2016年7月18日、乗鞍岳に行って来ました。
標高は3,026m、日本でもっとも手軽に登れる3,000m峰です!
バスが山頂の近くまで出ており、夏になれば多くの観光客で賑わいます。
ご来光を眺めるための専用バスも運行しており、手軽にご来光まで楽しめます。
非常に魅力的なご来光バスを是非利用してみたいということで
7月の真っ只中、北アルプスを一望する眺めと3,000mの大地を手軽に踏んでみようかなと思い
訪れた乗鞍岳、そこで待っていたのは素晴らしいご来光と雷鳥の家族でした。
多くの人に愛される3,000m峰を登る旅の始まりです。
地平に黄金色線を描き、ゆっくりと天を染め上げてゆく光。
平凡な毎日を彩る理、それを直に観れば天の偉大さと
この世界の美しさに誰もが気がつくのだろうか。
日々繰り返し昇り続ける朝日、しかし、いざ眼前にそれを納めれば非日常の景色としか思えず。
日常の裏に潜む美しい景色に気づかされる。
山頂では肌を痛め付ける寒空が人々を襲う。
その冷たい空気に熱を与え、その場にいる人々に活力と希望を植え付ける太陽。
鮮やかに染まる蒼と金の空をカメラに納める、太陽の暖かさを頬に感じながら、
僕は山頂を目指して歩き始めるのだった。
はい、今回は北アルプス最南の3,000m峰【乗鞍岳】です。
バスで山頂付近まで行くことのできる最も手軽な3,000m峰にして
北アルプスの南のランドマークとして外すことはできない山です。
山頂からは北アルプス南部、御嶽山、八ヶ岳等を一望する展望を得ることができます。
今回はバスでゆるゆる登山をしようということで、
畳平から山頂をピストンするお手軽3,000m峰登山をしています。
畳平の標高は2,700m、山頂が3,026mということで約300m登れば山頂に着くことができます。
お金はかかりますが、手軽に登れる3,000m峰であるため、
登山装備がある方なら誰でも登れるかもしれませんね。(天気がよければ)
屏風のようになった北アルプスを眺める経験はしたことがなかったので、新鮮でした…。
因みに乗鞍岳には雷鳥がいるので運が良ければ畳平で雷鳥を見ることができるかもしれません。
アクセス
ご来光バスを利用するのであれば車で観光センターに来る必要があります。
乗鞍岳は通年マイカー規制のため、観光センター〜三本滝のエリアで
バスに乗り換える必要があります。
ご来光バスを利用する場合
【高速】新宿駅始点初台出入口→松本IC下車 3,940円付近(深夜割利用)
【バス】観光センター前→県境ゲート 片道1,750円 往復2,800円
【高速】松本IC→新宿駅 5,810円
合計 12550円くらい(車種とかによって変わります)
これにプラスガソリン代を入れると16000円〜18000円程度でしょうか?
バスで東京からきて普通に登ります!
【夜行バス】新宿→松本 3,500〜4,500円
【電車】松本→新島々 700円/松本→観光センターまで往復割引3300円切符あり
【バス】新島々→観光センター 1,500円/松本→観光センターまで往復割引3300円切符あり
【バス】観光センター→畳平 1,450円/2,500円
合計運賃 10300円くらい(全部一番高い金額で)
乗鞍はやっぱり車で、複数人で来たいですね。
コースタイム
県境ゲート4:35→大黒岳4:45-5:25(ご来光)→畳平5:55-6:10→お花畑6:15-7:10→
富士見岳7:50→肩の小屋8:25→剣ヶ峰9:20-9:40→肩の小屋10:15→畳平10:40
合計登山時間 6時間5分 とてもゆっくり歩きまわりました。
2016年7月18日 午前1時30分、中央高速自動車道双葉SA。
乗鞍岳に向けて車を走らせること数時間…、
ガソリンスタンドでガスをいれていると衝撃的な生き物に出会う。
カブトムシである…、乗鞍岳に出掛ける最初にカブトムシと出会うなんて、幸先がいい。
奥さんと興奮ぎみにカブトムシを捕まえてみましたが、腕の力がめちゃ強く
なかなか腕から離れてくれずとても困る、今年初めて見たカブトムシが雄だなんて幸せだなぁ…。
さて、本日の乗鞍岳のご来光バスに乗るためには
乗鞍岳の麓にある観光センター〜三本滝付近へ朝の3時付近に到着している必要があります。
三本滝にナビを打ったらあとはひたすら夜道を走り続けるのみです。
午前3時30分、乗鞍岳休暇村。
三本滝レストハウスでナビを打ったらここにつれてこられました…
正確には三本滝駐車場はここよりもさらに上にあります。
僕は休暇村から乗りましたが、バス自体は観光センターから来るので、
観光センターで乗るのがまちがいないかと思います。
車を降りた直後、わずかな時間で星空が撮れるかチャレンジしてみる。
レンズの画角が狭く広い範囲は写らなかったけど、天の川らしきものを撮影!
