2022年2月6日、茨城県つくば市と土浦市の境にある宝篋山を歩いてきました。
標高は461mの山で、鎌倉時代からの史跡が多く残る歴史の山という性格が強い山です。現在の関東周辺在住の登山客としては、冬場の里山歩きにちょうど良い山の一つといった感じになっています。
その山頂からの景色の特徴は目の前の筑波山、そして日本で二番目に大きい淡水湖である霞ヶ浦。
関東は冬暖かいですからね、晴れた日に登るとポカポカ陽気の中で筑波山を見ながらカップヌードルをずずーっとすすったりと、楽しい冬のハイキングが楽しめます。
そしてこの山、里に近いこともあり歴史ネタをちょっと仕込んでから歩くと楽しくなるかもしれません。
山頂に祭られている忍性という方を中心に歴史を追っていくと、楽しいトレッキングが出来るのかなと。
その場合は、小田休憩所から極楽寺コースを選択して歩くといいのかなと思います。
というわけで、今回Redsugarでは土浦方面から小田休憩所へ向かい、自然景観が豊かな常願寺コース(沢コース)で山頂を目指します。
帰路は新寺コースを利用し北条大池に下山し、来福酒造直営店で日本酒を購入し帰路へとつきます。
乾燥し切った空風が吹く2月の関東、住んだ空気の景色を眺める宝篋山歩きをお楽しみください。
宝篋山ハイキングについて
小田休憩所から宝篋山へ
午前8時15分、土浦駅バス停。
おはようございます、Redsugarです。
本日は休日ハイキングということで宝篋山へ登ります、サクッと登れちゃう山ということなので出発ものんびりとした感じでやってきました。早朝の常磐線でやってきた土浦駅は静かな雰囲気。
普通に栄えている街なのであんまり旅感が無い。
宝篋山は筑波山口方面のバスに乗車して向かいます。というわけで5番線乗り場でバスを待ちましょう。
登山に向かうときの早朝のバスってなんかいいよなぁと思うんですね。冬の時期に始発電車で登山口に向かう際などで、朝日が車内に差し込んでくるあの瞬間ってめちゃくちゃエモいんですけど、そのあと乗車する登山バスもこれまた情緒があるよなぁと思うわけです。
おらワクワクしてきたぞ!
午前9時00分、小田休憩所。
ガラガラなバスに揺られてやってきました宝篋山登山口の小田休憩所、こちらは登山拠点ということでビジターセンター的な小屋が用意されています。中の人にいろいろ歴史の話を聞くこととかもできるんだって。
朝早いということもあり、周囲は登山客ばっかり。僕も周りに合わせて登山準備を行います。
本日は一番長い距離を歩けるということで常願寺コース側から歩きます
小田休憩所を出発するとまずは冬枯れの畑の中に通された道を渡っていくことになります。土ぼこりが立ちそうな冬の農地を雑木林に沿って歩く。
すぐに目の前に宝篋山が見えてくる。こんもりとした丘のような山が宝篋山で、その周囲は農地としてきっと昔から耕されてんだろうなぁという見た目の土地が続きます。この宝篋山ですが、近くの有名な城跡といえば「小田城」です。
戦国時代のフェニックス武将小田氏治が奪われては取り戻しという行為を何度も繰り返しています。
小田氏治の戦績はボージョレ・ヌーヴォー的な楽しみ方が出来るので面白い。表で見ると〇〇年はだめだったかーといった感じで楽しめる。
藪の中にぽっかりと開いた穴の中へと進んでいきます、これは登山道ですよ。
穴の向こう側は雑木林が広がっています、ここから先がハイキングの始まりっていう感じです。
沢コースから歩く尖浅間と山頂
午前9時30分、沢コース分岐。
すぐに常願寺コースの分岐が出てきます。史跡を楽しみたい人は常願寺コース、自然を楽しみたい人は沢コースっていう感じで進むのがここはお勧めです。
