2023年9月18日、山梨県と長野県にまたがる奥秩父の盟主「金峰山」を歩いてきました。日本百名山の一つで当ブログでは何度か訪れている奥秩父の名峰、その標高は2,599mで稜線地帯は奥秩父で唯一といっていいアルプス的な森林限界的風景が広がっています。
山頂部にある「これ人が積み上げたっしょ」と思わず突っ込んでしまう巨岩群「五丈岩(御像岩)」が特徴的で、古くから信仰の対象として修験の道が整備されていた山でもあります。
前日である9月17日、岩菅山にてガスにまかれ23年度初の黒星、大敗を喫することとなったRedsugar。それを見越していたのか車中泊装備でやってきたこともあり、翌日18日は早朝登山から夕方帰宅を目指せる晴れ予報の山を血眼で探していました。しかし地球さんは未だに暑い……!
複雑な雲模様が予想される中、朝の9時までなら晴れてそうな金峰山を発見します。金峰山は以前から「長野県側から登るコースってどんな感じだろう」と気になっていた山でもあったため決行を決意。
早朝の廻り目平を目指し再び深夜の高速を走るのでした。
青空を心の底から求めている金峰山登山の始まりです!
金峰山廻り目平コース日帰り登山概要
前日の苦渋に満ち溢れたガス登山の記事はこちら
廻り目平キャンプ場から出発
2023年9月18日午前5時45分、廻り目平キャンプ場。
おはようございます、Redsugarでございます。前日17日は岩菅山で圧倒的ガスに見舞われる虚無登山をやらかしまして、せっかく二日間の自由をゲットできたのにその一日目を棒に振ってしまいました。
本日は貴重な自由二日目、何としても青空登山と行きたいのですが、全国的に天気が不安定で晴れる場所が本当に少ない……。天気予報をいくつか眺めながら、朝方かろうじて晴れそうな金峰山にやってきました。
登山口は長野からアクセスのいい廻り目平を選択、コースタイムも短く午前9時前には山頂に到着できるはず。
土日の廻り目平は満員御礼といった感じで駐車場は満車状態。キャンプサイトでは朝からお肉を焼く香りが漂います。いいよね、キャンプしてる時だけは朝から蛮族みたいに肉食べれるよね。キャンプサイトの砂利道に続く路駐の嵐、それらの隙間を歩いて金峰山登山口を目指しますが、この林道歩きが意外に長い。
途中フェニックスの大岩と呼ばれる特徴的な岩が出現。廻り目平から小川山はクライミングスポットとして有名だけど、こういう屹立した岩が何個も出現する。岩肌を見てみると角は丸く取れて少しずつ風化しているみたい。
午前6時45分、金峰山登山口。
林道を歩き続けて1時間ほど、廻り目平口の登山道といえばこの青い廃車です、いろいろな登山記録に必ず登場しますね。こういう廃車はいわゆる「草ヒロ」に分類される……のかな?車種まではわからず。
ただ雰囲気的には70年代の日産サニー、トヨタカリーナあたりの車種なのかも、4ドアセダンで丸目って限られるような?
昔はここまで車で来れたっていうのがびっくりですね。環境保護とかの考えがなく、山奥まで車に来れた時代の遺産なんだろうな。
木漏れ日が差し込む樹林帯、登山口から針葉樹が続く金峰山北側の登山道はひんやりとした空気が気持ちがいいです。
しかし時期は9月、まだまだ暑い空気が日本を覆っていることもあり、あと数時間で灼熱状態になることでしょう……。
登山道脇には防砂堰堤があり木々の隙間から滝が見える……、下流へ土砂が流れ込むことを防止するために日本の山はかなり奥深いところまでこういう堰堤が作られています。ここ100年くらいで作られたインフラたちですが、補修の問題とかこの先出てくるんだろうなぁ……。
僕の子供の世代には結構こういう施設の老朽化が問題になったりしそう。
青い廃車の先からは本格的登山道がスタートします。か細く薄暗い北側斜面の登山道を延々登り続ける道です。ここまでのところ……甲武信ヶ岳みたいな北からの登山道がきれいでいいね!みたいな雰囲気は皆無です。
奥秩父は山梨県側よりも長野県側から登るほうがいいのかもしれない派のRedsugarでしたが、金峰山に関しては今のところ山梨県側からのほうが楽しそう。
夜が明けてからまだそれほど時間がたっていないというのもありますが、薄暗い樹林帯の中は薄気味が悪い。コメツガやシラビソ、足元にはふかふかのコケと奥秩父らしい景色の斜面をつづら折りに登っていきます。この道……テンションの凹凸というか喜怒哀楽がなく、延々と似たような景色が続くぞ!!
