この記事を書いている今後悔している。








午前6時00分、新道峠黒岳登山口。
早朝といってもこの時期の夜明けは遅く、山の上からだと6時半くらいでしょうか。
でも登山口って大体谷間とか、山の斜面のど真ん中にあるので日が差し込むのは8時とかになりますよね、つまるところ6時前に到着はしましたが周りには誰もいない、車道はあるが灯はない、人よりも何か別の生命体や霊的なものを感じる……。
そんな恐ろしい状況でスタートすることになったのが本日の登山でした。
正直ナイトハイクは何回かやったけどこの御坂黒岳のスタートは一番気味が悪かったです、なんだろ……。


午前6時40分、新道峠。
恐怖を紛らわせながら心を殺して何とかやってきた新道峠、予想よりも歩くのに時間がかかってしまいました。
到着するころにはすでに海の向こうでは日が昇ってしまったらしい。
もう少し上に眺望のいい展望台があるということでそこまで移動しますよ。








新道峠第一展望台に到着するときれいに真の前に富士山と河口湖が見えるではありませんか。
確かにこの絵は何回か見たことがあるなと思い三脚を立てて撮影を開始します、撮影というよりもぼんやり富士山を眺めるだけなんですが……。ここで数十分富士山を見ていたのでいつの間にか凍えるくらい身体が冷え切ってしまっていました。








新道峠から見る富士山、僕は富士山よりもそのふもとの町に光が差し込んで行ったり、周りの山々の斜面が照らされていく景色のほうばっかり見てしまいました。
この記事を書いている今となってはこういう定点での撮影はあんまり性に合わないので、次回はやっぱり登山をしながら所々気持ちのいいところを撮っていきたいなぁ……。
けどこの新道峠から見る富士山は開放感があるのと、均整な面持ちでかっこいいなと思います。


望遠で見てみると富士山の麓に明かりが見える、そして富士山の山肌に雪煙が舞うのが見えます。
こんな穏やかに見える天気ですが、富士山では今頃猛烈に冷たい風が吹き荒れていることでしょう……。


富士山を撮影する僕がいるのも標高1,700m台の場所なので非常に寒い、年末の寒い時期を乗算したくらいの寒さです。
歯をかみしめながら寒さに耐える中、ついに太陽の光が僕のところに届くようになりました。



夜明けの太陽は本当に神々しい、お湯飲みたい。




午前7時30分、第一展望台。
夜も明けて、すっかり晴れ渡ってしまった景色を前にした僕は静かに三脚をしまって撮影終了を宣言します。
いや、成果はなかったけど撮影はしてみたかった。やってみて満足したので……登山しましょう。
ちなみに開放感ある富士山を見る登山で言えば石割山のほうが個人的には好きかなぁ……。
というわけで自撮りしたので登山を開始することにします。




ちなみにこの新道峠第一展望台、ご丁寧にカメラスタンドが取り付けられております。
記念撮影スポットになるくらい有名な眺望らしい。
優しい道の御坂黒岳と釈迦ヶ岳




登山開始ということで新道峠第一展望台から御坂黒岳へと向かいます、人のいない静かな尾根道に差し込む光が森に朝を告げていきます。




これくらいの時間に歩くのが最高に気持ちがいい!というのが登山の魅力の一つではないでしょうか。
家の近くで見る朝焼けもいいのですが、この静かな森の中でサラサラと木々が奏でる音を聞きながら見る景色が良いのです。



森の音が一番癒されます、十勝の音がする。








御坂黒岳までの道のりはかなり緩やかで平坦です、標高1,800m台の山だとは正直思えないくらい楽。
シーズンが冬なので冬枯れした木々の隙間を縫って登っていきますが、1時間しないうちに山頂に到着します。
この道のイージーな感じと眺望の良さは初心者向けの山としてはアリな気がしますが……。




午前8時25分、御坂黒岳山頂。
第一展望台を出発して1時間で山頂に到着してしまいました、山頂の眺望はというとご覧のような感じで少し木が多い。
山頂は広く眺望スポットが何箇所か切り払われているという状態になっています。



