【八ヶ岳】編笠山、観音平からギボシと権現岳を登る日帰り周回登山

編笠山から見る南八ヶ岳主峰群

2025年9月1日、残暑というか全然真夏が続いている街を抜け出して、涼しい空気に包まれた南八ヶ岳の山々を歩きました。そういえば編笠山って歩いたことないなと思い、ギボシから権現岳を歩いて観音平へと戻る周回コースを日帰りで楽しみます。編笠山の標高は2,524m、権現岳の標高は2,715mとなり、夏でも涼しい空気を楽しめます。

お盆が過ぎると徐々に秋の空気が漂ってきますが、2020年あたりから温暖化の影響なのか夏がとにかく暑い……。そして夏が長い、四季じゃなくて二季という言葉が2025年の流行語には挙がるほどでした。街で過ごしていると確かに暑いのですが、山に登ってみると確実に季節は進んでいるんだなということを感じられることがあります。
今回の山行でも、明け方のひんやりとした空気や、森の土の上にひっそりと生えているキノコの類に、秋の足音を感じることができました。

涼を求めて歩く、南八ヶ岳オールスターを眺める編笠山登山の始まりです。

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日帰りでたっぷりと歩くには最高な山でした。三ツ頭まで気を抜けないアップダウンが続きます。穏やかな樹林帯から鎖場へ、様々な環境を歩く素敵なコースです。

目次

編笠山、権現岳周回登山の概要

■概要
南八ヶ岳最南部にある編笠山は、名前の通り笠を伏せたようなきれいな円錐形をした秀峰です。登山道が非常に歩きやすいことから1年を通して登山者が訪れる場所でもあります。山頂からは権現岳、阿弥陀岳、赤岳、横岳と南八ヶ岳の主要なピークを一望する眺めを楽しめるということもあり、休日には多くの人でにぎわっているようです。
コースは富士見高原からと、観音平からのアクセスがありますが、権現岳を含めた周回コースをたどるのであれば観音平を選択することになります。日帰りで歩くとなるとやや長いコースタイムとなりますので、体力要件に合わせて青年小屋の利用を検討してください。
編笠山までは非常に歩きやすい、苔むした原生林を楽しんで歩くことができます。青年小屋からギボシにかけては雰囲気が一気に変わり、崩れ落ちた岩肌に作られたか細い道を辿る岩山歩きが待ち受けています。鎖はしっかりと通されていて、スリリングな箇所になるので注意して歩きましょう。高所感に満ち溢れた東ギボシの山頂からは権現小屋と権現岳がくっきりと見えるはずです。ギボシからは三ツ頭にかけて、眼下に見下ろす編笠山が本当にきれいな形なので、その眺めを思う存分楽しんでみてください。
下山は小泉口コースを下りますが……、長いです。八ヶ岳横断歩道との分岐点までは不安になるくらい下っていきます。小泉口コースにはいくつか使われていない道への分岐もあるので、GPSの利用を推奨します。

■アクセス
日帰りでこのコースを歩くとなると自走が最適です。公共交通機関の場合は小淵沢駅からの「MOUNTAIN TAXI」の利用を行うという方法があります。(年度によって変わるものだと思うので各自ご確認ください)
観音平へは中央自動車道小淵沢ICより八ヶ岳高原ラインを利用し、県道618号線を登ってください。

■コースタイム
観音平6:30→雲海7:20→押手川8:00→編笠山9:10→青年小屋9:50→東ギボシ11:00→権現岳11:25→三ツ頭12:20→雲海14:05→観音平14:55
合計登山時間 約8時間30分、八ヶ岳横断歩道に出るまでちょっと不安でした。

ひんやりとした空気に包まれた観音平

2025年9月1日午前6時30分、観音平。
おはようございます、Redsugarでございます。本日は晩夏の南八ヶ岳日帰り登山を楽しみにやってきました。
山においてお盆が終わると花が終わるなぁ~ということで、なんというか短い夏が終わってしまう感覚があります。さらに雨も降りやすくなり、なかなか泊りで山に行くことが難しい、そんな時期です。
8月後半から9月中旬くらいまで、関東周辺の高山は夏は終わっているけど秋はまだ始まっていない、そんな時期がやってきます。
どこに行こうか迷うな、そんなときにお勧めしたいのが景色のいい八ヶ岳や、岩山である穂高なのかなと。

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今回は日帰りということで八ヶ岳を選択しました。編笠山行ったことないなっていうことも理由にあったんですけど、権現岳を含めてぐるっと回ればかなり満足度が高そう、ということで観音平へ。

