2021年5月30日、八ヶ岳の中心部付近にある「にゅう」を歩いてきました、白駒池や天狗岳の展望が良い標高2,352mのピークです。
今回は久々の登山百景氏と一緒に登ることと久々の八ヶ岳ということでとても楽しみにしていました。
にゅうといえば登山雑誌などでは白駒池からのコースが初心者向けということで紹介されることが多い場所だよなという認識で「おれ知ってるよ、森が奇麗なんでしょ?」くらいの感じで分かった気になっていたのですが。
登山百景氏が選択したマイナールートの一つ「シャクナゲ尾根」から中山峠を経由してみどり池から下山するという周回コースを歩いた結果「本当に森が奇麗でした、とてもいいコースでした」と頭を下げてしまうくらい新緑が美しい、初夏の時期にお勧めしたい場所でした。
シャクナゲ尾根と言いつつ今回はシャクナゲの時期には早くまだ花は一切咲いていなかったのですが……、それをカバーする程の森の美しさがここにはありました。
新緑と苔の森を歩くゆるっとハイキングの始まりです。
にゅうは選択できるコースが豊富で道中の森の美しさは随一
今回はマイナールートのシャクナゲ尾根を利用していますが、シャクナゲが咲いている時期はいいと思うのですが5月末くらいだとまだ一切花が無いので……、みどり池方面のコースを使うのがお勧めです。
色々なコース取りが出来る山ですが特にみどり池は奇麗だしシラビソ小屋周辺の森が新緑時期は最高に奇麗です。
山岳雑誌でさんざん紹介されているだけはあって、「山っていい所でしょ?」と登山沼へ引きずり込むための入り口に使われるような甘く……、美しい景色がただただ目の前にあるけど歩くのはすごく楽、というコースでした。
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稲子湯から歩く「にゅう」の概要
シャクナゲが咲いてないシャクナゲ尾根?
2021年5月30日午前11時10分、天狗岳展望台。
今回は初夏の八ヶ岳は「ニュウ/にゅう/乳」にやってきました、どの表記が正解なのかはわからない場所ではあるのですが、以前から山岳雑誌やサイトで「シラビソ小屋とみどり池と白駒池で楽しむ森の休日」的な記事を目にしており、比較的地味な山を登ったりすることが多い僕としてはあんまり縁がないのかなと思っていました。
しかし、登山百景氏からのお誘いを受け今回「にゅう」と森を歩いてみようということでやってきたわけです。
ということで目の前にいるのは登山百景さんです、同じく2児の父で登山と育児の悩みに関しては理解できる部分が多い方です。
午前6時40分、レストハウスふるさと。
前日の赤城長七郎山登山から一夜明け久々の連日登山ということで起きれるか心配だったのですが、無事に朝起きることが出来ました。
上信越道をひた走り合流時間の6時30分に間に合わせようと頑張ったのですが……、トイレ問題により直前のレストハウスふるさとの駐車場トイレをお借りしたため遅刻。
ここのトイレ滅茶苦茶きれいでウォシュレットもついてて最高だった……、稲子湯に行くときは高速でトイレを使わなくても最悪ここで何とかなると学習しました。
ここまで来る道の途中、八ヶ岳は雲海に包まれていて路駐のフォトグラファーが大量に沸いており……事故が起こるんじゃないかと怖かったです。
写真勢の皆さんは登山口へと急ぐ登山勢の車にはくれぐれも気を付けてください。
午前7時00分、稲子湯登山口。
さすがに朝7時という登山をするにしては少し遅めの時間帯だったため、駐車場に着くと満席のご様子。
百景さんが崖沿いに一台分入れる工夫をしていてくれたので何とか車を止めることが出来ました、感謝。
はじめてのにゅうということでプランと見所は百景さん任せだったんですけど、話を聞くと目の前のゲートから楽しい登山道を登るのではなく、画面右の獣道みたいなところを上がっていくんだとか……。
シャクナゲ、シャクナゲみたいんですよ僕。
は、はぁ……、咲いているといいですね??
(5月の2,000m以上って咲くのか??)
合流してすぐに準備をしたら登山開始です、今回は軽量装備でゆっくりと登山を楽しむことにします。
最初はにゅう自体は森がメインということと、人と一緒に登るということで自分のペースで写真をとりながら歩けないときは結構微妙な登山になる記憶が多かったことから富士のX-T4一台で登ろうと思っていたのですが……。
直前でいつも通りZ5を2台持って登ろうと決め、百景さんの速度に合わせずのんびりと歩くことに。
しばらく百景さんを眺めながら歩くこととします。
百景さんは谷川主脈の際も体力的には余裕だったし、速度も俺がいなければ確実にバスに間に合っていたくらい速度が速い。
谷川岳馬蹄形日帰りも余裕でできる速度と体力がある人。
早い、やっぱり百景さん早いから俺を前にしてほしい。
早すぎるので前に出ました、追いかけるとペースが乱れるというか潰される可能性があったので……ペースメイクは俺がするッ!!
