2023年10月13日、新潟県妙高市にある日本百名山の一つ妙高山を歩いてきました。北信五岳というグループに属し、登りに行く際は上信越自動車道を走り続けて妙高高原から燕温泉へ向かうことが多く、新潟というよりは長野の北にあるようなイメージの妙高山。標高は2,454mと中々の高さです。
頸城三山でも代表的な山である火打山と妙高山はともに日本百名山ということで、笹ヶ峰から1泊2日で歩いた方も多いのではないでしょうか?
妙高山は笹ヶ峰をスタートして黒沢池ヒュッテ等を起点に大倉乗越を越えるルート以外にも燕温泉から登る道や赤倉温泉方面から向かう道があります。当ブログRedsugarでは妙高山のルートは温泉地を駆け抜ける燕温泉一択ということで、過去の登山でも燕温泉コースを歩き黄金の湯を堪能しました。
何度も紅葉の妙高山を目指しつつも、毎回曇り空予報に阻まれ中々青空を拝むことがかなわなかった妙高山。
さらに妙高山は自走よりも公共交通機関を使うと何倍も楽しいぞということで、今回は秋の妙高山紅葉を青空の下で極限まで楽しむために公共交通機関アクセスで向かうことにしてみたいと思います。
新幹線登山で行く上越妙高。そこで待っていたのは野湯を限界まで楽しむ秋の温泉限界登山だったッ!!!温泉登山勢必見の妙高山登山はじまるよ!
妙高山新幹線日帰り登山の概要
以前の妙高山の記事はこちら
新幹線で行く秋の日帰り妙高山!
2023年10月13日(金曜日)午前6時40分、北陸新幹線かがやきへ乗車。
おはようございます、Redsugarでございます。今日は遅めの登山出発ということで大宮駅から新幹線に乗車して一路長野を目指します。大宮駅の6時って平日でも結構登山者が居まして、みんな新幹線沿いの山を楽しんでいるんだなぁというのを眺めながら、車内で食べるご飯の調達などを行っていました。
群馬方面へ新幹線を利用して出勤するサラリーマンに紛れて登山者が数人……、平日登山特有の背徳感がたまんねぇ~~!!
新幹線登山はローカル線で行く登山とは一味違う旅情があります。まず車内でご飯を食べても許されるのがうれしい。においがきついものはNGだけどこういったサンドイッチとかを頬張りながら外の景色を眺めていると気分が段々と盛り上がってくるものです。あといつでもトイレに行けるのもうれしいよねぇ、本当に新幹線や特急電車を使った登山って楽しいと思うよ。
新幹線かがやきを利用して長野駅に到着したらお次は北しなの線で妙高高原を目指すことになります。本日は平日ということで長野に到着するころには通学の高校生たちで駅は賑わっていました。なんでしょうね、30代後半になっても高校生の通学風景を見ていると甘酸っぱい気持ちになりますね。
電車通学とか存在しない北海道で育ったから、なんか羨ましいよね~。田舎の電車通学を眺めていると都会の電車通学ともまた違う雰囲気がある。
北しなの線に乗車した学生たちは早々にはけていき、妙高高原駅が近づくころには車内はひと気もまばらな状況に。乗客が少ない朝の電車に乗り続けるこのシチュエーション……いいよね!!
