【奥武蔵】皇鈴山、秩父高原牧場からヤマツツジ満開の尾根道を楽しむ

皇鈴山のヤマツツジ

2024年5月4日、埼玉県は奥武蔵エリアの外秩父山地にある皇鈴山を歩いてきました。春の時期は山肌がヤマツツジと新緑の木々に覆われ、心行くまで森林浴と花見を楽しめる山で、標高は679mとなります。
今回皇鈴山を目指し粥新田峠への路から波久礼駅まで歩いたことで、堂平山から大霧山、皇鈴山から波久礼駅へと続く一連の稜線をすべてつなげることが出来ました。
5月初旬、標高が低い皇鈴山登山は暖かい空気に包まれ花や緑が盛りを迎えます。秩父高原牧場でソフトクリームを楽しみ、動物たちと戯れた後は花見登山。そして最後は意外な観光名所「風のみち」を楽しむということで地味に見えて見どころ沢山な春の埼玉ハイキングの始まりです。

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GWに遠出が出来ない、そんな時にも楽しめる花見、アイス、観光がそろった近場ハイキング!

目次

皇鈴山日帰り縦走登山の概要

■概要
小川町を起点としてイーグルバスで山中へ向かい、橋場バス停から粥新田峠方面へ進み秩父高原牧場を訪れてから登山を開始するコースになります。秩父高原牧場に向かうまでは車道歩きが続きますが、それが嫌な場合は打出バス停から二本木峠へ直接登るというコース選択も可能です。
当ブログ的には高原牧場のアイスと牛乳を飲みたいなら粥新田峠方面からの縦走。車道歩きが嫌だし花だけ楽しみたいなら二本木峠から、という感じです。
二本木峠からはオフロードバイクも走るような賑わう登山道を歩いて皇鈴山へ向かいます。登谷山までは一本道ですが釜伏山からは下山ルートがいくつも分岐するので、降りたい駅を目指してください。
今回は風のみち歩道という風光明媚な観光地を歩きたかったので波久礼駅を目指します。

■アクセス
小川町をスタートして波久礼駅へ向かうため、公共交通機関アクセスとなります。
【電車】南浦和→北朝霞:JR武蔵野線で230円~
【電車】朝霞台→小川町:東武線で670円~
【バス】小川町→橋場:イーグルバスで510円~
【電車】波久礼→熊谷:秩父鉄道で750円~
【電車】熊谷→大宮:JR高崎線で690円~
合計運賃 約2,900円~、埼玉のド田舎秩父鉄道沿いを楽しめるけど比較的お安く歩けます、良い。

■コースタイム
橋場バス停7:45→秩父高原牧場8:50→愛宕山9:45→皇鈴山10:20→登谷山10:40→釜伏山11:25→風の道入口12:15→波久礼駅13:00
合計登山時間 約5時間半、5月に低山を歩く上ではかなり長い工程です。

秩父高原牧場のアイスを求めて

2024年5月4日小川町駅前、午前7時15分。
おはようございます、Redsugarでございます。早朝の南浦和駅から武蔵野線に揺られ、朝霞台から小川町へとやってきました。小川町駅と言えばイーグルバス、東秩父山地は大霧山、堂平山等へ連れて行ってくれます。
本日はヤマツツジ満開の二本木峠へ向かうのですが、粥仁田峠の分岐から秩父高原牧場へ行けば今まで歩いた登山道と道が一本につながるじゃーん、ということで橋場バス停スタートで登山を行いたいと思います。

午前7時45分、橋場バス停。
晴れた日の朝、登山口を経由するバスというのは大体登山者が乗っているものです。イーグルバス車内には数人の登山者が乗り合わせていましたが、橋場で下車したのは僕だけ……。静かな登山スタートということで、ここから波久礼駅を目指して歩きます。

以前も歩いた道ですが、登山の中で信仰とそれが及ぼす集落の生活様式に興味がわき知識をつけていると、見えてくる景色も変わってきます。前は庚申塔なんて気にも留めなかったけど、里山を歩く中で庚申塔や山神を見つけると撮影しながらいつ作られたものなのかを読み解きたくなってしまいました。

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庚申信仰は平たく言うとですね、悪いことしてると夜に身体から天に上る虫が這い出て、天にいる神様に宿主の悪事を報告する。すると神様は宿主の寿命を縮めてしまう、しかし夜通し起きていれば虫が起きないので庚申の日には不眠でお祭りをしたりする。そんな風習なのですが、近代のいわゆる自治会の方々の寄り合い等にもつながっていたりして「みんなで集まって話す理由」の一つになっていたようです。

粥仁田峠方面へ車道を登ます、5月頭ということで標高の低い奥武蔵エリアは新緑の盛り。萌黄色が優しいというよりは激しい勢いをもって山肌を染め上げています。

車道脇に登山者用の道があります。夏になると草が生い茂って歩けたもんじゃなさそうですが、5月はまだ樹勢も弱く歩けます。

シダが十分に育ち巨大な葉を空に向かって広げ、春を迎えた草が杉の植林地帯を埋めるように競って育つ。その間を縫うように登っていく……ここは正直車道を歩き続けてもいいかも、蜘蛛の巣も多いし結構不快!

