2018年7月1日、北岳から間ノ岳の稜線を歩いてきました。
北岳は言わずとしれた日本二位の山、標高は3,193m。
そして間ノ岳は日本三位の山で標高は3,189mとなります。
農鳥岳と合わせて白根三山と呼ばれる南アルプスを代表する稜線は多くの登山者が歩く聖地!
そしてその花と岩に囲まれた世界は地上とは全く違う、山ならではの大自然を五感で感じれる場所です。
今回は1泊2日の北岳登山の2日目となります。
ガスの中肩の小屋まで到着した僕はテントでぐっすりと睡眠を取り、翌日の快晴に望みを託しました。
そして登山二日目、輝かしいご来光から始まる一日は南アルプスの稜線の美しさをこれでもかというくらい教えてくれるものとなりました。
それでは行ってみましょう。南アルプス北岳間ノ岳登山編です!
今回の北岳テント泊について
赤く焼ける北岳を登る
バタバタバタバタとテントが風に撫でられる音で何回か目が冷めました、おはようございますRedsugarです。
前回の記事からの続きで、本日は北岳から間ノ岳へ向かいます。
これまでの登山ブロガーRedsugarのあらすじを知りたい方は前回の記事をクリック!
テントの中で準備は済ませていたので、三脚とカメラを取り出して明け方の撮影をすることにしました。
北岳肩の小屋は立地的にかなり展望がよく、南アルプスの北側を見たりするにはいい場所です。
テント場と富士山をフレームに入れて撮影したい場合、ここは最高の立地です。
でも、山頂で朝日を見てみたいなという気持ちももちろんあります。
空が明るくなるにつれてテント場は賑やかなります、ご飯のおいしい香りが漂う。
色とりどりのテントが……あれ、こんなにテントあったっけ?
日も上がったところで、北岳から間ノ岳を目指して登山することにします。
テントを片付けて、小屋の脇にまとめた荷物を置かせてもらいます。
本当は帰りにテントを片付けたかったんですが、この日は小屋にヘリが飛んでくる日で、午前9時までにテントを片付けなくてはならないという状況でした。
朝テントから出たらおはよー絶景って感じのテント場ですねあれは。唯一の弱点は、トイレが遠いことかな……。
それでは肩の小屋の片隅にテントなどをまとめた袋を置かせていただき出発です。
荷物ですが、帰りにヘリが来たためその風圧でホコリまみれになってしまっていたよ。
あと、この写真からわかると思うのですが、朝寒いんですね、太陽が出ているのにみんなダウン着ています。
午前5時00分、北岳肩の小屋出発。
朝焼けの北岳を登ります、光が横に寝てドラマティックな光景が辺りに広がります、最高の気分だぜ……。
北岳の登山道は天国、アルプスの稜線は天国です。晴れてさえいれば展望が素晴らしく、どこを見ても笑いが出ます。
肩の小屋から山頂までは細かい岩が積み重なった道が続きます、ガレ場というかザレ場というか……。
登りは歩きやすいですが、下りはちょっと歩きにくいかな。
イワベンケイです、花というよりは草っぽい見た目の花ですね。
小さなカリフラワーみたいな見た目をしています、紅葉するのも早く、イワベンケイが紅葉し始めたら夏は終わるなぁと感じます。
北岳山頂までは肩の小屋から地味に距離があります、地図では50分位かかるとのこと。
標高が3,100mを越えているので、息が上がりやすいです。心拍が上がりすぎないように牛歩で進む。
間ノ岳方面が見えました、最高の景色だ……。
やはり朝日を北岳山頂で迎えてみたい、そう思います。
あと画面奥の間ノ岳手前、中白根から朝日を待ち受ける北岳とかが見たい。
少し上ると北岳肩の小屋と甲斐駒、そしてその奥に八ヶ岳が見えるようになりました。
北岳山頂側から北側を眺めるとこういう景色なんですね。朝の騒がしい雲の模様が美しい。
仙丈ヶ岳にかぶさっていた雲もはけて、きっと山頂からは雲が間近に見えていい景色。登山者の方々が続々と登ってきます。
岩稜が続く北岳、山頂まではあともう少しです。
台形型の山頂にはすでに数人の登頂者がいる模様、そしてこの景色……。
日本二位の頂と、日本最高峰のコラボレーションです。画面左の岩に登れれば、そこでポージングを決めて記念撮影したいところです。
午前5時35分、北岳山頂到着。
北岳の山頂に到着しました、日本二位の高所を満喫しましょう。ようやくこのブログでも北岳に来ることができました、大満足です。
日が昇る途中である5時台、北岳の影は影富士を作り出していました。山の形が富士山型でなくても影富士ってできるんですよね、不思議です。
日本二位の山、日本の尾根を歩く。
北岳の標高は3,193m、富士山よりは全然標高が低い山ではありますが、空気は薄い。
高所になれてない人がいきなり来ると高山病で気分が悪くなってしまいます。
2018年はたくさん山登りをしていたおかげか、高山病の症状はなく快適でした。
快晴の北岳山頂です、ダッフィーも満足してくれるでしょう。
北岳山頂は広いです、のびのびとした山頂からまずは富士を眺めます。
「富士山を眺めることができる、日本で一番高い場所だな」
様々な登山ブログ、そして山頂でつぶやかれたであろう定番の言葉をとりあえずつぶやく。
しかし、ここで注目すべきは北岳から見る富士山の景色ではありません。
間ノ岳方面、北岳山荘方面の展望は王者の稜線です。
迫力と魅力を兼ね備えたビューティフルウォークラインが目の前に伸びていきます。いいんですか、こんなに素敵な稜線を快晴の中で歩いていいんですか?
