【北アルプス】槍ヶ岳、上高地と南岳から楽しむ天空の稜線登山

槍ヶ岳見出し

2020年9月21日から22日にかけて、北アルプスのど真ん中は槍ヶ岳へ登ってきました、登山していると一度は名を聞くであろう国内では富士山以外で最も有名な山……だと思うのですが標高は3,180m。
日本国内では5番目に高い山ということですが、なんつってもその見た目がよろしい。
北アルプスはもちろんその周辺の山々を歩いていても

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今日は大キレットから北アルプスまで奇麗に見えるなぁ

なんてことも聞くんじゃないですかね?
山岳雑誌の山と渓谷などでも毎年必ず紙面に現れる国内屈指の名峰ですが、今回の登山の直前にはお隣奥穂高岳へと登っています。その際に見た槍ヶ岳の姿が素晴らしく、20年の間に登ってしまおうと決意しての今回の登山となりました。
槍ヶ岳は年に2度のハイシーズンがありまして、それは花咲く夏場と紅葉の2回。
その2回は周辺の宿やテント場が混雑するであろうということで、今回は両方の間となる9月中旬を選択しました。
ちょっと旬を外した登山となりますが、おかげで静かで快適な登山を楽しむことが出来ました。

槍ヶ岳自体は天狗原からの鏡槍、稜線からの展望を得ることが出来れば良い山かと思いますので、無理して夏に歩かなくてもいいかもね。そんなわけで、秋口の青空の元歩いた北アルプス随一の名山「槍ヶ岳」登山の始まりです。

目次

槍ヶ岳登山の概要

■概要
槍ヶ岳は色々なアクセス方法がありますよね、主に上高地から向かうのか、新穂高から向かうのかだと思います。
一番アクセスが楽なのは上高地から横尾を経由して槍沢から登るルート、往復の距離が長いので一泊二日になります。今回は復路の距離が長くなってしまうため健脚の方へのお勧めになりますが、上高地から横尾を経由して南岳へ登り、そこから大喰岳を経由して槍ヶ岳へ向かうルートで歩きます。
このコースのいいところは南岳から槍ヶ岳まで3,000mを越える稜線地帯を歩けることでしょう。
穂高方面と違って稜線といいながらも歩きやすいところが多いのも素敵なところです。


■アクセス
上高地スタートなので交通手段は潤沢です、スケジュールが合うなら都内発の登山バスを是非ともお勧めしたい。
寝ているだけで上高地まで連れて行っていただけますが、夜行バスで寝ることが出来れば翌朝の登山がとても楽です。
僕は関東圏から自走で上高地へと向かいましたが、やはり自走は辛い……!

■コースタイム一日目
上高地5:50→徳沢7:20→横尾8:30→槍沢10:10→天狗原1:30→南岳山荘16:00
合計登山時間 約10時間、重量級装備での最後の登山ですが天狗原から先がつらかった……。

■コースタイム二日目
南岳山荘5:50→中岳7:15→大喰岳8:10→槍ヶ岳小屋8:30→槍ヶ岳山頂9:30-9:45→槍ヶ岳小屋10:15→槍沢12:55→横尾14:00→上高地16:30
合計登山時間 約10時間40分、下山が本当にしんどかった……!

上高地から槍沢へ向けて出発

2020年9月21日午前5時50分、上高地。
再び深夜の中央道をひた走りやってきました諏訪湖SAと沢渡……。毎度のごとくですが長野で下道に降りてからが長い、新穂高温泉に比べれば沢渡ははるかに楽なのですが、だとしても運転で既に体力が半分くらいに減っている気がします。

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9月の後半ということで朝は寒く、薄手のダウンなしにはバスを待つことはできませんでした。

上高地バスターミナル

バスに揺られ釜トンネルを抜けて上高地へ、早朝にもかかわらず多くの登山者であふれかえっております。
早朝のこの時間帯に開店しているお土産屋さんは生命線ともいえる、おやきが早朝から食べれるのは長野ならでは。

