2020年8月28日、福島県中部の日本百名山「安達太良山」を歩いてきました。標高は1,728mで登りやすさと景観の良さから1年を通して人気な東北の登山スポットです。これまで初夏や冬に歩いてきた安達太良山ですが、真夏に歩くというのは初めての経験です。
今回は風景写真家の方と共に歩こうということになりまして、二人でのんびりと写真を撮影しながら歩きます。
コースとしてはメジャーな奥岳の湯からくろがね小屋を経由し乳首山へ、そこからは爆裂火口を眺めながら鉄山へ登り、再び勢至平から奥岳の湯へと戻るというコース。爆裂火口を気軽に楽しむ安達太良山東部周遊登山っていう感じ。
この2020年の安達太良山夏山登山はとてもリラックスして登れた登山で、カメラも僕は35㎜のレンズをつけたものを一台だけでのんびりと歩いたりと非常に心穏やかに歩くことが出来た登山でもありました。
何度歩いても楽しい山っていうのは良いですね。本当に身軽な装備で、カメラも最低限の装備で歩けるような山って素敵だなと思いますが、僕にとっては安達太良山はそういう山です。
リラックス&デトックスの撮影登山の始まりです。
安達太良山日帰り登山の概要
奥岳登山口からくろがね小屋へ
2020年8月22日、安達太良山奥岳登山口。
はーい、やってきました安達太良山!おはようございます、Redsugarでございます。
今回はリラックス&デトックスなのんびり登山を楽しみに安達太良山へとやってきました、到着したのは朝の4時ですが、あいにくの曇天……どういうこっちゃ晴れるんじゃなかったのかよ。
今日はね、風景写真家のよこいちさんと一緒にやってきています。
これまで数度歩いている安達太良山ということで、私はカメラ1台に35㎜だけを装着して歩きます。
単焦点だけで歩く登山はやっぱり楽しいのよ、お勧めは35㎜~40㎜なんだけども。
奥岳登山口を出発したらまずは定番のくろがね小屋を目指します。もちろん登山道を駆けあがっていくんだけど……、夏の安達太良山は虫が多い。ハッカ油スプレーを噴射しまくって虫を避けて歩かないと不快感が凄い。
早朝ということもありトンボがまだ飛んでません。トンボって朝露で翼が濡れると飛べないので朝は大体こうして枝の先とかに止まって羽を広げています。羽根に露が付いたトンボの写真とか見たことある人もいるのでは?
トンボよ、早く舞い上がってブヨなどを駆逐してくれ
夏山ということで朝しか晴れないだろうと見込んでいたのですが、予想が当たり徐々に日差しが差し込んできました。
相変わらず山頂部にはまだ雲がべったり張り付いてるけど、今日は高気圧が仕事するので大丈夫だろう。
くろがね小屋が見えてきましたが、その上部は分厚い霧に包まれています。
な、なんてこった……、なんてこった……!
午前6時30分、くろがね小屋。
曇ってやがる!と思って焦りながら小屋までやってきたんですけど……、晴れてきました。
小屋は早朝もいい所で宿泊客対応で大変な感じでして……、小屋前で水を補給するくらいしかやることがありませんでした。
くろがね小屋といえばこの鐘……これ鳴らすと中から小屋番さんが出てくるとかなのかな?
峰の辻から乳首山頂を目指す
午前7時15分、峰の辻。
晴れるまでのんびり歩きましょうということでゆっくり乳首山頂を目指します。この辺でガスが晴れて青空が見えてきた……、良かった。
あとは、安達太良山の稜線の上にポンッと飛び出て見える山頂を目指して登り続けるのみ。
峰の辻から山頂までは気持ちのいい景色が続きます、山肌を一直線に登っていく登山道は鉄山側に出る道。
最初から爆裂火口に行きたい人はあっちがおすすめ。
緩やかな道を一直線に登っていくあちらの道も気持ちが良さそうだよね。
乳首を目指してひたすら上ります。安達太良山の山頂に何で漢字で「乳首」なんて名前を付けたのか。
ちなみに「ちくび」ではなく「ちちくび」です。
今回は智恵子抄の「本当の空」の場所を通らずに登っていきます、山頂まではあとわずか。
午前7時45分、安達太良山山頂。
ガスも晴れ行く青空の下、無事に安達太良山山頂に到着しました。
くろがね小屋からは本当にすぐ登れたなっていう感じ。
安達太良山のいいところはこの手軽さにあると思います、こんなに登りやすいのにこの後素晴らしい爆裂火口の景色が待っているのですから。
乳首山の上に登って祠をしっかりと拝んでから爆裂火口に行きましょうかね。
一応その前にダッフィーをギュッと積み石に押し付けて撮影しておきます。
山頂から和尚山の景色を眺めていたんだけど、和尚山方面って樹林がひたすら続いているけどどんな景色なんだろう……。
安達太良山の南北にある箕輪山と和尚山は気になる場所です。
なんでも紅葉の時期がおすすめなんだとか、銚子ヶ滝から歩くコースやってみたいなぁ。
高速で流れるガスの向こうに爆裂火口が見えますね。
乳首山から牛ノ背へと向かう頃には流れていたガスが晴れて鉄山方面まで奇麗にくっきりと見えるようになりました。
安達太良山の定番の景色、絶景の爆裂火口はここから始まります。
牛ノ背周辺は火山地形の稜線ということでガスに覆われると方向を見失いやすい地形。
そのため岩々にはペンキマークが施されています、ケルンもたくさん積まれてて道案内はばっちり。
