【北アルプス】焼岳、夏を告げる雲海を越えて青空の頂へ

焼岳火口を眺める人

2020年6月20日、北アルプスは上高地のお隣焼岳に登ってきました、標高2,455mの登りやすい北アルプスの百名山です。
北アルプスではまだ初夏となる6月後半、バリバリ登り始める夏山シーズンに向けて身体を作り上げるためにも足慣らし的に歩けるコースがある場所ということと、景色がやっぱり奇麗でいいよねということで焼岳に行くことに。最短ルートである新中ノ湯コースをピストンで登り、北アルプスの稜線の景色を手軽に楽しんできました。

焼岳は北アルプスにある山では比較的登りやすく、日帰りで楽しむことが出来る稀有な百名山です。
特に新中ノ湯温泉から登るコースは標高差も少なく、すぐに森林限界を越えることが出来ますし山頂から眺める穂高や上高地といった景観の良さが保障されているので、アルプスに初めて行くというのであれば焼岳を最初に登ってみるのはアリではないかなと思います。

今回は6月後半、梅雨の晴れ間に登った焼岳の頂は雲海を越えた場所に。そして、山頂からは青空と雲海から顔を出す北アルプスの山々を楽しむことが出来ました。初夏の北アルプス散歩の始まりです。

redsugar

ゆるーく北アルプスを歩きます、焼岳は楽ちんでいいですよ~!

目次

焼岳、中ノ湯ルート日帰り登山の概要

概要
初夏の焼岳、最短ルートである新中ノ湯温泉コースのピストンです。以前秋に登った際はバスを利用した新中ノ湯→上高地の周回ルートでの登山を行いましたが、今回は時勢的な事情で周回が不可能であったためピストンを選択しました。
新中ノ湯ルートのピストンは十分日帰りが可能なコースタイムであるため、北アルプスの山を手軽に楽しむにはお勧めのルートです。

今回のアクセス
焼岳は上高地側からもアクセスが可能なため、上高地方面に行くバスを利用すれば公共交通機関でのアクセスが可能になります。ですが、今回はバスの運行が無かったことなどから、クルマで新中ノ湯登山口の駐車場に自走で向かうことを選択しました。

コースタイム
登山口5:10→広場7:40→山頂8:40-10:05→広場11:05→登山口13:25
合計登山時間 8時間15分
かなり時間をかけて登っています、写真の練習をじっくりしながら歩いていることと
山頂に1時間以上滞在してしまいました……。

霧が立ち込める朝の新中ノ湯コース

深夜のサービスエリア

2020年6月20日午前3時40分、みどり湖PA。
おはようございます、Redsugarでございます。深夜のみどり湖PAですが、もうすぐ夜が明けるようです……。
本日向かうのは北アルプス南部に位置する百名山にして火山でもある焼岳です。
今更ながら北アルプスに車で向かうのは大変です、深夜1時や2時くらいに家を出て中央道や上信越道をひた走り、登山口に向かうのですが登り始めるころには体力が結構削れているものです。

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深夜のSAは楽しいのだけど、登山回数が増えるとほぼ毎週経験するものだから昼のSAが恋しくなります。

午前5時10分、新中の湯登山口。
中央道を抜けた後は上高地に向けて158号線を無心でひた走り焼岳登山口がある中ノ湯温泉に向かいます。この158号線が毎回辛い、高速を抜けた後の細い山道……道の駅は上高地直前で、そこまでエナジードリンクなどでドーピングを行い走り続けるわけです。
そしてたどり着いた焼岳登山口、駐車場には同じことを考えた人々の車がすでに駐車場を埋めていました。

焼岳登山口を出発するとすぐに目につくのは定番の廃車です。7月直前の梅雨時期ということもあり、生命力にみなぎった草木に見事に侵食されていました。

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この手の廃車は「草ヒロ」というらしいです。「草ヒロ→草むらのヒーロー→ノスタルジックヒーロー」という旧車雑誌の廃車体コーナーの名前なんだとか。で、この車体の解析をしようとしている人たちもいるらしい。

朝露に濡れた若葉

前日は安定の雨ということもあり、まだ森の中の木々は露を纏っている状況。

雲間の山肌

焼岳上部にはまだ雲がかかっているのかもしれません、低層の雲がまだ空を流れている。

木を這う細木

北アルプスは樹林もさすがにお奇麗、苔むした木肌の上を大動脈のように走る細木とかも目に留まる。

森に差し込む日差し

針葉樹の森をしばらく登り続けていると陽が差してきたのか、木々の隙間を縫って薄明の光が目の前を横切ります。森の朝が終わって、これから賑やかな昼になりますよっていう合図。

薄明光線

雨上がりだったり、ガスの後の晴れはこういう景色が見やすく。朝から快晴という天気よりは変化がドラマチックで楽しい。だけど、中々こういう日をあえて狙うっていうのは麓に住んでるとかでもない限り難しいんじゃないかなと感じる。

