2016年10月30日、北アルプス南に位置する日本百名山「焼岳」へ登ってきました。
標高は2,455mとなり、山頂からは笠ヶ岳や穂高といった北アルプスの雄峰を眺めることが出来ます。
北アルプスでは唯一と言ってもいい活火山である山頂では硫黄臭が立ち込め
噴気が山頂直下から噴き出している山です、そのため山肌も火山らしい姿をしています。
アルプスの登山シーズンとしては最後に当たる10月末日、
正規シーズンの最後の登山客として焼岳に臨みます。
紅葉も終わり冬支度を始める焼岳の山頂で待っていたのは裏切らない景色。
登山界のディズニーランドとも言える、絶対的に美しい景色。
たとえ紅葉が見れなくとも絶対的に楽しめる登山が僕らを待っているのでした。
絶対的にオススメできるアルプスの展望台は多くの人に楽しんでほしい場所。
そんな日本百名山「焼岳」の旅の始まりです。
北アルプスの玄関口を守るかのように鎮座する霞沢岳。
焼岳の写し鏡の様に正対する姿はぽつぽつと紅葉に染まり、深緑の森は斑らな模様に色づく。
山を駆け登る雷を想起させる落葉松の黄色い紅葉、麓に目をやればその紅葉は
波の様に迫り来る勢いを持って焼岳の山肌をも染め上げている。
紅葉に染め上げられた景色を背負いつつ、真逆の山頂へ顔を向ければ
一面に岩が転がった荒涼とした世界が広がっている。
一度石が転がれば麓まで転がり続ける様な斜面を、右往左往と葛折りに登る人々。
噴煙を上げる焼岳の山頂の向こう側の景色を目指して、北アルプスの玄関を歩き続けるのであった。
はい、今回は北アルプスの玄関口にそびえ立つ日本百名山「焼岳」です。
2016年はアルプス登山が「乗鞍岳」のみで「アルプスと縁が薄いブログ」となってしまいました。
その危機的アルプス成分不足を補うためにも何としても北アルプスに行きたい……。
そんなことを考えている時に、尊敬する社畜登山ブロガーsakuさんからお誘いを受け。
「紅葉最後の北アルプス焼岳を見に行こうぜ!」の会を催すこととなりました。
しかし天気はあいにくの曇りのち晴れ……。
午後からの晴れに期待して遅めに出発した我々を待ち受けるのは真っ白な曇天か。
はたまた真っ青に染まりきった快晴の青空なのか!?
今回も「なんでこんなルートに入ったんだ!ちくしょう!」とか「なんだこの猿どもは!!」
と様々なイベントが立て続けに起こる摩訶不思議な登山旅となりました。
晴れの日に行けば絶対に楽しめる、絶対に凄い景色が観れる登山界のディズニーランド北アルプス。
笠ヶ岳や穂高、上高地といった定番の名勝を眺める焼岳登山の始まりです。
アクセス
公共交通機関
【バス】新宿→中の湯 6,200円〜9,200円
往復運賃 12,400〜18,400円くらい
北アルプスへ行くには上高地行きの深夜バスを利用するのが最も良いでしょう。
アルピコ交通なら上高地以外にも色々な山へ深夜バスが出ています。
車
【高速】新宿→沢渡大橋駐車場 3,930円〜5,810円(ETC割引〜通常料金)
往復高速代金 7,860円〜11,620円くらい
こちらに追加してガソリン代が大体4,000円くらいかかるイメージです。
目標地点は「沢渡大橋駐車場」が最も良いでしょう。
コースタイム
釜トンネル前9:45→中の湯温泉前10:25→焼岳中の湯登山口10:45→広場12:00
焼岳山頂13:30-14:25→焼小屋15:10→焼岳上高地登山口16:10
合計登山時間 6時間25分 時間の割に結構疲れた。
