【北海道】幌尻岳、遥かな日高の頂へチロロ林道コース日帰りで挑む

遥かなる日高山脈を見下ろす

2021年9月20日、遂にこの日がやってきたのだ……。
日本百名山というコンテンツの中で、圧倒的なアクセス難易度とコースタイムを誇る難易度トップオブトップ「幌尻岳」についに。北海道は日高山脈北部に位置する「日高の盟主」と言って差し支えない巨躯と特徴的な形状を持った山である。
標高2,052mだが北海道という地域の特性上、稜線部は森林限界となっている。さらには内地でも3,000m級の山でなければ見られないような氷河で削られた鋭利な形状の山々が続く……だがこの地域の最も恐るべきは「ヒグマの生息地」であることだろう。
幌尻岳、ヒグマの国である知床半島の羅臼岳を軽く越える標準コースタイム15時間越えを強いる恐怖と憧れの一座である。

というわけで幌尻岳を登る日がついにやってきました、序文の通り難易度を総合すると百名山最難関といって差し支えないでしょう。2020年以降はそのアクセスがさらに悪化しコースタイムが肥大化、挑戦者は荷物を背負いヒグマの生息地を15時間近い山行時間を強いられるようになってしまいました。
僕がアタックしたのは21年の秋、幌尻岳チロロ林道という日高の尾根を駆け抜ける過酷なルートでした。
ヒグマの恐怖を乗り越え降り立った日高の稜線、そこは黄色く染まった美しい山肌がどこまでも続く美しい山脈でした。

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幌尻岳チロロ林道日帰り登山、それは登ったものだけが美しさを知っている秘境の冒険。

目次

幌尻岳チロロ林道日帰り登山の概要

■概要
2015年以降、日本は夏になると豪雨災害や台風の影響で林道が被災することが多かった。
北海道の山々は登山道までのアクセスに利用される林道崩落が相次ぎました、幌尻岳もその影響を受け現在では平取以外のすべてのルートが本来の登山口までアクセスが出来ません。
今回の記録ではチロロ林道登山口からスタートしますが、記事制作時点ではチロロ林道登山口も林道崩落でアクセスが出来ません。チロロ林道使うときは北海道開発局の林道情報を絶対に見よう。

さて、幌尻岳登山ですがチロロ林道側からのアクセスは幌尻岳の異様なる姿と、七つ沼カールという景勝地を楽しむことが出来るという唯一無二の利点があります。景色がぶっちぎりで良いのです。
季節のおすすめは僕は秋だと考えています、日高は森林限界が比較的高いことやコースタイム、氷河地形が広がりお花畑なら大雪山のほうが良いという観点から、秋こそが日高お勧めの時期ということで今回は歩いています。
結果は大正解で内地では中々見れない黄葉ベルトを見ることが出来ました。

■アクセス
チロロ林道登山口は22年時点ではアクセスできないのですが、復旧工事は進んでいるとのことです。
日勝峠の占冠方面からチロロ林道はアクセスする形になります。
内地からアクセスする場合は帯広空港に降りて、帯広駅前に宿を取るのが良いでしょう。
帯広駅から高速道路を使い日勝峠にアクセスするとチロロ林道入り口までは1時間ほどになります、そこからチロロ林道を1時間進めば登山口、2時間の運転となります。
占冠の道の駅で車中泊を選択する人もいるようですが、補給を考えると帯広がお勧め。

■コースタイム
北トッタベツ岳登山口3:35→登山道入口4:10→トッタの泉5:40→ヌカビラ岳6:35→北トッタベツ岳7:20→トッタベツ岳8:25→幌尻岳山頂10:25-11:10→トッタベツ岳13:15→北トッタベツ岳14:10→トッタの泉15:20→取水施設16:35→登山口17:10
合計登山時間 13時間35分(標準CT19時間くらい)
重ねて言いますがめちゃくちゃ長いコースです、最軽量トレラン装備で挑んで13時間です。
フルマラソンを5時間以内でゴールできるくらいの体力が最低限求められる山です。

