2018年2月26日、福島県と山形県にまたがる吾妻連峰の最高峰、
西吾妻山にいってきました、標高は2,035m。
冬は樹氷、いわゆるスノーモンスターが稜線を埋めつくし圧巻の景色が広がります。
毎年スノーモンスターを見ようと頑張っているのですが、
当ブログではスノーモンスターを見れたことは今だなし。
しかし、今回はようやく圧巻のスノーモンスターを見ることができました!
西吾妻山の樹氷はサイズが小さく、リトルスノーモンスターと呼ばれているのですが
現地に赴いた僕を迎えてくれたのは3メートルを越える巨大スノーモンスター。
「リトルじゃない……こいつには、勝てない!!」と思わせてくれる怪物が
視界を埋め尽くしているのでした。
白銀の世界を進軍する樹氷を求めて、進撃の西吾妻山登山の始まりです。
西吾妻山雪山登山について
冬季の西吾妻山に登る方法は二つ。
・福島県のグランデコスノーリゾートのリフトを使う方法
・米沢の天元台スキー場のリフトを利用する方法
上記の二種類があります、関東からはグランデコのアクセスがよく、
平日は駐車場無料ということもあり、今回はグランデコから西吾妻山にのぼります。
西吾妻山のスノーモンスターは西大巓~西吾妻山~吾妻神社付近に密集しており
特に巨大なものは西大巓と西吾妻山山頂直下に集中しています。
西大巓側からのアクセスは「磐梯山」「安達太良山」「飯豊山」の展望がよく、
会津のシンボル磐梯山を常に背中に背負ってのぼれるところが魅力です。
コースタイムも程よく魅力的な西吾妻山ですが、注意点があります。
・吾妻山の特徴でもある稜線の幅の広さ、つまり悪天候では現在位置を見失いやすい。
・樹氷は多いけどもツリーホールもたくさんあるから注意。
特に稜線は視界を失うとGPSなしではまず遭難するような場所なので、
西吾妻山登山の際は天候にはとても気を使いましょう。
このエリアは冬の間とても天気が悪いです、
冬型の気圧配置が続く2月は日本海側の山が晴れることは奇跡に近いと考えましょう。
土日に晴れが重なることは貴重なので、
常にSCWやヤマテンで天気を確認することをお勧めします。
重ねて言うけど、冬の山形マジで晴れないから気をつけてください。
- 1.西吾妻山樹氷登山について
- 2.グランデコから登る西吾妻山
- 3.西大巓、福島から見る東北の百名山
- 4.西吾妻山へ、スノーモンスターと大雪原の宴
- 5.山頂、リトルスノーモンスター進軍
- 6.下山、青い空を覆う雲との戦い
- 7.まとめ
1.西吾妻山樹氷登山について
西吾妻山へのアクセス
冬の間はスキーツアーのバスなどがあるのでそちらを利用した登山などが可能です。
公共交通機関を利用したアクセスはこの時期はオススメできる気がしない。
車
【高速】浦和→猪苗代磐梯高原IC 4150円/5,860円(ETC/普通)
往復交通費合計 約8300円+ガス代が4000円ほどになるかと。
ナビは「グランデコスキーセンター」あたりに打つのが良いです。
西吾妻山雪山登山のコースタイム
グランデコ8:30→山頂駅9:00→西大巓10:30→西吾妻山避難小屋12:00-12:15→
山頂12:30-12:45→天狗岩13:00→西吾妻山避難小屋13:25→西大巓14:05→山頂駅14:55→
グランデコ15:20
合計登山時間 7時間10分(標準CT5時間10分)
樹氷を見るためにかなり道草を食いました、そして冬山って夏よりも時間かかります、注意。
この登山で使ったお金
交通費往路 4,150円(深夜料金)
交通費復路 5,860円(普通料金)
ガソリン代 4,500円程度
行動食と水 800円
リフト代金 2,080円
温泉料金 1,000円(デコ平ホテル利用)
バッジ 500円
下山後ラーメン 800円
合計 17,980円、だいたい2万行くか行かないかくらいでした。
複数人で来て交通費をシェアするとお得です。
この登山で使用したカメラとレンズ
2.グランデコから登る西吾妻山
2018年2月26日午前3時15分、阿武隈SA。
こんばんわおはようございます、D850×2台持ち登山芸人のredsugarでございます。
本日は2月26日でございます、
今日は国内でスノーモンスターが観れる場所のひとつ、西吾妻山に登ります。
西吾妻山に登るためにはグランデコのリフト始発に間に合わせなくてはなりません。
つまり夜の東北道ドライブというわけです。
午前6時45分、猪苗代湖前のセブンイレブン。
僕の家がある埼玉県南部から福島県までは車で三時間ほど、
この日は終電集合で走っていたのでかなり早く猪苗代湖に到着しました。
グランデコのオープンまでは時間があるので「トイレ」がある
