2018年7月15日、南アルプス南部の赤石岳に行ってきました。
前回の記事からの続きとなる南アルプス南部周回縦走、本日は三日目「赤石岳編」となります。
南アルプスの正式名称は赤石山脈、飛彈山脈、木曽山脈の三つが日本アルプスと呼ばれています。
南アルプスの山といえば北岳、甲斐駒ヶ岳など北部の山がパっと思い浮かぶ人が多いかと思いますが、赤石山脈という名にもあるように今回登る赤石岳は盟主たる貫禄がある素晴らしい山です。
赤石岳を筆頭に3,000m級の山岳が9座、日本百名山が10座居座る南アルプス……。
悪沢岳中岳避難小屋を越えて、赤石岳登頂の日がついにやってきました!
それではいってみましょう、赤石岳登山編です!
悪沢岳、赤石岳周回縦走について
朝焼けに染まる、南アルプスの朝をこの目に
2018年7月15日午前12時30分、悪沢岳中岳避難小屋。
眠いです……、深夜のRedsguarです、皆さんこんばんわ。
今日は赤石岳に向かいますが、中岳の天気があまりにも良いので夜に撮影に出ました。
何を撮るんだってそりゃ天の川です。
天の川を撮影するのは全然専門ではないのですが、あまりにも天気がいいので今日はやります。
夏の悪沢岳山頂は風も弱く、防寒具を羽織ればぽかぽか気分で滞在することができました。
なんたって無風、抜群のコンディションだからこそです。
カメラを天に向けて、ライブビュー画面で目立つ光を捕まえたらマニュアルで光が一番小さくなるようにピントを調節して撮影です。
絞りをf2くらいまで開き、シャッタースピードは15秒、ISO感度は1600に合わせるとこんな感じの天の川を撮影することができます、素人の撮影としては良いのでは?
見れば山の麓には美しい雲海、街の明かりが雲を明るく照らしています。
目の前にぼんやりと浮かび上がる赤石岳を捉え、赤石岳の上に天の川が来ないかチャレンジをしてみました。
結果から言うと少しずれていたのでだめでしたが、小屋番のおじさん曰く時期が変われば赤石岳に沈む天の川が撮影できるそうです。
こちらは悪沢岳本体と富士山。
甲府盆地方面の明かりはすさまじく、雲海が黄色いクリームのように輝きます。
山の上に来ると都会の光や暖かい部屋の羽毛布団が懐かしくなるこの症状、無いものねだり病とでも呼んでおきましょう。
撮影を終えて小屋に戻り、朝焼けまでの少しの間休むことにしました。
午前4時00分、中岳避難小屋。
3時間ほど睡眠をとり起きれば皆さん出発の準備をすでに始めている模様。
僕はというと前日からずーっとこの小屋で寝てたので体力は全快しておりやる気は満々。
全日のうちに準備も済ませていたので、朝食のドライフルーツを食べて歯磨きを済ませてすぐに出発することとしました。
小屋を出るとすでに空は紫色に輝くような時間帯、山が目覚める時間です。
山岳写真であれば太陽が昇る前のこの時間、長秒などで楽しい写真が撮れますね。
小屋を出てすぐに見えたのは赤石岳、昨日からずっと眺めていたこの旅の目的地。今日はあの山に登ります。
午前4時30分、中岳。
避難小屋から少し上れば中岳の山頂碑がある場所に到着します。
撮影ポイントにちょうど良いなと思ったので朝日を撮影してから登山を開始することに。
赤石岳の眺めがいい中岳ですが、日の出の眺めはそんなに良くありません。
悪沢本体の影から朝日が上がる形になってしまい、中岳は影になってしまうんですね。かといって悪沢岳本体に登り返すってなると1時間かかるのがつらい所です。
日の出を間近に控え、太陽と正対する空は紫色に染まっていきます。赤石岳も目覚めの時を迎えつつある。
午前4時40分、ご来光。
日の出に染まり、山頂碑の木肌の細かい木目が浮かび上がります。
太陽の光の効果で体感温度も一気に上がります、太陽の力すごい……。山の上で日の出を見るたびに思いますが、太陽の力は本当にすごいです。
