2019年9月14日~15日、新潟県南魚沼市にある日本百名山「巻機山」に登ってきました、標高は1,967mで穏やかな様相の山頂が特徴的な山です。
豪雪地帯新潟にある山の特徴でもある池塘溢れる高層湿原と雪で削られたような山肌を併せ持つ巻機山。
登ってみると中腹くらいまでは群馬新潟にありがちな少し足元が粘土質でべとついた道が続くのですが、森林限界を越えると月山を思い出させる穏やかな様相の山頂が広がるようになります、天国か。
巻機山に登頂するために一般登山者が選べる道は実質「井戸尾根」の一つだけなのですが、今回は上級者向けとされる「ヌクビ沢」という沢沿いの道を歩いて山頂を目指すコースを歩きます。
このヌクビ沢……、正直これまで歩いた登山道の中でも群を抜いて「死を覚悟した」回数が多かった登山道となります。
沢登りをしている方からすると大したことない道だと思うのですが、撮影装備を背負ったこの日の僕にとってこれほど危険な道はありませんでした。
一般登山者が歩けるような場所ではなかったヌクビ沢を越えて巻機山へ、体力と気力の勝負……家族の顔を何度も思い出した登山の始まりです。
いや、マジでこんな道で死にたくねぇわ……!
ヌクビ沢は一般的な登山道ではないのでハイカーは回避推奨。
今回歩くヌクビ沢ですが、巻機山では事故が集中している登山道です。
沢登りの方が利用する米子沢とは違いヌクビ沢は登山者でも歩けるのですが、数十回にわたる渡渉、落ちたらドボンなへつり、足元がとっても滑る岩場、が連続します。
さらに沢を越えても稜線へと上がる急登は滑落のリスクが非常に高い草付きとなっているので、出来心での入山は遭難のリスクが非常に高い所になっています。
登り専用ということからも、下りは無理……というか途中で引き返すのは無理じゃね?
前半の渓流沿いがすでに登りじゃないと足元が不安です(すっごい滑る)、そこで無理だと思っても戻れなくなります。
巻機山入山の際にはハイカーは井戸尾根を利用するのが一番です。
技術的には大したことないんだろうけど、とにかく足元が滑るのがつらい道です。
巻機山ヌクビ沢登山の概要
恐怖のヌクビ沢の始まり
2019年9月14日、ヌクビ沢上流。
Redsugarです、死にそうな感じになってますがヌクビ沢からごきげんよう。
今回は巻機山登山ということでヌクビ沢にやってまいりました、もう結論から言うとね「来るんじゃなかった」という感じです。
いつぞやの皇海山を思い出させる難路っていうか一般ハイカーにはきつすぎる道で本当にここまでに精神をすり減らしました。
今回はヌクビ沢を歩いてみようということでやってきましたが……、巻機山の要救助者がこのルートに集中している理由もわかるなということなのでその辺含めて書いていきたいと思います。
午前6時25分、桜坂駐車場。
深夜のSAでいつもどおり夜食を食べてエネルギーを蓄える……、登山の準備は万全だね。
ということで巻機山の登山口となる桜坂駐車場にやってきました、巻機山と言えば井戸尾根が一般的なルートとなるのですが……この登山口からはもう一つ闇のルートへとアクセスすることが出来ます。
それが今回歩く「ヌクビ沢」です(ヌクビ沢には途中分岐で割引沢というルートもあります)
熊に注意というありがたくない看板にあいさつを交わして先に進みましょう……。
今回なんでヌクビ沢を選んだかっていうと過去に一度井戸尾根を歩いていて、結構単調な道でつまらなかった覚えもあって、ヌクビ沢で登って井戸尾根で下れば周回コースが完成するし楽しそうだなという気持ちからでした。
人はかくも退屈を嫌い刺激を求めるのか、アーメン。
事前のリサーチ時点ではヌクビ沢はそこまで危険ではないという感じの記事が主流だったため決行、実際歩いてみたら「ここを簡単と書いた人殴って良いですか?」と憤りを覚えました。
井戸尾根に向かって行く際に現れるこのコース分岐、これが運命の分岐路になります。
沢の遡行経験が無い登山者は絶対に左に行かないようにしましょう。
一般ハイカーが安易に突入するとヌクビ沢は怪我します、沢やアルパインの経験がある人が「楽っすよ(笑」みたいに書いてる記事も多いので注意。
午前7時00分、巻路分岐。
