2021年9月12日、北アルプスは常念山脈にある日本百名山「常念岳」を歩いてきました。標高は2,857mとなります。
夏と秋の間であるこの時期は花の数も少なく山はとても静かです。一ノ沢コースをピストンでさらっと上っているのですが、今回の登山は常念岳を楽しもう!とかハイシーズンのおすすめを紹介するぜ!的なものではございません。
秋の幌尻岳チロロ林道の前半のナイトハイク渡渉になれるために登山道が水浸しになっているコースを歩く。
これが大目標でした、つまり今回の常念岳登山はこの直後に上る幌尻岳の予行練習として登った山ということになります。
百名山の最難関「幌尻岳」のために飯豊山や塩見岳日帰りといったきつめの登山を繰り返した21年、いよいよ勝負の時が近づいてきました。
常念岳ですが、改めて一ノ沢コースを日帰りピストンしてみて思いましたが「アルプスの中では群を抜いて歩きやすい」ですねここ。焼岳とか燕岳みたいな歩きやすさで、日帰り装備でサササッと往復するのですがコースタイムが非常に短いうえに水がいろんなところから湧き出ているので気楽に歩けていいなと。
眺望もいいので常念山脈ってアルプスの魅力を最初に、気軽に味わうにはいいところだなぁと再確認いたしました。
次回は上高地から燕岳まで縦走する定番の登山を楽しみたい。
北アルプスの中でもやさしさに満ち溢れているエリアを楽しみます。
常念岳一ノ沢日帰り登山について
水が豊かな一ノ沢を歩く
2021年9月12日午前6時00分、登山口。
おはようございます、Redsugarでございます。
常念岳の登山口にやってきたんですが、忘れもしません、この日は登山百景さんと登る約束をしていたと。
登れなくなっちゃいましたけど登山口に来ました。
え、うえぇええ!マジで登山口にいる!!!
子供がいるとね、子供がいると大変なんです。二人からが特に大変です。子供を育てながら仕事したり趣味をしたり出来てる人はそれだけで超人だと思っていいです。私は妻の協力なしにはやってられない普通の人ですが、百景さんはそこはしっかりしててすごい。
話がそれました、本日の常念岳はもうすぐ幌尻岳登るから予行練習で水が多いコースに行きたい、ということで常念岳一ノ沢をサラッと百景さんと歩こうという予定でした、結局一人になってしまったが昼飯を食べる約束をしたので最速で往復します。
一ノ沢は忘れもしない、北アルプスを初めて縦走した時に登りで選んだコースです。道中沢の水が登山道に湧き出ている場所が多く、水浸しの地面を歩くような場所が多い覚えがありました。
幌尻岳チロロ林道コースは足首渡渉が非常に多いということもあったのでちょうどいいかなーと思って選んだけど……、渡渉は参考になるも、体力的には大分幌尻岳チロロ林道には見劣りするところがある。
いやぁ、森に癒されるなあ
一ノ沢前半に登場するこういう渡渉地点は確かに幌尻岳チロロ林道の予行としては参考になる、これくらいのが実際沢山ある。
装備としては靴はウルトララプターII、ザックはバーサライトパック30、水はハイドレーションの3リットル満タンと実際の幌尻岳想定の行動食と防寒具を入れている、これで常念岳を何時間巻いて歩けるかが今回の課題。
それと……カメラはZ5+24-70f4のみで、撮影しながらいかに早く登れるかも試してます。
常念岳の一ノ沢は水がきれいだよね、川の流れを見ているだけで結構楽しくなっちゃうもんよ。
胸突八丁と呼ばれる地点までは沢沿いに水浸しの登山道や枯れ沢、樹林帯を歩いていく形になります。
一直線に登って良くシンプルなコースで、登山道も明瞭なので迷うことなく登っていける。足元の質感は今思うと確かに幌尻岳に似てると思う。
幌尻岳は砂利道→川沿いの岩→粘土土→土稜線→岩稜線といった変化を見せるので、常念岳とその辺の環境は似てる。
一ノ沢は左右の岸を行ったり来たり、この大きい橋は結構上流地点でここを渡ると胸突八丁と呼ばれる急登地点が現れます。
午前7時50分、胸突八丁。
1時間ほどで到着した急登スタート地点、ここから急な斜面を登って常念乗越を目指します。
常念乗越が2,400m台なので大体300mくらいを一気に稼ぐ感じ、装備が身軽なのでなんなく登ることが出来ているけど
縦走系の重量級装備の場合はここかなーりキツかった覚えがある。
幌尻岳もチロロ林道から登山道とりつきに到着するとびっくりするくらいの急登を登らされる、常念岳のこの区間はそこに比べると整備されているのでだいぶ楽だった。幌尻岳に登った今考えると、練習に最適だったのは平ヶ岳や巻機山等新潟系の山だったと思う。
「片側は崖でーす」みたいな場所を歩いて標高を上げていきます。常念岳一ノ沢は人気コースということもあって、他の山よりも整備は手厚くトラロープや柵がしっかりと作られていて、登り慣れてない人への配慮が行き届いている感じがある。
優しいよね常念とか燕岳って、本当に奇麗に整備されてると思う。
