【北海道】北鎮岳、旭岳から裾合平を回る火山と紅葉の日帰り登山

姿見から旭岳を見る

2024年9月23日、北海道のど真ん中にある大雪山旭岳から北海道で二番目の高さを誇る「北鎮岳」を歩いてきました。
北海道の山の夏最盛期っていうのは7月15日くらいからスタートして、8月のお盆あたりで終わりを迎えるといった短いものになっています。9月ともなれば風は冷たくなり、日本最速の紅葉が始まっていきます。
大雪山旭岳の標高は2,291m、北鎮岳は2,244mの山、日本最速の紅葉は9月の中旬くらいが見ごろとなりますが、今回はその紅葉が少し終わったころに大雪山を裾合平を含めてぐるりと回って歩きます。

大雪山は広大な山地です。百名山では大雪山旭岳とされていますが、東には黒岳、北には愛別岳、南に向かえば緑岳やトムラウシへ向かう縦走路上の忠別岳と様々な山がひしめき合う巨大な山域になっています。
百名山の中では飯豊山や丹沢が同じような扱われ方をしていますが、実際に歩くとなれば「大雪山のどの山をどういったコース取りで歩くのか?」がとても需要になります。

今回の北海道は前後編となり、前編となる本記事は旭岳登山から北鎮岳へ向かう愛別岳方面を偵察、そのあとは紅葉の残り香がある裾合平を通るというルートになります。
後編は銀泉台から大雪山高原温泉へ、緑岳から忠別岳へと続く高根ヶ原を見下ろす大眺望を楽しむ登山となります。
日本有数の巨大な火山性大地を歩くことが出来る大雪山、まずは紅葉の秋に楽しむ周回縦走の記録です。

redsugar

旭岳の次に高いのが北鎮岳、意外に登るのが大変です。そしてそこから見える魅力的な山が愛別岳……、いつか愛山渓温泉から登りたい!そんな登山のお話です。

目次

大雪山北鎮岳周回縦走の概要

■概要
さて、みなさんが気になるであろうアクセスですが、Redsugarは実家が北海道という個人的な特性を利用しています。なので、アクセスの再現性は今回ございません……ごめんね。
ただ、北海道へ行く際は早割りを利用し天候の御祈りをして放置する、しか選択肢なくない?
早割りで2回分くらい先にチケット取っておいて、天気がダメなら観光でもしよう、くらいの気持ちでチケットを安い時に取るのが良いでしょう。あとは陸マイラーを頑張って、特別航空券を使う方法くらいでしょうか、とにかく飛行機登山っていうのは難易度が高いんだ……。

登山に関してですが、旭岳ロープウェイを利用し姿見をスタート地点として間宮岳、北鎮岳、中岳温泉、裾合平を歩いて戻るという反時計回りのコース取りになります。
このコースで一番の危険地帯は旭岳の下り、ざらざらの砂地あたりでしょうか。靴で踏みしめた大地との間に大量の小石があるのですが、それがころころと動くためスッ転びそうで非常に怖い坂下りとなっています。
それ以外は北海道の大雪山ってこれだよねと思えるフラットで歩きやすい道を楽しむことが出来ます。
北鎮岳は周回ルート上から少し離れた場所に鎮座していて、一直線に登るその道は中々息が上がるような大変さ。中岳の分岐以降は木道を経由して姿見へとゆっくり帰る道となりますが、熊がたまに現れる地帯でもあるので、スプレーなどを常備することをお勧めします。

■アクセス
北海道へは実家が近い帯広空港からアクセスしました。車を借りて自走で東川町まで来たので再現性は無し。道外の方が登る場合は新千歳空港か旭川空港へとアクセスし、レンタカーで旭川方面に走るのが一番早いです。移動日初日に登るというのは難しい場所でもあるので、移動日は車中泊かテント泊で登山口の近くで陣を張るのがお勧めでしょう。

