2019年10月28日、頸城山塊の西端にある紅葉の名所、百名山「雨飾山」へ登ってきました。
標高は1,962mでお隣に新潟焼山、火打山、妙高山と名だたる名峰が立ち並びます。
どれも紅葉時期にはそれぞれの魅力がある山ですが、雨飾山は荒菅沢周辺の紅葉や新潟焼山方面の眺望、昼闇山方面の全山紅葉と景色のバリエーションが豊富です。
さらに山頂から笹平にかけての景観……北アルプスが目の前に広がる紅葉の大パノラマがおすすめです!
関東からアクセスすると扇沢や白馬八方よりも北にある雨飾高原キャンプ場は中々遠く大変。
周辺に素晴らしい山が多いため雨飾山はその影に埋もれがちですが、標高の低さから10月後半でも紅葉を楽しむことができます。
何よりもお勧めなポイントは下山後の温泉、妙高でも特徴的だった露天風呂が登山口付近にあるので山歩きと温泉をセットで楽しむことができます。
10月中盤から後半にかけて登りたい一押しの山、雨飾山登山をぜひご覧ください。
雨飾山登山、小谷温泉コースの概要
紅葉の雨飾高原キャンプ場
2019年10月28日午前9時55分、笹平。
こんにちはRedsugarです、本日は日本百名山でも紅葉時期がおすすめといわれる雨飾山へやってきました。
標高2,000m付近ながら頸城山塊といういい景色がたくさん転がるエリアにある雨飾山、豪雪地帯新潟の厳しい冬で形作られた山は聞いていた通り景色のバリエーションが多く写真をとりながら歩くのがとても楽しい場所でした。
さて始まりは山頂直下の笹平、山頂周辺は台地っぽくなっていてそれまでとは打って変わって笹一辺倒な景色が広がります、この山頂の一角だけ巻機山かよというような穏やかな景色ですが……、ここに上がってくるまでは紅葉と岩の世界。
景色のバリエーションを楽しみながら歩く、雨飾山登山の始まりです!
午前6時30分、雨飾山キャンプ場。
深夜の高速道路をひた走り、久々に上里でかつ丼を食べたりして雨飾高原キャンプ場にやってきました午前6時。
新潟県に片足を突っ込むくらい遠い雨飾山、長野県北部と新潟県南部は関東からは本当に遠いね……。
白馬村を越えてさらに北に進んだ時、この時間なら白馬岳登れちゃうなという気持ちになったのは言うまでもない。
スタート時点での高原キャンプ場には場所によって霜が降りていました、朝露と霜が周囲の草木を彩ります。
秋の登山は冬の足跡となる小さな景色が足元に広がっていたりして楽しい。
早朝ということで日も出ているのですが雨飾高原キャンプ場からの登山道は谷底を歩いていく形で陽が入りません。
森の奥に陽に照らされた樹林帯が見えます、太陽の光が早くほしいですね。
今回は写真家の横田さんたちと一緒に登ります、テンションが上がっているのかずんずん進んでいく横田さん。
スタートからしばらくは木道を歩いていくのですが、渓流が木道に注いでいたりして期待感がある道です。
朝霧に包まれた川沿いの登山道、すでに紅葉は登山口まで下りていたのですが荒菅沢も「まだ紅葉している」ということだったので期待を胸に前へと進みます。
しっとりとした雰囲気がたまらなくいい時間帯、雨飾山登山口周辺の渓流、紅葉時期は雰囲気が良くてカメラを片手に散策したい。
木道を通過すると豪雪で曲がってしまったブナ林を登っていきます、登り一辺倒でひたすら進む。
ブナ林の紅葉は見事なもので、陽がまだ差し込んでいないものの美しい黄色があたりを彩っていました。
超広角でぱちりと一枚収めたブナの紅葉と登山者はお気に入りの一枚。
ブナといえば東北なイメージがあったけど、雨飾山のブナもきれいでいいなぁ……!
紅葉輝く荒菅沢は雨飾の名勝
ブナ林を登り続けているとようやく陽が差す時間帯になりました、陽光が森に差し込み葉をキラキラ輝かせます。
葉に空いた小さな穴がパーティクルのように輝いていて奇麗です、午前の時間帯じゃないとなかなかこんな感じにならない。
同行している一行で陽が登った紅葉の森を楽しみながら進みます、いやー……紅葉の森が奇麗すぎて中々足が進みません。
進んではカメラを構え、進んではカメラを構えを繰り返します。
紅葉登山の恐ろしいところはすべてが見どころになるところ、足が進まねぇー!
