2022年5月4日、新潟県は佐渡島にある一大登山コース「ドンデン山~金北山縦走」を楽しんできました。
関東勢的にはGW登山の穴場ともいえる佐渡島、鹿が生息していないが故に育まれた花の天国が広がる超お勧め登山コースになります。全国的に混雑するGWシーズン、登山も例外ではなく多くの山荘が予約合戦となり頭を抱える登山者も多い事でしょう。
このドンデン山~金北山もドンデン山荘に泊まれないとキツイ!という側面はあるかもしれませんが、それを打ち破る秘策も用意されている素晴らしい場所でもあります。必殺避難小屋泊を繰り出すことが出来ますので、佐渡行の船にさえ乗ることが出来れば……徒歩でも登れちゃうんだなこれが。
特に関東在住でGWの登山予定がぎりぎりまで立てられなかった方には救いの登山スポットになる可能性がある佐渡島、今回Redsugarでは直前に予定が空いた関係で……ドンデン山荘予約なし!佐渡島内何も予約なし!で突撃してきました。
家族の予定が、実家の予定が……と直前になるまで予定がわからない関東圏の妻帯者登山者の方は是非参考にしてみてください。
二日目の記事はこちら
ドンデン山~金北山縦走について
海の国道!いざ佐渡島へ!
2022年5月4日午前5時45分、新潟港。
おはようございます、車中泊で全くといっていいほど眠れませんでしたRedsugarです。
2022年のGWは若松観音から始まり、山寺、温海嶽、そして佐渡へと渡り金北山を目指します。
今回の記事は記念すべき佐渡島1泊目……ということで新潟港から佐渡へ向かって海の国道へと向かいましょう。
いやー、新潟港の駐車場で寝てたんだけど身体バッキバキだわ……、船で改めて寝よう。
新潟港の券売機でカーフェリーのチケットを購入し、佐渡島の両津港行き始発の船に乗船します。
船を使って登るっていうのは中々ない、当ブログだと……利尻山くらいでしょうかね?船使って山に行くなんて全然記憶にないですよ。
船に向かうのが滅茶滅茶雰囲気が良かった、すっごい旅行している気分になれる!
船に乗船したら……なんかめっちゃデカい犬がいる!!!どうやらペットも乗れてしまうのかこの船は。
一番グレードの低い部屋を取ったのでもちろん雑魚寝、往路は空いてたんだけど……復路は座る場所なんてなくてですね。
寝っ転がれる往路ではしっかりと睡眠をとることを推奨いたします。
船の中には催事場とかもあります、乗船時間はそんなに長くないけど豪華な船なんだなこれが。
カメラを片手にうろうろすると結構楽しい場所だなぁと感心。
新潟の街を眺めながら我々は佐渡へと運ばれていきます。
国道350号線……日本は島国で海で結ばれている場所もあるというのを改めて思い知らされる看板。
北国出身で関東に住んでいるとまずこんなこと考えないよなぁ……、小笠原とか瀬戸内だったらこういう感覚はあるのかもしれないが、丘っこ(内陸の人)には新鮮な感覚。
車の中で寝れなかった分、船内では気絶といっていいレベルで即落ちしてグーグー寝てしまいました。
気が付いたら船が佐渡島に着くよっていうことで、慌てて起きて下船。港を歩いていると船長が手を振ってくれていた。
船乗りに見送られるってなんかすげぇ風流だなぁ……これ。
佐渡島の両津港に到着したらまずはドンデンライナーの乗車券を購入することになるのですが、この売り場がめっちゃわかりにくい、乗車ぎりぎりまで売り場を探し回ってしまった。無事に乗車できたのでアオネバ登山口へと向かいます。
下船したらすぐに係員さんにドンデンライナーの切符売り場はどこですか!?ってとにかく聞いたほうがいい。場所がわかりにくいので自力で探すのはお勧めしません。
アオネバ登山口へ向かう車内でもまた寝てしまいまして……佐渡島の景色を楽しむはずが気が付いたらアオネバ登山口に居ました。俺としたことが……前日の温海嶽と新潟までのドライブと車中泊が大分効いてるらしい。
20代なら全然問題なかったが、35歳を越えると睡眠に関してはマジでダメージがキツイ。
花の楽園アオネバ渓谷
午前9時25分、アオネバ登山口。
アオネバって変な名前だなぁとか思いながら登山口へ降り立ちました。名前の由来は尾根から出土する青い粘土から。
佐渡島縦走の定番登山口で、スプリングエフェメラル(春の妖精)を食べる動物がいないことでこの時期は花の楽園となる登山コースでもあります。
