【北関東】鳴神山、カッコソウとナルカミスミレを探す桐生アルプス縦走

鳴神山のカッコソウ

2024年4月26日、群馬県桐生市にあるカッコソウで有名な鳴神山を歩いてきました。標高981mで春の時期になれば鳴神山だけに咲くといわれるカッコソウやナルカミスミレという花が見れることで有名です。
鳴神山はカッコソウ群生地を中心に単体で登られる山でもあるのですが、実はご当地アルプスの一つである「桐生アルプス」に含まれる山でもあります。桐生アルプスの全長は梅田南小学校前バス停から吾妻山まで約14kmと歩きごたえ抜群なコースなんですね。
山と渓谷でも特集されることもあるご当地アルプスはどれもコースが長く歩いて楽しいということで、鳴神山を歩くなら桐生駅までそのまま歩きたいなぁと思っていました。

という訳で今回は鳴神山をメインとしつつ、桐生駅まで歩きとおす桐生アルプス縦走登山を楽しみたいと思います。久々のロング登山は長いこと森の中に居られてとても幸せでした!

redsugar

カッコソウ、ナルカミスミレ、ヤマツツジ、カナチョロと森の自然を思う存分楽しむ低山ハイキング!下山後は桐生の銭湯と激うまハンバーガーを楽しみます!

目次

桐生アルプス縦走登山の概要

■概要
鳴神山は古くから山岳信仰の対象とされ、山頂には雷神岳神社を祀っています。
雷神様とは鳴神とも言いまして、鳴神山はそのまま雷神を祀るネーミングになっていますね。
今回は梅田南小学校前から大滝登山口を利用して鳴神山に登り、カッコソウを鑑賞した後に吾妻山を目指すというコースになります。公共交通機関を利用した桐生アルプス縦走としてはお勧めな工程です。
梅田南小学校前バス停からは大滝登山口/コツナギ橋登山口という二つの登山口がありますが、カッコソウを最短で見るならコツナギ橋登山口になるかと思います。
ですが、今回は手前にある大滝登山口から入山します、大きな滝がみたかったんです……。

鳴神山山頂からは南に向かっていくつもの山を縦走することになりますが、14kmの道のりは長くアップダウンも思う存分楽しめます。吾妻山まで歩ききれば桐生駅まで歩ききることが可能ですが、その道中には銭湯などもあり、登山、風呂、食事とすべてが揃うパーフェクト登山を楽しめます。
時期としてはカッコソウが咲くタイミングが良いでしょう。
気温もほどほどで快適な山歩きができるはずです。

■アクセス
この縦走は公共交通機関を使う必要があります。
【電車】浦和→小山→桐生:JR宇都宮線と両毛線で1,980円~
【バス】桐生→梅田南小前:おりひめバス梅田線で200円~
【電車】桐生→小山→浦和:JP両毛線と宇都宮線で1,980円~
合計運賃 約4,000円~、群馬県で14kmも歩いてこのお値段は安い!
おりひめバスは梅田線となり、朝の6時台からバスがありますが東京方面からだと8時のバスがお勧めです。

■コースタイム
梅田南小学校前バス停8:30→鳴神山登山口9:25→中間点10:10→なるかみ小舎10:55→鳴神山山頂11:10→カッコソウ自生地11:35-11:50→なるかみ小舎12:15→岩木戸山14:50→吾妻山15:20→うえの湯16:30
合計登山時間 約8時間、吾妻山まで歩くと非常に長く楽しめます。

鳴神山とカッコソウを求めて大滝登山口へ

2024年4月26日午前8時00分、桐生駅前。
おはようございます、Redsugarでございます。春もいい感じの時期になってきました、桜も終わりツツジの季節ですが、前から見たいなと思いながら訪れていなかった鳴神山のカッコソウを見に群馬にやってきました。
有休登山ということで平日の金曜日ですが……桐生はマンモス高校があることもあり、両毛線内で高校生たちに囲まれての到着となりました。桐生駅に到着したらがら空きな梅田駅行のバスに乗車して山間部を目指します。

午前8時30分、梅田南小学校前バス停。
という訳でおりひめバスに揺られて梅田南小学校前バス停で下車しました。新緑のもえぎ色が山を染める気分が良い山間の里です。

杉の植林地帯が住宅地のすぐそこまで迫ってきていることもあり、登山口へ進んでいく道中伐採地がいくつも出てきます。花粉は都市だとつらいのですが、こうした山間だと影響が少なく助かります。

車道脇に目を向けると透き通った水が流れる渓流がさらさらと流れています。水源は鳴神山北部にある座間峠の近くらしく、ダムを経由していない清流だそうです。鳴神山は登ってみて知ったのですが、森が豊かなのか水が多いなと。

