2016年4月16日、奥武蔵の人気登山スポット伊豆ヶ岳に行って来ました。
標高は850m…低山である。
男坂と言われる巨大な鎖場が特徴で、関東近郊で登山をしている方がよく訪れる山のようです。
そんな伊豆ヶ岳ですが、今回は男坂を登り子の権現を通り吾野に降りるという縦走で歩きます。
前回の陣馬山に続き15km位の長さとなる低山縦走、春は低山の季節であることは間違いない。
男坂に挨拶をせずに秩父二子山や両神山八丁尾根に行ってしまった僕ですが
やはり男坂は歩いておかねばならないだろうという不思議な義務感が沸いてきたのです…
そして向かった伊豆ヶ岳で僕を待っていたのは春を彩る花達と険しい男坂でした…
ツツジ咲き乱れる春の奥武蔵を歩く旅の始まりです。
朗らかな陽気の中、陽光を浴びてその花弁を満開に広げるツツジ。
伊豆ヶ岳の山頂を彩る鮮やかな色合いは僕から言葉を奪いただただ視線を集めている。
ファインダーから覗く姿は季節の記憶というに相応しい、春の暖かさを持っている。
山頂を後にして現れたのはまるで紅葉のような新緑の森だった、
黄金色に輝きつつも水分を多分に分含んだ若芽は美しい光を届けている。
ライムグリーンに染まる新緑の中でひときわ目立つ春の紅葉は季節の感覚を少しだけ狂わせる。
街の中で鈍く錆び付いた季節を感じる全身の嗅覚が、春の訪れを感じとり不思議と心をざわつかせるのであった。
はい、今回は奥武蔵の人気登山スポット伊豆ヶ岳です。
伊豆ヶ岳といえば男坂、数多くの登山blogにも書かれた定番中の定番の山ですね。
春の花が咲き誇る4月中盤、伊豆ヶ岳を歩くならば新緑か紅葉の時期しかあり得ない
そう考えていた僕は時期を得たと考え伊豆ヶ岳登山を実行に写すことにしました。
ルートはもちろん正丸から吾野に降りる縦走コース…、
僕が求める7時間程度のほどよい登山を提供してくれるはずという目論見からでした。
結果予想通りの時間で帰ることが出来、1日が大変満足行くものになったかと思います。
花も沢山見れたし4月は奥武蔵や高尾が熱い時期だなと再確認をしました。
それでは早速アクセスとコースタイムです。
アクセス
【電車】池袋→正丸 670円
【電車】吾野→池袋 600円
合計1270円 超安い…
温泉とかはないので、がっつり登ってがっつり歩く
ということだけに主眼を置いた登山になる伊豆ヶ岳、なんとも男らしい。
コースタイム
正丸駅7:20→登山口7:45→男坂8:30→伊豆ヶ岳山頂9:10→高畑山9:55→
中ノ沢頭10:15→子の権現11:15→浅見茶屋11:50-12:25→吾野駅12:55
合計行動時間:5時間35分 早く歩き過ぎてしまった気がする…
2016年4月16日、午前7時10分正丸駅ホーム。
今日の登山は奥武蔵は正丸駅からスタートします、噂に聞いていた正丸からついに歩く日が…。
正丸駅の駅舎自体は結構立派にできており、トイレもかなり綺麗でした。
登山客を想定しているんだろうか?