■コースタイム
旭岳ロープウェイ駐車場6:20→旭岳ロープウェイ山頂駅7:10→旭岳山頂9:35→間宮岳10:45→中岳11:35→北鎮岳12:10→中岳温泉13:40→裾合分岐14:20→ロープウェイ山頂駅15:40
合計登山時間 約9時間30分。

旭岳ロープウェイから登る秋の姿見

早朝の忠別湖

2024年9月23日午前5時55分、旭岳ロープウェイへ。
おはようございます、Redsugarでございます。
早朝実家を出発しまして、夜通し車を走らせて旭岳ロープウェイを目指しています。実家がある音更から旭川って3時間くらいかかるんですよ、内地にいる時でいうと埼玉から尾瀬御池に行くような感覚が近いでしょうか。
朝もやが見える忠別湖のむこう側に大雪山の山々の朝の目覚めが見えます。

しばれた足元の草

駐車場に到着後、準備を開始し始めて早速驚いたのが足元です。しばれてます……、9月の後半ともなれば朝は氷点下なので、埼玉では1月とかにならないと見れないような景色がここ北海道では見れます。

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あぁーーー!!やっぱり北海道だよなぁ!!寒いの最高~~!!

午前6時20分、旭岳ロープウェイ駐車場。
平日に実家に帰るという暴挙に出ているRedsugarですので、旭岳に登るという今回のイベントも平日です。つまり駐車場はガラガラでして、駐車場でテント泊をしているような方もいらっしゃいました。北海道はそういう所自由なんです。

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僕が小学生の頃は海岸沿いや、その辺の林道でテント張って寝泊まりしてて……っていうおおらかさが昔はあった。内地はどこでもテント張ったりするのが難しいからなぁ

午前7時10分、旭岳ロープウェイ山頂駅。
旭岳ロープウェイの始発に合わせてチケットを購入。ロープウェイ第一便で山の上へと登っていきます。
山頂駅に着いた瞬間温度が数度ほど下がり、肌を突き刺すような空気に思わず「寒ッ!」と声をあげてしまいますが、口角は上がりにっこにこの表情です。

山頂駅から見下ろす旭岳の中腹は今まさに紅葉の盛りに見えます。紅葉の進み具合にもよりますが9月23日は北海道の山では山頂部の紅葉は大体終わっているシーズンじゃないでしょうか。裾合平よりもさらに下へ紅葉は降りていると思う。

姿見駅前

気温は2.2℃という旭岳の姿見です。霜が溶けて足元がびちゃびちゃだ。

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よく晴れている、歩くにはとてもいい日だ。

紅葉する姿見駅

姿見の池がある場所までは観光客が大量に歩くこともありロープが張られた遊歩道的な道が入り組んでいます。そこから好きな道を選んで姿見の池を目指しましょう。

霜に覆われた高山植物

足元の草花を見れば霜の花に包まれて、朝化粧とでもいうような姿です。
9月にこの状態の草花を見れるなんて嬉しい限り。埼玉だと1月の朝にちょっと見れるくらいかな。

噴気が上がる旭岳

姿見駅から朝日岳にかけては「ゴォーーーー」っと音を立てる噴気孔を眺めながら歩くこととなります。
正面にある旭岳の噴気孔は勢いがよく、複数個の穴から真っ白な雲のような煙が空へと上がっていくのです。

地獄谷の噴気を目指す

徐々に近寄ってみればその噴気孔の規模が内地の山とは比べ物にならないほど大きいというのがわかってきます。
立山室堂や那須岳にも噴気孔はあるけど、ジェットエンジンみたいな音が鳴り響く中で巨大な白煙が上がるのは北海道大雪山と雌阿寒岳位のものではないでしょうか?