豪雪地帯の山ということで秋に差し掛かるこの時期でも巻機山の渓流は勢いが良く、登山口周辺は水深2メートルを越えるポイントが沢山ある状態。
そんな沢をへつり続けて遡行していくのがヌクビ沢前半です。
この辺はまだいいよ、まだ全然余裕で歩ける。
桜坂駐車場から30分ほど川沿いの道を歩くと「巻道orヌクビ沢」という分岐の看板が出てきます、巻路も大概荒れてるので道っぽくないんだけど……、ここを進むとヌクビ沢と割引沢の分岐路に出るらしい。
左に行くとヌクビ沢下部の吹上ノ滝とアイガメノ滝を経由して分岐路に向かいます。
川沿いにロープが張られた岩が連続するヌクビ沢入り口、これはまだほかの山でもたまに見るんだけど……ここから先が問題です。
写真だと足元が写ってないんですけど、このロープの後くらいから足元の幅が30センチもないくらいの濡れて滑る岩や土ルートになります、ヌクビ沢の恐ろしさは「滑る足場」にあります……。
縦走用などの重登山靴だと摩擦を得られないので慎重に歩かなければ足を滑らせて谷にポーンと落ちてしまうような道が続きます。
土があっても写真一枚目のような湿った感じの道が続く、そして写真2枚目のような眼下8mくらいを流れる渓流と岩場を眺めながら歩くんだけど……足元が狭いし滑るので油断が出来ません。
草が生えた土の道ですけど場所によっては草ごと土はがれてるし……殺意に満ち溢れた登山道です。
そしてある程度登るとやってくるアイガメノ滝、広く岩も乾いていて休めそうなポイントに見える。
ちなみに後ろを振り返るとね……この山からは大源太山が良く見えるわけです、上越のマッターホルン大源太山が。
ワイが難波のモーツァルトや……はギダタローか。
午前8時00分、アイガメノ滝。
最初の難関であるアイガメノ滝、写真1枚目で先行する地元のおじさんはすいすい登っていくけど……あのおじさんがいるあたり足元が滅茶苦茶滑ります。
写真1枚目の左下、ペンキが塗られた岩あたりも大体水が流れていて足元が滑る。
そして写真3枚目、鎖が張られた先に赤ペンキが塗られているがこの滑らかな1枚岩……、半端なく滑るのだ。
お笑い番組で滑る坂ってあるじゃん?あれくらい滑るといって過言じゃないくらい滑る、
手袋を脱いでかなり姿勢を低くして伝っていくことになったがここでザックのサイドポケットに入れていたかってまだ一回も使ってないナルゲンが落下。
必死に手を伸ばしたがナルゲンは桃太郎のように川に運ばれ激流の中に消えて行ってしまった……マジかよ。
ここでナルゲンを失ったことにより水を補給する手段がプラティパスからの直飲みしかなくなってしまった……。
ていうか川に物を落としてしまうなんて最悪……、だけど取りに行こうとすれば間違いなく死ぬのでどうしようもない(汗
僕の着用している靴はLOWAのチベットという重登山靴で岩場でのフリクション(摩擦)はかなり強いのですが……まさかヌクビ沢ではこんなに足元が滑るなんてという衝撃を受けつつも何とか難所を越えました。
ナルゲンがなくなって帰りたい気持ちでいっぱいなんだけど……正直ここを引き返して降るのは無理、死んじゃう。
細くて滑る道は登りは良かった、けど下りとなると難易度が激変するので絶対無理。
目の前にはたいそう立派な滝が流れているわけですが……、道はその滝の真横なんだなこれが。
皆さんは道がわかりますか?
今から進む登山道は目の前の滝の左の草付きになります。
滝の傍にやってくるとビショビショに濡れたロープが申し訳なさそうにだらりと垂れ下がっています、足元の岩は苔が生える程度に湿っていてコンディションは最悪。
何とか登り切った先も鎖場が連続し、踏み外せば冷たい清流に身を投げてしまうようなシーンが連続します。
これが冒険かぁ……と感心しつつも20キロ近い撮影装備でこんなところに来るんじゃなかったという気持ちが湧き上がります。
午前9時00分、割引沢分岐。
巻道の終点はここに当たるらしい、画面真ん中の岩に「←割引沢 ヌクビ沢→」と書かれています。
どっちに進んでも岩場の渓流遡行が続く難路です。
ここまで来たらさすがにあきらめもつくかなと思ったけど……、荷物が重すぎてずっと帰りたい気持ちが覚めません。
何が冒険じゃ、かえって布団で寝たいわ!!