午前7時10分、最終水場。
往路の登りでは登山者の左手側に沢があるような形になります。青い廃車付近では勢いがよかった渓流ですが、最終水場付近まで来ると水場にありがちな控えめの水流に。登山道は針葉樹の落葉でふかふかしていて靴底に伝わる振動が心地よい……、ここはとっても良い!褒めれる!
木々が細くなってくるということは標高が結構上がってきたということ。金峰山小屋が近づいてくると日差しも差し込むようになりました、山頂まで一生ジメジメ日陰登山だと思っていたから非常に助かります。
登山道は一部あれている場所があるものの、全体的にはよく整備されていて百名山の風格を感じさせます。どの道が一番歩きやすくて楽しいかでいうと、やっぱり富士見平小屋から千代の吹上を目指す山梨県ルートかなぁと思っちゃうけど。
金峰山小屋が近づき、木々の背丈もだいぶ低くなり眺望を得ることができるようになりました。空模様はいまだ夏、低層の雲海がどんどん山を登ってくるのがわかる。景色のはるか向こうに見えるのは……御座山ですかね?雲でやや見づらい状態ですが、長大な稜線は雲に覆われていきます……。
こちらも早く登らないと御座山みたいに山頂がガスで隠れてしまう!
金峰山小屋から五丈岩を目指して
午前8時15分、金峰山小屋。
最終水場から数えて1時間ほどで山頂直下にある金峰山小屋に到着してしまいました、早すぎない??
金峰山コースでは大弛峠よりは時間がかかりますが、それでもスタートから約2時間半でほぼ山頂と言える小屋までこれたんだから早い。
金峰山小屋はちょうど朝の休憩時間だったらしく、窓から舌を出すように干された布団が可愛らしい状態でした。コーラを一本いただき、山頂を目指します。
ちなみに金峰山小屋のお隣にシンボリックな岩がありますが、調べると四丈半岩というらしいが本当に?
山頂の五丈岩にならって名付けられたのでしょうか?岩をよじ登って上に積まれたケルンまでは行けますが、Redsugarは怖いので行きません。
金峰山小屋からは足元に岩が連なる岩道を登ります。青空に雲が!!雲がかかっちゃう!と非常に焦りますが、山登りではどんなに焦ったところで歩く速度は変わらない。
四丈半岩を見下ろすとランドマーク感すごい、山深い奥秩父の景色の向こうには雲海が広がります。
何とか青空が広がるうちに五丈岩を見下ろす山頂地点に到着しました。予報通りでまだ晴れてますが、10時前には山頂は雲で覆い隠されそうな雰囲気で一杯です。
雲はほぼ山頂と同じ標高まで登ってきています。そんな雲の隙間からはるか向こうに黒富士のシルエットが見えました。
関東の山に登ったらまずみるべきは富士山!!
午前8時50分、山頂到着。
山頂をうろうろしていたら山頂標まで来るのに時間がかかってしまいました。五丈岩の背後には雲が沸き上がり、稜線とほぼ同じ高さに雲が迫ろうとしています。青空と雲が作る水平線、その向こう側に頭を出す富士山や八ヶ岳を見れた最後の瞬間でした……。
青空の山頂到着!!昨日の岩菅山の屈辱を晴らしたぞ……ッ!!
