2019年11月17日、奥多摩の奥地である山梨県小菅村にある大マテイ山、鶴寝山で紅葉狩りをしてきました。
標高は大して高くはない山なのですが、秀麗富岳の一座である奈良倉山の近くにある鶴寝山から見る富士山の姿は見事ですし、大菩薩嶺から道が続く大マテイ山は真っ赤な紅葉の名所になっています。
以前歩いてとても感動した大マテイ山、秋のおすすめ登山スポットとして当ブログではとりわけ人気がありました。
奥多摩からバスに揺られてさらに奥地へ行く必要があることから穴場的なスポットというのもあるのですが、奥多摩東部ではあまり見ることが出来ないような紅葉を楽しむことが出来るのが理由かなと。
雲取山から西側はカラマツ紅葉が美しく特徴的な景色を作り出す山が多いのですが、鶴寝山もその例にもれず。富士山を望む山頂部分からは黄金色のカラマツが山肌を彩ります。
11月の紅葉登山、関東にいるならば富士山を望む山がお勧めですが……ザックにプリンやデザートを忍ばせて山を眺めながら至福のひと時を過ごしてみましょう。
小菅の名山、大マテイ山について
道の駅小菅から朝のワサビ畑を抜けて
2019年11月17日午前10時20分、鶴寝山山頂。
おはようございます、Redsugarでございます。
金色に輝くカラマツ紅葉の鶴寝山山頂から富士山を見に来ました、11月中旬は紅葉も終盤戦ですが奥多摩エリアはこの時期でも立派な紅葉を楽しむことが出来ます。
奥多摩駅からさらに西へと進み山梨県小菅村にあるこの山はカラマツの植樹も多く黄葉が大変美しくなっております。
関東在住で11月に気分転換的に紅葉を楽しみたくなったら、奥多摩を歩いてみるのが大変お勧め。今日はそんな紅葉のおすすめ1座を歩きます。
2019年11月17日午前6時40分、道の駅小菅。
さかのぼって早朝、今回は車でアクセスしてしまいました道の駅小菅。
同行している写真家の方と黄葉を撮影しながら歩こうということで登山時間を十二分に確保する予定でこの時間に。
登山を楽しむということであれば、電車とバスを繋いで道の駅小菅にやってくるのがお勧めです、鶴寝る山から大マテイ山を繋いでもそんなにコースタイムは長くないから帰りのバスには十分に間に合います。
道の駅小菅は山魚の名産地といわんばかりの案内板が飾られております。塩焼き食べたいけど朝なので何も開いていない。
小菅の湯を出発して山沢川沿いの林道終点を目指して歩きます、早朝ということで他の底の沢沿いは暗い雰囲気。
鶴寝山、大マテイ山へとアクセスする場合、モロクボ平から尾根を経由するコースと山沢川沿いの林道を歩くコースの二つがあるのですが、山沢川コースの景観が素晴らしくこちらばっかり歩いてしまう。
モロクボ平側は歩いたことないんだけど、経験者曰くただの尾根道だから行かなくてもいいよということらしい。
沢沿いの林道の何が良いって、この山沢川の渓流が美しいのですよ。
林道終点を過ぎると山沢川にはワサビ畑が、この近くの農家さんの土地なのかかなり大きいワサビ畑が上部まで広がっています。
以前はここで農家さんに格安だからと言って巨大な本ワサビを販売してもらいましたね。
ワサビ畑沿いの登山道を進んでいくと上部の渓流が見えてきます。
この山沢川は大雨の影響などを受けると流れが変わるらしく、前回歩いた時とは川の形状が若干違っていました。
尾根へとり付く直前、山沢川上部はこのあたりが一番美しい、黒い岩肌に紅葉した落葉が散らばり、その横を清流が流れていきます。清流が流れる音は天然のASMRです。
写真家の方と一緒に歩いていたのですが、大マテイ山は苔むした倒木も多く被写体には困らないといった様子でした。
山は被写体の宝庫だけど奥多摩よりも少し奥へと入ったこの山は見れるものがまた違うんだよね。
山沢川から尾根にとり付くために杉林をつづら折りに登っていきます、大体このあたりで朝日が森の中に差し込んできました。
関東の山といえば杉の植林、そこに朝日が入る光景は「関東の山歩き」を想起させる象徴的なシーン。
奥多摩で登山を始めた身としてはこういう景色には故郷の趣というか、「あぁ、奥多摩の森ってこういう感じだよね」という感覚が湧き上がる。
各々の登山のふるさと的な景色があると思うけども、低い森にそういうものは現れやすい気がするな。植生の影響が強く出るから。
紅葉輝く巨樹の道
杉林を越えると早々に広葉樹の紅葉が美しい森へとやってきます、鶴寝山と大マテイ山の特徴はこの広葉樹の森にあり。
というのも奥多摩駅より東側は杉林がかなり多く登山道のほとんどが杉林という山もあるくらいですが、この山は広葉樹の原生林のエリアが非常に多いのです。
