2018年6月22日、上信越エリアの北にある只見周辺の名峰【浅草岳】に行ってきました。
初夏のシーズンにヒメサユリが咲く花の山。
鬼ヶ面コースではあたり一面のピンクの花を見ることができます。
花を求めて歩く登山ですが、山頂付近ではワタスゲを見ることができますし、道中ヒメサユリに混ざってニッコウキスゲを見ることも可能です。
また、山自体のディテールも見応えたっぷり。
豪雪地帯特有の雪に削られた山肌や、鬼ヶ面と名前のつくほど激しい岸壁を越えて歩くコースはとても歩きごたえと見ごたえがあります。今回は鬼ヶ面コースをピストンで歩き、初夏の浅草岳をたっぷりと楽しみたいと思います。
米どころ魚沼から入山するため、帰りのご飯も楽しみな登山の始まりです!
浅草岳日帰り登山に関して
六十里登山口から登る浅草岳
2018年6月22日午前6時00分、関越道赤城高原SA。
おはようございます、朝です。
太陽もすっかり上がった午前6時、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
私は本日浅草岳へ向かっております、6月といえばアルプス以外で花がきれいなシーズン、上信越と東北は花盛り。
花盛りな君たちの花を見に行くよ登山です。
関越道をひたすら北上し、浅草岳登山口のある只見を目指します、遠いわッ!
午前8時20分、浅草岳六十里登山口駐車場。
浅草岳鬼ヶ面コースの登山口であるこの場所なのですが、【福島県と新潟県の県境】となっております。
上越の山程度に聞くと近い気がするけども、福島との県境と聞くとめっちゃ遠く感じるでしょ?
本当に遠いんですけどね!
登山口には登山届提出BOXがあるので、こちらで登山届を書いて提出することが可能です。
午前8時30分、浅草岳登山プレイボール。
長い長い鬼ヶ面を歩き、ヒメサユリを求めて歩く本日の登山の始まりです。まずは樹林帯をひたすら歩いて、尾根の上に出ることが目標になります。
登山口から少しの間しかない樹林帯、暫く歩くと太陽が照りつける尾根道に出ます。
すると気温が半端ないことになるので、今のうちに樹林を満喫しておかないといけません。
登山口から程なくして鉄塔がある場所にやってきます。
鉄塔から更に上がると反射板的な建造物がある場所に出ます。
午前9時15分、マイクロ中継局。
電波反射板と書かれているのですが、なんのための施設なんでしょう?
近くにいるとマイクロ波で蒸発するとかないよね。
反射板のある場所からは徐々に浅草岳本体の姿が見えてきます、鬼ヶ面からは完全に別の山、別の山ですあいつ。
サンカヨウです、雨にぬれると花が透明になるサンカヨウ。
ブルーベリーみたいな実もつきますね、食用らしく甘酸っぱいという話ですけども、食べも事はありません。
登山中に変なもの食べてお腹壊したくはないので……。
鬼ヶ面山、田子倉湖を眺めながら歩く
稜線へ出ると大地に十字形に刻まれた傷跡のような湖が現れます、田子倉湖です。
実際はダム湖で、電源開発が所有する重力式ダム。
なんでも奥只見湖ダムに次ぐ日本第二位の発電量を誇る水力発電所ダムなんだとか。
釣り人にとっても聖地化したような場所らしいですね、個人的にはこの湖を横断する遊覧船を利用して平ヶ岳を登るという優雅なプランに憧れております。
鬼ヶ面山の斜面は南側が断崖絶壁。浅草岳はとても古い火山らしいのですが、その面影はあまりないですね。
午前10時00分、南岳。
最初のピークである南岳に到着しました。樹林は結構早く終わって、すぐに稜線にたどり着けるのがいいですね。
南岳からは今日登る浅草岳がよく見えます、かなり遠くに見えるんですけどっていうのは登山あるあるです。
「……完全に別の山じゃねぇかァッ!」
こちらは守門岳方面、東洋一の大雪庇が合言葉の残雪期の山という印象が強いけども、向こうもヒメサユリの名所とのこと、6月はシーズンなんでしょうね。
田子倉湖方面です、南岳から見ると完全に十字です、地面に十字が刻まれています。ちょっとかっこよすぎないでしょうか?