午前7時45分、四合目ブナ平。
ブナ平の手前で四合目になるのですがこの時点で標高は1,600m、残りは400mもない状態です。
ここから荒菅沢を越えて笹平に行くんだけど、400mを登るにしては少し時間がかかります。
ブナ平は休憩に適した広場が広がっていますが、この先に水の補給が可能な荒菅沢があるので休む人はいませんでした。
色とりどり紅葉のど真ん中ということで居心地はいいんだけどね……。
赤や黄色の紅葉に彩られた登山道、1年で最も山が彩られる時期なので樹林が多い山はどこも楽しいものです。
雨飾山は広葉樹が多く歩いていて本当に楽しい。
荒菅沢手前までやってきました、木々にペンキマークが書かれていますが登山道は明確。
ペンキマークのブナの前を曲がると荒菅沢の真上にそびえたつ雨飾山の山頂部方面が現れます。
まだ明け方で紅葉の色が鮮やかではないけど、十分素晴らしい景色……。
実際眼で見るともっと鮮やかな景色が広がっています。
この荒菅沢を最初に目にした瞬間は声が出ました、いい景色ですよここは。
午前8時30分、荒菅沢。
ブナ平から1時間近く……、紅葉の森が素敵すぎてゆっくりと歩いてしまった。
先を歩いていた横田さんはここで渓流と紅葉の撮影をして待っていてくれました、たどり着くと本当にいい景色だなぁ……。
谷筋ということですが辺りはどこも樹林帯の紅葉に覆われています、何処を見ても紅葉という幸せな場所です。
荒菅沢は一応渡渉点となっていて、川を渡る必要があります。
そんなに大きな川ではないんだけど降雨直後は気を付けないといけないかも。
対岸の中腹が真っ赤に紅葉していますね……、ちょうど標高1,800とかその辺だと思うけど紅葉時期に間に合ってよかったです。
あのとがった山があるエリアは布団菱というらしく山頂のお隣です、荒菅沢から見上げる雨飾山のランドマークです。
深田久弥はあの布団菱方面から登って行ったらしい、ルートのレポートを見ると一応登る場所がある模様。
荒菅沢から笹平へ、名峰新潟焼山の姿
荒菅沢で横田さんと合流したので雨飾山山頂を目指して笹平へと向かいます。
岩場も含む道を一直線に登っていくのですが周囲の紅葉した山肌が見どころです。
青空に岩肌……赤い紅葉……、雨飾山の紅葉はいいなぁ!
後ろを振り返ると新潟焼山方面の山々となります、目の前にあるのは金山、天狗原山でその左手に焼山が顔をのぞかせているという状況。
地図上は雨飾山から新潟焼山へ向かう道であるシゲクラ尾根は破線ルート、尾根沿いに道っぽいものがあったので行けるのかなと。新潟焼山はいつか登ってみたいなぁ。
新潟焼山も見えてきたあたりで紅葉地点を越えて笹がメインの標高に入ってきます、笹平まではもう少し!
山頂部手前で岩場が現れますが、登る分にはそんなに大変な場所ではないです。
登山シーズンはこちらで渋滞が発生するらしいので、登るときは早朝にアタックするのが良さそう。
岩場から振り返ると遠くに高妻山等の山々が、高妻山は妙高火打雨飾におけるランドマーク。
燧ヶ岳ほどシンボリックではないけど気が付いたら写真に入っている山。
ちなみに上ると最後の登りが本当にしんどい。
焼山方面を振り返ると……いい景色です、本当にいい景色。
新潟焼山は成層火山で山頂部は溶岩ドームを形成していることもあって荒涼とした世界、その周辺に紅葉した広葉樹の山肌が広がっています。景色のバリエーションが豊かで登っていて絶対に楽しいことでしょう。
シゲクラ尾根はいまでも使えるんでしょうかね、金山に登って新潟焼山に行ければ東西の縦走が出来るな……
お隣新潟焼山を眺めながら登るのが一番楽しいぞ!中腹まで紅葉がばっちり!