チロロ林道登山口から始まる大登山

2021年9月20日、午前3時00分チロロ林道入り口。
こんばんわ、Redsugarです。
ついに、ついにやってきたのだ……百名山最難関として知られる幌尻岳に……。パンピーが百名山に挑戦した時、最も困難とされるのは北アルプスの山々でも南アルプス南部でもない、北海道日高山脈だ!!
遥かなる頂となる幌尻岳、しかもコースは日帰り難易度最高峰のチロロ林道コース。
これまで培ってきたすべてが試される場所へ向かっている。

というわけでチロロ林道入り口に着いたのが午前3時でございます、車の時計を見りゃわかると思いますが午前2時台から車を走らせて日勝峠を越えてチロロ林道入り口にやってきました。
HOAさんの看板を目印に林道目指して舗装路を進み、入林BOXがあるゲートを通過してからさらに無慈悲な林道を走り続けます。

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実家が音更で本当に良かった。高速を利用してチロロ林道にアクセスするのが2時間前後。これまで家から最も近い百名山がトムラウシか雌阿寒かという感じだったのですが、実際には幌尻岳だったというのが判明しました。まぁ、日高山脈を見て育ったと言えるくらい近かったんだからそうか。

深夜のチロロ林道

ゲートをくぐった先はヒグマの生息地、真っ暗な森の中をグネグネと走る林道をひたすら走り抜ける。
ちなみにこの時乗ってるのは埼玉で乗り回してたラクティス(FF駆動)になります。
子供のころからのことを思い出すとですね……北海道はFF車か4WDが多いんだけど、最低地上高130㎜くらいの車で平然と林道みんな入ります、登山だからSUVなんて思わなくてもいいのよ。

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SUVが欲しいと思っていたころが僕にもありました……。

午前3時35分、北トッタベツ岳登山道入り口。
大体3時半時前くらいに登山口に到着……、この時の感想は「これはもう、登れる」という思いが強かったということです。
登山において大変なのは登山口に着くまでのことが多く、登山口に着くまでの準備が大変。
日程調整も、家族との調整も、装備も万全でやってきた幌尻岳、あとは登るだけ。

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GPSも完璧な状態、これは勝てる……!!

トッタベツ入り口

午前4時10分、北トッタベツ岳登山口
北電ゲートを越えて取水施設までは片道1時間半の林道歩きですが、ここはナイトハイクで頑張ればめちゃくちゃコースタイムを圧縮することが出来ます、駐車場から30分くらいで到着できた。

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この林道、塩見岳のナイトハイクの経験が凄い生きていた。
塩見岳日帰りが出来ればチロロ林道は余裕でイケる。

深夜のチロロ林道アタック

ヒグマがうろうろしてそうな林道歩きの次は、ピンテ便りの原生林ハイキングです。
秋だとラワンブキ等のお化け植物が狩り払いされているのでコースが明確になります。
これがマジで怖いんだけど、ナイトハイク特有のヘッデンが照らすところ以外は世界が閉じていることで速度だけは早い。

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北海道の登山では山岳会の方々の狩り払い時期って重要です、整備前は原始の森が広がる状態です。

深夜の渡渉

チロロ林道コースの前半は何度も何度も足首渡渉を繰り返します。なのでハイカットシューズは必須です。
この日のためにウルトララプターIIを使いこなしておきましたが、本当に正解だったと思います。
雨の次の日など増水時はマジで危険度が爆上がりするコースでもあるので、晴天が続くときが登り時。

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チロロ林道前半はアドレナリンが凄い、いつヒグマに襲われてもしょうがない上にピンテがわかりにくい、そして北海道の渓流を何度も渡渉する。心霊スポットとかカスに思えるようなストレスがかかる状況で逆に興奮してしまう。

深夜の渡渉

徐々に空が明るくなってきました、渓流沿いを1時間以上歩き続けるこの朝の時間帯が幌尻岳で最も辛い時間帯。

深夜の沢沿い

空が明るくなりヘッデンを外しても良い状況になりました。事前トレーニングに常念岳一の沢を選択しましたがその選択は間違ってなかった。だって幌尻岳も川の中に登山道があってそれを上がっていくところが沢山あるんだもん。