2016年10月30日午前5時40分、板橋本町駅前の路上。
社畜登山ブロガーであるsakuさんと今年最後の北アルプス登山に出掛けようということになり
二人で早朝の都内を脱出……、の予定だったのだが、
sakuさんの腸内で起こった核爆発級の異変により板橋のコンビニ前で20分ほどのタイムロス。
無事に爆弾処理がなされたあとの出発となった。
これが後に快晴を呼ぶタイムロスだとはまだ二人は知らない。
午前7時50分諏訪湖SA、天候は晴れ。
北アルプス手前の諏訪湖で最後の休憩、トイレに駆け込んだあとは諏訪湖の展望に酔いしれよう。
今日は午後から晴れる予報なのであまり早すぎてもよくないということでゆっくりとしています。
恋人の聖地諏訪湖、那須にもあったような気がする。
恋人という単語から連想されるのが「クリスマス一人だから登山でもいこうぜ」イベント。
毎年sakuさんが主催していたのだが、ついに今年は参加者がsakuさんだけになってしまった模様。
僕も参加資格があれば真っ先に参加したいイベントである。
午前9時15分、沢渡到着。
バス出発10分前ほどにバス停に到着、急いでまたトイレに駆け込み、バスチケットを購入。
小屋の多い北アルプスといえどもトイレがどこにでもあるわけではない、
出来れば登山前は腸内が空っぽであることが好ましい。
体に回っている栄養は十分、腸内は空っぽ、これ最強である。
10月30日ともなれば沢渡のバス停も寒い。
行動を開始してしまえばすぐに暖まるのだが、
じっとしていたら体がどんどん冷えていってしまうのがよく分かる寒さだ。
なので動かないときに着用するダウンみたいなものが一着くらいはほしい、
僕はモンベルのスペリオダウンがとてもほしい……。
午前9時30分、上高地行きバス乗車。
バスに乗車したら登山開始地点である中ノ湯温泉に向かいます、乗車率は100%でした。
紅葉の上高地を見に来た人たちが多いんでしょうね、
この時間帯の登山客は僕らしかいませんでした、普通に考えたらこの時間に入山するのは遅い。
午前9時45分、釜トンネル前。
中ノ湯温泉コースに向かうので釜トンネル手前で下車しました。
僕このトンネルを通って上高地を歩いたことがありません、
このブログも3年目に突入しますがアルプス方面から西は本当に歩いてないんですよね。
2017年はアルプスを重点的に攻めて行きたい一年です。
「sakuさん、入り口どこですかね?」
「あー、ちょっと待ってトイレいくから」この日の僕らは完全なトイレ依存者でした。
お腹ゆるゆるで登る北アルプスはスリリングです、
絶対にNGKが許されないのでスタートまでの準備が大事です。
※NGK=大自然の中で体の不要物を発散する黒魔術の一種。
とりあえず中ノ湯温泉だ、そこまで歩くぞ!
という事で行動開始、周りを見れば既に紅葉が最盛期…ということは上は禿山である。
北アルプスなのではげてる山登っても遠景が楽しいからいいんだけども、
これが秩父とかだとつまんない登山になる可能性が高いわけである。
目の前に広がる紅葉といまいち冴えきらない空、
僕とsakuさんが揃う登山は晴れたことしかないので今日も晴れるだろ。
そんなポジティブな気持ちで歩く、百名山はやっぱり晴れている日に登りたい。
中ノ湯温泉に車道を利用して登ります、道端に焼岳の美味しいお水が!!
南アルプスの天然水はあるのに北アルプスは安曇野の天然水とか細かくなるのは何でだろう?
