2022年10月21日、長野県と群馬県にまたがる日本百名山の一角「四阿山」を歩いてきました。
標高は2,354mで、かつては修験道の山として賑わいを見せた歴史ある山なのですが、今現在は麓の菅平牧場の風光明媚な景色や、冬になれば山頂付近に樹氷ができるといったことのほうが登山客視点では目立つ山ではないでしょうか。
四阿山は四季を通じて多種多様な景色を楽しむことが出来ますが、旬の時期の一つとしてはRedsugarでは秋を挙げたいと思います。レンゲツツジの時期ととても迷うのですが、紅葉が美しい時期に新幹線利用の公共交通機関登山で楽しむっていうのがすごい楽しい山だと思うのです。
というわけで本日は秋の四阿山に新幹線でアクセスし菅平牧場から根子岳、四阿山と登ります。下山後は上田の街の銭湯で「地元の空気」を思う存分に味わい、上田駅前で肉うどんを食べて帰る大人の休日ハイキングの記録です。
下山からの地元の銭湯、この風情は渋い、渋すぎるッ!!
四阿山新幹線日帰り登山の概要
新幹線で向かう菅平牧場
2022年10月21日7時00分、新幹線はくたか車内。
おはようございますRedsugarでございます。大宮駅を出発する北陸新幹線はくたか車内は会社員と登山者のカオスな世界が広がっていました。当ブログもついに自走登山から新幹線登山へ意識のパラダイムシフト……っていうわけじゃないんだけど、下山後に風呂入って酒飲んで帰るってマジですげー素敵だな、最高だな、もう寝たいな。っていう怠惰を貪りたいムーブメントが訪れ、自走以外で行ける山は極力それでアクセスしてみようぜ!っていう感じになりました。
新幹線楽だわぁ……、まずトイレとかもめっちゃきれいだし、目的地まで本当に早くていい。最高すぎんか!?
新幹線登山は登山口に到着するまでは、かなり環境的に恵まれた所に居続けることが出来るため、安心して朝ご飯を食べることが出来ます。どの駅弁食べようかなぁ~なんて選んだりするのもまた風情があって良し。
登山の事を考えると、ほどほどでいいかなって思うのでそんな大きいお弁当は食べないけど。
走り去るはくたかの車内から移り変わる景色を眺めます。いつもは東京の会社に埼玉から通っていますが、山が見えないんだよねぇ、数百メートルの里山でもあれば楽しいんだけど、そういうのもないからとても寂しい。
車窓から見える景色は決して都会とは言えないけど、自然との距離感が近そうな街が羨ましくなりました。
午前7時50分、上田駅到着。
はくたかですが、大宮駅を6時50分付近に出発して到着が1時間後です、早すぎない???
普段自走で佐久平までくる、菅平までって言ったら2時間半~3時間はかかります、それが1時間って……やっぱり新幹線は素晴らしい乗り物です。
上田駅を降りると早速目に入ってきたのはサナ……源義仲かこいつ。
地元のイラストレーターさんが描き起こしたものだろうか、特徴が微妙な義仲がまず一番に目に入りました。でも違う違う、そうじゃ、そうじゃないのよ真田なのよ上田は。六文銭の駅なのよ……と思って振り返ったらちゃんと駅舎には真田家の家紋である六文銭がバチィッと描かれていました。
そして、駅にやってくるバスも紅白模様の六文銭、大河ドラマ的には信繁カラーと言えるこのバスが登山者を四阿山へと連れて行ってくれます。
午前9時10分、菅平ダボスバス停。
上田駅を出発して終点のダボスまでは乗りっぱなしです、尻が4つに割れるかもと思う程度には揺れたりカーブをワインディングしてくれるバスに1時間ほど揺られ到着したバス停で降りたのは……私一人だけでした。
登山シーズンの秋、平日とはいってももっと登山者がいてもいいのに?と思いましたが、四阿山は車で来る山というイメージが強いのか、駐車場は大盛況でしたが公共交通機関は全然でした。
菅平の牧場がスタートになる公共交通機関四阿山ですが、菅平の牧場まで車道とわき道の森を交互に潜り抜けて向かうことになります。オープニングが結構エモいな……。
バス停から牧場までは三十分ほどかかるのですが、その後半はひたすら長い一本道を延々登り続けます。北海道かよっていうくらいまっすぐな道を登り続けると菅平牧場の門番さんが現れます。
ここから先は入山料を支払っての登山となります。
午前9時50分、菅平牧場。
バス停から40分ほどで起点となる菅平牧場に到着です、自走勢がすでにかなりの数入山していることがわかります。
自走で来る場合は日の出とともに登り始めていたりするから、公共交通機関での四阿山はスタートは確かに遅めである。
これまで登ってきた道を見返してみると……すげぇまっすぐな道が一本ひたすら続いています、あれを延々歩いてきたのね。
最初は菅平の牧場を登っていくことになるのですが、すでに秋のしるしが至る所に現れていました。
白い木肌の白樺の葉が黄金色に輝く様を眺めながら登っていく。
振り返ると黄色く染まった木々が麓まで続く穏やかな景色が続く菅平牧場。
牧場なんだけど……牛を見たことが無いんだよな、どこにいるんだろう?
