2022年10月26日、新潟県は南魚沼にある紅葉の名山「金城山」を歩いてきました。
標高は1,369mで山頂からは巻機山の大パノラマや、紅葉した越後の山々の稜線を楽しむことが出来る秋に一押しの山です。関東の方に特におすすめしたいのは「新幹線で行く金城山登山」です、紅葉時期の南魚沼といえば本気丼の時期なのでご飯と酒を考えたら絶対に公共交通機関で訪れたい一座なのです。
電車で訪れれば楽しいこと間違いなし、という金城山ですが交通アクセスの時間設計が少し難しい山でもあります。
今回の登山では多少の無理はありましたが、新幹線とバスのみで金城山にアクセスし紅葉を楽しみます。
そして下山後は南魚沼の美味しいお米を使ったご当地かつ、その1年限りの限定メニューであふれる本気丼を味わいます。
公共交通機関のカタルシス!紅葉の絶景登山!登山後の風呂!新潟のお米!ビール!とすべてが備わったパーフェクト登山をお楽しみください。
金城山新幹線登山はマジで楽しい登山です。紅葉時期になったら狙ってみて!本当に損はしない、アウトドアと食が備わった一日を作れます!
新幹線で行く金城山紅葉登山の概要
上越新幹線で行く南魚沼金城山
2022年10月26日午前7時00分、上越新幹線車内。
おはようございます、Redsugarでございます。
早朝の上越新幹線「とき」車内です、22年度は「とき301号」という始発を利用しています。ていうか新幹線登山をするときは始発じゃないとどこもアクセスが出来ない。
でも新幹線の始発は発車時刻が6時台ということで、本当に朝が優しいなと思います。
あぁ、車窓から見える赤城山がきれいだなぁ……。
深夜にモンスターエナジーをキメて高速道路をひた走る自走登山と比較すると体力と眠気的にすげぇ楽なのが新幹線登山。しかも帰りにお酒が飲めちゃうからね、最高だね!
午前7時30分、越後湯沢駅前。
新潟県で新幹線登山となればまずは越後湯沢にやってくることでしょう、バスがあるからね。
「あれ、今回の山は六日町駅から向かう山じゃないの?」と思われる方がいるかもしれませんが、新潟県の公共交通機関の接続状況には罠があるのです。
新幹線乗り入れ駅に接続する普通電車、新幹線乗り入れ駅に接続するバス、という二つを探っていくと南魚沼エリアはバスの利便性が高いのです。金城山や巻機山につながる六日町発清水行のバスも越後湯沢から六日町に行くバスに乗ると接続できるんだけど、電車だとできなかったんですよね。
というわけで越後湯沢で電車を降りて、ここで六日町行のバスに乗車します。越後湯沢と六日町間をバスで移動すれば清水行に乗れる。
越後湯沢から六日町へ向かって走るバスには意外に乗車客がいました。通勤や通学の方々を観察しながら僕の目は自然と外へ。刈り取られたばかりの水田とそのど真ん中に立つ大きな家々、米どころらしい景色を楽しみながら駅を目指します。
駅に近づくにつれ緊張感が高まってきました……、この登山コース最大の難所は六日町駅前角バス停で降車後にあります。登山口へ向かう清水行バスの待つ六日町駅前バスロータリーまではちょっと距離があるからです。
午前8時15分、六日町発清水行バス乗車。
8分にバスを降りて、15分に発車するバスに乗らなくてはなりません。8分に降りたと言ってもすぐに9分、あと6分しかねぇ!!駅角バス停から駅前までは結構距離があるのでここで全力ダッシュ!写真を撮る余裕もなく六日町駅前に停まっている清水行バスに何とか飛び乗ることが出来ましたが……結構ぎりぎりだった覚えがあります。
バス発車後、咄嗟に時計とカメラで現在時刻を記録してしまった。
清水行バスは六日町駅前のバスターミナルにいます。駅前角のバス停を降りたら駅まで走る一本道を駆けて駅前バスロータリーへ。ここはガチで走ったほうがいい。
バスに乗ればもう安心です。水田が広がる長閑な景色の中を進むバスはどんどん人里を離れていきます。窓から見える水田脇にたたずむ田舎を纏った景色を楽しみながらひと時の癒しタイム。
午前8時30分、越後上田郵便局前。
バスに揺られること15分ほどで登山口最寄りの越後上田郵便局前に到着しました。
この距離ならバスを逃してもタクシー使って1000円くらいで来れそうだなぁと思う場所にバス停がありましたよ。
越後上田郵便局前バス停からは観音山登山口のある槻岡寺までは20分ほどの車道歩きとなりますが……長閑すぎて最高に癒される景色に圧倒される。なんだよ農産物無料交換所って、収穫した作物を農家さんが交換する場所なのかな?