このあたりの注意点は風が強い事でしょうか、先ほどまでガスが高速で流れていたことからも風が結構出てる。
冬になると爆風が吹き荒れる安達太良山、稜線はエビのしっぽと呼ばれる氷のオブジェで埋め尽くされます。夏場でも天候が悪くなると風の影響で一気に気温が下がっちゃうから注意。
爆裂火口を眺めながら鉄山へ
牛ノ背周辺の景色は極地を歩いている気分ですよ、こんなに手軽に非日常的な景色を楽しめるのが安達太良山の良い所。
地元の小学生たちが歩いていたり、小さいころから地球の作り出す巨大な景色を眺めるっていうのはいいよなぁ……。
中学生の頃に大雪山十勝岳を登山学習で歩いたときの光景の記憶だけは覚えてるなぁ……、とにかく火山は非現実的だった。
爆裂火口を目の前にパノラマ撮影を一枚、ここに立ったら是非一度試してみてほしい。
安達太良山の中心地ともいえる景色は大きすぎてパノラマでようやく掌に収まる感じ。ちなみに安達太良山は1900年に巨大な蒸気爆発を起こしている、当時は目の前の沼ノ平に硫黄精錬所があったというらしく70人近くが犠牲になったとか……。
今見ているこのクレーターのような火口はその際にできた直径300m、短径150mの火口なんだって。
直近では1997年に沼ノ平火口付近で登山者4名が火山性ガスで亡くなる事故が、一応沼ノ平経由沼尻登山口に抜けるルートが存在するんだけど……当然立ち入り禁止。
沼ノ平に降りるっていうのは火山の懐に入るようなもので、非日常の極みのような景色が見えるんだろうけど……火山ガスという目に見えない毒気で一瞬で意識を持ってかれるとか怖すぎるからなぁ。
硫黄の香りがするだけで「ちょっとヤバいかも」くらいに思ったほうがいいよねとは思う、火山の景色は好きだけどやっぱり怖いよね。
稜線には登山者がちらほら、安達太良山はトレイルランナーにも人気で往来は十分。
爆裂火口を眺めながら鉄山へ向かう、ペンキ岩を繋いでいく。
乳首からいったん標高を落とすポイントがここ、足元が中々悪い……。小石がざらざらと足の裏で転がるのでスリップしそうな地面が嫌。
沼ノ平をぐるりと回りこむような感じ。ちなみに写真正面にある崖が立派な山は船明神山。
以前沼尻から登った時はあの山を登って乳首へ向かったんだよなぁ……、あちら側の稜線もまた面白い。
鉄山の直下はハイマツがうるさい。穏やかな稜線の向こうに鉄山避難小屋が見えます、稜線上の小屋なので便利そう。
午前9時20分、鉄山山頂から爆裂火口を眺める。
鉄山の山頂へと登ってくるとこんな感じに爆裂火口を見下ろせます。手前に登山道を歩く人々が写ってるけど、一つ手前の写真を撮影したのがあの辺。
鉄山からパノラマで撮影すると左側から牛ノ背~船明神山と奇麗に沼ノ平の南側の外輪が撮影できました。
いやー、しかしデカいなこの火口。
鉄山からくろがね小屋を見下ろす、こちらは青々としている……。ちなみにこちら側も牛ノ背から登山道あったらしいけど、火山ガス噴出エリアがあるとか。
安達太良山は温泉噴出量が全国有数というか、湧出量毎分13000リットルくらいで単一源泉では日本ナンバーワンだったはず……(沼尻歩いたときに新聞記事で見た)
火山ガスもその分活発なんだなと改めて思いましたよね、湧いてんだわ……いろいろ。
直近の噴火が100年前って言われると、そのうちまた噴火するんだろうなと……。登れるうちに登っておきたい、見れるうちに見ておきたい。
鉄山からの景色を楽しんだ後は来た道を戻り下山となります。
リラックスしながら撮影を楽しめた登山で、非常にのんびりと歩けました。
心の余裕のある登山っていいよなぁ……。
くろがね小屋に泊まりたいと登山を始めたころから思ってるんだけど、中々泊りに行こうと予定を立てれたことが無い。
泊まるならやっぱり冬かなぁ……?
峰の辻まではあっという間、そこから勢至平まで直接降りるルートを選択して一気に奥岳登山口へと下山しました。
本当にあっさりと登ってあっさりと下れていい山です、子供と最短ルートで歩いてみたい。
午後12時00分、奥岳の湯。
下山後はそのまま奥岳の湯にて汗を流しました。安達太良山周辺っていろんな温泉がありますよね、野地温泉とか沼尻温泉とか横向温泉とか鷲倉温泉とか……。今のところ沼尻温泉が湯ノ花もてんこ盛りでお勧めしたいナンバーワンだけど、他も行きたいなぁ……。
入浴後はよこいちさんお勧めの福島県デザート「酪王カフェオレアイスクリーム」を食します。確かに大学時代福島の子たちみんなこれ食べてた……。
下山後にご飯をどうしましょうと話をしていたら、よこいちさんが学生時代に通っていたという幸華食堂さんに行きましょうということになり突撃。こちら盛がいいタイプのお食事屋さんで、レバニラを頼んだら2人前くらいの量のレバニラが……、登山後の疲れた体にはちょうどいい栄養補給となりました。
そんなわけであっさりと歩いて景色を堪能した安達太良山。
ここは東北の最初の一座にしてもいいくらい気軽に歩けるし絶景が拝める山です、登山経験が無い人を誘ってみてハマらせるにもいい山なんじゃないでしょうか?なんたって帰りの温泉気持ちいいですからね。
非日常を気軽に楽しめるっていうことでは、滅茶苦茶お勧めな山なわけですよ……!
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