シャクナゲ尾根ですがマイナーだけど一応道は普通、ごくごく普通の奥秩父みたいなシラビソかコメツガみたいなものが林立した森の中を歩く道が続きます。
樹木の墓場みたいなところがしばらくは続きます、見た感じ嵐か何かで倒れた倒木を林業の人が切ったのか……?
間伐で切ったようには思えない無造作な倒木が斜面を覆いつくしている、景色を記録してはいるけども話の内容は最近の子育てやネットの話題で全く山の会話が出てこない、自然体で楽しい。
徐々に標高が上がると岩と苔の世界に入りますが……、シャクナゲは??
実は先ほどの倒木エリアに大量のシャクナゲの木が生えていたのですが、どれも蕾すらできていない状態、つまり早すぎたんだ俺たちは!
畜生、新緑ってやがる……早すぎたんだっ!
シャクナゲが見れると思ってきたのにシャクナゲ一つも咲いてないじゃん、もうやる気ない。
いや……、山頂は見ようよ?
山頂を踏まない登山も登山だとは思いますが、自分の心に正直になった最近思うのは「ピークを踏まない登山など登山じゃねぇッ!!甘えたこと抜かすな!」ということ。
なのでシャクナゲが無くて残念だけど山頂を目指します、山頂を踏んでから家に帰るまでが当ブログの登山です。
シャクナゲはないけどさ、苔はあるじゃん、苔もまだこれからだけどさ。
梅雨時に青々とした輝きを放つであろう苔もまだ冬っぽい色味、だけどここは新緑に目を向けよう。
この時期じゃないと見れないようなものを楽しむんだという前向きな気持ちで先に進む。
お化けのような切り株が沢山あるけど森自体は細い木々が多い。
シラビソ・コメツガ多めの森が続くにゅう方面、八ヶ岳の北の方っていう感じの森が続く。
シャクナゲは……、別の山で見てください。
にゅう、美しい森の先に
シャクナゲの咲いていないシャクナゲ尾根を登り続けてずいぶんと雰囲気のいい森に入ってきました。
森が奇麗なんでかなり満足、シャクナゲなくても良かったよね?
いや、こんなの見慣れてるんでシャクナゲが見たかったですよ!
長野県民はこういう森が身近にあるからなのか贅沢です。
幼木と苔、森の世代交代が眠っているような場所を抜けていきます。
岩の上に根が巻き付きそこに苔がまとわりつく、八ヶ岳のコケの森を十二分に堪能するには稲子湯周辺は確かに楽しい。
オッサン2名が画像3枚目のコケの岩を見て「これなんかまき〇みたいだな、はははッ」等と小学生くらいまで退行した会話を楽しみながら進みます。
もちろん道中には我々以外誰もいません、ここ人気の「にゅう」じゃないの?
シャクナゲ尾根を利用した場合「にゅう」までは2時間半くらい、後半は新緑と苔の森が続く、癒しの森だ。
午前9時30分、中山分岐手前。
普通に歩いていたらコースタイムをそれなりに巻けると思ったんですけどあんまり巻けてない……なんか思ったよりも長いなという印象のシャクナゲ尾根。
画像2枚目の看板が出てきたらあとは岩場と根の道を登って終わり、登山百景氏が早くにゅうに行きたいということで先行、僕は尻を眺めながらいい景色を探します。
にゅう中山分岐手前は細い木々が岩に絡みついた景色が特徴的、大地が木々に浸食されていく。
若干この辺歩きにくくて、途中で合流したVロガー的な装備の方々も難儀していた。
午前9時40分、にゅう中山分岐。
先に山頂にたどり着いた登山百景氏を待たせるわけにもいかず、写真を撮影したらにゅうに急ぐ。
マジで速い、目を離したすきに消えるから真田の忍なんじゃないか……?
樹林帯の端に突き出た岩の峰、これがにゅうです。
にゅうは乳とも書くんだけど安達太良山の乳首山みたいな感じの意味合いなんだろうか?
曇り空かと思ったら思いのほか晴れているにゅう山頂へ。
午前9時45分、にゅう山頂。
にゅうの山頂の岩場は言わずもがな展望が良い、北八ヶ岳方面の北横岳や蓼科山の頭の方には白駒池が見える。
眼下に広がる樹林帯一面、景色がよさそうな場所というのは先ほどまでしっかりと確認しましたね。
とりあえずなんか食べようかということで、いつも通りセブンイレブンのクリームパンとポカリスエットで食事とします。
シャクナゲを撮るのに500㎜持ってきたんですけど、使いどころ無いからここで使いますよ。
何か撮れんだろ、何か!