ヌクビ沢に進路をとりますが、このあたりから「道は自分で歩ける場所を探す」という形でペンキとペンキの間のルートは自分で行けそうなところを探して歩くという道になります。
ルートファインディングっていうかパズル??
午前9時20分、ナメ滝到着。
ルートを探しながら遡行を続けると滑滝に到着です、ヌクビ沢一番のビュースポットというか休憩ポイントみたいな滑滝。
感動もくそもない状況ですが「ようやく半分くらいまでやってきた」ということに少し安堵しました。
ルートは自分で探せ、ヌクビ沢上流
前半に比べると「落ちると死ぬ」みたいな場所は格段に減ったんだけど……、足元の悪さは相変わらず。
今度は浮石が増えたし……ルートと呼べるものは自分で探すという状況が続く、そんな道がナメから先も続きます。
時折こうした河原っぽい所に出ますが気が休まりません、次は何が襲ってくるんだ。
次の赤ペンキの場所を確認したらそこまでの道が明瞭か不明瞭かを確認し徐々に距離を詰めていきます。
渓流沿いの道であるヌクビ沢はシーズンごとに道の形状が変わる
なので登る際はその時期登れる足場を利用して登りましょうということらしい。
大小さまざまな岩が転がるこの場所のパズルは頭が痛くなりそう。
ヌクビ沢上流には滝が沢山登場する、水に事欠かないのだが歩けど歩けど延々に続く沢と滝に「心の水はどんどん乾くよ♪」メンタルが削られる。
苦労して1つのポイントを抜けても目の前にまた同じようなポイントが登場する……。
無限ループは怖いな……、怖すぎる。
特に写真二枚目のような岩場と渓流が延々と続くヌクビ沢、ゴロゴロと転がる岩場を抜けると写真3枚目のような滝が再び姿を現す。
画面右から登って行ってもいいけど確かここは左側にも道が作られていたんだっけな。
沢屋は楽しいと思う、沢屋は。
撮影メインのハイカーとかはマジでしんどい道よここ。
午前10時50分、心が折れたので休憩。
コースタイム通りに行けばもう稜線に到着しているはず……、一向に終わらない渓流を前についに気持ちが折れました。
荷物を降ろしてなぜこんなところに来てしまったのかと自問自答をする懺悔時間。
枝にとまるトンボのように空を飛んで避難小屋に行きたい、私に翼をくださいとテノールで叫びたい。
休憩地点として選んだスポットは渓流から少し離れた登山道っぽい雰囲気の場所ですが、周囲にはずっと渓流の流れる音がこだましています。
癒しの音というよりは今のこの状況をあざ笑う巻機山の声に聞こえるぜ……。
午前11時20分、休憩終了。
気力を振り絞って出発です、川底の色が変わってきていることと天狗岩の位置からヌクビ沢上流の約半分の位置にいるということをわかっていたので、コースタイムであと1時間歩けば稜線への草付きに到着するはず。
ということで登山を再開したけどこのエリアは曲がり角を曲がるたびに同じ景色が出現する魔法のエリアでした。
さっきから同じ渓流を何度も登ってるんだけど魔法か、これは魔法にかかっているのか?
似たような景色が延々と続くヌクビ沢上流部、渓流の深さは無くなっても岩場の落差は変わりません。
岩に登り岩を降り……を繰り返して登り続けること1時間30分。
ついに水がなくなった……!!!水が伏流水になった!!
上にも書きましたが天狗岩横で休憩してから1時間半、コースタイム1時間もないくらいなのにとても時間がかかりました。
岩を伝って登り続けるめんどくささは後にも先にもこの場所だけです……。
午前1時00分、稜線とり付き。
稜線へのとりつきにたどり着いたときの嬉しさと言ったらなかった、もうあの地獄のような沢とはさよならできるんだ。
あとは稜線の穏やかな景色が待っている!と思っていたんだが……。
な、なんだこの斜度……落ちたら谷底まで止まらないぞこんなの……!
ヌクビ沢が最後に用意したトラップ
それは稜線へのとりつきの斜度、壁とまではいわないけど超急登という言葉がぴったりかつ「根が残っている草地」を登ることに。
写真1枚目のような道ですが本当に急かつ草で滑るという最後の嫌がらせを乗り越えることになりました。
人……だッ!!!
