2024年3月16日、神奈川県は丹沢にあるミツマタの名勝「ミツバ岳」を歩いてきました。
かつて和紙の材料としてミツマタを出荷していたこともある山北町三保地区で、地域をミツマタの里にしようという活動がありますが、その出発点となったのが今回歩く標高834mのミツバ岳になります。
私有地となるのですが、ミツマタの群落が評判を呼び登山道が作られて行ったという経緯があります。
3月はミツマタの花がちょうど見ごろを迎える時期、中旬となると少し早いのですがミツバ岳のミツマタの開花状況はどんなものか?富士山とミツマタのコラボレーションを楽しむために丹沢を訪れることにしました。
花の山を登り、下山後は現地の温泉を楽しみ、最後は中沢酒造さんで季節の新酒を楽しむ旬の花を楽しむ早春の登山をお楽しみください。

丹沢エリアの出発点、新松田と言えば地酒!ご飯とお酒に恵まれた丹沢を楽しむぞ!
ミツバ岳日帰り登山の概要
ミツマタが咲く杉林を登り山頂を目指す






午前8時40分、浅瀬入口バス停。
おはようございます、Redsugarでございます。久々の丹沢にやってまいりました、1月の鍋割山+蝋梅の花の後はすぐにミツマタの季節がやってきちゃったね……。ミツマタの名勝地はいろいろありますが、定番のミツバ岳に登ったことがない!ということで西丹沢の入り口の丹沢湖前のバス停へ。



西丹沢行きのバス亭に書いてあるFujiQの文字がかわいいぜ。


浅瀬入口というバス停ですが、丹沢湖バス停のすぐ近く。少し道を戻ると御覧のように丹沢湖が目の前にバーンと広がる景色を楽しめます。


丹沢湖を生み出した三保ダムが完成したのは半世紀ほど前、1978年となるのでこの景色自体は新しいものです。
西丹沢の酒匂川水系の川(玄倉川、世附川、中川)が流れ込んでいます。丹沢を歩いていると蛭ヶ岳方面に源流を持つ玄倉川と加入道山方面に源流を持つ中川はよく聞くのではないでしょうか?
ダムに向かって木々の生い茂る山肌が突き刺さるように降りていきます、ダム湖って周囲の山肌を見ると結構特徴があるんだなと最近気が付きました。



昔からある湖と違ってダム湖の多くは周囲の山肌がとても急峻。
目の前にある水面は50年前は存在などしていなかったもんなぁ……。


丹沢湖の観光はほどほどに、ミツバ岳の登山口へ向かいましょう。浅瀬入口からは隧道を通って世附(よづく)の奥地にある登山口を目指します。


トンネルを抜け落石防止のロックシェッドへさしかかると立派なグラフィティが壁に描かれていました。結構上手に見えるけど、なんでこんな山奥に……。



深夜に山奥までやってきて描いたんかなぁ??車道のすぐそばだから描くのめっちゃ怖かったんじゃないかな。
日本国内だとグラフィティが合法な場所って少ないんですよね、美大にいた頃は木の板に書いては消している同級生とかが居たので忌避感はないのですが、自治体が許可した場所以外で描くのはダメだと思うな……。


登山口に近づくと大きな滝が出現します、これを撮影している場所が「滝壺橋」というそのまんまなネーミング。
しかしよく見ると立派な滝です。数段のお釜を持っていて流れも良い、場所が場所なら観光名所だったろうに。



滝の周辺は落葉広葉樹みたいだから、紅葉の季節は撮影を楽しむ人で盛り上がりそうだね。


午前9時20分、ミツバ岳登山口。
滝壺橋のお隣にミツバ岳登山口がありますが、入り口は手作りのかわいい奴。



小さいので見逃さないようにね






登山口から先は圧倒的な杉林が広がります。かなり人の手が入っているようで、枝は綺麗に落とされているし道は明瞭。聞いてた話と違ってすごくきれいな登山道が続きます。嬉しいことに登山口からすぐのところにすでに開花したミツマタが沢山咲いていました。


日当たりのいい斜面のミツマタは黄色いボンボンのような花を咲かせ、心地よい香りをあたりに漂わせています。
花粉が多そうな杉林ですが、意外なことにその真下では花粉をそんなに感じない。


一緒にバスを降りた多くの登山者がミツマタを楽しみながら山歩きを楽しんでいます。


ミツマタの中央部がまだ開花してない……、標高が低く暖かい場所でこの状況だともしかしたら山頂はまだ開花してないかも。そんな不安がよぎります。でもまぁここでミツマタ見れたから山頂でだめでもいいや、そんな気分になってきた。



登山は細かいこと言わないでアバウトにフィーリングで楽しんだほうがいいです、人間ではどうにもならない自然相手に厳密さを求めると心が荒れます。


杉林が終わると素っ裸になった落葉広葉樹が織り成すトリックアートみたいな山肌へ。乾燥した時期ということもあるんですが、足元がぱさぱさで逆に滑るから困る。


山頂に近づいてくるとブナの木も現れます。ずっと杉林だと薄暗い道を歩き続けるので気分が沈むところだけど、こうして明るい道が続いてくれてうれしいぜ。


尾根に上がると稜線を境目に年季の入った巨大な杉が林立する林が現れます。木材として完璧なレベルの杉に見える。
ちなみにミツマタの花は中腹以降全く見られなくなりました、ど……どこに行ったんだミツマタ!?
富士山を望むミツマタ畑




