2022年5月3日、山形県鶴岡市にある海沿いの里山「温海嶽」を歩いてきました。
標高736mの低山でコースタイムも短い里山といえるような山ですが、その実力を侮ることなかれ!
山形は東北きっての登山県で、山形百名山というご当地百名山も近年整備されました。
温海嶽はその中の一座としても記されていますが、新緑シーズンに登る温海嶽は「新緑と渓流が超きれい」な山なんです。
2022年のGWは温海嶽から始まり、そのまま新潟市へと南下し佐渡島はドンデン山から金北山へ向かう日本海の名山周遊を行いました。今回の記事はその一座目である鶴岡のナイス低山「温海嶽」です。
いたるところに自生する東北の山菜、伏流水が生み出す美しい渓流、残る雪渓、日本海の眺め……。
贅沢な景色の変化を数時間のうちに体感できる温海嶽はRedsugar的には超おすすめでした!
本当に侮っちゃいけない、低山としては滅茶苦茶満足度が高い山です。
このレベルの森の美しさ……そんなにないよ、本当に森が奇麗な山!
温海嶽日帰り登山の概要
新緑の渓流が美しい温海嶽
2022年5月3日午前10時15分、温海グランドホテル前。
こんにちは、Redsugarです。
山形を出発して佐渡島へ向かう道中……移動日ということになるのだが移動だけだとつまらないと思い温海嶽にやってきました。山形百名山の中でGWに登って楽しい山というのがいくつか存在していまして、この温海嶽はその一つだと目をつけてやってきたわけです、その予想は的中します。
すでに数人の入山者があるようで駐車場にはいくつかの車が……。
登山客などが駐車している広場には草ヒロが……。目の前には温海川に降りる階段があるが、川の水はとってもきれい。この雪解け水を運ぶ川の上流の一つに今から向かいたいと思います。
温海温泉上流の集落ですが、春は萌黄色がとても美しい集落。紅葉時期もきれいでしょうね。
午前10時20分、温海嶽登山口。
今回の温海嶽は沢沿いに登り、杉林を降りるという周回コースで行きます。
沢沿いに登るコースの場合の入り口はここ。
関東だとワサビ畑がありそうな風光明媚な集落の中を抜けて林道へと登っていく。
家は広い、庭も広い、庭でいろんな作物が収穫できるんでしょうね。
林道へと差し掛かると後ろから猛スピードでおばあちゃんが運転する軽自動車が駆け上がっていく。
東北や北海道でよく見るけどボコボコの林道を地元の人間が乗る軽自動車や営業車が走っていくやつ、登山においてSUV欲しいとよく思うが、こういうのを見てると普通の車でもいいかなと……思う。
林道を登っていく途中ですでに渓流がめっちゃ美しい、苔に覆われた大小さまざまな岩の隙間に湧き上がる水しぶきがいい味出してるぜ。
晴れたり曇ったりの天気、時折差し込む木漏れ日に合わせて渓流を撮影しながら林道を登っていきます。
この時点で「温海嶽は当たりの山だ」と思えました、沢がとにかく奇麗で新緑時期の緑が身体を癒してくれる。
GWに東北でどういう所を歩くと楽しいだろう、という一つの答えの山だと思う。雪解けと新緑がかけ合わさるので、水が豊富なタイプの低山は楽しい。
山形百名山の中でいくつかそれ系の山があるようだけど、まず温海嶽を楽しめたのは運が良かった。
ザーザー流れる渓流と瑞々しい地衣類が本当にい味出してる。
萌黄色に輝くあらゆる若芽、麓側はシダが結構育ってしまっていたけど……上に行けばとっても太くて元気な山菜をたくさん見ることが出来た。
温海嶽のスタート地点にある古和清水、車でやってくることが出来るのですが庄内30名水に選定されているとのこと。
雪が豊富な温海嶽の伏流水を楽しめます。ここに置かれていた柄杓は地元の人が寄贈してくれたもので新品でした。
本当に地元の人に愛されてるんだなぁ……。
雪が作り出した新緑と水の景色
11時00分、登山者カードボックス前。
古和清水を越えてすぐに登山者カードを入れる箱の前へ、ここからが本格的な登山道の始まり。
車が数台停まっていて、釣竿をもったお兄さんたちが歩いてきたので……ここは釣りを楽しめる渓流があるらしい。
確かに上流も水流は豊富なので、イワナとかいるかもしれない。
ここでゲットできる温海温泉の案内図は絶体にゲットしましょう、下山後に使います。
登山口に突入すると目の前に広がる景色……まず最高すぎる杉林が現れる。杉林だけど苔が最高、とにかく苔の具合が美しい!
