2022年9月11日、南アルプス北部にある百名山「甲斐駒ヶ岳」を歩いてきました。標高は2,967mで百名山の中でも著名な山です。いくつかあるコースの中で、Redsugarは過去黒戸尾根日帰りで登っていたのですが、今回は定番コースの北沢峠周回で歩きます。
埼玉からスタートする場合は中央道を抜けて仙流荘前まで自走、そこから先は登山バス乗車ということなのですが、これが中々辛い。毎日あるぺん号など、夜出発で朝5時付近に仙流荘前到着のバスがあるため、そちらが使えるならお勧めです。
自走の何が辛いって、帰りの中央道ですよね。
ほぼ確実に渋滞が発生する中央道小仏トンネルと上野原エリア、あれだけで帰りの時間が遅くなってしまいます。
アルプス登山名物の週末渋滞だよね、とも言われますができればそんな目には合いたくないもの。
北沢峠からは仙水峠、駒津峰を経由して山頂へ向かいます。当日はガスの多い天気になってしまいましたが、晴れ間の多い残暑の甲斐駒ヶ岳を味わうことが出来ました。
久々の甲斐駒ヶ岳はメジャールートから、北沢峠から歩いたことなかったけど岩と白砂が特徴的な場所だったんだなぁ……
甲斐駒ヶ岳日帰り登山の概要
北沢峠から仙水峠を目指して
2022年9月11日午前6時25分、仙流荘前バス乗り場。
おはようございます、Redsugarでございます。
深夜の高速道路をひた走ってやってきました仙流荘ですが……、すっかり仙流荘前に到着するころには朝になっていました。残暑が厳しい9月、季節は秋に差し掛かろうとしていますが山の麓はまだまだ暑いです。
さて、甲斐駒ヶ岳ですが南アルプス北部では人気の山。スタート地点となる北沢峠へ向かう登山者が……ごった返しています。
午前6時40分、北沢峠行バス乗車。
バス停に並んでいる時点でもはや1便に乗車することは不可能というのがわかる列の長さでした。百台を軽く超える駐車台数、バスチケット売り場に並ぶ数百人の登山客……第1便の出発を見守り、バスが帰ってきてからの2便に乗ることを余儀なくされました。
朝5時に到着してたんだけどなぁ……、バスに乗れたのが午前7時前。
これがあるから北沢峠からの登山はちょっと嫌なんだよなぁ……、黒戸尾根で自分の時間で登れたほうがいいじゃんって思うから中々こちらからアクセスしていなかった。
午前7時30分、北沢峠。
40分ほどバスに揺られ北沢峠へ到着、バスは再びすさまじい勢いで旋回して仙流荘へ駆け下りていきました。
だって第三便で最後の登山者を上にあげないといけないから、だけど3便で登山開始は日帰りが無理な気がします。
今回は仙水峠から駒津峰を経由して山頂を目指すので、最初の目標地点は仙水小屋です。
北沢峠周辺はひんやりとした空気が張り詰めていて、みずみずしく湿った苔に覆われた森のいたるところから水蒸気が立ち上っていました。1便で来れたらもっと感動的な水蒸気が見れたのかもしれない。
2便でも十分に幻想的な森を楽しむことが出来たから良いんですけども。
北沢峠から歩いて10分もしないうちに長衛小屋が見えてきます。南アルプスの仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を歩く際のベースとなることが多い小屋です。すさまじい数のテントが張られている……。
土日にこちらにテントを張った後、両日で1座づつ登るようなことをよく聞きますね。こちらの小屋はシャワー設備もあるため、居心地は本当に良いと聞きます。
長衛小屋からは仙水小屋を目指して登山開始です、まずは谷底みたいな渓流沿いを歩いて標高を上げていくことに。
薄暗い森の雰囲気に癒されながら先を目指します。ひんやりしていて虫も活動してないからとても歩きやすい。
水たまりに写っている木々が綺麗~などと思いながら登っていきます。