多分こういうシチュエーションを楽しめるのは僕らの世代が最後かなと思う。あと20年、30年すれば地方のインフラ維持は難しくなって電車が消えたりしてしまう……、老後になってからも同じ景色を見れる可能性は限りなく低いと考えて、今を全力で楽しんだほうがいいと思うRedsugarです。ちなみにRedsugarの出身地北海道は路線が消滅しまくった場所でして……、そのうち内地でもいろんな路線がなくなるだろうなって思う。
妙高高原駅に到着したら燕温泉へ行けるかというとそんなことはなく、電車を乗り換えてお次の関山駅へ向かう必要性があります。「えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン」という滅茶苦茶長い名前の路線になります。
この妙高はねうまラインの跳馬というのは妙高山の山腹に雪解け時期に現れる印で、雪が解けた際に見える黒い地面の形が跳馬のように見えるというものになります。妙高山の外輪である神奈山には馬形に合わせ牛形も現れ、跳馬は妙高にとって大事なシンボルということのようです。
近代以前は雪国や山国では、こうした雪形は春の訪れを告げるサインであり農作業の開始に紐づいていました。こういうところからも農耕と山の繋がりや、そこに生まれる山神や田の神の信仰を窺い知る事ができますね。
電車内は滅茶苦茶人がいない……、どこで混むんだこの電車。
午前8時40分、関山駅到着。
駅を出てまず最初に目に入るのが「妙高山登山口」と書かれたモニュメントです。
駅の名前を眺めていたあなた「え?妙高山へ行くのって妙高高原駅じゃなくて関山駅なの??」と思ったことでしょう、そうなんです……燕温泉へ最速でたどり着くためには関山駅に来る必要があるんです。
妙高山と関山は古代から関係があり、関山神社は神の山、仏の山と崇められてきた妙高山の里宮がある場所になります。奈良時代の和銅元年(708年)にインド出身の裸行上人が成したともいわれ、関山には大陸から伝来した聖観音菩薩の百済仏が江戸時代の終わりまで祭られていました。これは妙高山に阿弥陀三尊が祭られる前の古い本尊だったとか。
現在ではかつて妙高山山頂に奉納されていた善光寺如来と同じ姿のご本尊「妙高山如来」が収められている関山神社。
妙高山をご神体として山岳信仰の修行場として栄え、中世の支配者上杉家の帰依も篤かった関山は妙高山の登山口として由緒正しい場所になります。
妙高山登山を目指す方々が数名下車。3名の団体さんでその方々は旅館か何かが手配したバスで早々にいなくなってしまいました。Redsugarは市営バスを待つためにしばらく待機。
午前9時00分、関山駅発燕温泉行バス乗車。
公共交通機関アクセスで妙高山となった場合の登山スタート時間は10時近くになる……というのをこのバス乗車時間を見ればおわかりいただけただろうか?気候が安定する秋とはいえ10時スタートはちょっと遅くない!?と思うが仕方がないのです。
関山駅にやってきた小型バスに乗車し燕温泉を目指します。こちらの妙高めぐりんですが乗車料金は500円とお安めでした。
午前9時40分、燕温泉到着。
燕温泉入口にバスが到着したのは10時前……。駐車場を見ると登山客はそんなにいないらしい、そりゃ平日だもん当たり前か。燕温泉は高妻山登山の直前、朝3時に入浴のために訪れたりと、温泉だけなら何回も訪れている不思議な場所です。
格安で露天風呂を味わえるし、高速降りて温泉地まで一本道で滅茶苦茶近いから……。
燕温泉は良いよね、温泉街を流れる温泉水の香りが心地いいです。下山後にすぐに温泉に入ることができますが、僕は毎回黄金の湯を目指しちゃうんだよねぇ。
妙高山ですがその麓には赤倉、池ノ平、関、燕と温泉郷がいくつもあります。妙高山は古い名前で「越の中山」と言い「名香山(なかやま)」と書かれたらしいのですが、なかやまというかいい香りの山とも読めますよねー。温泉の香りって本当にいい香りだもんな。ちなみに名香山と仏典の須弥山に付会して妙光から妙高へと改名されたということで、火山としての地形、温泉、信仰すべてが収束していく様が見れて面白いですね。
妙高山登山ですが、まずは温泉街を抜けて黄金の湯方面を目指します。空にはガスが多いんだけどこれが朝からなのか、それとも10時を前にして湧き上がって来たのかはわからない。ただ一つ言えることは……登山開始時間が遅いということだッ!!
流石に大宮から新潟の妙高まで来たら登山開始時間が遅くなるか……。
もくもくと湧き上がる雲の向こう側にうっすらと黄葉してそうな妙高山が見えます、ガスが多いが晴れているのできっと大丈夫??紅葉の妙高山登山は前回もガスで痛い思いをしている、今回は……今回こそは青空を拝んでやるぞッ!!!
逆襲の妙高山登山、プレイボールだッ!!
紅葉の妙高山の景色を求めて
妙高山燕登山道は途中までは赤倉温泉源泉へ向かうための道でもあるため、舗装路が続くという大変登りやすい道になっています。少し遅めの登山開始だからか、雲が多い気がするのと全然景色が緑色な気がするけど、きっと上は紅葉していることでしょう。
所々に作業小屋が見えます。ほら、ここまで来ると黄葉が進んで景色を期待できそうな雰囲気が出てきましたね!
