【東北】八甲田山、酸ヶ湯温泉から歩く大岳と花盛りの毛無岱湿原

赤倉岳方面から見下ろす大岳ヒュッテ

2022年6月18日、本州最北端は青森県にある「八甲田山」を歩いてきました!
標高は大岳の1,585mですがその周囲は大小さまざまな山々が連なる山岳地帯。何よりも美しい湿原が広がり夏は花、秋は紅葉、冬は樹氷と登山者を魅了する名山です。
本州最北端ということでアクセスが厳しそうに見える八甲田山ですが、東日本……とくに関東勢には朗報なことに。
現代の発展した交通システムの恩恵を受け夜行バス、新幹線による快適な登山が約束された山でもあるのです。
1泊の余裕がある方々には新幹線と酸ヶ湯温泉の合わせ技が、日帰りであれば夜行バスと新幹線を組み合わせることで酸ヶ湯温泉から仙人岱から大岳、毛無岱と周回コースを堪能して関東へと帰還することが出来るのです。

今回の記事は初夏……、花々に彩られるグリーンシーズンの八甲田山を楽しみます。
広大な森林限界に広がる高層湿原、そこに広がる花々の絨毯。そしてそこに至るまでに見ることが出来る火山が生み出す荒々しい景色。下山後は秘湯酸ヶ湯温泉の千人風呂や日本一美味しいお水と豪語する湧水を堪能します。

交通アクセスは夜行バス利用の0泊1日の日帰り登山。仕事が忙しいんだ、家族の都合で泊まれない、といった人々の山行になればいいかなと思います。公共交通機関を乗り継げば、関東から八甲田山にだって行けるのです。

redsugar

忙しい人の息抜きにお勧めしたい本州最北端。夏の八甲田山は優しさに満ち溢れた北東北の名山でした。秋田駒ヶ岳、岩手山、八甲田山と北東北には良い山しかねぇな!!

目次

八甲田山日帰り登山の詳細

■概要
はい、お忙しい30代の人は最初にこの概要を見ましょう。
時間に余裕がある20代は読み飛ばして本文行ってもいいぞ。
仕事が忙しかったり、家庭の都合で中々まとまった時間が取れない、かろうじて夜19時から翌日の寝かしつけまでに帰るならOKといった24時間をゲットすることに専念していたRedsugarです。
今回は夜行バスを利用した八甲田山0泊1日という登山を決行します。この夜行バスプラン、ちょっとテクニカルな部分もあり、コロナが明けた2023年以降も夜行バスの時間と酸ヶ湯温泉へと向かうバスの時間とにらめっこする必要があります。
アクセスの問題をクリアさえできたら、酸ヶ湯温泉を起点とした周回登山を楽しむことが可能になります。
八甲田山を歩くときは反時計回りがお勧め、酸ヶ湯温泉→仙人岱→小岳→大岳→井戸岳→毛無岱→酸ヶ湯温泉といった形で歩ければいいかなと。大岳周辺のビューポイントは上記で殆どカバーすることが可能です。

下山後は酸ヶ湯温泉で千人風呂に入るのがお勧めです、風呂を出たら売店で生ビールとソフトクリーム。これをキメるころには新青森駅へと帰るためのバスがやってくる時刻になるはずです。

■アクセス
八甲田山へのアクセスですが、「夜行バスの時間」と「酸ヶ湯へ向かうバスの運行時刻」が毎年変わります。
なので、このアクセスを参考に自分で調べてみてください。
2022年当時のアクセス状況。
【バス】新宿→弘前 ニューノクターン号使用(7,500円~11,000円)
【電車】弘前→青森 680円
【バス】青森→酸ヶ湯 1,360円
【バス】酸ヶ湯→新青森 1,360円
【新幹線】新青森→大宮 16,000円
合計運賃 約27,000円~35,000円の間位。
日帰りで約3万円近くのアクセスは悩むかもしれない、だが相手は本州最北端である。普通にこれくらいはかかる。このアクセスの重要なところは酸ヶ湯温泉行のみずうみ号始発(大体午前8時出発)に乗るために、夜行バスであえて弘前に向かう所である。決行時点では青森に午前8時前到着のバス会社は1社のみで予約が非常に難しかった。
その点で弘前に6時台に到着するバスはいくつか本数があることと、ローカル電車にも乗れちゃう利点がありお勧めである、旅情があるぞ!