セブンイレブン前で仮眠をとって朝日と共に出発です。
最近はコンビニや道の駅で少し寝させて頂いて、
夜明けと共に出ていく方が体力的に楽になってきました。
午前7時40分、グランデコスノーリゾート駐車場。
「さすが月曜日だ、誰もいねぇ…」
がらーんという効果音が描かれそうな駐車場を後にしてグランデコへ向かいます。
平日は駐車場無料なのでとてもお勧めです。
グランデコスノーリゾート、前回来たのは紅葉の時期ですね、久々です。
そして今回ご一緒させていただくのはみやっちさんです、
冬はたくさんご一緒させていただき大変お世話になりました。
みやっちさん視点の西吾妻山の記事はこちら。
グランデコに到着したはいいがまだ営業時間前です、施設内で待たせてもらえるので
暖房のついた室内でリフト券販売を待ちます。
とりあえず施設内をぶーらぶらーと歩きます、2月だけどクリスマスツリーがある。
やはりスキー場→広瀬香美→ロマンスの神様→シーズン中は毎日がクリスマスラブ
ゲレンデマジックとか今でもあんのかな。
飾り付けは可愛かった(小学生並みの感想)
午前8時20分、チケット購入。
リフト券が販売されたら小走りで並んでチケットを購入します、
西吾妻山登山では1回券を4枚購入する必要があります。
一枚510円なので、2,500円握りしめて並びましょう。
チケットを購入したはいいけど、リフトの稼働まで少し時間があります。
準備体操しながら本日のバックパックの紹介です。
今シーズンからバックパックが入れ換えとなり、
通常使用のザックはマムートとカリマーになりました。
今日はMAMMUT Trion pro35+7Lとなります、
これはマムートのトリオンでは一番上のラインになります。
【Trion proの特徴】
・とにかく頑丈、生地が分厚い
・本当に頑丈、生地が全然ダメージ受けない
・外装にメッシュがない、木に引っ掛けてほつれる心配がない
・スキーストッパーに三脚を付けれる、奇跡か。
・留め具がめちゃくちゃ滑らかでストレスがない、特に冬ではここ重要。
背中はメッシュじゃないから暑そうです、夏はどうなってしまうんだろう。
このザックの良いところは背中と接する側を開けることができる事です。
耐久性は多少犠牲になったと言われますが、15キロくらいの荷物ではフレームは歪みません。
また、ジッパーがとにかくなめらかで片手で開けたり閉めたりできるのが便利です。
片手が塞がってても操作出来るように設計されているとしか思えないくらい各所の滑りが良い。
サースフェーはその部分に関してはよくなかったんだなってのを痛感しました。
腰ベルトにはクライミングギアをつけるためのループがあるため、
ここに小物を格納はできません。
その代わりチョークバッグやドリンクホルダーを付けれるので、
一般ハイカーの僕はドリンクをつけることにしました、
これが超便利なのでみんなにお勧めしたい。
滑りの良い留め具。
マムート製品はこういった部分の質がよく、
人差し指と親指の少ない力で開閉ができます。
雪山で使用することを想定していると思うのですが、
手が悴んでても動作するようにしているんでしょうね。
この部分の快適さがこのザックの良さです、細かいストレスが全くなくなりました。
ちなみに背負い心地もとてもよく、腰にかかる負担が少ないなと思いました。
50Lも購入して使ってますが、バルトロ75に比べると腰骨へのアタックが優しくて好きです。
(GWの関西遠征の前に15キロ積んで両方を試した)
午前8時35分、リフト乗車。
8時30分にリフトが稼働したので乗車しました、
とはいっても登山口へ向かうリフトの稼働時刻は9時00分。
少し早いけど上にいって準備をします。
山頂駅付近では樹氷の雰囲気は全くない。
このスキー場の良いところは目の前に常に磐梯山が見えることですね。
「あれは100人いたら99人は百名山にいれるわ……」と言える山、磐梯山。
西吾妻山は安達太良山、磐梯山、飯豊山、月山、蔵王が見渡せる東北百名山のど真ん中なんですよ、なので是非晴れた日に歩きたい。
午前8時55分、山頂行リフト乗車。
少し早く動かしてもらえました、うへへへ。
この日は風もなくリフトの乗り心地はよかったです、
風が強かったら凍傷まっしぐらで寒いですから……。
磐梯山かっこいいなぁ、来年は冬期の磐梯山に挑戦したいです、3月か1月ですかね。
午前9時15分、西吾妻山登山開始。
リフトに揺られ登山口に到着しました、
ほとんどの方は滑り降りていきますが、我々はここから登ります。
人気の山なのでトレースはバッチリですね。
登山口から樹氷がお出迎えです、地肌が見えてるけどデカイ!