佐渡島には目立った大型哺乳類がたぬき位しかいないとか、鹿猪狐の類は居ないんだとさ。
アオネバ登山口周辺は清流がジャバジャバと流れています、標高1,000m前後の山なはずなんだけど……冬の豪雪がこの豊かな水と森を生み出しているのか……と感心する。
マジで水がきれいなんだけど、地面も奇麗なので2倍増しで美しい。
登山口から少し足を踏み入れただけで花、花、花!!!ニリンソウイチリンソウイチゲ……、春の花がいろんなところに咲いているよ。
真っ青なシダとお花に彩られた新緑の森、その中を突っ切る登山道はウッドチップが敷き詰められたように歩きやすい。
イワカガミやシラネアオイがどこにでも咲いている。シラネアオイって春の花だけど本当に旬が短いイメージがある花だ。ここ佐渡島では超潤沢、どこでも見れちゃう感じ。
花もすごいが渓流も大変美しい、可憐な花と苔むした地面をキンキンに冷えた清流が勢いよく流れていく。
渓谷というだけあって沢筋が幾重にも走っていて、水を眺めているだけでも楽しくなってしまう。
少し歩けば草木の合間から滴る水を楽しめてしまうものだから、中々歩く速度が上がらない。
とはいっても、今日の目的地であるドンデン池避難小屋までコースタイムは3時間程度、十分ゆっくり歩いてもおつりが来てしまう。
佐渡島1日目の良い所は初日のコースタイムの短さだ、新幹線で新潟に来てお昼に入山しても全然イケる。
この様子なら山頂部にはまだ伸び始めのコゴミとかがあるんだろう。
渓流と花を眺めながらのんびりと写真をとりながら、山の空気を全力で味わいながら歩く、至福。
アオネバ渓谷の渓流は青い、色だけで言うと西丹沢の畦ヶ丸とかあの辺の川の色に似ている。川底が黒くないからすっごい奇麗に見えるのだ。
いたるところにニリンソウが沢山……もう花が多すぎて何が何だかわからない。
これだけの群生が見られる場所はあるかといわれると……僕の登山経験だとあんまり思い浮かばない。北関東で有名な三毳山の最大群生地がアオネバ渓谷ではずーっと続くレベルで花が咲いているのだから。
ニリンソウやイチリンソウ、スミレの仲間やシラネアオイがどんなところにも咲いている。
そして、それがまた結構な群生でびっくりするんだなこれが。
普通の山ならレアなシラネアオイもここではコモン扱いである。
高山植物の女王コマクサも北海道に行けば平地で咲くのだが、そんな感じでシラネアオイがどこでも咲いてる……。
登山道わきに咲くシラネアオイの群生を楽しみながらアオネバ渓谷をマトネ分岐に向かって登っていく。
本日の到達地点は標高900mちょいということもあって、全然登りも急じゃないのが驚くところ。アオネバ登山口が標高300mくらいの場所だから、600m登ればオッケーと考えると簡単でしょ?
ドンデン山荘を目指す登山客はみんな花を楽しんでいるので歩く速度が中々上がらないようだった。
これだけ新緑が楽しかったらそりゃ仕方が無いですわ。
午前10時50分、ユブ到着。
アオネバ渓谷は変わった名前の中継地点が多い。
この後マトネっていう場所が出てくるんですけども、佐渡島は名前が独特な場所が結構あるらしい。
シラネアオイも場所によって紫の濃さが違ったりする。薄紫の花の場所があれば、写真のように濃い紫の場所もある。
写真の中を見てもいたるところにシラネアオイが咲き乱れる、アイヌネギみたいなやつも道中生えていたり……。よく見てみたらバイケイソウなことがほとんどなんだけども、島のどこかにはアイヌネギもあるらしい。新緑時期のアオネバ渓谷は本当に天国である。
標高を上げると現れたのは春の女王カタクリ。アオネバ渓谷の中腹から先はこのカタクリ天国がドンデン山荘に至るまでずーっと続く、足元はピンクや紫でとても賑やかになるのだ。
中腹から先に進むと渓流もだいぶ細くなってくる、もうすぐ尾根に出る合図だが花の勢いは止まらない。
カタクリ、キクザキイチゲといった花々に覆われた色とりどりの地表を存分に楽しみながら歩くことが出来るアオネバ渓谷。
ドンデン山荘、佐渡を見渡す展望の宿
午前11時45分、マトネ分岐。
アオネバ渓谷を登り続けてマトネへの分岐路に出ました、ここは金北山縦走路の道中。
明日の縦走の際はここをマトネ方面に向かって歩いていくことになります。今日はドンデン山荘へ向かって歩く感じ。
残り2.3キロと書かれているけどそんなに歩いたか……?