■コースタイム
弘前駅6:30→青森駅7:45→酸ヶ湯温泉登山口9:30→仙人岱11:00→小岳11:30→大岳12:30→大岳避難小屋13:00→井戸岳13:15→上毛無岱13:45→下毛無岱14:20→酸ヶ湯温泉14:50-15:45→新青森17:40
合計登山時間 約5時間30分 初夏の八甲田山は夜行バス周回が快適でした。

旅情溢れる夜行バスで酸ヶ湯温泉へ

弘前行夜行バス車内

2022年6月18日午前6時15分、弘前行夜行バス車内。
おはよう諸君、Redsugarである。
時刻は6時15分……、なに?写真に書いてあるだろって?そうだよ夜行バス車内で前日写真撮り忘れたので弘前到着前に撮影したよ!

というわけで、前日バスタ新宿から弘前へと向かうニューノクターン号に乗車しまして、青森県は弘前市を目指してバスは走行中でございます。ニューノクターン号ですが、3列シートで余裕がある車内ということもあり少しお高めの料金設定、だけどおかげで良ーく寝れました。

redsugar

久々の百名山、そしてRedsugar的には東北エリア最後の一座ということで大興奮している。

午前6時40分、弘前駅前。
リンゴの名産地たる青森県、弘前駅前に降り立ったらさっそくリンゴ色のまちというイカれたしたご挨拶が目に飛び込んできた。人も疎らな早朝の弘前駅前を彷徨い、青森行の電車に乗車するためにとにかく急いで移動する。

青森といえばリンゴ

巨大なリンゴのオブジェやねぶたを横目にとにかく改札に向かって走る走る……。
夜行バスアクセスの場合は大体すこし早く到着するから良いんだけど、22年時点ではこの夜行バスと青森行の電車の接続時間は25分。十分な余裕があるといえるが、コンビニ寄ったりトイレ行ったりリンゴのオブジェの写真を撮っていたら一瞬で過ぎ去ってしまう。

午前7時5分、青森行電車乗車。
改札で切符を購入し青森県を南北に走る奥羽本線に乗車。この電車……奥羽本線ということで車両も多くどこぞの北関東の電車よりも全然立派であった。Redsugar的には北海道よりも青森が田舎だろうとバカにしていたのだが、青森は通学で電車を利用するという時点で電車が走ってない十勝のド田舎出身のRedsugarは敗北したのである、悔しい。

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車窓からは岩木山が見える……、あたり一面田んぼの上にドーンと目立つ岩木山。そりゃ津軽富士言いますわ。

青森といえばねぶた

午前7時45分、青森駅到着。
青森駅に到着したら金太郎が迎えてくれた、ねぶたの定番なイメージだなこれ……。
さて、酸ヶ湯温泉に向かうための路線バス「みずうみ号」に乗車するためには新青森ではなく青森駅である必要があります、だから夜行バスで弘前に向かってから電車で青森に来たのです。
みずうみ号の発車時刻は大体8時、奥羽本線は7時50分前には到着しているので接続が可能です。

11番乗り場から発車するみずうみ号に乗車するために発券機でチケットを購入。
22年はコロナの影響がまだうっすら残っていたこともあり、みずうみ号の本数が従来とは違ったのですが、往路のアクセスは22年以降も大体この午前8時付近になっています。

午前8時10分、酸ヶ湯温泉行バス出発。
夜行バスと電車を組み合わせた八甲田山日帰り、僕が思いつくのだから他にも何人か登山者がいるのではないかと思っていたのですが……意外に居なかった。みずうみ号には温泉目当ての観光客の方々が乗り込んでいました。
八甲田山へ向かって走り出したバスが向かう先ではすでに良い景色が……、ていうか標高低いのに森林限界みたいな草原が広がるのは豪雪地帯ならではの景色。

みずうみ号ですが、途中「かやの茶屋」というお店でトイレ休憩を入れてくれます。酸ヶ湯温泉が運営するお店らしくお土産、お茶、ソフトクリームといった品々を楽しむことが出来ます。Redsugarにとってソフトクリームは下山後の儀式なので、往路では食べません(お腹痛くなったら困るしね)
ここではあたたか~いお茶をいただくだけにしました。

redsugar心の声

あぁ、ソフトクリーム!ソフトクリーム!!ソフトクリーム!!!食べたい!!!!