浅草岳もかなりかっこいいですね。厳ついあの山を目指して南岳を出発です。
南岳から鬼ヶ面山へ一歩踏み出すと、ついに現れました……。求めていたピンクのあれです!!
ヒメサユリ、浅草岳を彩るピンクの花と登山道。
ヒメサユリ、ついに出会うことができました。登山を始めてから三年か四年ほどとなりますが、ヒメサユリを山の上で見たのははじめてです。
尾瀬沼で人工的に植えられたのは見たことありますけど、それよりも感動が……ッ!なんというかすごく可愛い花ですね!
晴天の中、ヒメサユリが咲き誇る稜線を進みますが、ヒメサユリが多すぎて全く進めません。
常時こんな感じでヒメサユリが咲いています、すごい。
鬼ヶ面山まではヒメサユリが咲き続けますが、鬼ヶ面山から先は減ってしまうんですよね。なので、ヒメサユリを見る場合は鬼ヶ面山なのかなと思います。
鬼ヶ面山方面です、アップダウンを繰り返して浅草岳を目指します。稜線の大体の中間地点が鬼ヶ面山となります。
午前10時30分、鬼ヶ面山。
ヒメサユリロードを辿り鬼ヶ面山へ到着しました、結構先行していた登山者の方々がいらっしゃいますね。
山頂からは浅草岳方面の展望があります。
鬼ヶ面山を越えて貉沢カッチを目指します、鬼ヶ面山周辺もまたヒメサユリの天国。
浅草岳も大分近づいてきました。
どっしりとした緑の山、標高は蛭ヶ岳に100m足したくらいなんですけどね、雪国故に樹林が少ないのは助かります。
これから歩く尾根道ですが、長い、長すぎるよ。結構気が滅入るくらい長く見えますが、そんなに時間はかからずに登れました、凄い。
貉沢カッチ、ひたすら稜線を歩く
鬼ヶ面を越えて尾根をひたすら歩く、低木が生い茂る道で、よくならされているので歩きやすさはなかなか。
所々、崖の上を歩くような地点があります。
アップダウンも激しさを増します、鬼ヶ面山の次のポイントである貉沢カッチまでは画面のような撮影地点から、被写体の山に登って降りてを繰り返すんです。
低木の樹林帯がところどころに現れ、トンネルを形成しています。日差しが強い今日一日、日陰が本当にありがたい、日陰に来たら水分を補給しましょう。
ドウタンツツジがアメリカンチェリーみたいな色してる……。
午前11時20分、貉沢カッチ。
中継地点の貉沢カッチですが、休憩スポットとかはありません。
樹林の中に埋もれるように看板があるのみです。
ストックに体を預けてしばし息を整えます、こっから先は一気に登って山頂を目指すのです。
画面中央に十字を描く田子倉湖を眺めて、チャージができたらスタートです。
見返すと鬼ヶ面の斜面は地層の線がよく見えます、地質学に明るかったりしたらこういうのすごい楽しいんだろうなぁ……。
快晴はいいんですけど暑すぎて体力がどんどん削られていきます。
冬になったら凄い景色が見れそうな地形ですよね、壁が見れそう。
ただ、冬場にこの辺に来るには通行止めの道路を越えたり、いろいろしないといけないから大変だろうなとは思う。
北側斜面に出ると木道が整備された穏やかな高層湿原地帯が現れます、これまでの低木と藪は何だったんだ?