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マジで増水時はダメだわこのコース、直近で知り合いが登った際に人死んでたし。

夜が明けてきた沢沿い

渓流の左右を行ったり来たりしながら登山道とりつきを目指します。この辺になってくるとこの急な地形の沢沿いにヒグマがいるわけないかという謎の安心感が湧き上がり、とにかく先を急ぐように進むことが出来るように。

幌尻岳の滝

上流は斜面のいたるところから滝が流れ込む景色。
植生がもう北海道なんだよなぁ……、内地とは雰囲気が全然違う植生の森を奥へ奥へとひたすら進む。

幌尻岳登山道とりつき

午前5時25分、渓流歩き終わり。
取水施設の登山口から1時間以上歩き続けて登山道のとりつきまでやってきました、沢沿い歩き本当に長かった……。
でも安心はできないのです、幌尻岳はここからトッタの泉までも写真撮る余裕が全くないレベルの急登が続きます。
しかも足元の黒土が脆い所もあって登るのすごいきつかった……。

午前5時40分、トッタの泉。
急斜面に設けられた猛烈な登山道を登り続けてトッタの泉へ、この15分くらいが激辛かった……。
トッタの泉は北海道では珍しい煮沸なしで飲める湧水になります、石清水は飲めるんだよね北海道。
スタート時に500mlに調整してたハイドレーションを3リットルまで補給して幌尻岳へと挑みます。

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ナイトハイクの場合は水量調整がお勧めです、トッタの泉で3リットル補給を前提にスタート時を軽くすると前半体力を温存できます。ちなみに秋でもトッタの泉から幌尻岳までの往復では3リットル消費したので、水は豊富に持ってた方がいいです。

紅葉の幌尻岳へ

トッタの泉から先も激登り、黄葉が美しい森が広がり続けるもその急な斜度に顔がゆがむ。
下山の時にこの滑りやすい道を降るのかと思うと……でも今はそんなことよりも山頂を目指すのが優先です。

目覚める日高の稜線

夜明けの日高山脈

トッタの泉からヌカビラ岳山頂まで登り続けていると森林限界に差し掛かり展望が開ける。
朝日が日高山脈に降り注ぎまっ黄色な森が見える。

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もののけ姫でアシタカが旅立った後の夜明けのシーンみたいだったよここ

雲が覆う幌尻岳

南側に目を向けると巨大な山にかかる水平の雲、これが幌尻岳と気が付くのに時間はかからなかった。
そして、最初にこの景色を見たときは本当に絶望を感じた。

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まじか、山頂だけ曇ってる……晴れるのかこれ。

ヌカビラ岳登り

ヌカビラ岳への最後の登りは突き出した大きな岩々を踏み越えて進んでいく、このハイマツの頂に立てば稜線だ……。

遥か彼方の幌尻岳

ヌカビラ岳の山頂付近には金庫岩のような立派な岩が。ランドマーク的なこの岩と幌尻岳の景色はチロロ林道を歩いてきた登山者が最初に目にする報酬的な景色。

ヌカビラ岳稜線

午前6時35分、ヌカビラ岳山頂。
金庫岩的なランドマークを超えるとすぐに山頂へ到着、さんさんと朝陽が降り注ぐハイマツの稜線地帯へ。
このハイマツの稜線、これこそが北海道日高山脈の尾根の景色です。
氷河で削られきれいな三角形となった山がどこまでもつながっていきます。

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ヌカビラ岳の山頂でいったん体制を整える、なぜかというと稜線は爆風が吹いていて寒かった。
それとエナジージェルの補給をこの地点で行いました。山頂部は開けたところもあるから、まず上ったらここで休憩がおすすめ。

幌尻岳への稜線

ヌカビラ岳から遠く幌尻岳を眺める、画面左上の幌尻岳までここから何時間も歩かなくてはならない。
画面左側からぐるりと迂回するように幌尻岳へ向かう、その間のアップダウンは言わずもがな。