最終水場と書かれた地点までやってきました、夏場はここで飲む水が滅茶苦茶美味かったんだよなぁ……と思いつつも。
今回は背中に背負った埼玉の美味しい水(ハイドレーション)があるので手酌で一杯飲むだけだった。
使っているザックがモンベルの旧バーサライト30で、背中にパッドが無くハイドレーション使用前提といった状態。ハイドレーション使う場合はドイター系のメッシュバックタイプのザックだとぬるくならなくていいよなぁとこの季節は思った。
最終水場を越えたあたりでアミノバイタルチャージ、これも実験でどれくらい効果が出るのかなーっていう。
その後もマラソン大会とかで定期的に飲み続けてるんですけど、30キロ地点位まではこいつの効果で結構快適に走れるなーという印象があります。
登山でもやっぱり飲んでると楽な気がする、プラシーボかもしれんけど。
粉アミノバイタルは結構効いてる気がするから登山にはお勧めよ。
最終水場を越えるとごつごつとした岩が多い登山道、コメツガとかその辺の高層の針葉樹が多い樹林帯をひたすら上る。
ここまで来たら傾斜も楽になってて非常に楽。
ハイマツ地帯に出たくらいで、紅葉時期を迎えて徐々に裸になるダケカンバとかが現れます。
森林限界を迎えて一気に景色が変わる常念岳、見上げたら山頂が見えるんだけどその瞬間が気持ちいい山。
常念乗越まであともう少し、という地点まで登ってくると見える常念岳山頂方面。ここから見ると大した距離はないではないかと思うでしょ?それがふもとまで行くとたいそうな距離が残ってるのです。
初めて登った時は15キロくらいの荷物を背負った友人がこの辺で白目になっていた、そのあと大天井まで歩かせたけど今思うと若さがなければヤバかった。
常念岳山頂は穂高連峰の展望台
午前9時00分、常念乗越。
情念乗越に到着したら小屋のほうにはいかず、そのまま山頂を目指します。
常念岳山頂ってこの乗越から見上げると、見晴らしがいいこともあって近いのか遠いのかよくわからん、という感じがします。実際登ると片道30分以上なので遠いに分類はされるかな。
下部のガレ場はどこを歩けばいいのかわからないところも多い、少し上ると道が明瞭になりペンキ後の現れるので歩きやすくなる。無雪期であればそんなに苦労することはないけど、大きめの岩が多いところだから膝に来ると思う。
岩に施されたマーキングをたどって登る、一本道なので譲り合いの精神。
山頂を見上げるとまだまだ遠いらしい、ずーっと山頂が見えるのでもうすぐ着くよねと思いがちだけど遠いのよ。
山頂が見えていることのほうがつらい、距離が縮まっている気がしないんだもん。
つらいなーと思ったら西側を見る、すると槍ヶ岳が見える。槍ヶ岳と手前の西岳の小屋を眺めながら一服しながら登ると気がまぎれることもある。それよりも今日晴れ予報だったんだけどな……全然晴れてないんだけど。
あの西岳の小屋は眺望がいいと評判を聞きます、なかなかアクセスしづらい位置にあるけどテントを背負って行ってみたい。
午前9時45分、常念岳山頂。
数年ぶりの常念岳山頂、相変わらずの景色の良さ。そして人気の登山スポットらしく大量の登山者が山頂で朝のひと時を楽しんでいました。ほとんどの方が一ノ沢を朝登ってきた方々なこともありコースの人気がうかがえる。
山岳写真家の田淵行男がフィールドワークしてたのが常念岳周辺、高山蝶の成長を数年がかりで追いかけたりしていたということだけど、著書を読むとその山との往復っぷりがすごかった覚えがある。
ここで昼食と行きたいのですが、今回の常念岳はご飯も最速。この後に控える幌尻岳チロロ林道では飯を食べている暇がないのは明らかなので、常念岳でもチョコバーをかじって歩き続けます。
最近増えてきたプロテイン系のチョコバーは全体的にぱさぱさしていてすごく嫌なんです、というわけでそろそろなんか違うものを食べながら歩きたい。ビーフジャーキーとか食べたい。
あいにくの曇り空だが常念岳から穂高方面の眺め、大キレットが良く見えるのと奥穂高岳って主峰なんだなーというのがよくわかる景色。
こちらは大天井岳方面、以前この稜線をテント装備で歩いたけど歩きやすくて眺望がいい。足元にはお花が沢山咲いているし、かなり楽しい稜線なのでまた歩きたい。
7月上旬に歩いたこの稜線は高山植物が咲き乱れていて花畑の中を歩くことができました。装備が重すぎて苦行気味だったけど、今度は軽装でスイスイ歩きたいな。
山頂の人々は一様に槍ヶ岳方面を眺めてご飯を食べる、曇り空だというのに山頂のこの盛況っぷりはすごいなぁ……。
山頂を堪能したらすぐに下山です、すっかり忘れてたんですけど安曇野に登山百景さんを待たせています。駆け降りるように急がないとお昼ご飯に間に合わない。
森林浴してますけど、遅かったら帰ります。
えーと、百景さんは置いておくとして。
見下ろして気が付いたけどテントが全然ない。やっぱりこの季節になると縦走客はまばらなんかねぇ……?
