2019年4月28日、北海道は然別湖畔に佇む標高1,186mの「白雲山」を歩いてきました。
まだ冬が色濃く残るGWの北海道で歩くことが出来る数少ない山の一つです。
僕の実家が然別湖に近く、GWに帰省したものの北海道の山の多くはまだ真冬で登れる山は限られている状況。
事前にGW時期に登れる山の一つとして目星をつけていたのがこの白雲山でした。
然別湖はこの時期まだ雪に埋もれている状態で、白雲山も季節によっては雪が積もっていることが多いのですが幸い僕が歩いた2019年は暖冬の影響で楽に歩くことが出来ました。
北海道の山といえば大雪山を筆頭とした百名山がイメージされますが、この白雲山は東大雪の山々や大雪山方面を見据えることが出来る展望が特徴的、さらには日本3位の広さを持つ十勝平野を上から見下ろすことが出来ます。
冬の長い北海道、春に向けて徐々に目覚めてゆく大地の姿を眺めるGWの山旅の始まりです。
GWの白雲山登山について
雪解けが進むGWの北海道、白雲山は標高が1,200mに満たない山であるため比較的雪がないことが多いようです。
残雪の山となるので、その年の積雪具合に依存する部分が多いことを理解して軽アイゼンかチェーンスパイクがあると便利。
コースに関しては白雲山よりも手前の東ヌプカウシヌプリのほうが登山客が多いようです。
早朝から登ると登山者がいないことが想定されるので、少し遅めにスタートするのがおすすめです。
白雲山登山の概要
然別湖畔から登る残雪の白雲山
2019年4月28日午前7時35分、然別湖畔足湯。
おはようございます、GW帰省で子供たちを親にあずかっていただけたので、自由な時がやってきたということで登山にやってきました、長い長いGW期間中の唯一の登山日ですが北海道はまだまだ冬。
大雪山はまだ冬山ということで標高の低い然別湖畔の山である白雲山を目指します、登山口は二つあり士幌高原と然別湖畔があるのですが、今回は然別湖畔から登山開始です。
この辺りは温泉が良く湧くんですけども、ご覧の通り然別湖畔には足湯があります。
下山後絶対にあの足湯に入ると心に強く決めて登山を開始です。
今日は登山よりも登山後の足湯の気持ち良さを目指して登山するよ。
午前7時10分、然別湖へ。
ちなみに然別湖に向かうためにはひたすら直線の続く十勝の道を走ることとなります、大型トラックとかが時速80㎞でかっ飛ばしてゆく国道なんですけど……、朝走っていると畑から湯気が出ていたりしてフォトジェニックな景色が至る所に広がっていたりします。
北海道はどこ行っても自然があふれている。
今回の目的地は画面中央から左に広がる山々です。
午前7時30分、然別湖到着。
まずはやってきたのは然別湖畔、登山口の場所は然別湖湖畔のネイチャーセンターよりも手前、鹿追側のトンネル側にあります。
とりあえずGWの然別湖ってどうなってたっけ?というのを確認したくて最初に来てみたのですが……湖にまだ雪が。
ちなみに目の前のこんもりとした山は唇山って呼んでました。
夏の時期に来ると水面の反射の関係で奇麗な唇に見える山なんですね、今は残念ながら上唇しか見えないんですけど……。
午前8時5分、白雲山登山口。
ということで足湯の場所も確認したので、白雲山登山を開始したいと思います。
やってきた白雲山登山口は……雪まみれやないかーい!!!
超残雪期の山じゃねーか!
コンパスを利用していたので、登山届提出ボックスをスルーして登山開始。
一応かなりの踏み跡がついてるけど今日は僕が最初の登山者ということらしい、踏み跡が古い。
白雲山方面は足跡あるんですけど東雲湖方面は全く未踏、そりゃそうだよね。
白雲山登山口から登山開始、道はご覧のようなツボ足状態、一応道がわかりやすいようになっているので迷うことはないかな、テープはたくさんあるし登山道沿いは伐採されてる状態です。
いや、冬用の登山靴を持ってきてよかったと本当に安心したぁ。
雪解けの白雲山、この山は東大雪エリアに入るのかな?
