2017年5月14日、山梨県北杜市と甲斐市にまたがる茅ヶ岳に行ってきました、標高は1,704m。
奥秩父前衛として奥秩父エリアに分類されますが、金ヶ岳と並ぶその姿からニセ八ヶ岳と呼ばれていた歴史を持つ山です。
現在では日本二百名山に指定されていますが、山そのものよりは日本百名山を執筆した深田久弥が登山中に命を散らした山としても有名ではないでしょうか。
麓には深田記念公園という場所があったりします。
茅ヶ岳の山頂は南アルプスや奥秩父、八ヶ岳を望む自然の展望台となっており、登山の対象としてみたときはこれらの展望を楽しむための山という要素が強いようです。
今回はあいにくの曇り空で眺望を得ることが難しかったのですが、その代わりに麓の美しい、露に濡れた新緑を楽しむ登山をしてきました。
茅ヶ岳日帰り登山について
曇り空の茅ヶ岳登山の始まり

5月14日午前9時15分、中央自動車道双葉SA。
晴れ時々曇り予報の茅ヶ岳へ向かいます、本日の天気は多分負け。関東の100名山というガイドブックとにらめっこした結果、新緑が美しい山と紹介されていた茅ヶ岳に来ました。
新緑樹林がメインであれば、露を帯びた木々などが美しいはず、晴れていなくても森を楽しめる気がするというわけです。

午前9時30分、茅ヶ岳駐車場。
高速を降りてしばらく走るのかなと思ったのですが、登山口はすぐそこでした、拍子抜け。
うーん、人がたくさん来ているのがわかる、駐車場のキャパシティは20台位です。

トイレはこんな感じ、それなりにきれいで星2つ位、ウォッシュレットとかは無いので。
お尻が気になる人は赤ちゃんのおしり拭き等を車に入れておきましょう。

お尻ふきは最近登山においての生命線です、ウォッシュレットがない山には必ず持って行きましょう、幸せになれます。


午前9時40分、茅ヶ岳登山開始。
パンと水分を補給したら登山開始と行きましょう、茅ヶ岳登山プレイボールだ。
登山届はポストに入れる感じです、今回は女岩側のコースから登り、尾根沿いコースで下山を行う似非周回登山を行います。


茅ヶ岳はご覧のような感じで新緑シーズン、登山道は真緑です。
朝まで雨が降っていたため木々から水が滴り森は潤いを秘めています。



最初はひたすら樹林の中を横移動し続けます。足元は落葉松の落ち葉でしょうか、結構ふわふわしているよ。
芽吹きの時期と言うことで色々な若芽を見ることができました、マクロレンズ欲しくなる。





スモモが咲いていました、現地では桜と思っていたのですが……新緑シーズンを彩る色と緑のコントラストが清々しい朝の空気感を届けてくれます。


こちらの分岐点は右が正解です、左に行くと旧道っぽい道で深田公園に合流するのかな?


ヤマツツジはまだ蕾、口紅みたいな色をした蕾がグリーンの上でいくつも踊っていました。


ガイド登山の方々などが多かった茅ヶ岳、登山の対象としては標高もそこまで高くなく、展望も良い、登山道はそんなに厳しくないと言うことで人気なんでしょう。



歩いていて「これ落ちたら死ぬな……」と言うような場所はなかったし。
樹林の道は続く、雨上がりの雰囲気がよくひんやりとした空気があたりを包みます。
暫くはなだらかな登り、つまりどこかで一気に標高を稼ぐために登るというわけですね。





ひたすら横移動。





ムラサキケマンが咲いていました、朝露をその身に纏い潤い溢れる姿を登山道脇に晒しています。
この花は草全体が有毒で、心臓麻痺などを起こすような作用があり危険です。


ニリンソウです、こちらも花や葉に露が降り瑞々しい姿を楽しませてくれました。
たまに霧吹きで水かけて花を撮影する人がいるらしいですが、気持ちはわからんでもない。


深い緑に沈んだ森は厳かな雰囲気を携え、歩いている人の心を落ち着かせてくれます。


植林エリアが少ないのが良い茅ヶ岳、杉林が少ないので登山道が明るいのがいい。
たまに現れる杉林も奥にある原生林とのコントラストがあるため許せる。


午前10時40分、女岩到着。
長い横移動が終わったらいよいよ本格的な上りが始まります、今までは沢沿いを歩いていたようなものなので、ここから先は尾根道というわけです。