酸ヶ湯温泉

午前9時30分、酸ヶ湯温泉。
青森駅から1時間ほどで酸ヶ湯温泉に到着しました。千人風呂で有名なこの温泉、数日間で何度もお湯に浸かる湯治を行う方々もいるのか駐車場は非常に賑わっていました。八甲田山登山としてはここがベースの基地になります。

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湯治をする場合は1日に3回~5回、20分ほどの入浴を2時間おきに繰り返すということをするらしい。10日くらいそれをやってみたいなぁ……、お湯が強すぎて皮膚が負けるかもしれないが。

八甲田山登山のおすすめは仙人岱から大岳、大岳から毛無岱へと向かう反時計回りです。見所が最後までやってくるのでお勧め。写真の位置、八甲田山登山口という言葉と共に何か凄いことが書いてある柱がありますね?

日本山脈縦走路起点

日本山脈縦走路起点
八甲田山を起点として山口県の秋吉台までを繋ぐ……ということだが、実際は読売新聞が行った事業で八甲田と秋吉台からそれぞれの登山隊が出発時45日後に富士山で合流するという縦走だったらしい。新聞社主催のイベントと聞くと箱根駅伝みたいに感じるな。

火山の息吹と仙人岱

酸ヶ湯からの往路

酸ヶ湯をスタートすると早速小気味よい木製階段の道を登っていきます。この辺、登山のスタートっていう感じがしていい。というか夜行バスを乗り継いでようやくたどり着いた八甲田山、早く歩きだしたくてたまんない状況だったので前に前にと足が進む。

火山ガスで枯れた木々

すぐに表れるのが立ち枯れした木々が現れるこちらのスポット。火山性のガスの影響で木々が枯れてしまった状況。
八甲田山は生きている火山故に、火山ガスの影響で植物が生きていけないような場所があったりするんですねぇ。

新緑の森を抜ける

火山ガスエリアから先は中くらいの石がゴロゴロと転がった登山道を進みます、緩やかな斜度の道が小気味よい。
さらに新緑の光が身体を満たしてくる……歩くパワーがどんどん充填されますね。

笹竹を採取するおばあさん

道中おばあちゃんたちが籠を背負って何やら談笑、咄嗟に何を取ってるんですかー?と聞くと立派なチシマザサでした。東北では定番の山菜ですね、これアクが無くてお味噌汁に入れるだけでめちゃくちゃ美味しいんですよね。
色々な山菜を食べて育ったRedsugarですが、内地の定番山菜で何が好きと言われるとチシマザサです。

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これは本当にうまい、春にこのチシマザサを採取できる場所が身近にあるのは本当にうらやましい。

道中のつつじ

新緑が素晴らしいということはつつじの花もあるということ。6月の八甲田山はチングルマを期待して歩く場所ですが、酸ヶ湯周辺も山の花を見ることが出来ました。

櫛ヶ峰方面

時折得られる眺望からは南八甲田山の櫛ヶ峰の姿。

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あちらはクマが結構いるっていうレコを見たんだけど、湿原の雰囲気はよさそうなので歩いてみたいな。南八甲田周回コースは結構歩き応えがありそうなんだよ。

駒ヶ嶺

南八甲田山の台地の上の湿原地帯は北東北特有の光景に感じられる。乳頭山に登った時もあんな感じの景色をたくさん見たし、北海道の大雪山縦走でも高根ヶ原があんな感じだっけ。

残雪の道を進む

雪渓が現れるようになってきたら仙人岱が近づいてきている証拠です。地獄谷から仙人岱に上がっていきますよ。

火山性の岩場を登る

雪渓を抜けるとゴロゴロした岩が谷筋を埋め尽くす地獄谷、この辺は眺望が最高に開けていて南八甲田山の眺めがよかったです。

八甲田山の登山道

南側に開けた景色、そして斜面沿いの登山道を歩く登山者とエモい景色を拝むことが出来ます。
くぅ~これこれ、この景色だよなぁ~!という思いがこみ上げてくる。すがすがしい登山の道といえばこんな感じ。
癒しだよね、心の処方箋というか心のバファリンだよなこの景色……とか言いながら進む。

