2024年4月10日、関東はまさに花見シーズン!!里山に咲く花を1月から追いかけてきた身としては桜を外すことはできません、桜の花見と登山を組み合わせるにはどうしたらいいか!?これまでにも桜花見登山をしてきたRedsugarですが、今回は奥武蔵エリアにユガテから物見山を経由して鎌北湖を目指すという、ピークではなくコース重視の登山を楽しみたいと思います。一応山としては標高375mの物見山を目指して歩く形になります。
奥武蔵エリアのガイドブックには鎌北湖はよく出てくるのですが、登山の対象としては少しコースタイムが短く不満が残ります。今回のコースはそんな悩みを持つ方にお勧めなロングコース、そして道中には見どころスポットが多く写真撮影もたくさん楽しめるという、歩き、撮影、花見がそろっているものになります。
山上の桃源郷とされるユガテが一番花に恵まれた時期を歩き、宿谷の滝に通じる清流を歩き、桜満開の鎌北湖へ到着する。そして下山後は毛呂山町の里を歩き、地酒「毛呂美酒」を楽しみます。
奥武蔵を西から東へ、桜と酒を求めて歩く花見登山の始まりです。
ユガテ鎌北湖ハイキングの概要
花咲く桃源郷ユガテを目指して

2024年4月10日午前5時35分、北浦和駅。
おはようございます、Redsugarでございます。だいぶ朝が早い時期になってきました、4月です。
北浦和駅前名物のスパイダーマンを眺めながら本日の登山へ向かおうかと思います。
奥武蔵エリアは比較的遅めの出発でいいからありがたいよね。

埼玉県内の横の移動というのは中々大変でして、映画飛んで埼玉2ではさいたまの横のつながりを作るために武蔵野線を作るために奔走する方々が描かれました。実際に北に移動するなら凄い楽なんですけど~、東西の移動は辛いんですさいたま。奥武蔵エリアに向かうためには武蔵野線と西武線を駆使することとなります。



午前7時5分、東吾野駅。
秋津から西武線に乗り飯能から先へ……秩父へと向かう山間部にある東吾野へやってきました。
電車を降りて駅のホームへと降り立つと早速うれしい景色が目の前に広がります。

桜がもう咲いている!今日は桜花見登山ということでやってきたけど……最初からいい思いができました。


東吾野の駅前からは天覚山、ユガテ顔振峠、北向地蔵鎌北湖といったスポットへ向かうことができます。今回はこの中のうちユガテから鎌北湖を目指して歩きます。楽しみを最大化するために、ユガテの花と鎌北湖の桜が満開になるタイミングを狙っていたのです。


午前7時25分、吾那神社。
まずはユガテを目指して吾那神社へやってきました。こちらの神社はもともと熊野神社と号していましたが、室町時代に現在の場所に遷座したことに始まります。桃山時代には徳川家康よりご朱印状が付与され九石の社領が安堵されました。近隣の神社では破格の扱いを受け、その後明治に至るまで約280年間社領が維持されたというのだからすごい。
その後明治の神仏分離令で熊野神社から東映山東明寺が分離、さらに村社となり複数の神社を合祀し現在の吾那神社という名前になります。



随分と立派な社だなと思ったらその歴史はかなり深かった……!






神社の裏手からは杉林を歩いてユガテを目指します。この周囲一帯は西川林業地と呼ばれ江戸時代から有名な林業地でした。東京から見て西の川(荒川)から運ばれてくる木材を西川材といい、その西川材生産の中心地というわけです。
樹種はヒノキ、スギが中心ということで花粉症患者にとっては結構つらい、つらいぞ。


道を進むとユガテ手前の定番スポット、きのこ園が現れます。今回のコースはこういったオブジェクトに恵まれてるんだよね。


木材業者のバラックが連なる道を抜けてユガテへ。ここは後ろを振り向いてもいい景色なので、休憩にはおすすめ。


振り返ると遠い山並みと送電線が目の前にドーンと建っている景色。低山で麓には車も走っているはずだけど、ここまで来ると不思議なほどに音はせず静かな空間となります。草木の揺れる音と鳥のさえずりしか聞こえない場所に身を置くと、不思議と気持ちが落ち着いてくる。
花咲くユガテから宿谷の滝を目指して