こっから先はかなり短時間でドンデン山荘に着いた覚えがある。
尾根に出ると予想通り食べごろのコゴミが沢山生えていました、マヨネーズと醤油とコッヘルがあれば茹でて食べれそうです。あとザゼンソウもいたるところに自生しています。
尾根の上ではカタクリが至る所で踊っている、アオネバ渓谷中腹ではシラネアオイが沢山咲いていましたが……金北山縦走路の尾根道の主役は間違いなくカタクリ。見渡す限りに紫の花が咲いている。
こんな感じで斜面の上には紫に輝く群生地が沢山ありまして、ドンデン山荘にたどり着くまで全く飽きることがありません。
春の花を楽しむ……その集大成としてGWの佐渡島は相応しい場所である。
尾根道を歩き続けると車道に合流、ドンデン山荘に宿泊する場合はドンデン池経由で歩きましょう。
ドンデン池避難小屋に泊まる場合は車道を歩いてドンデン山荘経由で。
この車道めっちゃ見晴らしが良くて、途中遥か彼方の金北山を拝むことが出来ます。
ちょうどハイキングを楽しむ老夫婦が金北山を眺めているフォトジェニックな景色に出会うことが出来ましたとさ。
佐渡の山々は新緑に彩られて、所々に萌黄色の木々がぽつぽつと……。標高1,000m級ですけど雪が結構残っている、さすが新潟県。
午後12時25分、ドンデン山荘到着。
多くの佐渡島縦走登山者が宿とするであろうドンデン山荘に到着しました。普通大佐渡山地縦走といえばこのドンデン山荘を利用するのが定石です。しかし……コロナ以後は予約を取るのも大変で、特にGWの登山シーズンともなればテントの予約も至難の業です。ドンデン山荘は強風が吹き荒れる場所でもあるので、テント場が使用できない時があるのです。
GWのドンデン山荘はテント場も団体客で埋まっていることが多い、というか僕は最初テント利用で縦走をする予定だったのだが、団体客でテント場を予約することもできなかったのです。
しかし、この佐渡島にはドンデン池避難小屋という最終兵器があります。忙しい上に先の予定が中々見えづらい子育て30代の方などは安心してドンデン池避難小屋を利用してこの縦走路を歩いてほしい。
ドンデン山荘からは佐渡島の入り口、両津港が丸見えです。こうしてみるとかなり近い。
事前の調査時には結構両津港からアオネバ登山口まで歩いている記録があったんだよね……、やる気になれば歩いてドンデン山荘までやってきて、下山後路線バスで帰ることも可能なのが佐渡島の凄い所です。
ドンデン山荘でいったん休憩、ということでソフトクリームで一休み。
普通のソフトクリームでした、スジャータ系っていうのかな……。牧場系の牛乳の脂肪分を感じるようなコクがあるタイプではない普通のバニラソフトっていう感じ。ここではコーヒーを頼んで景色を楽しみながら悦に浸るのが正解なんだと思うよ。
爆風の尻立山とドンデン池避難小屋
午後1時40分、ドンデン山荘から避難小屋へ。
山荘でのんびりとした時間を過ごしたので、尻立山を経由してドンデン池避難小屋に寝床を作りに行こうかと思います。で、ここで問題発生……めちゃくちゃ風が強い。
この稜線の写真、標高が低い山なのに稜線部が草原になっているのがわかるだろうか?気持ちよさそうな稜線だと思うのだが、この日はマジで風が強くて稜線に上がると風で一気に体温を持っていかれてしまうのだった。
尻立山周辺では体重67㎏の僕が前に進めないくらいの風が吹いていた。草原地帯は斜面の向きの問題でやや風の影響を受けにくいようにはなっていたのだが……何も風を遮るものがない尻立山山頂は本当に標高940mなのか?と思えるような風速。
以前幌尻岳登山の前半戦で風速20mを越える風の中で耐風姿勢でしばらく耐えることがあったけど……この尻立山も撮影のために立つことが不可能で山頂部では四つん這いになって進むしかなかった。問題は尻立山からドンデン池への下りだ、マジで生きた心地がしなかった。
突風吹き荒れる尻立山山頂直下の足場がやや悪い所は生きた心地がしなかった、やや降ると風も弱くなり普通に撮影が可能な状態に……。標高940mだからといって舐めてかかると恐ろしい目に合うんだな、というのが良くわかった……海風怖い。
目の前に見える赤い屋根のお家が本日のお宿「ドンデン池避難小屋」です。
ドンデン池避難小屋周辺は牧草地帯になっていて、非常に開放感があります。この分岐案内がある場所は海からの風の影響もそんなになくて、歩きやすかった覚えがある。
夏場はここに牛が放牧されてるんだとか。足元にたまーにボコっとしたものがあったんだけど、あれはもしかして糞?