早朝、傾いた光が差し込む森は輝かしい金色に包まれていました。
広葉樹が多いことは足元の落ち葉の状態からも察することが出来るでしょう、どこを歩いても落ち葉でふかふかになった状態。
樹齢600年ともなるトチノキの巨樹などもあるこの登山道は昔から広葉樹に愛された日の当たる斜面ということなんでしょう、紅葉時期は落ち葉の茶色と頭上の錦が晩秋の登山を盛り上げてくれます。
なんてことはない、百名山でも何でもない関東の里山です。でも歩いていてこんなに楽しく美しい道は百名山にだってそんなにあるもんじゃないと思わせてくれます。
山を歩く中で自分が好きな道、景色、雰囲気といったものがわかってくると歩くのがより楽しくなる。
晩秋ということもあって結構黄葉は散っちゃったかな?と思っていたけどそんなことはない。
まだまだこれから色が変わるというような若々しい葉もあれば真っ赤な葉もある、色が入り乱れた鶴寝山の森。
夏に歩くには不向きな樹林帯の山ですが、秋にこそ輝くところといっていいでしょう。
新緑が美しい春先も楽しめるかもしれませんが、足元の落ち葉の絨毯などを加味するとお勧めは11月……晩秋の山ですね。
晩秋から冬にかけてのハイキングの行動食といえば個人的には「ミカン」です、運動中に食べる果物は悪魔の実と言えるくらい魅力があります。
果汁が身体に染み入る感覚、酸っぱさからつばがこみ上げそうな感覚はカイジも満面の笑みで「犯罪的、悪魔的」と言ってくれることでしょう。
午前8時50分、トチノキの巨樹。
鶴寝山へ向かう中間地点、たぶんこれがトチノキの巨樹だと思うのですが……画面中央付近に斜めに聳え立つ巨樹がこのルートの象徴的な景色となります。
大変立派なトチノキの巨樹ですが、うろも大きく樹齢末期という感じがあるので見れるのは今のうちなのかもしれない。
トチノキの巨樹から先は「巨樹の道」と呼ばれる森林浴コース、鶴寝山の紅葉はここから山頂まで飽きることない美しい森を堪能させてくれます。どこにでもありそうな登山道だけどこの時期のこの道は強烈に記憶に残る、情緒に訴えかけてくれる道です。
鶴寝山の登りは黄色が強い、後半の大マテイ山方面は赤が強いので対称的。
落ち葉の中には時折美しく輝く透明なフィルムのように美しい紅葉の葉が落ちていたりします。
早朝や夕方の光が傾いている時間、こういう落ち葉を上手に撮影できれば大変エモい写真が撮れるんでしょうね……。
あまり撮影に時間をかけすぎると日没ゲームセットを迎えてしまう可能性があるから注意はしたいところなんだけども。
巨樹の道は稜線に広がる大きな森、鶴寝山の山頂まではのんびりとしたアップダウンを経由していきます。
過去来たときは全然人がいない山だったんだけど、今回は多くの人で賑わっていました。
途中話しかけられたりしたから、当ブログの記事を見てこの山に来た人もいるんだろうなと……。そういうのがあるとブログ書いててとてもうれしいなぁと思う。
富士山を眺める鶴寝山と富士山プリン
鶴寝山山頂に到着するとまず目に飛び込んでくるのはくりぬかれたように開けた視界の先に見える富士山。
この山は秀麗富岳十二景には入っていないんだけど、それでも十二分に立派な富士山を堪能することが出来る。
午前10時00分、鶴寝山山頂。
というわけでやってきた鶴寝山山頂、あれ……そういえば僕らよりも先に山頂に来た人たちは一体どこから来たんだろう?
早朝の登山道に先行者なんていなかったけどと思ったのですが、松姫峠側からなら気軽にアクセスが出来るのでそちらから来たのかなと。
松姫峠を利用すれば奈良倉山も鶴寝山も楽しめます、この稜線一帯は広葉樹の森が広がるから秋にはお勧めの縦走路なのかも。
縦走路とはいっても奈良倉山方面に抜けるとなると鶴峠、できる事なら三頭山まで抜けて都民の森から帰りたいですね。
富士山といえばプリンに形状が似ている山です、特にプッチンプリン。
さらに落としたプッチンプリンと成層火山らしい富士山の姿は瓜二つ、生き写し……生き別れの兄弟といっていい。
という小話のための写真を撮影したかったので遥々プリンを運んできました、おかげで最高の富士山プリンコラボ写真がとれましたね。
富士山プリン写真は関東ならではの絶景かもしれない、冬場に富士山の見える山では積極的に狙っていきたい。
ダッフィーを並べていたら追加がきた。
鶴寝山のカラマツ紅葉と富士山をしっかりと目に収め大マテイ山へと向かいます。
そういえば向かい側の尾根は長峰尾根で白草ノ頭という山を越えて大菩薩方面へと向かうようです、地図上では破線ルート扱い。
富士山を眺めるなら向こう側からもよさそうだけど、眺望が開けているポイントあるのかいな?