軒先に釣り下がった柿が記憶に刷り込まれた日本典型ともいえるノスタルジックな感情を呼び起こす。こういう景色は無くならないでほしい、残っていてほしい古き良き景色だなぁ……と私は哀愁を感じておりました。
山に囲まれた盆地である南魚沼エリア。広がる田畑と山々に「里」を感じてしまう。
日本昔話的なもので刷り込まれた景色ってこういう里だったなぁ……、そしてそれは北海道にはなかったんだよなぁ。
午前8時50分、金城山登山口。
バス停から歩いて本日のスタート地点、観音山登山口へ到着。
槻岡寺(きこうじ)のお隣にあるこの登山口ですが、金城山登山では最もメジャーではないだろうか。他のコースはアクセスの関係でなかなか関東からの人間には登りにくいと思う。
この登山道、途中までは歩きやすいが5合目付近から本気を出してくるので気を付けてほしい。鎖とロープと粘土質地面のワンダーランドだ。
金城山はそんなに優しい山ではない。ということで登山前にアミノバイタルゴールドをキメて登山を開始します。
鎖と落葉に彩られた秋の登山道
まずはこぶし遊歩道を歩いてお寺の上の山を歩いていきます。登山口に石仏観音と書かれた板がありましたが、道中には石仏が定期的に配置され、修験の場所であるということを教えてくれる。
二合目までは本当に遊歩道的な感じで気軽に歩いていけました。二合目を通過してからが登山道の始まりといった感じ。
二合目にあるちょっとした広場から山頂方面を見上げると、黄色を中心とした黄葉が山肌を包み込んでいるのがわかる。今からこの中を歩くのかぁ~と期待が膨らみますが……実際歩いてみるとかなりきつい道だった。
金城山の北側には坂戸山という山が見える。こちらはイワウチワやカタクリの群生が有名なんだけど、歴史や城好きな人のほうがピンとくる部分が大きいかもしれない。歴史的に有名な山城が築かれた場所でもあるので。
二合目を越え、登山道が本気を出してきたところで気が付いたんだけど…この山地味に怖い。
新潟特有の足元のべとつきというか、地面が粘土っぽい所や露出した木々の根も湿っている、普通に滑りやすい道なのだ。トラロープや鎖が沢山用意されているがその理由も納得がいく、標高は決して高くないが……この山は気をつけないとケガをする。
午前10時15分、五合目。
五合目までたどり着くと黄葉は勢いを増して周囲には金色に染まった景色が次々と現れる。
ここから先が金城山の楽しいところ言わんばかりの景色だが、相変わらず足元の様子はちょっと恐ろしい。
トラロープが釣り下がった道は斜度がきつい代わりに順調に標高をあげていくことができる。五合目から七合目まではそんな時間もかからずに登ることが出来た。補助がつけられたきつい坂を登りきるたびに金色に輝くブナの木々が登山者を出迎えてくれる、素敵だなぁと思える景色。
山頂についてこれを見下ろすとどれくらい綺麗になるのか、この段階では想像もつきませんでした。だって足元の様子がかなり悪くてそれどころではなかったから……。
足元は濡れた落ち葉、その下に粘土っぽい土と濡れた岩肌と滑らす気満々な感じ。靴底にシャンクが入っていないやわらかいタイプの登山靴だとこの山は苦労しそうと事前に察知していたので、LOWAの靴で来ましたがこれが大正解でした。
振り返ってみれば金城山の尾根道の紅葉が目の前に広がります。そしてこの盆地の水田の多いことよ……。
九合目に近づいてくると観音山登山道の名物大崩落が現れます。斜面がスパッと切れて無くなっている崩落で、それはまるでメスか何かで山肌をきれいに切り抜いたかのよう、山の断面図めいた光景が見られます。
九合目付近からは巻機山へ向かって登っていく山肌の紅葉がよく見える。雲の隙間から差し込む日差しが時折黄色に染まった山肌を見せつけてくれる。
山頂手前についた時点で金城山最大の見せ場がやってくる。
稜線から望む越後の稜線の姿が!!!三段紅葉しているようです、やったね!
