2018年1月20日、福島県二本松市にある安達太良山に登ってきました、標高は1,699m。
特徴的な爆裂火口と豊富に湧き出る温泉、そして山頂からの眺望に磐梯山、西吾妻山、蔵王、飯豊山という数々の名山を持つ場所です。
福島で山というと安達太良山と磐梯山ではないでしょうか、どちらも東北の方にはとても人気な登山スポットです。
紅葉時期が有名な安達太良山ですが、冬シーズンも登山が可能で、スキー場からのコースは毎年多くの人が訪れているようです。冬の爆裂火口の景色もまた凄まじいもので、冬の火山ならではの絶景を楽しむことが可能。
そんな安達太良山をぜひ歩いて見たいということで、冬真っ只中の安達太良へ。
コースタイムも短く非常に歩きやすい安達太良山、爆裂火口と本当の空を目に焼き付ける旅の始まりです。
冬の安達太良山日帰り登山に関して
あだたら高原スキー場より登る、冬の安達太良山
2018年1月20日、安積PA。
一月の東北道からこんにちは、redsugarです。
本日は愉快な山友さん達と福島県の安達太良山に登りますよ、安達太良山はね、標高は低いけど福島なんで完全な雪山です!!爆裂火口が真っ白なんですって、楽しみね!これ楽しみね!
という事で深夜車を走らせ埼玉から福島へ、今回は同じく登山ブログを書いてる登山百景さんとみやっちさんと共に福島へ向かいます。ちなみに今回山の国に在住の百景さんと合流するために「道の駅みかも」で朝4時に合流。
東北道側に行くときは道の駅みかもは合流地点としてかなりオススメです。
「喜多方ラーメンが食べたい」
早朝のサービスアリアでラーメンを探すも、ここにあるのは魚介黒醤油ラーメン。
福島県でも喜多方ラーメンが食べれるのはもっと内陸側になります。
しかし、東北道を使う場合のオススメのご飯スポットはここ安積と佐野SAかなと思います。安積はコインシャワーもあるので夏場は重宝しそう。
午前7時15分、安達太良高原スキー場駐車場。
安達太良山の登山口となる安達太良高原スキー場までやって来ました、一般的な登山口と言えば奥岳側です、沼尻はちょっとマイナーだからな。僕は沼尻側からしか歩いたことがないので、こちら側からの安達太良山の景色が楽しみでたまりません。
スキー場の脇にある登山口をまずは目指します、早朝のスキー場はがらんとしており誰もいません。
午前7時50分、奥岳登山口。
冬の安達太良山登山開始です、はるばる福島県までやって来たその成果を見せてくれ!!
「冬の安達太良山は大人気コンテンツなんで、足跡めっちゃついてるから安心して」
というふうに噂には聞いていたが、確かに結構人が入っているらしくトレースががっつりとついています。トレースがあるおかげで朝焼けに染まる森の中をさくさく進める。
「登山道」「馬車道」とかかれた二つのルートがありますが、基本的に登山道です。
馬車道はスキー装備の人が歩くのにおすすめな林道のような道になっています。
普通の登山者にはただの長い道になるので、登山道を利用してショートカットしてしまいましょう。
「……二人とも早い……。」
やはり経験値の差があります、体力の差も感じる、もっと鍛えないとついていける気がしません。
午前8時40分、勢至平付近。
樹林帯を抜けるとだだっ広い景色が広がる丘陵地帯に出ます。乳首の数が3つや5つになったりと、景色がめまぐるしく変わってゆく。どれが本当乳首なんだという会話はいささかアウトか。
くろがね小屋が見えてきました、谷間にある小屋なんですね。
真上の山は鉄山(標高1,700m)で、乳首から周回で沼尻に降りるときに経由しました。
山頂には何もなかった思い出。
午前9時15分、くろがね小屋到着。
通年営業の山小屋で温泉がついている宿泊施設となります、贅沢な登り方をするのであれば、ここに宿泊して安達太良山を歩き回るのがいいでしょう。
料金は一泊6,500円ほどでアルプスなどに比べると非常にリーズナブルです。
FUKUSHIMA 1982って書いてあるのかな?