地面の岩や木々も朝日を浴びて強いコントラストを帯びます。地面を這うように雲が流れ、南アルプスは雲海の上にそびえ立つ長大な要塞のようです。
朝の横に寝た光により、山はすさまじく長い影が生み出されます。
影富士が有名ですが、今日は影悪沢。山の起伏が生み出す面白い影の形、雲海というキャンパスの上に巨大な影絵がいくつも生み出されていくさまは圧巻です。
宇宙から撮影された航空写真を間近で見ているような気分になれます。
この地球の巨大さを簡単に感じることができるので登山は本当にたまりません。
朝日に染まる赤石岳。
朝焼けで山頂から中腹までが浮き上がった赤石岳……。悪沢岳から見る赤石岳は本当に巨大で美しい山です。
赤く染まったのは本当に一瞬、朝焼けの瞬間は10分ごとに景色が変わる、楽しい。
甲府と静岡方面を見てばかりでしたが、西側となる伊那方面を見れば雲海の中から木曽山脈(中央アルプス)が顔を出しているのがわかります。そして、木曽山脈と赤石山脈の間には羊の群れが殺到するかのごとく雲海が。
薄明光線がはっきりと目視できるようになった南アルプス北部、手前のハイマツの輪郭がうっすらと浮かび上がり、奥の山々のシルエットが際立ちます。太陽の光で温かさを感じるものの、まだ周りの空気はピリッとした清らかさにあふれていました。
中岳避難小屋も太陽を浴びて逆光の中でキラリと輝いています。
いつの間にかこの日宿泊していた人の中では僕が最後尾になっていました、皆出発が本当に早いですね。
いざ赤石岳、極楽のようなこの稜線を歩き赤石岳を目指します。一端凄く下りそうだけど、そこは気力でカバーだ!
歩き始めるとさっそく先ほどの木曽山脈側の雲が南アルプスに流れ込んでくる場面に遭遇しました、なんて奇麗な滝雲だ。
富士山方面は本当にきれいな水平線引かれています。地球、本当に丸いのか?と疑問になるほどです。
南アルプス南部、朝のゴールデンタイムの中を歩くのは僕一人。
鳥のさえずりと僕の歩く音だけがあたりに響き渡ります。人生のご褒美ともいえるような時間、若いうちからたくさん貪りたい。
悪沢岳から荒川小屋へ
午前5時25分、荒川前岳。
悪沢岳という山は悪沢岳、中岳、前岳の3つのピークで構成されています、この前だけが最も西にある頂上です。
前岳からは高山裏避難小屋方面に向かう縦走路が続いています、滝雲になっている方角の奥には三伏峠があり、塩見岳から北側へと縦走が可能となる道です。
影悪沢岳が雲海に浮かび、その隣には赤石岳が浮かび上がります、ずっと見ていたいこの景色。
南アルプス南部まではるばるやってきたかいがあるというものです。
悪沢岳は三角形かと言われるとそんなことはないよなと言う見た目ですが、影はきれいな円錐状です。
大体の山はどれもこの影が出るようですね。
悪沢岳の前岳付近は斜面が抉れた荒々しい景観です、お花畑エリアと比べると、ここだけ岩の色も暗く雰囲気がずいぶんと違いました。
写真で見ると下にあるように見えますね!錯覚ですけどね!
赤石岳はここから一旦荒川小屋までたっぷりと下ったあとに、ガッツリと登りかえすというコース取り。
椹島から直接登る場合は赤石岳の東に伸びる(画面左に伸びる)大倉尾根を登り続けることとなります。
大倉尾根といえば丹沢のバカ尾根ですが、赤石岳の大倉尾根は標高差2,000mの強化版となります。
悪沢岳に散々お世話になりました、名残惜しい。
いざ赤石岳、昨日テンションが上がったお花畑を抜けてまずは荒川小屋に向かいます。
快晴の南アルプス、この4日感にわたる登山の中で最も天気のいい一日です。
下ってわかる赤石岳の勇壮な景色、北岳からみた間ノ岳も大きいなと思いましたが、赤石岳はもっと大きい。
「あれ、柵ができてる……?」
驚くべきことに一日で柵ができていました、昨日午後に登ってきたボランティアの人たちが荒川小屋に降りながら設置したらしい。僕が柵無しで撮影できたのは本当に神がかったタイミングだったようですね。