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朝ごはんにかつ丼を食べたのでおなかは結構満腹、でも食べ忘れがあったとしても上高地は何でも売ってるから何とかなります。

今回は槍ヶ岳ということで、ちょうどこの直前歩いた奥穂高岳とほぼ同じコースを前半は辿ります。
つまり、横尾までのながーいながーい森歩きを楽しむ……というわけです。いやー、ここ最初は楽しいんだけど途中からただただ「長い……」という感想しか出てこなくなりますね。

上高地の森

横尾までは車道でもあるこちらの登山道を延々と歩きます、標高が高く山々に囲まれていることからも美しい森が広がっているといって差し支えないんですけど……、長い。これもイベントの一つかと思い歩き続けるしかない。

午前7時20分、徳沢。
上高地から延々歩き続けて明神館を越えて徳沢にやってきました、本日も徳沢のテント場は大盛況です。
徳沢のカフェでコーヒーでも飲みたいところだけど、今日は南岳山荘まで一気に登るスケジュールで時間的な余裕はありません、なのでこのまま一気に横尾へ向かいます。

横尾へと向かう登山者

20年時点では装備カメラはD850ということもあり、荷物が重い中歩く上高地コースは本当に辛かった……。

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翌年以降はカメラが1台だし装備もULになっているから楽だったんだけど……、20年は本当によく荷物を背負ったなと思う。

横尾

午前8時30分、横尾山荘。
上高地を出発して2時間半ほどで横尾に到着しました、前回の奥穂高岳では3時間近くかかっていたので大きな進化です。
道中何があるかとか大体把握していたので、寄り道や写真撮影が一切なかったというのが大きな理由……。

前回は横尾から横尾大橋を経由して涸沢へ向かいましたが、今回は槍沢へと向かうためそのまま北上していきます。
梓川沿いに築かれた登山道を奥へ奥へと進むのですが、片目には梓川の美しい渓流がザーザー流れておりまして……魚とかいそうだな。

槍沢の渓流

渓流に癒されながら先へと進む。この辺を歩いているときは常にカメラの設定をss1/10、絞りをf22あたりにして歩いてました。昨今のカメラは手振れ補正があるおかげでss1/10くらいは余裕で止めてくれます。
水場を歩くときに三脚を立てたくなりますが、この手振れ補正の恩恵を上手ーく使えば気持ちよく渓流スナップして歩けますね。

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さすがに秒単位になると三脚が欲しいけど、渓流の動きを出すくらいなら全然手振れ補正で楽しく歩けました。

もうすぐ槍沢

横尾から槍沢までは木漏れ日が気持ちいい沢沿いの登山道をずんずん登っていきます。

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アップダウンが緩やかなおかげで滅茶苦茶歩きやすかった、槍沢までは本当に気持ちよく歩くことができた。
今回のルートは天狗原までは天国のようなルートが続いた。

午前10時10分、槍沢ロッヂ。
槍沢ロッヂは横尾山荘などと同じく「宿泊者が風呂に入れる山小屋」です。上高地から横尾に向かって点在する徳沢等の小屋も宿泊施設としては下界の宿と同じような装備を持つ山小屋というよりもホテルのような場所……。
今回の槍ヶ岳登山、本来はこちらの槍沢ロッヂで一泊する予定でした。(直前に南岳山荘の予約が取れてしまったのでキャンセルしました)

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登山をしているのに風呂に入れるというのは反則だよなと思う、絶対にそこに泊まりたくなるもん。

槍見の景色
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槍が見えるという望遠鏡や、槍見という地点など槍にまつわるスポットが多いのがこの辺の特徴。

槍沢ロッヂから少し離れたところにあるテント場を越えたら槍ヶ岳を目指して巨大なカールを登り続ける道へ。
途中、槍沢大曲で水俣乗越への分岐がありますがここは直進です。