午前5時にSAで牛丼を食べたおかげで体調は抜群です。朝7時前に到着した観音平は涼しく、さいたま市のような「朝なのに凄く蒸し暑い……」という環境とは大違い。夜の虫の声が徐々に静まる朝の森の中を進んでいきます。

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編笠山はやっぱり人気の山で、午前6時30分出発でも多くの登山客が歩いていました。それと、7時前はまだ森が暗いんですよね、歩いている途中で日差しが差し込んできて、ちょうどいい時間に出発できたと思います。

屹立する巨岩

編笠山は原生林が見所と言われていますが、道中にある巨岩も見どころなんじゃないかなと思う。屹立した岩を眺めていると……男性器を祭る奇祭が想起される。

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山中にあるこういう岩に、そういうものを見立てて子孫繁栄とかを縁起付ける場所もきっとあったのだろう。金精峠の金精神とか、明日香村にはマラ岩なんてものもあるのか。

中間地点となる雲海

午前7時20分、雲海。
最初のチェックポイントは雲海と呼ばれる地点になります。押手川周辺の原生林が始まるなぁ、という位置にあるこの場所にはケルンが作られています。体も温まってきたころで、上着を脱ぐにはちょうどいいところです。

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雲海という地名は小泉口コースにも存在します。ややこしいよね。

登山道を案内するピンクテープ

真新しいピンクテープが張られた道を進みます。テープがなくても迷わないだろうと思えるくらい道は明瞭。

日差しが差し込んでくると森が一気に明るくなりますね。編笠山の原生林はシラビソやコメツガが密集しているんですが、木々の下はやや薄暗い。だから日差しはとてもありがたい。

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北八ヶ岳とはまた違った、奥秩父っぽい雰囲気がいいですね。

標高を上げていくとダケカンバなども見られるようになってきました。押手川分岐点の手前には特徴的な枯れ木がコースのど真ん中に立っています。苔に覆われて徐々に朽ちていく巨木ですが、幹がむき出しになったその姿は印象的です。

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波打つようなディテールが迫力あるなぁ

午前8時00分、押手川。
山梨の森林100選に登録されている編笠山の原生林はちょうどここらへん、という看板が出てきたら押手川分岐点です。ここからは編笠山の山頂へ向かうルートと、青年小屋へ直接向かうルートが伸びています。今回はもちろん編笠山山頂を目指します。

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空が見えないくらい木々が密集した森を上ります。足元は岩とコケに覆われていて、森の香りが心地よいです。

視界に浮かぶ蜘蛛の巣

森の中にきらりとCDみたいなものが浮いている。視界の端に浮かんだそれをよく見てみると……蜘蛛の巣だ。
絞りを開いて薄いピント面を合わせて蜘蛛の巣を捉えます。自然の中に浮かぶそれをよく見てみると、機械で編んだように整っている、本当に不思議です。

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周りの環境に合わせて、微妙に巣の形状を変えているんだろうけど。それにしたって見事な形状だなと感心させられます。

ひっそりと生える茸

自然とは人間を越えて現出するものと言いますが、人のことなんて全く意に介せず森は循環しています。足元に目を向けると、土へと姿を変える真っ最中の落葉土の中からキノコがにょきにょきと伸びていました。

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人工物である都市とは全く違う、自然の中に身を置くと、目だけではなく体が環境から受ける知覚の種類が全然違うよなと思います。ジェームス・ギブソンの本を読んでいるとその辺の内容が詳しく、上手に登山するためには山という環境になるべく長く身を置くことは重要だよねというのが理解できる。

苔むした岩の隙間を歩く登山道

編笠山山頂に近づくにつれて苔に覆われた巨岩が増えてきました。岩の合間に通された道を歩いていくのですが、アスレチック感があっていいですね。足元の土は降り積もった落ち葉でできているためか、踏圧に負けず柔らかい感触を足裏へと返してくれます。

複雑に分岐する登山道

トリックアートみたいな森の中を進んでいきますが、木々の背丈が徐々に低くなってきたら山頂が近づいてきている合図です。だんだん空が見えてくる。

編笠山から遠い居酒屋青年小屋を越えて

八ヶ岳から見る甲斐駒ヶ岳

森林限界を越えると低層雲よりも上に出たようです。眼下には低い雲が作り出す海が広がっています。
その向こうには南アルプス北部の名峰甲斐駒ヶ岳が良く見えますね。

編笠山の森林限界地点は蓼科山よりも緑にあふれています。北八ヶ岳に位置する蓼科山は岩しかないけど……、ここは緑に溢れている。ヤマハハコの花が特に目立っていて、その傍らには天然のキイチゴが沢山実っていました。