前半は道沿いの紅葉が見頃を迎えており、登る前に既に紅葉を満喫するという状態であった。
しかし、交通量が非常に多いため自然のパワーで心が清らかになる感じがまだしない。
一日中運転してくれたsakuさんだが非常に体力があるためどんどん進んで行く。
気前のいいお兄ちゃん的な性質があり一緒に登っていてとても楽しい。
僕的には団体で低山で山鍋も憧れるけど、
ソロで谷川馬蹄形日帰り縦走という響きに男の限界というロマンを感じてしまうので
sakuさん的な山の登り方が好きだったりします。
うーん、しかしいい景色だ、黄色の紅葉が山を染め上げていやがるぜ。
空もスカッと晴れてほしい、ヤマテンとGPV的には午後からが勝負である。
登山道どこだ??と探す僕ら、葛返しの車道を登るのもめんどくさいので登山道を探します。
しかし、あるはずの登山道が見つかりません、その時ピンクテープと足跡を発見し藪の中へ。
これ道っぽいよな……、嫌な予感がするけど……。
あがってみると一応足跡はついている、テープもある、上に登っている。
ちょっと行ってみようぜという声もあり進んでみることにしました。
因みにこれは完全に作業道で意味の無い道だったので、普通に車道を歩き続けましょう。
この道のチョイスは全くもって不正解でした、おとなしく車道を歩こう。
「sakuさん!藪です!」
嫌な予感は的中し道がなくなる、足元が柔いし「ドンッ」と響きのいい音がする地面は道じゃない。
でも上にガードレールが見えてるからこのままガードレールまで上がって
ショートカットしようという事に、稼いだ高さが勿体無い理論。
スタート直後で元気もあるため足のトルクを最大限利用して登っていく、
登山道じゃない道を歩くのって凄い疲れます、ふくらはぎに来るダメージが通常の10倍はある。
地面が踏み固められてないため踏ん張る力が求められるからでしょう。
きついけど紅葉は見事だった、転んでもただでは起きない根性である。
今年は本当に黄色が多い年だった。
車道に復帰した我々、足の体力がかなり削られました。
これ登山道大丈夫かな?という心配が頭によぎるダメージの蓄積ですが
歩いてればそのうちよくなるだろうということで引き続き登山続行。
午前10時25分、中ノ湯温泉入り口。
ようやく中ノ湯温泉です、ここまで来るのに随分と苦労した気がする、
普通のblogであればここから始まってもおかしくない。
しかしこのblogを読んでいれば釜トンネルから中ノ湯温泉まで迷うことはないし、
間違えポイントもよく理解できる事でしょう。
既にいい景色が広がる周辺、麓の紅葉は見事です、赤は足りないけど唐松の黄色い紅葉が見頃。
午前10時45分、中ノ湯登山口に到着。
記事の1/3が登山口に到着するまでで使用されました、
こんな焼岳の登山記事今まであっただろうか、いや、ない。
中ノ湯登山口手前には駐車場もあり、30台くらいは停まれるようになっています。
ここに車を止めて、下山後に沢渡からバスで車を取りに来るのもパターンとしては考えられます。
僕らは最後に登りに来るのがめんどくさいので沢渡に車を置きましたけどね。
僕らが発見できなかった登山道の終点も発見、これどこにあったんだ??
地図上では釜トンネル付近から一直線にここに来るルートがあるらしい。
焼岳の正規登山シーズンは今日が最後、明日梯子が撤去されるらしい。
そして今から登り始める登山者は恐らく僕らが最後、
これはつまり僕らは正規シーズン最後の登山客ということですよ。
2016年10月30日午前10時50分、焼岳登山開始。
プレイボールの合図と共に登山開始である、
足が登山開始前に大分削られているような気がするけど気のせい、気のせいです!!
北アルプスといえども最初は樹林、森のなかをひたすら歩き続けます。
木漏れ日が気持ちいいぜ。
中ノ湯温泉コースの定番、潰れた乗用車です、
これどうなったらこんなところでつぶれるんでしょうね、謎です。
遠景に聳え立つのは穂高か、それとも……
最初の樹林はあまり綺麗ではないですね、
写真を撮るようなスポットは少ないので無言ですたすた歩いていくのが定番な気がします。
つづら折りを繰り返して標高を稼ぐ感じの登山道で風光明媚な所はございません。
背中側の遠景はこんな感じです、葉がない時期であれば遠くまで見渡すことができる。
雨上がり直後ははぬかるんで大変そう、この日も泥でズブズブになった地点がいくつかありました。