地獄湯の沢を登っていくと……、怖い看板が。火山ガスの影響を受けて脆い地形になっているのかここは……なるほど。ジャバジャバ流れる水の音を聞きながら岩だらけの道を登っていくことにいたしましょう。

地獄谷の景色

地獄湯の沢は火山定番の景色が広がります。火口めいた場所を歩ける山ってそんなに多くないけど、八甲田山は火山の腹の中を歩くような場所が多くて楽しいね。

仙人岱に向かって一直線に標高を上げていきます。沢筋に沿って一直線に、男らしく標高を上げるこの道を越えると仙人岱湿原が待っている。でも、ここももったいないくらい良い景色が続く場所だからねー、急ぎ足で歩きすぎてももったいない。

雪渓を登り稜線へ

仙人岱湿原手前は残雪がたっぷり、僕はチェーンスパイクが無くても歩けるけど……苦手な人は大岳ヒュッテ手前にも大きな雪渓があるから持ってきてもいいかもしれないね。目の前に見えるトンガリ帽子のような山は小岳になります。

大岳小岳の良い景色

八甲田大岳へ向かう

仙人岱湿原ですが、ここはかなり広い湿原地帯になります。昔は花が咲き誇っていたらしいが、登山客の踏み痕の影響で植生再生状態になっているらしい。昭和の登山が残した爪痕は日本全国至る所にあるんだな……。
ここは仙人岱避難小屋があることと、飲み水の確保ができる場所でもあるので八甲田山で宿泊を考える場合は最初の選択肢になる場所かなと思います。

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新幹線を利用した1泊を考えたとき、僕は酸ヶ湯温泉ではなくこの仙人岱の小屋に宿泊することをまず考えました。撮影がはかどりそうだし、お金の節約にもなるということで。

午前11時00分、仙人岱避難小屋。
仙人岱避難小屋は老朽化が進んでいますが、中はきれいに掃除されているので僕は問題なく寝れそうだなと感じました。実際に宿泊している方もいたようです。水があるからなー、宿泊するならこっちの小屋かな?
奇麗なのは大岳ヒュッテなんだけど……。

小屋の前にはこんな感じの湧水スポットがあり、日本一美味しいと豪語する八甲田のお水を好きなだけ頂くことが出来ます。飲んだ感じ本当においしい、東北の山の水は基本美味しいんだよなぁ……。

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登山していておいしかった水場といえば、大朝日岳、焼石岳、八甲田山。東北の山々のお水はなんかすげーうまいんだよなぁ……、体質に合うんだろうかね。

水没した登山道

6月の八甲田山ですが、絶賛雪解け中……ということで仙人岱避難小屋から少し進むと登山道が!登山道が水没している!という状況に出くわしました。水深10センチくらいあったかな……ミッドカットの靴が普通に浸水する可能性があったので、登山道わきの草むらに足を突っ込みながらなんとか渡り切りました。

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ここは正直長靴が欲しくなりました、普通に川が流れてるんだもんびっくりだよ。

大岳に登る前にまず小岳に登ってみたら?ということで小岳へ向かいます。コースタイムでは登り30分、下り20分と記載されていますが、実際は15分くらいで登れたかなと……。

高田大岳

小岳に登る道中では北八甲田山では東側に位置する高田大岳の姿を見ることが出来ます。
標高1,559mで大岳に次ぐ高さを誇る高田大岳、すごくきれいな円錐状の形状をしていますね。
北八甲田の縦走ルートの一つとして高田大岳を経由して谷地温泉へ抜けるものもあり、それもまた大変魅力的なルートです、少し荒れてるらしいけど。