午前9時25分、鳴神山登山口。
川をさかのぼっていくと樹徳高校大滝山荘前の大滝登山口が現れます。鳴神山へ登るにはいくつもの登山口がありますが、東側からはこの大滝登山口とコツナギ橋登山口があります。どちらの登山道も沢沿いを登っていくため水には事欠きませんが、大きな滝を見たいならこちらがお勧めです。

redsugar

大滝山荘前には二宮金次郎がいてびっくり、久々に見たな……。

鳴神山にだけ咲く花を求めて

鳴神山へ

大滝登山口を進むと手作りの看板が登山者を迎え入れてくれます。

鳴神山大滝

登山道を進むと大きな滝が現れます。大滝コースの見どころはこの滝になりまして、周囲には鳥居や石仏などがあり歴史を感じさせてくれます。

鳥居と石仏が混合で置かれているところを見ると、神仏習合の修験道の影響を感じさせます。北関東は今でもそうですが、夏になれば雷雲が発生し驟雨もあることから独立峰は人知の及ばぬ神が住む所と捉えられ、渇水や水害を避けたい人々の信仰の対象となってきました。桐生では鳴神山とその奥にある根本山が信仰の対象となっていたようです。

redsugar心の声

雷神嶽神社っていう名前の時点で雷と雨の神を祀ってる感凄い。大間々、桐生、太田と全国有数の雷銀座ということで、万葉集にすら上州の空っ風と雷は記述があるとか。

午前10時10分、中間点。
滝を過ぎて登山口から1時間ほど登ったところで中間点に到着しました。大滝コースは標識と道がよく整備されていますね。上部まで杉の植林が続きますが、沢沿いを歩き続ける登山道は気持ちよいです。

鳴神山から注ぐ清流

鳴神山は水が豊富、大滝コースもコツナギ橋方面のコースも水が沢山あります。大滝コースは上部まで来ても水があり、登山道から降りて冷たい水を楽しむこともできました。

登山道に落ちていた色鮮やかな鳥の羽
redsugar心の声

青い島縞模様のきれいな鳥の羽を拾いました、幸運を運んでくれないかな。

午前10時55分、なるかみ小舎前。
鳴神山山頂直下にある雷電嶽神社前にあるなるかみ小舎までやってきました。にぎやかな場所で休憩所があるということで多くの登山客がここで休憩。地図もあるし小屋もあるし休憩にはちょうど良い場所です。

なるかみ小舎は休憩にはちょうどいいサイズの小屋、中はとてもきれいに掃除されていました。寒いときはここでご飯を食べてもいいと思う。お隣には雷電嶽神社がありますが、狛犬が秩父地方と同じオオカミになっています。
桐生アルプスにも三峰山がありますが、名前の由来は秩父の三峰神社を勧請したから、ということで雷電嶽神社にもオオカミの狛犬と、日本武尊が列せられてるようですね。

午前11時10分、鳴神山山頂。
このコース取りをした際の唯一の欠点はカッコソウ自生地まで一回北上し、その後もう一度雷電嶽神社へと戻ることです。1時間分くらい余計に歩くことになります、でも大滝が見たかったから仕方ない。
山頂には複数の祭神を祀るための祠が置いてあります、アカヤシオの時期であれば山頂周辺はピンクの花に彩られるのだとか。

redsugar

ふつうはコツナギ橋登山口からカッコソウを見て、そのまま吾妻山へ向かう……かな。

鳴神山山頂からはもえぎ色の山々の向こうに群馬や栃木の高峰の姿を確認できます。でも興味があるのは鳴神山から北にある根本山かなぁ……。写真の一枚目は日光方面の男体山。二枚目は皇海山方面なんだけど手前の袈裟丸山っぽい。

鳴神山山頂からお隣の仁田山岳にまずは向かいます、こちらにも雷電嶽神社がありますが奥社かな?
アカヤシオが少しだけ残っていてくれました。

午前11時35分、カッコソウ自生地。
仁田山岳から進み椚田峠まで降りてくればカッコソウ自生地はすぐそこです。雷電嶽神社側から来ると登って降りて、もう少し降りてと標高を捨てていくので心情的には少ししんどいかもしれない。
カッコソウのシーズン中は駐在の方がいて、協力金を支払うと鹿除けネットの奥にあるカッコソウ自生地へと入ることができます。

redsugar

協力金を支払うとカッコソウの缶バッチがもらえました。

鳴神山のカッコソウ

自生地に入ってみれば最盛期とは言えないながら、ピンクの花をつけたカッコソウの花がたくさん咲いてます。杉林の中の自生地であることと、花がそこまで多くないことから、写りがよさそうな花を見つけて写真をいただくのがよさそうでした。