これは山頂エリアが期待できます、テンションが上がるゥ!
西大巓まで登ります、この辺は心地良い樹林帯歩き、
スノーシュー、わかんでずいずいと進みましょう。
不思議な雪の造形物が次々と現れます、幸せゲージが満たされるな。
西大巓付近は傾斜が少し急です、緊急停止訓練ができそう。
時おり現れるこういった展望地点では遠景が非常に綺麗に見えます。
目の前に磐梯山、かっこよすぎます。
裏磐梯方面の荒々しい爆裂火口がとても雄々しい姿を形成します。
こちらは霞んでいるけど安達太良山、目を凝らせば爆裂火口が見えます。
僕のお勧めは沼尻方面から火口沿いに歩くルートです、
温泉の山安達太良を実感できて良いのです。
西吾妻山山頂、山頂付近は真っ白ですね。
樹氷がたくさんあるのがわかるので今から気分が盛り上がります。
先ずは西大巓ですが、景色がいいのでなかなか先に進めません、とにかく楽しい。
ここは雪のテーマパーク、入場料が1万円くらいするけどな!(交通費など)
みやっちさんも写真撮ってて楽しそうです。
空気がとにかく綺麗で、肺が綺麗になっていくようだ。
登山好きな人は山にいくと体調がよくなります、
僕も実家に帰って毎週日高とか行きたい、やっぱ東京つれぇわ……。
標高が上がる度に磐梯山を振り替える、樹氷と磐梯山って良いよなぁ。
西大巓直下はひたすら登り、距離はないので一気に登ります。
ちなみにこの登り、こんな感じに撮るとすげぇかっこいいじゃんと思いました。
全てをかっこよくしてくれる山、磐梯山。
うーん、これは百名山の貫禄ある。
西大巓まで上がると西吾妻山の核心部である
【西大巓→西吾妻山山頂の間の鞍部】が姿を見せます。
この広大な景色が最高に気持ちいい、実際はかなり稜線の幅が広くみえます。
そこに樹氷がびっしりと生えてるわけです、楽しいに決まっている。
西大巓は目の前、登りきったと思ったら偽ピークでした、ぎゃふん。
西大巓からストンと落ちる雪の壁はBCの人にとってかなり楽しそうな場所ですね。
西大巓周辺には完璧な樹氷が沢山現れます。
しかもサイズが結構大きい、3メートルクラスのものがボコボコ突っ立ています。
SCW等を見ているとわかるのですが、
冬の間は西風が吹くことが多く、吾妻山の西側斜面に樹氷はできます。
そのためどの樹氷も基本飯豊山側に雪が延びていっているようでした。
ちなみにヤマテン予報では飯豊山が晴れ、
かつ西風である場合西吾妻山は高確率で晴れます。
この山にいくときは風向きに注意したいですね。
3.西大巓、福島から見る東北の百名山
立派な樹氷と磐梯山のコラボレーション、僕は今幸せです。
雲ひとつない快晴、最高です。
写真的には雲があった方がいいのかもしれない、でも歩くときは快晴が好きです。
雪で足元をとられるため登りは常にこんな感じで情けない歩きを見せていたようです。
腰をもっと起こさないとダメですねこりゃ。
西大巓手前の樹氷はこんな感じ、樹氷がモリモリ、でもこれはまだ序の口です。
磐梯山をいれるとどんな写真でもかっこよくなる説を提唱したい。
午前10時35分、西大巓到着。
手前の樹氷地帯を抜けて西大巓へ、
西大巓山頂周辺は風が強いのか樹氷のサイズは比較的小さめでした。
小さいといっても高さがないだけで、太さはかなりのもの。
そして西大巓からは百名山屈指の凄いやつといわれる飯豊山が見えます。
うーん、めちゃくちゃ白いなあれ……。
西大巓のスノーモンスター達、どことなくエジプトのスフィンクスを連想させる出で立ち。
横顔みたいですね。
西側から風が吹き付けているんだなというのがよくわかります。
斜面に沿ってスノーモンスターがびっしり、その奥には飯豊山、これが西大巓の展望です。
そしてこちらがこれから進む西吾妻山方面。
「すげー!ひろーーーい!」と大分語彙が失われるくらいアホになれます。
登山者のフレンズ化が激しい。(すごーい、たーのしー、など)
積雪期は木の高さまで雪が積もるため、歩ける場所が秋に比べるとかなり拡張されていました。
ツリーホールに気をつけて樹氷ウォークを楽しむ時が来たのだ。
人もまばらで、足跡のない場所も沢山です。
パウダースノーを踏みしめるため西吾妻山に出発です!