根子岳を目指して菅平牧場沿いに作られた登山道を登り続けると、牧場の方が使っていると思われるレトロな車が置かれていました。草ヒロじゃなくてまだ使っていると思われるその車体と麓の景色がリゾートの裏方っぽく見えてエモいなぁと。
牧場脇に登り続けると東屋風の休憩所に到着します。観光客向けの展望台ということなのかベンチも併設されてい非常に居心地がよさそう。遠くに見える根子岳に関しては黄金色に染まった白樺の木々が山肌を彩っているのがわかります。
四阿山からよく見える山第二位である北信五岳ですが、飯縄山、黒姫山、妙高山と奇麗に並んだ姿が良く見えます。(ちなみに一位は浅間山)
東屋からは根子岳山頂へ向かうわけですが、改めて見上げてみると黄金色に染まる山肌と、秋らしい雲が広がる空が待ち受けていました。青空と黄葉の登山を思う存分楽しめそうな予感がするぜ。
根子岳、笹と黄葉の山
菅平牧場の東屋から登山道へと歩みを進めると笹と白樺が景色を覆いつくした北国のような光景が目の前に広がります。
登山道はがっつりと整備されていて、狩り払いが行き届き踏み固められた地面が登山者に快適な歩行を約束してくれるのです。
見上げると金色に染まる白樺がご機嫌な色彩を提供してくれますよ。
根子岳と四阿山の特徴的な景色は白樺と笹の林にあるかなと思います。他のエリアでは中々見かけることが出来ないほど白樺やダケカンバが密集している景色が中腹に広がっているのです。
四阿山や根子岳以外でこういう白樺の林が登山道中で現れる山って、意外に少ない気がする。東北はブナ林が多いし、北海道はエゾマツになってしまう。実はちょっとレアな景色なんじゃないかなと思う。
白樺の林を抜けると根子岳山頂は目の前といったところまで迫ってきます。ここで西へ目を向けると遠くには北アルプスの大山脈の姿をよく見ることが出来ます。
根子岳や四阿山といった場所からは良く見えるんだけど、改めて白馬岳周辺だけすげぇ色が違うなぁと思う。北アルプスも南部、後立山、裏銀座、立山と各エリアで全然特色が違うということの一端をここからも見ることが出来る。
午前11時25分、根子岳山頂。
菅平牧場から1時間半ほどで根子岳の山頂に到着しました。サマーシーズンに歩くと菅平牧場から根子岳まではすごい快適に歩けるんだなというのを痛感。山頂では先行した登山者の方々が至福のお昼時間を過ごしていました。
山頂に積み上げられた積み石や方位盤からは麓の景色が良く見えます。四阿山は志賀高原や浅間に近い長閑なエリアです、南側を見下ろすと大人しい景色が広がるなぁ……。
こちらは北部の志賀高原方面を根子岳から眺めた景色になりますが、意外に山深い景色が広がっています。
地図を確認すると数々の山々や湿原が連なる地帯なのですが、登山をするための道は意外にそんなに多くない。
遠く見える志賀高原の山々に刻まれた国道、あの一角に日本国道最高地点があるのか。
根子岳からの景色を後にして本日のメインである四阿山を目指します。
サマーシーズンでは四阿山と根子岳は周回で歩くのが一番いいとRedsugarは考えているのですが、その理由はこの根子岳と四阿山を繋ぐ笹尾根の景色を思う存分に楽しめるということです。
四阿山と根子岳は火山であり霊山でもあったのですが、火山っぽい山肌は根子岳の山肌でよく見ることが出来ます。
四阿山側には複輝石安山岩の岩脈が走り、的岩と呼ばれる名所があるのですがそれを彷彿とさせる巨大な岩が地面から顔をのぞかせます。
少し離れたところからみてみると、がけっぷちに作られた登山道の様子がよくわかりますね……。
登山しているときってかなり細い道を歩いていると思うけど、それを自覚するのって後から見返した時や、写真を見返した時だよなぁと思う。歩いているときって全然細いと思わないんだよな……。
四阿山と根子岳北部の山麓に広がる紅葉の大森林、すり鉢状になった地形の一番深いところが米子不動尊の場所かな?