北岳からの下りは山の影になるエリアなので日陰です。小石が敷き詰められていて、ちょっと歩くのが嫌だなって感じの道でした。
迫りくる北岳山荘、贅の極みを尽くした稜線。
北岳山荘は正面に富士山を見ることができます。
でも朝は北岳か間ノ岳、どちらかの稜線に登ったほうが展望は良いでしょうね。完全な鞍部にあるので、稜線と山々を撮影したい場合は中白根方面じゃないかな……。
チョウノスケソウです、人の名前みたいな花ですね。一瞬花の見た目的にチングルマやキタダケソウの類かなと驚いてしまいました。
山々の合間に富士山。
午前6時30分、北岳山荘到着。
北岳山荘です、本来の目的では一日目は北岳山荘に泊まる予定でした。
ですが結果的には肩の小屋泊まりでよかったかなと思います。明け方の景色を考えると北岳山荘に泊まった場合は中白根まで歩きたいところでした。
北岳山荘で特に休憩することもないので、そのまま間ノ岳へ向かいます。
バタバタと音を立てて風を測る旗が揺れています。
道沿いの岩は奇麗にどかされているため快適です。3,000m越えの高山地帯を気持ち良く味わうことが可能です。
抱き合ったようなシルエットの岩、微笑ましい。
仙丈ヶ岳もすっかり晴れましたね。
間ノ岳まではなかなか遠い、北岳山頂から見たときはそこまで遠く感じないのですが、それはスケール感がバグっているからです。実は意外なほどアップダウンを繰り返します、しんどい。
中白根、北岳のビュースポットはここ!
午前7時10分、中白根。
北岳と間ノ岳の中間地点である中白根に到着しました。多くの人にとってただの通過点でしかないこの中白根ですが、僕はこの辺を歩いているときに北岳側の展望がいい気がしたんですよね。
中白根から見る富士山、手前の山や雪渓が目立ちます。
中白根周辺から間ノ岳にかけては高山植物の天国です、ハクサンイチゲやチングルマがたくさん咲いています。天国かこの稜線……。
ようやく間ノ岳の本体が見えてきました、画面左からグルリと回り込むような形で登っていきます。
そしてようやくここで北岳側を振り返りました。
「なっなんだこのかっこいい景色はッ!!」
北岳がめちゃくちゃカッコいい三角形、鋭角な山の姿を見せてくれます、そして稜線の起伏が豊満で……すっげぇ……。
間ノ岳まではあと少しなんですけども、なかなかつきません。
ガレガレの斜面を越えると稜線に復帰します。
目の前に間ノ岳が見えてきました、ここまで来たらあとは登り切るだけですね。
振り返れば北岳のなんと美しいことでしょう。
午前8時00分、間ノ岳到着。
中白根から一時間ほどで間ノ岳に到着しました、いやー、北岳からえらい遠かったですね。
間ノ岳からの眺望を見てみましょう、南側に農鳥岳です、頭だけ見えています。
あそこまでどうやって行くのかと言われれば、この先一回数百メートル降って登り返す、です。
ダッフィーは無事間ノ岳に到着しました、南ア南部だよ、来週は向こうに行こうねダッフィー。
間ノ岳、南アルプスの大いなる世界を俯瞰する山
間ノ岳の景色は最高です、北岳よりも個人的には好きです。
南アルプスのど真ん中にいるというのを強く感じられるのは、北に北岳、南に農鳥、塩見岳、悪沢岳と前後の景色に恵まれているからでしょうか?