午前8時25分、ユガテ。
吾那神社から1時間ほどでユガテに到着しました。入り口から山桜が咲いているのがわかりましたが、ユガテの花は満開まであと少しっていう感じ。花によっては満開だけど、枝垂桜とかはこれからといった感じでした。



それでもいろんな花が競って咲くユガテは大変美しい山郷よ。






ユガテは標高290m地点ですが、里山の奥深く……奥山と言ってもいいような場所にあるため本当に静かです。
農家さんの庭のような場所なので、畑に入るようなことはせずに花だけ撮影して抜けていきます。



八重桜が満開!


道端を見ると農作物が池に沈められています、肥料にするのかな??とうきびのようにも見えるけど……なんの作物なんだろう?


菜の花、桜、ツツジといった花々が咲き誇るユガテ。花に囲まれた民家が作る景色……いいな、こういう家いいな~。


さて、まだまだ先は長いです。ユガテからは竹林を抜けて北向地蔵を目指すことになります。


再び杉林へ突入し、谷底へと一回降り立ってから登り返すといったことを繰り返して北向地蔵へ。


杉林を抜けて明るい場所に出る時って良いよね。でもまたすぐに杉林に入るんだけどね!




北向地蔵まではシダが生い茂る緑の砂漠という言葉がぴったりな杉林を歩き続けます。晴れていれば杉と木漏れ日が作り出した縞模様を登山道中にいくつも見ることが出来るでしょう。


そして北向地蔵手前までやってくると……鎌北湖コースの名物である「あたごくん」が登山者を歓迎してくれます!ブリキ細工みたいでかわいい!



愛宕(あたご)君ということは炎属性なんだろうか?小さいし火守の神の妖精みたいなもんかな。




午前9時45分、北向地蔵。
あたごくんから歩くこと10分ほどで北向地蔵となります。これも非常に歴史があるお地蔵さんで、1786年に流行した疫病を防ごうということで野州(栃木県)岩舟地蔵尊から分身として譲り受けたと。岩舟地蔵と向い合せするために北向に置かれています。現在では男女逢瀬を取り持つ縁起地蔵として人気だそうです。(重要)



つまり、恋人の聖地……!?ユガテ鎌北湖ハイキングは男女良縁の路ってこと!?




さて、北向地蔵を越えると物見山が待っています。切通しをよく見てみると……壁がボロボロの岩で形成されていて、手で表面をむしり取ることが出来るほどです。



縦走していると地面を構成するものが露骨に変わっていくことがわかったりして、それもまた面白い。


物見山へ向かう道中はユガテ道中とはまた違ったものが沢山……、奥武蔵は草ヒロがあったりしますが、これは捨てられたスクーター。毎回思うけどどうやってここまで来たんだ。






午前10時20分、物見山。
物見山山頂近くは杉林の中に休憩所がいくつか作られてますが、そのどれもが老朽化により立ち入り禁止。KEEP OUTの黄色いテープが張り巡らされていて事件現場みたいな場所が沢山でした。
山頂に到着すると山桜が満開……ですが眺望は無し、昔は気が育って無くて物見が出来たのかもしれない。


物見山からは山中を走る峠道を眺めながら宿谷の滝へ向かいます。


宿谷の滝へと降るコースはユガテ鎌北湖ハイキングでも屈指の良登山道です。入り口はか細く不安になるんだけど、奥へと向かえば、この辺では珍しい渓流沿いハイキングが。


中々水量が多い沢に沿って登山道が作られていて、水の流れる音に癒される登山を楽しめます。


途中には小宿谷の滝というちょっと小さい滝が用意されていたり、この道は新しい発見でした。
ユガテと鎌北湖以外は見どころがないと思っていたけど、結局この登山で一番楽しかったのはこの区間でした。
やはり水沿いっていうのはいいね。
宿谷の滝と桜満開の鎌北湖




宿谷の滝の上にある公園にやってきました。今回の登山ではここが注目のスポットとなりまして、鎌北湖と宿谷の滝は別のルート上にあるので、気をつけないと片方しか行けなくなる!ということです。
写真二枚目を見るとわかるように鎌北湖と宿谷の滝は別々の方向なんですね。



桜満開でお花きれい……っていう感じで歩いていると宿谷の滝からそのまま下山しそう。


今日の目的地は鎌北湖なので、宿谷の滝を見たらそのまま戻る必要があります。ここで注意点その2なんですが……、宿谷の滝公園からは少し降る必要があるということです。滝は公園の下にあるので、遊歩道的な登山道を降りないと見れません。生い茂る照葉樹の向こうには……禁漁?


