【秀麗富嶽】九鬼山、猿橋駅から富士眺望を求めて歩く日帰り登山

御前山からみた富士山

2022年11月27日、中央線沿線にある秀麗富岳「九鬼山」にお気軽ハイキングを楽しみに行きました。中央線沿いの低山で標高は970m、山頂からは富士山がちらりと見える渋い山です。11月後半の晩秋時期でも紅葉がまだ楽しめるということで歩いてきましたが、登山時間がそれほど長くない割に急登だったり、静かで山深い道を楽しめるなど、満足感高めの日帰り登山を満喫出来る山でした。

中央線は猿橋駅前からスタートして九鬼山を歩いた後は禾生駅に降り立ち、激辛唐辛子をたっぷり入れた吉田うどんを楽しんで帰りたいと思います。
秋が終わり本格的な冬が始まる前、紅葉最後の時期に歩く富士眺望の山、九鬼山の一日です。

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登山では比較的オフな11月に紅葉を楽しめる九鬼山、中央線から歩く富士山と紅葉の山は短いながらググッと楽しみが詰まった山でした。

目次

御前山九鬼山日帰り登山の概要

■概要
秀麗富嶽十二景の十番山頂として扱われる御前山と九鬼山の2座を歩くコースになります。御前山は別名厄王山と呼ばれ断崖絶壁からみる富士山が特徴的な山です。九鬼山はその昔、九匹の鬼が住んでいたという言い伝えがある山になります。中央線で猿橋駅到着後は御前山に登頂し、そのまま九鬼山に向かった後に南側に下山するのが今回のルートになります。
九番山頂の高畑山、倉岳山と稜線が繋がっているため縦走後に梁川駅や鳥沢駅に降りることも可能です、コース設計の柔軟性が高い場所かなと。
秀麗富嶽ということで富士山の眺望があってこその山、関東地方が晴れ渡る秋冬シーズンにお勧めな山になります。九鬼山ですが、今回は展望スポットの天狗岩を経由していません。山頂からの景色はそんなに良くないため、富士山を見るなら天狗岩を経由するコースで歩くのがおすすめです。

■アクセス
【電車】新宿→高尾→猿橋:1,340円
【電車】猿橋→高尾→新宿:1,650円
合計運賃 2,990円、中央線沿線の山は本当にリーズナブルですね。

■コースタイム
猿橋駅6:55→九鬼山登山口7:15→御前山8:15→札金峠9:20→九鬼山10:20→落合橋登山口11:20
合計登山時間 約4時間30分、短いながら急登も多く満足感があります。

御前山、冬が始まる山麓の趣

早朝の中央線から見る景色

2022年11月27日午前6時45分、中央線猿橋駅付近。
おはようございます、Redsugarでございます。早朝中央線の季節、つまり晩秋から春にかけての低山シーズンがやってきたなぁという気持ちになりますね。今日は秀麗富嶽十番山頂の御前山と九鬼山を歩きます。

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秀麗富嶽は花がない季節でも富士山の眺望さえあれば大満足できる山々。秋から春にかけてが楽しいエリアなんですけど、アクセスも中央線だからすっごく楽なんだよね。

午前6時55分、猿橋駅前。
早朝の猿橋駅前に降り立ったらまずは補給です。というのも朝の準備にもたつきまして、水や行動食の用意が間に合わなかったのでコンビニへ向かいます。大月周辺の駅ってコンビニが少ないんですけども、この猿橋には奇跡的に駅前にセブンイレブンがあるんですねぇ……!

猿橋のセブンイレブン

旧甲州街道沿いの国道20号線ですが……高尾から先はグネグネ道と山間の田舎町を抜けていくのですが、店がない!
という事情から補給が困難なんですよね。いくつかの駅にはコンビニがあるのですが、地味に朝の生命線だったりする。

九鬼山登山口へ向かう最中に見る扇山

補給を済ませたら猿橋駅の南側へ移動し御前山の登山口を目指して歩きます。道中はこんもりとした百蔵山と扇山がよく見える。

登山口前のトンネル

薄暗いトンネルを抜けた先の並木道を越えて坂道を歩き続けましょう。

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登山口までちょっと遠いんだよな。紙の地図だと不安になるからGPSがあると楽だよ御前山へのアクセスは。