午前11時30分、小岳。
小岳からは東の高田大岳、西の大岳、井戸岳と八甲田山全体を見渡すことが可能です。
この小岳のおすすめは大岳を真正面に捕えれることじゃないかなと思います。6月の大岳は中腹に鳥のような残雪が浮かび上がっていてすごいかっこよかったし、火口部や北の井戸岳までの稜線もきれいに見渡すことが出来ました。

redsugar

ちょっと足を延ばして小岳に登る、これは超おすすめよ。

雪渓を登る登山者

小岳を降りたら分岐路を大岳側に。すると結構な大雪渓が現れます、中々斜度もきついので登るのも大変な場所になるのですが、ノーチェーンスパイクでも大丈夫です。キックステップをかまして確実に登っていく感じで大丈夫。

大岳の登山道

雪渓を越えると登山道わきにワイヤーでがちがちに固められた石が積み上げられた道へ、八甲田山本体はなんて整備されているのだろう……と感じざるを得ない素晴らしい道が続いています。

南八甲田を眺める

大岳本体からは南八甲田の山々がくっきり、眺望は最高です。八甲田山の中心にあると言っていい大岳は眺望も一番ナイス。この配置はすごいなと思わず思ってしまった。画面中央は硫黄岳かな、その向こう側には南八甲田の山々。
こう見ると八甲田山がいかに広く、広大な湿原地帯を有しているかがよくわかりますね。

大岳上部は火山性の岩でおおわれてるんですけど、ご丁寧に、本当にご丁寧に登山道が作られておりますので……登るのが楽です。ていうか階段続きすぎて足が痛くなりそうだ。

大岳から眺める南八甲田の眺め

木々が連なる上部登山道を登り、中腹の池を越えると山頂はすぐそこ。

八甲田大岳の火口外周部分

大岳火口の外輪部分を眺めると、その向こうには風力発電施設が見える……。

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なんというか、まるで稚内のような景色が広がってんな。

八甲田神社の祠

山頂直下には八甲田山神社奥院の祠がありました。東北の山々はこういう神社が多いのもいい所だよね。

八甲田山山頂

午後12時35分、八甲田大岳山頂。
小岳の山頂から1時間程度で大岳山頂にやってきました。八甲田山は広大に見えますが酸ヶ湯起点の周回ルートはコンパクトに見どころが詰まってるんだなぁという印象。小岳、大岳、赤倉岳と3つの山に登れちゃうんだから。
山頂部ははげ山状態で花もまばらな感じ、眺望を楽しむピークっていう感じですかね。

これにて東北エリアの百名山は終了、ようやく次の色々な面白い選択肢を楽しめる状態になった気がします。山頂部をうろうろするとまばらに咲いたチングルマ等々……。山座同定や撮影を楽しみながら八甲田山最高峰を満喫しましょう。

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八甲田山のいい所はこの後も魅力が続くところです、ようやく半分まで来たねという状態の八甲田山。少ない労力でこれだけいい景色が見れちゃうのか、そしてこの後も素晴らしい景色が続いちゃうんだな、ということで大変お勧めな東北の山なわけ。

毛無岱は花の楽園

井戸岳を目指して下山

八甲田大岳からは周回コースを辿るので毛無岱湿原を目指して北に下山します。登山者の向こうに八甲田ロープウェイの山頂駅が見えます。あちら側も最高の景色が広がっているようですね……、あちらも木道が続く湿原地帯を楽しめるらしく、歩いてみたい場所の一つ。

井戸岳と雪渓

大岳から大岳避難小屋に下山するために歩くこの雪渓地帯が八甲田山登山の最大の難所。ここはちょっと怖い!チェーンスパイクが少しほしくなりました。慣れているので難なく歩けたんだけど……こういう道慣れてない人はお守りにチェーンスパイクがあってもいいかもしれない。

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ストックと重登山靴がある状態で、晴れてさえいれば大丈夫じゃないかなぁと思うんだけど……。

午後1時00分、大岳避難小屋。
雪渓地帯を降りると大岳避難小屋に到着します。仙人岱避難小屋よりもずいぶんと新しい香りのする避難小屋です。きれいなログハウスの室内は光もきれいに差し込んでいて、寝心地は最高に良さそうに見えます。
だが、だがここの最大の弱点は水が……近くに水場が無いことなんじゃ!とは言っても仙人岱で水を汲んでからくればいいので、きれいな小屋に泊まりたいならこちらがお勧めです。