ドンデン池避難小屋の周辺には水芭蕉が自生している湿原地帯もあって、風光明媚な景色が広がっています。
こちらが本日の宿泊地、ドンデン池避難小屋になります。この小屋の特徴はトイレは無いのだがよく整備されていて、GW時期はストーブを使うことが出来たり、畳の上に敷くことが出来る毛布がたくさん用意されていたりするところ。
避難小屋泊に慣れているのであればドンデン山荘よりもこの避難小屋を推す。ちなみにGWの佐渡島は混雑していたんだけど、この避難小屋を使っていたのは僕を含めて二人だけだった。
ほぼ貸し切りのドンデン池避難小屋、毛布は奇麗に整備されていたんだけども……今回は使わなかった。
というのも山と道のミニマリストパッドを利用するにはちょうどいい場所だと思ったから。
ドンデン池避難小屋から周囲を見渡す、木が生えていない稜線地帯がちらほらと見える。強風地帯だもんなぁ……。
北側の金剛山方面も結構剥げてる、そしてアップダウンもあってなかなか険しそうな感じがした。
写真だと風の強さなんて基本伝わらないのだが、このドンデン池の水面をにぎやかにしている波を見ていただければ当時の状況がわかるだろうか?湖畔に立ってるとずーっとジャバジャバと波音が聞こえる、ビュービュー風が吹く音といい……とにかくここは寒くて大変だった。
こういう時にウィンドブレーカーは役に立つ、EXライトウインドジャケットとかそういうのを持っておくのが吉。
ドンデン池避難小屋の近くの牧草地を登っていくと輪天山というピークに出る。ここも尻立山に比べると風が穏やかで、日差しの影響もありポカポカ陽気を楽しむことが出来ました。
輪天山の指導標に記載されている和木登山口方面っていうのは一応縦走路の一番北側の入り口にあたるようだ。
大佐渡山地の杉の名木を楽しむ遊歩道を経由し金剛山を越えてここまでやってくるらしい。
ドンデン山~金北山縦走は大佐渡山地の中間地点から南に向かって歩くコースだが、この縦走路はもっと北側からつなぐこともできる。
避難小屋に寝床も作ったことだし、撮影をしながらドンデン山荘へ行って風呂に入ることとします。
いやー、午後の日差しの中で輝くカタクリは大変かわいらしい。ていうかタンポポみたいにどこでも見れてヤバい。
たまーにカタクリ以外の花を見つけることが出来るのですが、思わずそっちに目が行っちゃう。
春の集大成として花を見たい!ということであればこの大佐渡山地縦走は超おすすめです。
ドンデン山荘の風呂に入り、避難小屋で夜を過ごす
午後4時00分、ドンデン山荘にて入浴。
避難小屋から山荘まで最短ルートは尻立山経由で歩くこと、午後遅くになるにつれて風が一応弱くなってきていたので無事に山荘に到着……。この佐渡島縦走最大の良い所はドンデン山荘の風呂だよなぁ……、この風呂はマジで気持ちが良かった。
入浴後はノンアルで乾杯、生ビールを飲んでも良かったのだが、帰り道が暴風だと嫌だなと思ってここはセーブ。
でも最近のノンアルは美味しいので、これはこれで気分を上げるには十分だったりするよね。
ドンデン山荘から出るとあたりは夕方という雰囲気、日も傾いて非常に雰囲気がいい感じ。
しかもありがたいことに風もだいぶ和らいでいたので、楽しく撮影しながら避難小屋へ帰ることが出来ました。
春の夕刻、輝く新緑を撮影するのは楽しいものよ。
そんなわけで夕刻の尻立山を越えて避難小屋へ、えーと……俺は今日結局何度この尻立山のピークを越えたんだろう?
さすがに翌日の金北山縦走の際は尻立山を歩くことはありませんでした。
日本海に沈む夕日を楽しんだ後は即★就★寝です。山にいると20時前に基本就寝、これが慣れてないと中々眠れない。
だが、登山をたしなんでいると不思議なことに、翌日2時とか4時に起きると思っているとなぜか身体が眠くなるようになってくる、本当に不思議である。
というわけで、避難小屋の畳の上に山と道のぺらっぺらのミニマリストパッドを敷いて、ダウンハガー3に潜り込んでこの日の登山を終了とするのでした……。
翌日はついに金北山縦走、なんだけどー……あまりに寒くて夜中に起きたときはマジで怖かったね。幽霊出そうな避難小屋なんだもんね、いやー……マジで怖かったわ。
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