2025年8月8日から9日にかけて、中央アルプスの空木岳から南駒ヶ岳を歩いてきました。今回は二日目となる南駒ヶ岳を歩きます。日本百名山で名前が挙がるのは空木岳ですが、選者である深田久弥は南駒ヶ岳も選ばれるのにふさわしい山と考えていました。最終的には名前の持つ響きの良さで空木岳が選ばれましたが、それ以外に関してはそれぞれ甲乙つけがたい、双方の良さを認めていたようです。
中央アルプス南部に位置する南駒ヶ岳は簡単にいくことはできない山でもあります。どの登山口からアクセスしても、日帰りで登ることは中々難しい山なのです。
さて、今回は中央アルプス北部の千畳敷を起点として、峰々を渡り歩き南駒ヶ岳にたどり着いたのち、池山尾根を下り菅の台バスセンターへと戻る周回縦走登山の記録となります。体力的には標高差が一番少なく、楽な行程だと思われますが、それでも南駒ヶ岳は本当に遠い山でした。
中央アルプス南部をほんの少しだけ垣間見る、南駒ヶ岳登山の二日目です。
redsugar南駒ヶ岳からさらに先、越百山までいつの日か歩くために。
千畳敷カール発、空木岳~南駒ヶ岳縦走の概要
初日の記事はこちら


夜明けの晴れ間に南駒ヶ岳を目指す






2025年8月9日午前3時45分、駒峰ヒュッテ。
おはようございます、Redsugarでございます。
本日は中央アルプスの空木岳山頂直下にある駒峰ヒュッテを出発し、南駒ヶ岳へ向かいたいと思います。
さて、初日となる中央アルプス千畳敷~空木岳間は無事に晴れたのですが、空木岳で派手な夕立に遭遇することとなりました。本降りになる前に駆け込んだ駒峰ヒュッテには続々と登山客が訪れ、収容率でいうと8割程。
ということで、盛況のうちに一夜が過ぎていきました。



一晩経って二日目、夜明けとともに南駒ヶ岳へ登ろうと準備を開始します。思いのほか、起きて準備をしている人が少ないな??


ここ最近はジップロックに入れたカレーメシを山では食べ続けています。作り方が悪いので、食べるっていうか飲むっていう感じですけど。さて、準備を整えて外に出てみると……あんまり天気が良くない。



前回空木岳に来た時も天気……あんまりよくなかったんだよなぁ。


空木岳の上空には雲が多いのですが、ご来光の方向を見てみれば空がオレンジ色に染まっているではありませんか。
快晴では見ることができない、波打つような雲が暖かい光で照らされる様を暫し眺めることにしました。


午前4時45分、駒峰ヒュッテよりご来光を眺める。
ご来光に合わせ、小屋から人々が出てきては山頂へ歩いていきます。
駒峰ヒュッテはほぼ山頂といって差支えない場所にあるので、ご来光に関してはどちらで見てもあんまり変わらないのかなと。ちなみに小屋の標高は約2,800mとなるため、朝晩は非常に冷え込みます。
8月初旬、街では熱帯夜かもしれませんが、ここではフリースにレインウェアを着こまなければ寒くて震えるほどです。


ご来光は雲と雲の合間の一瞬の出来事でした。太陽の光が雲に遮られ、彼誰時と言えるような薄暗い光の中を歩いて山頂へ向かいます。



ちなみに駒峰ヒュッテの小屋番の方曰く、空木岳は夏場に天気が悪いことが多く、おすすめは秋という話をしていました。紅葉シーズンが最も繁盛する時期で、一日を通してカラッとした天気が続くんだとか。そして、穴場のシーズンは11月だそうです。初雪の後にちょっと雪が降らないタイミングがあり、今回お世話になった小屋番さんはその時期が一番好きだと話していました。


8月の初旬ですが……秋のような空模様です。鱗雲や羊雲といって良いような雲が空を覆っています。鱗雲は巻積雲と言い、羊雲は高積雲と言いますが、どちらも秋の空によく見られる雲と言われています。



なんか、今日は天気があんまり良くなさそう。日中(午前9時~18時のことを指すが、ここでは午前9時くらいを指す)には曇り空になりそうな気がする。


午前5時15分、空木岳。
モコモコとした雲の隙間から青空が見える微妙な天気の中、空木岳山頂にやってきました。
天候的には一応晴れなんだけど、太陽の光がないので晴れた気があまりしない……。
しかし、本日の目的地は空木岳ではなくお隣にある南駒ヶ岳となります。
空木岳と比較して甲乙つけがたい名峰とされるその山頂までの道中が晴れてくれる事を祈りましょう。
摺鉢窪避難小屋を見下ろす稜線を歩く