紅葉の幌尻岳の山肌に差す一筋の光

雲と稜線の隙間から差し込む朝日が山肌の重厚な黄色を描き出す。

朝の日高山脈遠景

北側を眺めてみるとチロロ岳からルベシベ岳へと続く稜線が見える、あちらも黄色く染まった稜線付近の黄葉が特徴的。
山頂直下まで黄色いから、稜線はハイマツだけどすぐ下に樹林帯が広がっているのか……。

テント泊の登山者

ヌカビラ岳から北トッタベツ岳へ向かう途中、テント泊の方々を発見。ヌカビラ岳から北トッタベツの間には2か所ほどテント適地があります。

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ヒグマの生息地なのでここにテント張るのはなかなか勇気が必要だが……贅沢なテン場だわ

幌尻岳遠景

太陽が昇り徐々に景色が色鮮やかになっていく中、幌尻岳方面はかなり風が強いのか山頂付近をすごい勢いで雲が流れています、この段階では晴れそうな雰囲気だったんだけど、北トッタベツからトッタベツ岳へ向かう道中天候は一時的に超風が吹き荒れる状況に。

トッタベツ岳方面

鋭い三角形の影のような山、あれがトッタベツ岳です。
幌尻岳とトッタベツ岳を結ぶ稜線の鞍部には七つ沼カールという幌尻岳最大の景勝地があります。だがそこまでのルートは険しい……。写真撮ってる箇所から登って降りて登って降りて登ってと、何度上り下りするんだという状況になる。

午前7時20分、北トッタベツ岳。
幌尻岳の稜線に近づけば近づくほど天気が悪くなってきました、メンタルもこの辺でぐずぐずの状態。
北トッタベツ山頂はすさまじい風が吹き荒れており、立っているのがやっとという状況でめちゃくちゃ寒い……。
すぐに山頂を後にして鞍部へと下る。

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太陽の光が差すエリアの黄葉は本当にきれいだった。だけど稜線部は雲が流れていて風速20m近い風が吹き荒れている、まっすぐ歩くのが難しいような状況で、撤退するか悩みながら進んだ。

七つ沼カール方面

トッタベツ岳を目指して日高の稜線を進むが画面上に雲がかかっていることもわかるように、稜線部はすさまじい風と雲が流れていく。晴れていれば黄金色の草黄葉などが楽しめるはずが……。

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ヒグマとかもうどうでもいい、この爆風……やべぇ。

幌尻岳山頂を流れる雲

昇温で発生した雲が山の中腹からどんどん流れてくる、幌尻岳北カール側も雲に覆われてるのだが風の流れが速く生き物のように雲が形を変えてこちらに向かってくる。
西側は快晴だし予報的にも今この状況を耐えきれば晴れるという確信はある。
だけど、晴れるまで待っていたら帰れなくなるのではないかという危機感があり、爆風の中をゆっくりと進むことに。

暴風吹き荒れる登山道

トッタベツ岳への登り道付近が最も風が強かったエリア、目の前に鋭利な三角形のトッタベツ岳が見える……が。
換気扇を通り抜ける煙のような速度で雲が西から東へと流れていくという地獄のような景色が広がっていた。

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地形的に風の通り道だっていうのはわかった、けど風が強すぎる……。経験したことがないレベルの風速で、時折耐風姿勢を取りながらじゃないと進めない。

雲の中に隠れる山頂

すさまじい風が吹き荒れる日高山脈稜線部だが日差しは着実に差し込んでいる。予報的にも必ず晴れると信じて進みます。
魔王城のような幌尻岳はあともう少しなのです。

日高西部の山並み

必ず晴れるという確信はどこから?というと西側の景色にありました。歩いてきた道を振り返るとめちゃくちゃ晴れてる……。

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最高にご機嫌な景色が広がってるぜ。

午前8時25分、トッタベツ岳。
トッタベツ山頂への登りは生きた心地がしませんでした、局所的に歩いた瞬間身体が浮き上がるレベルで風が吹いている場所もあり、後ろからやってきたトレラン登山者の方と一緒に岩陰でしばらく退避することに。