夏とかは結構森が奇麗なんだと思います、雪解けの隙間から見えるコケや植物が奇麗です、北海道は標高が低くても植生の関係で北八ヶ岳や奥秩父上部のような景色が広がっている山が多いです。
白雲山然別湖登山口はそんなところで、登山口からすでに結構高所な植生をしています。
見下ろすのは然別湖畔のトイレ、真冬の時期は然別湖って凍結して上を歩けるようになります。
かまくら祭りとかやっていたり、氷の上で露天風呂に入れたりします。
遠くに見えるのは……ウペペサンケ山かなと。
北海道百名山に選定されている東大雪の山で、1,800m級の稜線が長ーく続く山です、一度歩いてみたい。
然別湖湖畔は火山群ということで成層火山的な形状の山々が沢山あります。
この周辺で登山可能な山は白雲山、東ヌプカウシヌプリ、西ヌプカウシヌプリ、南ペトウトル山の4つとなります。
どれもカバノキと松に覆われた山で雰囲気がよさそう。
尾根沿いに積もった雪の登山道を追っていきます。
ヌプカウシヌプリ方面、禿山と見紛う程葉のない木々に覆われてる。
北海道は北海道の木々が楽しめます。
途中登り返しがあるのですが少し道がわかりにくい、吹き溜まりになっていることと岩がメインなのでテープを探します。
標高が上がってきて気が付きましたが、大雪山方面が見えました。
登山するまで意識してみたことが無かったんだけど、十勝平野からはホロカメットクや十勝岳方面が実は見えていたらしい。
高校生くらいまで全部日高山脈だと思ってた……
午前9時40分、士幌高原分岐。
尾根沿いに進み続けると士幌川登山道との合流地点に到着します、割と山頂直下。
この日は然別湖湖畔からよりも士幌高原からの登山者が多かったです、向こうのほうがメジャーなのかな?
実家からだと士幌高原のほうが近かったので、そちらからアクセスしても良かったかもしれない。
然別湖と大雪の山々の展望広がる白雲山
白雲山の山頂が見えます、火山群ということですがご覧のように見事な岩山の山頂。
このあたりの山って山頂がちゃんと展望良い状態でとてもうれしいです。
午前9時50分、白雲山山頂。
東ヌプカウシヌプリや南ペトウトル山もきれいに見える白雲山山頂に到着しました。
山頂の景色は360度開けていて、何よりも眼下の然別湖が良く見えます。
ちなみに冬の時期って糠平湖のアイスバブルが有名だけど然別湖ってアイスバブルはないんだろうか?
(然別湖はキャンドルアイスという別の現象のほうが有名らしい)
東ヌプカウシヌプリですが、山の一部がきれいに抉れていますね、向こうも稜線は歩くの楽しそうだけど積雪期は雪庇を踏み抜きそうな怖い形をしています。
十勝平野や日高山脈を見るならあっちの方が展望がよさそうです。
白雲山の展望といえばこちら側、然別湖の景色と北部にそびえるウペペサンケ、ウペペサンケの奥には東大雪山系の山々が並んでいるようです。
日高山脈方面も見ることが出来ますがやや遠いので山座同定がしにくい、日本一山深く難しいエリアは日高だと思っているのですが、その中でも上りやすい山であろう幌尻岳にいつ行けるのか……。
ペトウトル山から奥に見えるのは十勝岳、美瑛岳方面となりますが、雪煙が上がってるのか……?
大雪山は完全に冬、そして天候が変わりやすいので行きたくない……
白雲山山頂からウペペサンケを眺める自撮りを撮影していたんですが、おわかりいただけただろうか……寒いので防寒具を羽織りました。
関東でGWに1000mくらいの登山するときって暑いんで防寒具とか山頂で着用することないんですけど、北海道はさすがに寒い、白雲山山頂は風も強いので防寒具しっかり持ってきてないと凍えるくらい寒くなるので注意してください。
十勝平野と日高山脈、畑しかないんですけどいい街です、30分も車を走らせれば何かしらの奇麗な自然にたどり着けます。
彼女とのネイチャーデートにお勧めは千年の森じゃ、丘の上から愛を叫べ!!
この神は叫んだんだろうな……
白雲山からはお隣天望山(くちびる山)に縦走が可能です、この時期縦走する人はほとんどいないらしいけども。
画面右上、奥の方に雌阿寒のシルエットが見えるのがわかるでしょうか?
雄阿寒岳、雌阿寒岳と阿寒富士、十勝平野のはるか向こうにある阿寒エリアの山を見ることが出来るとは思いませんでした。
個人的に温泉含めて北海道で一番好きな山です。
ウペペサンケ山ですが東大雪の山では一際白い、地理的には後ろにニペソツ山等があるようなのですが見えないんです。
北海道で一番登りたい山である隠れ百名山のニペソツ山、あこがれの山なのです。
こちらは大雪山方面、というか十勝岳方面ですね。
真っ白な山が延々連なっているのがわかるでしょうか、GWでも絶賛真冬が続く大雪山連峰ですが今日登っている人いるのかなぁ……?
