2021年8月20日、福島県檜枝岐村にある標高2,133mの日本百名山「会津駒ヶ岳」を歩いてきました。
夏山とは早いもので、お盆が明けるとなればすでに秋の足音が聞こえ始めます。
7月の花が終わり8月の花が咲き始めたら秋はもうすぐそこと……夏山の季節って本当に短いのです。
夏山をもっと楽しみたいという欲求が非常に強かったこの時期、とにかく森林限界の景色……特に湿原が見たいという気持ちで一杯でした。
21年は高山植物の花が当たり年を迎えていたこともあり、花が奇麗に咲いていて日帰りでサクッと歩ける山を夏の最後に登ろうと心に決め、天気予報を眺め続けてたどり着いたのがこの会津駒ヶ岳でした。
遥かなる尾瀬エリアの日本百名山ですが、非常に歩きやすくコースタイムもほどほど。
何よりも山頂エリアの心地よさが特徴的です。道中の下道はちょっと長いんだけど、秘境感がたまらない檜枝岐村はちょっとした冒険感があってよいのです。
というわけで会津駒ヶ岳、今回は駒ノ大池が水鏡になっていたり、山頂のお花畑稜線が気持ち良かったりと大満足な登山となりました、ここは湿原を日帰りで楽しむのであればビギナーにも是非お勧めしたい……。
尾瀬エリアの楽しさ鉄板の山、会津駒ヶ岳へ行ってみましょう。
会津駒ヶ岳日帰り登山の概要
夏の湿原目指して檜枝岐村へ
2021年8月20日、午前5時30分、滝沢登山口。
おはようございます、Redsugarでございます。
本日は檜枝岐村といえば尾瀬、尾瀬といえば燧ヶ岳、燧ヶ岳山頂から見える山といえば至仏山と会津駒ヶ岳。
えーと、連想ゲーム的にはちょっと遠くなったけど会津駒ヶ岳を歩きます。というわけで深夜、ド深夜の東北道から真っ暗な国道352号線を走ってやってきましたよ檜枝岐村……、まーじで遠い。
深夜2時とか3時の那須塩原とか、会津高原周辺の国道は運転していてマジで怖いところだ。
駐車場に到着して準備を整える、記事を書いている際に写真を見直すんですけど……登山口駐車場の写真を見直してて思うけどSUVっていうほど多くないよね。我が家もミニバンですがSUVの走行性能が必要な登山口って意外にないんだよなぁ。
さて、駒の小屋ですが完全予約制だよっていう案内が新設されてた滝沢登山口。
会津駒ヶ岳定番のスタート地点から出発です。
ハッカ油スプレーを振りまいて虫よけ万全の状態でスタートゥ!
夜明けです、全然夜明けの時間帯といっていい。しかも山の麓ということもあり……全然光が入ってきません。
空気もひんやりとしているのでまだ汗は出にくい、今のうちにザクザク進もう。
スタート地点周辺からすでに美しいブナ林が広がる檜枝岐村、白い木肌の林立に癒される。森がきれいよ、森が。
ブナの林ってきれいだなと思う、新緑も夏も秋もずーっときれいで良いよなぁ。家の近くに欲しいわ。
会津駒ヶ岳の滝沢登山口コースは道中にスペクタクルはないです、ブナ林の清涼な空気を吸いながら全力で歩き進むとすぐに森林限界が訪れます。つづら折りをガンガン登るだけだから体力測定気味な気分で登れる。
登山道は踏み固められている、一部粘土質があるが一部。経験上はとても歩きやすいタイプの登山道。
午前7時05分、湿原ベンチ。
コースの中盤、森林限界に突入すると定番のベンチが現れます。
このベンチは対面に山頂方面の山肌と駒の小屋が見える展望スポット。休憩するにはちょうど良い。
景色が気持ちよいベンチです、朝早いと羽虫もいなくて快適。
ここで朝の珈琲とか飲んだら最高に気分がいいんじゃないだろうか。
笹原のもりもりとした山肌、穏やかな表情が会津駒ヶ岳の特徴。会津駒ヶ岳はやさしさにあふれているので稜線部も歩きやすく眺望が良い、その特徴がすでにこの山肌に表れている。
池塘が空の写し鏡に、朝早くは風もないことが多くきれいな水鏡を見れます。
ベンチから少し上ると木道が延々と続くようになります、ここから先は天国よ……。
会津駒ヶ岳のいいところはブナ林を上り詰めたらあとは木道天国になること、歩きやすい、湿原は本当に気分がいい。
ここまで来たら小屋と池がある池ノ平目指してスキップ気味に駆け上がるだけ。
時期的にはお花は終わってところどころ草が色づき始めてる状況です、お盆が終わるともう秋が始まっちゃうという山の季節の移ろいやすさ。足元の湿原はよく目を凝らしてみると……、モウセンゴケがびっしりと生えている等、とても面白い景色が広がっています。