九鬼山御前山登山口

午前7時15分、九鬼山登山口。
トンネルを抜けてしばらくすると登山道の入り口が現れます。大月周辺の山々でよく見るデザインの看板と一緒にクマ注意の看板が目印です。

朝日が差し込む紅葉の森

登山道に入り始めてすぐに晩秋という季節を感じさせる景色が現れます。

尾根から姿を現す太陽

前を向くと登りゆく太陽が尾根の向こうから顔を見せます。横に寝た光が目に直接バァーッと入ってくる、思わず顔がにやけますね、ピリッとした空気が一気に暖かくなる。
冬は空気に透明感があります、空気の透明度が高いということは光が硬い。木々の隙間から指す鋭い陽光、白く沸き上がる吐息に「冬だなあ……」と風情を感じる。

尾根道に登ると最初に目指すのは神楽山です。猿橋駅から神楽山までは歩かれてはいるが踏み鳴らされてはいないっていう感じでしょうか。まぁ……歩きやすい部類に入るかな。

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落葉がサクサク音を立てる地面の上には紅葉も終盤ですっていう感じの飴色の葉が風に踊っています。

神楽山山頂

尾根に上がってすぐに表れる神楽山山頂は大変シンプル。ここは富士山とかは見えない道中の地味山になります。

神楽山から見下ろす中央線沿線

登り坂を歩いてある程度身体があったまってきましたね。木々の隙間から辛うじて中央線沿線の町並みを見下ろすことが出来る神楽山のお隣にある御前山へ向かいましょう。

秀麗富嶽の山からみる富士山

午前8時15分、御前山。
神楽山から十数分ほどで秀麗富嶽十番山頂「御前山」に到着しました。登山道から少し外れた場所にある山頂ですが急登の先にあり、山頂部は丸みを帯びた大きな岩に覆われています。厄王山という別名がある御前山、眺望のあるポイントは切り立った崖になっています。

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御前山の山頂結構狭い!あと山頂直下の登りが中々急なのでちょっと注意したほうが良いかも。

御前山から見る富士山

御前山の山頂からの景色、低山の山々の向こうに冠雪した富士山がひょっこりと顔を出しています。
この景色を見ると秀麗富嶽は紅葉時期が良いよねぇ~っていう感じがします、山々の木々が黄色く染まっている時期に来るのが良いんだろうな。

赤富士君

秀麗富嶽は僕さえ見えれば大丈夫、冬枯れしている山だろうとも富士山は常にそこにある!

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まぁ、そうなんだよねぇ。秀麗富嶽はまず富士山が見えるのが大事だなぁと思うの。2月の冬枯れの景色が広がっていても、富士山が見えればそれでいいかなって思えちゃう。

御前山を越えたら次に向かうは九鬼山なのですが、この道中が中々アスレチックで面白い。
適度に歩かれているので落葉の地面も地雷原のような危険性はなかったんですけども。
急登ありロープありと中々歩きごたえがある道が続きます。

沢井沢ノ頭や馬立山といったピークを越えて九鬼山へ向かいますが道中は落葉が気持ちよい道が続きます。フォトジェニックな場所は無いけど、足元の落葉の感触だけは良いのよ。

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紅葉時期の登山ではやっぱり足元を撮っちゃうよね

御前山と九鬼山ですが、その道中には札金峠という大きなアップダウンが存在しています。馬立山を越えると100mくらい標高を落としてから再び登るといった感じ。札金峠に入ると杉林で特に見るものもなく……きらきら光る木々を探しながら下っていきました。

午前9時20分、札金峠。
御前山から1時間ほど歩いてたどり着いた札金峠。山と山をつなぐ鞍部にありまして、ここから直接田野倉駅へと向かうルートもあったりします。この辺はいろんなレポートを見ていて改めて分かったのですが……草木の生命力が強い時期は荒廃気味な登山道が見えなくなるから秋冬に歩くのが良いなと思う。

落ち葉が豊かな登山道

杉林の中につづら折りに作られた登山道を歩いて九鬼山に近づきます。
札金峠にたどり着くために降りた分を取り戻し再び広葉樹の開けた森へ、やっぱり明るい森のほうが気持ち良い。