ちなみに西大巓からは米沢市街が見えます、山形方面も真っ白ですね。
山形は東北屈指の山岳県、百名山も月山、鳥海山、蔵王、大朝日岳、飯豊山と
個性際立つやつらが沢山です。
美大もあるしごはんも美味しいから東北では一番好きですね。
西大巓から西吾妻山に進んだところで撮影しました、
とても綺麗なスノーモンスターと稜線です。
どこを見てもこんな景色が広がります、天国かよ……。
快晴のもとで照らされたスノーモンスターの爽やかな姿、とにかく気持ちが良い。
全然リトルじゃないし、蔵王までいかないにしても、巨大な樹氷が次々に襲いかかる。
奇跡の雪の造形だなぁと感動しながら先に進みます。
苦労してようやく見ることができたスノーモンスター、感動っ!
密集するスノーモンスター達、あのなかを通り抜けたいという気持ちが強くなります。
これは突っ込んで行くしかねぇ!
4.西吾妻山へ、スノーモンスターと大雪原の宴
大雪原を進む、この爽快感ははじめてのものでした。
どこを歩いても大丈夫っていう安心感、新雪にバフバフと足跡をつけていく爽快感。
雪山ってこんなに楽しかった?と思わせてくれます。
最初はトレースを追っていたけど、次第にトレース以外のところで遊び始めました。
こういうときは子供の頃、雪の積もったビート畑の上で遊んだことを思い出せ…、
どこの雪が固くてどこが柔いか見れば何となくわかるはずだ、と。
広大な雪原を歩く登山者、夢のある景色でした。
足跡のない雪原、樹氷の間を縫って歩きます。
これは凄いお勧めしたい、ツリーホールには気をつけてほしいのですが
西吾妻山の醍醐味はトレースから離れて歩くことだと思います。
トレースは山頂までの最短を歩いているので
寄り道して樹氷のなかを進んだりした方が楽しいのです、
もちろん迷えないし、歩き方には気を使うんですけど。
足跡のない樹氷帯を進むのは思い出に残ります、楽しさが体に染み込んでくると思う。
足跡のない雪原の向こうに西大巓。
西吾妻山が地味だの百名山っぽくないという人は秋と冬歩くと良いと思います。
ここはデコ平湿原の紅葉がきれいだし、渓流ルートの自然は豊かだし、稜線は雄大だし。
冬は樹氷が凄いしで見所が沢山あります。
西大巓方面、広大。
この雪原を降ってくるのが本当に楽しかった。
降りてくるとこんな感じです、鞍部にはスノーモンスターの大軍が待ち構えており、
景色もこれまで以上に迫力あるものになります。
リトルって聞いてたからもっと小さいと思っていました、
実際はこれくらいの奴がずーっと稜線を埋め尽くします。
さて、西吾妻山に向かって登り始めたいと思いますが、
西吾妻山登山としてはここら辺からがスイートスポット。
樹氷の間を縫って歩く樹氷ウォークの始まりです。
西吾妻山手前の取り付きは軒並みスノーモンスターのサイズが大きいようです。
近くまで来ると迫力抜群ですね。
これぞまさにスノーモンスター…、こいつには勝てそうもないな。
西吾妻山の登り斜面はトレースを使わせてもらったり、トレース外をバフバフ歩いたり
大分ジグザグに歩きました、一緒に歩いていたみやっちさんには申し訳ない。
楽しいからやめられませんでした。
標高が上がると徐々に背丈が小さくなるスノーモンスター、
この辺はリトルと読んでも差し支えないサイズになってきます。
積雪量の関係で上の方が小さくなるんでしょうか?