姿見の池と噴気

姿見の池までやってくると、風も無い朝の水鏡が白煙を噴き上げる旭岳の姿を映しています。
ここからが登山道の始まりでもあるので、姿見の池を周遊しながら登山の準備を整えましょう。

地獄谷の噴気孔

「ゴオォォオォオッ!」っと爆音を掻き立てる噴気孔、看板がある位置までは近づくことが出来ます。結構みんなスルーして登山を開始してしまうのですが、ぎりぎりまで近づいて見てみるのも一興です。近づくことが出来る噴気孔ってレアです、北海道だとアトサヌプリという噴気孔鑑賞のための観光地がありますが、あれくらい近づけます。

北海道最高峰旭岳を目指して

姿見方面の景色

姿見に人が増えてきたなぁと眺めながら、北海道最高峰の旭岳を目指して登山開始です。

化雲岳方面の景色

北海道の山の景色の特徴はスケール感でしょうか。山のサイズ一つ一つがとても大きいことと、山域が巨大というものがあります。旭岳の南側にはトムラウシが見え、その手前の広大な台地のような山肌には天人峡温泉から化雲岳へ登る登山道が一本ピッと惹かれた景色が広がっています。

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コースタイムで片道7時間30分、そんなんで歩ききれるのか?と思うくらい長い道が台地に刻まれている。

火山らしい旭岳を登る

旭岳の山頂までは結構身軽な人も歩いているんですが、片道で2時間くらいかかります。中腹くらいまでは観光客がたくさんいるのが晴れた日の旭岳。

中別岳のピークを見る

大雪山は巨大な火山で、いくつものピークが密集している場所でもあります。
巨大な火山が作り出したダイナミックな地形、渓谷のむこう側に見える盛り上がったピークは忠別岳です。

火山灰土の山腹

姿見から山頂までは火山性の植物が少ない場所を歩いて行くわけですが、中腹に目を向けると溶岩が作り出した複雑な地形が横たわっています。内地でこの景色を鮮明に見れるのは鳥海山かなぁ……。

爆裂火口に埋まる巨岩

旭岳の爆裂火口である地獄谷ですが、台地の底から何者かが這い出るような……そんな景色が広がります。
そういう視点を排除して考えても大地の中に埋没する巨大な岩の一端が見えるという不思議な景色。

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昔あったTHE COREっていうB級映画を思い出します。マントルの中には巨大なダイアモンドの塊があるとか、そういう部分が面白かったなぁ。1イベントで一人退場するっていうもうわかりきった構成が逆に心地よい映画だった。

地獄谷を見下ろす

地獄谷には噴気孔がいくつもありまして、上から見るとそれはもう爽快な景色なわけです。ゴォオオオオッという奮起が噴き出す轟音の中をザクザクと音を立てて登っていきます。

旭岳山頂直下

旭岳の山頂が見えてきました。大雪山の主要なピークは女性的というか丸くて穏やかな地形の場所が多いです。

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愛別岳方面とか切り立った場所で、白雲岳やロックガーデンもちょっといかつい。それ以外は歩いた感じ穏やかな印象がありますね。

本物の金庫岩

大雪山のランドマークと言えば金庫岩です。山頂直下にきれいな長方形の岩が生えてまして、金庫みたいな形なので金庫岩と。ちなみにこのすぐそばにニセ金庫岩というものもあります。

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怪談話みたいなもので、大雪山SOS遭難事件というものがありまして。それの原因になったのがニセ金庫岩であります。現在では下山時にニセ金庫岩方面に行かないように緑色のロープで登山道が鮮明に記されています。

午前9時35分、旭岳山頂。
山頂に到着して驚きました、こんなに登山客いたっけ??と。
北海道最高峰にして北海道の百名山筆頭と言っていい旭岳は登山客凄い多い……。
ロープウェイの始発で登っていた人たち沢山いたんだなぁと感心してしまいました。
ヤマケイの紹介文でも大雪山の盟主として、北海道の最高峰として誰もが一度は登らねばならない山が旭岳。なんて紹介をされているくらい、北海道ではメジャーな山なのは間違いない。

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本当に人が多い、カップラーメンの香りが漂う山頂は非常ににぎやかです。山頂の柱には雪の名残かエビのしっぽができていました。さすが北海道、9月には雪化粧です。