博物館とか植物園じゃなくてリアルで見る希少植物の良さよ。
ふと顔を上げて南側に目を向けるときれいな双耳峰が目の前に……、尾瀬のシンボル燧ヶ岳を眺めながら歩けるのはこの会津駒ヶ岳のいいところ。山頂からの展望が良いので尾瀬や日光の山々に囲まれているという実感をひしひしと感じながら歩けるのが良い、ストレスがすーーっと抜けてく。
水鏡の駒ノ大池と湿原稜線歩き
午前7時30分、駒の小屋。
早く到着しすぎました、営業前……。小屋の前で木道整備の業者の方々と談笑しながら8時の営業開始を待とうかなと思ったのですが、せっかくなので中門岳まで行っちゃおうかなと、往復2時間くらいは時間使えるし。
かわいい稜線上の小屋ですが、店前の告知などを見ると本当に多彩で楽しそう。
目の前の駒ノ大池は超水鏡状態、びっくりするくらいきれいな景色が広がってます、これは一枚撮っておかねばと位置を探す。
駒ノ大池と小屋がある一帯を池ノ平というらしい。
画面左端の池のほとりには駒ヶ岳大明神の祠がある。
なんかすごい牧歌的というかスタジオで用意した小道具のような世界が広がる会津駒ヶ岳を撮影できてしまいました。
水があるところは早朝水鏡がすごいきれいなことがある、だから早朝アタックは結構お得なんじゃないかなと。
自分で言うのもあれだけど、こういう不思議な写真好きです。
駒ノ池から山頂に向かいますが、小屋番の方が書いてくれた看板がかわいい。
かわいいけど雨上がりはこの言葉の通り木道は殺人道路になる。
山頂方面に向けて一直線に伸びる木道は一部新品、スイスイ歩いて行ける。
登山というよりも遊歩道というのに近い、木道が整備されている山のユーザビリティは高い。
会津駒ヶ岳は眺望もよい、駒の小屋とこの燧ヶ岳のセットなど大自然オンリーなミニチュア感が最高。
人里離れた大自然の牧歌的な景色ってまさにこれじゃんと、見ているだけで気分が良くなる。
程よく絵面が優しいのが大事、緑に囲まれたこの雰囲気がいい。
午前7時50分、会津駒ヶ岳山頂。
山頂に到着しましたが、会津駒ヶ岳山頂は眺望はありません。
会津駒ヶ岳の本番はここから先、中門岳との間の稜線にあるのでそちらに向かいます。
山頂からすぐ東側に中門岳へと続く稜線が広がります、木道が一直線に伸びる山頂湿原は見下ろすだけで気分が上がる。
そしてこの稜線、終わったと思ってた花がまただくさん咲いてました、ラッキーですね。
ニッコウキスゲやワタスゲが咲く稜線をのんびりと歩く、池塘もたくさんあるし、燧ヶ岳はきれいに見えるし文句なし。
会津駒ヶ岳の主役はこの稜線と言っていい。
この稜線で天気がいいような感じに調整して歩きたい。
ワタスゲも全然咲いてました、高層湿原稜線を気軽に味わえる会津駒ヶ岳……とても良い。
僕からすると飯豊山の稜線の湿原や、北東北の乳頭山周辺の湿原に近い雰囲気があると考える会津駒ヶ岳。
関東から近い場所で気軽に湿原稜線を見れる場所って考えるといいところだよなぁ~。
太陽も出てきて穏やかな夏の山歩きの旅情が膨れ上がる、ガイドブックの中の住人になった気分。
コバイケイソウもしっかり咲いてました、写真だと小さな群生ですけど……大きな群生もありましたよ。
驚いたのはワタスゲ、8月の後半に差し掛かろうというこの時期でしたがたくさん咲いてました。
フワッフワのその姿を揺らす景色が大変かわいらしかったです。
池塘に映る青空、コバイケイソウとワタスゲ揺れる湿原。登山者としてハードなのはあまり好きではないRedsugarは夏の風物詩は湿原派です。ということで夏の終わりの登山を会津駒ヶ岳で楽しめて本当によかったなと感慨にふけっておりました。
中門岳、会津駒ヶ岳の楽園
午前8時20分、中門岳。
駒の小屋を出発して1時間ほどで中門岳付近に到着です、木道エリアはゆーっくり歩きたいのでのんびりしてたらこんな時間。中門岳の目印は大きな大きな池です。
近くによってみると結構大きな池塘でびっくりするんじゃないでしょうか。
中門岳のベンチまでやってくると目の前にこんな感じで真っ青な空と水鏡が広がる景色、これだぁ…これが湿原稜線の世界。お花がなくてもこの中門岳の池は見れますから、これが見れただけで大満足。
本日はお日柄もよく、風もないため湖面は青々とした空を映すのみ……。
ザックを下ろして小休憩、ここが、この稜線が私の飯の場所よ!