沢コース歩いたけどあんまり史跡的なものは見かけなかった、その代わりに小さな沢と谷底の道は楽しめる。
この谷底、雰囲気がある。カメラを向けて写真を撮ってみるとただの杉林なのに地面のシダがとても奇麗に撮れました。
昼にならないと光が入らない谷底だからこその雰囲気が続きます。
谷底の登山道は杉とシダの世界。でも雰囲気は悪くないです、木霊でもいそうな静かな空気が漂います。
徐々に光が差し込んで木々が照らされると、木漏れ日が何とも言えない心地よい景色を提供してくれます。
冬なんで虫もいなくてですね、ひんやりとした空気の中で「あぁ、いいなぁ……森林浴だわ」という気持ちなれる。
ふっと浮かび上がる幼木、視界に入った時にまるで人みたいにこっち向いてるように感じることってありますよね。
僕はそういうのは自然があいさつしているとか、自然がこちらを見ている瞬間なんじゃないかと思っています。
自然に見られちゃってる、目があっちゃった、的なね。
楽しい谷底歩きが終わり、尾根に差し掛かるとすぐに第一ピークがやってきます。この登り一瞬でした。
午前10時00分、尖浅間。
1時間立たぬうちに最初のピークへ到着、尖浅間付近は特に何もなし。
浅間っていうと浅間大神ということで木花咲耶姫命がふっと浮かびますが、この宝篋山はお寺のことを調べると山岳信仰的なものもあったんでしょうねということが推察される。
麓に水田があることと、渓流もあることから水分の山として機能していたはずだし、寺があると考えると山中は他界として考えられていたはず。
山岳信仰はちょっとでもいいから勉強すると登山がめっちゃ面白くなるで。
尖浅間からは雑木林といって差し支えない道を進む、夏になるとこの辺は下界と変わらないから死ぬほど暑いだろうな。
よく整備されたハイキングコースは子供たちも走り回っていて、付近の住人のレクリエーションの場にもなってるようでした。良いなぁ、僕の家の近くにもこういう山欲しいなぁ。
地元の方々の手によって整備が行き届いているので、ルート案内はばっちり。
尖り浅間から登山道を楽しく歩いているとすぐに山頂に到着します。いきなり車道が出てきて開けた山頂が出てくるので少し拍子抜けしてしまった。
午前10時45分、宝篋山山頂。
山頂には忍性菩薩像が子供を背負ってますね。簡単に解説すると鎌倉時代の人で、当時は文化の最先端だった畿内の奈良県から、庶民の信仰心が薄い東国にやってきた僧侶です。で、鎌倉で弱者救済に励んだっていう感じなんですけども、この人が背負っている背中のニンジャみたいな子供はニンジャじゃなくてハンセン病の子供です。
何も知らないタイミングで見ると忍性→忍者→背中の子供が忍者に見える……、という風になりました。
目の前には筑波山が良く見えます。筑波山って面白くて、「常陸国風土記」っていうむかーしの本に「親神の宿を断った富士山が雪に覆われているのに対して、筑波山は親神を歓迎したことから年中暖かい」っていう下りがあります。
筑波山自体は男女の嬥歌の場所だったんだよーっていうことです、夢が広がりますね!
嬥歌って聞くといやらしい想像が働く
山頂から東に見えるのは霞ヶ浦です。目の前のベンチにかけられた服と手袋の持ち主は……誰なんだろうね??
洋服忘れて下山するは無いだろ
山頂には立派な電波塔が立てられていますね、ガードレールがあることからわかるように、宝篋山は車道が山頂まである。
北条大池目指して下山
北条大池を目指して下山しよーっと思って坂を下っていると、後ろから「イェエエエエエエエエッ!!!」と気勢を上げながらすさまじい勢いで走り抜けていく少年が。サッとよけてその様を見ていたのですが、なぜか写真を残していました。
踊るように浮かび上がる森の妖精か何かが撮れてしまった。
ヤマノケじゃ!ヤマノケがでたんじゃ!!