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こんなに風が強い登山したことないです……。

幸いなことに風が徐々に緩んできたので山頂へ到着できました、もうすごい勢いで山頂をスルーして七つ沼カールへ……。
って七つ沼カールがめちゃくちゃ暗い。

幌尻岳、七つ沼カールの頂へ

雲が抜け行く七つ沼カール

爆風のトッタベツ岳を通過するとさっきまでの風が嘘みたいにおとなしく……、なんだったんだあれは。
目の前には赤と緑と黄色と美しい紅葉の七つ沼カールが見えてるんですけど、流れる雲の影響で肝心のカールが真っ暗です。

幌尻岳を目指して稜線を歩く登山者

先ほどトッタベツ岳で一緒に退避したランナー系登山者の方がガンガン先に進んでいきます。
七つ沼カール付近は道が細く、ハイマツが生い茂っているので速度を上げることができなくてつらい。

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僕が歩いた秋はそれでもハイマツが刈払いされていて歩きやすくなっていました。刈払いされてなかったらどうなっちゃうのよこれ……。

雲が流れる山頂

雲が晴れ風が和らぎ幌尻岳の稜線が姿を現し始めます、感動的……神々しい景色やーー!!!

ハイマツの稜線を上る登山者

晴れ行く幌尻岳の景色に感動したものの、目の前の登山道を見つめるとご覧のようなありさまである。
この鋭利な山肌に人一人分だけ設けられた険しい道、しかもすごいアップダウンなんだな。

黄葉の七つ沼カール

七つ沼カール降下地点付近で七つ沼カール宿泊パーティーと談笑、携帯スピーカーから爆音で懐メロを流すパーティー。
普通の山ならマナーで怒られそうだけどこの最果ての極地幌尻岳では逆、まじで心強かったし勇気づけられた。
昨日も天気が良かったが今日もこれから晴れる、頑張ってねという言葉をいただき山頂を目指す。

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見下ろした七つ沼カールは黄金色に染まった素晴らしい景色が広がっていた。ちなみに降りるだけで30分はかかるからやめといたほうがいいということで、下まで降りるのはやめといた。

幌尻岳のハイマツ

鞍部に到着したあとは山頂を目指すのみ……、幌尻岳の肩まで登る道はハイマツブロッカーが有名でしたが刈払いされてたので高速道路化していた。

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これはマジでラッキーだった、この登り道の難易度がすごい下がっていた。

晴れ渡る幌尻岳山頂方面

ハイマツの中を泳ぐような登山道だが、斜度もかなりきつい。ジグザグじゃなくてほぼ直線で登っていくというのもかなりつらい。正直朝の3時付近から歩き続けて山頂前でこんな急斜面の登りを用意されたら心が折れても仕方がない。
しかも、ピストンだからまだ半分も来てないんだよね。

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すさまじく巨大な幌尻岳の山肌を上るこの瞬間の恍惚とした瞬間は忘れがたい……。

黄葉の七つ沼カール

幌尻岳への最後の登りはそれはもう大変ですが、周辺の景色がその苦労を吹き飛ばしてくれるのです。
七つ沼カールを挟み神威岳からエサオマントッタベツ岳方面に目を向けるとこの超常現象的に黄色い紅葉の大地を楽しむことができるんですもん。

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こんなの見たことがない、北海道の日高だからこそ見れる景色だ。

黄金のじゅうたんが山一面を染め上げる、黄色一色。

幌尻岳の登り

ハイマツを越えてついに幌尻岳の稜線部へと昇り詰める、高山植物の残り香がこびりつく優しい道を登れば幌尻岳の肩はすぐそこ。

七つ沼カールを見返す登山者

先行していたトレラン系登山者とここでスライド。肩を越えれば山頂までは緩やかです!と励まされる。
ふと後ろを振り返ると七つ沼カールとトッタベツ岳が織りなす凄まじい景色が広がっていましたよ……、思わずカメラを構えて登山者が歩く景色を撮影させてもらう。

七つ沼カール
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さっきまでの爆風何だったんだろう……。そう思わせてくれる極楽の景色が目の前に広がっている。