綺麗な太陽が樹氷を照らす、この日も天気に恵まれた良い日でした。
雪景色なので被写体に色がないと単調な景色が続きます、
なのでお互いに前にいって被写体になるというのを繰り返して歩きました。
このどこまでも続く樹氷を見てほしい、これだけ樹氷があればそれはそれで満足じゃないか。
蔵王が一番とか八幡平だとか言いません、西吾妻山には西吾妻山の良いところがあるし
樹氷だって立派なものがあるんです、ここは良い山です本当に。
定番のプラトーン、もしくはザ・ロックでニコラス・ケイジが発煙筒をあげるシーンである。
あまりの気持ちよさに雄叫びが上がる。
ひたすら爽やかスノーモンスターが続く。
人があるいていないポイントが沢山あるのですが、
そういうところには良い景色が眠っていたりします。
この日は積極的にトレースのないところを散策していました。
後ろを振り替えると真っ白な稜線が続きます、
この緩やかにたわんだ白い稜線歩きは今後冬の定番にしたいくらいだ。
樹氷の足元にあるツリーホールをうまく潜り抜けながら先に進みましょう。
樹氷の間をジグザグに進みます、直線に歩くよりもこっちの方が楽しいです。
足跡のついていない雪原と樹氷の組み合わせっていいですね、
目の前がスカッとする気持ちの良い世界です。
こんなところでも磐梯山は安定の迫力を見せてくれる、樹氷×磐梯山。
東北の山に行くならこれは是非とも見てほしい景色です。
巨大なスノーモンスターがひしめき合う稜線。
人気のないところを歩いていたら雪原に出ました、一番乗りだったようです。
こういうところに出たらやることはひとつ、俺の足跡を真っ白な雪に刻んでやるぜ!
という訳でただ雪原の中を歩き回ります、ゆっくりとね。
実際は事前に景色で確認した場所で、
急斜面手前の原っぱ的なところだなっていうのは一致していました。
ここの奥には樹氷になる直前の木々が密集していたのも覚えていたので、
それを確認せずにはいられませんでした。
そして雪原を崖側に歩いてようやく見つけたこの景色。
樹氷へと成長途中の松の木の群生でした、
地平線まで続く勢いで視線の奥に森が続いています、スケールが大きい……。
広角でとらえる西吾妻山の南側斜面と福島、シンボリックな磐梯山が雪の稜線に浮かび上がる。
避難小屋が見えてきました、秋に歩いた時は西大巓からすんなりと到着した覚えがありますが、
今回は道草がたたり結構遅れちゃった…。
5.山頂、リトルスノーモンスター進軍
午前11時55分、西吾妻山避難小屋到着。
冬の避難小屋は2階からはいるものだと思っていましたが、
しっかりと1階が除雪されていて衝撃を受けました。
お、俺が見たかったのは2階からはいる避難小屋だったのに……ッ!
ここで一旦休憩をとらせてもらいました、みやっちさんは休憩なしで行けるようでしたが
僕は流石に休憩しないとちょっときつい……、
冬の間はこちらのプロテインバーベイクドチョコ。
チョコが美味しいし、冬なら固まっててくれるので食べやすいです。
もちろん夏はドロドロに溶けるので食べれないとは思うんだけどもね。
スノーリトルモンスターとマシュマロをかけ合わせて遊ぼうとしたんですが。
もうそんなのどうでもよくなってしまった、それくらい樹氷が綺麗。
ダッフィーもさぞかし満足でしょう。
休憩から復帰したので西吾妻山山頂を目指します。
無雪期であれば山頂までは木道が続く西吾妻山ですが、冬はご覧の有様です。
木道の代わりに雪の回廊がどこまでも続きます。
どこを歩いてもおっけーという道、
山頂付近は背丈ほどもないスノーリトルモンスターが溢れる。
この辺は雪が多すぎて頭しか出てないんだろうなぁ。
爽快感抜群の景色だ。
風がすごい強いんだろうなということを想起させる景色です。
樹氷は一方向から吹き付ける風により出来上がっているようでした。
テーブルみたいな背丈の樹氷はまさしくリトルスノーモンスター。
というかこれはこれでここでしか見れない景色です、樹氷は大小じゃないのでは…。
さすが山頂付近、密集度が他とダンチだ。
多くの樹氷を前にしてみやっちさんも楽しそうでした。
山頂手前の樹氷は枝が一切見えない完璧な樹氷で、氷の彫刻みたいな見た目。
雪がギューーッと詰まったような見た目をしていました。