登山者名物のクリームパン5個入りを食べながらぼけーっとする贅沢。ランドネ的なここでコーヒー、ここでホットサンドみたいなキラキラ感は相変わらずないので申し訳ない。ただ、ここは山エンジョイするのは絶好のスポットであることは間違いない。
森のほうを眺めてみれば水鏡に森の緑が映り込んでこれはこれでいい景色。
登ってくるのにそれなりに時間はかかっているけども関東圏から日帰りでこの景色を堪能できるのは会津駒ヶ岳のいいところだよなぁと思う。
山頂でモウセンゴケを観察してたらトンボが捕食されているのを発見したり……。ダッフィーを撮影していたら後続の方々がやってきました。気が付けば結構な時間を中門岳で過ごしていた状況。道中楽しかったし気分転換にもなったなーということで、駒の小屋に帰ります。
ここでレンズをNIKKOR Z 20mm f/1.8 Sに換装して遊ぶ!!
帰り道に撮影したけどコバイケイソウはこんな感じで八月中旬でも豊作といった感じでした、最盛期はすごい数ちゃうんかなこれ。
上り坂の木道に感じる夏山っぽさ、山というよりも光源といった感じですがここは標高2,000m以上。
アルプスのような派手さはないが、優しさがある。
この時期にしては珍しかったワタスゲ群生、いつも6月に眺める花だったからこれは本当に意外だった。
ふわふわと揺れるワタスゲと湿原を楽しむっていうのは本当に癒される、癒しの登山ってやっぱり湿原系の山よ。
花々が咲き乱れる稜線の満足度はやばかった……。
稜線から駒の小屋へと戻ってきました、帰り道は山頂を巻く形で戻ってきましたが、巻き道は木道が濡れてまして……滑って死ぬかと思った。本当に滑るのねこの木道、殺人木道といっていいレベルで滑る。
午前10時00分、駒の小屋。
小屋も営業を開始している午前10時、普段で言えば山を歩いていて一番気持ちがいい時間帯ですが、なんと本日は下山を開始する時刻になっています。この気軽さが会津駒ヶ岳のいいところです、短いコースタイムの中にたくさんの景色が詰め込まれているから時間の濃度が違う。
キンキンに冷えたCCレモンをいただき、以前購入することがかなわなかった登山バッチを購入。気分良く帰れそうです。
窓から布団がべろりと出された小屋の景観がなんかかわいい。天上の別荘みたいな「いい宿」と聞く、酒を背中に積み込んで登ればいいんですかねぇ……。
お盆終わりも天気は夏、午前10時くらいから雲が黙々と沸き上がり空を埋め尽くしていきます。
本日早朝から登山したのは正午付近に曇っちゃいそうだなっていう天気予報だったからという理由もある。
晴れている登山を楽しもうとなると時間管理が結構シビア。
ほとんど人がいない気持ちのいい稜線木道を下り登山口へと向かいます。
駒の小屋を目指す方々とすれ違いながら下山、夏山らしい青空と白い雲が広がる景色の中の湿原を下る。
正午前に下山開始できるのはかなりの贅沢だと思う。
朝方はきれいに見えなかった会津駒ヶ岳のお化け池塘、正午に向かうにつれて表情が豊かになりました。
ムックとかモリゾウみたいにもしゃもしゃ茂っていて、動物で言うと冬毛のようなボリューム感です。
換装した単焦点レンズの開放が楽しいので遊びながら下山しています。広角の絞り開放ですが本当によくボケるなぁと感心。
カメラで遊びながらの下山でしたが、つづら折りの下山路は歩きやすくスイスイ下山が可能なこともあり1時間半ほどで登山口に到着してしまいました。もっと山にいてもよかったのに~とも思ってしまうけど、日帰り登山としては程よい塩梅かなと。
午前11時25分、滝沢登山口駐車場。
檜枝岐村までやってきて登山をしたのにまだ正午前なんて……と自分でも驚くような時間に降りてきてしまった。
山頂は曇っているけど正直昼飯を山頂で食べていてもよかったかも、僕は山の中で飲み食いあまりしないタイプなので、時間は参考にしつつ工程は各自好きなように調整してみてください。