井戸岳の稜線

ここから降りてもいいんだけどまだ時間に余裕があるなぁ……と思ったRedsugarは吸い寄せられるように井戸岳、赤倉岳方面を目指して歩いてしまいました。大岳避難小屋から優雅に伸びる坂道を眺めると絶対上りたくなります、それくらい魅力的な稜線が広がっているんです。
そして、この赤倉岳と井戸岳は絶対に見ておいたほうがいい場所だと思いますよ。

井戸岳稜線

これまで八甲田山で見ることが無かった大きな爆裂火口の外輪となるのが井戸岳。ぽっかりと開いた火口を眺めながら歩くこの道は最高に景色が良いのです。

午後1時15分、赤倉岳。
大岳避難小屋から15分ほどで赤倉岳に到着しました、この稜線はマジで気持ちがいい、今回の八甲田山登山で一番気持ちが良かった稜線だと思います。ポコポコと山が連なる八甲田山は中々稜線めいた道がないんですけど、この赤倉岳に至る道はまさに天空歩道という感じの道でして、短いながらすごい満足感を与えてくれます。

redsugar

あと北側から見返す高田大岳の姿がめちゃくちゃ面白い、あの登り返しは見るからに登りたくない!

大岳と大岳ヒュッテ

赤倉岳を後にして大岳避難小屋に戻るのですが……どうですかこの景色、この道!最高じゃないですか!?
避難小屋を出たときにこの上り坂がめちゃくちゃ楽しそうで、10分くらいあれば確実に登れるんだから行かないと損する!と思ったんですよね。結果は登って正解という感じでした。

redsugar

周回登山で歩くにしてもここは絶対上ったほうがいいです。大岳へ続くこの天国の階段と避難小屋の織り成す牧歌的な光景は見ておいて損が無い。

井戸岳から大岳ヒュッテへ降る

登りは少しつらかったけど、下山は気持ちよすぎてやばい……。木道脇にはチングルマの群生もあり、歩いているだけで心が浄化されていく音が聞こえたような……。険しい山もいいけどこういうハイキングめいた登山も人生には大事です、癒しっていいよなぁ!?

午後1時45分、上毛無岱。
最後の見どころである毛無岱湿原ですが、コースタイムは45分かかるらしいんだけど……20分もかからないでやってこれるような?とにかく道がきれいに整備されているのであっさり辿り着いてしまいました。

八甲田山の水芭蕉

湿原地帯には水芭蕉がたくさん咲いていますし、チングルマ天国が至る所にあり、高層湿原天国が眼前に広がります。俺が求めていた北東北湿原三昧の旅は八甲田山にもあったんだ……、アクセスよし、旅情よし、風呂風情風景が揃った最高の登山を俺はいま楽しんでいる。そんなポエムが頭の中を秒速で駆け抜けていきます、全身でビンビンに八甲田山を感じながら歩ける毛無岱、最高か。

チングルマの群生
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かわいげな花もおなか一杯に楽しめます。ふぅーッ!

チングルマと大岳

お花畑広がる八甲田山の毛無岱。何がいいって山が緑に覆われて優しい見た目をしているでしょう?これが北東北のいい所だと思うのです。北海道でも似たような湿原を楽しむことはできますよ、でも旭岳とか荒々しいやん、それはそれでいい景色なんだけど……ここは優しいのよ。バファリンの半分どころか全部やさしさでできていますみたいな景色が目の前に広がるわけ、牧歌的っていう言葉を10倍濃縮したような景色が楽しめるのが初夏の八甲田山です。

上毛無岱を歩く登山者

木道の上をコンコンと小気味よいリズムで進み続ける、八甲田の大湿原で奏でる登山者の足音グルーヴサウンドが脳を駆け巡るたびに日々の悩み、ストレス、脳がかく汗というか垢を落としてくれるようです。歩いている音だけ収録して四六時中聞いていたいと思うくらい木道歩きは気持ちがいい。

八甲田山漫遊

八甲田山、こんな遅くなっちまってごめんよ。もっと早く君に登れていれば……となんか気持ち悪い感じになるくらい良い山なのは間違いない。登山経験がそんなにない知り合いを登山沼に沈めてやると思ったときに歩かせたい最高のハイキングコースの一つだと思う。後半に毛無岱を歩けるように反時計回りを選択したが、おなかいっぱいな状態にさらに幸せを詰め込んできやがる……。

redsugar

も、もう食べれないデフゥ……!