旭岳から白雲岳方面

大雪山は巨大な山塊なんですが、個々のピークに名前を付けたのは我々和人となります。アイヌの人たちは北鎮岳や間宮岳など、そういう一つ一つの名前は付けていませんでした。山頂から見渡すと写真中央の白雲岳がよく目立ちます。
トムラウシへ向かう大雪山縦走路の入り口と言ってもいい白雲岳は山腹に巨大な平原を持ち、野兎やヒグマといった野生動物の姿や旭岳方面のゼブラを見ることができる展望台です。

爆裂火口にかかる雲

地獄谷のフチは地層の筋がはっきりと出ていますね。雲がもくもくと上がってきて……旭岳はもうすぐガスに包まれそう。

愛別岳方面

北方に見える白い火山性大地が特徴的な山々は愛別岳、日本最北の2,000m峰となっていて登らなければならないと思う1座です。稜線のダイナミックすぎる景色、蝶が舞うという釣り尾根を歩きたい。

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入山は愛山渓温泉、八島方面から湿原地帯を抜けて安足間岳へ登りそこから愛別岳へ向かう登山をしてみたい。

エビのしっぽが付いた看板

エビのしっぽができるくらい夜は寒い旭岳ですが、日中は十数度と歩くにはまだまだ暑い。

山頂の登山客と真昼の月

山頂には続々と登山客がやってきます。でも、山頂を越えて縦走路へと一歩踏み出せば人の声はまばらとなり、巨大な大地と自分の身体の会話を楽しむ静かな時間の始まりとなります。大雪山の穏やかな地面は「歩く」という事に完璧に集中しきることができる最高の場所なのです。

北海道標高第2位の北鎮岳を目指す

裏旭へ降りる

旭岳から黒岳までの間には広大な火山性の大地が広がります。大雪山っていうのはこのエリア一帯のことを指すのですが、広義にはトムラウシから旭岳までの一帯、狭義には旭岳と黒岳の間を大雪山を言うらしい。
ちなみに今から向かう間宮岳の由来ですが、江戸時代の文化4年(1807年)に間宮林蔵がこのエリアを調査したことなどが名前の元ネタとなっているようですね。

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間宮林蔵は江戸時代に活躍した「探検家」といっていいでしょう。宗谷岬にブロンズ像になってるあの人です、道民ならわかるっしょ。
間宮は北海道から樺太にかけてを調査しました。サハリンとロシアが繋がっていないことを確かめ、日本地図における間宮海峡(日本以外ではタタール海峡)の名づけともなった人物です。

裏旭の草原と白雲岳

草紅葉がへばりついた火山性の荒野のむこうにこんもりとした白雲岳の姿。ちなみに間宮林蔵は伊能忠敬の門人として測量技法などを学んだ後、忠敬が測量することができなかった北海道を含む蝦夷地を測量。その結果『大日本沿海輿地全図』が完成するのです。伊能忠敬に着目した映画『大河への道』も面白いので見てみてね。

裏旭の姿

旭岳を最も迫力を伴ってみることが出来るのはどこか?と言われれば僕はこの裏手から見る景色かなぁと思います。
旭岳の東側にあるキャンプ地を過ぎて間宮岳の登りに差し掛かるところから振り返ると、原始地球を想起させる威圧感のある景色が目の前に立ち上がるのです。

redsugar心の声

旭岳で一番お勧めな景色だよ。

間宮岳稜線

間宮岳が見えてきました。この写真で空を赤くして火星を言えば騙される人もいるかもしれない。それくらい歩いていて不思議な気持ちになる場所です。

redsugar

地球も宇宙にある星なんだよな……と。

間宮岳への道中は火星の様

草が生えているから地球っぽさが残るけど、あたりを見回してみても「ここは日本」と簡単には言い難い景色が広がります。

白雲岳方面の景色

空を雲が通り過ぎていくたびに、大地には大きな影が落とされます。それが地表を移動していく様はどことなく恐ろしく、一度牙をむけば間違いなく命を持っていかれるような、そんな自然の巨大さを感じさせるには十分。

熊ヶ岳のピーク

間宮岳から旭岳側を見るとクレーターのような地形が目に入ります。これは熊ヶ岳というピークで標高は2,210m、夏はカールの底に池があるのですが、今回は干上がっていました。