南アルプスもめちゃくちゃ人の手が入っていて、治山事業のため堰堤がかなり上まで整備されているんだなぁと思わされました。アルプスって言ってもほとんど人の手が入っていて、人の息吹を感じない自然の強さがあるところって日本アルプス全体を見渡してもそんなに多くはないよなぁと思う。
谷底な雰囲気ということは岩場も大体湿っているのでロープや鎖ががっちり整備されています。
山の人々が作ってくれたであろうその辺のシラビソを伐採して作った橋はかなり立派でした。
写真から伝わるだろうか、岩と苔と深い森を登っていくのよ前半は。
周回コースだと登りに仙水峠を選んだほうがこういう水と森を楽しむことはできるかなと思う、朝の弱い光の中で歩く森はとても癒される。
双児山のほうは登り一辺倒の男らしいコースだから下山がいいのではないかと思った。
午前8時5分、仙水小屋。
北沢峠から登ること30分くらいで仙水小屋へ到着。南アルプスの天然水がざぁざぁ流れて飲み放題になっている。
南アルプス小屋だと天然水が飲み放題なことが多いよなぁ……、稜線の小屋以外は。
個人的には南アルプス南部の聖平とかは水がおいしかった覚えがある。あとは千枚小屋もおいしかったなぁ。
仙水小屋を通過すると細いシラビソが生い茂った苔地の森を進む。これらの木々は登山道がなければ人が歩けそうにないような密度で山肌を覆っていたんだろう。
苔の中にたまーにきのこが隠れている。朝露が実った苔の中を覗き込むのは楽しい。
ある程度進むと森が開けてくるのだが、斜面に積み重なった岩がその原因。
岩場の手前には白くふわふわした苔のようなものがたくさん生えていた、周囲にはコケモモのような実もなっていて、野鳥たちが住むにはよさそうな場所に見える。
森を抜けると大中小様々なサイズの岩が積み重なったV字谷の底を進むように登山道が切られていた。
ここは少し登山道を離れて歩いてもいいのか、登山者がおのおの歩きやすい岩を探して登っていく。
少し高い位置まで来て見返してみる。南アルプスにはたまにこういう場所がある、土が吹き飛ばされて岩だけになってしまったような斜面。きっと岩の隙間に小さな哺乳類が生息したりしているんでしょうね。
仙水峠の手前までやってくると甲斐駒ヶ岳を彷彿とさせる白い岩の山肌が見えてくる。
駒津峰がまだだから、あれは山頂じゃなくてその手前の山肌だけども、白く輝く岩肌は特徴的。
午前8時50分、仙水峠。
仙水小屋から1時間ほどでやってきた仙水峠、ここまではたいして上ることもなくスムーズに歩いてやってくることが出来た。正直このコースをピストンするのが一番楽で速いと思う。
この分岐からは栗沢山、アサヨ峰に行くこともできます。その二つの山ですが……その昔南アルプスの天然水のCMで宇多田ヒカルが登るCMがあって、めちゃくちゃエモい映像と曲がその世代の印象残っているという山。
もちろんRedsugarもCMを目にしたことがあるのですが、なんかすげぇ印象に残っている。
白い稜線の甲斐駒ヶ岳
仙水峠からはめちゃ登る。
六合目の駒津峰まで一気に標高を上げていくんですけども、急激な上り坂に顔面蒼白です。
岩が積み重なった坂道がどこまでも続くかの如くギューーーンと伸びていく……、まさに男坂。
登っていくとだんだん木々の感覚が広くなってくる。立ち枯れしている木々も増えてきて「もうすぐ稜線だよ」と教えてくれているような感じに。
駒津峰前でようやく樹林帯が終わりハイマツ帯になります。ここでようやく南アルプス北部の眺望を得ることが出来ます。目の前にでっけぇ仙丈ヶ岳が見えますが、本当にでかいですよねぇ……。
そして何よりもここからみてもわかる仙塩尾根の存在感。
正直一度は歩いてみたい仙塩尾根、その時間を作ることはできるのだろうか?