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西岳の小屋に泊まってみたいなぁと思うのですが、上高地から向かうにはこのルートなんですよねー。
歩くなら大天井岳からがいいなぁ……。

天を写す天狗原の水鏡を見る

槍沢からカールへ

槍沢ロッヂから次なる目的地、天狗原を目指して本格的な登り道へ。

天狗原分岐へ

このカールの巨大な感じ、涸沢よりも遠望が利いてて気持ちがいい道だなと思う。どちらの道中が楽しかったかと聞かれると僕は槍ヶ岳派ですね。

天狗原へ向かうガレ場

天狗原までは巨大なカール地形の中を歩いていくことになるんだけど、道中はこのようなゴロゴロとした石が転がった地形などが所々で姿を現す。

天狗原の分岐までやってくるとついに、ついに槍ヶ岳の穂先が姿を現します。
上高地からはるばる半日ほどかけて歩いてきて、ようやく青空の下の槍ヶ岳の穂先を見ることができました。

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初日は天気……あんまり期待してなかったんだけどまさかの快晴といっていいくらいの青空で本当に驚いた。

栄養補給のソーセージ

槍ヶ岳の穂先を確認したところで緊張がほぐれたのか、一気に疲れが出てきたので一時休憩。ソーセージやアミノバイタルなどを補給しながら休憩してこの先の岩場を乗り切る準備を進めます。そして何よりも、ここから先は良い景色が連続するだろうからそれに対しての心の準備もね。

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槍ヶ岳登山はここからが本番だ……!

槍ヶ岳の眺め

天狗原へと向かうこの手前の地点から見える槍ヶ岳、いいですね。心が躍ります。
地形と合わせてみると高地の別天地感が沸き立ってくる。

天狗原分岐から見る槍ヶ岳

こうしてみると他の山々と違い槍ヶ岳ってかなり特殊な形状なんだなというのがよくわかる……、ジャンダルムとかに近い。
稜線の上に突き出た巨大な岩が山頂を形成しているんだなって。

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一日でここまでくるとなかなか疲れますが、天狗原付近は景色がとても良いので、ここを午前の良く晴れた時間帯に歩けると幸せになれるかなと思いますよ。

天狗原までやってくると池が姿を現します、そう……槍ヶ岳のリフレクションが撮影できる池です。
無風快晴の選ばれしタイミングのみで見れる景色です。

天狗原から見る槍ヶ岳

午後1時30分、天狗原。
午後一でしたが空はまだ青空、それどころか風も穏やかで非常に美しい槍ヶ岳リフレクションを拝むことができました。
槍ヶ岳を槍沢から南岳経由で登る時はこの景色を見ることができるのが最高だと思う。
景色を思う存分に楽しむのであればコースは長いけど南岳方面から回り込むのがおすすめ。

天狗原から見る槍ヶ岳

余りに景色が良かったのでしばらく撮影、するとどんどん雲が槍ヶ岳へと覆いかぶさってゆく……。
どうやら僕が歩いてきたのはギリギリのタイミングだったらしく、稜線は午後の昇温と共にガスに包まれて行ってしまいました。

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この景色を見れただけで初日は大満足です、見たいと思っていた景色をちゃんと見ることができましたよ。

天狗原を越えた後は南岳の稜線へと向かいますが、ここがこのルートの核心地。
ザイテングラートのような岩場が南岳の稜線まで続きます、ゴツゴツとした岩場を登っていきますが、鎖あり梯子ありの楽しい登り道です。あまりに激しいのでかなり体力を削られました……。

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装具削りの道でもあるので、バーサライトみたいな薄手の装備だと穴が開きそうで怖いな……。

ガスの南岳稜線

稜線に上がってみるとあいにくのガスの中、真っ白で何も見えません……。

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稜線から穂高や槍ヶ岳が見たかったのに……強風&ガスで寒いんだけど。

南岳山頂

午後3時50分、南岳山頂。
何も見どころがないまま南岳に到着。

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ち、畜生……、虚無岳だぁ……ッ!