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私さっき樹勢も弱く歩けるといいましたけど、前言撤回します。

登山道を抜け、空地へ出た後は結局また車道へ戻ることになります。

グネグネと曲がりくねった山道沿いに立派な馬頭観音の石碑。牧場も近くにあることだし、亡くなった馬たちを弔う石碑なんだろうか。(文字だけが書かれた馬頭観音碑は供養のために建てられたものがある)

さらに歩みを進めると不思議な形の石仏を発見。野菜無人販売所のお隣に3体並んだお地蔵様の一つは石を直接彫り込んだような形をしています。お地蔵さまというよりは……岩男っていう感じ。

お地蔵さんが3体並んだ写真の左手側へと進み、車道をさらに上り詰めると秩父高原牧場の入り口へとやってきます。真赤なヤマツツジが旺盛に咲き誇るカーブを超えると一つ目の牧場が登場。

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しかしだ、ここまでずーっと車道歩きが続いて……飽きてきた。このコースはよほどソフトクリームを食べたいという理由がなければ二本木峠直通コースで登って、二本木峠から少し戻って高原牧場行ったほうがいい気がする。

沿道に植えられたツツジの花は満開です。その向こう側に牧場の草で朝食をとる牛たちが見えます。

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ここだけ北海道みたいな景色で良い。ちょっとだけナイタイ高原っぽい!

午前8時50分、秩父高原牧場。
午前9時前だというのに……ミルクハウスはやってました!!観光客の方々も朝早くから訪れていて、朝9時にもかかわらずソフトクリームと牛乳が飛ぶように売れているミルクハウス。
ソフトクリームは牧場仕込みの生クリーム感にあふれた本格派、ソフトクリームを食べた後に瓶牛乳をいただきました。登山はまだ前半なので後半おなかを壊さないことを祈る。

高原牧場は無料で動物と触れ合えるので、朝9時なんだけどたくさんのお客さんが子ヤギたちと戯れていました。僕も子ヤギを撫でてみたけど暖かくて気持ちよい……子ヤギはベロベロされても痛くないんですよね。
手を洗う場所も完備されているので、心行くまで動物たちと戯れることができます。

牧場の隣にあるモーモーハウスではビジターセンター的な体験もできます。お庭にはネモフィラの花がびっしり、5月にネモフィラを見れると季節を追っている感が出て良いですね。

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ひたちなか海浜公園に行きたくなった、サイダー味だったネモフィラソフトクリームを食べたいなぁ。

ネモフィラ以外にも満開のツツジを楽しめたり、本格的な登山道が始まる前にすでに花見は十分楽しんだ感がある。ここまでの道のり、実際に車道を歩くと本当に長く感じた……。

しかし、秩父高原牧場から先も車道は続く。尾根沿いに曲がりくねった車道は続き、スカンポの若芽でもかじって目を覚まさない事には耐えられないというか、あまり楽しくない道が続くのであった。

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スカンポの若芽はすっぱくて目が覚めます。レモンの代用品みたいなもん。

ヤマツツジ満開の皇鈴山

秩父高原牧場から車道を歩き続け、程なくして二本木峠へ到着。山の中の新緑の中からすでに赤い花が見えています。

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どうやら当たり年だったらしい、当たり年のツツジは本当に一面が花で染まって良いですよ。

二本木峠からようやく本格的な登山道がスタートといった感じ。登山道わきのツツジの木はどれも花盛りといった状態です、今回のコース全体で見ても二本木峠から皇鈴山までの区間が最もツツジが美しい所となります。

午前9時45分、愛宕山。
秩父高原牧場から1時間ほどで皇鈴山の手前にある愛宕山へ到着しました。この山の周辺は公園地帯になっていて、二本木峠付近に車を停めて散策しに来ている方々を見かけました。ヤマツツジの名所ということで観光に来る方が意外に居るらしい……。