温泉に入りたいけど早朝だったために営業している雰囲気がありませんでした。若いうちにこういう宿を巡る旅をしておけばよかったなという後悔があります。
雪の火山は壮大なスケール
くろがね小屋からは安達太良山本体に一気に登ることになります、結構な斜度の道を一気に登って稜線を目指します。風が強いのか雪はそれほど積もっていません。
荒涼とした火山の地面が場所によっては見えている、風の通り道であることと西にある飯豊山のお陰で雪が少ないんでしょうね。
くろがね小屋登るとカール状の景色を沢山見ることができます、スキー場側よりもこっちの方が景色のバリエーションがあっておすすめ。
ひたすら登る。
雲が出て来て焦るも太平洋側へすぅーっと流れていき事なきを得た。この日は西から低気圧が近づいており、正午付近を境に曇るという予報でした、
なので午前が勝負です。
雪原のトレースを歩く二人は非常に絵になる。撮影するためだけに斜面を登ったり降りたりして疲れたのは言うまでもない。
雲がどんどん大きくなる、稜線の向こうの天気がとても気になってきました。
登って西側曇天でしたーじゃ話にならないのでマジで焦る。
午前9時50分、蜂の辻到着。
乳首が見える蜂の辻に到着しました、山頂はもう少しです。ここで水を軽く補給して、山頂までの登りを一気に歩くことにしました。
まずは大きな谷を越えます、ここがかなり楽しい。
童心に戻ったのか走り出す百景さんが印象的でした。東北の山にあまり来たことないらしいのでテンション上がったんだろうか。
ここから先は「目標は乳首」です。乳首山を目指してひたすら登る、言葉にするとなんかひどい。
乳首に行きましょうと声を掛け合う男性パーティーの無言の結束。
先ほどのカールを渡る登山者が1名いました、向こう側のルートを使うと最初に爆裂火口に到達し、山頂を経由して下山できるという綺麗な周回登山が可能になるようです。
僕らの歩いたルートだと山頂から爆裂火口まで往復しなくてはなりません、地味にめんどいのです。
乳首をつまむ30代男性の図。
わかる、安達太良山に来たら誰しもやりたくなりますよね。
僕もつついてみました、ドキドキするぅーーー!
山の青春がいまここに、ちょっと高嶺のあの子(身長1,700m)の胸にタッチ!
乳首に向かってひたすら歩く登山者達。
山頂が近づいてきたので地面の雪も大分変わってきました。雪の質感は乾燥しており、密度が非常に濃い積雪に変わっていて、地面はとても締まっています。
サクサクと硬い雪はアイゼンがよく聞きます、まるで圧雪されているような状態でした。
雲もすっかりとれて、快晴の安達太良山をひたすら歩き続ける。山頂直下のこの登りが結構長かったのを覚えています。
広大な斜面に描かれる波模様、風の芸術が地面に描かれている。
雪国か山でなくては見れない静かな世界です、時折吹く風にのってキラキラと輝く雪の粒子が美しい。
午前10時15分、安達太良山乳首到着。
稜線に出ればそこはもう山頂です、短い登りでしたがお疲れ様。
ここから先は安達太良山の稜線と、風の織り成す芸術品を楽しむ時間です。
「それでは早速… …」
記念撮影、何故登山百景氏は正座したのだろうか、乳首にたいしての最大の敬意だったのだろうか。
乳首はささっと登ることができます、山頂の祠は海老の尻尾がついてなんかすごいことに。
乳首から見る爆裂火口方面、船明神山が真っ白になっています。
爆裂火口は船明神山の反対側となり、山頂からは見えないので注意。
遠くに磐梯山もきっちり見えている状態ですね。西側からすごい勢いで低気圧が迫ってきているので先を急ぎたいところ。
山頂ダッフィーin冬のあだたら。そろそろ彼らは日本一山に登ったダッフィーになったんじゃないでしょうか?
「なんか地面も毛羽立ってて気持ち悪い……」
初めて見る地面の模様に驚きました、安達太良山はこれまで登ったどの山とも景色が違う。
乳首から降りた後、安達太良山の中心とも言える爆裂火口を見に行くことにしました。
爆裂火口は鉄山側に位置しているため山頂からは少し歩かなくてはいけません。
冬季は山頂で引き返す人が多いのですが、安達太良山の評価ポイントは爆裂火口です。山頂から少し歩けば見ることができるので是非とも歩いていただきたい。
乳首から降りて爆裂火口に向かう途中、乳首を振り返ると……。
めっちゃかっこいい山の景色がそこにはありました。「宝剣岳に似てますね!」と話す二人ですが、僕はこの時点では宝剣岳を見たことがなく。木曽駒の宝剣岳=安達太良山の乳首のでかいやつという認識なりました。
その後、シーズン最後に木曽駒ケ岳を歩き宝剣岳を見ることができました。確かにこの角度から見る乳首は似ている部分があるなと思います。
乳首を背に歩く、この辺で地面の雪質がそれまでと全く違うことに気がつく。
そう、山頂より先の稜線はまさしく風の通り道……。地面を支配するのは雪ではなく氷だったのです、足元にある無数の氷のオブジェの間を縫うようにして進んで行きます。