ガスの南岳

午後4時00分、南岳到着。
南岳からは10分もたたないうちに南岳山荘に到着しました。テント場が大盛況な南岳山荘、多くの登山客でワイワイと賑わっているようです。ここにいる人たちってほとんど大キレットに行くか、大キレットから来たんだよね??

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実際は南岳新道を登ってきた人たちも多く、新穂高方面からの槍ヶ岳アクセスも多かった。
ただ翌日の人々の進路を見るとやはり大キレットが多かったかな。

今回は小屋泊ということで荷物を部屋に置いてその辺をうろうろしてみましたが……ガスは晴れず。
大キレット方面の降下地点や、南だけの真正面に見える穂高岳を撮影しようと息巻いていたんですけど……何も撮影できなかったわ。

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ガスの向こうから陽が差すものの、すぐに雲にさえぎられるし寒いしろくなことがなかった……。

南岳小屋の夕食

夕食はご覧のような感じ、ここ味噌汁の味が濃くておいしくて……3杯くらいお替りしながらご飯を3杯くらい食べてしまいました。本当においしいご飯でした、ありがとうございます。

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山小屋ではコメを3杯は食べないとね。

ガスの中の登山者

食後に山小屋を出てみても、やはり稜線はガスの中。
夕日に焼ける穂高を見たいなと思ったけどそれはまた今度となりました……。

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次回は夕焼けの穂高を見に来ようとおもいます。南岳新道は……こわいから同じルートにしようかな。

南岳から槍へ、3,000mの稜線歩き

2020年9月22日午前5時50分、南岳山荘出発。
おはようございます、Redsugarです……二日目ですが絶望の朝を迎えました。
3時には起きて朝撮影の準備をしていたんですが、朝は稜線に雲が張り付き真っ白な世界が広がっていました。
夜明け前に外に出た時には色とりどりのテントに明かりが灯り、皆さん朝焼けを期待していたと思うんですけど……、残念。

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仕方がないので部屋に戻ってふて寝して晴れるのを待ちましたが、だめでした。しょうがないのでタイムリミットギリギリの6時前に出発……。

ガスの南岳

南岳山荘を出発し中岳を目指します、南岳から槍ヶ岳までは片道3時間半のコースタイムとなり、道中は3,000m級の稜線地帯で景色は抜群……なはずなのだがなんだこの景色は。

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南無三宝ッ!!!

ガスの南岳稜線

おかしい、素晴らしい景色の中……午前の光の中で歩くはずだったのに目の前の景色はとてもモイスチャーなミストに包まれている。湿度も高く保湿剤なんて必要ない状況に肌も自然と潤ってくる。汗をかいているからじゃない、自然と湿る髪とまつ毛、滴る雫。

失意のまま南岳をあっさりと通過し中岳へ、槍ヶ岳もまさかの曇天かとびくびくしながら歩き続けていたがどうやら麓は晴れているらしい、稜線にだけ雲が張り付いているのか……。
そして時折日差しが雲の合間から差し込んでくる、これは晴れると確信を持つも午前4時から7時までの3時間は苦痛悶絶苦虫をかみつぶした顔で歩き続けることとなった。

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写真三枚目をご覧ください、穂高と違い南岳から槍ヶ岳までの道はこのような細かい石が積み重なった穏やかな道が続きます、とーっても歩きやすい。

ガスを待とう槍ヶ岳稜線
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中岳までの道中から見える東鎌尾根方面の景色は波打つような山肌が迫力あって好きだなぁ