山中には何本もの道が走っていて、ヤマツツジを楽しむためにぐるぐると登ったり下ったりできます。見ごたえのある1本を探して歩きまわってみてほしい。

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新緑の緑にヤマツツジのピンクがよく合うぜ……。

ヤマツツジを見に来た登山客も多く、このコースでは一番登山らしい場所がこの愛宕山周辺。ツツジを楽しむならここは奥武蔵では随一お勧めできる。

登山道は平たんで横幅も広く、ハイキングコースというに相応しい道が続きます。軽快に進むことが出来るので非常に気持ちがいい……。

愛宕山から少しだけ登って本日の最高峰皇鈴山に到着です。皇鈴山は眺望が良いことと……山頂に特徴的なものが置いてあることで有名な山になります。

午前10時20分、皇鈴山。
皇鈴山といえばピンクのポストなんです。これは本当のポストとしては使えなくて、環境整備の支援金を集める募金箱のような役割をしています。協力金は200円とかだったはず……。このかわいいポストと青空を一緒に撮影するのが皇鈴山らしさ、というわけらしい。

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登る前は皇鈴山(みすずやま)という名前とピンクのポストという頓珍漢な組み合わせに「みすず学園」かよ、と突っ込みを入れたい気持ちだった。山頂に到着して改めて思ったけど……みすず学園みたいな変な感じがする。

皇鈴山山頂は眺望がよく山も谷も無い埼玉の平たんな景色を思う存分楽しむことが出来ます……、埼玉って本当に平たい。

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春の空は本当に霞んでいるし、光の色が凄く暖かいから写真を撮影するのが難しいなぁと思う。

風のみちを歩き波久礼駅を目指す

午前10時40分、登谷山。
このルートといえば……「テイ・エス・テック提供でお送りいたします」な森かなと思う。登谷山手前で出てくる看板ですが、よくある看板案だけど不思議と気になる。どんな起業かと思って調べてみると四輪車や二輪車用シートを中心とした自動車内装の開発と生産をしているらしい。主な受注機種にはHONDAのステップワゴンからシビック、果ては川崎のH2と幅が広い。

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登谷山に関してはですね、特に何もありません。ただここの登山道はオフロードバイクが走ってきたりするので、気を付けてね!!

登谷山からは一度郷道へと降りて釜伏山を目指すことになります。道中の山桜がお団子のように咲いていました、桜餅の横に添えたりしたいね。

道中目立つのは山肌に建築されたメガソーラー施設です。登山をしているとソーラーを見かけることが多くなったけど、国土の7割が山林に覆われた日本の環境はソーラーに適応しているのか疑問に思う。表面に降り積もる黄砂、花粉といったものも多いし多雨なこともあり、部品の老朽化も乾燥している国に比べたら早そうだし……。

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SF好きとしてはメガフロートでの発電や、レクテナでの発電が実現すればいいのになぁと思う。

登谷山をから釜伏山へ向かうと釜山神社の境内へと入ります。釜伏山は神社の境内から登るので、神社の参道を進んでください。

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埼玉といえばお犬様、狛犬がちゃんとオオカミになっています。

山中にある釜山神社は立派なお堂を持っているため、思わず参拝したくなります。ちなみに今回のコースを設計する際に目に入るであろう地名「粥新田峠」や「釜伏山」、そして「日本水」といったものは日本武尊に関係しているというお話があります。
粥新田峠は日本武尊が東征の際、粥を煮た場所。釜伏山は山頂にて神に供える粥を釜で炊き、釜を神体岩に伏せて願望成就の祈りを行ったから。日本水は喉が渇いた日本武尊が岩に剣を突き立てたら水が湧き出したという伝説から。
二本木峠は日本武尊が地面に突き刺した二本のお箸が木になったから……などなど。

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ちなみに話の主人公が日本武尊版と大太坊版の二つがある。でもま、どれもこの奥武蔵の山奥でお粥を作って、釜を伏せたり、箸を地面に突き刺したっていう感じ。

釜山神社の境内には杉の巨木による回廊が出来上がり、そちらを登って奥の院がある山頂を目指します。

道中には目印が完備されています。日本水方面には本日は行きません、源泉付近は崩落の危険性があるので立ち入り禁止となっているから。

午前11時25分、釜伏山。
釜伏山の山頂には石造りの立派な奥社が鎮座しています。ここから先で明らかになるのですが釜伏山は全山が蛇紋岩で出来ています。あの濡れるとツルツルになる、登山者にとっては歩くのに苦労する蛇紋岩です。
釜伏山の周囲が結晶片岩で風化浸食されやすい岩石だったのですが、それらは長い年月をかけて浸食されてしまい蛇紋岩が残ったのだとか。
山の西側には蛇灰岩(蛇紋岩に白い方解石が入ったもの)の採掘場もあるそうです。