割引山、穏やかな稜線
午後1時25分、稜線到着。
巻機山から割引山に至る稜線に合流しました、もう鬼畜な登山道を歩く必要はございません。
穏やかで優しい稜線が続くあの百名山の頂にやってきたんだという安心感、ヌクビ沢を抜けたという達成感で一気に足取りが重くなりました。
ちなみに目の前には越後三山、左から八海山、越後駒ヶ岳、中ノ岳と続いていきます。中ノ岳と丹後山の稜線は素晴らしいのでとても歩きたい場所の一つ。
午後1時30分、割引山山頂到着。
割引山の山頂にザックを降ろし少し休憩することにしました、避難小屋までは1時間もかからないこととお昼付近ということで「まぁ、いいだろう……」と。
いつ足を滑らせて転ぶか、川にドボンするか気を張り続けたのでドッと疲れがあふれ出る。
割引山の山頂には小さな祠があり小さいながらの標識が置かれています、眺望は良く静かな山頂なので巻機山を訪れた際はこの割引山に来てみるのも良いのでは。
巻機山の井戸尾根や巻機山本体を眺めることが出来る割引山の景色は中々のもの。
巻機山北面は笹がメインで草紅葉による色の変化は少ないんだなぁなどと山肌を観察しながら水と行動食を補給する。
「あ、ボトルないんだった……」と悲しい思い出が頭を過る、この登山以降ドリンクはハイドレーションに更新されていきました。
割引山からの景色を見ていきましょう、主に越後駒ヶ岳エリアになりますが写真一枚目は左側に中ノ岳、真ん中の尖った山頂は荒沢岳。
二枚目は八海山の稜線、鋸みたいな岩場の奥に山頂があるんですね。
三枚目が越後駒ヶ岳と中ノ岳、ここから見ると中ノ岳のほうがずいぶんと大きく見えます(越後三山最高峰は中ノ岳)
越後三山周辺の山は巻機山を含めて豊満な稜線のカーブが登山意欲を掻き立ててくれる、僕はそう思うのですが割引山から巻機山へ向かう道も「かなり気持ちがよさそう」です。
途中木道もあってすっごく歩いてて気持ちがいい道が続きます、ヌクビ沢とは違って天国のようです!
割引山から巻機山への稜線は巻機山から牛ヶ岳と同じく木道と高層湿原風の牧草地が続きます、稜線歩きを楽しみたいというのであれば巻機山から足を延ばして割引山か牛ヶ岳に行くのがお勧め。
緩やかなカーブを描く山の斜面が突如として抉れる、豪雪で削られた肌や水が流れる谷筋、その奥には越後三山。
もう少し足元が紅葉していたら良かったなぁと思いながら避難小屋を目指す、のんびり歩いていても絶対に避難小屋に到着できる優しい道。
午後2時40分、巻機山山頂。
巻機山山頂にたどり着くと数人の登山者が談笑していました、この時間帯に山頂に滞在しているということは僕と同じく避難小屋滞在者なんでしょう。
巻機山山頂から避難小屋までは湿原天国です、池塘が点在する高層湿原の稜線を縫うように張り巡らされた木道を辿っていく……なんて牧歌的なんだ、本当にヌクビ沢がある山かここ。
午後2時55分、巻機山避難小屋。
避難小屋に到着したのは日が傾き始めた午後3時近く、避難小屋泊の方々数名小屋の外で談笑する小屋へ。
1階と2階が使えますが早朝と深夜に撮影のため動き出す可能性があることから人の少ない1階を使わせてもらうことにしました。
トイレは奇麗なバイオトイレが設置されているので安心してください、この小屋は避難小屋としては群を抜いて居心地がいい場所です。
中は地元山岳会の方がとてもきれいに整備してくださっているのでとても奇麗。
ようやく本日の宿に到着できた……、これで心置きなく本日の第二の目的である撮影の練習が出来ます。
山で夕方の時間帯うろうろしながら撮影する、街でスナップするように山で散歩しながら写真を撮るという夢のような時間の始まりです。
夕刻撮影、巻機山の落日
午後4時00分、巻機山夕刻撮影開始。
今回の登山の第二の目標でもあった「フリータイムで散歩しながらスナップする」という「山の中での日常撮影」を楽しんでいきたいと思います。これまでの登山だとこういったフリータイムの撮影はなかなか行ったことがありませんでした、大体目的地があってそこで定点的に撮影を行うために移動し続けていたので。
今回は目的地などはなく、巻機山の稜線を日没までぶらつきながら気になったものを撮影していきます。
早速山頂付近まで登ってきたけど日が傾いて草黄葉の色が美しくなったり、山肌の印影が強くドラマチックになってきました。
ガスが流れ始めると快晴とは一味違う雰囲気の景色が広がり始めます。
登山者としては快晴が好きなんだけど、写真を撮影する人は雲が多かったりガスを好む人が多いです。
池塘が3つ集まるとハロウィンのような顔になります、高層湿原を歩いているときは思わずこの顔を探してしまう。
霧に包まれる草紅葉の山頂、どちらもいい雰囲気です。
僕は二枚目(右側)みたいな写真が好きなのですが、皆さんはどうでしょうか?