朝日に色づくガス

常念山脈方面から陽が差し込んできた、雲が多い天気なのは変わらず……湿度の高い日本の秋口ですが山の上では雲が踊る。

岩場の稜線

所々アスレチックな岩場も現れますが、全体としては楽しんで歩くことができる優しめのコース。穂高を歩いた際は結構きついなと思ったけど、南岳から槍ヶ岳は全然嫌じゃないね。

槍ヶ岳方面の眺め

中岳手前位でようやくガスが晴れてゆく、この日の登山記録を色々見なおすと早朝ガスがかかっていたのは南岳から大喰岳あたりまでで、槍ヶ岳は晴れていたらしい。なるほど……穂高岳に登った時に撮影した朝焼けの写真では確かに瀧雲が稜線上にかかっていて、槍ヶ岳だけ頭を出していたっけ。

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つまり、他の山から槍ヶ岳を眺めていたら大丈夫だったかもしれないってことか。

槍ヶ岳と登山者

あ”ぁ”ぁ”ーーーー!!!最高の景色ィーーーーーッ!!

あまりの景色の良さというか、曇りからの大逆転快晴という天候変化による余りの興奮から神すらも叫んでしまったらしい。中岳付近から雲の向こうの槍ヶ岳が見えたときは本当にうれしかった……。

雲を纏う笠ヶ岳

凄まじい勢いで稜線の雲が流れていった……、視界が広がった先にはガスがまとわりつく笠ヶ岳方面の景色が。
どうやら本日、早朝は稜線にだけ雲がまとわりついていたらしい。

槍ヶ岳方面の眺め

中岳から槍ヶ岳方面はすっかり青空が広がる景色に、あの雲はいったい何だったんだ……。
中岳は画面左端の三角形のピークで標高3,084mの中間地点、南岳から槍ヶ岳へと向かう道中では半分くらいのところにある。

快晴の槍ヶ岳

中岳の登り口の手前位から眺める槍ヶ岳が非常にかっこいい。画面左下にはテラス形状で休憩に適した場所もある。
殺生ヒュッテと槍ヶ岳本体が良く見える絶好の位置。

槍ヶ岳の眺め

岩が連なる北アルプス随一の名峰といって差し支えない景色、南岳から歩いて正解だったな~と景色を見てしみじみ。
槍ヶ岳を歩くときは南岳と合わせた周回を積極的に採用することをお勧めしたいと思う。

午前7時15分、中岳。
小石が積み重なる山肌ですが道はしっかりしているので非常に歩きやすく、100mほどの登りを耐えると中岳の山頂に到着です、求めていた北アルプス3,000mの稜線の景色がここでようやく姿を見せてくれました。
槍ヶ岳方面は目の前に思いのほか巨大な大喰岳があるので山体を奇麗に見通すことはできないけど、それでもいい景色だ。

中岳からの槍ヶ岳

中岳から大喰岳方面の道を眺めると……歩きたくなる意欲が沸き上がる素晴らしい稜線です。

中岳からの槍ヶ岳

上層の雲が広がりつつある北アルプス、貴重な晴れ間を得て槍ヶ岳まで行きたいところ。

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撮影スポットとして中岳からの降下点はとても良かったです、背景に巨大な大喰岳と槍ヶ岳が見えて最高。

中岳からの降下点は一部はしご、最初に降るところは少し怖い人もいるかもしれない、降りてしまえば道幅がしっかりしている道が続くのでここは頑張りどころ。大喰岳までは鞍部へ降りて登り返すといった感じなんですけども苦ではない。
写真で見ると結構な距離があるように見えますが、歩くとすぐに終わってしまう楽しいエリアです。

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大喰岳山頂部にたどり着いてみると目の前に穂先が現れます、この景色がたまらん。

大喰岳から穂高を見返す

さてここで穂高方面を振り返ってみましょう。槍ヶ岳方面に比べるとなんと岩々しいことか……本当にここを楽しく歩いてきたのか疑問符が付くような景色が広がっている、画面中央の奥に北穂高と奥穂高が見えるけど恐ろしい形をしている。