空木岳山頂を出発し南駒ヶ岳へと向かいましょう。
白砂の歩きやすい稜線が続くような錯覚を覚えますが、実際はそんなことはありません。



それなりに歩くのが大変な道が続きます。檜尾岳から東川岳の間のような感じです。


雲の合間から時折日が差し込み、風化した花崗岩を覆うハイマツとコケの稜線を照らします。
荒い粒子状の砂地は歩き心地が良く、最初は勢いよく歩き出すことができました。が、下り斜面に差し掛かると細かい砂利は恐ろしい存在に……滑るんだよなぁ。




稜線からの眺めはよく、まず御嶽山が目に入ります。空木岳山頂部から気持ちよく眺められる山はと聞かれれば、御嶽山です。広大な山頂部にいくつもの火口がある山で、周囲から独立した存在でもあります。



御嶽山は2014年に水蒸気爆発を起こし、58名の方々が被害に遭われました。僕が登山を始めた年だったので、よく覚えています。もう10年以上も経っているのか……。


花崗岩が積み重なる稜線部には不思議な光景を目にすることも珍しくはありません。
風雨で砂粒が洗い流され、岩だけがその場所に残ってしまったのでしょうか。危ういバランスで成立する岩を山ではよく見かけるんですよね。


空木岳を出発したらまずは下りです。こうしてみると中央アルプスらしい景色というのはハイマツの中に点在する花崗岩という要素が大きいと思えます。木曽駒ヶ岳から宝剣岳までは岩がメインですが、それ以外に関しては主にハイマツと岩のミックスなんですよね。



深田久弥も磊々(らいらい)という難しい感じが似合うような岩の群れが、巨人のおもちゃ箱をひっくり返したように散乱していると描いています。そんなわけで、中央アルプスといえばハイマツと花崗岩ですね。


登山道は稜線ではなく、木曽谷側の斜面に通されています。目の前には山々の尾根が折り重なり、深い谷が続いていく。



木曽川の浸食によって作られたのが木曽谷で、京都と江戸を結んでいた中山道(木曽路)が築かれていました。五街道、全部言えるかな?東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道ですね。


空木岳からは赤椰岳へ向かうのですが、登山道は狭く左右から藪が迫ります。
足元がはっきりとしているため、道を探すということはありませんが……歩きにくい。


空を見上げると太陽を遮る灰色の雲が複雑な濃淡を景色にもたらしています。天気がいつまでもつのか、わからない状況です。予報サイトでは晴れと書かれていても、気象的定義では雲量が2割~8割までが晴れなんですよね。
雲量が8割(ほとんど青空が見えてない)も晴れですが、主観的には曇りじゃないかなと毎回思う。



これは……6割から7割くらい雲に覆われてないかね??


赤椰岳山頂が近づいてきました。空木岳から南駒ヶ岳間で注目すべき場所はどこかと言われれば赤椰岳になるでしょう。空木岳側から見ると何のことはないピークなのですが、南側には百間ナギと呼ばれる大規模崩落があるのです。



摺鉢窪避難小屋がある摺鉢窪カールの縁に位置する百間ナギですが、生きている崩落地帯になります。年々崩落が進行していて、大雨などでここが崩れると土石流の影響が麓にも及ぶ可能性があるんだとか。




赤椰岳山頂からは百間ナギ上部のピークを見ることができます。南側が一気に切れ落ちるんですよね……。
空木岳方面を振り返っても、伊那方面の斜面は斜度がきつい。


午前6時30分、赤椰岳。
赤椰岳は空木岳山頂からコースタイムで1時間ほどの場所にあるピークになります。
南駒ヶ岳の手前にある山で、摺鉢窪カールを見下ろす山頂です。駒峰ヒュッテには多くの登山客がいたというのに、南駒ヶ岳まで来る人は全然いない……。


赤椰岳からは南駒ヶ岳本体の明瞭な眺めを得ることができます。空木岳と比較するとハイマツが多く、ずっしりとした見た目。深田久弥は胆汁質な山だと評していましたが、筋力が強そうな巨躯と解釈したのでしょうか。