この先に女岩と呼ばれる景勝があるらしいが落石が多いということで今はいけないように封鎖中。





これまでの優しい樹林帯は終わりを告げ、岩が多い登り道が始まります。
ペイントとピンクテープが多く、トラロープもあり、手厚くフォローされているようです。


所々倒木を利用して滑落防止の柵が作られている。


少し道がわかりにくい場所がありますが、こういったピンクテープをしっかりと確認して歩けば問題ないかと思います。


落ち葉が多い季節などは登山道が見えなくなってしまうんだろうな、木々が豊かな山なので紅葉シーズンは非常に綺麗な景色が見れそう。



新緑より紅葉がきれいなんじゃないのか茅ヶ岳……、という思いが頭をよぎる。





ハシリドコロですかね、キチガイイモとか呼ばれる毒草です。


登るにつれて森に雲がかかってきました、霧の中を歩くガス登山の時間がもうすぐやってきます。
雲に包まれた森はサスペンスドラマ的な雰囲気があるためあまり好きではありません、樹林にお別れを告げ、冬枯れした木々が広がる尾根へ。


霧深い森は独特な雰囲気、ミステリー文学によく出てきそうな情景ですがここはガチな山の中、そして僕の息は結構上がっており何かから逃げているような感じになっています。
深田久弥終焉の地と山頂へ


午前11時20分、深田久弥終焉の地。
分岐を越せばすぐそこに深田久弥が倒れた場所が現れます。


日本百名山という、いつか誰かが書いたであろうものを書き残した深田久弥。
百名山にどれほどの価値があるかは登ってみないとわかりません、よく百名山なんてくだらないという人もいるけれど、数多い名山からその道の識者が選んだ教科書みたいなものなんで、歩いてみてもいいかなと。
百名山を歩いたその後、自分なりの百名山を探したいところです。


深田久弥終焉の地から先は岩稜帯が続く、イワカガミがポツポツと咲く岩場の道を登ります。


まだイワカガミは蕾のようだ。


午前11時40分、茅ヶ岳山頂到着。
山頂では多くの方が休憩していました、皆さんすでに金ヶ岳まで行って戻ってきていたようです。



この山頂はまた後で来るから初回はスルーする。
茅ヶ岳と金ヶ岳往復!


目標はこっち、金ヶ岳。
雲の向こうに同じくらいの標高を持つ山体が見えます。
ガスに包まれた山を見ると絶望が生まれやる気が全く湧かない、しかし、それでは困るのでガスっていても心を強くもって歩く訓練をしなくてはなりません。


「行くか……、辛そうだけど……」
最近登山前の補給をおろそかにしているためすぐにシャリバテがやってきます、茅ヶ岳を登るのにかなりの労力を割いた後での金ヶ岳はなかなか辛い、シャリバテしそう。


鞍部へ下り再び金ヶ岳へ登るという工程ですが、コースタイムが40分ほどあるため一筋縄では行きません。
転げ落ちそうな斜面を降り鞍部へ出るとまた登り返しが待っています。


石門ってやつですかね、岩の洞窟を前にして僕のエネルギーは尽きてしまいました。


ここまで一切休憩をしていなかったので一休みすることにします。
この日はなかなか体調が悪く(眠く)、天気が曇っていたこともあり精神的なカバーもきかずかなり辛い登りだったと記憶しています。


カメラを岩の上において休憩、ドライフルーツと水で休憩を取りました。
ドライフルーツですがかなりいいですね、常時口に入れてても嫌な感じはしないし、疲れているときにパインなどを口に含めばすっぱさとほんのりとした甘みが体を癒やしてくれます。



行動食はさっぱり系の方が僕は好きなので、今後もドライパインを行動食に使い続けたいですね。


休憩と仮眠を取ったら再び金ヶ岳へ向かって登り始めます、登り返しを歩ききれば山頂はすぐなはずだ。


金ヶ岳への登山道は茅ヶ岳までに比べると少し整備が行き届いておりません。その為ピンクテープが激しい自己主張をしていたりします、よほどのことがない限りは迷わないとは思いますが……。