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この景色を見るとやはり上高地→槍沢→天狗沢→南岳→槍ヶ岳→槍沢→上高地の時計回りルートが楽ではないかと思えてしまう。

大喰岳から槍ヶ岳を眺める

大喰岳から眺める槍ヶ岳、最高にクールな槍ヶ岳の景色を拝めます。あとさすがに南岳から3時間近くかけて歩いている関係か、大喰岳からの下りと登り返しは微妙に腹が立ちました。南岳からスタートして意外にこの稜線アップダウンを繰り返すので初見では結構ペースを挫かれる……。

槍ヶ岳の景色

午前8時10分、大喰岳。
大喰岳山頂部から見下ろす槍ヶ岳、かっこよすぎる。なんて見た目がいい山なんだ、こりゃ確かに百名山随一の名山ですわ。
南側から見るといい感じに独立峰気味な見た目になって良いです、とてもピラミダルな形をしていて凛々しい。

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あとはこの道をいったん鞍部まで下りて、槍ヶ岳山荘へと登り返すだけだ……!

槍ヶ岳への登り

鞍部から見上げる槍ヶ岳、槍ヶ岳山頂部まではクライミングみたいなもんだから徒歩メインで登る道は本日はこれが最後ということになります。登山二日目かつ数度の登り返しということで中々疲れていた覚えがある……、それに空に雲がかかり始めていて焦っちゃって、次回はもう少し楽しみたいところ。

午前8時30分、槍ヶ岳小屋。
大喰岳から鞍部へ降りて登り返して……ようやく槍ヶ岳山荘へ到着しました。道中槍平分岐などもあり数名の登山者の方々と道を同じくしましたが、やっぱり最後のこの登りは皆さん堪えてました、あと少しでゴールだと思うと辛くなる現象。

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槍ヶ岳山荘といえば毎年雑誌で見かける大人気の小屋、泊ってみたいところだけど予約が中々取れないんだよなぁ……。

槍ヶ岳山荘に到着したということで改めて周辺を見回してみると……、大喰岳が巨大すぎて穂高方面が全く見えなくなっていました、中岳や大喰岳の山頂付近で積極的に周辺を撮影しておいてよかったです。
西側と北西方面の景色は開けていて、裏銀座方面は視界が非常に良く三俣蓮華方面が相変わらずよく見えます。

百名山槍ヶ岳、その頂へ

槍ヶ岳本体

槍ヶ岳小屋で軽く行動食と水を補給したらさっそく槍ヶ岳登頂に取り掛かります、空模様的に曇るのか晴れるのかよくわからないし、とっとと登ってしまおう。
人が居ないのでスケールが良くわからないと思いますが、目の当たりにすると槍ヶ岳の山頂部って滅茶苦茶でかいな……。

槍ヶ岳の登り

とりつきから登っていくと登りルートはご覧のような道を案内されます、写真で見るとマジでどこ登ってんのかわけがわからない。実際に歩いてみるとペンキ付近は足場、グリップがしっかりとしているので迷うことなく登れる。

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槍ヶ岳の山頂付近はいきなり岩登りが始まる。

槍ヶ岳山頂へ

上を見上げるとこんな感じ、ほぼ垂直に見えるけどそんなことはないです。ちゃんと傾斜あるんで大丈夫。
地の底から這い上がるのかよと思えるような場所を上へ上へと登っていきます。

槍ヶ岳山頂へ

途中岩に打たれたボルトを足場にするなど人工物のほうがよっぽど怖いんだけど、という思いをした挙句梯子にたどり着きます。この梯子のほうが怖くてですね……、やっぱり人工物って信用ならないので本当にここは怖かったです。