このように駅舎の隣には立派なトイレがあります、奥武蔵エリアってトイレが大体立派。
伊豆ヶ岳の稜線では子の権現辺りまでノートイレなのでここでしっかりと用を足しましょう。
午前7時45分、正丸駅出発、それでは早速伊豆ヶ岳プレイボールとしましょう。
プレイボールだと思ったが早速駅前に咲き誇る山桜に足止めされました、
東京の桜は散ったと言うのに奥武蔵の桜は元気です。
これくらいピンクが強い方が僕は好きなんですけど、
これは多分僕の地元にソメイヨシノがないからでしょう、
道東はソメイヨシノがなくチシマサクラかエゾザクラばかりなので花見はしない。
花びらの多い、束が大ぶりの桜は見ごたえも十分。
幸先のいいスタートを感じさせてくれるぜ。
桜以外にも様々な花が地面を覆い隠していました、春は奥武蔵の季節である。
伊豆ヶ岳にはまず舗装路をしばらく歩いていくこととなります。
高架下を渡りとにかくまっすぐ進もう、登山口に進むまでに迷ったら元も子もない。
にゃんこがいる…。
林道の先に登山道が現れますのでしばらくは山奥の集落を歩く形です。
山奥の集落にはいると梅の花や水仙が登山者を迎え入れてくれます。
僕が歩いた際は紅梅が沢山ありました、これも非常に見応えがありますね…。
快晴の空の元、水仙も太陽柄でハッピーだ…。
林道をしばらくあるいてようやく登山道入口に到着しました、今回は大蔵山コースで登山を行います。
入口はこんな感じ、棒の嶺っぽさを感じる…。
まずは杉林の中を歩いていく感じですかね、点鼻薬必須です。
明け方の薄暗い山の中を歩いていきます、稜線に出るまでの我慢です。
標高の低い山では既に新緑が盛り上がっています、光が当たればさぞかし美しいことだろうよ。
沢沿いの道を歩いているのですが、水が結構きれいなことに驚きました。
低山なのに水量も結構多目に見えるよ??
登山道は荒れているところも、こういった倒木が道を塞いでいたりするのでうまく歩かなくてはいけません。
ちょっとした岩場チックなところもあり非常に楽しい場所だと思います。
夏場は蜂もいそうだからシーズンは春か秋なのかな。
暫く沢沿いを歩くと稜線に出るための急登にぶち当たります、
木の根が露出した今までに見たことのない登り…
ローブなどもあるのでなんとか登ることはできると思うのですが、
土が粘土質だったりして滑りやすいので注意が必要ですね。
稜線に向かっての道は急に岩が多くなっていきます、伊豆ヶ岳感が出てきたな…。
最初のピークである五輪山が見えてきました、ピークって言うか広場?
看板が悲しい感じになっているね…
午前8時35分、男坂に到着。
目の前に見えるあの岩場が男坂に違いない…、意外と早かった。
勿論男坂に取りつくことにします、中々の鎖場であることは間違いない、
低山の中ではかなり満足できる類いの鎖場であると自信を持って言える。
こーんな感じで長い鎖が上まで続いていきます、
岩にも掴むところはあるので鎖を使わなくても登坂可能だと思います。
男坂は40メートル級の一枚岩ではなく、
途中途中で休憩ポイントがある岩場です、慣れている人なら怖くはないでしょう。
高いところが苦手な人にはリアルな高さなのでオススメしません。
それと初心者が登るのは不可能です、スニーカーとかで登るのは危ないので
ちゃんとした登山装備があって短い鎖場の経験がある人じゃないと落ちちゃいそうです。
上から見るとこんな感じ、滑ると下まで止まらないので注意。
最上部の手前はこのような感じになっております、ロックな岩場だぜ。
鎖をつかむのは時と場合によっては逆に危ないので、
岩場のホールドをしっかりとつかんで体勢を確保しつつ登る!
岩場を登ったあとも続く岩の稜線歩き、結構歩きづらくこっちの方が僕は嫌。
両側が削げてるので注意して進むのが吉。
大分見張らしもよくなりました、奥武蔵の山々がきれいに見える。
ちょこんと突き出た岩場で写真を撮っておく、こう見るとあんまり展望良くないね。
崖の下にアカヤシオが咲いているのを同時に発見しました、遠くてよく見えない…。
ミツバツツジっぽい紫色のツツジも満開、伊豆ヶ岳は意外にも花が多い山だったのです。
午前9時5分、伊豆ヶ岳山頂到着!
花を見ながら歩いているととうとう山頂が近づいてきました、
本日のメインピークとなる伊豆ヶ岳です、ここを登ればあとは下山扱いとする!