悪沢岳のお花畑は本当に広大です、見渡す限りカールの下のほうまで花が延々と続きます。
朝日から午前の光へ、山がピリッとした雰囲気で写る時間帯がやってきました。
荒川小屋周辺は樹林帯、森林限界から樹林に下りたくはない気持ちがあります。
荒川小屋が近づいてきました。
荒川小屋の本当に手前まで意外に樹林がありませんでした、遠くから見ると樹林帯を進むのかなと思っていたのですが……。
午前6時30分、荒川小屋。
荒川小屋についてみればわかっていたけど登山者が誰もいません!!(時間帯的に)
皆さん赤石岳に向かってしまったようです。
小屋は絶賛朝の仕事に追われており、小屋番さんたちが布団を干したり部屋を掃除したりで忙しそうに働いていました。
小屋の中は本当にきれいです、南アルプス南部の小屋は東海フォレストさんの管理している小屋がほとんどかと思いますが、赤石小屋、赤石岳避難小屋、荒川小屋、千枚小屋は山小屋としては超上級の奇麗さです。
中岳避難小屋は若干ぼろい、でもきれいな毛布で寝れるので超ありがたいです。
トイレ小屋もすごくきれいで驚きました。ここなら容赦なく大きいほうを放つことができます、それくらいきれいです。
荒川小屋からは富士山が真正面に見える展望です。
稜線の眺望といったものはないのですが、朝焼けが真正面。
谷間が朝日で焼かれるような感じになるんでしょうかね。
テント場の少し下に水場があります。
水場は大変水の勢いが良く、かつ冷たい水が無尽蔵に供給されています。
まさに南アルプスの天然水(南部)です、北部に比べれば幾分かレアな気がする。
めちゃくちゃキーンと冷えているので、水を汲んだ後のプラティパスはご覧のような状態になりました。
青いプラスティックの物体は携帯用ウォシュレットです、これがないと僕は登山できません。
午前7時40分、荒川小屋出発。
小屋の脇でご飯を食べたり、トイレに行ったり、水を汲んでいたら何だかんだで1時間ほど経過していました、それでもまだ8時前。 ここから赤石岳避難小屋向かいます、お昼前には到着することでしょう。
極楽稜線、いざ赤石岳へ
荒川小屋からはまずは大聖寺平へとむかいます、南アルプス南部では特に注目したい場所。
何故なら楽園ともいうべき休憩地点で、周囲の山々の景観の良さはこの度随一です。
荒川小屋からは緩やかな坂を上っていきます、画面奥の谷のような場所が大聖寺平。見るからにいい所っぽいでしょう?
午前8時00分、大聖寺平。
赤石岳、悪沢岳、小渋温泉の3方向へ向かうルートが合流する地点が大聖寺平です。
小渋温泉方面には広河原小屋という南ア北部にありそうな名前の小屋があります。
大聖寺平は休憩スポットにはピッタリな穏やかな場所です。
北を向けば悪沢岳が良く見えます、厳つい山肌を抱いているのは前岳ですね。
大きなケルンと悪沢岳の景色が非常にエモい。心地よい風が吹き抜けて行って、すごく気持ちよかったことを覚えています。
「これからあそこまでか、長いな」
「いや、でも今日のコンディションなら気持ちいいよ」
そんな会話でも聞こえてきそうです、午前中の天気の良さはかつてないほど。
少し登った場所から見る悪沢岳の景色は素晴らしいですね。
双耳峰っぽく見えてますけど、これで一つの山です。
お花畑があった山とは思えない位削れた山肌、悪沢岳は見所が多い山ですね。アクセスが難しい百名山の一つですが、百名山なので登山道の整備はかなり行き届いていました。
道中花はないのかと聞かれると、見飽きるくらい花が普通に咲いています。
チングルマはハクサンイチゲはその辺に沢山咲いているので、あえて撮ろうとする気が起こらないくらい……。
赤石岳へ向かうにはまず上の稜線へでなくてはなりません、小赤石岳までが長い。
富士山方面を見ると、中腹から上と下で空気の層が違うという事がわかります。
また、雲がどんどんこちらに向かってきている……。
非常に焦ってきました、山頂まで持ってくれよ天気!!