十勝岳から湧き上がる煙が写真にもしっかりと写っていました。
ここで十勝平野の広さを感じてみましょう、奥に見えるのは日高山脈。
地平線の向こうまで畑が広がる日本の穀倉地帯です、特産物はジャガイモとかビートとか……、十勝が無ければ皆さんが食べる美味しいポテトチップスは存在しないかもしれない、そんな場所です。
日本一美味しいポテトチップスだった生産者還元ポテトチップスっていうのがあるんですけど、いつの間にか加工地が士幌から東松山になってて、結果味もすこし変わったのが地元民としてショックでした、ていうかなんで東松山なのよ。
人によって味の好みはあると思うのですが、生産者還元ポテトチップスの海苔塩は海苔塩界No.1の海苔塩かと思います。
道内限定商品という位置づけなので北海道に来たときはご賞味あれ。
午前10時50分、白雲山下山開始。
山頂でのんびり家族と電話したり撮影を楽しんでいたら1時間くらい滞在していたらしい、寒くなってきたので下山開始です!
下山は周回コースがいいかなと思ったのですが、完全なノートレースかつ滑落してもしょうがないくらい両端が切れた尾根が続いていたため断念、ピストンで登山口に戻ることにしました。
下山はのんびり、往路では発見できなかった自然のオブジェなどを眺めながら歩きます。
木馬みたいな倒木とかがありました、シルエットが生物っぽい倒木とか結構あるよね、疲れてると錯覚でびっくりしちゃったり。
白樺並木と足湯の帰路
午後12時10分、白雲山登山口。
登山口に下山してきました、ここまで来たら落ち着いて然別湖を楽しんで帰れます。
気になってたけどここに置いてある船って遊覧船とかなのかな?
然別湖畔へと戻ってきて気が付いたのですが、マンホールの形状がくちびる山とオショロコマです。
オショロコマは大雪山にしかいないイワナ
カラフトイワナとも呼ばれるイワナの仲間なのですが、然別湖周辺はとくに有名らしく山奥に釣り人が結構入って行ったりするらしいですね、昔山に登らせていただいた知り合いの方とかはウペペサンケ山の渓流で熊の恐怖と戦いながらオショロコマ釣りに興じていたとか……。
絶滅危惧種扱いなんですけども釣ることが出来ますし、然別湖周辺だと食卓に上がったりします。
塩焼きを食べたことがあるのですが、うーん……味はほとんどイワナですね。
(なお、Redsugarはなんでも大体美味しく感じる味覚の持ち主なので信用はしないでください)
然別湖畔ですが一応ホテルなどもあって休暇村的なリゾートになっています、温泉もあるんですけど地元の人は十勝川温泉とかに流れる傾向が強いので、鹿追や士幌の人が使うって感じなのかなぁ……?
音更や帯広の人にとっては少し遠い観光地という印象でした。
こんもりとしたくちびる山、天望山ということで今回の白雲山から実は縦走できたんですけど、画面右の鞍部方面がなかなかの下りで大変そうだったことと、地味に切れてて怖かったので遠慮いたしました。
子供が小学生くらいになったら夏に登らせていただきたいと思います。
さて、楽しみにしていた足湯ですが……結構熱かったです!
観光客の方々が足湯を楽しんでいたのですがみんな足を真っ赤にしていました、下山後に入る足湯は背徳感があって気持ちがいいのですが(今回はもちろん足を拭いてから入ったけど)
肌がひりひりするくらい熱く、下山後にもかかわらず汗をかくほどでした。
午後1時35分、種畜牧場入り口。
白雲山を下山して足湯を楽しんだ後は実家へと車を走らせるのですが、道中観光地として有名な白樺並木へやってきました。
恥ずかしながら家の立地の関係でこの隣の高校に通っていたからこの白樺並木……観光地というか牧場の入り口っていうイメージしかなかった。
結構観光客の方が訪れていたんですが、白樺並木よりも奥にある種畜牧場展望台まで行く人はあまりいないのが悲しい所。
この牧場奥に展望台があるのですが、十勝平野を一望できる丘になっているのでそこまで行ってみるのがお勧めです。
この辺を流れるペンケチン川とパンケチン川、昔は飲料水をペンケチン川から汲み取ってたんですね。
浄水場見学の時にその名前の面白さからゲラゲラ笑っていたのを思い出します。
北海道から出てきて10年以上経過してしまいました、18歳までしか過ごしてないけどいつかは帰りたいなぁ……。
広大な農地を耕すトラクターとその向こうに見える十勝岳の山々、こうしてみると山も近くていい場所だったんだなと。
日高山脈方面は大雪山に比べると木々の色が残っています。
でもこちらの方がはるかに未開拓で登りづらい山々が眠っている、ヒグマもこっちのほうが怖いって教えられたので入山する気にならないんですよね……。
個人的には道道111号線……あれば日高の山に入山しやすくなっていただろうし作ってほしかったなぁ。
最後話がそれちゃいましたが、実家からほど近い白雲山登山はこれにて終了。
GW北海道登山の一幕でした。
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