幌尻岳山頂へ

幌尻岳の肩から先に幌尻岳山頂が現れる、肩から山頂までも実は30分以上の距離がある……けどこれまでの道のりを考えるとこれはご褒美です。天上世界の景色を楽しみながら歩くことができるというご褒美が続く道なのです。

平取町ルート方面

西側の北カール外輪部には平取ルートの登山道が刻まれてるのがわかる、向こうもすごいところを通って登るんだなぁ。
そして向こう側から見る北カールの景色も美しそう。

東カールの黄葉

幌尻岳山頂に近づくと目の前に黄色く染まった東カールが見える。黄金のスープが底にたまったお椀みたいなってる。
遠景には氷河で削られ急峻な姿となった日高山脈の姿、特徴的だなぁ……。

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この景色の向こう側にカムイエクウチカウシ等の山々がある、恐ろしい魔界としか言えない。

幌尻岳稜線

幌尻岳山頂へ向かう稜線歩きは本当に美しく楽しい、これまでの苦労がすべて報われた。

幌尻岳山頂

午前10時25分、幌尻岳山頂。
山頂に到着したとき不意に口から「やったぁ……」と言葉が漏れ出ました、大変な目にあいましたがヒグマに遭遇することなく、黄葉最盛期の幌尻岳山頂にやってきたのです。
山頂にたどり着き、そこで休んでいたテント泊の方々から聞いてみれば類稀なほど黄葉が鮮やかな当たり年だといわれ嬉しくなりました、まさに最盛期の最も旬な幌尻岳を味わう形で登れたのです。

コースタイムを計算すると1時間は山頂に滞在できることが判明、すぐさま荷物を降ろし景色を眺めながらの優雅な昼食を楽しみます。帯広音更の民にはお馴染みの「ますや」のパンを食べながら日高の景色を味わい、ダッフィーを撮影。

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記念撮影をしますがその視線の先には十勝幌尻岳などの山々が見える。

小型三脚

今回の幌尻岳、記念撮影をするためだけに三脚を使うという最近の状況から「三脚持ってくのいい加減ばからしい」ということでこちらの小型三脚を利用することに。山頂付近に1mくらいの背丈の岩があれば記念撮影できます。

黄金に輝く紅葉の山脈

幌尻岳山頂から見渡す紅葉全盛期の日高山脈。幌尻岳から東側にはエサオマントッタベツ、カムエク、十勝幌尻岳と一級品の山々が続く上に、そのすべてが黄金色の黄葉で染まっている。

redsugar

黄葉がもう少し降りた時期はそれはそれで凄いことになりそうだ。

幌尻岳山頂を満喫、山頂の登山者たちは全員チロロ林道利用者だった。
登山口まで戻るのがしんどいですねと談笑しつつトッタベツ方面を振り返る、これ引き返すのかっていうのが本当に信じられない。幌尻岳登山の真骨頂は下山にあるのだ。

redsugar

写真を見てくれ、今からトッタベツへ登り返す。そのあと北トッタベツ、ヌカビラ岳と何度もアップダウンを経由する。
そのあとは激下りから真夜中に歩いた渓流と林道歩きだ……、ここからが幌尻岳なんだよ。

午前11時10分、幌尻岳下山開始。
黄金色に染まった東カールと日高山脈中心部の景色をばっちり記録したら下山開始。幌尻岳山頂は足元には赤い紅葉の絨毯が広がり、その遥か眼下には黄色い森が広がるという素晴らしい山でした。

石とハイマツの稜線

小さな岩が転がりハイマツが点在する穏やかな稜線を肩まで歩くが名残惜しい。

redsugar

下山したくない下山したくない下山したくない!!!(あの道を戻りたくない)

日高の山肌を良く眺めてみよう、アルプスや上信越とは全く違う急峻な山肌と、それを覆う樹林帯が織りなす景色がわかるだろうか?