sakuさんと二人で何を話していただろう、樹林長いなー、見るもの無いなーと思いながら歩く。
目の前に折れた巨木等がいくつも立ちふさがる、
奥多摩や奥秩父ではあまり見ないような太さの木がよく折れています。
分かりやすい道でピンクテープも整備されている、このコースは非常に明快で優しい登山道ですね。
標高が上がってきて空も明るくなってきました、そろそろ稜線か。
樹林が開けて目の前にプリンのように、山の上に乗っかった山が現れました、焼岳本体です。
あっちは風が強そうだな……。
坊主になったカバノキの中を歩き続けます。
カバノキは標高によって白樺、ダケカンバと種類が変わります、ダケカンバのほうが高山に生える。
火山らしい黒々とした岩肌が露出した景色、アルペン感が出てきてテンションもうなぎ登りです。
さて、ここからは稜線の登りです、周辺の展望も一気に開けた状態になりました。
真後ろに鎮座するのは霞沢岳か、日本2百名山を構成する一角。
上高地の南側にあり焼岳と一緒に北アルプス上高地の入り口にある山です。
中腹まで唐松の紅葉があるようですね、しかし山事態は黒々としているな……。
ズームして唐松を見てみる、遠くから見るといい景色の中を登ってきたんだなと思う。
歩いているときはこんな中を歩いているとは思わなんだ。
これまでの樹林帯に比べると稜線からは岩が多くなります、
浮き石も多いので足の運びに気を付けて登る。
ローカットの靴だと足をくじいたりすると思うのでハイカットシューズをオススメします。
南の空が徐々に晴れて行く、早く僕たちのいる所も晴れてほしい。
空は高曇りの様相、日光に餓えた我々に天の恵みはいつもたらされるのか。
ここで多くのパーティーと遭遇、樹林帯では誰かを追い越すことはなかったのですが
稜線まで必死であるいてきたから追い付いてしまったようだ。
午後12時45分、標高2300m地点。
我々も写真を撮りながらゆっくりと標高を稼ぎ続ける。
岩場ルートはペイントを見ながら歩かないとコースを外れてしまいます、
前をしっかりと見て道を見失わないようにして歩きましょう。
sakuさんも大変ご満悦な様子。
我々はプロローグで大分体力を使い果たしているのでふくらはぎが常に悲鳴をあげる寸前であった。
噴気の上がっている地点の奥が山頂。
登山あるあるの歩いても景色が変わらない、山頂につかないという魔法にかかる。
思えばこのとき若干シャリバテしていた気がする。
木の無い斜面はいいですね、高山感が出て非日常のフィールドに来たぞということを強く実感します。
ブシューーーッと音をたてて蒸気を吹き出す焼岳、硫黄の香りが鼻孔を刺激する。
だめだ、もう温泉に入りたい、飛びっきり硫黄臭のするくっさい風呂に入りたい……!!
硫黄=温泉が刷り込まれているのは日本人くらいのものではないでしょうか。
午後1時10分、稜線へ上がる。
ついに稜線に出ました、やったねと思うのもつかの間。
そこ今までとうって代わり冷たい風が吹き付ける極寒の世界でした。
寒いのでウインドブレーカーを装備、体を冷やさないように注意ですね。
稜線に上がると同時に晴れ始める世界、雲が薄れ日光が指し始める。
「また勝ってしまったか……」なにと勝負しているのかは解らないが、
僕らの界隈では晴れる=勝ちらしい。
この辺は火口だったんでしょうか、鋭い岩が林立しています、火山らしい荒々しさが残る焼岳。
奥に見えるのは笠ヶ岳、北アルプスでも登るのが大変と言われる笠新道を擁する山です。
僕が歩くなら双六岳側から稜線を伝って歩きたいです、それも大変らしいけど。
噴気がもくもくと沸き上がるそばを通り抜けて山頂へ回り込みます、結構スリリングな場所。
噴気周辺は片側が落ちているので歩くときは細心の注意が必要です、
足場はしっかりしているけど転ぶと滑落します。
後ろを振り替えると噴気が収まっている……、相変わらず風が強い。
焼岳の山頂直下は岩場、アルプスによくあるコース案内のペイントがあるのでそれを目印に進む。
トムラウシとかと違って優しいぜ、アルプス。
あともう少しで山頂だ…。
2016年10月30日午後1時30分、焼岳山頂到着。
2016年北アルプス納めとなる焼岳登山、無事山頂に到着しました。
山頂から見える景色は最高!北アルプスの展望台と言える大展望が僕を待っています。
位置的に穂高、笠ヶ岳がよく見える場所にある焼岳、景色が楽しみでたまらない!!