ツリーホール周辺もガチガチに固まっていて穴に落ちることはなかった。
ツリーホールにわざと入る前は、ストックや片足でガンガン小突いて
安全を確認してから入ってみましょう、落ちたらシャレにならないので自己責任で。
安達太良山爆裂火口で見かけたようなカニのむき身のようなオブジェが樹氷となり
それが数百とか千いくつと並んでいるわけです、おそるべし西吾妻山。
こんなディテールの細かいお化けみたいなのが大量に突っ立っているんですよ。
すごい有機的なフォルムを持った怪物みたいで本当に怖いですね。
山頂が近づいてくるとご覧のような景色に、細い枝とかが逆に目立つようになりました。
この辺って確か立ち枯れした木々がたくさんあったはず。
午後12時30分、西吾妻山山頂。
冬の西吾妻山山頂ですが、指導標が埋まっているので山頂がどこかわかりません。
GPSを利用してここが山頂であるという確認をしなければ発見は無理です。
幸い山頂付近はだだっ広く、樹氷がぽっかりとない場所があります。
つまり樹氷のない場所付近が山頂と思われます。
山頂からはもちろん磐梯山のいい景色が。
無雪期にくるとここは展望がないのですが、積雪期は西大巓と同じく展望が良い山に。
西吾妻山山頂周辺のリトルスノーモンスターと磐梯山のツーショットは是非とも残したい。
西吾妻ダッフィーは無事リトルスノーモンスターをゲットできたようでした。
この辺もリザードマンみたいな顔した樹氷とかがたくさんあって歩くのが非常に楽しかった。
そしてさすが山頂、風が強く雪が舞っていました。
東吾妻山や一切経山方面です。
向こう側は西吾妻山に比べると圧倒的に雪が少ないようですね。
西側にある西吾妻山で雪が降りて向こうまでは届かないんだろう。
つまりこういった樹氷を見るためには西吾妻山にくるしかないということです。
一切経山周辺は標高も低いので樹氷ができにくいという理由もあるんだろうけど。
さて、山頂を後にした我々は「ちょっと奥まで行ってみる」の精神で吾妻神社に向かいます。
普通は山頂からピストンするのですが、ここは吾妻神社まで行くととてもいい思いができます。
少し吾妻神社側に降りただけでこの巨大スノーモンスター。
そう、西吾妻山は山頂の西側と北側でできる樹氷のサイズが違うのです。
この辺は4メートル級の大型樹氷もみられ、非常に満足度が高かったです。
「これは今年無理して蔵王に行かなくても良かった……」
と思わせてくれる素晴らしい景色です、というか来年も歩きたいです。
巨大樹氷エリアを抜ける、名残惜しい。
白と青だけが支配する世界がこの先も続きます。
エイリアンみたいな樹氷が雪の大地を進軍する。
再びリトルスノーモンスターの大群が押し寄せる。
山頂から吾妻神社に降りると本当に人がいない、おかげで足元がない大地が綺麗。
トレースがないから雪面がとにかく綺麗なんですね、最高。
東吾妻山方面の斜面、いわゆる東側斜面の樹氷は少し成長が悪い。
場所がちょっと違うだけでこんなに成長度合いが変わるのかと感心しました。
うーん、これ…ちょっと卑猥な形に見えてしまう。
心が暗黒に染め上げられている僕にはこういうものが正しい形に見えないのだ。
吾妻神社は画面左側の黒いぽっちみたいなやつです、片道10分くらいかなーと思い
雪の中をとぼとぼと歩きます。
雪の上につけられたトレースは天元台から登る登山者のもののようです。
でも神社に行くトレースは一つもありませんでした。
西吾妻山の樹氷は西に向かってご覧のような線を描いて出来上がります。
なのでカメラを傾けてパースを感じさせるように撮るとかっこよくなるようです。
写真が上手になりたいですなぁ。
神社側へ進むにつれ景色は力を増す、というかスノーモンスターが無限増殖してる。
こんな大量の樹氷どこに隠れていたんだというくらいです、斜面全てが樹氷。
吾妻神社手前の天狗岩まで来ました。
これは冬でも雪の上に顔を出している目印です。
午後13時00分、吾妻神社到着。
吾妻神社ですが、姿形がかろうじてわかる程度でした。
雪のおかげで大変な見た目になっていらっしゃいます、正面はどっちだ?
ちゃんと手を合わせて下山の無事を祈ります。
神社から眺める西吾妻山、神かよぉ!