霧の巻機山を歩きながら気になったものを撮影していきます、木道とかも霧の時間帯は絵になりますね……。
太陽が傾き光が赤く色づき始めました、霧の中にいるのですがガスの流れに応じて明るくなったり暗くなったり目まぐるしく景色が変化していきます。
夕方の時間帯に散歩をしながら撮影するのはめちゃくちゃ楽しいなという気持ちになってきます。
とても贅沢な時間の使い方……、宿泊登山の際には積極的に散歩を取り入れていきたい。
普段は絞って撮影するようにしますが、この時間帯は開放を中心に利用して撮影。
秋に向かう、夜に向かうどことなく寂しい雰囲気を出したいなと思いながらシャッターを切っていきます。
撮影を楽しんでいると突如として牛ヶ岳方面から2人の登山者が現れました、ガスがはけた向こうにいきなり登山者が現れたので驚きのあまり変な声が出てしまいました。
牛ヶ岳へ向かうには巻機山を経由するしかないので、あの人たちどこから来たんだと疑問に。
聞いてみたら数時間前から向こうの山でのんびりしていたらしい。
それもまた……贅沢な時間の使い方だね。
陽も暮れ始め光も弱まってきました、1日の終わりという最も感傷的な時間帯に入ってきた。
若干奥まで来てしまったので避難小屋に急ぎ足で戻りながら撮影を続けます、こういう景色で木道に人でも歩いてるとかっこいいよね。
太陽が雲の下に沈んでいきます、巻機山の標高と同じくらいの雲が地上に降り注ぐ光をさえぎっていますが上空は晴れそのもの。
ガスは多かったけど雨はなく、楽しい散歩時間をプレゼントしてくれた今日の天気に感謝しつつ避難小屋へ帰ります。
避難小屋帰宅後は夕食を食べて身体を拭いて即就寝、夕食は尾西の五目飯と卵スープでした、食に本当に興味がないなと記事を書いていて思います。
牛ヶ岳の夜明けと巻機山稜線
9月15日午前4時50分、牛ヶ岳山頂。
おはようございます、巻機山散歩登山から数時間……日が昇る前に起床し巻機山の稜線を歩き牛ヶ岳までやってきました。
この登山の第三の目的……、朝焼け時間の撮影と散歩をこれより始めたいと思います。
太陽が沈む瞬間と出てくる瞬間の「光が美しい時間帯」をしっかりと使うことを考えると睡眠時間はそんなに長くとれないのがつらい。
巻機山の東側に位置する牛ヶ岳、越後の山々へと続く稜線の奥から太陽が昇ってきます。
目の前の山々にも池塘や草黄葉の湿原地帯が見えるのですが、ここは道がありません。
三ツ石山→小沢岳→本谷山→越後沢山→丹後山→中ノ岳→越後駒ヶ岳と続いていくのですが、丹後山までの区間は登山道未整備区間となっていて残雪期以外は歩くことができないそうです。
残雪期の登山記録を見ると強烈な藪と崩落が恐ろしい雪渓が続く恐ろしいルートでした、アップダウンもすごいので僕が歩くことはなさそう……。
奥利根湖方面を見ると低層の雲が見事な雲海を形成していました、徐々に中層の雲も浮かんできて巻機山の稜線は雲に挟まれる感じに。
朝焼け直後にガスが山頂を多い真っ白な世界が広がってしまった……、仕方がないので避難小屋に帰ろうかなと歩き始めましたが徐々に晴れてくるようなので途中のベンチで2時間ほど朝寝をして待つことにしました。
午前8時00分、牛ヶ岳稜線。
登山者の足音を聞いて起きてみれば青空が広がっていました、牛ヶ岳への穏やかで豊満な稜線が青空の元で奇麗に広がっています。
これくらい優しい道だったら喜んで何時間でも歩きたい。
周囲を見渡すと目につくのは谷川岳方面の眺望、割引山からは越後駒ヶ岳が見えたけど牛ヶ岳からは谷川方面が良く見える、清水峠にあるJRの送電線監視小屋が肉眼でも確認できる状態。
谷川岳馬蹄形縦走って奥の谷川から手前の清水峠を越えて戻るんだよな……異次元のアップダウンのように感じるんだけど。
視線を谷川とは逆方向に向けてみましょう、丹後山に向かう稜線の山々なのですが、こちらはかなり筋肉質な山々が続いています。
ここに登山道が通されてないのが不思議なくらいいいルートに見えるんだけどなぁ。
中ノ岳~丹後山は利根川源流となる大水上山もありますし、縦走路の稜線は歩いていてかなり気持ちがよさそう。
秋の時期に歩くのは超お勧めのエリアにしか思えない……!