鳴神山のナルカミスミレ

カッコソウにばかり目が向きがちですが、鳴神山にはもう一つの自生種がありまして……それがナルカミスミレになります。ヒトツバエゾスミレの純白種となり、白い花は本当に珍しいということですが結構白い花を発見、カッコソウよりもこっちのほうが見応えがあったなぁというのが正直なところでした。

午前11時50分、カッコソウ自生地出発。
カッコソウ自生地から出てみると……立木がお地蔵さんと化している。いったい誰が彫ったんだろう??
このお地蔵さん、赤い頭巾をかぶせられて鳴神山のカッコソウと、それを見に来た登山者を見守ってくれているようでした。

吾妻山を目指し桐生アルプスを歩く

新芽が芽吹く森を登り返す

カッコソウを見た後は雷神岳神社へと戻りまして、一路南にある吾妻山を目指してひたすらにアップダウンを繰り返すこととなります。まず最初の鳴神山への登り返しが面倒です。

吾妻山方面を眺める

鳴神山の山頂から改めて本日の桐生アルプス全景を確認します。写真の左から真ん中にかけて伸びる山々の連なりが桐生アルプスになりまして、あの一番先っぽまで歩きます……。

redsugar

見るからに長い、本当に歩ききれるのか?

鳴神山からみる赤城山

こちらは群馬県随一の名山ともいえる赤城山です。横から見ると結構ギザギザしてますね。ちなみに日本で一番裾野が広いのは富士山ですが、二番目に広いのは赤城山です。

redsugar

鳴神山のような位置から見ると、すごく広い裾野をよく確認できます。麓に生まれていたら赤城の坂道の上り下りですごい脚力が醸成されたかもしれない。

午後12時15分、なるかみ小舎前。
正午付近になるかみ小舎まで戻ってきました。ほとんどの登山者は鳴神山の周回を選ぶので、小舎付近は人で賑わっています。だがしかし!Redsugarがこれから向かう吾妻山方面は正直言って「モノ好きしか歩かない」ので、南側へ足を踏み出した瞬間から静寂に包まれる登山道が始まります。

redsugar

山が3の数字を描いていたよ。

鳴神山から南へと歩きだせばそこはソロ登山のワンダーランドです。もえぎ色に染まる木々と杉林、そして繰り返されるアップダウンを乗り越えてひたすら歩き続けます。途中地元の氏子の方々が作った山神の祠などが現れるので、手を合わせて下山の無事を祈ります。

標高は徐々に下がっていきますが、ご当地アルプスによくある細かいアップダウンが体力を削ります。また、春とは言え気温は高く、標高が下がるにつれて汗がにじみ出る……。

吾妻山の山つつじ

吾妻山に近づくにつれて新緑は濃くなり、さらにヤマツツジの花が見られるようになりました。この時期の桐生アルプスの縦走で面白いなと思ったのは、標高が下がるにつれて如実に草花の季節が進むことです。
歩くという身体行為を通して、季節の進み具合を巡ることが出来るのです。

ピンクの花を咲かせる山つつじ

吾妻山周辺のヤマツツジは当たりだったらしく、満遍なく花をつけた木々が登山道を彩っていました。カッコソウ目当てで来たけど、ナルカミスミレにヤマツツジの当たり年に巡り合えるなんて運が良い。

植樹された若木

岩木戸山へ近づいてくると杉の植樹地帯が現れます。まだ若木を植えたばかりなのか規則正しく並んだ木々が作り出す自然だけど機械的な景色が目を惹きます。

さらに進んでいくと今度は伐採地が現れます。岩木戸山周辺は大規模な伐採地となっていて、山肌が丸裸にされて山自体がはげ山になるんじゃないかという具合でした。見晴らしは良いんだけど、いろいろと複雑な気持ちになる眺めです。

岩木戸山山頂

午後2時50分、岩木戸山。
吾妻山まであと一息という所までやってきました。鳴神山から標高を500m近く落として現在標高480mということで、だいぶ暖かい空気があたりを包み込みます。午後3時が近いということで下山を急ぎたいところですが、吾妻山自体はここから30分ほどとなるので午後4時前に下山できていればオッケーかな。

redsugar

カッコソウを見るためのあの往復がなければ、1時間は早く到着できていたでしょう。そういう意味でもコツナギ橋登山口からスタートするのがスタンダードな歩き方だと思う桐生アルプス。

吾妻山、桐生市外で銭湯とハンバーガーを楽しむ

岩木戸山から吾妻山へ向かう途中、ガサガサと音がするところに手を突っ込んでカナチョロを捕まえてみました。この時期は暖かくなり始めたこともあり、低山を歩いているとカナチョロや蛇をたくさん見ることが出来ます。ちょっと触らせていただいた後にリリース。

redsugar

北海道ではカナチョロなんてめったに見ることが出来ないので、触ることが出来てラッキーと思えてしまう。埼玉の家の近所の子供たちは公園でよくカナチョロを追いかけていたので、やってみたくなってしまった……。

木造りの階段を登り続ける

吾妻山周辺は遊歩道的な整備のされ方をしているため、登り坂は階段になります。ここまでアップダウンを繰り返し長い道を歩き続けてきた身体に……これは効く!!