笹の草原が広がる根子岳からの下りの景色は最高です、最高~!
最低鞍部の標高は2,039mで四阿山山頂との標高差は約300mとかなりしんどい登り返しが待っているんですが……、でもこの気持ちがいい笹の尾根道を歩いてみたいじゃん?
笹の草原に作られた登山道を降りる道中も人が切り刻んだような形の岩石がたくさん。
道中現れた「山」と書かれた境界杭の雰囲気がいい、今まさに山を歩いてるんだよって思わず突っ込んでしまった。
地図的には須坂と上田の境界っぽい、そういうのも楽しめるようになると山歩きで知る知識が増えていく。
昔はここが国境だったのかとか、そういうことに思いを馳せる様になっていくと山歩きは楽しくなる。世界を細かく区切る言葉や知識がつくと世界の見え方が変わるというのが素晴らしい。
最低鞍部まで下って来て見返すとゴキゲンな景色が目に飛び込んでくる、降りる際も素晴らしかったが、降りた後も楽しめるんだからこの尾根道は最高。
四阿山単体で登った時にこの道が素晴らしくて「歩きたい!」と思わされた。実際に歩いてみるとやっぱり素晴らしい道だった。
楽しい時間の後にはつらい時間が待っていました、登り返しがなー……。四阿山の登り返しは展望なし&急登というつらい道が待っています。
急登を登り切って根子岳と四阿山山頂の分岐点へ上ってきました、すげぇ疲れた……。でもここまで来たら山頂は目と鼻の先です。
グリーンシーズンの四阿山山頂、それは御覧のような木道が山頂まで続きます。おもてなしの心だ……。
四阿山、霊山の名残を探して
午後1時00分、四阿山山頂。
木道を登っていくと四阿山山頂と書かれた木柱と社が二つ現れます。一番高い所に鎮座しているのが信州祠と呼ばれるもので、信州側(南側)を向いています。少し下がった場所に群馬側(東側)を向いた上州祠もあります。
山頂は白山権現を祭っていて、往時は群馬と長野の県境である鳥居峠から参道が続いていました。
菅平牧場から登ると修験道の霊山らしさを全く感じることがないまま山頂に到着するが、ここは立派な霊山。鳥居峠からは約100mごとに祠が作られ、今でもそれが残っているんだって。
四阿山山頂からの景色を見ていきましょう、冬シーズンに比べるとずいぶんと印象が違って見えるなぁ……。
北部には志賀高原や草津白根山方面がよく見えます、四阿山には北からアクセスするコースもあるんだけどマニアックに感じる。東側にはギザギザとした妙義山の山々、僕は一度も歩いたことがない……。
西側に見える北信五岳に関しては、よく見たら紅葉が進んでいて山肌が黄色と緑の2色にパッキリと分かれていた。
南側には噴煙を上げる浅間山から湯ノ丸高原までつながるシンボリックな山々。四阿山と浅間山の真ん中にある田代湖がやたら目立つ……。
登山者の登頂写真のカメラマンをしていたらお礼にチョコレートをもらってしまった、こういうこともあるのね。
山頂ダッフィーを撮影したら下山しようかなという気持ちに。
四阿山山頂から眺める根子岳方面、逆ルートであの草原を歩くのもすげぇ楽しそう。
鳥居峠から四阿山へ上って、根子岳から菅平へ抜けるとかやってみたいなぁ……。
浅間山方面も中腹は紅葉、あの辺で一番刺激的な景色といえばやはり浅間山本体の紅葉かと思う。
前掛山の裾野のカラ松がすべて紅葉する様は圧巻だ。
四阿山山頂に続く木道を降りて、今度は中四阿山を経由して菅平牧場へと戻ります。
四阿山から菅平牧場へと向かうコースは中四阿山を経由するものになります。中四阿山まではそれまでとはまたちょっと違う風景を楽しめる。崩落しはがれた山肌の中に通された登山道を渡っていきます。
木々の合間から見える麓の紅葉をつまみ食いしながら中四阿山へ。
午後2時00分、中四阿山。
写真の指導票があるあたりで登山道から少しそれた場所のピークに登ると中四阿山。根子岳の笹に覆われ、崩壊しつつあるかっこいい山体を眺めることが可能です。四阿山の周回ルートでは一番最後に見ることが出来るいい景色といえます。
逆回りで歩くと最初にこの景色が見えて、最後に登るのが笹の根子岳となる。根子岳を主役として周回するなら逆回りは全然ありだと思う。