北側は北岳まではクリアに見えて、その先の仙丈ヶ岳や甲斐駒が青霞むので、美しく豪華な奥行きが形成されているのも理由かも。
富士山は登ったことがあるため、あんまり気を張って再び登りに行く気がしません……。こうして眺めるのが好きだな……。
塩見岳、悪沢岳、まだあの向こうに赤石岳、聖岳、光岳、そして池口岳などが控えているわけです、広すぎかよ。
富士山に向かって歩く登山者がカッコいい、なぜ望遠を持ってないんだ僕は。
この稜線トレイルの景色がいいので、こちら側の何処かに北岳を夕方とかに撮影するスポットがあると思う。
天国のトレイル、南から見る北岳は男前
農鳥小屋と農鳥岳はまたの機会です、さて、北岳まで戻って広河原へ下山しましょう。
すっかり日も高くなって午前中の爽やかな光が差し込むようになりました、カンカン照りといった感じで景色のコントラストがとても強いです。
間ノ岳よさようなら、また来ます……。とりあえずしばらくはまず歩いてないアルプスの道を埋めますけども。
北岳が超かっこいいなと思ったのはここです。
中白根から少し進んだところなんですけど、山と山が重なったこの景色が僕なハートにジャストミートです。
うーん、でもここだと手前が白いから光が寝てると前景がうるさくなりそうですね。
因みに脇に目をやるとお花畑カール。
ぐわーっと北岳に迫る線遠近法を彷彿とさせる巨大な景色です、本当に天国のような稜線。
日が上がりきったため、ハクサンイチゲなどが満開の状態になりました、日差しを浴びたハクサンイチゲの白さは心が洗われるぜ……。
黙々と迫りくる雲のことを考えると、富士山もこれで見納めでしょう、グッバイ富士。
午前9時25分、中白根。
中白根はスルーします、雲が上がってきてそれどころではありません。
夏山の特徴はこの朝が終わればすぐに稜線にガスがかかるということでしょうか、本当に夏の晴れ間は短い。
なので、泊まって朝にかけるしかないのです。
北岳山荘に戻ってきました、小屋の方々が何やら外でいろいろと仕事中。今日は荷揚げがあるのかヘリがひっきりなしに飛んでいます。
小屋でバッチを買うのを忘れていたので、バッチを購入させていただきました。
話を聞けば今週はまだシーズン前でガラガラでしたよとのこと、北岳に来るのにいい季節はやっぱりこのへんなのかなー。
北岳の肩の小屋側はハクサンイチゲ畑、栽培しているのだろうかというくらいハクサンイチゲが咲いています。
北岳周辺ではここが一番ハクサンイチゲが群生していました。
シオガマとイワベンケイですね、シオガマにはいろんな種類があるのですが、個人的には早池峰山でみたシオガマが一番好きです。
荷物をほとんどおいてきているというのに、登り返しが辛い。これが南アルプス、標高3,000mの世界、息がすぐに上がっちゃいます。
階段がやっぱり地味にきついんですよね、ゆっくりと登らないと簡単に心臓がドキドキします。
往路は下りだったので本当に楽だったのですが、復路は本当に辛い。
振り返れば北岳から間ノ岳の稜線に今にもガスがかかろうとしていました、半分青い。
稜線を境に完全に天候が違うといった感じですね。
肩の小屋に宿泊していた方々の帰りの列ですね、稜線は多くの登山者で賑わっていました。
下山開始、晴れた稜線にさよなら
午前11時10分、北岳山頂に帰還。
ガスに責め立てられている北岳に帰ってきました、まだだ、まだ青空は俺の真上にある!!
そういえば三角点タッチしてませんでした。
これするときとしないときは完全に気分になってます。ここに三角点を運ぶのにもドラマがあったんだろうなぁ……。
装備ですが、間ノ岳まではバルトロの内側に入っているこちらのサブザックを利用していました。
グレゴリーのバルトロには取り外し可能なサブザックがついていて、アタック用に水と携行品を入れて歩くことができます。
僕はカメラ2台と三脚を入れて歩いていました、重量的には5キロくらいでしたが、無事耐えれました。
行動食は2018年はずっとドライパイン、そしてドライマンゴーでした。
このブログでは何度も登場するドライフルーツ、僕は特にパインがおすすめです。
休憩を済ませて北岳から下山しようと思って下を覗き込むと……、ガスガスやんけ。
ガスがモクモクと、光が拡散して直射日光が指すよりも明るい。肩の小屋方面から続々と登山者も上がってきます。
午後12時10分、北岳肩の小屋。
肩の小屋に帰ってくる頃には空はガスで包まれていました。
かろうじて上空に青空が広がり、それを頼りにしてヘリが荷物を運び上げます。
「ヘリが来るからすぐに小屋に入って!」と言われ、小屋の中でヘリが荷物を運ぶのを見ていましたが、埃がすごい!