陽光差し込む登山道

すっかり太陽が昇って山道にはきれいに光が差し込みます、紅葉もいい感じに色づいたものがどんどん現れてきました。

真っ赤に染まるモミジ

九鬼山の登山道ですが、その内容はお近くの高川山、倉岳山と似たような感じで決して多くの木々が紅葉した絶景スポットではありません。でもこうして時折真っ赤に色づいた紅葉の木々が現れて登山客の目を癒してくれます。
派手さはない地味な山だけど、静かで時折訪れる雅な色を楽しむ……そんな雰囲気があります。

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一言でいうと渋い山だと思う。下山後もあまり派手なご飯もないし風呂も工夫が必要。本格的な冬前の11月という時期がそもそも渋いと思うんだけど、そんなときにとても良く合う山だなぁと。

紅葉を撮影する人

すれ違う登山客も考えることは同じなのか、静かな山に鳴り響く落ち葉を踏む足跡を楽しみながら時折現れる紅葉を楽しんでいました。

気持ち良い光が差し込む登山道

札金峠から九鬼山は尾根から少し下に築かれた蛇行する登山道を南へ向かって進む道です。日当たりが良い場所もあれば、北側斜面で真っ暗な場所も現れます。日当たりがいい時に太陽の光を思う存分に吸収していただきたい。

紅葉の登山道を見つめる

キラキラーっと輝く登山道わきの木々が綺麗。冬場になるとずっと40㎜をつけて歩いているけど、思わず絞り開放でふわふわ~っとした光景を作り出したくなる。

日陰で暗い登山道

しかし、陽光が気持ちいい道を過ぎればすぐに北側斜面の暗い道へ……。九鬼山で一番きついのはこの道かなぁ、山頂手前の斜面に続く場所なのですが、落葉の降り積もり方も他の場所より多く足元も不明瞭。

細木につけられたピンテ

不安になるような薄暗い斜面を進みますが、地元の方々が整備してくれたであろうピンテを見ると心が和らぎますね。

落ち葉に輝く飴色の葉

九鬼山山頂手前で尾根に復帰したら再び明るい光が差し込むようになり、足元を見れば所々篝火のように弱く輝く落ち葉がちらほら。やはりこういうのを見かけると……撮っちゃう。

午前10時20分、九鬼山。
九鬼山山頂にたどり着くと禾生駅から登ってきたであろう団体登山客の方々が談笑していました。秀麗富嶽十番では九鬼山がメインなのでこちらだけ歩くっていうパターンもあるようです。九鬼山山頂は木々が多くそこまで開けた景色が楽しめるわけではありませんでした、正直御前山のほうが秀麗富嶽的な景色が楽しめたと思う。

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秀麗富嶽の紹介を見ると立派な写真が掲載されているが、割と望遠レンズで撮影されたものが多く。登山で訪れてみると「思ってたんと違う……」というのはよくある。九鬼山は割とそれだった。

山頂からの富士山はどんなんだい?と思って探してみたら意外に富士山が綺麗に見えない。九鬼山からの富士山は山頂ではなく少し降った先の天狗岩からのほうが良いようです。北側には冬枯れした大月の山々ですが、こちらも特に目を惹くような感じはない。

吉田うどんを目指して禾生駅へ向かう

九鬼山山頂からは弥生峠を経由して禾生駅に降りるルートを選択したのですが、九鬼山からの富士山頂の眺望を楽しむのであれば池ノ山方面へ向かってから禾生駅に降りたほうがよかったようです。これは登山後に気が付いたので仕方なかった……。

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写真二枚目の分岐点を田野倉駅に向かって降りると天狗岩に行けたはずだが、当日は禾生駅に降りることを考えていたので指示に従い弥生峠に行ってしまった。

陽光に輝く蜘蛛の巣

弥生峠方面はただただ静かな登山道が続きます。登山者は少ないけど道はしっかりしていて、御前山から九鬼山までの雰囲気とは打って変わってイージーな道が最後まで続きました。

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道中巨大なクモの巣のような、輝く枝のようなものが……、風が吹くたびにゆらゆらと光が揺らめく様がとても気になる……。

細かい落葉が降り積もりつつも、がっちりと踏み固められた道が続く杉林の登山道。スペクタクルは全くない、植林が多めの低山あるあるな景色の中を進む。建材として植林が推奨された杉だけど、好きじゃないんだよなぁ……。
花粉症の原因にはなるし、森の保水力は落ちるし、何よりも景色がつまらないんだよなぁ……、とぼやきながら下山。

不思議な力
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あ、不思議な力だ!!