船明神山への稜線は若干谷川主脈のような雰囲気を持っている。
そして地面、西から東へ吹き抜ける風の影響で均一な方向性を持ったオブジェが並ぶ。
「え、これえびのしっぽですか??」
安達太良山の爆裂火口周辺で驚いたのはこの超巨大えびの尻尾だ。今までいろんな雪山を歩いてきたけどこんなのここでしか見たことない。冬の乗鞍岳、木曽駒ケ岳にも似たものはあったけどこんなに巨大ではなかった。
この安達太良山の稜線には1メートル以上のこんなえびの尻尾がゴロゴロしている。
「いやぁ、すごい、なんだかカニのむき身みたい!」
登山百景さんがカニのむき身というからなんかそう見えてくる、生き物のような造形。
山頂の岩という岩全てにこの生命体は寄生していた。
どこから見ても巨大で見応えがある。冬の安達太良山の醍醐味は爆裂火口とこのえびの尻尾のおばけだろう。
西側を見れば船明神山への稜線が続く、沼尻登山口から登ると必ず通るのが船明神。
登っているときは常に左手に爆裂火口の景色があるいいコースだった。次回も夏登るのであれば沼尻コースから登ると思う。
冬の爆裂火口、安達太良山の冬景色ここにあり
午前11時00分、牛ノ背(爆裂火口前)到着。
爆裂火口の展望台、牛ノ背に到着しました。目の前に現れる爆裂火口は雪で覆われて真っ白、中心部の沼ノ平は雪原になっています。この隕石が落ちた後のクレーターのような景色こそ安達太良山の突飛つすべき景色。
これを見ずに帰るわけには行きませんでした。
鉄山、胎内岩方面は真っ白な稜線、あっちはあっちで楽しそう。
避難小屋方面は特に傾斜がきついわけではないので、鉄山さえ越えればいけそうですね。
船明神の稜線がよりはっきりと見える、船明神の火口側は崖のようになっていて稜線沿いの道は大変迫力があったことを覚えています。
肉眼で見たその爆裂火口は凄まじい迫力、標高はそこまで高くない安達太良山ですが。
火山特有の雄々しい景色を眼前に見せつけてくれました。
撮影ポイントはいくつかあるのですが、小高い丘になってるスポットがあるのでそこから見渡すとあたりを一望できてオススメです。しかし山頂付近で雪深いはずなのに直下は土が見えているところも。おそらく風が強くて雪がつかないんでしょうね。
尻尾の周りを駆け回る無邪気な30代男性登山百景氏。この日は寝不足でありながら山の中ではかなり楽しそうにしていた。登山やってると山の中ではみんな普段の数十倍元気になるんだと思う。
カニのむき身と爆裂火口を見たら下山開始です。
これでもかというくらいシャッターを押したのでもう十分。こんな巨大なえびの尻尾も見れたし大満足です。
下山、本当の空は自然豊かな空のこと
山頂直下のトラバースはなかなか苦労するところです、トレースは基本ありません。
なので自分で滑らなそうなところを見つけて歩いてゆくしかありません。
午後12時10分、薬師山山頂。
「あ、ほんとうの空だ……」
安達太良山といえば智恵子抄、安達太良山といえば本当の空、リアルスカイです。前回の安達太良山登山の際は沼尻鉄山周回登山を行なったため智恵子抄の一節を見ることなく終わりました、それが心残りだったけど今回無事それを回収できて大満足です。
これが本当の空だっ!と意気込んだもののあいにくの空模様。青空がある部分を頑張ってみんなで撮影しようと必死でした。
午後12時30分、スキー場ゲレンデ到着。
ゲレンデに降りてきました、ここからシリセードで降りようかなと思ったのですがシリセードのしすぎによるダメージを受けているパンツを着用しており。これ以上の尻の酷使はパンツの断裂につながるという判断から歩いて降りることになりました。
午後12時45分、登山口到着。
なんと午後1時前に登山口に帰ってこれてしまいました、奥岳から登る安達太良山ってこんなに登りやすいのかと感動を覚えました。このコースタイムなら雪山経験の最初の方にはぜひオススメなんじゃないだろうか。
さて、下山後は温泉ですが奥岳の登山口には「奥岳の湯」という温泉が併設されています。
下山即温泉という最高の贅沢が許されているのでもちろんこちらに入浴。
「あれ、沼尻の温泉に比べると全然臭くないし普通だ……」
温泉の泉質は岳温泉ということで沼尻と変わらないと説明を受けましたが……沼尻側で入った温泉に比べるとかなり普通の温泉でした、なんでだろう?沼尻の田村屋旅館で入ったお風呂はお湯がめちゃくちゃ酸っぱくて、そしてすごい硫黄臭でまさに温泉という感じがした覚えが。奥岳の温泉よりは僕は沼尻側の温泉の方が好きだなーと感じる一コマでした。
お風呂に入った後は東京への帰路につくわけですが、どうしてもラーメンが食べたくなり二本松市街のラーメン屋へ、無事喜多方ラーメンではない普通のラーメンを食べて帰りました。喜多方ラーメンを食べれたのは二月末の西吾妻山登山のこととなるのでした。
冬の安達太良山登山、完ッ!!
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