間宮岳山頂

午前10時45分、間宮岳。
大雪山旭岳と黒岳の中間地点にある間宮岳にやってきました。
御鉢平と呼ばれる広大なクレーター地形をぐるりと取り囲むように作られた登山道の分岐点になる場所です。ここから北に行けば北鎮岳、雲ノ平、愛別岳、裾合平といった場所へ向かうことが出来ます。南側へ向かえば北海岳、白雲岳、赤岳から銀仙台、そしてトムラウシへと続く大縦走路へ向かうことが可能です。

間宮岳の山頂地帯

間宮岳の山頂はただただ広く目印も希薄、悪天候で足元も確認しずらい場合は非常に危ないことになりそう……それくらい平坦でだだっ広い。

北鎮岳を目指す

間宮岳から北鎮岳方面。裾合平への分岐点があるので登山者も多い。

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写真にあるきれいな三角形のピークが北鎮岳。パッと見そんなに登るのが辛そうには見えない。

御鉢平を見下ろす

間宮岳まで来ると目の前には御鉢平のこの景色がずっと広がります。安達太良山の爆裂火口を北海道風に翻訳するとこんな感じでしょうか。

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安達太良山と比べると周囲を囲う登山道が圧倒的に歩きやすいという違いがあります。安達太良山はさぁ、沼尻方面が結構きついじゃん?

安足間岳と比布岳を見上げる

北鎮岳へ向かい鞍部に降りてくると目の前に現れるのが比布岳と安足間岳の美しい山肌です。あの白砂の稜線……いつか歩かなくてはいけないでしょう。

redsugar

あの白砂の釣り尾根のむこう側に愛別岳があります。行ってみてぇ~!

御鉢平の有毒温泉方面

御鉢平を見下ろすといくつもの川の流れの跡が見えます。これだけ広大で、水もあるのであれば人が降りてもいいのでは?と思うかもしれませんが、それは危険です。御鉢平の底には「有毒温泉」があり、過去には死亡事故が発生しているくらい危険な場所。

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この御鉢平カルデラの底には硫化水素がたまっている場所もあって、時にはヒグマやキタキツネが死んでいるといわれています。

烏帽子岳と有毒温泉

ちょっと引きで見てみましょう。御鉢平カルデラから流れ出る水は赤石川の源泉にもなりますが、源流が有毒温泉+ここは北海道エキノコックスという事で飲用不可です。写真中央に見える三角形のピークは大雪山「烏帽子岳」です。

中岳山頂

午前11時35分、中岳。
間宮岳から降りる事1時間ほどで中岳にやってきました。ここから中岳温泉に降りて裾合平へ向かう登山が夏はおすすめです、チングルマが咲き誇る旭岳きっての名所を歩けるので。

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今回は秋山という事で、ここから北鎮岳へ向かってロープウェイに戻ります。コースタイムを計算してもらうとわかるんですが、プラス2時間で結構な長丁場になるんですね。

北鎮岳山頂を見上げる

目の前に見える北鎮岳の山頂まではコースタイムで1時間ほど。見た感じそんなにかかるとは思えないけどここは北海道、富士山登山と同じくスケール感がバグっているのかもしれないと用心してかかりましょう。

安足間岳と比布岳の紅葉

流れていくガスが晴れると安足間岳の姿が。大雪山は旭岳みたいな「THE火山」な見た目と、安足間岳や緑だけのような「燧ヶ岳みたいな火山」の2パターンの見た目を1か所で楽しめてお得です。

中岳の往来

北鎮岳の登りですが、登り一辺倒……。往来は結構ありまして、黒岳方面からロープウェイを目指す人とすれ違うことが多かったですね。

午後12時10分、北鎮岳。
もうひたすら直線、直線登り!!
しかも最後急登、結構体力が削られたのは間違いない……が、登り1時間の所を半分くらいで登りきることが出来ました、意外に早く到着できて一安心です。北鎮岳の山頂からは安足間岳、比布岳、御鉢平の景色がよく見えます。

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北海道の山頂には山岳信仰の史跡というものはあまり見かけることがないのですが、北鎮岳の山頂には神武天皇と書かれた石碑が……熊野とかも書かれている感じがなく、これはいったい……?