古代ギリシャには四体液説というものがありました。人間は血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁の4つの体液のバランスで成り立っていて、その調和が崩れると病気になるとされていました。気質/性格といったものもそれによって決まるとされていたのです。
黄胆汁(胆汁質)は荒々しい性格の熱血漢で、気前がいいが傲慢であるとされています。固く水気に乏しい筋肉が特徴なんだとか。



……いわれるとそうも見えなくもないか??まぁ、空木岳のほうがスマートには見えるな。


さて、南駒ヶ岳までの道中で見るべきは摺鉢窪避難小屋です。
百間ナギの崩落が進んでいることは紹介しましたが、現在は小屋の周辺に大規模なクラックが発生しており
崩落の危険性があるということで現在は使うことができなくなっています。稜線から見下ろす避難小屋ですが、崩落は小屋のすぐ後ろまで迫っているのがわかりますね。



崖のぎりぎりに小屋が建ってる……。


現在進行形で崩落が進む百間ナギ。その影響で、今は摺鉢窪カール自体に入ることができません。
ジャリジャリと音を立てる砂地の稜線を歩いていると、風雨の影響で崩落が進むのは自然の摂理として仕方のないことのように思える。






南駒ヶ岳の山頂を目指しますが、赤椰岳を振り返ってみましょう。
百間ナギ上部の削り取られたような山肌、その鮮明な景色が眼下に広がります。崩落したというよりは、秩父武甲山のような人工的に削り取ったかのような山肌に驚きます。ずいぶんと離れたところから見ても、地層のような縞模様を確認することができますね。


百間ナギを見下ろし、摺鉢窪避難小屋の周囲に広がる「人のことなど関係なく循環する自然」に思いを巡らせていると
空木岳の山頂を覆う膜のような雲が上空に広がってきました。「あ、これはまずい」そう思った時にはすでに遅く、歩くよりも早く、雲は駆け足で空を蹂躙していくのでした。
ガスに包まれる白亜の稜線、空木岳へと戻る道のり


午前7時15分、南駒ヶ岳。
白砂の地面を踏みしめて南駒ヶ岳に到着しました。空木岳といい南駒ヶ岳といい、百名山・二百名山に名を連ねているのに、山頂に立つ柱が貧相です。でも、木曽駒ヶ岳みたいに立派だけど人であふれているよりは良いのかな。



空模様ですが、あっという間に上空から青空が失われてしまいました。かろうじて晴天の状況で山頂に到着できましたが、晴れ間は本当に短かった……。


南駒ヶ岳からさらに南側、仙涯嶺から越百山へと道は続いていくのですが……今日はここまでです。
ちなみに、日本百名山の著者である深田久弥は越百山から南駒ヶ岳、空木岳と北上するコースを歩いたそうです。



三百名山まで選定された後、この空木岳・南駒ヶ岳・越百山の縦走は中央アルプスの百名山・二百名山・三百名山を一気に歩くルートになりました。僕の周りの登山ブロガーは中央アルプス123と呼んでいたことも。ただ、当ブログでは西のダムから歩くそのコースは「アクセスがめんどくさすぎる」のでいまだ踏査しておりません。
埼玉から行くの遠いんだって、中央道の駒ヶ根が限界です私。


上空に現れた雲が稜線に覆いかぶさるように降りてきました。薄い雲ではあるようで、太陽の光が拡散されあたり一面が柔らかくもまぶしい光に包まれています。



今回はこの区間だけピストンなんですよね……、来た道を戻るのはあまり楽しくない作業だけど、空木岳まで頑張りましょう。


帰り際にもう一度摺鉢窪避難小屋をよく見てみると……解体作業の途中なんでしょうか、いろんな道具が小屋の周りに散らばっています。さらに、数匹のシカが草原地帯をのんびりと歩き回っているようです。



概念や規則に縛られない動物に見習うことも、あるのかもなぁ……。と、鹿を眺めながら思う。


ガスがかかった山の上や、曇り空の山はそれはそれでいいものです。山で写真を撮る人の多くは晴天だと立体感があっていいと思うんだろうけど……、それは絵葉書的な写真の価値観でもあります。
さらに、青空のもと、見通しの良いパノラマって美術史や写真史の文脈では権威者が一瞥する景色という意味もあったりします。そういうのを知っておくと、風景で作品を作るときのアプローチの角度に違いが作れるかもしれませんね。



ちなみに、曇天の風景写真といえばドイツのベッヒャー派の人々が挙げられるのではないでしょうか。僕が好きなハンス・クリスティアン・シンクなども、代表作は曇天でフラットな光が回っている写真です。


さっきまで歩いていた道を戻っていく、作業感が強い歩行なんですが……ライチョウが出てきた。ガスで見通しが悪くなり、天敵である猛禽に遭遇しにくくなったということで出てきたのかな?