麓へと下ってくるとこんもりとした尾根道が紅葉しています。カラマツやシラカバに包まれカラフルに色づいている景色が迫ってくる。
特に中腹のシラカバ林の紅葉はすごい、こんなにシラカバがたくさん生えた山肌は記憶にないな……。
山麓に切り開かれているのは菅平の牧場ですが……結構でかい。動物の姿が全く見えないのが不思議でした。
菅平牧場と上田の銭湯を楽しむ
紅葉が美しい森を降って菅平牧場を目指します。四阿山に行く道と根子岳に行く道でいうと……根子岳に登る道のほうがきれいに整備されていたなぁという印象。
しかし、森の美しさは変わらず。午後に入り西日が差し込むシラカバの森はオレンジ色のあたたかな陽光に包まれていました。
午後3時15分、菅平牧場。
四阿山の下山はかなり早い印象があります、冬も早かったけど夏も早く降れるのね。中四阿山から登山口となった菅平牧場へ戻ってきました。往路では楽しむことが出来なかった菅平牧場ソフトクリーム、ホットミルクあたりを味わってからバス停へ向かいたいと思います。
牛が自慢の高原で食べれる乳製品は極力GET。日本全国どこのソフトクリームがおいしいのか……ちょっと詳しくなりたいものね。
登山口の小屋は古びたラジカセから流れる地元のFM放送が流れ、西日でぽかぽかとした空気に満たされた癒しの空間になっていました。
もちろん注文はソフトクリーム、牛乳の味が濃くこれぞ高原牧場で作られるソフトクリームといった感じの味わい。濃厚といった感じの感触がありました。ホットミルクも濃い感じがとても良い……。
おなかにずしーんとくるミルクでした、バターと砂糖いれて飲みたい。
菅平の牧場を出発し、朝登ってきたあの一直線に刻まれた道を降っていきます。歩いてみて思ったのは降りのほうが足が痛くなること。そして……降りだと長く感じる。
ウルトララプターIIですが降りだと左足の小指側が少し当って痛いんだよな……。
午後4時00分、菅平ダボスバス停。
バス停に帰ってくる頃には日が沈みかけていました。気温も下がり始め少し肌寒い、フリースを着てバス停の中でのんびりとした時間を過ごしていて思ったのですが、向かいのお土産屋さんって営業していたのかも??
気が付いた時にはバスが到着し、女神のおしりを眺めながらバス停を後にすることに。
バスには……俺しかいない!?公共交通機関で四阿山に来たの俺だけだったの!?
午後5時55分、宮桜の湯。
新幹線で四阿山アクセスってほとんどいないんだなぁと思ったバス停。バスに1時間ほど揺られ上田の駅まで戻ってきました。アクセスの費用を考えると一人自走と新幹線だとそんなに変わらないんだけどな。
電車勢だと風呂の自由度がないと僕は最初考えていたのですが、ところがどっこい……町中の銭湯とかは公共交通機関で来ないと楽しめないんだなぁと知りました。
というわけで上田駅から歩いて、町中にある昔ながらの銭湯である「宮桜の湯」で身も心もきれいさっぱり、汗を流した後には牛乳と缶ビールをキューッと飲み干し最高の気持ちに仕上がりました。
この時のために山を登っていると錯覚するくらい気持ちがいい、マジで最高に気持ちがいい。公共交通機関で登りに来て風呂上がり……できれば銭湯でキューッと飲む、めちゃくちゃエモいのだ。
温泉ではなく銭湯のエモさ、それは翌年23年の春に歩くこととなる荒島岳で改めて発揮されることになります。夜行バスで縦走する荒島岳、越前大野で入る古びた銭湯……銭湯+酒+登山、大人の休日が完成します。
午後7時00分、上田駅前。
歩いて上田駅前に戻ってきて驚いたのは、駅前がかなりにぎやかなことでした。飲み屋街には普通に人が多いし、若い方々が立ち飲みなどでにぎわいを見せていました。全然田舎じゃないじゃん!都会じゃん!!と思ってしまった上田駅。路地裏にある上田名物肉うどんの中村屋さんで超ボリュームの肉うどん天丼セットを食べ、量が多くてちょっと後悔してから新幹線で大宮へと帰るのでした。
新幹線に乗って1時間で大宮についてしまうので、新幹線内で酒を飲むのも忙しかった……。大満足だよ四阿山。
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