チングルマもさんざん見たんだけど……毛無岱の花畑が終わることはない。

下毛無岱

良い景色のオンパレード、おなかいっぱいですと思っていた目に飛び込んでくるのは下毛無岱。秋の紅葉シーズンの八甲田山登山報告のサムネイルでよく見る場所です。初夏のシーズンだとこんな感じ、まだまだ楽しい湿原が続くなんて嬉しいやら……。

八甲田山の池塘

下毛無岱湿原でも池塘や水芭蕉、そしてチングルマの花がRedsugarを迎えてくれます。サッカーや野球で優勝したクラブが母国に凱旋した際のパレードで、彼らずーっと観衆に向けて手を振るじゃないですか、結構な距離があってもう車でパレード飽きたなって思っても観衆がまだまだずーっと続く、そんな感じで湿原のもてなしは続く。

毛無岱休憩所

午後2時20分、下毛無岱。
休憩所から振り向くと大岳と井戸岳たちがドンドンドーン!と目に飛び込んでくる、八甲田山群という感じの景色。南に目をやれば巨大な丘のような形をした南八甲田の山々と……この山地のデカさを感じることが出来るでしょう。

最後の楽園下毛無岱の木道の上を愛用の登山靴であるLOWAのチベットが小気味いい音を立てて進んでいく。あたりには車の音や街の雑踏なんて一つも聞こえない、鳥のさえずりと風の音、そこに自分の足音だけ。
本当に静かな状況は心を落ち着かせてくれます、セラピーよ、セラピー。

redsugar心の声

実際聴覚がちょっと過敏なRedsugarはうるさい所だとすぐにカクテルパーティー効果のような感じで音の聞き分けがしずらくなったりするので、静かな山の中にいると本当に心が休まる……。
埼玉は本当に音に溢れているので、出来れば北海道の実家のような静かなところで余生を送りたい。

木道を歩く

木道の最後の景色は勇壮な櫛ヶ峰、次回は南八甲田に来いよといわんばかりの景色。

午後2時50分、酸ヶ湯温泉へ下山。
最高だった……最高だったぜ八甲田山。火山らしい景色から始まり、稜線地帯の気持ちのいい眺めを散々味わった後にこれでもかというくらい楽しめた湿原歩き。本当に美味でございました、文句なしの百名山だと思います。
最初は旅費が結構かかるなと思ったけど、八甲田山は全然払っていい価値がある、日帰りで歩いただけですら素晴らしい経験が出来た。

下山後のお楽しみは酸ヶ湯温泉の千人風呂である。今回は山の中を満喫してしまったので、バスの発車まで残り一時間……、最後に生ビールも味わいたいとなれば時間は限られている。急がねばなりません。

というわけで駆け込んだ酸ヶ湯温泉。千人風呂は泉質がめちゃくちゃ強くうわさに聞く湯治風呂でした。
10日も湯治しちゃったら皮膚がお湯の成分に負けて火傷しちゃいそうだよと思うくらいお湯が強い!蔵王もびっくりの温泉でした。千人風呂と内湯を味わった後に用意されていたのは「八甲田山の清水」です。
写真を大きくして説明を見てほしいけど、これがマジでうまい、風呂上がりだからっていうのを加味してもマジでうまい、うますぎる!十万石以上の価値はあるね。日本一といってもいいよ、おれは推すよ。

redsugar

最後にバッジを買った後に日本一うまい黄金の飲み物を身体に流し込む。やり切った……八甲田山、最高だったぜお前!