まず目の前にどーんといるのは穂高ですね、麓の上高地の横に。
こんなでっかく立っているんですね、2017年は奧穂高に登ってみたい…。
本格的北アルプスデビューをそろそろ果たしたいところであります。
こちらは笠ヶ岳、めちゃくちゃでかい、立派すぎる。
笠新道で有名な笠ヶ岳、どこから登っても辛いと言われていますが稜線を見れば確かに…。
同行しているsakuさんは双六から笠まで歩いた実力者ですが、彼曰く「稜線なのにとにかく辛い」
僕の中では聖岳級の実力者という印象になっています、笠ヶ岳。
しかし穂高の景色がいい、奧に槍ヶ岳もしっかりと見える。
焼岳は北アルプスの本体を南から見つめる南の展望台、何よりも上高地と一緒に見れるのがいい。
常念岳から見た穂高も素晴らしかったけども、ここからの景色も最高です。
10月30日ということで世の中はハッピーハロウィン、我々も山頂でハロウィンパーリーです。
焼岳山頂でケーキを貪るパリピへ昇格することができました、来年も街じゃなくて山でパーリーや。
上高地ですが、上高地だけカラマツが綺麗に黄色く染まりきっています。
上高地の紅葉は黄色一色といった感じか、上から見るとミニチュアの世界のようだ。
いつの間にか雲はなくなり快晴の世界へ、真っ青な青空と北アルプスを望む焼岳で
我々は山への愛を叫んだのはいうまでもない、出来れば仕事しないで山ばっかり登りたい。
双六の向こうには水晶や鷲羽があって、雲の平がある。
僕の中で日本最後の秘境は「大雪山トムラウシ」なのだが、世間一般には「雲の平」である。
この二つを比較したいという気持ちが非常に強いためいつかは雲の平に行かなくてはならない。
さて、山頂でご飯を食べて記念撮影もして、やることを全て完了させた我々。
下山の目標地点はこの上高地である。
あの真っ黄色なカラマツの中にあるバスターミナルを目指して下山開始!
すっかり顔を出した太陽、無事に晴れて本当に良かった…。
sakuさんと僕の組み合わせでは今の所晴天率100%、これからもずっと100%の晴天率で行きたい。
午後2時25分、焼岳下山開始。
上高地方面を目指して下山を開始、まずは焼小屋を目指します。
焼け小屋方面へ下るのはちょっと怖いかもしれない、結構急なんです。
煙を吹き上げる山頂に別れを告げて北アルプス焼岳登山の旅は後半戦へ。
家に無事に帰るまでが登山、ご飯を食べたりして気が抜けた下山が最も危険です。
「やべぇ、なんだこの景色」
思わず口からこぼれた、下山は穂高方面を目指して歩きます。
顔を上げればそこには常に穂高と槍ヶ岳、夕日に照らされた北アルプスの雄峰を楽しみながら下る。
なんていう贅沢な下山だろう、楽しすぎて歩いているのが全く苦痛ではないのです。
一日中写真を撮影していても飽きないでしょう、どこを見ても心が躍る景色です。
日は徐々に傾き刻一刻と色を変える世界、日没までのリミットに焦ると同時に
この変化をここからずっと眺めていたい衝動に駆られます。
焼小屋へ向かう下り、急な上に浮石も多い。
落ちる心配はなかったけれども転ばないように慎重に歩く。
今まで僕は東北や北海道の百名山ばかり登っていた。
アルプスの素晴らしさに気がつくのが遅れた一年だったと思う、確かにすごい。
特にこの笠ヶ岳、すごい特徴的な姿をしている。
穂高と槍ヶ岳は確かにすごい、しかしその西にある笠ヶ岳に強く心惹かれた。
シマシマの特徴的な山肌、平に見えつつもアップダウンがえぐそうな稜線……。
見るからに楽しそうだ!!
数々の百名山に感動しつつも、その傍にそっと立つ霞沢岳。
こいつもまたすごくかっこいい、いぶし銀の姿をしている……。
もう何を見ても楽しそうにしか感じない、北アルプスはまさしく登山界のディズニーランド。
急な斜面を下りきるとようやく笹に覆われた山肌が近づいてくる。
ここからは安心して歩くことができる、優雅な稜線歩きといったところだ。
早朝4時とかに登山を開始していれば西穂高の方にも行けるんだろう。
行ったり来たりするような登山なのでやろうとは思わないが…。
この日の登山を支えてくれたグレゴリーのZ40、最近Z35ばかりであまり使ってなかった。
少し肌寒い季節だとやっぱりこっちのほうがいい、後ろのポケットに防寒具を入れておけば
すぐに取り出すことができるので、服を脱いだり着たりするのがとても楽だ。
毎回お守りとして持ってきているダッフィー、2017年は笠ヶ岳に一緒に行きたいものだね。
小休憩を挟んだのち、sakuさんと再び歩き始める。
空は快晴、日が少し傾いているものの歩くのが楽しくてしょうがない。
不思議なところに苔が生えていた、火山で地面が暖かいのだろうか?
