2021年6月10日、群馬県水上町にある上州武尊山を歩いてきました、標高は2,158mで修験の山かつ冬場はカジュアルに雪山を楽しめる場所として有名です。
冬の時期にしか歩いたことが無く、無雪期はどんな山なのか、そして思いのほか体力が必要な山と聞き気になっていた場所。
しかし、無雪期で旬な時期が特に見当たらず紅葉かシャクナゲの時期で登るのがよさそうだなということで歩くことを先延ばしにしていた山でした。
6月の登山ということで山は雪解け直後、稜線はシャクナゲがメインで新緑もまだ上がり切っていない頃。
上州武尊山は剣ヶ峰への稜線という誰もが「良い」という稜線を持っているため、ここを晴天の中歩ければよいだろう、ということで晴れ間を狙って歩きます。
武尊神社からスタートして時計回りに沖武尊、剣ヶ峰と歩いてみたのですが……ここは聞いていた通り確かに修験道の山でした。
上州武尊山のお勧めの季節は?
Redsugar的には冬、無雪期は秋とかに登るのがいいんじゃないでしょうか。
剣ヶ峰までの稜線も楽しいんですけど、沖武尊山頂直下が小石で滑りやすくて歩きにくかったり、剣ヶ峰からの下山コースが泥で滑りやすかったりとなかなかストレスがたまる場所、なので雨も多い6月はあんまりお勧めは出来ないかも。
あと予想通りというか、この山は花を期待して歩くところではございません。
同時期に少し北にある谷川ではハクサンイチゲが咲いていますが、上州武尊山はシャクナゲあたりをみて歩くことになります。
渋い、地味系の山の一つだと思ってたけど……やっぱり渋すぎる……いい山だけど。
冬季の上州武尊が気になる方はこちらの記事を参照ください!
上州武尊山、武尊神社コースの概要
武尊神社より時計回りコースで入山
2021年6月10日午前8時55分頃、上州武尊山行者転げ。
こんにちは、鎖場嫌いなハイカーのRedsugarです。
今回は雪解けを迎えた上州武尊山です、周囲の山々はハクサンイチゲやシラネアオイなど春の終わりから初夏を告げる花に満ち溢れている中……花も華もない山にやってきました。
冬の時期しか登ったことが無い山は無雪期も積極的に登っておこうと思いやってきて……、今沖武尊に向かっています。
コース的には行者転げは登りのほうが楽だから時計回りのほうがよさそう。
午前6時40分、武尊林道終点。
武尊神社スタートということで駐車場で準備をしていたら林道に突っ込んでいく車を一台発見。
スバル車かーと思いつつも、ヴォクシーでも行けるかな?と思い後を追ってみると林道終点までは問題なく到着することが出来ました、曇りの日に林道に撮影しに行っていた経験がこんなところで活きるとは。
途中巨大な岩が道の半分をふさいでいたけど通れた、路面状況は悪いけどヴォクシーの最低地上高155mでも底は擦らないで行けるかな、下山時にCR-Zが止まっていてびっくりしたけど。
5分ほどで準備を整え林道終点から登山を開始します、足元は10センチ~30センチくらいの石が転がる幅1mくらいの登山道……というか重機を入れるための道が続く。
この辺は樹林もきれいでブナとかが見れるけど、問題はこの後だよね。
午前7時10分、須原尾根分岐。
駐車場からすぐに沖武尊と剣ヶ峰の分岐がやってきます、時計回りと反時計回りどっち?っていう選択肢。
個人的には鎖場は登りのほうが楽なので時計回りを推すかなぁ。
小さな川を渡り新緑の登山道を進みます、進みますがまだ山の手入れが行き届いていない時期なので少し荒れてる。
先行していた夫婦の方々が難儀していた崩落個所、登山道が流れちゃっていて危険な状態に。
これは高巻かするか?と思ったのですがステップが一か所あったので通過できました、山開き前の山はこういう崩落とかが整備前なので十分に気をつけないとね。
午前7時55分、手小屋沢避難小屋分岐。
分岐から1時間ほど歩くと手小屋沢避難小屋の分岐に到着、天気も良く晴れていて太陽の光が差し込む新緑の樹林は相変わらず気持ちがいい。
気持ちはいいんだけど……森があんまり特徴がないというかパッとしなくてですね、写真を撮ることもなくひたすら上り続けることになったんですね。
この登山道……ほかの山だと森が奇麗とか、花が奇麗とかあるんだけど基本そういうものとは縁が無いらしい。
所々咲いているツツジが唯一の癒しとなります。
あとは遠方に見える森のテクスチャを見たりとか……。
笹と常緑樹が織りなす景色が延々と続きます、感覚的に燧ヶ岳長英林道側とかで経験した「長く感じる魔法」をここでも受けている感じ。
景色にスペクタクルが欲しい……。
ショウジョウバカマが申し訳程度に道端に咲いている、かわいらしい。
そんな笹とシダと常緑樹の森をさらに進む。
行者転げは登りがお勧め
午前8時30分、行者転げスタート。
手小屋沢から歩き続けると現れる鎖場「行者転げ」、合計で3回か4回くらい画面のような鎖場を登ることとなります。
鎖を使わなくても岩を利用して登ることが出来るのでそっちの方がいいかな。
この日はなんかお腹が良く空いたんですよね、というわけで食料補給はちぎりパンになります。
鎖場では思わずこの主観視点撮影をしてしまう、楽しい。
その後も現れる行者転げの鎖場、周囲をよーく見ればステップがあるのでしっかり観察して登る。
こういう場所は感覚的に脳トレに近い。
ある程度標高が上がってきて展望も開けてきたため周囲の山の状況が見えるようになりました、が……。
この周辺の山は形状が地味でどのピークがどの山っていうのがすぐにわかりにくい。
これは多分ジャンクションピークと巻機が見えてるんだと思う。
間違ってたらコメントください……。
行者転げを抜けると稜線に合流、あとは沖武尊まで危険個所もなく歩けるだろうと思っていてこの予想は当たっていた。
ただ問題は沖武尊から先だったんだよッ!