七つ沼カールを眺めるRedsugar

山頂を出発して1時間、この稜線だけは味わって歩きたかったが十分に満足できました。
そして方から見下ろすトッタベツ岳と七つ沼の景色、幌尻岳チロロ林道を一番いい時期に歩くことが出来たのです。

redsugar

この写真を撮影した時、全ての苦労が報われた……。

地獄すぎる登り返し

トッタベツ岳へ向かうために降って登る……、下りも小さな岩場の昇り降りが多く本当に大変。
そして何よりも目の前のトッタベツ岳、本当にあれ登り返すのかよという絶望にかられる。

redsugar

ここが一番きつかった、幌尻岳最大の難所はこの七つ沼カールの登り返し。

快晴の七つ沼カール

正午付近となり黄葉が一段と鮮やかさを増した七つ沼カール。ヒグマがいないか探してみたが幸いなことに見つけることはできなかった。しかし風光明媚で美しい場所だ……木道とか整備されたらめっちゃ楽しい場所だろうな。

午後1時15分、トッタベツ岳。
トッタベツ岳の登りは本当にきつかった、吐くかと思った……。事前にアミノバイタルと水を補給して、登りは比較的大丈夫なように補給は整えていたんだけど、それでも辛い登りだった。
山頂からは朝見ることが出来なかった北トッタベツ岳への優雅な稜線が続いていた。

redsugar

朝は歩くのがつらかった道だけど、風が無い晴れた日であればこの道もまた甘美な景色と歩行体験を提供してくれる。
幌尻岳登山では山頂稜線の次に良いと思えた道だった。

北トッタベツへのハイマツ帯
redsugar

トッタベツ岳から北トッタベツ岳の道は非常に楽しい!コンディションが良ければここは推せる!!

途中で幌尻山荘分岐がありますが、この分岐付近から見る幌尻岳と北カールの姿は是非とも目に焼き付けておいてほしい。
幌尻岳という百名山にふさわしい巨大な山の持つ異様な迫力をまざまざと見せつけられる。

redsugar

異様な迫力というか、凄みを感じる形をしてるんだよね幌尻岳。南アルプスの赤石岳以上に巨大ではないかと錯覚する存在感。

吸い込まれそうな日高のカール地形

日高のカール地形が生み出す超巨大な滑り台のような山肌と谷底。

午後2時10分、北トッタベツ岳。
甘美な稜線歩きを味わい北トッタベツ岳に到着しました、日高の稜線歩きももうすぐ終わりです。
朝は風が強く、雲で景色を楽しむことが出来なかった稜線だけど、午後に入り全てを楽しむことが出来ました。

redsugar

ヌカビラ岳へ向かう道のアップダウンはそこまで大変ではない、ここは優雅に歩きとおせる。

幌尻岳とトッタベツ

ヌカビラ岳へと向かう道中、トッタベツ岳と幌尻岳の2ショットを眺めることが出来ます。色鮮やかで美しい紅葉のその先に……、城塞のような幌尻岳の姿。

ヌカビラ岳山頂で最後の補給と幌尻岳の見納めです。あの金庫岩と幌尻岳を絞りを変えて何枚も撮影し下山することにしました。

redsugar

名残惜しい……、この近くにテントが張ってあったがお邪魔して明日もこの稜線を歩きたいくらいだ。
日帰りでここを歩くなんてもったいない事だったんだよ。

覚悟していたトッタの泉までの下り道、それは西日と黄葉が生み出す幻想的な景色のおかげで足が止まってしまう楽しいものになりました。さっきまで眺めていたあの黄葉ベルトの中は黄金世界だったんです、もったいなくて足が進まなかった。

午後3時20分、トッタの泉。
まだまだ下山は長い、トッタの泉に到着したタイミングで水を確認すると残り500mlほど、1ℓまで補給しました。
そのあとは本当に急な、濡れた坂道を降りきり渓流沿いのコースへ……。
ここに到着したころには日は西へと沈もうとしていて、谷底は再び薄暗い景色が広がっていました。

夕方の渓流を走る

夜は見ることが出来なかった二ノ沢の景色、ピンクテープを頼りに何度も渡渉を繰り返し駐車場を目指すが……ここが本当に長かった。しかも、下山では道がわかりにくく何度か獣道に誘い込まれそうになったのが恐ろしい所。