金ヶ岳山頂を前にして雲が途切れ、南アルプスの頭が姿を表す。甲斐駒ケ岳なのかな、とぼんやりと考える。


午後12時40分、金ヶ岳山頂到着。
茅ヶ岳の一つ奥、金ヶ岳に到着しました。山頂は木々が伐採されており、南アルプス側の景色が気持ちよく見えるようになっております。あいにくの曇り空で展望はない状態ですけどね。


山頂到着ダッフィー。


空を見ていると雲が徐々に晴れていきました、現れたのは甲斐駒ケ岳。
日本百名山の中でも屈指の名峰で、深田久弥は日本の山から10個選べと言われたら甲斐駒ヶ岳ははずさないと言ったそうです。
僕は黒戸尾根という甲斐駒ケ岳のクラシックルートを歩きましたが、たしかにいい山でしたね。



日帰り黒戸尾根はもう二度とやりたくない。


所々で青空も姿を見せ、気持ちの良い風が頬をなでてくれます、曇り空の際に登山者を襲う湿気も大分収まってきました。
メガネをしている僕にとっては湿気は大敵です、汗をかいているとすぐにメガネ曇るし、カメラの接眼も曇ってしまいます。


上から樹林をよーく見てみるとこんな感じ、光を受けた森が美しい。
高曇り空が広がる稜線、茅ヶ岳周辺は低山が多い。


茅ヶ岳まで40分、登り返しが非常に心配ですが頑張って歩きましょう。


日の光が降り注ぐ稜線を気持ちよく下山。
この後の登り返しが非常にきつかったけどもなんとかなりました。



きつかったので写真はないです。


午後1時55分、茅ヶ岳山頂到着。
再び茅ヶ岳に戻ってきました、金ヶ岳から戻って来た頃には山頂は誰もいない状況。
青空が見え始めましたが、八ヶ岳は相変わらず雲の中。南アルプスだけがところどころ頭を見せてくれる状況でした。
独り占めの山頂で撮影を楽しんだら下山することにします。


帰りは尾根道を経由し深田公園へ降ります、この尾根道は歩いて思いましたけど
この時期はとてもつまらない道なので登りでは使いたくない。


尾根道なのでひたすらつまらない景色が続きます、雰囲気は「鷹ノ巣山山頂から下山する際の石尾根」にすごい似てます。
石尾根を移植したんじゃないかと言うくらい同じ景色を見ることができるので奥多摩を感じたいときは茅ヶ岳へ是非。


ひたすら下山、誰ともすれ違いません。


木の根が滑る平坦な斜面をズリズリと降りていきます、スリップとかマジでシャレにならないから慎重です。


このへんが本当に石尾根みたいでした、この後開けた防火帯が出てくるし…。
斜度といい距離といい奥多摩を歩いているような気分になりました。どうせならもえぎの湯で汗を流して生ビール飲んで電車で帰りたい。


午後3時00分、駐車場方面分岐。
この指導標が出てきたら登山道は終わりといったところです、あとは深田公園へ降りて駐車場に向かうのみ。


午後3時20分、深田公園到着。
行きによらなかった深田公園に到着しました、公園の規模を確認してみると……公園自体はベンチがある程度、遊具とかはありません。遊ぶには虫が多すぎますね、本当に記念的な意味で作られただけの場所のようです。


深田公園から先にはまんじゅう峠という凄まじいネーミングの峠があるようでした、一体どんな峠なんでしょうか。



そして張り紙の「 は します」が気になる……


深田公園から新緑の美しい遊歩道を歩き駐車場へ、午後になり日の光の強さも変わったのか、この時間の森の中が一番綺麗だったと思う。



木々は皆フレッシュグリーンでした。


午後3時30分、駐車場到着。
茅ヶ岳、なかなか疲れた登山でした。一番疲れたのは茅ヶ岳から金ヶ岳の往復であったことは間違いない。


茅ヶ岳から少し走りますが、下山後は白山温泉へ。
この白山温泉は非常にオススメです、のんびりとくつろぎながら湯船に浸かることができ、下山後の疲れをしっかりと洗い落としてくれることでしょう。



入浴料金は大人1名600円となります。


リアルゴールドを口に含んだ僕は、ハンドルを握りこの日の後半戦。下道を利用して家に帰るという戦いに挑んでゆくのでした……。


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