この景色を見れたときに苦労して登ってきたかいがあったと思えました……。ちなみに目の前に見えているのは下津川山と小沢岳じゃないだろうか。正規のルートは存在しない、アルパインの方々が行く場所というイメージの稜線だ。
午前11時55分、金城山山頂。
登ってみると事前情報よりもかなり大変な山でした、鎖やロープが多いこと以上に足元が信用できないのでふくらはぎがパンパンです。見下ろすと盆地に食い込んだ坂戸山の景色がくっきりと見えます、往来が激しかったであろう盆地の街道を見下ろす要衝だったんだろうなぁ。
見上げると巻機山の山頂方面がよく見える。割引山の向こう側、穏やかな笹の草原が広がっているであろうビロードみたいな山肌の部分が巻機山山頂部分です。どうやら雪がついているらしく山肌の一部が白くなっていますね。
これは三段紅葉といっていいのではないか、審判!!これは三段紅葉じゃないの!?
金城山山頂から避難小屋まで移動する際中、山頂の岩場には石塔をいくつも見ることが出来ます。八海山神社って書いてあるけども御嶽信仰の普寛行者が八海山を開いており、金城山も関係ありそう。これはもしかしたら霊神碑みたいなものだったのだろうか?
黄金色の紅葉輝く金城山山頂
山頂から避難小屋方面へ移動していくと金城山山頂部の岩稜と紅葉の作り出す錦秋の秋らしい景色が目に飛び込んできます。
うぉ~! あ、秋ぃ~!これは秋!!!
ぴょこんと飛び出した岩場の周辺は紅葉が溜り、赤や黄色といった色の海の中で岩が立ち上がっていました。
午後12時15分、金城山非難小屋。
山頂から20分ほどで避難小屋到着です、金城山は山頂からの景色もいいけど、この避難小屋からの景色も良いのです。
なので、この山頂の稜線部分に1時間ほど滞在して景色を堪能することにしました。
まず避難小屋方面から見える素晴らしい景色はこちら。
山頂の厳つい岩と紅葉の織り成す景色、やっぱり岩と紅葉は相性がバッチリです。雲と太陽が刻一刻とその岩肌と紅葉の表情に変化を与えるのですが、それを見ていて全く飽きることがありません。
避難小屋の前から山頂を眺めつつうろうろしてみると……やべぇところに鎖がついてる。どういうルートを辿るための鎖なのかはわからない(登山者は崖側ではないところを歩いて避難小屋に来るため)
中腹の山肌を見ると黄色や赤とカラフルな色が目を楽しませてくれる。
太陽が雲から顔を出すと同時に明らかになる下津川山方面の後継は素晴らしいの一言。向こうは谷筋に雪がしっかりと見えますね、中腹も赤いから今時期登っていれば楽しい登山が出来そう。
大きな雲が流れていく越後の山々、シュールな雲の形だったので思わず撮影。
金城山の稜線から遠く越後の稜線と雲が浮かぶ青空はイメージ通りの「錦秋の秋」ではないでしょうか?