黄葉の時期を選んで歩いている妙高山ですが、ほかに旬な時期はないのか?と聞かれると6月末の山開きかなぁと思います。もともと6月23日に講中の入峰があったとされる由緒正しい日付があるのですが、それに近い山開きのタイミングで登るのは歴史視点から見ると旬じゃないかなと思います。ナンボイサンと称する信仰登山とのことですが、登っている時にいうのかな……ナンボイサン。
午前10時15分、赤倉温泉源泉。
燕登山道上部にあるのがこちらの赤倉温泉の源泉、このエリア一帯を北地獄谷と言います。
この源泉は燕温泉ではなく下流にある赤倉温泉の源泉。赤倉温泉は江戸時代文化十三年(1816年)開湯で200年以上の歴史があるとのこと。湧出量は毎分3,400リットル、一日に5,000トンもの温泉水が湧出しているというのだから驚きです、地球さんすげぇ……。赤倉温泉のサイトによれば一日に3,400人以内の入浴客だったら源泉かけ流しで衛生的に温泉を提供できるということらしいよ。
温泉地までは数キロの距離があるけど、源泉の温度が60度で湯船につく頃にちょうど42度前後になるとのこと。自然が生んだ絶妙な湯加減ということらしい、これは燕温泉だけじゃなくて赤倉温泉にも入りたくなるね。
赤倉温泉源泉から先は本格的登山道がスタートしますが、その道中にある称名滝に今回の登山の注目ポイントがあります。それがこちら称名滝の直下にある温泉です……とても入りたいけど前回はスルーした場所でした。湯船には白濁したお湯が溜まっていて、周囲には硫黄系温泉特有の香りが漂います。
赤倉温泉の源泉よりも上に位置しており、湯加減も抜群、温泉濃度としては最強じゃないでしょうか?
今回は下山後のバスの時間の関係上、もしかして入浴が可能なのでは?と思っています。
称名滝を過ぎて標高を徐々に上げていくと黄葉の勢いが増してきました、妙高山の紅葉は称名滝から天狗堂付近が色づいている時がお勧めな感じかなぁ?
足元を流れる小川の水はもちろん温泉水……冷たいけど。
称名滝上部からは川沿いの道を上り詰めて胸突き八丁を目指します。標高にして焼く1,800m地点が胸突き八丁のスタート、そこから標高1,930mの天狗堂まで距離にして360mの急斜面が続きます。縦で360mはしんどいが横で360mはすぐですね。
胸突き八丁手前の低木帯が程よく黄葉している状況。この辺は写真の右手側にか細い沢がありますが、流れているのは温泉水ではなく真水。
午前11時5分、胸突き八丁。
標高1,800m地点にある胸突き八丁に到着しました。ここからは前述のとおり距離にして360m、高さにして約130m、時間にして20分ほどの急坂登りが始まります。妙高山の燕登山道コースでは一番きついのがここ。
景色的には、これは今回もダメかもぉ~という絶望にかられる胸突き八丁。妙高山って仏教でいうと須弥山、仏教世界の中心にそびえたつ神聖な山の別名なんですけど、一般的に想像する極楽、涅槃、輝く世界!みたいな景色は今求めていなくて、晴れた青空と紅葉が見たくて来たんだけど……。
ちなみに胸突き八丁は全国の山々に同名の場所がありますが、要は登っていて胸が苦しくなるくらい急な場所っていうことです。
午前11時30分、天狗堂。
妙高山の胸突き八丁は歩いてみると意外に簡単、ゆっくり歩くことに専念すれば息切れすることなく天狗堂にたどり着けました。晴れていれば山頂方面がよく見える光善寺池ですが展望ゼロ……、前回同様ガスに包まれていて悔し限りです……。残りの標高は約400mほどになりますが、山頂直下は鎖場もあるため時間的にはまだまだ先は長い状況。
光善寺池って善光寺みたいな名前だけど関係があるのかな??
善光寺と言えば長野の観光名所ですが、妙高山と善光寺は深い関係があるようです。そもそも長野盆地は善光寺平と呼ばれていました。信越五岳の戸隠山や妙高山は善光寺を守護する霊山として扱われ、一体的な浄界を形成していたんだとか。妙高山山頂には阿弥陀堂があり、そこには善光寺の本尊と同じ姿をした阿弥陀山村が妙高山如来として祭られていました。妙高山の信仰と善光寺の関係からこの池の名……微妙に名前違う!!
今日はガスということもあるけど、上部は樹勢が弱いため紅葉を楽しむことに全力投球する山ではないなと思う。錦の紅葉を見たいのであればもっと他に選択肢があるなぁと思える。そう考えるとやはり山開きのタイミングで歩く信仰登山になるのか??いや……まだ風呂があるッ!!
妙高山を一番楽しむためにはやはり……温泉しかないッ!!