下山後のソフトクリーム

ビールを飲んで外に出た後の数分で気が付きました気が付いてしまいました。ソフトクリーム売ってる……と。
ここまで来たら食べるしかありません、めったに来れない八甲田山、やり切れることはすべてやり切るやってやる。
八甲田山のソフトクリームは濃厚生クリーム系の味がしました、スジャータ系じゃない!ちゃんと牛のお乳の味がするよぉ!という血中アルコール濃度が上がっていないと出てこないような感想をの溜まりながらバス乗り場へと向かいます。

午後3時45分、酸ヶ湯発青森行バス乗車。
登山、風呂、酒、アイス、全てをやり切った……。あとは新青森駅で海鮮丼でも食べて、新幹線車内で500缶でも開けて飲んだくれて帰るんだ……、恍惚とした面持ちで駅へと向かう車窓から青森大地を眺めていました。

redsugar

Redsugar的にはここ……住めるな!ていうか住みたい!好きなタイプの田舎だ!

青森駅のねぶた

午後5時40分、新青森駅。
八甲田山公共交通機関のエンディングは新青森駅になります。往路は青森駅からのみずうみ号でしたが、帰り道は新幹線乗車のため新青森下車の必要があるから。帰りのご飯を何かこだわっても良かったんだけど、そこまでの暇(いとま)が無いのが家族持ちの定めです。できれば青森の酒場で青森名物フジツボの酒蒸しとか食べて帰りたいんだけど……、新青森駅内部の海鮮丼で勘弁してやらぁ!

redsugar

昔青森のアップルマラソン出場時、前日酒場で食べたのがフジツボの酒蒸し。あれ貝の仲間なんだなぁ……と思わされると同時に結構いけちゃうじゃん!と思ったことがあります。

駅で食べる海鮮丼
redsugar

新青森駅内部には飲食店がしっかり完備されていて、海鮮丼もここでゲットできるのは事前情報として仕入れていました。最後にがっつり丼を喰らって大宮へ帰る!!

がら空きの新幹線

新幹線に乗車すると車内はがら空き……、独り占め状態の東北新幹線で関東へと帰ります。
ていうかなんか宇宙船の中みたいな景色だな。

新幹線から眺める八甲田山

新幹線の車窓から、遠くなる八甲田山を眺めながらサッポロ黒ラベルの500缶をキメる。終わった……俺の22年八甲田山登山はできる事をすべてやり切った……!そして22年の夏山が始まる。
毎年6月の登山から夏山が始まります、快晴の中で歩いた山の帰り道、6月から8月のお盆までの短い夏の間にどれくらい青空の下で山道を歩けるんだろう?不安と希望の入り混じった楽しい2ヶ月が始まることに胸を躍らせる帰路につくのでした。

八甲田の日本酒

と、いうわけで帰宅したRedsugarですがしっかりとお土産をゲットしていました。
駅で購入したのは登った山の名前が付いたお酒「八甲田」です。日常的に飲むこともあって登山帰りで買うお酒は720mlで2000円以下のものにしてるんだけど……これは美味かった!
水ではないだろうか??と思うくらいな飲み味の軽さ。
そして、今まで飲んだ登山日本酒で最も飲みやすく軽やかで香りが爽やかピュアピュア。
初回はマジでさらりとしていて飲みやすかった、これは危険すぎる……!!辛口系だがめちゃくちゃうまい、うますぎる!!八甲田山に登ったら絶対に日本酒を買おうね!!青森のお酒は美味しいよ!

毛無岱休憩所

初夏の八甲田山は素敵すぎる縦走が楽しめる、絶対に晴れをつかもう!
夜行バスを使いやってきた八甲田山は素晴らしすぎる世界でした。パーフェクト素晴らしブル―な青空と、歩きやすく景観が伴った登山道。そして見所の連続、山々の眺望から季節の花、美しい湿原を突っ切る木道を歩く自分の音と鳥のさえずりだけが聞こえる世界……。
別天地っていうのはこういうことです。世の中の喧騒から離れて静かな場所へというのもまさしくこういうことだよね、と真顔で答えそうな山でした。Redsugarにとってはビンビンに波長が合わさった山で、下山後の酸ヶ湯温泉も併せて130点満点位だったと思います。

時間に余裕のある人は新幹線登山で酸ヶ湯温泉に宿泊したり、仙人岱避難小屋に宿泊して回るのもいいのではないでしょうか?下山後の青森観光もしたいなぁ……。
人生最高の山だこれ……。

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