午前11時35分、山口IIコース分岐。
一直線に下山しているんですけど、宝篋山って小さいから下山すぐ終わります……、大池下山を目指して杉林を降りましょう。
杉の中の古道のような、いい雰囲気の道を駆け抜ける。
すぐに広葉樹とのミックス地帯に入る、急に明るくなるため安堵感が出ますね。
宝篋山は小学生くらいの子供とお父さんの家族ハイキングが凄く多くてですね、僕も息子が小学生になったら一緒に歩きたいなって思った。
息子が4歳になりまして、三毳山は何とか一緒に登れました。
下山していくと農家の敷地には解体された草ヒロ??みたいなものが置いてあったり。
こういう草ヒロって実際どうすんだろう、放置されたままにするわけにもいかないから、最終的には行政が処分すんのかね?
焼き畑っぽい消し炭の跡と筑波山の黒い山体が見える。山は冬枯れで灰色の景色。
市街地に出ると迷う、なんたって指導標が無い!
というわけで地図アプリを利用して北条大池までは歩くことにしました。
北条大池に到着するとそこは公園になっていたとさ。ちなみにこの北条大池の北条なんですが、鎌倉執権の北条家や戦国時代の小田原北条家とは関係ありません。鎌倉殿の13人に登場した八田知家の七男が北条七郎を名乗りこの一帯を領地としていたのにちなんで北条大池なんだって。
大河ドラマの八田知家は市原隼人が演じてましたが、セクシー路線な武将で、登場するたびに笑える感じのキャラで良かったですね。
午後12時15分、平沢官衙遺跡。
北条大池からすぐそこには平沢官衙遺跡があります。奈良~平安時代に置かれた役所の遺跡ということなので、前述の北条大池からさらに昔なので、日本的には古代といえる時代の遺跡。
コロナの頃だったので、野焼きで出来た文字にもコロナのことが書かれてました。
北条大池に戻ってくると、池の向こうにこんもりとした宝篋山と山頂の電波塔が見える、さっきまであそこにいたんだなぁ。
バスを待つけど土浦に帰るのはもったいない。ということでバス停近くのラーメン屋「名無し」さんで味噌ラーメンと餃子をいただきます。そんなにカロリーを消費した気はしないんだが、下山したらとにかく飯だ。
もちもちした麺がうんめぇ~、スープはあっさりしてるからスルスル食べれる
ラーメン屋からすぐのところに来福酒造さんの販売店がありまして、そちらで辛口のこちらの日本酒を購入しました。
北関東って酒蔵が多くて、里山巡りのついでにお酒を帰るところが多いのが良いですね。
来福さんは江戸時代享保元年創業の300年くらいの歴史がある酒屋さん、品ぞろえ豊かで選ぶのが楽しいお店でした。
午後1時30分、平沢官衙バス停。
バス停から土浦駅へ戻り、そのまま常磐線で西日暮里へ。
昔住んでいた西日暮里の街を少し歩いてから、さいたまのお家へと帰るのでした……。
というわけで、宝篋山登山はおしまい。
さーて、帰宅後は楽しみにしていた来福を楽しみましょう。
日本酒度+18と書かれたラベル、超辛口という売り文句。一口飲んでみた瞬間に今まで飲んできた辛口とは比べ物にならないレベルで……辛い!!本当に辛い!と感じる日本酒でした、これはもう少し抑えめのほうが好みだったかな?
呑兵衛のお酒というか本当にお酒が好きな人の日本酒たと感じる、美味しいという以上に胸にグッとくるこの感覚が凄い。
食事に合わせて飲んだんだけど、その味から晩酌としてあたりめ+マヨ唐辛子醤油、氷下魚+マヨ唐辛子醤油のようなTHE夜の酒として楽しむのが僕にはあっていました。
食事中に飲むってのを考えると、もう少し優しい、甘口を次は買いに行こうと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
アーという間、お子さんは4歳になったね。前回会ったのはまた独身でした。いいですね。次回チャンスが一緒に登りましょうね。よろしくお願いします!
王さんコメントありがとうございます。
宝登山と三頭山でお会いした王さんですよね!?懐かしい!!
見ていてくれてありがとうございます!また関東の山でお会いしたいですね。