黄色が主体だった妙高山の紅葉は山頂直下まで来てようやく赤が出てくる状況。光善寺池まで来ないと赤が目立つ黄葉に会えないっていうのもなかなか大変なもんです。
ここまでガスで色々とあきらめていた妙高山ですが、急にガスが薄くなってきて太陽の光が差し込むように……、これは低層雲を抜けて雲海の上に出るのか!?
青空……人類が見た最初の青は間違いなく空だろう。人類が見た最初の直線は水平線だっただろう、それくらい原始的である種の安心を得る色がこの青空。ガスでずっとテンションが下がっていたんですが、ここでようやく元気が出てきました。
目の前に現れたのは雪国ではよく見かける、雪の重みでまがって成長してしまったダケカンバの幼木。こういう曲がった木を見つけると雪国の山に来たなという気持ちになりますね。
光善寺池から先、八合目の風穴を過ぎると九合目の鎖場が始まります。登山道の急さ、登りにくさでいうとこの九合目が一番難易度が高く時間がかかる場所じゃないかなぁ?
八合目の風穴から上部は森林限界になるため、いわゆる極楽浄土的な景色が広がっているはずだけど……妙高山の場合は少し怖い景色になる。まず目の前に現れるのは赤倉山から三田原山へと続く外輪の稜線、地名から察するに大谷ヒュッテがある南地獄谷から登った先稜線部分で浄土に入るみたいな感じで弥陀原→三田原な感じじゃないだろうか?
妙高山本体から外輪を見回すと爆裂火口らしい切り立った崖がぐるりと山を囲んでいる。
九合目を登りきると山頂エリアに入るが、妙高山は山頂が広く妙高大神が祭られている地点から山頂碑がある北峰までは少し距離がある。山頂部に樹木の姿は少なく、飴色に変色した草黄葉と風化した火山岩が点在する荒涼とした景色が続きます。
野湯を目指し妙高山を降る
午後12時45分、山頂到着。
まず山頂に到着すると妙高山南峰に立つことになります。ここからは正面に見えるのが妙高山一の奇岩と言われる日本岩。山頂は荒涼とした景色が特徴的で、どことなく寂しい景色が広がっている秋の山。
これを撮影している地点が妙高山最高峰の南峰(2,454m)で妙高大神が祀られている地点になります。登山的な山頂は妙高山北峰(2,446m)になるのですが、ちょっと歩くんですよね~。妙高山山頂に収められていたという妙高山如来は木曽義仲が平氏討伐の戦勝祈願のために妙高山に奉納したという伝説があります。信州では人気な木曽義仲の上洛前に奉納されたかもしれない伝説とすると、想像が膨らみますね~。
僕の木曽義仲像は青木崇高ですね……鎌倉殿の13人の印象が強い。
南峰から眺める北峰、登山客的な山頂は向こう側ということもあり平日だけどたくさんの登山者が休んでいるのが見えます。
出発が一番遅かった自信があるから余裕で最後尾だわ。
日本岩にの麓までやってきましたが確かに立派な岩。日本岩の隙間から白馬岳が見えるということですが、いまだにそれを意識して探したことがない……。
当たりを見渡すと中腹以下に低層雲による雲海が形成されているのがわかります。柏崎方面を見ると米山を含む低山の山々が見える。
日本人は三大○○みたいなのが好きとは言いますが、ここから見える米山は日本三薬師の一つである米山薬師が祀られているとか。調べると登山道もナイスに整備されているので紅葉時期とかに訪れてみたいですね。
妙高山北峰に到着しました。平日だけどさすが百名山……人が多くてどこの写真を撮ろうにも人が入ってしまうぜ。
そして晴れてはいるものの、頸城山塊の西側の山々である火打山や焼山といった名峰を見ることができませんでした。
火打山方面を見下ろすと台地上になった山の端に沿って景色を切り取るように雲が湧いている光景が目に入ります。
そして大倉乗越へと続く谷底がよく見える、めっちゃ急やん……。
妙高山の北峰ですが、明け方は凍っていたのか足元は泥でべちゃべちゃであまり居心地が良いものではありませんでした。南峰に戻り妙高山如来の痕跡を探したりすることにします。
南峰に戻り、休憩がてら山頂を観察しているとわらじが奉納されていたり、岩に鉄製の小さな如来がセメントか何かで埋め込まれていたり……歴史を感じさせる痕跡がたくさんあってそれはそれで面白いものでした。
隣にあるのは山村留学の方々が奉納したものらしい、調べると現在も長野県では移住施策の一環で山村留学やってるんだとか……、子供には一度地方で暮らしてほしいけどこういう方法があるのかぁ~と感心。