稜線に出ると現れる剣ヶ峰方面に向かう気持ちのいい稜線、そうそう上州武尊といえばこれだよねと……、この稜線だけは本当に気持ちがいい場所だと思っていた。
あとここでようやく至仏山が見えました、至仏山もGW時期しか歩いたことが無いので夏に気持ちよく歩きたいと思っている山です。
剣ヶ峰まではアップダウンがあるものの気持ちのよさそうな道が続く、沖武尊から先はルンルン気分でハイキングできるだろう……そう思っていました。
確かに楽しい道なんだけど沖武尊の直下がな……。
午前9時40分、沖武尊山頂。
冬場に数度見た武尊山山頂の看板、汗も噴き出る夏場にようやくたどり着くことが出来ました。
ダッフィーも無雪期に来たことはないだろうし、ここで記念撮影をしておきます。
山頂には僕以外は先行者が一人と剣ヶ峰方面から来た方が一人、それぞれ言葉を交わすことなく座って飯を食べる。
平日にこんな静かな山に来るんだもの、しゃべりたくない気持ちはわかる
前武尊方面、なんというかアップダウンが多そうな道、周回登山が可能だけど僕が調べたときは野営場からのピストンの記録が多かったかな。
冬場はこの景色を何度も見る剣ヶ峰方面、この剣ヶ峰までの稜線はかっこいい。
上州武尊の良さの7割くらいはこの稜線に詰まっているんじゃないかと錯覚する。
剣ヶ峰への稜線もまた、修験道
午前10時00分、剣ヶ峰へ
いつものクリームパンが無いので仕方なくちぎりパンを食べて補給を完了させます、なんだろう……山頂からの景色は特に驚きがないというか見知った景色という印象が強い。
この先の景色に無雪期ならではの発見もあるはず!という期待と「サムネイルこの辺で撮影しないといけないからいい場所探そう」という気持ちを抱き出発。
というわけでサムネイルは沖武尊直下の登山道中で撮影することにしました、まぁこの稜線だよなぁと思いながら歩いていたんだけど……。
この写真を撮影した周辺、特に後方は斜面に敷き詰められた平たい石のおかげで大変歩きにくく……、こんな気持ちのいい稜線を目の当たりにしながら足元をこんな風にするなんていけずだな、と……。
沖武尊直下で神経使うなぁという思いをした後は歩きやすい稜線へと入ります、もう剣ヶ峰へ向かう道に入ればそこは天国です。
歩きやすい稜線の道がうねうねと一本伸びていて、それを歩けばいいだけだからね。
やっぱりこの稜線はとてもいい、無雪期に歩いても楽しい場所です。
シャクナゲも咲いていて武尊山の良心はここ、っていう感じ。
剣ヶ峰側に稜線を辿って振り返るとそれもまた良い景色、上州武尊の大きな身体がドーンと姿を現します。
この姿もまた良き、百名山に選ばれることも納得の風貌。
剣ヶ峰までは数度のアップダウンを繰り返す、積雪期を思い出しながら歩くと楽しい。
稜線にもっと花が無いかなと思ったのですが、足元に山野草とシャクナゲだけでした、やっぱり花を求めてくる山じゃないよね。
というわけで剣ヶ峰の分岐にやってきたのでサラッと剣ヶ峰に登って下山に移るとしましょう。
剣ヶ峰山頂直下は冬と変わらず、「あー、こんなんだよね」と記憶の中の景色と同じ岩場が現れます。
冬よりも格段に登りやすいというか歩きやすい、画面3枚目の階段めいた岩を登れば剣ヶ峰。
先ほどの岩場で振り向くとシャクナゲが見えたので沖武尊とシャクナゲを入れて撮影しておきましょう。
壁みたいな沖武尊の山体がかっこいい。
午前11時20分、剣ヶ峰。
サムネイルを撮影していたらコースタイムを20分ほどオーバーしてしまいましたが、剣ヶ峰に到着です。
剣ヶ峰山頂付近はシャクナゲが沢山咲いていて花を見るなら沖武尊よりもこっちですね。
上州武尊方面を堪能したら下山します、ここからがめんどくさかったのです。
剣ヶ峰は下りが本体、急斜面と泥が襲い来るッ!!