午前10時40分、ミツバ岳山頂。
その後少し歩いてみたら山頂に到着してしまいました。
山頂には大きなミツマタの木々が点在しているのですが、少し早かったようで2分咲きといった感じ。
早すぎたんだッ!と思いながらも日当たりの良い場所にはいくつか満開の株があり、そこからは冠雪した富士山が良く見えました。



なんとかミツマタと富士山を合わせて楽しめました。これはギリギリセーフじゃないだろうか?満開の時期であればもっと黄金色に輝く花々と富士山が見れたのかもしれない。




午前11時50分、権現岳山頂。
ミツバ岳からは世附権現岳へ縦走する形になります。冬枯れしたブナ林に覆われた尾根道を北へ向かいますが、確かに一部道が不明瞭な場所があり、目に頼るとあまり良くないかもしれないです。足元が踏み固められていない場所へはみ出たら要注意、GPSがあると間違いないでしょう。



世附権現岳の山頂地点では逆ルートで歩いている登山客の方々がお昼休憩を楽しんでいました。確かにルート的には逆走して後半にミツマタを持ってきてもいいかもしれない。でもお風呂に入りたいなら北上ルートがおすすめかなぁ。






世附権現岳からは二本杉峠へと向かい、中川へと降りることになりますが結構崩落してしまった場所が多く、ヒヤッとするようなことも。山肌が抉れ雨で磨かれたウォータースライダーのような崖が登山道わきに現れます。


午後12時35分、細川橋分岐。
痩せた尾根に肝を冷やしながら木柱の指導標がある場所まで下山したらあとは安全です。
細川橋バス停があるのはこの看板でいう上ノ原登山口の近く、残り2.6km!


上ノ原登山口に向かって下山していくと、シカの食害を防ぐために丁寧に防護布をつけられた杉林が現れます。このエリアの杉林は人の手がしっかりと入ってるみたいですね。杉林というよりは杉畑というような景色が斜面一帯に広がります。






杉林を降っていくと再びミツマタの群生地帯が現れます。ミツバ岳~世附権現岳縦走の良い所は山頂のミツマタがダメだとしても、麓に行けば往路復路どちらにもミツマタの群生があることです。こちらはしっかりと花が咲いていて見ごろの株がいくつか見られました。


ミツマタの群生地を探すと全国的に杉林とセットになっていることが多く「美杉とミツマタ」というのが定番のようです。







咲き誇るミツマタの花を思う存分堪能できました……、今年もミツマタの甘い香りを鼻に刻めました。


上ノ原登山口へと向かう下山の路、堰堤近くにもミツマタが自生しているのですが満開だぁ……。日当たりがよく暖かい麓と、気温が低い山頂でこんなにも開花の時期が違うのか。


砂利道の林道に出たらほどなくしてバス停。だけども今日はバス停の奥にある中川温泉へ向かいます。




午後1時50分、中川温泉案内所。
林道から川沿いの主要道路に出たら中川温泉案内所でもある一茶さんを目指します。窓から見えるのは大量の招き猫の背中、調べるに来店したお客さんが猫の置物を置いていき、それがこの窓際の景色を構成しているらしい。






一茶さんから川へ下るように道を降りて行った先にSPRINGS VILLAGE 足柄・丹沢温泉リゾート&グランピングという施設があります。以前訪れたときは別の名前だった気がする?
24年時点では日帰り入浴が可能な施設で、西丹沢の下山後のお風呂の選択肢がブナの湯にこちらの温泉が追加された形になります。



温泉は貸し切り状態で静かな時間の中で湯船を楽しめました……。バスの本数が多いわけじゃないので、ゆっくりとお風呂を楽しめて良いですね。






バスに乗って新松田へと帰った後は前から行きたかったお店だった「丸七」へ。このお店は東京にも店舗があるので珍しくは無いんだけど、登山後の空腹を満たすにはちょうど良いボリュームのカツ丼があります。
ただー、アルコールの品ぞろえは少し弱いので、お酒と食を楽しみたい場合は別のお店がいいかもしれない。



僕は滅茶苦茶ご飯をたくさん食べるので、居酒屋ではなくこういうお店に行かないと破産してしまうということもあり、下山後はご飯物中心と決めています。


丸七さんでご飯を食べた後はロマンス通りを駅に少し戻る途中にある中沢屋酒店に立ち寄り新酒を購入。
春の時期に出るこちらのお酒を自分のお土産として購入しました。松みどりが有名な中沢酒造さんですが、新松田を利用する登山の際には立ち寄るのをお勧めします、駅近だからね。


ミツバ岳でミツマタを楽しんだ後、中川温泉、とんかつ、新酒と色々楽しんだら充実の一日になってしまいました。
海が近い丹沢エリアは下山後の楽しみの幅が広いなと思います。新松田は旅先として魅力的な栄え方をしていて本当に楽しいと思える場所でした。


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