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梯子の前の岩登りのほうが全然楽だったよ……。

槍ヶ岳山頂

午前9時00分、槍ヶ岳。
こうしてたどり着いた槍ヶ岳山頂ですが、時間帯が良かったのか山頂はがら空きでした。めちゃくちゃ空いててラッキー。
南岳から歩いてくると、槍ヶ岳山荘どまりの人とかがあらかた登り終えた後にやってくることになるので、人が少ないタイミングで登れたりするんでしょうね。そういう所も含めてこのルートいいなと思いました。

山頂から周りを見回す、裏銀座方面は気持ちよさげな天気で草紅葉は順調に進んでいるらしい、やっぱり裏銀座が好きだな。東鎌尾根はこれまた結構つらそうな道が続いている……険しそう。
槍ヶ岳から一番立派に見えるのはやはり笠ヶ岳、槍ヶ岳山荘の向こう側に弓折からの長大な稜線を抱える笠ヶ岳がくっきりと見えました。

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双六岳から歩く笠ヶ岳ってめちゃくちゃ楽しかったので、笠新道で悪いイメージを抱かないでもっと人気出てほしい。

穂高方面を振り返ると大喰岳から南岳までの稜線も中々険しかったんだなぁと。でもあのルートすっごい歩きやすかったからまた歩きたいな。

北鎌尾根方面

北鎌尾根を見下ろしてみると一応道が付いてる、これが山エキスパートが誇る尾根道か……。

槍ヶ岳山頂を堪能したので下山、下りのはしごの一歩目がマジで怖かった。もう一度言う、マジで怖かった。

redsugar

最初のはしごを越えたらあとはなんてことはない、オベリスクを降るようなもんです。3回言う、マジで最初のはしご怖かった。

槍ヶ岳小屋から見上げる

無事下山、あとは元気に上高地に帰るだけだ……。

東邦航空のは他のあたりに登ってくると正面に小槍が、あーるーぷーすーいちまんじゃ~くの小槍です。

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アルプス一万尺は後半の歌詞がゲスい、昔の山屋の品性とは……。

槍ヶ岳と小槍

槍ヶ岳から帰るのが惜しくてしばらく山荘の周りをうろうろ。小槍に登る人々を眺めたり、小槍と本体が収まる場所を探したりと小屋周辺を練り歩く。

午前10時15分、槍ヶ岳下山開始。
槍ヶ岳を眺めたり写真を撮影するうちに空には雲が広がり、下山タイムリミットも迫ってきたのでバッヂを購入したら下山へ。ちなみに上高地へ向かうとなれば午前10時出発は少し遅かったりします……。
横尾から頑張って2時間で帰ると心に決めていましたが、これがこの槍ヶ岳登山最大の悲劇を生むことになるのです。

遠い上高地、最終バスとの戦い

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あ、ヤバいこれ普通に歩くとバス間に合わないかも

そんなことに気が付いたのは天狗原分岐付近、快速で降りてきたんだけどこの速度を維持しても17時の終バスに間に合うかわからない状況、コースタイム的に降りでも槍ヶ岳山荘からは8時間近いということで、地味に危険だなと気が付きます。

午後12時55分、槍沢ロッヂ。
槍ヶ岳山荘を出発して2時間半ほどで槍沢ロッヂを通過、3時間半でコースタイムは書かれているがびっくりする程早く降りれたらしい。終バス逃すと上高地で途方に暮れることになる、それだけは嫌だということでとにかく歩く。

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歩きながら水を飲み、歩きながら飯を食いとにかく前に進む。この時気が付いていなかったのだ、休憩一切取らずに歩いてると靴ズレしやすくなるっていうことに。

横尾街道の湧水

道中渓流とかには癒されるけど、写真撮影もまばらにとにかく先を急ぎます。

流石に道中現れた猿の相手はしました、とはいっても撮影をしただけだけど。猿と見つめ合った時間~30秒~。

横尾

午後2時、横尾山荘。
槍沢から横尾までは平行移動が続き大してコースタイムを巻くことなくたどり着きました。
こんな時間に横尾を歩いてる人たちは大体キャンプ客とトレラン、水場で顔を洗って気合を入れ直すと上高地へ向かって再出発です。

redsugar

さすがに補給がヤバかったので行動食を少し入れましたが、この時の焦りっぷりは半端なかった。
だって終バスまであと3時間もなかったから、さすがに疲れてるしぎりぎりたどり着けるか?という心理状況でした。

午後2時50分、徳沢。

redsugar

あぁ!!!足が!足が熱い!!!