北側斜面は背の低い草と湿地が広がります。東洋一の大雪庇を誇るとされる守門岳が綺麗に見える、あっちも登りたいなー。
午後12時00分、前岳分岐。
指導標がバッキリ折れて地面に転がっていました。山頂方面は迷わないとは思うんだけども、これ困るよなぁ……。
山頂は雪渓の先に、北側斜面に残る雪渓の脇を登っていきます。
時期によるとは思うのですが、チェーンスパイクあると安心ですね、今回僕は持ってきてないからこのまま登ります。
雪渓は中々の斜度を誇っていたので、ストックなりスパイクを使ったほうが無難です……。
木道に合流したら次はワタスゲが咲く高層湿原が現れますよ!
浅草岳山頂、高層湿原に咲くワタスゲと田子倉湖の展望
山頂はもうすぐそこです。それまでの樹林や雪渓が嘘のように無くなり、完全に夏という雰囲気の景色が目の前に広がります。山頂直下は高層湿原、ワタスゲとモウセンゴケが咲く湿地です。
休憩するにはかなり最高のスポットです、木道広場もあるのでここでご飯食べるのはいいと思う。穏やかでのんびりとした時間が過ぎていく……。
ワタスゲも程よい株数といった感じでしょうか、田代山みたいな暴力的な数は咲いてません。
草木とのコンビネーションがいい、程よい数が咲いています。
一言でいうと、エモい。
モウセンゴケです、初めてこんなマジマジと見た!という植物ですが、これマクロを持っていくとめちゃくちゃ楽しい植物です。山の上でこんな食虫植物見れるの?すごくない?と一人で小躍りしていました。
赤いボンボン部分が粘着質になっていて、そこに虫がくっつくようですね。
振り返ればバイケイソウの花が咲いているではありませんか!
バイケイソウの花は数年周期でしか咲かないのでレアです、今まで登山していて咲いてるシーンを記憶していないので感動的でした。
午後12時20分、浅草岳山頂到着。
スタートから4時間ほどで山頂にたどり着きました、この日はかなり汗かくくらいの速度で頑張って登りましたけども、それでも4時間。この山の鬼ヶ面山コースは結構コースタイムが長いということがご理解いただけたでしょうか?
標高は1,600mに満たないんですけどね……、横に長いんですこのコース。
山頂からの眺め、これまで歩いてきた尾根道、稜線が全てきれいにくっきりまるっと見える。
快晴でいいですね、本当に天気に恵まれた。
山頂から見る田子倉湖です、十字形がよりきれいに見えるようになりました。本当に山深いエリア……。
帰ろうかなと思ったら山頂の岩場に蛇がいるのを発見しました、結構でかい。
蛇は縁起のいい生き物と習った、顔もよく見たら可愛いもんです、
でも触りたいとは一切思わないんだけども。
日も傾き始め、午後の日差しとなってきました、下山も長いので降りましょうか。
下山、長き稜線を越えて風呂を目指す
午後1時00分、浅草岳下山開始。
暑い、とにかくめちゃくちゃ暑いぞ浅草岳。
午後に入って日差しがめちゃくちゃ強くなってきました、一刻も早く下山したい。
木道周辺にいた人々はいつの間にかみな姿を消しました。
というか駐車場にあった車の数と今日山で出会った人の数が合わない気がする。
みんなどこに行ったというんだ。
はるか向こうにいるのは飯豊山、あこがれの山の一つなんですけどなかなか行けない。
守門岳も雲一つない晴天、あっち側も暑そうだ。このまままっすぐ進みとネズモチ登山口とかそっち側ですね、浅草岳の最短ルートです。
日の傾きがずいぶんと変わった鬼ヶ面方面、午後の時間も楽しませてくれそうです。
田子倉湖方面も太陽が照り付け凹凸のない薄っぺらい景色になってしまいました。
往路ではぐったりしていたニッコウキスゲ、いつの間にか元気を取り戻したのか、満開の状態になっていました、ヒメサユリに制圧された尾根では貴重。
鬼ヶ面山で目立つのはこのピークでしょうね、谷川岳主脈のエビス大黒ノ頭を思い出します。
下りモードの体で登る登坂って本当につらいです。