すっかりと雲に包まれた稜線。見通しが悪い分、恐怖感が増した風景が続きます。磊々という言葉がぴったり似合うような稜線の光景です。ゴジラの皮膚の上を歩いているみたいだ。


ガスで背景が白くなったことで、稜線に積み重なる岩がモニュメンタルな様相に。視線がついつい足元に向きがちで、ある瞬間顔を上げると、まるでそこに立っているかのような岩が現れる。山ではそういう出会いのような事があります。


足元は花崗岩の上にざらざらとした小石が堆積した道が続きます。石がころころ~っと転がることで足が滑るっていうことがありまして、こういう道って油断できないんですよね……。
山で転ぶって色々な理由があると思いますが、僕はこの手の固い地面の上に乾燥していて転がるものが堆積しているタイプの地面が嫌いです、本当に滑りやすいから。



滑るっていうと、濡れた地面とかを想像するじゃないですか。乾燥していても滑るんですよ、砂利道って……。


あっという間に濃くなったガスのためか、10m先も見通せない。雲の中を歩くっていうのは非常にしんどいことでして、吹き付ける風は湿っていて……寒くないはずなのに確実に体温が奪われていきます。



雲の中を歩いていると、カメラとか気が付いたらビシャビシャになりますからね。気密性が低いレンズとか内側から曇っちゃうんです。山で撮影をするなら、堅牢なカメラを持っていきたいところです。ちなみに僕はZ7II+NIKKOR Z24-70mm f/2.8 Sを信用しています。


南駒ヶ岳から空木岳まで、非常に面倒な登り返しを歩いて空木岳へ戻ってきました。ガスが濃すぎてどこが山頂だかわからないほどです。登山道がなければ迷ってしまうだろうなぁ……。






午前9時45分、空木岳。
また曇天の空木岳か……、次回は秋に、一日中晴れているときに訪れようという気持ちを強く持ちました。風雨で砂が流出し、荒れ果てている登山道を下って駒峰ヒュッテに戻ります。



改めて歩いてみると、洗掘がひどい。温暖化の影響で気候の激甚化が進むと、山々の山頂部も百間ナギのように崩れてしまう場所が出てくるかもしれませんね。
駒岩から菅の台へ、地獄を歩いて


午前10時40分、駒石。
空木岳からは池山尾根を下って菅の台にある駐車場へと戻ります。南駒ヶ岳を目指すのであれば池山尾根のピストンが最速だと思うのですが、池山尾根は道中に水場が無く、菅の台から空木岳山頂までは標高差2,100m以上となる非常に厳しいコースになっています。(山と渓谷社『ヤマタイム』にて駒ヶ根高原~空木岳山頂で計算)



以前空木岳に登った際は池山尾根を登りましたが、
夏場にこの道を歩くのは二度と勘弁願いたいと思ったんですよね……。


「駒岩」は池山尾根上部にある空木岳のチャームポイントともいえる巨岩です。
どことなく巨人の顔を彷彿とさせる岩が、白砂とハイマツが広がる山肌に唐突に現れます。
長く厳しい池山尾根を歩いた人々の休憩地点にもなっている場所です。



よく見るとボンバーマンみたいな顔してるような?






駒岩は森林限界と樹林帯の境界線付近にあります。駒ヶ根の街を見下ろす見晴らしに別れを告げ、鬱蒼とした樹林帯へ降りていきます。池山尾根は駒ヶ根高原から空木岳で距離は約10㎞、標高差が前述のとおり2,100mくらい。
地図を眺めていても「あれ、等高線の間隔が狭いな」と思いますが、実際に歩いてみると本当に急な道が続く。
非常に体力を消耗するコースなので、下りでも油断はできません。


空木岳に登る最短経路ということで、道はよく整備されています。百名山だからこそ、こうやって整備されているんだろうなぁ……という道が続く。


稜線では白砂の地面に花崗岩が目を引きましたが、中腹に降りてきても花崗岩は健在です。樹林帯では長い年月をかけて植物遺体が土を形成しているようでした。身体的体験を通して、砂が土へ遷移していく様子を垣間見ることができるのも、登山という大地を上下に移動するアクティビティがもたらす視点なのかも。