もうすぐ朝だというのに天の川写るんだなぁとにこにこしながらバスへ向かう。
此方が休暇村の目印。
ここでもバスに乗れますが満員の場合次に流される、始発の観光センターで乗るのが確実。
午前3時35分、ご来光バスに乗車。
往復で2800円というちょっとお高い金額を払う。
バスの運転手曰く、今日は間違いなく素晴らしいご来光が見れるとのこと。
最近は曇りが続いていたのでお客さんたちは本当にラッキーですよと言われた。
お世辞でも嬉しい、早くご来光を眺めたいと思ってたら早速空が明るくなり始めていた。
午前4時30分、ご来光バス専用降車場。
ご来光バスは畳平まではいかず、その手前で客をすべて下ろします。
畳平手前のピーク(大黒岳)にみんな登りはじめてご来光を見るらしい。
ご来光まで時間がない…。
登山服の人と地上と同じ格好の人が入り乱れて坂を登る。
なんともカオスな光景である。
今日の乗鞍岳は大盛況、といった感じか。
ご来光の時間は早朝4時台だというのに沢山の人で賑わっている
低層の雲が広がる下界、地平の向こうまで雲でおおわれている。
槍ヶ岳、穂高岳と言ったアルプスの山々と共に、ご来光を今か今かと待ち続ける。
明け方だからなのか風が強い…、とりあえず小屋に避難することに。
午前4時45分、大黒岳(標高2,772m)到着。
大黒岳はご来光ポイントとしては最高の場所に位置している。
ここから朝日を収めるために凄い数の人々がバスに乗って押し寄せてきたのだ。
午前4時50分、ご来光が近い…空の色が蒼と金色で彩られる。
夜明け前の静けさが心地良い。
午前4時58分、御来光。
乗鞍岳の山頂へ顔を出した太陽、まばゆい光を放ち地平の奥からその姿を表した。
照りつける光は空気を一気に暖める。
それまで鼻水が出そうなほど硬直していた表情の筋肉を暖め穏やかな笑顔が自然と浮かんだ。
穂高や槍ヶ岳も陽光に照らされ、そのシルエットを空に浮かべている。
槍ヶ岳はどこから見ても特徴的だ。
強風を受けながら、ご来光を撮影し続ける
不思議とご来光の撮影は飽きない。
人々は皆ご来光の光に照らされ、活力をもらったかのようににこやかな顔をしていた。
太陽もあがりきったので、そろそろ剣ヶ峰を目指して移動することにする。
この稜線の向こうに最高標高地点がある、皆一斉に移動開始。
名残惜しい景色です。
畳平はこんな感じ、朝日の陰になってしまうんですね。
畳平ではご来光は見れない訳です。
先ずは畳平へ向かうことにします、お腹もすいたのでなんか食べたい。
午前5時45分、畳平駐車場、標高2,700m。
ご来光ポイントから畳平までは10分ほど、途中から舗装路を歩けるのがすごく幸せです。
畳平周辺には高山植物が沢山咲いています、ヨツバシオガマかなこれは。
コマクサも咲いています。
コマクサって北海道だと庭先に生えてたりするんだけど、内地だと高地にしかない。
畳平にはいくつかのトイレがあります。
この公衆トイレは非常にきれい、用を足すならここがおすすめ。
畳平のレストハウスへ、空調が効いており非常に快適です。
これから登山をする人が準備をしている。
豚汁をとりあえず一杯。
豚汁を食べていたら外に救急車が来ていました、どうやら高山病で体調が悪くなっちゃったらしい。
畳平は文明があるとはいえ、標高は2,500mを越える場所です。
人によっては高山病の症状が出てもおかしくはないです、僕もちょっと苦しかったし。
先ずは畳平の遊歩道を歩くことにしました。
雷鳥を見ることができるらしいので期待が膨らみます。
ハクサンイチゲが沢山咲いている…。
畳平周辺はお花畑が広がっているので歩く価値があります。
谷間に広がる木道を歩きます。
風が遮られて雰囲気がとてもいい、静かな時間が流れます。
午前6時20分、お花畑周回コースへ。
木道から帰ってきた人が「雷鳥いますよ」という情報をくれました、聞いたからには急いで雷鳥の元へと駆けつけます。
午前6時25分、畳平お花畑にて雷鳥の親子に遭遇。
可愛い可愛い雛が3羽!親鳥が1羽!超ラッキー!!