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山を歩いているとキイチゴをよく見ます。後はコケモモとか。ナメクジとかカタツムリが上を歩いていないとも限らないので、口に入れないほうがいいと思ってる。けど、ちょっと齧ってみたい気持ちになりますよね。

午前9時10分、編笠山。
編笠山に到着すると、山頂には僕一人で、広々とした石の間を独り占めすることができました。
編笠山の山頂はコロコロとした岩がメインで、所々ハイマツが地面を覆っています。
山頂を示す柱が複数本建てられています。南アルプスでよく見る団子型、ここにもあるんだ……。

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団子型の山頂標って、南ア南部というか聖岳を思い出させる。

編笠山山頂から見る南八ヶ岳主峰群

編笠山山頂と言えば南八ヶ岳の山々を眺める眺望の良さです。写真左から阿弥陀岳、横岳、赤岳、ギボシ、権現岳と峰々を一望する眺めは圧巻です。八ヶ岳ってたくさんピークがあるんだなと思えるのが編笠山や三ツ頭のいいところ。

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実際に歩いてみると、各ピークの距離はそこまで遠くないので日帰りでいくつかを歩けてしまうのだけども。

編笠山から青年小屋とギボシを眺める

編笠山からは青年小屋を越えてギボシ、権現岳を目指します。遠い飲み屋として知られる青い屋根の青年小屋を目指して登山道を降りていきましょう。

編笠山の下りはロックガーデンと形容できるような道が続きます。斜面には人間くらいの高さの岩が積みあがっているのですが、パッと見ではふみ跡がわからないところも。浮石に足を乗せると怪我をしかねません。
表面をよく見てみると、色が変わっている部分があるのでそれらをつなぎ合わせて道になっているか等に気を使ってみてください。坂道を下りきると、飲み屋……じゃなくて山小屋に到着です。

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ジェームス・ギブソンのアフォーダンスに至るまでの研究を見ていると、人間は環境中にある物体表面の肌理が発する情報を無意識的に受け取り、そこから「自分が今どういう位置にいて、どういう運動状況にあるか」「どこに行けてどこに行けないか」といったことを判断しているというものがあります。断崖実験というもので、ガラス板の下に段差を作り、その上を乳児に移動させるというものがあるのですが、乳児はちゃんと「行けない場所」を判断できるんだとか。ということで、岩の上をちょっと時間をかけてみてみると、どこを歩けるかはそれなりにわかるんじゃないかな。

午前9時50分、青年小屋。
南八ヶ岳で特徴的な小屋と聞かれたときに、青年小屋を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。「飲み屋」であり「山小屋」であるという面白おかしい紹介で親しまれる場所なのかなと。小屋の入り口には特徴的な赤ちょうちんが吊り下げられており、特定の登山者を吸い込むような磁場が形成されています。

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う、うぉおおお、休憩がてら軽食を食べながら一杯飲みたい……!でも登山中に酒は飲めない!!

青年小屋の裏手には大きなテント場が広がっています。観音平からのアクセスも良く、穏やかな空気が流れるテント場は魅力的です。本日は日帰り登山ということで、テント場から先に伸びている道を登ってギボシへと向かいます。
先ほどまで歩いていた編笠山を見下ろすような高度へと、ゆっくりと登っていきます。

樹林帯を越えてノロシバと呼ばれる地点に近づくと、稜線地帯は森林限界となり景色が開けます。
目の前にはギボシが見えるのですが、切れ落ちた山肌が迫力満点です。
鎖が括り付けられた岩場を登っていくとは聞いていましたが、どこを登っていくんだろう……と不安になる眺め。

ギボシを含めて景色を一瞥すると、山の地肌が見えた箇所がいくつもあることがわかります。
八ヶ岳は太古の火山で、大昔には標高3,000mを越える富士山のような成層火山があったそうです。
富士山と八ヶ岳の背比べというお話があるくらい、昔の八ヶ岳は標高が高かったのだとか。
現在の南八ヶ岳ピーク群を眺めながら、成層火山としての形を保っていた時の眺めを想像するのは楽しい。

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斜面を見ていると地中に巨大な岩塊が埋まっているなぁ……と。遠くから見ているとスケール感が狂うけど、あんな巨大なものがあの位置にあるってすごいことだよなと。