紅葉の裾合平よりロープウェイへ長い散歩

山頂より愛別岳方面を見る

北から湧き上がる雲に覆われる安足間岳周辺は秋山の様相でありながら夏のような空気感です。登ってみて思ったんだけど、北鎮岳から愛別岳まで遠くない?安足間岳すらかなり遠くない?北海道でかすぎじゃない?

比布岳へ向かう穏やかな稜線

北鎮岳から比布岳、安足間岳へ向かう道は山頂から丘陵状の緩やかな稜線をぐるりと回りこむ形になります。ガスが上がってきたこともあり北側は真っ白で、晴れていれば見えていたであろう天塩岳方面は見えず。

北鎮岳から見る烏帽子岳方面

大雪山旭岳と黒岳方面では黒岳のほうが丘陵地帯としての雰囲気が強く、のびのびとした景色が広がっているのがわかるでしょうか?
ただ、北鎮岳から見るよりは、南の白雲岳から見るほうがこのエリアの迫力はあるかなぁ。

白雲岳から見たこちら側が載っているのはこちらの記事

御鉢平のカルデラ地形

有毒温泉を見下ろす際は「何か野生動物……いないかな?」と探しがちです。北鎮岳方面から見下ろすとカルデラ状の地形がよりよく見えます。

中岳の火口縁

どの登山口に降りるにしてもぎりぎりの時間になってきましたが、未だ中岳周辺の往来が活発。

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みんなどこに帰るんだ??

中岳分岐に戻ってきたので、裾合平からロープウェイへ戻ることにします。大雪山旭岳周辺で一番のおすすめスポットはこの中岳の分岐から裾合平という人もいるのではないでしょうか?花と火山と湿原と景色に関してはこの辺間違いないし、歩きやすいからさ……。

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夏場になるとチングルマと野生動物を撮影するために巨大なレンズを背負ったカメラマンが行列を作る場所でもありますね。

午後1時40分、中岳温泉。
中岳から激下りを一本歩きまして、北鎮岳から1時間30分ほどで大人気足湯スポット「中岳温泉」にやってきました。いわゆる野湯で、人によっては裏旭野営指定地にテントを張った後に入浴しに来るんだとか。日帰り登山では主に足湯として多くの人が楽しみます。

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ちなみにお湯の温度はかなり高いッ!!

噴出する中岳温泉

ジャバジャバとお湯が湧き出る中岳温泉。至る所に源泉の噴出孔があり辺りには硫黄の香りが漂います。稜線から人が少なくなってきたけど、中岳温泉には20人以上の登山客がいてびっくりしました。

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北海道ではスコップで川から水を引いて湯量調整するような野湯がいくつかありますが、ここもそう。ただ人めっちゃいるから、全裸で入浴している人って……いるのかな?

裾合平へ向かう道

中岳温泉から裾合平方面へ向かいます。写真右側に見える裾野は安足間岳のもの。

広大な湿原地帯裾合平

巨大な裾野が天地を分けるような景色が広がる裾合平。こんな平地を気持ちよく歩けるのか!?と見た瞬間は思うのですが、大雪山なのでそれなりにアップダウンがあります。

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日本最大のチングルマの群生地と言われる裾合平。紅葉の調子が良ければ赤い地面が見れるはずだけど、黄色いなぁ。

紅葉した木々と草紅葉を見渡す

旭岳方面を見るとガスですっかり上部が見えなくなってしまいました。紅葉は終盤、旭岳は日本で一番早い紅葉が見れる場所ですが、その旬なタイミングは本当に短いなぁと思います。一週間前は紅葉絶好調って言われていたのに。

綿毛になったチングルマ

夏に見渡す限りを埋め尽くしていたチングルマは健在、足元ではふわふわの綿毛が風に撫でられて揺れています。ただ色づきがそんなに良くなくて、足元が真赤とは言えない状況。