ていうかマジで速い、山頂まで早すぎる……疲れてないよ




黒岳山頂に到着してしまったのですが……、どうしようスペクタクルがない。
一応景色は富士山と南アルプスが奇麗に見えるのですが、富士山は朝からずっと見ているのでもはや感覚がマヒしています。
富士山を見てもちっとも絶景だと思わなくなるくらい感覚がマヒしてしまった。
逆に南アルプスの景色はいいですね、長大な稜線を眺めながら山座同定するのが楽しいです。
どんべい峠から釈迦ヶ岳へ








黒岳を登ったら次なる目的地は釈迦ヶ岳、お隣の山なのですが実は黒岳から周回で歩くことが可能です。
さらに釈迦ヶ岳道中の府駒山から伸びる下山路は駐車場に直接降りるというくらい便利な道となっているのが良いところ、黒岳を登るときは釈迦ヶ岳を周回で入れるのはルート的にかなりお勧めできます。
冬の時期で見どころは少ないのですが、見た感じカラマツがかなり多いので紅葉時期は黄色が奇麗かなと思います。
写真のように冬場でも光の差し込み具合によって木々の織り成す縞模様が奇麗でした。


午前9時45分、どんべい峠。
黒岳から釈迦ヶ岳へ向かう道中このどんべい峠を横断することになります、時期的には封鎖されているので車で来ることはできなかったようです、ここから釈迦ヶ岳は1時間くらいの距離にあります。








道中は基本的に冬枯れした広い尾根道をひたすら歩くというような道が続きます、なんというか冬の奥多摩丹沢とほぼ景色が変わりません。アップダウンもほとんどなく、山頂直下が少し急になっているというくらいでしょうか。
山頂は展望が良く、富士山側の新道峠の眺望よりも広大な景色が広がることとなります。




釈迦ヶ岳山頂は甲府盆地側を一望できる状態、この日外輪を選んだ理由として「八ヶ岳、奥秩父の天候が悪いと予測される」という事情があったのですが、予報は当たりどちらも日が当たっていないような状況でした。


午前10時50分、釈迦ヶ岳山頂。
どんべい峠から1時間ほどで山頂に到着です、道中は前述のとおり見所はなかったのですがこの山頂は中々気持ちがいい。
数人の登山客が昼食を食べながら思い思いの休憩時間を過ごしていました。








釈迦ヶ岳からも富士山の展望はあるのですが、新道峠側の尾根がかぶさるため富士山は頭の部分だけが見えるという状況です、それでも十分かっこいいけどね。周辺の山々を見渡してみるとおそらく三つ峠と思われる山も見ることが出来ました。
山頂の展望は個人的には釈迦ヶ岳のほうが良いと感じます。



甲府盆地をこんなに気持ちよく見れるところはあんまり覚えがない。
冬枯れの山を下山し帰路へ








午前11時00分、下山開始。
釈迦ヶ岳を後にした僕は一路登山口へ、釈迦ヶ岳へと向かう尾根道には駐車場に直通の分岐路があるためそれを利用すると駐車場付近の登山口に降りることが出来ます。(府駒山の近くなので一度どんべい峠側に戻ります)
この道は落ち葉で道が覆われていて、歩くとサクサクと音が鳴り響いて気持ちが良いものでした、斜面も緩やかでなんというか子供の頃に遊んだ山を思い出させるくらい長閑な景色が広がっていたのが印象的です。


午前12時15分、新道峠黒岳登山口。
駐車場に帰ってきてようやくこの案内板の表示がちゃんと見えるようになりました……。こうなっていたのか黒岳周辺。
ドラマチック富士展望コースと名付けられた尾根道は節刀ヶ岳方面まで続いているようです、王岳までも行けるようなのでこの駐車場を起点に尾根道ピストンをしてもいいかもしれないですね。
考えていたよりもかなり早く下山してしまったうえに、汗をほとんどかくことがなかったため温泉に行く気も起きず。
このままおうちに帰ろうということで一目散に家に帰ってしまった師走の登山の一幕でした。




コメント