一ノ沢下山は一瞬だった
午前10時50分、常念乗越。
山頂から降りてきました、一目散に一ノ沢に向かいますが普通に考えたら「え、マジで?」っていう感じ。
正直ここまで来たならお隣横通岳に足を延ばしたり小屋でゆっくりしたい、北アルプスの稜線を堪能したいとか思うのが普通ですが、この時は
常念岳は幌尻岳の準備に過ぎない、ここは最速下山を試して体の調子を測る(真顔
一ノ沢の下山はびっくりするくらい早い、一直線に登り続ける山ということは一直線に降るということ。
道も歩きやすかったので降りている方も驚く速度で下山できてしまう。
道中渓流を楽しむ時間もなく、一気に下山していきます。
だってなー、この後登る幌尻岳は下山が本番というくらい長い、下山をどれくらいの速度間で歩いていけるかはここで試しておきたかったのよ。
調子に乗って歩いてたけど怖かったのはここ、つるッと滑ったら洒落にならなかった。
ちなみに幌尻岳対策に購入したスポルティバのウルトララプターII、普段LOWAのチベットを履いてる僕には小指側が結構いたい、ハイカットで走れる靴で幅広の足に対応しているやつということでお勧めされたけど、もっと合うのがありそう。
水浸しの登山道をバシャバシャと音を立てて走って下山していく、この辺の雰囲気は似てる似てる、練習になってる。
流石に早く下山しすぎた!!!
いくら何でも早く降りすぎた……、気が付いた頃には茸くらいしか撮影で楽しむものがなかった。
登山で見る茸、大体食べれないやつだよなぁ……食菌っぽいのはヤマドリダケとかを見たことがあるけど、ドクヤマドリの可能性もあるから素人は触れない。
気が付けばもう登山口は目と鼻の先。
午後1時00分、登山口到着。
常念乗越から2時間程で下山、足早に降りる場合はこれくらいで降りてくる人も多いのでは。常念岳一ノ沢の標準コースタイムは10時間くらいなので、今日の装備ならそれなりに早く歩けるんだなという確認が取れました。
これで幌尻岳チロロ林道コースに挑むための装備は決定した……。
特に靴とザック。夏は塩見岳、常念岳と使ってきてようやく「馴染んだ」と思える状態になりました。
下山後はしゃくなげの湯へ、登山百景さんと昼飯を食べる約束をしていたのでサラッと入浴を済ませます。
ここ設備がいいから、休憩所でコーヒー牛乳飲みながら寝転がってウトウトしたりすると最高に気持ちがいいはず。
ちなみにこのしゃくなげの湯、中房渓谷から引き湯しているらしい。中房温泉と泉質も似ているのかね。
常念岳登山を終えた後、安曇野で森林浴で時間をつぶしていた登山百景さんと共にお勧めのラーメン屋「きまぐれ八兵衛」へとやってきました。登山始めたころは長野ってラーメン屋少ないイメージあったんだけど、気が付かないうちに増えましたよね。ただなんでしょう……変わり種が多いなというのが印象。
辛味が効いた豚骨を頼みましたが不思議な味だった、なんというか麺が博多ともいえない微妙な太さのストレートで。
長野でみんなが美味しいと思うラーメン屋があったら教えてほしいです。
次回、北海道日高山脈「幌尻岳」。
百名山最難関!?夜のチロロ林道はヒグマとエゾシカの気配で生きた心地がしない!!でも歩かないと帰れません!!
恐怖のナイトハイクを越えた先は北海道の東西を隔てる山脈に吹き荒れる暴風吹き荒れる無慈悲なアップダウン縦走路、たどり着いた先は黄金の紅葉美しい山頂でした……。
幌尻岳、見てください!
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