安足間岳と湿原

夏に歩いていた際はあまり気にならなかったけど、安足間岳方面の景色もかなり良い。この巨大な山と高層湿原地帯のコラボレーションは北海道らしい景色。

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愛山渓方面の景色は一回見てみたい。特に20年に再開された松仙園登山道は尾瀬のような湿原地帯のむこうに大雪山連峰を見渡す壮大な景色が広がるというから魅力的。さらに木道の幅が狭く湿原との距離が近いっていう野趣もいいじゃないですか。

尾瀬のような湿原地帯
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尾瀬や八甲田山とはまたちょっと違うよね。尾瀬の湿原のむこうに鳥海山を乗っけたような景色が北海道かな。

裾合平の広大な景色

紅葉で赤くなったチングルマが埋め尽くす景色を眺めながら、洗堀されて歩きにくい登山道を延々と歩き続けます。中岳温泉からロープウェイまではコースタイムで2時間ほど……歩いてみればわかるけど「なんか、すげぇ長くね?」と思う事でしょう。

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なんか……こんなに長かったっけ?

整備された登山道

洗堀された箇所も多い登山道ですが、整備も頑張っていて新しい木道も多く全体を通してみると歩きやすい部類。

裾合平分岐

午後2時20分、裾合分岐。
コースタイム通りに40分かけて分岐点に到着。中岳温泉から裾合分岐までは景色が良すぎることもあり、景色を楽しんで歩いてしまいます。でも、この辺はヒグマの生息地でもあるから注意して歩きましょう、昨今クマが多いから……。

紅葉全盛期の裾合平

旭岳から北鎮岳にかけてに稜線は紅葉が終わっていた大雪山。少し標高を下げた裾合平は紅葉が残っていて、向かう先々を飴色に輝く木々が埋め尽くしています。今日は紅葉外しちまったなぁと残念に思うところもあったのですが、ここでようやく紅葉を見れたな、と。

枯れ沢を越える

ロープウェイまでは平坦かと思ったらそんなことはない。干上がった枯れ沢を降って登ってと繰り返し、牧歌的で変わらぬ景色の中を延々と歩きます。後半はちょっと飽きるくらい……長い。

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こんなに長かったっけ?さすがに後半飽きてきたぞ……!?

ロープウェイ姿見駅を目指す。

歩き続けて無心に……ていうか疲れてきた。羊羹食べたい、と思うくらい消耗しきったあたりでようやくロープウェイ山頂駅が見えてきました。分岐から先が長いとは理解していたけど、体感で2時間は越えてたね。

redsugar

見えたはいいけどまだまだ遠い、見えているけど一向に到着しない富士山現象が発生している。さすが北海道、でっかいどう。

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ガスっちゃって景色も微妙になって、たくさん歩いて疲れちゃってもうボロボロさ。

姿見に帰ってくる頃には空模様は曇り。山頂周辺を歩いて楽しむ雰囲気でもないし、凄い数の観光客が至る所で自撮りをしていることもあり、テンションが上がらない……一目散に降りることにしました。
後半尻すぼみになってしまった感がある大雪山旭岳周回になってしまったな。

午後3時40分、ロープウェイ山頂駅。
文明の利器によって開発された北海道の秘境、姿見に戻ってくれば暖かい空調が効いた商業施設でリアルゴールドを即座に楽しむことができます、すげぇなぁ。ロープウェイのチケットを購入し、下山客でいっぱいになる前に麓へ向かうことにしました。
ちなみにですね、この旭岳ロープウェイですが「ワカサリゾート」という会社が運営しています。ほかにも有珠山ロープウェイも運営しているこの会社の母体は道央の洞爺湖町に本拠を構える「わかさいも本舗」です。
北海道に生まれたものなら誰しもが一度は見たことあるであろう、原材料に芋が使われてないのに芋を語る「わかさいも」を作っている会社です。35歳過ぎたあたりから美味しさが理解できるようになる、あの「わかさいも」が運営しているのがこの旭岳ロープウェイなんですねぇ、わかさいも美味しいから北海道来たら買っていくといい。