これはリトルスノーモンスターの大群です、この景色こそ西吾妻山らしい景色だ。
蔵王とかとはまた違う、大量の小さな需要が地平まで続く景色です。
神社からは飯豊山がよく見えますね。
奥にいる大朝日岳を擁する朝日連峰の姿もうっすらと確認できます。
ここを離れるのがなかなか名残惜しい景色です。
吾妻神社から天狗岩付近までは高台になって降り、樹氷軍団を上から見下ろすことができます。
後ろから見た吾妻神社はなんだかもうよくわからない見た目に。
みやっちさんに先に降りてもらいました、なんていい景色なんだ。
現地では人が一人いるだけで100倍くらい感動的な光景だった。
ここを離れるのがもったいないという気持ちでなかなか下に降りれませんでした。
次回西吾妻山に来るなら一目散にこちら側にまず来る気がする。
いや、というか避難小屋に宿泊してこの山で朝日と夕日を撮影したい。
山頂に長居すると帰りのリフトに乗れなくなるかもしれません。
それは困るので急いで下山します。
急ぐとは言いつつもこんな景色を目の前にしたら遊んじゃうよね。
この辺の樹氷も背丈が高く、立派なノーマルスノーモンスターでした。
このぎゅっと圧縮された樹氷の景色は西吾妻特有と聞きました。
本当なら嬉しいものを見れたなぁ……。
ところどころ語りかけて来そうな雪の怪物が、個性豊かな造形に彩られる西吾妻山。
避難小屋まで戻って来ましたがそのまま西大巓に向かいます。
少し雲も出て来てしまったので先を急ぎましょう。
冬の西吾妻山は曇ると数日間は雪が続くような場所なので危ないのです。
グッバイ西吾妻山、この景色は圧巻。
また必ず来るからその時も同じような素晴らしい樹氷を見せて欲しい。
帰りは急ぐと行ったな、あれは嘘だ。
帰りは帰りで行きたいところがあったのです、避難小屋手前の斜面は樹氷が巨大で。
巨大な樹氷の中を縫うように歩くことができるフィールドが広がっているのです。
山頂から連綿と続くそれらの巨大スノーモンスター地帯。
足跡もないので俺たちの歩いた後を刻んでやるぜ!ということで道無き道へ。
たまーに同じこと考えてる人がすれ違ったりします、みんな樹氷の中をうろうろしている。
この西吾妻山の歩きやすさを考えるとしょうがないよね、うろうろしちゃうよね。
人間の2倍くらいあるやつがちゃんと用意されていますよ。
雲が出て来ていい景色になった磐梯山。
今日は始まりから最後まで一番綺麗な遠景を見せてくれました、サンキュー。
この辺の樹氷はもはや蔵王と変わらないということでした。
西吾妻山に来て良かったぁああああっ!と叫びたくなる瞬間でした。
6.下山、青い空を覆う雲との戦い
完成度60%くらいの樹氷が斜面を覆い尽くすこの景色も好きです。
もっと広角があれば磐梯山入ったんだけどな。
西大巓側に雲が迫って来ています。
西吾妻山の晴天時は西風、天気が悪くなるのも西からが多いんでしょうね。
太平洋にかかる南岸低気圧が訪れる時も大荒れするみたいだけど。
基本的には西側の日本海側に低気圧がやって来て天気が崩れるとおもっている。
西吾妻山のリトルスノーモンスターは見納めです。
雲の日陰に入ってしまった西大巓、これは帰りはすんなり行きそうです。
だって日陰に入ってしまったら二人とも歩くのに専念しちゃうから。
西大巓へと帰るみやっちさん、絵になる。
振り返ると西吾妻山は晴天、西大巓は曇り。
近くの山なのに全然天気が違うのは登山あるあるか。
午後の遅い時間になり流石に足跡がつきまくった斜面。
午前中のうちにあらゆる場所に足跡を残した我々は正解だったようです。
神社から下山を開始して1時間ほどで西大巓に戻って来ました。
写真さえなければ早いんだよとか言われそうなくらいの速度でした。
磐梯山にも雲がかかろうとしています。
我々は下山なのであとは雪降っても大丈夫の心持ちでおります。
完全に太陽は雲の向こうに、下山のタイミングで曇るというのは幸運なことです。
あとはひたすら降りることに集中すればいいのです。
今日の助演優秀賞は磐梯山に決まりです、ヤマデミー賞助演ですね。
下山する頃には樹林帯の雪は溶け始めているようでした
朝に比べると明らかに木々についた雪が少ない。
ずーっとバックカントリーの方の足跡を追っていたせいか、スキー場との合流が遅れました。
気がついたら結構降っていてしまったようです。
スキー場に合流、ここに来て雪がぱらついて来ました。
下山があと一時間遅ければ西大巓で雪に降られていたことでしょう、危なかった。