南峰周辺をうろうろとしながら、周囲の岩に何か刻まれたりしてないかなぁ~と歩き回っていましたが、空模様も怪しくなってきたので下山することにしました。
午後1時50分、山頂出発。
下山時に山頂から地獄谷へと向かう斜面を見てみるとダケカンバの紅葉が素晴らしい!もっと晴れている時だったらさぞかしきれいだったんだろうなぁ……。妙高山は火山ではありますが、古い火山ということもあり山肌の植生が豊かです、そのおかげでこういう景色が見れるんだなと。
グネグネと曲がりくねったダケカンバの木。見れば見るほど不思議な木です、こんなにグネグネと曲がった木は標高が低いところではなかなか目にすることがないよなぁ。
中腹から下は湧き上がる雲と言いますか、山に覆いかぶさる雲海を形成する雲の中。紅葉に彩られた尾根が雲に沈んでいく様は絵になるものがあります。
青空の山頂に立つことはできたのですが、いまいち不完全燃焼なのは間違いない……。帰りのバス時刻を考えると下山を急げば称名滝直下の野湯に入ることも夢ではない、そう思い下山を急ぎます。
午後2時50分、天狗堂。
天狗堂までは鎖場の影響や、撮影に時間をつかったため時間がかかりました。そこから先の胸突き八丁を軽やかに降り、夕日に染まる神奈山を眺めながら温泉を目指します。
目の前にある神奈山は高田平野の眺めが良いとか。ルートは関温泉からつながっているようで、道は明瞭らしい。長助池までの道はかなりあれているようだが……。
午後3時30分、称名滝到着。
時計をちらちらと確認しますが、まだ午後4時前。称名滝から燕温泉までは1時間もかかりません。つまりバス乗車を考えると温泉に入る余裕が十二分にあるということです。ついに……ついにこの温泉に入れる時が来たのかッ!!
温泉にいざ入ろうと近づいてみると、ちゃんと服を置くのに適した場所とかがあってよく考えられているなと感心します。岩づくりの風呂釜を見てみると……あれ?お湯の色が朝見たときよりも透明じゃない??でも温泉のいい香りはする、名香山の良い香りの湯であったまりたいと思います。
午後3時40分、入浴。
さ、最高だぁ~~~ッ!!大自然中に作られた温泉。登山者は自分以外おらず独り占めの妙高山で味わう秘湯と言っていいでしょう。開放感が素晴らしい、そして湯加減も程よく43度くらい。あったまったら外気浴で体を冷やし、再び湯船に身体を沈め20分ほど温泉を堪能しました。妙高山燕登山道ルートを登るのであれば、この温泉に入りましょう……、妙高山登山が一瞬で記憶に残る登山になります。
ただ、入浴してから燕温泉まで下ってくるのは中々しんどいものがありました。ふやけた足をもう一度登山靴へと突っ込み、舗装された登山道をひたすら降る……せっかく汗を流したんだけど湯冷めしちゃうと思いながら30分ほどで燕温泉へと戻ってきました。
この燕登山道はコースタイムをかなり圧縮できる、特に下りは早い。
午後4時30分、黄金の湯にて再度入浴。
下山したのはいいんだけどバスが来るのはまだ一時間以上先……。登山口の売店で缶ビールを購入した僕が向かったのは黄金の湯。貸し切りの黄金の湯は白く濁ったお湯が登山客を待ち構えています。
こちらで約1時間ほど入浴、外気浴、入浴、外気浴を繰り返し身体を整え、最後にビールをいただき帰路に就くことにしました……。
結局妙高山の後半は一時間半風呂に入るという、自分史上最長の風呂登山となってしまった。
午後5時50分、燕温泉。
太陽が沈みあたりも暗くなった6時頃になってバスはやってきます。温泉に浸かりすぎて温まりすぎたせいか、バスの揺れが気持ちよすぎて寝るかと思った……。
午後6時35分、関山駅。
バスと電車を乗り継いでくると妙高山は結構遠くまで来たなーと思わされる山です。夜の関山駅は田舎の風情が漂っていました。そこからは妙高高原で電車を乗り継ぎ長野へ向かい、長野からは新幹線で大宮を目指します。
もはや長野駅に着いた時点で気分は埼玉、人もまばらな平日の新幹線車内でロング缶を開け、今日の温泉登山の写真を見返すのでした。
家に到着したのは21時台、新幹線登山ってなんだかんだ安定して早いから驚かされる。
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