フレデリック・グロの『歩くという哲学』において、ニーチェが山を歩いた際のダイナミックな景観の変異に対する感嘆の言葉が紹介されてました。思惟する人々のように、山を歩いてみたいものですね。




池山尾根の中腹には梯子や鎖場も現れます。
ヨナ沢の頭という部分から下は等高線の間隔が狭くなり、つまるところ急な坂道が始まるのです。


空木岳小屋で見かけた方々がゆっくりと下山していきます。みんな、この道はきついよねと口をそろえて言う。



伝わりにくい比喩になるけど、木曽駒ヶ岳のクラシックコースである桂小場を煮詰めると、池山尾根になる。




午後12時20分、大地獄。
池山尾根の難所である小地獄、大地獄がやってきました。
積み重なる岩、細い道、張り巡らされた鎖とロープが特徴となる池山尾根の難所です。
下りコースでは小地獄→大地獄の順番で歩く事になりますが、注意が必要なのは二つの間でしょうか。



ここを越えたら難所は終わりです、駒岩から大地獄までは足が削られる道が続くのでご注意を。




ロープが張り巡らされた道をストックを駆使しながらゆっくりと下ります。
南駒ヶ岳山頂付近でもお話ししましたが、花崗岩が風化して砂状になった地面は滑りやすいんです。
それは大地獄付近でも変わらなくて、場所によっては乾いているけど砂がコロコロする、という場所があります。


登山道脇の抉れた山肌を見てみると、風化して砂になってゆく花崗岩を観察することができます。
真砂土……とは言えないような、荒く、白っぽい砂が土と混ざっていく過程といった感じでしょうか。






シラビソと笹が無限に広がるような樹林帯まで下りてきたら……後はだらだらとした道を歩き続けるのみ。



マセナギからは簫ノ笛山方面へと道が伸びています。空木岳は名前の響きが良いと言った深田久弥ですが、山麓にある簫ノ笛山に合わせて、山の名前の響きへのこだわりを綴っています。


マセナギを通過して標高2,000m以下まで降りてくると、ようやく植物が生き生きとし始めます。
植物を越えた何かを感じさせる奇妙な形の風景が踊る森は歩いていて楽しい。






午後1時00分、尻無。
大地獄から下は案内板がしっかりしてるんだよなぁ……、空木岳山頂とかすごい貧弱な木柱なのに。
マセナギ、尻無、池山小屋分岐と立派な指導標が続きますね。ということで池山尾根にある貴重な水場でもある池山小屋分岐まで下りてきました。



以前歩いた際、ここに置き手紙がありまして。「空木平の水場は枯れています、ここが最後の水場です」っていう恐怖のメッセージが添えられていたんです。
猿の威嚇、池山尾根の終わり


夏の時期といえばキノコです。ふつうキノコは秋の味覚と思われますが、登山をしていると真冬以外はキノコを見かけます。8月ど真ん中、池山尾根を下山する中で特に多く見かけたのは……タマゴタケ。僕はキノコは全般的に食べられないので、見ることしかできないけど、中華料理に入っているようなサイズのものをよく見かけました。


池山尾根を菅の台に向かって歩いていきますが、池山小屋から先も長い。そしてこのあたりからアブが出現します。
標高が高いところは寒いくらいで、虫があまり居ません。しかし、標高が低いところは当然のごとく暑いし、虫もポップし放題です。



一度ザックを下ろしてハッカ油をつけなおしました。標高を下げると虫の数がすごく多くなるんだよな……。






午後1時45分、タカウチ場。
タカウチ場を過ぎれば林道はすぐそこです。以前歩いた際はスキー場の駐車場に車を置いていたから、ここまで来たらもう下山したも同然という気持ちになっていました。しかし、今回は菅の台までいかなくてはなりません。
なぜ駐車料金を支払ってロープウェイに乗ってしまったんだろう。スキー場の駐車場に車を置いて、ロープウェイまで歩いたほうが金銭的にも労力的にもよかったじゃないか。



空木岳まで歩くっていうことを考えると、ロープウェイ駐車場使う意味なかったんだよなとここで気が付きました。






林道を過ぎてもまだまだ道は続きます。スキー場から菅の台を見下ろし、もうすぐ終わる……と思ってからも意外に長い。久々にうんざりするくらいの道でした。



距離はそこまで長くないんだけど、長く感じるんですよね……池山尾根。針ノ木峠から柏原新道、早川尾根小屋から夜叉神峠など1日15㎞ほどを歩くコースも歩いているんですが、それと比較して5㎞ほど短いはずなんだけど、池山尾根のほうが嫌です。