岩場を越えて梯子を越えると笹平に到着します、笹平に到着すると眺望が開けるので心が躍る。
笹平に登ると焼山以外にも鬼ヶ面山や鋸山といった山々が姿を現します、画像一枚目の山ですが山頂部まできれいに紅葉しているので道中楽しそうです。
新潟焼山方面の景色は本当に迫力があります、焼山に登山道が整備されればなぁ……。
雨飾山山頂、穏やかな笹平と山々の眺望
午前9時55分、笹平到着。
梯子を上り笹平にやってきました、焼山に意識が集中していましたが目の前に現れる雨飾山山頂もなかなかの迫力。
荒菅沢から見上げた布団菱の鋭鋒は画面左の山頂の一部だったようです。
笹平から先は天国です、「ビクトリーロードとはこのこと」という良い道が広がっています。
鬼ヶ面山方面を見ると真っ赤です、山全部真っ赤な全山紅葉。
笹平から伸びる登山道は破線ですが画面左の鋸山へと続いていくのかな、画面中央の大きな山は鉢山と昼闇山だと思う。
昼闇山(ひるくらやま)はバックカントリーで登る人が多いみたいですね、海谷渓谷の最奥部にある山でルートファインディングが出来る上級者前提の山らしいです。
山頂方面に一直線に続く道は何ともドラマチック。雨飾山はここから見ると雲上の城っぽい見た目をしている。
笹平からお城のような山頂に向かって行くのは非常に開放感があり気持ちがいい。
紅葉の登り道を経た結果、さらに気持ちがいい稜線を歩けるのはありがたい。
午前10時15分、梶山新湯。
北側の登山口からの合流地点である梶山新湯に到着しました、山頂の手前でここから山頂は20分ほど。
ちょうど布団菱の上部に当たるポイントを越えると山頂に到着します、布団菱の谷間を見下ろすとすごい迫力……。
雪に磨かれて天然の滑り台みたいになってる布団菱、本当にこんなところを登ったのか深Q。
午前10時35分、山頂到着。
梶山新湯から20分ほどで本当に山頂に到着、山頂直下は布団菱につながる谷の上を歩くような感じでした。
山頂についてまず目に入るのは新潟方面の紅葉の尾根、光も十分にあたり本当に奇麗な色付きを見せてくれます。
山頂は結構な人でにぎわってました、そんなに広い山頂ではないから人が集まると大変かもね。
山頂から笹平を見下ろすと横田さんが撮影をしていました、その後写真をいただきましたがプロの写真はとっても奇麗。
何を食べていたらああいうものが撮れるんだろう。
笹平から釣尾根でつながるのが鋸山、奥の釣り尾根が2つある長い尾根が昼闇山の尾根筋。画面左の鉢山も滅茶苦茶鋭利な形状だな……。
雨飾山の山頂は新潟県と長野県の県境でもあるのでやはり山頂を示す柱が2本、ここでは長野県側のほうが立派。
信仰の山で毎年5月5日に奉納登山が行われていたこともあり祠が並んでいる山頂はどことなく越後駒ヶ岳を思い出させます。
雨飾山山頂からの展望はやはり北アルプス方面が良いのです、雲がかかってはいるけど白馬方面が良く見える。
山頂からは迫力ある雨飾山の岩肌、笹平の立体感のある起伏、麓のブナ林の紅葉といろいろな景色を楽しめる。
特に麓のブナ林の景色は面白くて、紅葉した木々がミニチュアのように立ち並んでいます。
山頂で撮影をするおじさんの向こうには新潟焼山と火打山の姿、火打山は遠くから見ると見事な三角形の山頂だというのがわかります。
新潟県側から見ると火打山はめちゃくちゃかっこいいという話があって、何枚か見てみたけど確かに天狗の庭から見るよりも尖りが鋭くてかっこいいと思う。
特に鉾ヶ岳から見る頸城山塊は妙高、火打、新潟焼山、雨飾山の4人が並んでいるように見えるらしく、冬の時期に是非見てみたいと思える景色でした。
山頂で撮影タイムだったり昼食を食べたり思い思いの時間を過ごしているうちに、雲が湧き上がってきました。
気温はそこまで低くないのでのんびりとしていましたが、下山のペースを考えるとそろそろ出発すべきか。
午前11時50分、下山開始。
日没が早く15時にもなれば谷底は暗くなってしまうだろうと考え昼前に下山を開始します。
北側の頸城駒ヶ岳、鋸山方面は雲に包まれてしまいました……さっきまで快晴だったのに。