標高851mの伊豆ヶ岳、低山のわりにはいい感じの鎖場を持ち非常に楽しめるお山だった…。
ある程度登山になれているなら楽しい山だとおもう、ここまでは間違いなく。
ここから先を楽しめるのかは山をどういうスタイルで楽しんでいるかによって変わる。
山頂標の裏には満開のツツジが、粋な演出ですね。
非常にきれいな色をしたツツジが咲き乱れておりました。
春の花はツツジ、今年はツツジの当たり年なので沢山ツツジを拝みたいところです。
ミツバツツジ、アカヤシオ、シロヤシオを全部拝めたらとても幸せになれそう。
いやー、4月の伊豆ヶ岳ってかなりおすすめなのかもしれない…。
山頂とツツジを満喫したら下山タイムに突入です、しかし今日は下山の方が長いと言うコース。
下山と言うよりもここからが本番である。
伊豆ヶ岳から下る坂道の先には真っ暗な杉林が口を開けて待っています。
杉林って何でこんなに暗いんだろうね。
春紅葉?新緑の葉なのですが綺麗に黄色くなっている。
春の紅葉とでも言うのかこれ。
春なのに秋を感じさせる季節外れな色味、
しかしどことなく菜の花のような明るさを携えた瑞々しい木々である。
杉林に入りひたすら吾野を目指す、ここからは精神修行の世界です。
何度もアップダウンを繰り返すので覚悟をもって歩きましょう。
午前9時55分、高畑山到着。
休憩スポットの目印となるようなピークでした、展望はゼロなので華麗にスルーします。
送電塔が見えてきた…、こんなのあるって書いてなかったような気がするよ??
いきなり視界が開けて驚きました。
視界が開けたのもつかの間、再び杉林に突入しひたすら光の指さない森の中を進みます。
い、イナグモ??なんのこっちゃい?
午前10時15分、中ノ沢頭到着。
こちらも何もないピークなので時間を計ることだけに利用。
一旦車道に降りて直ぐにまた登山道に入ります、
指導標の子の権現方向に向かって歩いているのですが、車道に降りたんでびっくりした。
今日はアップダウンを何度も繰り返しているから、足がだいぶ疲れてきました。
低山なのになかなかやるな伊豆ヶ岳。
景色は再びの杉林、伊豆ヶ岳から子の権現に抜けるところは終始こんな景色が続く。
新緑の景色がある春ならばこのように新芽に目を止めたりすることができますが、
冬とかならマジで見るものがなくて辛い気がする。
若葉はつやっつやですね、肌のきめが細かいぜ…これが若さか。
新緑は逆光で撮ってこそ、しかし伊豆ヶ岳には葉が大ぶりの木などはないので
中々新緑らしい写真を撮ることが出来ません
時おり現れる岩場、手を使う場所がほどよく現れてくれた方が楽しいですよね。
杉林を抜けると開けた場所に、これはもしや…。
あ、いたーーーーー!巨大な手だ!いたよ!!巨大な手が!
やかましい感じで興奮してしまいました、
用途のつかめない巨大な手にテンションは上がりっぱなしです。
で、こいつなんなの?
桜が咲いていたので一枚、奥武蔵の山々はどれがどれだかよくわからん…。
広場の道はそのまま子の権現に繋がっていました、本当に三分しない位で子の権現に到着。
午後11時10分、子の権現到着。
境内の中は花が満開じゃないの、いいじゃない…。
ていうかこんなに立派な神社だったなんて聞いてなかったわよ…。
茅葺き?の巨大な屋根が乗った建物、屋根にはビックリですわ。
照千一隅、一隅を守るは千里を照らすなり。
専門分野で各々頑張っている人間が集まれば大きなことができるとかそういう意味かな。
子の権現は桜が満開でちょうど見頃だった様子でした。
満開になったばかりの水々しい最高のピンクを提供してくれたのは間違いありません。
視界をピンクに染め上げる本当に綺麗な桜だったと言える、
陣馬山から引き続き桜を堪能できて幸せだぜ、季節を前向きに感じに行く姿勢って大事。
巨大わらじもしっかりと確認しました、その隣にあるのは下駄か?!
この鉄下駄、二人分あるのは仁王様みたいなやつが履くことを意図しているのかな?
仏閣はこのような感じです、山を歩いたあとの寺院巡りは定番だが中々楽しいのだ。
奥社には鐘がありました、連打すると山火事の合図だから絶対連打するなよ!絶対だぞ!