午後2時40分、林道駐車場。
空木岳に登る人々が使う駐車場まで降りてきました。スキー場に隣接する地点にある駐車場ですが、昨晩駒峰ヒュッテでご一緒した方々が帰り支度をしています。僕もここに車を停めるんだったと心底後悔しました。



ここだったら無料だからなぁ……。


林道から車道へ。ようやくバスターミナルが見えてくる場所まで来たら……すげぇ数のサルが路上をうろついていました。ロープウェイ行のバス停の隣にあるアウトドアショップの入り口を占拠するようなサル。目の前を通っていくとめちゃくちゃ威嚇されました。



サルはすぐに威嚇してくるから嫌いです。登山をしているとサルにはよく出会いますが、とにかく怖い動物です。




午後3時10分、駒ヶ岳ロープウェイ駐車場。
ようやく車に到着しました……、駒峰ヒュッテを出発したのが大体午前10時くらいで、下山完了が15時です。
池山尾根って本当に長いな!!と思いながらザックを下ろし、靴を脱いでサンダルに。駐車場の隣にあるすずらんハウスへ行き下山後のソフトクリームを注文しました。



ここのソフトクリームは本当におすすめのソフトクリームです。濃厚な牛乳とバニラの香りが際立つ上質なソフトクリームで、登山後に食べると体に染み渡るような味がします。




下山後の温泉は毎度のことながら「こぶしの湯」です。中央アルプスは菅の台周辺、皆さんはどちらの温泉に行かれますか?僕は毎回こぶしの湯なので、ほかの温泉も誰か教えてほしい……。
登山と風呂で脱水しきった体に、八ヶ岳乳業の牛乳と瓶ジンジャーエールは非常に効きました、整う。




駒ヶ根市内に酒屋はないか、信濃鶴が買えるんじゃないか!?ということで「つるや商店」さんで信濃鶴を購入。
信濃鶴は個人的に好きな日本酒でして、それを作る「長生社」さんは駒ヶ根にあります。
自分は登山にプラスアルファで、地元の酒蔵の酒を買うっていうことをしていますが、登山に何か一つ追加すると、赴いた場所を少しだけ楽しむことができるようになると思いますよ。



その地の名物を食べる、これは鉄板です。その地の水を使った酒を飲むはそこから派生しました。例えばその地のラーメンでもいいし、パン屋さんやケーキ屋さんでもいい、その場所で生活する人々の味覚に興味を持ったりすると、登山が少しだけ旅になると思います。






今回は自走で登山に来ており、ご飯を食べて帰る余裕もありましたので……駒ヶ根ICのすぐ近くにある雷音ラーメンへ。中央アルプスを下山したらソースカツという方は多いと思いますが、10年も登山ブログを書いていると中央アルプス=ソースカツはさすがにもういいかなっていう気持ちになるんです。かといってローメンもな。
ラーメンは今や全国どこにでもあるし、しかもその土地で味の方向性が結構変わります。



雷音ラーメンさんで驚いたのは厚揚げです。定義山の厚揚げに豆板醤がかけられたものがドンッと載っています。味噌ラーメン自体は魚介の風味がありおいしい、自分は好きなタイプなのでするすると食べられる。味玉もちゃんと味が染みてる。この厚揚げのサクサク感が雷音なのかな??
ソースカツに飽きたら、ラーメンもいいんじゃない?





というわけで信濃鶴「頑卓」です。まず開封時に弾けるフレーバー、凄まじく華やかでフルーティーな香りが炸裂する。無濾過生原酒ゆえの少しばかりの発泡感が爽やかさに拍車をかける。辛口特有の芳醇な甘みが開封直後は強く、一番美味しいと思う。可憐でさっぱりとした味わいなので少し脂っこいものと合わせるのはどうだろう、チーズとか鴨みたいなものと合わせたい。あとは淡白だけど塩気が強いものがいいな、海鮮系の焼き物やアサリのバター蒸しみたいな、そんなものと合わせると最高に思う。
そう、僕はこのお酒は肉より海鮮な感じがするので焼きたらこで食べていた、さっぱりとしたしょっぱさに最高に合います!二日目からは芳醇な香りが増加、爽やかなフレーバーは変わらないけど旨味がぐっと顔を出した感じ、米の甘みが心地よい。これならおつまみいらないな?というくらい味が濃くてよいです。










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