険峻な岩場が続くギボシを登る

西ギボシへと続く細かい岩の道

これまでとは雰囲気が一変し、ガラガラと音を立てて崩れそうなサイズの石ころが敷き詰められた道が始まります。

鎖場が始まるのは上部からになります。乾燥状態の岩場はフリクションが強くかかるので、グリップが良い靴を履いていればかなり引っ掛かりが良いです。ペンキマークを追いかけて登っていきます、鎖は補助といった感じでしょうか。

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あんまり鎖を握ろうっていうタイミングが、僕はなかったかな。

ギボシ方面から見下ろす編笠山

ぐいぐいと標高を上げていくと、笠を伏せたようなきれいな円錐形の編笠山の姿を楽しめるようになります。青年小屋周辺ってきれいに森林限界というか、ロックガーデン状になっているんだなぁ……。

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観音平から青年小屋なら子供を連れて歩いていくにもいいかもしれないなぁ。でも八ヶ岳ならやっぱり白駒池周辺とかになるんだろうか。小屋が多い八ヶ岳は親子の泊まりにもいいのかもしれないと思った。

西ギボシと権現岳

ノロシバと呼ばれる稜線上のチェックポイント近くまでやってきました。西ギボシが目の前にドーンと鎮座していて、その奥に権現小屋と権現岳が見えますね。西ギボシは片側に岩の鎧を装着したような、アシンメトリーの見た目が特徴的です。

西ギボシの山頂に近づいていくにつれて岩場は節理があらわになっていきます。表面に目を凝らして、割れ目の近くの表面を指でゆすってみると、場所によってはポキンッと岩が外れてしまうことがあります。
普段、岩や石は固いものというイメージがありますが、山の上で出会う風化した岩などは、割れ目に沿って力をかけると簡単に剝がれてしまったりするんですね。怖い怖い。
さて、西ギボシ直下の道ですが、こんなところにこんなにきれいな道を通したのかと感動するような登山道が築かれていました。作った人、すごいな……。

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でも足場の岩がバキっとなったという話はあんまり聞かないかも。手を伸ばした岩が動いて「やばい」は何回かあります。岩場って動く岩が一番怖いですよね。

ギボシ中腹に切り開かれた登山道

道を振り返ると、なんてきれいな足場で作られた道なんだと感心してしまいます。道幅は十分にあるので、そこまで高度感が強く無くて安心しました。

西ギボシの山腹を抜けて東ギボシの山頂直下まで来ると、グイっと無理やり標高を上げていくような感じの厳つい道が現れます。南側にある権現小屋が眼下にあるほど登ってきたようですね。東ギボシは結構高度感がありました。

ギボシ山頂に安置された蔵王権現

午前11時00分、東ギボシ。
東ギボシの山頂までは稜線の道が細く、ちょっと怖い。ここまでの道は怖くなかったんだけど、両側が「無い」という道はやはり恐ろしいものです。しかも山頂狭いし……。

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山頂には蔵王権現らしき石仏が安置されていました。ギボシの隣にある権現岳も、名前の通り山岳信仰の場となっていた山です。記録を遡れば貞観10年(868年)にまでその記載が認められるといいます。平安時代から聖なる山として国家的に認められていた権現岳を眺めるにはいい場所にあるのがギボシです。古代の人々もきっとこの頂を訪れたことでしょう。

ギボシから見る赤岳

ギボシから一番よく見える山は何かといわれると……赤岳です。今回ギボシに来て思いましたが、ここから見る赤岳が一番かっこいい気がしますね。名前の通り赤茶けた山肌と正対するのですが、南八ヶ岳の中心として申し分ない姿をしていると認識できました。

権現小屋と権現岳

東ギボシからは権現岳ですが、ほぼほぼフラットといえるような道が続きます。ギボシから見る権現岳はピークらしさがない。

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この程度はアップダウンといわない。

権現小屋は休業が続いており、小屋にたどり着いてもドリンクを購入したりすることはできませんでした。ハイドレーションがしっかりとあるので良いんですけど。コーラとかが欲しい人は、青年小屋でしっかりと飲んでおきましょう。
岩場をくりぬいたような登山道を上ると権現岳直下の分岐点へ到着します。

権現岳から見る阿弥陀岳と赤岳

権現岳までやってくると阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳と南八ヶ岳の主だった山々を一望する眺めを楽しむことができます。編笠山とはまた違った迫力のある景色です。