稜線上には白骨の物の怪のような木の幹が点在、枯れてから存在感が出るというのはすごい。
死後に名前が売れる芸術家みたいなものか。
駒津峰では仙水峠、双児山双方から登ってきた登山者が合流。休憩するにはちょうどいい地点でもあるので、行動食を食べて休憩する方々がたくさんいました。
午前10時15分、駒津峰。
駒津峰からは山頂方面の景色がよく見えます、というか樹林がないから周辺の眺望は大変よろしい。
ここからは楽しい稜線歩きが始まります。
駒津峰から山頂方面を眺めるとこんな感じで、とても美しいピラミッド型の甲斐駒ヶ岳の山容をとらえることが出来ます。
甲斐駒ヶ岳山頂を目指して多くの登山者と一緒に岩場の道を登っていくことに。
甲斐駒ヶ岳本体に差し掛かると写真のような坂道が出てきます、結構でかい岩が積み重なった斜面で遠くからみると結構怖い。崩れてきたらと思うと怖いねぇ……。
甲斐駒ヶ岳本体に差し掛かろうかというところで南側の鋸岳がよく見えることに気が付きました。二百名山に登録されている山ですが、ややアルパインな要素が多く自分が歩くことはなさそうに思える山の一つです。
甲斐駒ヶ岳から大きな弧を描く稜線が鋸岳に向かって伸びていました。
さて、山頂方面を見上げてみると岩のお城とも言えそうな天然ピラミッドが見えます、ここからが結構つらかった。
岩肌を登っていくという言葉がぴったりな甲斐駒ヶ岳。黒戸尾根ルートだとこういう場所ってあんまりなかったんだけど、北沢峠からはこういう道がたくさん出てきました。
周囲を見回すと、山肌に刻まれた大地の歴史を間近で感じることが出来ます。
白砂の山肌とそこに点在する巨岩、甲斐駒ヶ岳の森林限界から先は他の山岳信仰系の山と同じく浄土的な世界が広がっています。記事の前半でも書きましたが、森の中は堰堤とか人の手が入っていて自然といえども人が管理している面が強いけど、ここまで来るとさすがにその雰囲気は薄れてくる。自然がまだ畏れ多いものとして生きていると感じれるような空気があっていいなと思います。
先を登る人々がケルンを積み上げていました。積み石って目印以上に何かスピリチュアルな雰囲気あるよなぁ。
岩が多い甲斐駒ヶ岳ですが、その多くは風化が進んでいるのか丸みを帯びているものが目立ちます。
山頂直下になると鳳凰三山でも見た白砂の山肌とグレイッシュな岩が混在する山肌になってきます。
摩利支天側から山頂を目指すパーティーがミニチュアみたいに見える……。
午前11時25分、甲斐駒ヶ岳山頂。
駒津峰から約1時間ほどで甲斐駒ヶ岳山頂に到着しました。山頂は大混雑といってもいい具合に人であふれかえっていたので、祠を撮影したらすぐに移動。黒戸尾根側を眺めれる場所に行ったんですけど……、直後ガスが上がってきて山頂からの眺望が失われて行ってしまいました。当時は「でもまぁこれも登山の醍醐味か」と思える程度に成長していたから狼狽えることはなかった。
一度快晴で登っているという事実があるだけで天候には優しくなれる。
黒戸尾根側を見ると数人の登山者が登ったり下りたり……。この時間に下山していく人の中には黒戸尾根日帰りもいるんだろうなぁと。往復12時間半くらいかかった気がする、あの頃は20代だったと思うのですが……今だと日帰りで何時間かかるのだろうか?
前回はカメラ二つ持ってて12時間半だった気がするから、今の軽量装備で歩けばもしかしてあんまり変わらないかも?
双児山から北沢峠へ一気に下山
山頂にいたのですがなかなかガスが取れず、特に仙丈ヶ岳や北岳方面が見えないので下山することにしました。
時計を見ると地味に下山時刻がまずい気がしてきました……、16時が終バスだけど混むから乗りたくない。
よし、摩利支天は今回はパスだ!!どうせまた来る機会が必ずある山だから次回!!