大マテイ山へは鶴寝山からコースタイムで40分くらいなのですが、そこまで時間を感じさせない景色があたりを彩ります。
黄葉の陰影が非常に美しく、写真撮影に夢中になっているうちに到着するという状態。
日差しに照らされる紅葉もまた美しい、ここで単焦点レンズに換装した同行の方は楽しそうに写真撮影を楽しんでいました。
時折現れる色鮮やかなもみじの紅葉、黄色から赤へと鮮やかなグラデーションを描くのですが見ていて飽きません。
秋の風流たる青空と紅葉の相性の良さよ……、紅葉シーズン終盤のこの乾燥しきった山を彩る紅葉は高山の景色とはまた違った趣があります。
大マテイ山と晩秋登山の鍋料理
午前11時20分、大マテイ山山頂。
色鮮やかな登山道を楽しみながら歩き続け大マテイ山に到着しました、到着時点で結構な人がいて食事を楽しんでいた様子。
誰もいない穴場だと思っていたんだけど結構人が入っていて驚きました。
奥多摩のマイナー山の山頂で一人飯を食うのが好きなので、また別のマイナーだけどいい山を見つけてやる…!
我々も食事を作り始めますが今日のメインは「鍋料理」です、登山を始めてから5年たちますが調理スキルは全くと言っていいほど上がっておりません!そのため料理は大体「煮る、焼く、そのまま食べる」です。
そういった低スキルでも美味しく楽しめるのがこの鍋料理なのです、冬は肉も腐らないし鍋を食べるにはいい時期。
左を作ったのはRedsugar、右は同行の方が制作。やはりプロの写真家が作る鍋は見栄えがしっかりとしている。
完成したキムチ鍋がこちら、はい、めちゃくちゃおいしそうですね!!!!
午後12時50分、大マテイ山出発。
食後のデザートということでミカンをいただきます。鍋ですが量が多すぎた……、眠くなるくらい食べてしまったので歩くのが億劫なので少し紅葉見てから帰ることにしました。
大マテイ山から牛ノ寝通り側の紅葉が美しいので、少しだけそちらに足を運んでから下山します。
大マテイ山から少しだけ西へと進んだ樹林帯は紅葉のカラーが黄色から赤がメインになります。
こちら側の登山道は緩やかなアップダウンが楽しい尾根道で、大菩薩から下ってきたら絶対に楽しいだろうなと思える道。
真っ赤に紅葉した木々が多く、鶴寝山と合わせて赤いもみじの森林浴を楽しむのであれば牛ノ寝通り側も歩いてみるといいんじゃないかな。
下山は来た道を戻るだけ、杉林と山沢川沿いの登山道を降り小菅の湯を目指します。このルートの良い所は下山してすぐに小菅の湯に入れるところ、登山でかいた汗をすぐに流せるのは本当に気持ちが良いです。
午後になってもワサビ畑周辺は暗くひんやりとした空気が流れています、奥多摩の山奥といえばこんな雰囲気です。
渓流にかけられた小さな橋を数回渡る、こういう小さなアスレチックは何歳になっても楽しい。
僕にとって登山は子供の頃に遊んだアスレチックや公園の延長線上にある遊び。
渓流を撮影しながら下っていきます、この渓流は人の手が入っているものの雰囲気は良い場所でした。
午後3時50分、道の駅小菅到着。
林道に戻った後は小菅の湯に戻り入浴……、これにて本日の登山の全工程を終えました。
この後道の駅小菅のソフトクリームを食べたのですが、前回来た時とソフトクリームマシーンが変わっていて味が大分変ってしまっていてちょっと残念な気持ちになったのはここだけの話です、今回食べたのもおいしかったけど前回のほうが僕は好きだったんだよなぁ……。
道の駅小菅はドライブを楽しみに来た人たちには人気のスポットなのか山奥なのに駐車場はほぼ満車状態。
レストランも大盛況といった感じになっていて、日中は登山客よりもドライブを楽しみに来た人であふれるようです。
「源流レストラン」の食事もおいしいらしいので、ご飯を食べる余裕がある場合はこちらで晩御飯を食べて帰るのも一興かと。
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