直前で東京都写真美術館で野口理佳の「不思議な力」という展示会を見ていたんですけど、クモの糸につり下がり揺れる木の葉の写真が展示されていまして……、似たようなものを見つけちゃったんで思わず撮影してしまった。
よーーーくみると、確かにこれってすごい不思議、クモの糸の強度ってすごくない??
弾性も素晴らしく、風でくるくると回りながら小刻みに震える木の葉だが糸は微動だにしない。

縁石に乗せられた石碑

不思議な力を感じさせるクモの糸を眺めておりましたが、そこから数百メートルも進まないうちに登山口に到着。
山の斜面に作られた集落を抜けて禾生駅を目指すのですが、山間の住宅地には歴史を感じさせるお地蔵さんや石碑が沢山あり、それらを眺めて帰るのも楽しいものでした。

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新旧様々なお地蔵さんや馬頭観音の碑を楽しめる道でした。

落合橋

午前11時20分、落合橋。
登山口から少し歩くと落合橋が現れます、道路として使われている橋じゃなくて水路の橋なんですねぇ……ロマンティック!大月にある発電所へ水を送る水路橋ですが、その造営は1907年とのことです。大正時代で日露戦争後というかゴールデンカムイ本編が始まるのと同じ時期かぁ、100年という時を経ても全く風化していない橋に技術の高さを感じるぜ。

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有形文化財でもある落合橋。アーチの下をくぐらないと駅に行けないんだけども、大正時代から現役の建造物の中を歩いたり触ったりできるってのは本当に浪漫がある。

禾生駅へそのまま向かってもいいのですが、登山だけで終わるのはもったいない!秀麗富嶽で富士山を見た!富士といえばなんだ!?吉田!!吉田といえばうどん!!!吉田うどん!!ということで「山もとうどん」さんにやってきました。お昼時は大繁盛なうどん屋さんでして、観光客と地元のお客さんで店内は満員でした。
注文はもちろん肉うどん、歯ごたえ抜群の吉田うどんはやっぱりうまい!色物うどんの中でも吉田うどんはかなり上位、美味しい部類に入るよね。

大混雑の山もとうどんさんを後にして禾生駅へ走る。富士急の電車は本数が多いわけではなく時間帯によっては1時間に1本しか来ません。うどんを食べつつも帰りの電車の時刻にドキドキしていたのですが、無事大月行きに乗れて一安心。

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しかし富士急行の電車は面白いペイントが多いのね。北の秩父鉄道、南の富士急ってくらい車両が面白い。

大月駅へ戻った後は名物「激辛唐辛子」を購入して帰路につきました。大月エリアを歩いて大月駅に帰ってきたときは必ず購入している気がする。うどんやなべ物に入れるといい感じに辛みがでます、しかし……人によっては辛すぎて食べれないという方もいるかも。
というわけで早朝の猿橋駅から始まった富士眺望を楽しむ秀麗富嶽の日帰り登山はお昼には終了。
大月のお土産を持って埼玉への帰路へとつくのでした。

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短時間でありつつも道中はアスレチックあり、眺望あり、文化財ありとバラエティ豊かな良い登山でした。

御前山から見る富士山

晩秋の時期こそ秀麗富嶽の山々からみる富士山を楽しもう!
11月は登山としては秋と冬の間みたいな時期で、オフシーズンととらえている方も多いかもしれません。ですが里山や低山に向けるとシーズンの始まりといわんばかりの状況、楽しい場所が沢山湧いてくる時期になります。高柄山から九鬼山まで続く稜線地帯は晩秋シーズンも楽しめる山が多く連なります。
秀麗富嶽九番山頂の倉岳山や十一番山頂の高川山も秋が楽しい時期。その二つに挟まれた十番山頂の九鬼山も秋や春がおすすめです。
コースタイムが短い利点を活かすために、どの駅に降りるか?何を食べるか?大月でシャワー浴びる?等の設計を行うのが良いと思います、すべてを終わらせて帰路に就くころには満足感に満たされることでしょう。

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