夏の間は晴れていても正午付近から雲が上がってくることが多いです。
なので、登頂は午前の内に行い、落雷のリスクなどが高まる午後は下山に充てるようにしたいですね。
展望台スポットに到着しました、ここはもうセルフショットを一枚撮るしかないでしょう。
「大自然の南アルプスと俺ッ!!!」
うぉーーーっという叫び声が聞こえてきそうな気持ちのいい景色です、でも実際は前後に登山客がいるので叫ぶと非常に恥ずかしいので叫べません。
さて、稜線に上がったので後は小赤石岳を越えて赤石岳へ向かうだけです。この時点では赤石岳避難小屋に泊まるつもりなのでもうすぐ今日は終わると信じていました。
「チングルマ祭り、もうすぐゴールだからゆっくり進むかぁ……」
悲劇がゆっくりと僕の身に近づいているとも知らずに、のんきに足元を撮影していました。
午前9時10分、小赤石岳。
小赤石岳に到着です、山頂では前日からたびたび一緒になっていた県の森林調査の方々と山岳ガイドの女性の方がいました。
小屋の状態の管理などをしている職員さんと、その職員さんをエスコートするガイドさん。目的地は赤石岳避難小屋だったようです、皆富士山の景色にうっとり。
血中酸素濃度を測っていたのでお願いして僕も図っていただきました。
お願いしまーすと指を差し出す僕。
「えーと……、76!? 嘘……私の血中酸素濃度低すぎ……」
「え、体調大丈夫ですか?頭とか痛くないの!?」
この時は高所症状も特に出ておらず、元気でしたが血中酸素濃度は低かったようです。
思えば3,000mを越えると毎回症状が出始めるのですが、この時は毎週末高所に通っていたので体が慣れていたのかもしれません。
さて、小赤石岳から先はもう赤石岳を残すのみ。
先ほどの写真で近くに見えた山頂も、小赤石岳から見ると随分と遠いです。
緩やかに下り緩やかに登り返します、でも気持ちよさそうだから許す。
最低鞍部には赤石小屋へと向かう分岐があります、ここを歩いた時の気持ちは……
「明日これを歩いて下山するんだな……」
数時間後、失意の中でここに戻ってくることになります。
すれ違う登山者の方々、皆荒川小屋を目指して歩いていきます。
赤石岳避難小屋からはずいぶんと沢山の人が歩いてきていました
「そんなに人が入る場所だっけ? なんか団体客ばかりなんだけど……」
そんな疑問も、目の前の素晴らしい景色を見たらすぐに消え去ります。
赤石岳から見るこの稜線の景色、素晴らしいんですもの。
赤石岳、山脈の名を冠する山
そしてついに見えてきた赤石岳山頂、百名山の中でも特に訪れたかった赤石岳。
聖岳から見たあの巨大な山の頂についに到着です。
御前の微妙な時間帯という事もあり、人がまばらな山頂。青空の元、山頂へやってくることが出来ました。
午前9時50分、赤石岳山頂。
来ました……、ついにやってきました南アルプス南部赤石岳。
南アルプスでどこに行きたいと言われれば一番最初に赤石岳、そう答える位来たかった場所。
悪沢岳から、聖岳から、双方から見て巨大な山の頂についに立つことが出来ました。
感無量です!!
ダッフィーもついに南アルプス南部の盟主に来れましたね、おめでとう。日本にいるダッフィーでは5番目くらいに山に登れてるんじゃない?
画面右奥にあるのが赤石岳避難小屋です、山頂からすぐの超良いところに小屋があります。
是非とも泊まってみたい場所です、次回は絶対に泊まってやるぞ……。
山頂の柱は新品と古いのが二本、古い方はハンドメイド感がすごいんだけど……。
三角点にもしっかりと触れておきます。
山頂撮影タイムです、山頂をふらふらと歩いてみましょう。
とはいっても赤石岳の山頂はとても広大です、全部歩いたら僕の速度では2時間くらいかかる。
こちらは聖岳方面へと続く稜線、兎岳とかそっち側ですね。僕が南アルプス南部で行きたいところはこの稜線です、聖岳から赤石岳を繋いで歩いてみたいのです。
目の前に見える山が聖岳です、過去聖岳から見た赤石岳は本当に巨大でした。
赤石岳から見る聖岳はあんまり大きくないのが不思議……。
こちらはおなじみの悪沢岳、南アルプス北部方面です。
目の前が悪沢だけなのですが、ここから見るととにかく悪沢岳が屏風のようで北部と南部を隔てるような形になっているんだなという事がわかります。
最後に富士山方面、赤石岳避難小屋から先の方は笊ヶ岳とかの稜線ですね。
南アルプスは森林限界の標高が北アよりも高いため、青々とした稜線が続きます。つまり標高2,600m程度では樹林帯が続いたりするわけです、辛いですね。
午前10時15分、赤石岳避難小屋。
山頂を後にして赤石岳避難小屋に到着しました。