釜伏山の石質の案内を見た後だと、山々の岩の見えが変わります。特に蛇灰岩に含まれる方解石が目に付きます。方解石はいわゆる大理石みたいなもので、岩の中に白い宝石のほうな結晶がキラキラと顔をのぞかせてくれます。

波久礼駅へ向かうコースは巨大な岩肌を眺めながら下山していきます。

林道を降っていくとガチキャンパーの作り上げたくつろぎの場が……。私有地じゃなければ野営できるんだろうか?
それにしても見事なくつろぎ場の設営ですね……。

林道を降りきると本日最後の見どころとなる「風のみち」の入り口に到着します。風のみちっていうのは林野庁から水源の森百選に選定された「日本水の森」に親しんでもらうために風布川沿いに整備された遊歩道です。
釜伏山方面から下山した場合は「日本の里」という施設の裏手から風のみちへ入っていくことになります。

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訪れてびっくりしたのですが、埼玉県は皆野の隠れ観光地というか家族で川で遊べる秘密の場所的な雰囲気がありました。渓流では足を川に入れて生き物を探す親子連れが楽しそうに遊んでる……!

午後12時15分、風の道入口。
風布川の渓流を眺めながら森を進むと現れるのが風のみち歩道です。ここからは上り下りはほとんどなく、自然と触れ合うのんびり遊歩道歩きが始まります。

水源の森に選定されているだけはあって、確かに森が綺麗です。山奥っていうわけでもないのに綺麗な森の空気、雰囲気を味わえるのは良いなぁ……。

川を渡る飛び石があったりアスレチック感も良い所です、大人でも気持ちが昂るのだから喜ぶ子供も多いかもなぁ……。

道中には「風の音を聞ける」ということで竹を加工した鳴り物がぶら下がった道が続きます。

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風がないので自然な音は聞けませんでした。指で押したらカランカラン聞けたけども。

午後1時00分、波久礼駅。
風のみちを歩くこと30分くらいでしょうか、荒川にかかる大きな橋を渡り波久礼駅へ到着しました。秩父鉄道らしい時代を感じさせる駅舎です。ちなみに秩父、皆野を流れるこの川が東京と埼玉を隔てるあの荒川と一致する人はどれくらいいるんだろうか……。

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荒川の水源は甲武信ヶ岳。水は秩父市内へと降り東秩父山地をぐるりと回りこんで熊谷へ到着し、そこから南へ流れを変えて東京湾へ向かいます。

波久礼駅前の手打ちうどんが食べたかったのですが、一時間に多くて二本しか電車がない波久礼駅。
13時の電車がすぐに来るということだったので、そちらで家路につくことにしました。

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ゆっくりしていけばいいのにーと思った読者に説明しよう。埼玉県というのは南北に移動するのは非常にスムーズだが、東西のつながりが非常に弱く、移動にも時間がかかる。映画「翔んで埼玉2」でも武蔵野線が話に大きくかかわるくらい東西の移動は「キツイ」のだ。特に県北を走る秩父鉄道は熊谷から秩父まで44kmで1時間半くらいかかったりする、熊谷から大宮までの34kmは30分で行けるというのに。13時発の波久礼駅出発の電車に乗っても熊谷の到着は約14時、そこから大宮、自宅となると15時を越えてしまうのだ。

そんなわけで13時台の電車に飛び乗り、熊谷まで本を読んだり気絶するように寝たりを繰り返しながらさいたま市へと帰るのでした……。苦行に近い車道歩きから始まり、濃厚アイスクリーム、ヤマツツジ百花繚乱、日本水へ続く水源の森と盛りだくさんな奥武蔵ハイキングでしたとさ。

ツツジの季節に歩く皇鈴山、高原牧場のアイスから波久礼駅まで歩けば充実のロングコースに!
奥武蔵の良い所は低山ながら見どころが多い所じゃないでしょうか。牧場を満喫した後はツツジを満喫し、そのあとは山歩きを楽しみながら綺麗な渓流沿いに整備された遊歩道を楽しく歩ける……。入山地点が豊富で、山々を繋いで歩くことで色々なものを見ることが出来るという奥武蔵エリアの良さが詰まったコースに思えます。
GW付近ともなると関東の登山者は奥武蔵よりは遠くの山に行きがちなのか、当コースは人も少なく静かな山歩きを心行くまで楽しむことが出来ました。
GWに遠出する予定がない、近場でハイキングを楽しみたいということであれば、食と花と観光が楽しめるこのコースは本当におすすめです。
人生最高の山は続く。

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