水流豊富な渓流を眺めながらしばらくは登り続ける。
登山道は渓流脇に沿って整備されていて、道はとても平坦で歩きやすいものが続いている。川のせせらぎに耳を傾けながら歩くことが出来るこのコースは最初から最後まで楽しいのです。
GWという時期も良い、草木も短く気温も程よく歩いていて一切の不快感が無い。虫も全くいない。
温海嶽の往路は滝を楽しみながら歩く道、最初に現れるのは苔滝と呼ばれる細い滝になります。
画像の左側に書かれている案内板の左側を見ると滝がある状況。
サーっと音を立てて苔に覆われた山肌を落ちる水流。苔滝と呼ばれる最初の滝ですが瑞々しさが半端ないぜ。
温海嶽で「いい滝だったなぁ」と思えるのは……Redsugar的にはこの苔滝と二ノ滝です。
苔滝はわびさびある感じで、苔を滴る支流の流れに心が洗われるぜ。
苔滝を越えると次は二ノ滝、新緑トンネルの中を歩きながら標高を上げていく。
二ノ滝手前はやや平坦な地形になっている、苔が目立った麓に比べるとやや茶色が増える上流。
水の透明度は増してより山深くなった雰囲気がある。
二ノ滝手前は谷底ということもあり陽の光が入らなくて、カメラのSSを1/10位まで下げることになったけど好都合。
ザーザー音を立てて落ちる滝から運ばれる水を撮影するのが楽しくて仕方がない。
午前11時30分、二ノ滝。
登山道から少しだけ見える二ノ滝ですが、川の対岸に渡るとビュースポットに立つことが出来ます。
奥にあるのが二ノ滝で、段々に零れ落ちる滝の形状が整っていて奇麗でした。
ちょろっと岩の上を登って二ノ滝に近づいてみたけど……本体の場所は流木と落ち葉で埋まっててあんまりきれいな感じじゃない、最初の一枚目を撮影したポジション位から見るのが一番いい滝のようだ。
二ノ滝を越えたら苔むした橋が現れる、それを渡るとお次は出会いの滝、ここは山肌のいたるところから滝が湧き出ている。いわゆる滝の合流スポットみたいなやつ。
出会いの滝の左側にある階段を登っていくと一度高巻になる感じで、三ノ滝を目指して渓流からはいったんおさらば。
落ち葉と新緑が愉快な登山道はこのまま続きます、歩きやすい道が続いてとても良い。
三ノ滝、イワウチワと雪渓の道を越えて山頂へ
落ち葉でふかふかになった道を登り三ノ滝へ。
標高的にはそんなに高くない温海嶽、登りも半分を越えたかなという所。
上流へやってきましたけど水量がかなり減ってきました。苔シダ新緑は勢い衰えずですが、杉林が終わり森が美しくなってきた。
控えめに流れる渓流の脇を歩いてどんどん上を目指す。
日当たりの良い所は山野草が奇麗に咲いている。
そういえば温海嶽はイワウチワが奇麗というが……どこに咲いているんだろう?
午後12時5分、三ノ滝。
二ノ滝から30分ほどすると最後の滝である三ノ滝が見えるポイントにやってきます。三ノ滝はこれまでの滝と違ってちょっと遠くから眺める感じです。一番落差がある滝で、春先であればご覧の通り滝が良く見える。
三ノ滝を越えたら林道へ合流、序盤で爆走していった軽自動車のおばあちゃんとかがこの上で山菜狩りをしていた。
イワウチワ……イワウチワはどこ??
春はイワウチワの群生が見事ですと聞いていたんだけど何もない、目を皿にして探していたんですけど……林道へ出る手前付近にたくさん群生していました。結構上のほうに行かないと見れないのね。
ピンク色のかわいらしい春の花で、カタクリとかと同じ春を感じさせてくれるイワウチワ。
カタクリは主張の強い花だけど、イワウチワは全体的に淡くお上品。
林道周辺に来るとコゴミの群生が……、しかも結構食べ応えがありそうなしっかりとした太さのものが沢山生えていました。
この温海嶽を登って降りて、その日のうちに帰るのであれば採取して帰りたい……。
今日は下山したらそのまま佐渡汽船のフェリー乗り場まで行くから食べれないな。
林道へ出てしばらく歩き続けると……雪に覆われた車道が現れます。
山頂手前まで伸びているこの林道ですが、GW期間中は雪に埋もれていて入れません。
ハイカーだけが歩くことが出来る雪渓の道を存分に楽しもうぞ。
途中粟島が良く見える展望園地があります、温海嶽山頂よりも日本海が良く見える眺望スポットです。
午後1時15分、温海嶽山頂。
雪渓の道を歩き続けて温海岳山頂へ。雪渓→登山道と交互に入るはずが、途中で登山道に入る場所を見失ったため車道を歩き続けて山頂へやってくることに……。ちょうど熊野神社の裏手から温海嶽の山頂に来ることとなりました。
天気はあいにくの曇り空、眺望はそんなに期待できないかも。
山頂からは鳥海山がきれいにみえ……ない!!!残念ながら鳥海山は頭が隠れた状態になってます。
こちらは日本海の粟島方面、最初見たときこれが佐渡島かと思った。
ほぼ同じ速度で上がってきていた登山客の方に教えてもらったのが摩耶山方面。