今回の登山の目的はこの小屋に泊まることと言っても過言ではないくらい楽しみにしてました。
「こんにちわ―、今日泊まりたいんですけど……」
「あー……、宿泊ですか?実は今日100人超える宿泊者がいる予定で」
「できれば赤石小屋に降りていただくことはできませんか?」
「……100……人……だと……?? あれ、定員30人くらいじゃないの?」
衝撃的な事実が判明しました、赤石岳避難小屋は団体客でなければ予約はいりません。
聞けば小屋の方も混雑は予測していたけど100人越えるとは思わなかったと。
しばらく小屋の前でぼーっとしていました。
泊まることはできるけどたぶん体育座りで寝ることになります、小屋番は物置で寝ます。
そんな感じの雑談が聞こえてきます……。オーバーツーリズムってやつだなぁと空を眺めながら、ここは下ることが正しいと心に決めます。結果この日赤石岳避難小屋には定員30人に対して120人近くが宿泊したそうです。
午前10時50分、赤石岳避難小屋より下山開始。
財布の中身を確認してしっかりとお金があることを確認します。
今回避難小屋を渡り歩いてちょっと節約しようと思っていたのですが、こういう事もあろうかとしっかりとお金持ってきてよかったです、最強の軽量化は諭吉。小屋番さんに赤石小屋に向かう旨と、今夜頑張ってください……と激励の言葉をかけて下山します。
赤石小屋へ、殺到する登山者たち
午後の時間帯に稜線に居るのはリスクがあるため、早急に赤石小屋に降りる必要がありました。
コースタイムを見れば赤石小屋に到着するのは午後14時~15時の間くらい。
小屋につく時間としてはちょっと遅いくらいでしょうか、とにかく急ぎます。
午前11時10分、赤石小屋分岐。
赤石岳から赤石小屋分岐に戻り、ここから崖のような斜面を一気に下って赤石小屋へ。
下山の道はこんな感じです、圏谷って感じの地形ですね……。悪沢岳から荒川小屋に向かうよりも大分急で驚きました、これ今日の夜登れるのか?
稜線の先はモリモリの樹林、遠くに小さく赤石小屋が見えます。
「あそこまで下りたくねぇよ……、畜生……」
正直な気持ちが心の底から声になって湧きあがります。
雨が降ったら崩壊しそうなか細い登山道、整備に時間と手間がかかっているんだろうな。
こういう道を作ってくれるから僕らは登ることができるんだなと思いながらとぼとぼ下る。
先ほどまでの気持ちいい稜線と打って変わって樹林の中を進みます。
午後12時30分、富士見平。
富士山が見える程度に景観が良いという事で富士見平なんでしょう。
でもいつの間にかあたりはガスに包まれて、何も見えなくなってしまいました。
樹林帯を必死で下ると見えてくる人工物、ようやく赤石小屋です……。
午後1時00分、赤石小屋。
本日のお宿、赤石小屋に到着しました……、長かったぜ……。
小屋番の方に事情を説明し宿泊手続きを進めました。この日登ってきた宿泊者はそんなにおらず、小屋内は快適でした。
数人一緒におりてきた方々が談笑している中で、ドリンクをご一緒させていただきました。
山小屋あるある山談義で盛り上がる中、学生の方が悔しそうに山頂を眺めていました。
聞けば、今日一日で上り詰める予定だったがいろいろあってここまで、明日帰らないといけないけど、山頂踏みたかったな……と。
「もしよければ、僕朝日撮影しに夜の2時に登山開始するけどご一緒します?」
一人なら億劫で行きたくない、でも二人ならいけるかも、という気持ちで声をかけたらとんとん拍子で話が進み、一緒に夜登ることにしました。
そうと決まれば時間がありません、ご飯を食べてすぐに寝よう。という事でピッカピカの山小屋の食堂でご飯を食べて寝ることにしました。赤石小屋のご飯は何て言えばいいんでしょうね、一言でいうと神です。
生姜焼きですよ、レンジでチンなハンバーグじゃなくて生姜焼き、ご飯2杯ほど頂きました。
満腹になった後、家族への連絡をしなければと思い外に出てみますが電波がありません。
そう、ビックリなのですが赤石小屋は小屋も電波ありません!!(ドコモでも)
電波はこの三角点まで行く必要性があります。サンダルを履いたまま行くのはつらいから靴を履いて向かいましょう。
ぬぉぉお……、普通に登山道やんけ……ッ!!藪をかき分けて電波を探しに向かいます。
三角点に到着すると微弱な4G回線を受信することが出来ました。奥さんに軽く連絡です、明日朝日を撮影したらその足で下山することを伝えて小屋に降ります。三角点の場所では先行者がスマホでゲームをしていたのが印象的でした。
ログインボーナスもらいに来てたのかな?
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