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このコースのいいところは終始景色がいいところです。編笠山、権現岳、三ツ頭とどれも眺望がすばらしく、登山中は飽きない風景が続きます。

三ツ頭、荒々しい山々を眺める山頂

権現岳山頂に安置された宝剣

午前11時25分、権現岳。
本日の二つ目の目的地、権現岳に到着しました。以前訪れたときは残雪期で、山頂部にたどり着くのがすごい恐ろしい場所でした。夏場はすんなりと山頂までやってくることができて胸を撫で下ろしました。
ただ、巨大な岩が積み木のように重なる山頂部は気を抜くと怪我をしてしまいそうな場所です。

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真っ赤にさび付いた宝剣が収められているのが権現岳です。
平安期にその記録があるというのは前述しましたが、さらに遡るようにして、人の営みの痕跡が発見されています。縄文時代には八ヶ岳の西南麓一帯は日本でも有数の集落が形成されていたそうです。
この辺は「縄文文化と日本人」という本で詳しく語られています、興味がある人はぜひご覧ください。

権現岳山頂にまつられた石碑、祠ですが、それぞれ違う場所に安置されています。
少し山頂から離れてみると、天を指すような形の岩自体が神聖なものにも見えてくるから不思議です。

権現岳から見る赤岳と高山を飛ぶ蝶々

権現岳から赤岳方面を眺めていると、ひらひらとチョウが飛んでいきました。
標高2,700mを越えている場所でトンボやチョウが飛んでいる事を観察すると、純粋にこんな高い場所でも虫って元気なんだなという感想を抱く。

権現岳から三ツ頭を見る

権現岳から観音平へと戻るためにはもう一登りしなくてはいけません。それが本日最後のピークである三ツ頭です。
以前、残雪期の権現岳を女体コースで登った際に訪れた場所で、三ツ頭から見る景色は今でも思い出せる迫力あるものでした。(オールスターじゃないんだけど)南八ヶ岳オールスターと言いたくなる景色を楽しめる山頂へ、向かいましょう。

午後12時20分、三ツ頭。
権現岳から三ツ頭までは樹林帯まで下ってから登り返します。
コースタイムで40分程で、それなりに距離がありますが、道は歩きやすく登りもそこまできつくはありません。
ここまでの行程で脚に疲れがたまっているという方は、権現岳で栄養補給してから挑むのが良いでしょう。

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三ツ頭は山頂というよりも稜線上の突起みたいな場所です。岩が積み上げられた地点から南八ヶ岳を眺めると、権現岳から赤岳が横に並んだ景色を楽しめます。

編笠山~権現岳周回の時計回りコースでは三ツ頭が最後の眺望ポイントになります。
写真は赤岳方面を見ていますが、編笠山から権現岳まで、歩いてきた道を一望することができます。
良く歩いてきたなと満足感に浸れる場所です。

稜線に沸き立つ雲

権現岳からは小泉口コースを歩いて観音平へと向かいます。稜線を挟んで晴天と曇天が対峙する、夏らしい景色が眼下に広がる。

分岐点から小泉口コースに入ると激下りが始まります。本日の登りはもうお終い。後は坂道を下るだけ。

小泉口コースはただただ長いのですが、道中にはなぜかベンチが置いてあったり。
ベンチの手前は火山灰土の荒れ地で草も生えていないため、眼下の街を一望することができます。

木戸口周辺から見上げる編笠山

尾根を下って行くと時折視界が開け、朝方歩いた編笠山を見上げる景色を楽しむことができます。
ようやっと戻ってきたのだ……と思いながら不安になるくらい道を降りてゆく。

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この後「下りすぎじゃね?八ヶ岳横断歩道の分岐見落としてねぇか!?」という恐怖に苛まれるほど坂を降ります。どこまで続くんだと本当に不安になった。

不安を誘う迷いの植林地帯を歩く

歪な方をしたコメツガの林

小泉口コースを下っていくと、片側だけ枝が異常に発達した木々で構成された森が現れます。まるでハーメルンの笛に導かれて歩いていこうとする者たちのように、皆一様に同じ方向に手を伸ばしています、気味が悪い。

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小泉口コースの中盤戦ではこういう樹林が目につきます。不気味ですねぇ……。詳しい原理はわからないけど、その昔ダーウィンが観測した植物のオリジナルの動き(ブルート・ファクトと呼ぶ)とは、旋回だったそうです。植物はみな旋回し、環境にある情報に応じて成長する方向を変える。この枝の向きは太陽の日差しが良い方向に伸びているとか、そういう環境的理由が形成の理由になっているんじゃないでしょうか?