こういう苔は沢筋とかにあるものだと思っていた。
徐々に上高地が近づいてきた、そして日もしっかりと傾いてくる。
日没までに無事下山できるのか、いつも通りタイムアタックな感じが出てきた。
山の合間から見える穂高、キュートである。
午後3時10分、焼小屋到着。
下山を開始してから45分ほど、コースタイムは40分なので5分押してる、意外。
写真撮影に夢中だったし途中休憩したのが仇となったか。
特に小屋で休憩することもなく、バスの時刻がギリギリなのでテキパキ下山します。
上高地側から見上げる焼岳山頂、こっちから見ると岩山だな…。
どの角度から見ても印象や見える形が変わらない山って富士山くらいなんですかね。
上高地側のコースはハシゴや鎖場が登場します。
中の湯温泉ルートだとこういったアスレチックなものは存在しません。
鎖好きの人は上高地側からがオススメということでしょうか。
このハシゴも今日をもってすべて取り外されていくらしい、11月からは冬山扱いといいうことか。
上から見ると結構怖いぞこれ!
高所恐怖症の僕としては中々見たくないリアルな高さでした。
下から見るとこんな感じです、上から見るととても恐怖感を感じるものでした。
さて、上高地に差し込む光もだいぶ傾きを増してきました……。
若干焦り始める我々、バス時刻を逃せば沢渡まで歩くことになります。
樹林帯に入り日の光とおさらば、ここからは黙々と下山する時間だ。
上高地側は人工物のルートが多いですね、午後になると日陰になり金属が少し滑る。
笹原に入り後は上高地へ出るだけ、高度感のあるような場所は全て終わりました。
紅葉とも再会です、上から見た景色では黄色一色だった北アルプス。
麓にはちゃんと赤い紅葉が咲いていました、来年はどんな色付きをするんでしょうか。
午後4時00分、猿と遭遇。
上高地まであと少しというところで猿と出会いました、去るサル年ということで来てくれた?
しかも二匹とか三匹とかではありません、どうやら我々は群れの中に迷い込んだようだ。
めちゃくちゃ人馴れしているのか1メートル近くまで接近してきたり、怖がる様子なし。
しかし獣くさい…、お尻に色々くっついてるしすごい臭い……、これが野生かよ…ッ!
山の持ち主とでも言わんばかりの落ち着きっぷりでした。
冬毛になってもっこもこのニホンザルに囲まれて登山道を歩く、ていうか猿が先導してくれてる。
気分は「もののけ姫のコダマに導かれるアシタカ」である。
嬉しそうに猿の写真を撮るsakuさん、猿が本当に登山道を案内してくれます。
進む先にはまたもう一匹、ていうかあたりを見回したらいたるところに猿が団子になってる。
すぐ傍でくつろぐ猿、写真を向けた瞬間この猿は放尿。
危うく尿がかかりそうになりました、完全に人間で遊んでやがる……。
登山口はあっちだよーといった感じで叫び声をあげる猿。
この顔の方角に登山道が伸びているのですが、本当に登山口がそっちにあります。
こうして焼岳の下山は単なる樹林歩きでは終わらず、猿と戯れた思い出深き下山となるのでした。
猿に案内された先の森を歩けば登山口はもうすぐそこ。
午後4時10分、焼岳上高地側登山口到着。
無事本日の下山地点へ到着、あとは上高地まで歩いて帰るだけです。
曇天からの快晴、そして絶景からの猿と2016年サル年っぽい登山となりました。
上高地に降りる頃には日もとっぷりと暮れていました。
上高地の天井にそびえ立つ山々は夕日に当てられ黄色く染まっている。
かすかに日の当たるカラマツ林で紅葉を楽しみながら、バスターミナルを目指す。
午後4時40分、帝国ホテル前バス停。
帝国ホテル前でバスを待っていたのですが、来るバスが軒並み「満員」で乗車できず。
バスターミナルで乗らないと永遠にバスには乗れないことになったしまうので