午後に入り日差しも十分なのか飴色に輝く遠くの紅葉、この森を抜けて登山口に下山します。
笹平は紅葉はほとんどなく、身だけが残ったナナカマドがポツンとあるくらい。
横田さんと撮影をしながら焼山を眺めつつ下山を進めていきます。
三枚目の焼山と金山、金山から焼山までは一度標高を下げてからまた登っていかなきゃならないらしい。
午後の光が彩る紅葉を楽しむ下山
正午を過ぎて太陽も西へと傾き始めました、心なしか紅葉も輝きを増しているようで山肌を彩る赤や黄色といった彩がより豊かになってきた……。
山頂に長いこと居たこともあって下山での岩場は渋滞することもなくスムーズに通過することが出来ました。
北面から湧き上がってきた雲はシゲクラ尾根にまとわりつき焼山方面は雲を靡かせる景色に、これはこれでかっこいい。
下山時に一番感心したのは荒菅沢の斜面を彩る真っ赤な紅葉、濃い陰影を残すエッジの利いた景色が本当に格好いい。
午後1時50分、荒菅沢。
笹平から岩菅沢までは撮影しながらゆっくりと下ってきました、荒菅沢で十数分ほど休憩しながら談笑をしていたら午後2時近くに、日はますます傾いていきます。
谷間は日が差し込む時間が本当に少ないらしく、午後2時になるとまた日陰になってしまいました。
頭上はるか上に差す光と紅葉を眺めながら雨飾山本体に別れを告げる、心なしか景色に後ろ髪を引かれるような……。
荒菅沢を出発すると紅葉の斜面が午後に入りより一段輝きを増した姿で出迎えてくれました。
真っ赤な紅葉の山肌と荒菅沢から見上げる雨飾山の姿に満足、最後にいい景色を見れたねと談笑しながら最後の下りへと向かって行きます。
下山、登山口に帰れば温泉が待っている
雨飾高原キャンプ場へと下山していきます、雨飾山の景色は終わったんですが今度は目の前に高妻山の景色が現れました。
翌年登ることとなる山で地味登山の一角……、かなりきつい登りが待っている山ですね。
何度も言うけど最後の登りは本当につらい……、見所も少ないので上州武尊山にとても似ている修験の山。
ブナの巨木が林立する林を談笑しながら下っていきます、もうあとは下山するだけだから全員余裕の足取りです。
時折差し込む夕日を前にカメラを構えながら、エンジョイ下山。
山麓に近づくとあたりの尾根は全山紅葉していてとてもきれいだったことがわかります。
明け方はこの辺全部闇に包まれていたのでわからなかった。
黄金に輝くブナの紅葉、登山道に流れ込む清流、午後の金色の光……下山しながら細かいものに視線を向けていく。
カメラを持っていると何でも撮ろうと思えてしまうから登山時間がどんどん伸びていくのは困りものです。
午後3時40分、下山完了。
横田さんが滝を撮影したいということだったので先に下山し待機、十数分後に紅葉と滝とすべてをやり終えて満足げな顔をした横田さんと合流しこの日の登山を終わりとしました。
下山した時に自販機に気が付いていたけど、何も買わずに温泉に向かってしまったことを記事を書いていて思い出しました。
コーラでも買っておくんだったな……。
下山後は車で少し下ったところにある雨飾高原露天風呂へ向かいます、バスの終点の近くにある温泉ですね。
つまりこの山は公共交通機関アクセスをした場合も温泉に入れるということか……!
温泉にシャワーなどはついてないんですけど森の中にいきなり現れるアチアチの露天風呂が特徴的です、思う存分温泉で身体を奇麗に流してから入浴した時は浄化されるかと思った。
下山してすぐに登った山見たり同じ山の腹の中で風呂に入るのは満足感が違います。遠くの健康センターとかに行くんじゃなくてこういう現地風呂には独特の良さがある……!
入浴後は帰宅の時間もあるためSAで仮眠や軽食をとりながら帰宅することに、出来れば風呂と食を満たしたパーフェクト登山と行きたいところでしたが仕方がありません、大人になると生活があるもんだなぁと思いながら関東へと帰ってゆくのでした……。
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