紅葉時期はどこも美しいとは言いますが、新潟方面の山は特に美しい印象がある。
雲が流れ山肌に影を落とすと浮かび上がる紅葉に隠れた岩の山肌。谷川を越えて新潟エリアまでくると山の雪深さが一段違います。雪が削った山肌の様相をじっくりと観察してみると、その他のエリアとの雰囲気の違いを感じとれて面白いのではないかと。
午後1時10分、下山開始。
金城山山頂からまだまだ紅葉を眺めていたいところですが、中々厳しかった登山道は降りるにも時間がかかりそうです。最後に巻機山を見上げ、黄金色に染め上がった山の景色を堪能して下山に移りたいと思います。
肉と酒が呼ぶ、南魚沼の本気丼を求めて
鎖と虎ロープがたくさんある金城山なので下りは早いです、というか気が抜けませんでした。
九合目から五合目までは鎖を握りつつ急坂を駆け降ってきたけど本当に大変だったもんよ……。金城山は下りのほうが大変です、足元がとても滑りやすいので……。
紅葉地帯を抜けて大きな垢松が見える三合目付近まで戻ってきたらもう終わりです。槻岡寺周辺はやっぱり木々がとても立派ですね、金城山の豊かな紅葉も杉の植林が最低限で済まされているからこそだと思う。
午後3時10分、槻岡寺へ下山。
下山コースはお寺へ降りる道を利用しました。こちらのお寺は「きこうじ」っていうんですけども1,600年あたりから歴史を紡いでいる由緒正しいお寺。境内の雰囲気も良いので下山時に立ち寄ってみるのがお勧めです。
気をつけたいのがバスの時間です。
観音山コースをコースタイムで歩いていた場合は下山時間とバスの時間がかなり近いはず。特に14時のバスに乗るならここからは少し急がなくてはならない。
午後2時30分、金清坊バス停にて14時28分発バスに乗車。
槻岡寺を出る際にバスの時刻を調べて思わず「げぇっ!」と口から声が出ました。登山口時点で時刻は14時15分、越後上田郵便局へバスが到着するのは26分なのでもう時間がありません。急いで地図アプリでバス停までの所要時間を確認したら……最寄りのバス停は「金清坊」で、片道10分くらいって出てる。
これはガチで歩けば行けるかもしれない!!
山と高原地図的には越後上田郵便局前がスタート地点だったけど、観音山登山口に一番近いのは金清坊バス停らしい。これもしかしたら乗れるかも?というわけで頑張って歩いたら乗れました。
無事に14時台のバスに乗って六日町へ戻ってこれました(バスを逃したら六日町まで歩くつもりだった)、よかった!
駅の近くには六日町温泉「湯らりあ」があるのでそちらで入浴、風呂上がりの牛乳をキメて登山終了とします。
これがあるから登山はやめられねぇ……、登山後の風呂の快感は何ものにも代え難い。
風呂を出た後は本気丼で一日の最後を彩る酒と肉と行きたいところですが、開店まで少し時間があったので駅前の通りを歩いて魚野川までやってきました。南側に目をやると本日歩いた金城山が夕日で赤く染まっています。今日の最後を締めくくるなんともエモい景色に大満足。
山と夕暮れを楽しんだ後は今日のラストゲームとなる本気丼です。22年度は「grill and wine じゅー」さんの本気丼をいただくことにしました。目的は「牛トライアングル丼」です、ローストビーフにホルモンにレア牛タンが生み出すハーモニーを味わってみようじゃないですか。
到着してまずは最初に生ビールで勝鬨です、金城山の山肌を彩った黄金色の紅葉のように金色に輝くビールを口いっぱいにほおばりのどを潤すと、心の底から「美味い……」と言葉が漏れてしまいます。
そしてやってきたのが牛トライアングル丼、牛肉の織り成す魔笛のようなハーモニーが登山後の体に染み渡る。活きたカロリーが疲れ切った身体を癒し、筋肉が雄たけびを上げる様に全身が震え上がる味がします。
特製ダレが舌先に触れたとき、塩気の奥に油の甘みや濃厚なコクがぶぁ~と広がります、気分は孤独のグルメです。
実際にソロ登山後のソロ飯だから孤独のグルメだと思う。
このローストビーフが本当にうまかった……、とろけるような肉の舌触り、特製ダレのうまみの後にやってくる肉汁とまた食べたい本気丼です。紅葉シーズンに訪れる南魚沼では本気丼は外せない。
いろいろな店が参加する本気丼シーズン、登山後には各々自分が一番食べたいお店に行ってみてください。
登山で絶景を楽しみ、風呂で疲れを癒し、酒と肉で一日を最大限遊びきった気がします。公共交通機関登山ということで帰りも楽しかったのが重要でして、ローカル線で越後湯沢駅へ向かう道中も旅感に溢れていました。
ビールとつまみを片手に新幹線へ乗り込み、人もまばらな車内で心地よい揺れを感じながら飲む酒は至福の一杯……。
旅の戦利品ともいえる写真を一枚一枚確認しながら、金城山登山の一日を振り返るのでした。
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