ピヨピヨと鳴きながらお花畑のなかを歩く雷鳥。
今年見れるか不安だったのですが、無事に雷鳥を目に納めることができて大満足です!!
雛鳥達は親鳥のそばを離れず、草原の中を歩き回ります。
モフモフしていて最高に気持ち良さそうだ、いやぁ本当に可愛かった…!!
雷鳥をしっかりとカメラに捉え、本日の満足度を最高に高めた…。
あとは剣ヶ峰を目指すだけだ…。
畳平レストハウスにいったん戻ってから剣ヶ峰を目指します。
戻る途中に気が付いたのですが、クロユリが咲いていました。
ちょっと元気がないのはまだ朝の早い時間だからだろうか??
ハクサンイチゲと黄色い花々、黄色い花はいろいろ種類がありすぎていつもよくわからない。
これはシナノキンバイ?
畳平から最初のバス降車地点をまずは目指す、そこから大黒岳とは逆に位置する富士見岳へ。
富士見岳を上った後に道路を経由して剣が峰を目指します。
畳平とはしばらくお別れです、エアコンはあるわ炭酸はあるわで最高の場所でした。
日が射すようになった登山道には多くの登山客が、花の写真を撮っている人が多い。
富士見岳の登りはちょっとした砂利道です、大黒岳のように整備はされておらず浮石も多い。
風が強い日はここを上ると風が直撃して危ないので注意したほうがよいでしょう。
また黄色い花が出現、これはミヤマダイコンソウ?ミヤマキンバイ?
午前7時50分、富士見岳山頂到着。
風が非常に強かったためゆっくりと登った結果結構時間がかかってしまいました。
山頂では中国人の方々が写真撮影にいそしんでいる、ここも国際化の波が押し寄せてるのか。
富士見岳からの眺望はこんな感じ、穂高と槍がよく見える。
常念は向かいにあるやつだろうか??などと思いをはせる。
富士見岳から下を見るとコロナ観測所に向けて一直線に伸びる道路が見える。
コロナ観測所手前の坂道の付け根に分岐路があるので、それを左手に進めば肩の小屋方面だ。
相変わらず風が強く風速20mくらい出ている気がする…、気を抜いたら帽子が飛んでいきそう。
下りの方が道が整備されており易しく感じたのは気のせいだろうか?
風車が置いてありました、位置的にすごく風が強いところだと思うのですが…。
舗装路に降りると風も弱まり、ゆるゆるトレッキングに戻ります。
標高が高いので息苦しいことを除けば快適そのもの。
坂道の分岐路を左手側に進みましょう。
坂道手前の分岐を左に曲ればすぐに肩の小屋が見えるようになるかと思います。
ここが剣ヶ峰への登山基地、肩の小屋です。
午前8時25分、肩の小屋到着。
肩の小屋には大きな食堂や売店が整備されており、休憩するにはベストな環境が整備されてます。
山頂は左手のピーク方面、これからあそこを目指して歩いていくことになります。
午前8時30分、乗鞍岳登山開始。
最初から森林限界を超えているボーナスゲーム的な登山が開始。
往復のコースタイムも短く、ライトハイキングというに相応しい散歩が始まる。
散歩といいつつも標高3,000m峰、岩と砂利で出来た登山道は歩くのに難儀します。
登山靴を履いていない方々もたくさんいましたが、出来れば登山靴で登りたい、危ないので。
眺めは抜群に良くなってきました、裏銀座の山々もたくさん見えるらしい。
北アルプスの展望台と登山客が言っていましたが、なるほどねと頷く。
岩の上をぴょんぴょん飛び跳ねながら標高を上げていきます。
徹夜で運転しているのでちょっと体がだるいのは気のせいだきっと。
最初の坂を上りきると権現池という山頂直下の池が見えるようになります。
この池なんでも日本で二番目に標高の高い場所の池だとか、一番は御嶽山にあるらしい。
さすが3,000m級、景色は良い。
登りやすさにこの展望は非常に好感が持てます、物足りなさも感じるけど。
剣ヶ峰が見えてきました、歩いている人の多いことよ。
関西の方にも人気なのか、関西弁をそこかしこで聞くことができる。
権現池を囲うように大日岳、屏風岳とあるようですが、これはそのどちらかのピークかな?
山頂が見えていつつもなかなか近づかない、富士山と同じパターンだこれ。
午前9時15分、乗鞍岳頂上小屋到着。
コーヒーなどを提供してくれる小さな山小屋です、休憩するにはもってこい。
限定Tシャツなども売っていたのですが、特に興味がないのでスルー。
山頂に着いた??と思ったのですが、どうやら社の正面側らしい。
山頂から見る乗鞍とアルプスの景色は最高の一言、
関東民としてはアルプスの岐阜側を見ることができたのが結構感動的。
午前9時20分、乗鞍岳山頂剣ヶ峰到着。
肩の小屋から数えて50分で山頂に到着しました、意外に時間がかかりましたけど
高山ゆえに酸素が足りなかったのかな?