夢の西吾妻山登山が終わりました、冬に思い描いていた夢が今終わりを告げた。
この2017-2018シーズンの雪山でやりたいことはこれで全てだったはずだった。
まさかこのあと乗鞍岳と木曽駒ケ岳に行くことになるとは思いもしなかったんだけど。
帰りのリフトは登山の満足感からか二人ともボケーっとしていた思い出。
午後3時20分、下山完了。
大満足の西吾妻山登山でした、幸せな樹氷ウォークをキメることができて幸せです。
一緒に来てくれたみやっちさんには頭が上がりません。
西吾妻山は本当にいいところです、全然地味じゃないからね。
オールシーズン楽しめるマジでいい山だから。
下山後の温泉はデコ平のホテルに行くことにしました。
西吾妻山で温泉に入ろうとする場合どこに行くかが悩むところです。
ここは近いけどちょっと料金が高めです。
ホテルのお風呂なんでしっかりとしているし綺麗です。
そして入浴後の酪王牛乳もキメることができます、至れり尽くせりー。
温泉と牛乳を補給し、この日最後の一仕事は喜多方ラーメンでした。
前回の安達太良山でも何としても喜多方ラーメンを食べようと頑張ったのですが失敗。
しかし今回は正真正銘の喜多方ラーメンにありつくことができました。
とは言っても猪苗代から帰る途中のラーメン屋なんですけどね。
あっさりとしたスープにやわらかーいチャーシューがたくさん乗った喜多方ラーメン。
疲れた体に染み入るように、喉越しまろやかな味でございました。
北海道のラーメンに慣れているこの体には喜多方ラーメンとか
佐野ラーメンみたいなあっさり系がやっぱり合うようです。
日も暮れ始めた夕方、登山とラーメンを楽しんだ我々は
今日の助演山岳賞である磐梯山に別れを告げ、福島県を後にするのでした。
福島の山ってアクセスがいいし、ナイスなネイチャーがたくさんで最高です。
7.まとめ
西吾妻山を彩る樹氷
いかがでしたでしょうか、西吾妻山をもう地味だなんて言わせません。
冬に登ればこの満足度、間違いなくこの山の虜になることでしょう。
吾妻神社から見る景色は圧巻の一言、この山に来たなら是非とも山頂の向こう側
吾妻神社まで歩いてみてください。
この圧倒的な樹氷の景色、絶対に後悔させませんよと胸を張って言えます。
西吾妻山は樹氷でこそ真価を発揮する山ではあるのですが
無雪期でも西大巓の展望の良さという武器があり、
コースによっては超綺麗な清流を楽しめる東北屈指の名山であります。
福島県の百名山としては後回しにされることが多い山ですが
ちゃんと調べて登ってみればわかる、楽しさと発見に満ち溢れた山です。
2月の樹氷は天候の関係上かなり見ることが大変なのですが
成功した時は天にも登る気持ちで歩けます、それだけ楽しい登山が待っているので
雪山に行かれる方は是非挑戦してみてほしいです。
人生最高の山は続く。
西吾妻山の地図や詳細はこちら

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雪山でも大活躍するスキンメッシュ靴下、登山が2段階くらい快適になりますよ。
とにかく有無を言わさず使ってみるのだルークよ。
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今回利用したマムートのトリオン、本当に使い勝手のいいザックです。
初心者も最初からこのザックを使ったほうがいいと思う。
とにかく使ってみるのだルークよ。
カメラを胸につけるためのストラップショット、これがなければ山で写真は撮れません。
とにかく有無を言わさず使ってみるのだルークよ。
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コメント
コメント一覧 (2件)
ご無沙汰しております。
楽しく読ませてもらいました。
冬の西吾妻は最高の一言ですね。
写真がとてもキレイです。
私はredsugarさんが登ったほぼ1年前に天元台からグランデコまで縦走しました。
最高の樹氷と右側には飯豊連峰、月山や鳥海山など山形の名山をバックに歩き、西吾妻山頂に着いた時の磐梯山の展望は何よりの思い出です。
ぜひ来年は磐梯山に!
ろっぴ様
いつも読んでいただきありがとうございます。
冬の西吾妻山は本当に良いところでした
冬の磐梯山は超行きたいですね、来年行ければチャレンジしてみたいと考えています。
温泉を考えると天元台からって魅力的なので、機会があれは僕も是非歩きたいと思いました!