摩耶山の向こうに大朝日の山々が見えるということですが……、僕が気になるのは画面中央の摩耶山とされる山。
東北最悪の登山道と呼ばれる道が広がるらしいですね、行きたくはないが気になる。
山頂でしばらく休憩したら旧拝殿跡側のコースを利用して下山を開始します。
こちらは日当たりが良く森が明るい!谷底の渓流を楽しむ往路とは全然雰囲気が違う。
午後1時55分、大杉前。
旧拝殿跡側へと降りる、こちらの道は滝じゃなくて木がメインなのか巨大な名木が2か所ほど見られました。
相変わらず人が触れる場所は手あかがついてつるっつるでした。
ベヘリット的な歪んだ顔を見せるブナ、怖いよ。
シダと岩とブナの森を降る、この辺は歩きやすく凄い速度で降っていける。
ある程度下ると植林地帯へ、やっぱり杉林のある場所はシダがメインでちょっとキモい景色が続くな……。
木漏れ日に浮かぶ新緑が奇麗なのでカメラで遊ぶと面白い。
黄緑に光る蝶のように浮かび上がる新緑の葉を眺めながら下山続行。
熊野神社旧拝殿跡まで来たらもう下山したも同然です。
この石碑の脇に湧水が沸いてるんだけど……、古和清水とかに比べると飲みたくなるような感じではない。
温海温泉で汗を流し、佐渡へ向かう
午後2時50分、下山完了。
旧拝殿跡から降り続ける集落へと戻ってくるとそこは平清水登山口、温海温泉の一番東側といってもいいような場所に降り立ちます。さて、ここで役に立つのが最初の登山者カードボックスで手に入れた温海温泉の観光案内図です。
実はここには食事処や温泉が記されていたんですね、これを頼りに手打ちそば大清水に行ってみたんだけど……。
残念ながらそばがもう売り切れていた……、残念!!!山形の蕎麦は滅茶苦茶美味いから楽しみにしていたのに!
しょうがないのでKASUMIYAさんで温海バーガーと呼ばれるライスバーガーを食し小腹を満たします。
今日はこれから新潟に向かって車を走らせるわけですけど……ほら、海沿いの街って寿司が美味しいじゃん??なので途中のご当地回転ずしに入る気満々だったからご飯は最小限にしたというわけです。
ちなみにこのライスバーガー、侮るなかれちゃんと美味しい。
食後は温海温泉の共同浴場へ向かいます。
料金箱に300円をチャリンチャリンと入れて入浴!この公衆浴場ですが滅茶苦茶奇麗に整備されていて最高でした。
群馬長野近辺や蔵王だと木造りのシャワー無し温泉が多いけど、温海温泉はシャワーもついてて本当にいいお風呂でした。
入浴後は温海温泉をぶらぶらと観光。
街のど真ん中に飲泉や足湯があって、観光客の往来もあり「静かな観光地」として味がある場所だなと思えました。
温海温泉で目立つのはこの塩屋さんが出店している売店「あつみgo-en」さんです。
ここで売っているお塩ですが、熊野神社に奉納しているものでもあるため大変縁起がいいんだって。
昆布塩とか、藻塩とかいろんな種類がひとまとめになった塩パックを思わず買ってしまいました、ご当地調味料は大事。
入浴後の水分補給ということで「100%ぶどうジュース」を購入。こちらのブドウは山形県南陽市のブドウを利用しているらしい、南陽市といえば……私事ですがRedsugarが挙式を上げた場所ですね。お隣高畠と合わせて山形のブドウやワインの名産地なので、美味しいことは間違いないですね!
飲み口に添えられた塩がソルティドックみたいでお洒落!登山とお風呂で失われた塩分をたっぷり補給出来た気がするぜ!
午後5時20分、道の駅あつみ。
温海温泉を出発したらすぐに道の駅あつみに入りちょっと休憩、過去鳥海山からの帰路で利用したりした道の駅あつみですが夕日がきれいなのよここ。日本海に落ちる太陽を眺める観光客を眺めながら少しウトウト。
幸せな休憩時間を過ごした後は、新潟県新潟市の佐渡汽船を目指して一気に南下していきました。
午後10時25分、佐渡汽船フェリーターミナル駐車場。
途中で寿司を食べたりコインランドリーで洗濯したり、色々準備を整えてやってきたのは夜の10時になってしまいました。
GWの佐渡島ですが、混雑はするけど船に乗れないレベルにはならないとのこと。よほどのことが無い限りは駐車可能。
フェリー乗り場は夜になっても明るい。奇麗なトイレがしっかり使えるのもいい所。
翌日6時出発のカーフェリーに合わせて車中泊で待機です。
というわけで次回は2022年のGW、佐渡島上陸編です。GWの定番登山スポットであるドンデン山から金北山を歩きます……が、そこから先はRedsugarオリジナルの下山で楽しみますよ!
車中泊は良いんだけど、GWでも新潟は湿度が高くて暑くて……ちょっと車中泊で寝るのが大変でした。フルフラットにならないヴォクシーだからっていうのもあるんだけども。車中泊するときは寝やすい車にしようね。
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