午前11時50分、窓明の湯。
会津駒ヶ岳登山後の温泉は燧ヶ岳方面の燧の湯に行く人が多いと思いますが、窓明の湯もおすすめです。
こじんまりとした温泉ですけど、窓明山の麓にあるこの温泉はマイナー名山窓明山の存在を教えてくれるいい温泉です。
入浴後はノンアルコールとスポーツドリンクで失った水分を補給、ノンアルがある時代に生まれて本当によかった。
平成7年に福島国体の開催地としてルート整備もされた窓明山、紅葉時期は大変美しい景色が見れるらしく、いつか歩きたいと狙っております。
午後1時00分、道の駅番屋。
檜枝岐村を出ると御飯を食べるのがなかなか大変、道の駅番屋さんが蕎麦を提供してくれているので困ったらここ。
それ以外にも蕎麦屋が数店あるけど営業しているかどうかはチェックが必要です。
352号線沿いは店を見つけたらすぐに入ることを意識したほうがいいです。
おいしいと評判の乾麺そばと会津のお酒をゲット。尾瀬っぽいお酒を探したんだけどそれは檜枝岐村じゃないと買えないらしい。南会津って広くて地域性が実は全然違うらしい。
購入した日本酒の會津はその日の夜の目的地、「奥さんの実家」で開封し瞬く間に消費されました。
辛口で飲みやすくておいしいお酒で、フルーツ的な癖とかは一切ないおかげで次から次へと飲めたのが良かったです。
スタンダードな感じがしてよかった、毎日このレベルの日本酒が食卓に出てきたらかなり幸せだと思う。
気が付いたら全部なくなっていた、僕が、というよりも僕以外の人の速度もすごかった気がするんだが……。
そして今回の乾麺はこちら。
番屋でゲットした会津田島産のそば、全国乾麺蕎麦ランキングでも上位であるということで期待が膨らむ。どんな田舎そばなんだろう……、というかパッケージの品格が高いッ!
歯ごたえがいい、若干山芋的なぬめりといった喉越しがありつつも田舎そばのような風味がある。噛んでいくと粘り気が多少強く、香りが強いそばだなと思いました。山形の田舎そばともまた違う個性の持ち主、山奥の蕎麦だなという風格……というか癖がかなり強いそばです。個人的には無個性的な、のど越しが良い細麺かつ香りが強いタイプが好きなんだけどそれとは離れていて。麺は太く、もっちりとした重量級の面と濃厚な芳香が特徴的な田舎タイプの蕎麦でした。(早口)
山芋系が好きな人は最高においしいと感じるんじゃないかな。
僕は山形の田舎そば系が好きだからそこまで刺さらなかった。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは。
気持ちの良い稜線美ですね。
僕も一度登りに行ったことありましたが、天気が良くなく稜線を堪能できませんでしたorz
羨ましい限りです。
ところで、お使いのカメラたちはいかがでしょうか。
僕は現在マイクロフォーサーズを使用していますが、いずれはフルサイズを使用したいと思っており、買うならZマウントかなと思っています(Z6Ⅲ待ちです)。
写真拝見して、Z20mm良いな。
仕事や育児で忙しいとは思いますが、もし余裕があればカメラのレビューもしていただけると嬉しいなと思っております。
ろっぴ様
いつもご覧になってくださりありがとうございます。
ここは確かに天気に左右される山ですね……、樹林がない分真っ白になりやすいので。
東北いいところなので、ぜひまたご検討していただけますと嬉しいです。
カメラですが、この記事のタイミングではZ5を使っていて、今でもずーっとZ5ですね。
普通のカメラではあるのですが映像はやらずスチルだけなのでとてもいい具合です。
枯れた機種ですが、D850からZ5とX-T4に移行して2年以上たつので今度なんか書いてみます、ありがとうございます~!