金峰山の稜線で楽しい所は五丈岩方面じゃなくて、大弛峠側にあります。移動するのが若干手間なんですが、岩の合間を縫って金峰山のアルプス的な森林限界稜線を楽しめる場所へ移動しましょう。
写真は大弛峠方面へ向かう稜線ですが、緩やかですねぇ……。
向こう側は登りコースタイム約2時間半、廻り目平コースよりも1時間くらい早いはず。
山頂の岩場を抜けるとハイマツと草地と白砂の地面で構成された稜線が姿を現します。南アルプス南部の茶臼岳や上河内岳で見たような景色が奥秩父にもあるんですねぇ。それはつまり南アルプス南部は奥秩父に似てるっていうことでもあるんですけども。
光岳へ向かう道中とか「本格的ッ!奥秩父ッッ!!」だったしな……。
白砂の稜線を進んでいくと賽の河原に到着します。雲上の稜線は極楽浄土に例えられることが多いのですが、賽の河原も突然現れたりするよね……。賽の河原では甲武信ヶ岳北部に広がる山深すぎる奥秩父領域を俯瞰してみることが出来ます。写真に写る3人組の方々は非常に気持ちよさそうですが、彼らの奥にあるのが標高2,000mの長峰、その奥に連なる稜線が御巣鷹の尾根などがある三国山方面となります。
賽の河原付近では風化した花崗岩が散らばっていて、いたるところでケルンが積まれてます。道しるべなのか、拝む対象なのかは迷うところだ。
こちらは小川山方面、西上州的な岩峰がいくつもそそり立つ景色が広がります。あれはたしかにクライマーを寄せ集める見た目をしている……。
賽の河原から五丈岩に戻ってきたところでガスが山頂へやってきました、あおぞら五丈岩の最後の瞬間を見届けます。
こう見ると登れそうに見えるんだけど、いざ登ってみると途中でどうしても登れない箇所があるんだよなぁ……。
午前9時25分、山頂出発。
山梨県側からガスが沸き上がる金峰山山頂。転がる岩とハイマツが織り成す高所の景色をほどほどに楽しみ、下山へと移ることにしました。ガスが沸き上がってくる側を見ると、もう晴れる見込みがない事がよくわかる状態だったので……。
四丈半岩から廻り目平へ下山する
下山はピストンになり、まずは四丈半岩目指して歩きにくい石積みの道を降ります。ガスが上がってきて順調に曇り空の山になってきました、やっぱりサマーシーズンは朝しか晴れないねぇ……。
四丈半岩に到着。この隣に小屋があるのは偶然か、それともこの岩を目印にして立てたんだろうか?
午前9時45分、金峰山小屋。
窓からベロンと布団が飛び出た金峰山小屋。小屋の外にはこれからの時期に使うであろう薪が大量に積み上げられています。往路でコーラを頂いたことだし、下山は素通りで。
針葉樹林帯の森を一直線に歩きぬけます。朝と同じく森の中は弱い光しか差し込まず、雰囲気は暗い……。この登山道全体を通して雰囲気が暗いのであんまり好きじゃないんだよなぁ。奥秩父特有のジメっとした感じがすごく強く感じる。
最後まで中々日差しが差し込みにくく、まるでダンジョンのような森の中を抜けていきます。南側斜面の登山道と、北側斜面の登山道って滅茶苦茶雰囲気違うんだぜ。
午前10時30分、最終水場。
山頂から約1時間で最終水場へ到着。登りではここから山頂まで1時間40分でしたが、下山では1時間で到着という形になりました、天気がそんなに良くないということもあり、早く降れましたね……。
最終水場付近から再び日差しが差し込み始めました、山頂に覆いかぶさる雲から逃れ日差しが差し込む山麓までやってきたということでしょう。稜線がガス/晴れ予報の場合は麓は天気が良いことが多いです、雲は山頂付近にまとわりつくけど、山麓方面まではやってこない。
午前10時40分、金峰山登山口。
登山口へと帰ってきましたが、肉眼で見ていてもこの車朝よりも色あせて見えたから不思議です。暗がりの中ではもっと青く見えたんだけどなぁ……。ここまで戻ってきたら後は林道を歩いて車へと戻るだけです。
唯一の不安はお風呂。調べたけど廻り目平近くには手ごろな温泉がありません。御座山に登った際に訪れた瀧見の湯が近いのですが、それでも来るまで結構な時間、どうしようか??