500㎜もあればここから金峰山もきれいに見えそう……
500㎜の望遠ズームをザックに入れていた登山百景氏、硫黄岳山頂の登山者を撮影して満足そうにしていました。
本来であれば画面いっぱいのピンク色のシャクナゲを撮りたかったそうです、残念ですね。
にゅうからの景色ですが北八ヶ岳方面以上に南相木村側が印象的でした、カラマツがメインの南相木方面の山々……中でも男山というとてもかっこいい山があるのですがにゅうからはそれが良く見えるのです。
画像2枚目の画面真ん中に捉えられた山が男山、後ろには甲武信ヶ岳などが並ぶが秋は圧倒的に男山が美しい、カラマツが全山紅葉するから。
瑞牆金峰山を見渡してから再び白駒池方面へ、北八ヶ岳の森ってあんまり歩く魅力というか目的を持ってこなかったんだけど樹林帯を楽しむということでは非常によさそう。
それとにゅうから見る天狗岳と硫黄岳方面、八ヶ岳の東側斜面は爆裂火口的に抉れているんだけど天狗岳もがっつり抉れてる、手前の森が邪魔だけど展望はなかなか。
久々のダッフィーを出して撮影を終えたら中山峠に向かって出発、ここから先は標高差的にはかなり平坦な道を歩く。
森は相変わらず奇麗で巨石とその間を這う根がいい味を出している。
中山峠、夏の荒々しい天狗岳
中山峠がどこにあるかっていうと写真で言うと画面右端、東天狗岳から伸びる稜線の先。
この写真を撮影している場所から右側に向かって道が伸びているので、東天狗岳に向かってゆるいカーブを描きながら向かって行く感じ、ちょっと遠いんだよね。
中山峠に向かうまでの道も相変わらず奇麗です、南八ヶ岳に向かうにつれて森の雰囲気は変わるのだろうか?と思っていたけど今回のコースは全編通して森は奇麗、100点満点、梅雨時は是非こちらにー!という景色が広がっている。
中山峠に向かう途中雲がさらに多くなってきて日が隠れる時間が多くなってしまった、でもまぁ樹林ならそっちの方が都合がいい。
木漏れ日が強いとコントラストが高くて写真が撮りにくかったり、正午付近は葉の反射が強いのでCPLがないと厳しい状況が続くんだけど曇ってくれるとそのあたりは楽になる、というのが最近の感想。
そんなわけで雲が多くなってきた森をアンニュイな雰囲気というかくらい雰囲気で撮影しながら中山峠に向かいます。
こういう写真を撮るなら曇りのほうがいいというか、僕は曇ってないと撮れないんだけど登山者の心理としては曇りより晴れなので撮れ高が良かったとしても気持ちは悔しかったりするわけです。
八ヶ岳のこの辺の森は梅雨時の曇りや小雨のタイミングのほうが幻想的な景色を見れるというか撮れるかもしれない。
そういうのが撮りたくなったら来てみてもいいかなーと思った。
アンニュイな森が続くかと思ったら、そうは問屋が卸さなくてまた晴れてしまいました。
中山峠に向かうまでに見れるものといえば美しい樹林と稲子岳の景色、樹林の山というイメージなんだけど稲子岳は南側斜面が崖になっていてクライマーの登攀スポットになっているらしい。
南壁が見えるような位置まで来てみるとなるほど、気持ちよいくらい木々がはがれた山肌が見える……。
稲子岳展望スポットとほぼ同じくして天狗岳の展望スポットもやってくる、奥に硫黄岳も見える場所で東側斜面の崩落がこれでもかというくらい奇麗に見える場所。
ここは天狗岳がかなりかっこよく見える場所!好きな景色が広がっていました。
東天狗岳の崩落斜面が良く見える、登山道が崩落斜面ギリギリのところを通っているわけだが……良く冬の間あんなところを上り下りしていたなと感心する。
白馬鑓や杓子岳みたいな感じで片方が切れ落ちていて、片方はなだらかという特徴的な景色はこの登山一の展望スポットかな。
午前11時20分、中山峠。
天狗岳の眺望を楽しんですぐに中山峠が現れます、ここからは降りに入るんだけど意外に最初は急で驚く。
中山峠自体はやっぱり天狗岳が人気のスポットだからか数組の登山者が行きかっていた、あのピークを見ると登りたくなるのはわかる。
みどり池、新緑輝く森の泉
中山峠からみどり池は最初にがっつりと標高を落とすタイプの道で、杉林のような植樹帯を思わせる森の中をつづら折りに下り続ける。
相変わらず岩に生えている苔は美しいし、ケルンに積まれた枝もいい雰囲気を出している、静かな登山道っていう感じ。
赤城長七郎山に引き続きNIKKOR Z 20mm f/1.8 Sを持ってきたけど中距離で立体感を感じるレンズだ……、積極的に1.8を使いたくなっちゃう。(4枚目は開放で撮影している)
正午12時15分、シラビソ小屋
時間にして1時間、ブログで書くと中山峠からワープしてきたみたいに書いてるけどこの間の1時間が本当に長かった。
自分がのんびり写真撮りながらというのもあるんだけど、もっと早く着くかなと思ったら全然つかなくて……思いのほか距離があるなと思った場所だった。
時間がかかったというのもこの手前のみどり池が大変すばらしい場所で、みどり池で写真撮ってたら10分くらい経過したっていうのもあるんだけど……、それにしたって中山峠からこのみどり池までなんか道のりが長いと感じてしまった。
みどり池は確かに奇麗でいい場所でした、湖畔でコーヒー飲みながらケーキでも食べたい感じ。
ここだけすごい優雅な時間が流れているというか、雑誌とかでよく紹介される理由も良くわかる。
みどり池はとってもきれい、真ん中に浮いていたのは水草とかなのかな?