と書かれていました、ダチョウ倶楽部か。
スカイツリーが見えるらしいけどこんな霞んだ空模様で見えるわけがない。
スカイツリーを見るなら秋か冬なのは間違いないだろう。
しかし、冬にここを縦走する気にはならないな…。
子の権現正面口方面には巨大な仁王が、観光地のような雰囲気で少し笑ってしまいました。
ここって意外に凄い観光スポットだったのでは…?
神社なのに出店が沢山、そして結構人がいて驚きですね。
子の権現からの下山は一部舗装路を歩きますが、直ぐに下山用の山道に向かわされます。
指導標が沢山あるので注意していれば大丈夫。
下り道には色々なものがありました、神社とか。
セーラームーンがショットガン構えて登山者を威嚇していたり、
超狂気と凶器を秘めた案山子で背筋が凍ったのは言うまでもない。
だってショットガンだぜ?ハリウッド映画でいうシャッガンだぜ?
今度はリボルバー、近くを歩いていた外国人がこれを見てクレイジー…と呟いていたのが印象的。
そらこんな山奥でこんなもの見せつけられたら恐怖しか感じないわ…。
なんのためにこれを建てたのだろうか。
建て直し中の古民家でしょうかね?
午後11時50分、浅間茶屋に到着しました、うどんが美味しいと評判の茶屋ですね。
伊豆ヶ岳周辺では食べ物や温泉の名物めいたものがあまりなく、
この下山道に接した浅間茶屋が著名な名店として鎮座しています。
本当は寄るつもりはなかったんだけど、せっかくだから俺はこの店でうどんを食べるぜ。
江戸時代からの建物を改築したとされる古民家カフェ、雰囲気はよし、
そしてかなりお客さんが入っている…。
僕が頼んだのはこちら、釜茹で肉うどん。
香川の方いわくうどんのもっともうまい食べ方は釜茹で。
茹でたてのうどんを汁につけて食べるというものです、
これがかなり上品な味わいで美味しいのです。
確かに麺がべらぼうに美味しい、登山後の空腹にこのうどんは反則である、
秋という寒い時期、山で冷やした体をこのうどんで暖めれば
伊豆ヶ岳は忘れ得ぬ思い出になること間違いなしだろう。
それだけ美味しい、正直おかわりしたいレベル。
浅間茶屋をあとにしたら吾野の駅まで歩くのみです。
意外に距離があるのでそこは覚悟した方がいいかな、
歩道歩いていればつくと思ったら山道に入ったりします。
駅の近くは新緑が満開、これから高い山に向けてどんどん緑が上がって行く。
登山シーズン到来は近い。
午後12時55分、吾野駅到着。
本日のゴール地点吾野に着きました、中々遠かった…直ぐにつくだろうと考えていたのですが
5時間半しっかりかかっていましたね、僕は歩くのがちょっとだけ早いので
普通の人はもう少し時間がかかると思います。
しかし、1日掛けた満足な登山を楽しむ事が出来るので非常にお勧めなのは間違いない山だろう。
午後1時15分、吾野を出る池袋行き電車に乗り一路東京都への帰路へとつくのでした…。
都内周辺の人間にとってこれだけ手軽で充実度の高い登山を経験できる山もないだろう。
秩父というエリアは山深い場所で非常に魅力に溢れていると言っていい場所である。
とても渋いけどね。
奥武蔵を彩る魅力的低山の一角を成す伊豆ヶ岳、それは人のチャレンジ精神を煽る
男坂という魅力的な岩壁を前面に押し出したアスレチック度満点の山。
登山を始めてある程度鎖を握った人が訪れた時に、楽しさとスリルを経験できるような
絶妙なバランス感を持った程よいスポットだと感じています。
しかし、それ以上に奥武蔵の魅力は春という季節にあるのではないでしょうか?
ツツジや桜に彩られる4月の伊豆ヶ岳、花を愛でつつ鎖場に汗を流す至れり尽くせりの登山。
1日の充実感をしっかりと補給しつつ、花を拝み自然に触れ合える季節に合った理想的な
ハイキングをできるスポットが奥武蔵だと思います。
登山を始めて1年くらいだけれどもまだ伊豆ヶ岳に行ったことがない、
そんな人にはぜひお勧めのスポットです。
伊豆ヶ岳の地図はこちら
- 作者: 昭文社地図編集部
- 出版社/メーカー: 昭文社
- 発売日: 2018/02/27
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