杉の木々の合間を歩く

空は高曇りとなり光が弱くなった午後、杉林付近は薄暗く早く下山したい気持ち。

午後3時20分、吾妻山。
桐生アルプス縦走の最後のピークである吾妻山に到着しました。山頂からは桐生市街地を見下ろすことが出来ますが、結構栄えている街なんだなぁ……と思える景色が広がっています。
下山後に知るのですが、歴史がある街並みとマンモス校があることによる若者向けの街という2つの側面があり、特に食には困らないという印象がありました。

吾妻山登山口へ

吾妻山は地元の人気の低山ということでいくつかの登山ルートがありますが、最短で下山できる光明寺方面のルートを選択。山中でかなり時間を使ったということもあり、暗くなる前にしっかりと下山。

光明寺の手前にある吾妻山公園に下山することになるのですが、こちらはチューリップや菖蒲の花などが植えられている風光明媚な公園でした。夕方の時間帯でも観光客が居たので、お昼の時間帯は人がたくさんいるんでしょう。

redsugar

茶色く濁った池には……凄まじい数のオタマジャクシがいました。

午後4時30分、うえの湯。
光明寺からは桐生市内にあるうえの湯を目指して歩くことになります。道中登録文化財の旧尾関家住宅などがありますが……維持管理はされていないのかボロボロだったりしていろんな意味で歴史を感じれます。
桐生の街というか……足利もなんですけど、北海道の片田舎と同じく時間が止まったような、取り残された街を感じさせる景色に郷愁を感じてしまう。

redsugar

うえの湯に到着後、お風呂を上がった後に店主のおばちゃんと話が弾んだ結果……スミノフに牛乳にプリンにイチゴと風呂上がりの贅沢を心行くまで堪能してしまった。

風呂上がりの牛乳プリン

うえの湯に入るのであればこちらの牛乳プリンは是非食べてほしい。風呂上がりの牛乳にプリンを合わせて楽しむ、そして最後にスミノフを飲めば完成です。本日の登山は完成したッ!!という気持ちになれます。

うえの湯の後は帰るだけですが、今日は時間が許すこともありパーフェクト登山を完遂するために桐生市内の名店を楽しむことにしました。選んだのは……ハンバーガー!!
こちらのBURGER HOUSEですがハンバーガー好きな店主さんが趣味で作っていたものが商品のレベルまで到達した結果生まれたお店とのこと、滅茶苦茶本格的なハンバーガーで登山後の空腹を完全に満たしてくれます。

バーガーハウス自慢のもつ煮

バドワイザーとハンバーガーを楽しみながら目に入ったのが自家製もつ煮。下山後はソフトクリーム食べるブームから何時の間にか下山後はもつ煮とビールを頂くという感じに年を重ねたRedsugar的にはこれは外せない!
ハンバーガーを食べた後、締めのもつ煮は満腹感を完全なものにしてくれました。野菜は柔らかく味が染み込み、米が欲しくなる大変おいしい煮込みでした、おすすめ!

両毛線で帰路につく

登山、風呂、ご当地飯と久々にパーフェクト登山をやり切りました……。幸せな気持ちに包まれて両毛線で帰路に就くのでした。小山から先は大宮まで寝て帰れるのは両毛線沿線登山の良い所ですね。

鳴神山のカッコソウ

カッコソウの時期はナルカミスミレも見ごろ、桐生アルプスは長いが満足感は抜群!
桐生アルプス縦走による鳴神山登山でした。カッコソウが有名な鳴神山は単体で歩いても非常に楽しい山ですが、縦走で楽しむことで山をより濃密に楽しめるかなと……距離が単純に長いので登山でおなか一杯になれます。夏に向けてロングコースは練習にもなるのでとてもおすすめなコースです。
何よりも桐生の街は下山後に温泉、食がそろっているので、思う存分汗をかいてお腹を透かせることが出来るのが良い所でしょう。そして、公共交通機関だけで気持ちよく歩ききれるのもこの登山の良い所です。
桐生の山の春はとても気持ちがいいものでした、人生最高の山は続く。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次