霧がかかった登り道

登っていくと景色がだんだん湿ってくる、さっきまで雨が降っていましたとか、さっきまでガスの中でしたと言わんばかりの空気が身の回りに充填される。

ガスの中の灌木

開けた場所に出たと思ったら、ちょうどガスの中で神秘的な景色が目の前に続く状況。天候的にはこの後晴れるはずだから、今だけのガスと信じて先に進みます。

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全ての予報的に晴れであったことから、この日のガスはそこまで落ち込むことなく楽しむことが出来た覚えがあります。

ガスに包まれた樹林帯

ガスなんだけど上空までがっつりかぶさっているわけではなくて、明るさから考えると山頂付近は雲から頭が出ているんだろうなという予測が付きます。先は明るいと思って先に進むが……足元の泥が重い。

朽ち木と新緑

ガスの森はそれはそれで奇麗なもの。

ガスの中の森

午前の光も一時なので、見れるときに見る、撮れるときに撮るを徹底して進む。

森林限界と雲海を越えて

焼岳の山肌

歩いていると木々も細くなり、気が付けば森林限界地点に到達していたようです。
いつの間にか焼岳の山肌に刻まれた谷筋が目の前に飛び込んできていました。樹林帯は終わってしまったがまだガスの中です。

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あれれー?おかしいな晴れてないよ?

ガスに包まれた焼岳、森林限界も越えているのだが一向に晴れない。広場はもう通り過ぎたのだろうか?

ペンキマークを頼りに登る

午前7時40分、森林限界突入。
ペンキが見えてきたら、もうあたりは岩と草の森林限界のマジな世界。さすがに夏場ということもあり足元の道は明瞭なのでペンキを見ながらすいすい登っていけますが……ガスがとれないよ。

雲の上に出る

「晴れろー」と呟きながら登っていると願いが通じたのか、自分が低層雲の上に出たのか、上空には青空が……。感動的な瞬間です、登山をしていて何時が一番うれしいと聞かれたら、「全てをやり切って下山した瞬間」と、「雲を抜けたら快晴だった瞬間」でしょう。

稜線に差し込む薄明光線

ガスなのか焼岳の煙なのか、差し込む日差しが薄明光線となって目の前のすべての景色が絶景に見える。これまでのガスの世界からの圧倒的晴れ間で、感動というスパイスが視界を彩ってしまいます。

青空の焼岳稜線

上を見上げれば焼岳の稜線が見える、画面のピークは南峰側なので入っちゃだめです。

青空とガスが入り混じる稜線

焼岳山頂して扱われる方はこっち側、噴気が上に見える。

青空の焼岳稜線

雲が流れ山頂部は快晴に、噴気が風に乗って流れていく……。もうこの時点でテンションは最高潮です。
上部は一応鐘状火山、いわゆる溶岩ドームということになるのかな。この辺に転がっている火山岩を眺めながら標高を上げていきましょう。

雲の向こうの乗鞍岳

後ろを振り返ればちょうど雲海から身を乗り出した状況だというのがわかります。雲海の向こうには乗鞍方面の山肌が見えていますね。焼岳から南側にはアカンダナ、白谷山、大棚山などといった焼山火山群を構成する山々があるはず……だけど見えないね。

ゴジラの背のような焼岳山頂

ゴジラの背中のような岩肌、あちら側は登ることができません。

火山湖を見下ろす稜線部に到着しました。火山湖を見下ろす稜線の縁は柱状節理的な岩で囲まれたTHE火山な光景。北側からは雲が登ってきていて、ガスッたり晴れたりを繰り返しています。
山頂側を見ると噴気がブシュ―ーッと流れ続けている、山頂へは噴気の脇を通って向かいます。

redsugar

あぁ……、最高の景色だ……。

山頂へ向かって稜線を渡って登っていきます、火山特有の香りがあたりに充満する……。

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硫黄のにおいがすると温泉に入りたくなる……。

雲海から頭を出した北アの山々

焼岳稜線を歩く人々

焼岳山頂付近の景色は最高です、高峰でありながら火山ということで普段見ることができないような極地の景色を楽しむことができます。

焼岳山頂直下

割れ目が縦横無尽に走ったこの巨大な岩を横切れば山頂は目と鼻の先。

午前8時40分、焼岳山頂。
登山口を出発したときはどうなることかと思いましたが、無事雲の上の快晴の焼岳山頂へ登ることができました。山頂からは北アルプスの山々がかろうじて見渡せますが、雪渓が残るそれぞれの山はこれから夏っていう感じかな。

雲の上の登山者たち

穂高方面を眺めるパーティーを眺めると夏山を歩く人々のあの感じが蘇る、最高だね。
ここから穂高までの道は見事に雲の下で、雲海の向こうに稜線だけがポンと顔を出していました。