バスターミナルまで移動することにしました、上高地あるあるだろうな……これは。
午後5時00分、上高地バスターミナル。
無事バスターミナルに到着、非常に綺麗なレストハウスやトイレに関心しながらバスを待ちます。
2017年は上高地から穂高や槍ヶ岳、常念岳などいろいろな山へ登りたい、アルプス年にしたいです。
アーベントロートに染まる山々、北アルプスの1日を存分に楽しみ帰路につくことにしました。
バスの中では気がついたら寝てしまい、気がつけば沢渡に到着していました。
さすがに北アルプス日帰りは後半眠気に誘われてしまいますね。
午後5時35分、さわんど温泉梓湖畔の湯。
帰りの温泉は沢渡駐車場のすぐそこにある梓湖畔の湯へ。
下山したら即温泉に入れるという最高の立地、上高地登山の伴侶とも言える温泉です。
1日の汗と塩を流し、中央道をひた走り東京へ帰る覚悟をキメる。
午後7時30分、松本市内。
夜の中央道をひた走るためには栄養が必要、つまり夕食を食べる必要性がある。
ということで下山後のグルメを探していたのですが、sakuさん曰く
「上高地周辺はこれといった下山後の定番メニューがない、飯屋が圧倒的に無い」とのこと。
二人で高速のICまでの道のりで必死に飯屋を探した結果たどり着いたのが「焼き鳥屋」でした。
下山後に焼き鳥屋で焼き鳥とご飯を食べるという、どう考えてもビールが飲みたくなる衝動に勝ち
我々は北アルプスを後にして東京へと帰るのでした……。
さすが北アルプス、絶対に満足させてくれる!!
シーズン最終日となる晩秋の焼岳、きっと紅葉は終わりきっているだろう。
しかしそれでも楽しませてくれた北アルプスは流石です、どんな時でも絶景、どんな時でも美しい。
山頂にたどり着いて最初に笠ヶ岳や穂高が見えた時の胸の高鳴り、
遊園地のジェットコースターを見てはしゃぐ子供の気分でした、本当に楽しい場所です。
焼岳は上高地の入り口側にあり、笠ヶ岳や穂高といった山々を眺めつつ歩くことができます。
中の湯温泉コースから上高地へ向かう場合はいつも視線の先に雄大な北アルプスの山々が。
普段消化試合で終わってしまう下山路がとびきり楽しい時間へと変わる素晴らしいコースです。
特に笠ヶ岳の特徴的でどでかい姿には終始心が躍りました……。
改めて北アルプスの素晴らしさ、楽しさの片鱗に触れ、2017年こそはアルプスに入り浸りたい。
そう強く感じる焼岳登山の旅、登りやすさも随一なので多くの方にオススメです。
人生最高の山はつづく。
焼岳の地図はこちら
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水分補給用にモンベルのボトルを使っています、一本あると途中で水を汲めたりするので便利。
コメント
コメント一覧 (3件)
初めまして。
同じ日の同じ時刻に山頂にいた様なので、コメントさせていただきます。
山頂は寒かったですけど、ほんとに良い天気で山々や紅葉が素晴らしかったですね。
こうやって、きれいな写真で見返すことができて、嬉しいです。笑
私事では、初心者&初アルプスでしたが、趣味にしたいと思えた登山でした。
笠ヶ岳、おととし登りましたが、笠新道はマジで狂気の沙汰です。
十分覚悟したほうがいいだろうけど、redsugarさんなら、余裕かもね。
よしずみ様
同タイミングで山頂に!やかましい二人組で申し訳ありませんでした(笑)
この日の山頂は寒かったですね…、ですが山頂で晴れた時は本当に嬉しかったです。
登山は本当に楽しいです、僕もアルプスはまだまだなのですがこれからもどんどん登っていきたいと思っています。
くまちゃん
狂気の笠新道のためにスクワットで下半身を鍛えておかなくては……!!