下山は泥の急坂が続く!
剣ヶ峰から下り始めると結構急な坂が続きます、地図上でも「急」って書いてあるんですけど斜度っていうか1段のステップが高い、なので見る見るうちに標高が下がっていくんだけど……ここの恐ろしい所は地面の土が凄い滑ること。
2年ぶりくらいに滑って転んだーッ!!
ショックでした、記事を書いているため転んだ個所などは結構覚えているのですがここ数年転んだ覚えがなく。
スリップもしないように細心の注意をしていたんだけどブラックアイスバーン的な「石の上に薄い泥が乗っているアサシンストーン」で奇麗にスッテーンと転んでしまいました。
受け身がとれたので服が汚れたくらいで済んだけど、高所なら洒落になりません、改めて気を引き締めよう……。
一回転ぶと神経が昂るというか、テンションがガタ落ち、いったん周囲の景色を見て心を落ち着かせます。
上州武尊を見上げたり、谷間の様子を見たり……獅子ヶ鼻の写真を撮ったり。
あー、久々に転んだ……マジ気をつけないと……ん?
これは……ッ!!
笹竹がこんなところにも、そして誰か採集したのか殻が落ちてる……。
山菜として食べるところもあるこいつ、竹っていうか笹、根元の柔らかい所は生でも一応食べれます、ということで齧ってみるとベビーコーンみたいな味がする。
東北の山だと登山しながら笹竹を採集する地元の人を良く見るんだけど、上州武尊にもあるとは思わなかった……。
その後も下山をひたすら続けます、ちょうど山頂に雲がかぶさってきたタイミングで道の雰囲気も良くなりました。
木漏れ日から曇り空の光が微妙な瞬間に、そういうタイミングの樹林はそれはそれできれい。
下山を続け武尊沢合流に到着するころには再び木漏れ日が差してきた、もうすぐ下山かな。
このあたりで調子に乗って木肌を撮影してみたりと「なんか撮っておくか」という悪い癖が出てしまう、こういうことをしているからコースタイムがどんどん遅くなるのよ。
早く歩きたいと言いつつ遊んでしまう悪い癖が最近ついてしまった……。
正午12時55分、武尊沢。
武尊沢合流は「今回の登山で一番気持ちが良かった場所」でした。
新緑が美しいこの地域ならどこでも見れるような渓流なんだけど、特徴のない樹林と見知った稜線とスリップで擦れた心にこの武尊沢の清流の景色は非常に優しく……、思わず10分ほど沢で撮影しながらのんびり休憩してしまった。
ちょっとのんびりしすぎたなと思いつつも武尊沢周辺は樹林の具合が良く新緑がとてもきれい、かつキノコもフォトジェニックな感じであたりを見回していて楽しい場所で、今回の登山で一番心が癒される場所となりました。
武尊神社への下山、そしてお土産はみなかみ高原蕎麦
午後1時55分、武尊林道登山口。
登山開始から7時間ほど経過してしまいました、当初6時間半くらいで戻ってくるだろうと思ってたんですが……遊びすぎた。
林道駐車場には車が増えていてそんなに最低地上高が高そうには見えないCR-Zが、これでもはいれるんだなぁと感心(実際は150㎜らしい)
武尊神社もばっちりと写真に撮って下山後のお楽しみタイムへと向かいます。
下山後のお楽しみタイムその①、ジュースと登山バッジ。
登山バッジ……たぶん川場スキー場で購入していると思うんだけど記憶があいまいなので購入しなおすことにしました。
やってきたのはしらかばはうす、キャンプ場の受付になっていて平日でも営業中です。
瓶コーラがお勧め、燦燦と太陽が照らす中登山終わりの体にコーラが良く染み渡るわ。
下山後のお楽しみタイムその②、風呂とお土産。
今回の温泉は風和の湯へ、谷川周辺の温泉って鈴森の湯のイメージなんだけど別のところに行きたかったのでこちらまでやってきました。
設備がかなりちゃんとしている温泉ですが牛乳だけが無い、仕方がないので紙パック牛乳でのどを潤す……。
その後は「道の駅 月夜野矢瀬親水公園」に向かいお土産の野菜とそばを購入することになったのですが、これが大当たり!
奥さんに野菜は「普通」だなと突っ込みを入れられたのですが、この「みなかみ高原そば」が大当たりの蕎麦でした!
この「みなかみ高原そば」ですが、現在のRedsugar観物蕎麦ランキングでは1位といっていい、山形県月山蕎麦を抜いて最もおいしかった蕎麦です。
にゅう登山で購入した戸隠蕎麦をさらにおいしくした感じっていうのかな、蕎麦の香りが強くてつゆが良く絡む感じともぐもぐ噛んでいるときの触感がすっきりしているのが印象的でした、繋ぎが小麦粉だからかな……とにかく食べやすかった。
一束300円くらいするんだけどこれは本当においしい蕎麦だったので、次回谷川エリアに行くときはまた買ってくることに、本当においしかったなこの蕎麦……!
コメント