下山のタイミングではクライマーの方々が色々なところで岩登りを楽しんでいました。山岳会とかなんだろうなぁ……、フェニックスの大岩ってこうやって登るのねと感心。
フェニックスの岩というか、波平の頭みたいな木があるから波平岩とかでもいいんじゃ……??
午前11時15分、廻り目平キャンプ場。
う、うおー!すげぇ混雑っぷりだ!!帰る車も多いが入ってくる車もありやがるぅ~~!!狭い砂利の林道に車という車の路駐、この混雑っぷりを見ると中々ここにキャンプしに来る気にはなれない。23年はまだキャンプブームが続いていたからこの混雑だったのだろうか??
我が家の移動基地こと新型シエンタが普通に乗り込んでいたことは心強い。最低地上高は低いけど一般的な登山口へは大体たどり着けるし、何よりもフルフラットで寝心地が良いし燃費が4WDで家族4人乗ってても22キロくらいでるし自動運転も優秀でお買い得な車なのよね。
Redsugar家は圧倒的にトヨタ勢、スバル車がトヨタ並みの燃費になれば乗り換えたいけど。家族がいて登山もやるとなるとトヨタ車選んじゃう。
キャンプ場に戻ってきて気が付いたのですが……シャワーハウス!?収容人数が多くクライマーが多い廻り目平キャンプ場には汗を流せる施設がちゃんとあるじゃん!!ということが分かったので使わせていただきました。
シャワー室には石鹸やシャンプーはございません、車に石鹸セット積んでおいてよかったと心から思える瞬間。シャワーは100円を入れてお湯を出すタイプなので、たくさん100円玉を用意しましょう。
サッパリしたぁああああッ!!!
入浴後にキャンプ場の受付を訪れてみましたが、特にお土産のようなものはなく。薪やスナックが並べられた店内をぐるりと見渡した後にキリンレモンを購入。さっぱりしていてサマーシーズンにぴったりなドリンクだと思う。笠ヶ岳山頂の小屋でもコーラじゃなくてキリンレモンを飲んだよなぁ。
コーラやジンジャーエールにある独特な甘い後味と香りがなくていいのよ。
廻り目平を出発し、上信越道からお家へ帰ろうということでキャンプ場を出ようとしたら目に入ったのがこの景色。写真を大きくしてみてほしいのですが、岩に沢山人が取り付いてる……。この周辺の岩場は何でもクライミングの対象になってしまうのか!?思わず車を降りて撮影してしまうような景色でした……。
やっぱり登山っていうジャンルの中でも岩系は頭のねじが外れてないとできないだろうなぁ……。
廻り目平から登る金峰山はサクッと登れるお気軽コース、大弛峠じゃ満足できない人向け。
僕が歩いたルートで行くと、富士見平小屋コースが一番楽しい道かなぁって思います。たくさん歩けるし景色のバリエーションも多いし、千代の吹上から五丈岩までの稜線歩きは楽しいしね。
楽なのは大弛峠で間違いない、そしてあのコースは大量にきのこが生えるからきのこ好き勢にはたまらないでしょう、当たり年にはヤマドリタケみたいなキノコが大量に見れます。
廻り目平コースは二つの中間に位置するコースに思えました。コースタイムも両社の真ん中くらい、標高差はあるけど早いからしっかり登った感はあると思う……が、全体的に展開の落差がなくヌルっとした感じで登山が終わってしまうところが勿体ない。
金峰山小屋の四丈半岩のシンボリックな景色を楽しめるのは良い所だなと思いますが、それ以外にお勧めに至る「良い点」が中々見えにくい登山道だったことは間違いないなーという登山でした。
この二日間頑張ったけど、結果としては「どちらかというと負けた気がする」悔しい結果に終わったのでした……。
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