午後4時35分、北電取水施設。
トレラン装備で途中走りつつも、1時間以上渓流沿いを歩き続けて取水施設へ……あとは林道歩きだけだという安心感と、最後に林道でヒグマに合うんじゃないかという恐怖感が襲い来る。
ナイトハイクで歩いた林道へたどり着くと、身体が終わりを察したのか足が少し重たくなってました。

redsugar

この最後の林道が感覚的に長かった……。

午後5時10分、駐車場。
赤いラクティスが見えたとき「やったぁあああああッ!!!」ど怒号ともつかぬ雄たけびを上げてしまいました。
幌尻岳チロロ林道日帰りを完遂したのだ、しかも日暮れ前に!!これまでの登山の中で最高の達成感と満足感が全身を駆け抜けました。

redsugar

紅葉最盛期の幌尻岳を、チロロ林道から登り七つ沼カールが最高の状態を撮影した。日高山脈の黄葉ベルトが美しい景色を思う存分に楽しみ無事下山した……!やった!

その後、チロロ林道から日勝峠を抜け道東道から家族の待つ実家へ。
PAで飲んだナタデココヨーグルトが忘れられない味になりました。
というわけで幌尻岳チロロ林道日帰り登山は無事終了、記事として申し訳ないのは実家利用なので下山後の風呂と食事を紹介できないことですが……チロロ林道利用なら占冠じゃなくて帯広方面の清水に戻るのが一番かなと思います。

さて、幌尻岳下山後ですがお土産は実家周辺で済ませました。
特に新得系のそばをあるだけ購入、どれもおいしかったんだけどこの幌加内そばとかは特に癖が無くてスルルッと口に入る良い乾麺蕎麦でした。やっぱり北海道民の僕は北海道の蕎麦だね!!

幌加内そば

食感最高!歯ごたえ抜群かつ喉越しが気持ちいい!!香りも立っているし北海道のそばやっぱり美味しいじゃん!!
水上そばに迫る位美味しい!!口の中にそばが全く残らずスッと入っていく……。
この癖のなさが良いんだよなぁ……、山芋系とかのもそもそした食感は全くなくシンプルな蕎麦、それでいて香りが強いこの蕎麦はとてもおいしかった。

redsugar

ということで、北海道は帯広周辺だと新得蕎麦が有名なので、乾麺趣味な人が居たら買ってみてくださいな。
信州そばに負けない素材のおいしさがありますよ。

七つ沼カールを眺めるRedsugar

百名山最難関幌尻岳、日高の大自然は秋がお勧め
チロロ林道コースという気苦労の多いコースは多くの登山者にお勧めすることはできません。
ヒグマの危険性もありますし渓流沿いのコースや稜線の風はしっかりと対策をしておかないととても怖い場所です。そして何よりも体力、テント泊でも日帰りでもこの山に挑戦するにふさわしい体力というものがあります。
それらを揃え頂に立った時、達成感と共に感嘆の声が空に響き渡ることでしょう。

日高山脈の秋、全山紅葉ではないものの素晴らしい黄葉が山脈全体を彩ります。
手付かずの原生林が黄色く染まり、遠く見える山々も黄色から青へと移り変わるグラデーションに彩られる。
黄金色の七つ沼カールや日高山脈中央部の眺め、百名山登山の中でも記憶に残る景色となるでしょう。
人生最高の山だこれ……。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。
    昔redsugarさんがtwitterに写真を公開されてから、幌尻岳の記事はずっと楽しみにしていました!
    素晴らしい景観と素晴らしい黄葉ですね、これはトレーニングと軽量化を頑張って登る価値がありますね。
    日帰りなのは流石です。

    • ちょうど二年前になってしまい申し訳ない、頑張ってリアルタイム更新にしようと猛烈な勢いで書いているつもりです。
      幌尻岳は素晴らしい&素晴らしいでした……、後意外に登ってみるとイケんなこれっていう感じがあった山でもあります(岩場が無いから)
      マラソンに近い感覚で歩けたので何とかなったなーと……、塩見岳に似ててくれて本当に助かりました……。

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