宿谷の滝まで下りてきましたが……滝本体よりもこの禁漁が気になる。ここってイワナとかいるのかな??






午前11時20分、宿谷の滝。
宿谷の滝は落差12メートルの細い滝で、滝周辺は苔が生い茂り独特な雰囲気があることから中々居心地が良いのです。
滝周辺には石仏が祀られ、流木には苔が生え深山の趣がありました。






午後12時15分、鎌北湖。
宿谷の滝からは登り返して!!公園から鎌北湖へ!!下ります!!
鎌北湖へ下ってくると現れる満開の桜、これを見たかったんだという景色が広がっていて大満足です。


湖畔ではツーリング客が憩いの時間を過ごしています。車で訪れる人も多く、ひっきりなしに往来がある……。思っていたよりもかなり人気な観光地なんですね。登山で降り立ったのは僕意外なしで意外。



桜のアーチを何度も行ったり来たりしてしまった。


ドライブの方々がとにかく多い、そして路駐して電話で長話をしたりするので……撮影はもういろいろ入っていていいや!という感じ。写真じゃなくて身体で感じよう!


鎌北湖はスワンボートの貸し出しもやっているらしい。


さて、鎌北湖からどうやって東毛呂まで歩くんだろう?と地図を開いてみましたが車道を歩く感じではなさそう。登山道を探すと湖畔から谷間へ向かって一直線に伸びる階段が作られています。これを降りて川沿いをひたすら歩けば里にいける!




というわけで鎌北湖を無事に脱出し里へ。桜満開の毛呂山町ですが、山間の農家さんが産直をやっていて新鮮なネギが手に入ったりと、郷道歩きも非常に満足できるコース。




毛呂山の街は桜の植樹が進んでいて、ソメイヨシノの季節には白い花をいたるところで見れるようです。




午後1時40分、キッチンつばめ。
花の路と名付けられた街道を歩き駅前までやってきました。お昼時ですが徐々に昼の営業が終わる店も出てくる時間……、急がないとご飯難民になると思い歩きながら探したお店「キッチンつばめ」さんにやってきました。



埼玉医科大学のすぐ隣にあるお店で、美味しい和食が楽しめます。


店内に入りメニューを眺めた後、やはり海がない埼玉を歩いたということであれば……山のさ



ぶり定食お願いします。
やはり海の幸、甘じょっぱい煮つけを身体が求めていました。付け合わせにフキの煮物も出てくるし、雑穀米だし、山も海も入ってるっていうことで。


お昼時から酒を飲むのは最高です。下山後の満足感にちょっとした背徳感が合わさることで酒の味を感じ取る力の湧き具合が如実に上がる感じがする。


キッチンつばめさんで美味しいぶり定食を食べた後は、この登山でやり残した最後のお仕事です。毛呂山町は麻原酒造さんがあるため、地酒が存在するのです。地酒を扱う酒屋が東毛呂駅の道中にあるぞ!ということで、そちらで毛呂美酒という地元の方が飲んでいるお酒をゲットしました。



生純米酒です、日常酒的に飲めるスッキリさ、軽さがありました。新酒的なクセや特徴はそんなに無くて大人しい。色は薄い黄色、透き通った色味に合わせて後味が軽く、料理のお供にぴったりです。
ちなみに生特有の舌先で転がすと微かに微炭酸のような刺激が気持ちいいですね、その後に米の甘みがじんわりとやってくる……。
毛呂山町の人たちはこれが手軽に手に入るって良いなぁ。
登山、地元の定食、地酒と毛呂山町の良い所をたくさん味わえた登山になりましたとさ。
ちなみにですが、帰りは毛呂駅じゃなくて、東武の東毛呂駅から帰るのが圧倒的に早いです。


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