山頂からは御嶽山を見ることができました、山頂に立つまでは見えなかったので驚きです。
山頂三角点は厳重に四方を保護されていました、踏まれないようにしてるのかな?
山頂からアルプスを見るのは全然飽きない、天気のいい時は剱岳も見えるとのことだが
この日はよくわからなかった、望遠レンズがあればわかったのかもしれない。
Nikon AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gを装着、さらにクロップを使い拡大してみる。
槍ヶ岳が結構鮮明に写った、穂高の山々がまるでゴジラの背中のようにギザギザしている。
奥に見えるのは立山だろうか?槍ヶ岳がきれいに見えるのが感動的だ。
御嶽山はさすがの迫力だ、噴煙こそ上げていないものの、迫力が段違いだ。
奥にうっすらと見えるのは霊峰白山か、白山は一度は行きたい憧れの山の一つである。
ダッフィーと共に、これ以降アルプスに注力することを誓う、今年はアルプスに行きたい。
しかし、この夢は後で打ち砕かれることとなる。
午前9時45分、頂上小屋。
山頂の展望を楽しみ撮影も楽しんだので下山することに、
僕が降りてくるころには頂上小屋は混雑が激しくなっていた。
何だろう、お地蔵さん??
剣ヶ峰へ向かう登山道は砂利と岩が主成分であるため、下りがキツイ。
安定性が悪いため下りはすべるのだ、足を滑らせて転ばないようにゆっくりと下山する。
小屋が見えたからと言って焦ると転んでしまう、浮石も多いのでゆっくりと。
午前10時15分、肩の小屋。
下山は大して時間がかからなかったので、休憩することなく畳平を目指すこととする。
下るのみなので非常に楽ちんである。
肩の小屋周辺では花を見ることもできた、チングルマを見るとやっぱり癒されます。
畳平へ向けて再び舗装路を歩く、ちょっとだるい。
いっそのこと車で降りていきたい気分にさせられるこの道、すごくきれいに整備されている。
午前10時35分、畳平駐車場。
帰ってくるとおびただしい数の電気自動車が止まっていた
何かのキャンペーンで電気自動車の宣伝をしているようだった、運転していた人たちはどこへ?
畳平に着いた後はすぐに下山のバスに乗り休暇村へ戻ってきました。
白骨温泉に行くかどうか協議したのですが、休暇村の温泉でいいじゃないかということで
休暇村の温泉に入ることに、これがかなり居心地がよく、空いていたので非常に良かったです。
下から見上げる乗鞍岳、上を歩いていたときは大して大きな山とは思わなかったのですが。
下から見るとやっぱり大きいと感じます。
昼食は帰り道の途中にある蕎麦処「中之屋」へ、
乗鞍近郊では一番おいしいと評判らしいのでわくわくしながらお店に入ります。
シンプルにざる蕎麦のセットを頼みましたが、これが清涼感満点のお蕎麦でおいしかった…。
サイドメニューも気が利いていてとてもさっぱりしています。
のど越しのいいお蕎麦ということであればかなりおすすめできるお店です。
外には水車があり非常に風流…、からっとした空気が流れていると思ったら
この日中部地方では梅雨明けとのことでした、梅雨明けその日に乗鞍とはラッキー。
こうして昼食を済ませた僕らは中央道をひた走り、東京への帰路に着くのでした。
お家には夜の9時前にはしっかりと辿り着き、非常に余裕のある休日の過ごし方になりました。
北アルプスを一望し、標高3,026mと標高も文句なしの高さを誇る乗鞍岳。
今となっては開発が進み、バスで標高2,700mまで訪れることができる場所です。
天上の地を誰もが踏みしめることができるという点では非常に貴重な山だと思います。
ご来光バスを利用すれば、山の上でキャンプをすることなく素敵な景色を見ることができます。
本格的な登山体験の片鱗を垣間見るということではとても良い場所です。
北アルプスを一望する眺望、ご来光と合わせて北アルプスの屏風図を見ることができれば
登るのが簡単なこの乗鞍岳も思い出に残ることは間違いなしといえるでしょう。
アクセスに多少の難点を残しますが、
乗鞍岳に行く際は是非ご来光と絶景を楽しんでみて頂けると幸いです。
人生最高の山は続く。
乗鞍岳の地図はこちら
- 作者: 昭文社地図編集部
- 出版社/メーカー: 昭文社
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