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木曾駒ヶ岳も蔵王そうだけど、観光客が多くなるロープウェイでは集中する時間帯をいかに回避するかが重要ですね。この北海道帰省登山ではわかさいも……実家で食べたな。

ロープウェイから見下ろす中腹の紅葉

ロープウェイから見下ろすと紅葉前線は姿見から旭岳ロープウェイの間が最盛期だったようです。午後の日差しに照らされた山肌には暖色に染まった葉を携えた木々が煌めくように輝いていました。

旭岳下山後、翌日は銀泉台から緑岳へと向かう大雪山の東側を歩くぞ!と考えていたので、実家に帰らず夜まで温泉へ……。日本で最初の写真の街である東川町にある「キトウシの森 きとろん」さんでじっくりと湯船を楽しませていただきました。

redsugar

この施設、めちゃくちゃいいです。真新しい温泉はもちろん、サウナも本格的です。入浴後にのんびりと出来る休憩室やお土産売り場もすべてのレベルが高い……!!旭岳に行った後は超お勧めの温泉ですね。

あと、唯一言いたいことがあるとすれば、牛乳が雪印なこと。道央エリアは雪印メグミルクの支配地だから仕方がないんだけど、ご当地感がない!!ふらの牛乳とかだったらなぁ……、せめてわが故郷のよつ葉乳業であれば。

実家に帰らなくていいからごはんもそのへんで済ませていいのか……。という事で道の駅ひがしかわのすぐ近くにある和食処「東川楽座 笹一」さんで夕食のラーメンとだし巻き卵をいただきました。ラーメンは安定の味噌ラーメン、北海道らしい黄色くうねった卵麺の味が最高だが、それ以上にだし巻き卵が美味すぎた。
ここに立ち寄る場合は居酒屋メニューも絶対に食べましょう。

redsugar

イカザンギ食べておくんだったなぁ……!!

ナナカマドの実と安足間岳

9月は北海道で紅葉を楽しもう、大雪山の秋から始まる紅葉登山!
年々猛暑が厳しく、そして長引いてきている日本列島です。この記事を書いている25年は記録史上最高の猛暑と、それが長引き大変な思いをしました。9月という時期は一応夏山が終わって、秋になる前に一息つくようなタイミングかなと思います。花や紅葉といった刺激の強いものが無く、純粋に森や岩を楽しむ時期ですが北海道では日本一早い紅葉が始まるタイミングです。

そして、観光客の数も夏に比べれば控えめで、道内を歩くには実は快適な時期なのかなぁと。大雪山の旭岳や黒岳の紅葉は例年では9月中旬あたりに色づきを迎えますが、冠雪のタイミングも迫ってくるため意外に登れるタイミングで晴れを掴むことが難しいですがチャレンジする価値はあるかなと思います。

旭岳を周回で登る場合はほとんどの人がこの記事と同じような工程になるのかなと。記事内で言及した愛山渓からの愛別岳や、黒岳から赤岳、赤岳から緑岳みたいな日帰り登山のバリエーションが非常に豊かな山域がこの大雪山です。
だから何度でも楽しめる、北海道にたくさん来てみてくださいね。

人生最高の山は続く。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。
    さすがでっかいどうの大雪山、スケールが違いますね。
    印象としては、槍ヶ岳がない裏銀座の稜線を歩いている感じがあります(特に鷲羽岳~水晶岳あたり)。
    下山後のだし巻き卵も美味そうが過ぎますね、生中頼みたくなります。

    • ろっぴ様
      コメントありがとうございます。まさしく、まさしくおっしゃる通りでして北アルプスでいうと裏銀座ですね。
      双六から水晶までのあのなだらかな区間が巨大なスケールで広がっているのが大雪山でございます、歩くには最高です、もうどこまでも歩いて行けちゃう。
      下山後は旭川ではなく、手前の東川町に居たのですが、道の駅周辺で食も酒も満足できました。だし巻き卵が美味しいお店は間違いがございません……!

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