牛ヶ岳から巻機山に戻る道中、この見事に刈り取られた登山道……すごくないですか?
ここ歩いていてめちゃくちゃ気持ちがいいわけですよ、晴れた日に歩くと本当に幸せな気持ちになって延々と歩いていたい気持ちになります。
幸せな時間もそんな長続きはせず……、牛ヶ岳から巻機山に戻ると多くの登山者たちが巻機山の山頂を楽しんでいました。
空はすっかり青空、草黄葉もより輝きを増しています。
昨日よりも紅葉が進んでいるように錯覚するから不思議、プラシーボ効果だと思うけど。
ハロウィン池塘を越えて避難小屋に戻り宿泊装備をまとめて下山の準備に取り掛かることとします。
軽量装備で井戸尾根を使えば3時間かからずにここまで来れると考えるといい山です。
ヌクビ沢という難路の記憶はもう遥か過去の事のようです。
朝食兼昼食はモンベルのトマトクリームリゾッタ、僕装備がかなりモンベル重視なんですけどやっぱりモンベルってすごいと思うんだよね……。
安いこと以上にラインナップが安定しているから装備が損傷しても変えのパーツがすぐ手に入ったり、同じ装備を安価ですぐ揃えることができる整備性の良さが真の魅力だと思ってます。
軽量装備をそろえるにしてもモンベルはコストパフォーマンスが本当に良い、バーサライトパックをはじめとしてプラズマ1000ダウンジャケットやトレントフライヤーといった軽量装備が他メーカーよりもかなり安く買えるのは助かります。
特にバーサライトパック、1万円ほどで買えるから壊れても容赦なく買い替えができるのは驚異的です。
下山、井戸尾根は優しい道
午前11時25分、巻機山下山開始。
避難小屋前で食事をとっていたら見る見るうちにガスが沸き上がり巻機山の稜線は白い世界になってしまいました。
まだ残暑も厳しく秋雨も降る9月、山の天気もまだ安定しきっていないのか雲が多い2日間だった……。
下山は井戸尾根を下るだけなので特に見どころもなく、かなり穏やかな気持ちで歩くことができました。
階段は整備されているし、道は迷うことがないようしっかり整備されているし……、整備を担当してくれている地元の方々本当にありがとう。
ヌクビ沢みたいな道を歩いた後なので本当にリラックスして歩けました。
ちなみにブナ林も紅葉してなくて特に見所はない。
樹林帯は越後の山にありがちな粘土質な地面が続く井戸尾根、雨の後はヌルヌルで非常に滑りやすくなる。
標識は1合ごとに刻まれていくのですが豪雪によりほとんどは何かしら損傷しているといった感じ。
4合目に至ってはもはや見る影もない……、一体何があって折れてしまったんだお前……。
午後2時55分、桜坂駐車場下山。
巻機山の登山口に到着したとき……思わず声を上げてしまいました、無事生きて帰ってこれたんだと!
ヌクビ沢はもう二度と行かないですね、もう二度と登らないと思う、巻機山はいい山なのでまた来ようと思えるけどあの道だけは本当にもう二度と行かない。
下山後まず最初にやったことは道端の自販機でファンタを買うことでした、水じゃ満足できなくてジュースをずーっと探していた。
魚沼エリアで秋の登山といえば本気丼です、今回は「とん福」さんでジューシーな豚肉が踊る丼ものとホルモンを頼んで焼肉+本気丼という登山後の栄養が足りていない身体が喜ぶメニューで締めることとしました。
五臓六腑に染み渡るとはこの事、下山後の肉のありがたさを毎度かみしめてしまう……!
関東に住んでいるのなら秋は魚沼エリアで本気丼登山、下山後満足できるメニューがあなたを待っている……!
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