水底も砂地ではなく何かの草っていう所も相まって幻想的な雰囲気が漂う場所だった。
シラビソ小屋による用事もなく、水分を補給したらそのまま下山へ。
小屋からは林道と登山道を交互に歩いていくんだけど山道がきれいすぎて驚きました、ていうかなんでこの道で登らなかったんだよと文句が言いたいくらい、シャクナゲ尾根よりもいい所じゃないか!
滅茶苦茶いい道なんだけど、シャクナゲ尾根って何だったんだろうね?
良い所でしょ?好きだと思ったんですよ、シャクナゲ以外は。
上を見ればカラマツの新緑、地面は渓流や湿地とオニゼンマイが生える森が広がるここは静かな森の楽園。
本当にいい森でここを歩いてシラビソ小屋に宿泊して天狗岳登って本沢温泉で入浴して稲子湯に下山するとかそういうハイキングとかは楽しそうだなと思うわけです。
下山まで美しい森が続くみどり池ルート、カラマツがこれだけあるっていうことは秋もさぞかし奇麗なんでしょうね。
午後1時15分、稲子湯登山口下山完了。
シラビソ小屋からの下山でメルヘンな森成分を十分に補給できました、終わってみれば何だかんだ森が美しくていい登山が出来たなと満足感でいっぱいでした。
下山してみれば晴れている、山頂方面には雲がかかっているものの稲子湯周辺は初夏の朗らかな雰囲気が漂う。
この時間になると観光客の人とかもその辺歩いてて、駐車場は満車のままでした。
稲子湯の後は佐久の街でラーメンを食べる
下山後はすぐ下の稲子湯に、稲子湯自体はそんなに大きなお風呂じゃないんだけど山の温泉ということでしっかりと汗を流せます、旅情というか趣のある温泉で休憩所とかすごい昭和を感じる造りでよかったなぁという印象。
というか以前もここ入浴しているんだけど記憶が全くなかった、山は覚えていても温泉は中々覚えていられないんだなぁ……。
久々に下山後の温泉まで来ている、これは現地のグルメを食すことにより山、風呂、食すべてを網羅したパーフェクト登山まであともう少しということです、わかりますね?下山後の飯屋を全力で探しましょう!!!
ラーメンが食べたいので蕎麦じゃなくてラーメンでいいですか?
というやり取りを経てラーメン屋を探して2件目、15時前ぎりぎりに駆け込んだ信州臼田の「みよしや」さんで鳥ラーメンをいただくことが出来ました。
このお店焼き鳥がメインなんですがラーメンも出しているっていう感じ、チャーシューが鶏肉でラーメンはあっさりとした醤油味、焦がし醤油系のあっさりな味で美味しかったです。
山、風呂、食すべてをやり遂げ解散した後は道の駅でお土産を購入するミッションを達成します。
家族がいるなら必須のお土産、佐久方面ってレタスの名産地であることから道の駅で野菜を数点と、戸隠蕎麦とそばつゆを購入して帰宅することにしました。
途中道の駅まで登山百景氏の赤いエクストレイルにストーキングされるという恐怖体験がありましたが……。
帰宅後、レタスは大変家族に喜ばれて佐久周辺でお土産を買うときは鉄板になりそう、サラダにすると確かにすごくおいしかった、地産の特産野菜とかは我が家では喜ばれるのが本当に良かったです。
その後食べた戸隠蕎麦、蕎麦の国長野ではメジャーな蕎麦だと思うんだけど確かにおいしい!繋ぎの雰囲気が無いっていうか、スタンダードな蕎麦としてスルスル食べれる!
後味がすっきりしていて非常に食べやすい、夏に冷やして食べたいタイプの蕎麦でした。
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