焼岳山頂のRedsugar

「あれ、徐々に雲が上がってきてる?」
気が付いたときにはすでに雲が山頂にかかり始めていた焼岳、慌てて火口湖方面を見ながら撮影。
山頂に到着してからパンをかじったり、昼寝をして楽しんでいたのですが、いつの間にかあれよあれよと登りくるガスに包まれて焼岳からの視界は奪われてしまいました。

午前10時10分、下山開始。
なんだかんだで昼寝したり家族に電話をしていたので1時間以上山頂にいたんですが……、のんびりとしている間に曇ってきてしまった……。とはいっても風は流れているのでそのうち晴れるんだろうけど。
あまり長居しても午後ににわか雨に振られたりするのも嫌なので、下山します。

ガスの中に立つ火山岩の壁

ガスはガスでこういう目の前の岩の存在感が増しますね。似たような火山である那須岳と比べるとまた岩の質感が違う。同じ花崗岩でもちょっと名前が違うタイプなんだろうな。

火口湖を過ぎて森林限界の中登ってきた場所を見下ろすと、今度は雲が消えて下まできれいに見渡せるようになっていました。登りは真っ白だったけどこんな斜面を登っていたのです。秋に歩いた時とはまた違う雰囲気。

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個人的には初夏の季節が好きだったなぁと思います。上高地へ下山ができるとなおよかったんだけど。

積み上げられた石と乗鞍方面の山肌

登っているときはこういった積み石すらも気に留めることはなかったんだけど、下山時はよく目に入る。
そういえば、焼岳の目の前に見える山肌、あれは安房山方面かな。バックカントリーで人が入る山という印象。

redsugar

安房山の先にある乗鞍岳、本当に大きい山で出来ればいろんなところから歩いてみたい。夏はバスで山頂付近だけ、冬は東側のスキー場からしか歩いたことないのよね。

夏を感じる焼山の山肌

山頂部分に雲は固まっていて、中腹では青空と空を彩る雲が奇麗に見れる状況。夏山らしい風景に心が躍る。

樹林帯に入ってくると朝のモイスチャーミストな景色はどこに行ったのか、健全な北アルプスの樹林が目の前には広がっていて、コントラストが高く細かい陰影が足元に落ちるバチバチとした景色が続く。
代わりに新緑はこれでもかというくらい蛍光グリーンに輝いていて、葉を透過して降りてくる光には癒しの効果があるとしか思えない満足感を僕に与えてくれる。

登りはどこを見ても見どころたくさんではあったのだけど、太陽がさんさんと照り付ける下山ではそういった雰囲気が残念ながらなくて、足早に登山口に向かってしまった。

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気分がもう下山だったから、あんまりシャッターに指を乗せる気にもならなかったんだけども。

中の湯登山口

午後1時25分、新中ノ湯登山口。
ちょうどお昼時のいい時間に下山できました、いつも写真を撮っていて登るのが遅い僕としてはかなり早い時間に下山ができたんじゃなかろうか。これならなんか食べに行けるかなとも思ったんだけど、ここはいい温泉に浸かりに行くのが良いのでは?と思いつき一路「良い温泉」に行くことにしました。

下山後は白骨温泉へ

ということでやってきたのは「白骨温泉」です。上高地、乗鞍に行くときは一度は看板を見たことあるのではないでしょうか?秘境の温泉というイメージがある白骨温泉ですが、道中は湧水が車道脇に滝を作っていたり、渓谷沿いの景色がとても美しかったりと、大自然に囲まれた温泉地です。

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もちろん入浴するのは公共浴場、渓流沿いに立てられた浴場には白く濁ったあつーい温泉が待っていますよ!

白骨温泉の公共風呂はすごくきれいに整備されているし設備もよいです。なんつっても風呂が広い、最高。
乳白色で香りもよい温泉にとっぷりと浸かり、焼岳登山であふれ出た汗を奇麗さっぱり流した後は自販機のジュースでのどを潤す……。

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完璧だ、下山後の完璧な温泉だった……!

という感じで焼岳登山を楽しんだ後は白骨温泉で汗を流して、帰路へとつくのでした……。
このソロで運転する帰路が一番きつかったのは言うまでもないでしょう、時間に融通の利く登山バスがあればいいのになぁ~と毎回思います。

焼岳稜線を歩く人々

夏の始まり、北アルプスの始まりを焼岳で。
6月に歩く焼岳、手軽に登れる北アルプスの山だけどさらっと登って温泉とっぷり浸って帰ることができる良い山です。新中ノ湯コースはコースタイムも短く、登山を始めて間もない人や北アルプスに行ったことがない人が「北アを感じてみたい」と思って登るにはとてもいい山だと思います。
標高が他の山に比べると少し低く、真夏になると結構蒸し暑くなってしまうので、初夏の季節か秋の季節に歩くのがおすすめです。

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