あたり一面粉塵が舞い上がり、とんでもないことになっていました。
僕のザックは外に置かれていたのですが、ドラム缶の脇にあったにもかかわらず細かい粉塵できれいに汚れておりしたとさ……トホホ。
ザックの汚れを落として、パッキングをやり直したら下山再開です。
あとはもう白根御池まで降りるだけなのですが、重量装備で下り数時間という膝に恐ろしいダメージが蓄積するため速度はそんなにあげられません。膝に矢を受けてしまってな状態では下山できなくなります。
もはや完全なガス、曇の山と変わらない。
風がなくて湿った空気があたりに沈殿しているといった状況、息苦しくなりそうな生ぬるい空気が肌にまとわりつきます。
花で溢れた登山道は行きも晴れず、帰りも晴れずという残念なことになってしまいました。
無心で降ります、写真の枚数は少ないんですけども、ここは本当に長い。下りなのにどれくらい僕は歩いたんだろうという気持ちになります。
草滑りの下山はたった数枚の写真で終わりですが、それくらい辛かったので……。長いし、暑いし、荷物重いし……、膝が笑っています。
御池まで降りてきました、もうクタクタです。
写真数枚で終わってしまう草滑りですが、実際はかなり大変で、御池に降りてくる頃には足の裏と膝がじんわりと暖かくなっていました。
午後1時45分、白根御池小屋。
下山の人々でにぎわう白根御池小屋に到着しました。
登りの方は時間的にあんまり見受けられません。皆さん朝の景色を見てご満悦なのか、お昼ご飯を食べながら思い出に浸っていました。
「すいません、ソフトクリームを一つ……」
もう我慢なりません、ソフトクリームをここでむしゃむしゃと食べます。あと2時間以上下山に時間を使わなくてはならないので、ここで補給しましょう。
下山は飽きとの戦いでした、荷物は重いし、暑いし。
広河原まであと20分の場所までやってきました。
下まで来たら日が照っている状態、気温もうなぎ登りです。これ以上暑くなって脱水したらもう体が馬鹿になっちゃうよぉ。
午後3時40分、広河原山荘。
広河原にほぼついたといっていいでしょう、自動販売機が置いてあるような、いわば文明のある所に僕はたどり着いたのです。良かったもうこれ以上歩かなくていいんだねパトラッシュ。
登山の際に飲んだすっきりしたトマトを下山でもいただきます。
「し、しみる……! トマトの持つ塩分、甘み、それが身体にしみこんでくる!!」
午後3時50分、広河原。
下山完了です、広河原に到着しました……。荷物を置いて洗面所でタオルを濡らして顔を洗ったり。
バスのチケットを買うとすぐにバス出ますよということで、休む間もなく駆け込みました。
午後4時30分発のバスに乗り込み、奈良田へと向かいます。
午後5時25分、奈良田駐車場。
広河原からバスに揺られること約1時間、奈良田に到着しました。
バスの中では気を失うように寝てしまったようで、駐車場に着くころには元気いっぱいになっておりました、良く寝たわい。
バルトロを車にボーンと積み込み、北岳間ノ岳登山終了です!後は温泉に入って、ご飯を食べて帰りましょう!
帰りの温泉は奈良田の里温泉に入ることにしました。
奈良田の里温泉の営業時間は夏季は午前9時~午後7時まで、今回はぎりぎりは入れるかなという感じ。
女帝の湯……、なんという甘美な響きだ。
期待に胸を膨らませて入ってみれば、立派な木風呂が用意されており、源泉かけ流しのあったかいお湯で汗を流しさっぱりとすることができました。
奈良田を出発した僕は見延市内のあまんどうへ、スタミナ丼が有名なお店で、下山後→お肉という鉄板のコースを楽しみたい方にはお勧めです。
こちらがスタミナ丼、すた丼を彷彿とさせますがタレがしっかりと聞いていて、野菜もシャキシャキしていて歯ごたえが良かったです。あまんどう名物のスタミナ丼を楽しんだ僕は、中央道をひた走り一路埼玉を目指すのでした……。
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