何事かと思って徳沢で靴を脱いでみたらめっちゃ靴擦れして血が出てました、これまでLOWAでこんなことなかったのに!さすがに重量級装備で早く歩きすぎたのか、足へのダメージがこんな形で現れるなんて……。
ということで心が折れたので徳沢でソフトクリームを食べました、いったん食べて冷静になろう。

redsugar

ふぅ……。

午後4時30分、上高地バス乗車。

redsugar

ついたったぁあああああッ!!!!

徳沢に着いた段階で多分間に合うなとは思ってたけど、無事上高地に到着したのは終バスの20分前、割とギリギリでした。
足も結構ダメージが入っている状況で、靴擦れが痛いなと思ってかばって歩いてたら別のところまで痛くなってくるし。
最後の最後でがっつりと身体にダメージが入りました……。
南岳ルートは楽しいけど下山時刻には気をつけないと駄目ですね、午前10時下山開始では忙しい。

redsugar心の声

バスに乗った瞬間あまりの安堵感に気を失うかと思った……。

下山後はせせらぎの湯へ、湖畔の湯じゃなくてちょっと変わったところに入りたかったんです……。というわけで変化球的に訪れてみましたが大変いい温泉でした、毎回違う温泉入りたい。
そして、下山後はラーメン食べたかったんですよね……、松本って毎回何食べるか迷うけどこのラーメン屋はナイスなポジションにあります。新島々から降りてきて三溝駅の近くの住宅街にあるラーメン屋です。
チャーシュー面のボリュームが良く、こってりとしたスープが特徴的なラーメンは下山後の塩気が抜けた身体にはとても良かったです。

redsugar

帰り道の途中にあるっていうのがとても良いよね。帰りの時間帯的に蕎麦屋が閉まってたらこちらのラーメン屋がお勧め。

というわけで南岳からの槍ヶ岳、大展望を満喫してからの下山で思わぬアクシデントでの下山となりました。
20年はライフイベントの関係もありこの槍ヶ岳登山で1年の登山は終了……、登山再開は2021年となるのでした。

快晴の槍ヶ岳

満足感十分の槍ヶ岳登山、Redsugarは南岳からが最高に楽しかった。
槍ヶ岳って色々なルートがあるので、何度も楽しめそうですよね。今回歩いた南岳からのルートは本当に景色が良くって、また歩きたいなと思わせてくれる道でした。ただ上高地からのアクセスが難点、正直槍沢越えるまで楽しくないんですよね……。でも天狗原付近からの面白さは抜群なので、是非また歩きたいなとは思います。
その前に、表銀座の縦走や西鎌尾根で歩いてみたいところだけど……。

これから歩く人は上高地からの片道の距離と時間を十分計算に入れて、ぜひ歩いてみていただければ幸いです、僕みたいに足を怪我しないでね!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。
    思わず「やーり、やーり!」と叫んでしまいました笑
    素晴らしい槍ヶ岳の写真をありがとうございます。
    西鎌尾根からの槍ヶ岳も本当に素晴らしいので、ぜひ歩いてみてください。

    • ろっぴ様、ありがとうございます。
      僕も写真を現像しているときに「いやぁー、いい景色だわ」と独り言をつぶやいておりました。
      思い返すと、初日の景色が意外にレアだったんだなぁと……。
      西側からぐるりと抜けていくのは是非ともやってみたいなぁと思います、あの尾根歩きたい……

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