白砂の山肌を下山しながらあたりを見回すと、パワーに満ち溢れてそうな岩が結構転がっている。
鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳はかなりスピれる場所だと改めて認識する。
写真を撮るときに何で反応しているかを掘り下げていくと、割と自分はスピっていたので、パワーがありそうな岩とか木と触れ合うことは大事だと思っている。
普段の登山であればただの岩として見落としそうなものも、光の入り方やその時々の自身のコンディションで「呼び止められるように」感じることがある……自分で書いてて気持ちが悪いが、なんかそういう瞬間がある。
風化が進んでいるのか表面がなだらかに削られた岩が山肌に張り付くよう。
この砂地を歩くのは滅茶苦茶気持ちがいい、甲斐駒ヶ岳で一番気持ちがいい区間は間違いなく山頂直下の白砂の山肌エリア。青空に白い雲、白い砂地と素敵な景色を思う存分堪能できます。
ガスっていると地面も白いから目の前がめちゃくちゃ明るく見える……、雪焼けみたいな感じで眩しい。
下山は駒津峰方面に向かいます。往路では気が付かなかったけど、ひし形が特徴的なシンボリックな岩があったのね。
降る道中、登りの時は見えなかった巨岩やスポットライトを浴びたかのようにひときわ目立つ岩が目の前に現れる。
特に三枚目はフラットなライトで不思議な空間が目の前に広がっていたことを思い出す、スピった景色だなぁと。
午後1時10分、駒津峰分岐。
駒津峰から少し進んで双児山に向かうための分岐路へさしかかったころにはずいぶんガスが下りてきていたし、空も雲が多くなってきていた。もう下山なので曇り空でもいいんだけど……、森の中に入ると薄暗い光の中でまだ少し湿った地面が下へ下へと続いている。
双児山までは下って登ってと凹凸がある、楽なのは仙水峠へ向かう道だと思う。絶対あっちのほうが早いと思うんだよなぁ……。
木々の隙間から見えた日本第二位の標高を持つ北岳は雲の影響もあって槍の穂先のように尖った山頂が特徴的な姿になっていました。
双児山からの下りは「THE 南アルプスの樹林帯」といった森が続きます、奥秩父の上のほうともいえるけど……木々が密集し足元は苔で覆われた森をが延々続く。
倒木があれば木々の隙間からうっすらと光が差し込んで木肌がきらりと光っていたり。それ以外は深緑に包まれた薄暗ーい道が続きます。写真だと数枚で済ませてしまいましたが、双児山から北沢峠って結構時間がかかるから注意です。
下り道がすげぇ長いのよここ、びっくりした!
午後2時55分、北沢峠。
双児山からの下りがめっちゃ長かった……、延々似たような景色の森の中を降り続けて1時間以上歩き続けてようやく北沢峠に到着しました。幸いにして15時台のバスに乗車できる時間だったので、南アルプスの天然水を頂戴して撤退します。
15時前くらいはまだバスがすいてるけど、ここから先はどんどん混んでくると思われたので、乗れるときに乗っちゃいます。
バスに乗車後は半分寝て半分起きてるみたいな状態になり、気が付けば仙流荘前に到着していました。
自分で運転しないっていいよなー、寝れるもんなぁ……と毎回思います。夜行バスとかで寝る能力を身に着けると、本当に登山が楽になるからお勧めです。
登山後の入浴は仙流荘へ。下山即温泉が可能というのが仙流荘スタートの良い所です。
入浴後はコーヒー牛乳でさっぱり。
帰り道、お土産をどこかで購入したいなーと思っていたのですが道の駅南アルプス村の売店を選択しました。
事前調査がこの段階だと進んでいなかったので残念ですが、記事を書いている段階では伊那周辺だと春日酒造の龍遊、信濃錦さん、仙醸さんと魅力的な酒蔵が多かったので、それらをゲットしに走れなかったことが悔やまれます。
でもまぁ……、伊那って登山やってると年に数回は訪れてる気がするから次回以降でちゃんと買っていきたいと思います。
ちなみにお土産に購入したのは伊那日和や伊那谷のブルワリー「ペッカリービール」さんのお酒。
伊那はお酒造りが地味に盛んだなと思える、埼玉から登山を市にくるみとしては小川町みたいな雰囲気を感じる。
南アルプス村で下山後のソフトクリーム、さすがにここまで来るとうまい。
牛乳の味がしっかりとする良いソフトクリームでした。
甲斐駒ヶ岳と南アルプスの甘味を楽しんだ後は中央道を走って埼玉へ帰るのですが、9月といえども休日は渋滞が本当につらかった……。
さて、帰宅後に期待を込めて飲んだ伊那日和ですが、……開封しても泡立たないタイプのビール。炭酸分も少ないため刺激は少ない、僕はこのタイプあんまり好きではない。少し酸味を感じる華やかな甘み、苦味はあとからやってくる、味は濃いけど炭酸っぽさがないから何というか重い……。
うーん、久々に好きじゃないビール引いた。
自分はやっぱり炭酸強めで抜けがいい酒が好きなんだなと再確認。
これとは別に購入していたペッカリービールですが、そちらは大正解で自分に合う感じですごい美味しかったのです。
なので、次回以降はそちら側をメインで購入していこうかなと思いました。
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