浅草岳ははるかかなた、さっきまであの上にいたんだなと思うと感慨深い。
ていうか今日のコースは中々にタフです、本当に長いんだよなぁ。
浅草岳は各方面から伸びる登山道があり、山頂にも多くの人がおり人気の山なんだなぁというのが良くわかる山でしたね。
僕は今日この鬼ヶ面山コースを選んで本当に楽しかったです。
ちなみにどれくらい崖の上を歩いているのかというとこんな感じです。
右側に落ちると100mほど落ちていくと思うので、絶対に落ちないようにしましょう。
午後2時45分、鬼ヶ面山。
ようやく鬼ヶ面山まで戻ってきました、ここまでくればあと登り返しは一回。
南岳を登ってマイクロ中継局を駆け抜けて駐車場に行くだけです。
画面の中心奥にある南岳を目指して下山していきます。ヒメサユリはなんだ、午後に入って正直見飽きた感がある。
ヒメサユリまみれだった痩せ尾根です、午後になるとヒメサユリがより元気に。
今日一日ヒメサユリに楽しませてもらいました。
上信越エリアの山々は山深いっていう言葉が合いますよね、華やかなイメージは全くないからすごい。
新潟や群馬北部って樹林と高層湿原の山が多いなというのが僕の感想。
目の前に広がる山も青々としていて、森林限界の禿げた山はほとんどない。
浅草岳も樹林は高層地帯のものとはちょっと違うんだけども。
積雪の影響で草木の背は低くて展望がいい場所でした、この時期も最高だけども、この辺一帯はやっぱり秋になると全山紅葉みたいになってきれいそうだなと思います。
午後3時50分、マイクロ中継局。
もう午後4時近く西日のぬるーい光を浴びながら樹林の中を抜けていきます。
午後4時30分、六十里登山口駐車場。
下山完了です、ようやく駐車場まで戻ってきました……。
駐車場にあった車両は半分以上いなくなっており、みんないつそんなに降りたの?
僕登っているときに下山の人なんてほとんどすれ違わなかったじゃん!と思ったよ。
寿和温泉、下山後のお楽しみ
下山後は車を走らせJR只見線の大白川駅まで急いで戻りました。
そして自動販売機にたどり着いた僕の視界に現れたのは
ドクターペッパー
う、嘘だろ?こんな新潟か福島かよくわかんないとにかくど田舎に、宇宙船の燃料だとか杏仁豆腐の味がするとか、飲むやつは舌が貧相とか散々言われる超都会的飲料がなぜこんなところにッ!!!!
カロリーを消費しつくした体にドクターペッパーを二缶ほど流し込んで燃料を補給。その後は寿和温泉へとやってきました。
浅草岳下山後は帰り道の途中にあるこの温泉がお勧めではないでしょうか?
結構いい露天風呂がありまして、めちゃくちゃのんびりできるんですよ。
あまりにだれもいないし、脱衣所も近いのでうたたねする位快適でした。
風呂から上がり、15分ほど休憩所で仮眠をいただき帰路につくことにします。
「新潟に来たんだから本気丼とか食べたいドン!」
「新maiの季節じゃないから丼がないドン!」「ハンバーグを食べるドン!」
頭の中でなぜか太鼓の達人のキャラクターが語り掛けます。
魚沼といえば米の季節に本気丼という丼ものを飲食店が提供してくれるのですが、さすがに米の収穫とは無縁のこの時期に本気丼を提供するような店はありません。
なので、おいしそうなハンバーグショップにやってきました。
「これだよ、これだよこれこれ!ジュージューだろこれこれ、これだよ!!」
著しく低下した語彙力を駆使し、自分自身に喜びを伝えながらハンバーグをいただきます。
時同じくして奥さんから連絡があり、ご飯食べた?と聞かれ、ハンバーグを撮影して送ってみました、すると……。
「ふーん、楽しそうだね。じゃあ気を付けて帰ってきてね」
という一文が返ってきたため、私は急いでハンバーグを食べて関越道へと乗り込むのでした。
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