午後2時05分、雲海。
小泉口コースにも雲海と呼ばれる地点があるんです、紛らわしい!
歩いていると所々に分岐の痕跡が残っていて、ボケっとして歩いていると道を間違えることがありそうです。メインストリートらしい濃い登山道を下り続ければ大丈夫なんですけども。下り続けると植林地帯がやってきます、トリックアートみたいな景色の始まりです。

回転運動が目立つ枯れ木

落葉松の植林地帯だと思うのですが、植生がやせている森っていうのは不安になります。木陰からクマが出てきたらどうしよう、木陰から白いワンピースでロングヘアの女が出てきたらどうしよう、なんていう気持ちになります。
樹皮を失った枯れ木が現れると、そういった不安がより一層掻き立てられる……。

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昔見たリングゼロの最後。仲間由紀恵というか貞子完全体モードで劇団員を呪い殺していくシーンがあるんですが、秋から冬にかけての落葉樹林帯で撮影されてるんですよね。あの映像のおかげで秋の山登りの午後とか、超怖いんですよ……。

トリックアートのような樹林帯

植林地帯の木々ですが、刈り取りの時期ってどれくらいなんでしょうね。この道どこまで下るんだろう……。

時折GPSを確認し、八ヶ岳横断歩道との分岐点がまだまだ下にあることを確認します。単調な景色が続くので、長いこと歩いたと思っても、あまり進んでないなということがあります。甲斐小泉と書かれ、廃道方面の板が取り外された指導標が出てきたら八ヶ岳横断歩道はもうすぐです。

午後2時55分、観音平。
約1時間の下り坂でしたが、体感では2時間くらい歩いたんじゃないかと思うような道でした。魔法にかけられたように長く感じた……、僕にとっては景色が退屈に思える道だったのでしょう。
さて、下山後は道の駅こぶちさわにある延命の湯へ向かいます。

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広々とした露天風呂が特徴的な温泉です。道の駅が併設されているので、そちらでお土産を買って帰ることができるのもいいところですね。車登山の時、こういう場所はありがたい。

ちなみに延命の湯にはサウナがありまして、サウナ8分+水風呂2分を3セット行い抜ける水をとことん抜きました。風呂上がりに飲んだミネラルウォーターの味が甘くなるくらい汗をかきましたね。八ヶ岳牛乳と下山後のソフトクリームで下山を祝います。

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夏山下山後のサウナは、本当に、ほーーーーんとうにヤバい、全身がけば立つ気持ちよさがあります。僕はね。

道の駅こぶちさわには産地直送の野菜が売られています。お土産は高原野菜。長いこと登山をしていますが、家族はもう珍しいお土産とかを求めてなくて、その日の食卓に上がる総菜とか野菜を買って来いっていう感じなんですよね。
もちろん北海道とか四国とか関西だったら、ご当地の名品を所望されるのですが……。山梨・長野・北関東・福島・新潟あたりのアクセスが良い場所のお土産は「道の駅で野菜を買ってきて」となることが多いです。
というわけで、夏野菜をザックに入れて今日の登山を終えるのでした。

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実際八ヶ岳周辺の野菜はおいしいと思います。高原レタスとか産直で買って帰るとすごく喜ばれる。1年を通して道の駅の産直は楽しいなぁと思います。

ギボシから見た赤岳

夏の終わりの編笠山、日帰りでたくさん歩くなら権現岳まで行ってみよう。
通年で楽しめる八ヶ岳ですが、夏山でもないし紅葉でもない微妙な時期に、森や山の姿そのものを楽しめる編笠山から権現岳を歩くのはいいなぁと思いました。編笠山単体だと交通費をかけてきたのにもったいないと思うような時間で終わってしまうんですが、権現岳まで歩いてみれば「満足するほど歩いたな」と思えるのではないでしょうか。距離にして約11㎞、標高差約1,500mということで上下の歩きの楽しみは十分に楽しめます。紅葉時期のハードな登山を前に、トレーニングとして訪れるにも良いコースではないでしょうか。
ギボシのことを意識したことがなかったのですが、実際に歩いてみると高度感あふれるアスレチックコースは胸が高ぶるものがありました。三ツ頭まで歩き、これまで歩いた道を一望する景色を眺めた時には達成感が湧き上がってくるはず……。

お盆後の残暑が続く時期、涼と景色を求めて訪れるにはよいコースだと思いました。
人生最高の山は続く。

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