2015年9月24日、山形県中心にある百名山が一つ、月山へ行ってきました。
標高は1984m、スカイラインからリフトを利用して手軽に登ることができる百名山です。
そしてこのブログの最初の記事になった場所、つまり始まりの地。
大朝日岳の翌日、筋肉痛の体で月山に向かった僕を待っていたのは
山肌を赤と黄色に染める月山の美しい紅葉…。
紅葉期、なだらかな山体を描く月山は黄金色に染まり、光り輝く山のようになります。
一年で最も月山が美しく映える紅葉期、東北の素晴らしい紅葉。
東北の山の中でも一度は登って欲しい月山の旅の始まりです。
山肌を染め上げる金箔のような紅葉、その上に広がる真紅に染まり上がった木々。
奥ゆかしくなだらかな稜線を描くその山は花魁行列を彩る芸者のように絢爛豪華だ。
金と赤、和を思わせる景色を見ることは至高の贅沢のように思える。
月山山頂の手前にある行者返しは優しき山の中にあって唯一厳しさを持つ道だ。
山伏修行の行者ですらゆっくりと歩く急登、
積み重なった岩道を全身で駆け上がらなくてはならない。
登山道の醍醐味とも言える岩の道、多くの人は頬を伝う汗に
思わず笑みを浮かべながら、時折垣間見える鳥海山に想いを馳せて月山を登るのだ。
今回の登山は大朝日から引き続き、東北の紅葉スペシャル回になります。
始まりの地月山ですが、なんとか今年も月山の紅葉をこの目に残すことができました…。
登山を始めて1周年、体力もだいぶ付き僕もパワーアップしました。
前回は結構息が上がってしまう感じでしたが今回は月山に負けないような心持ちで挑みます。
今回のコースタイム。
駐車場9:20→リフト山頂駅10:00→姥ヶ岳10:40→牛首11:25→
月山山頂12:00-13:45→リフト山頂駅15:30→駐車場16:10
月山は深田久弥が優しい山と言ったように、登山道は比較的緩やかでタイムも緩め。
リフトを利用すれば山頂まで2-3時間ほどで到着することができます。
本格的な北東北登山では最初にお勧めできる山間違いなし。
早朝8時00分、天童市内のマックスバリュで買い出しをする僕。
月山は大朝日岳と同じく寒河江市から高速を使い月山ICを降りて向かいます。
連日の登山、同じ店で買い出しをして同じ方向に向かって走り始める…。
9時20分、月山駐車場に到着しました。
この日は前日の晴天から打って変わって曇り気味、しかし駐車場はご覧の有様。
月山が東北の中でも人気者の名山であることの証明だと思います。
そして相変わらずこの時間からスタートするのは僕くらいのものでした。
普通に考えたらいくら月山といえども9時付近スタートは遅すぎます。
リフトに乗るのが9時ならまだいいのですが…、
山では早く行動することに損はないです、本当は6時に登山開始して14時には下山したい…。
山では12時を回ると雲が出る事が多いのでいかに午前中に行動できるかが鍵になります。
とりあえず月山登山道の使用料として200円を支払いリフト発着場へ。
駐車場からは10分ほどの舗装路歩きとなります。
リフトと通常登山道の分岐点へ到着。
ここを右に行けば樹林帯を超えて牛首に至る登山道へ行く事が可能です。
今回も僕はリフトを使用するので迷わず左へ。
月山を芯までしゃぶり尽くすのであればリフト側からではなく
他の登山口からの方が楽しめそう、もっと月山の湧き水とかを見てみたい。
月山ペアリフトに到着、今回はこれを利用して姥ヶ岳から頂上へ向かいます。
GASSANってキャシャーンみたいでかっこいいよね。
月山リフトの往復料金は1030円となります。
トイレを済ませたらすぐにリフトに乗車開始、10分ほどで山頂駅に到着します。
リフトがある山っていうのはいいですね、とにかく楽チン。
このブログでは聖岳を登ったり大朝日を日帰りしたり比較的辛いことをやっていますが
リフトを使ったゆるーい登山も大好きです。
まるでスキー場のリフト、冬は本当にバックカントリーで利用されるんでしょうけど…。
リフトに乗って流れてゆく景色をゆっくりと眺めます、奥に見えるのは湯殿山かな?
湯殿山は信仰の山なので登る事はできません、登山道が存在しないので。
ただ、冬季に月山から歩いていく人がいるとかいないとか…。
見下ろすと大朝日岳のように一面の紅葉が現れてきました。
月山といえば金姥と呼ばれる地名があるように、金色の紅葉が特徴的です。
早く金色の紅葉が見たいと気持ちが前のめりに。
上を見ると草はちゃんと黄色くなっている様子。
曇り空であっても紅葉は楽しめるのがいいところです。
10時00分、山頂駅に到着しました。
リフトの上は低層の雲の上だったようです、
向かい側に見えるのは朝日連峰ではなく奥羽山脈かな??
ちなみにリフトの終電は16時30分になります、意外に時間がない。
ここから山頂までコースタイムで往復4時間となるのであんまりのんびりはできません。
いつも時計に追われるのは何故なんだろう。
月山では前日山小屋閉めが行われており、山頂の神社も閉め作業を行っていました。
休憩所でも山で働く方々が下山の準備をせわしなく行っている様子。
休憩所の中にはすごく立派な神棚が鎮座していました。
僕がきた時間はちょうど神主さんが山を降りるタイミングだった模様。
さすがに月山山小屋9月の夜は寒いんだろうな…。
休憩所を見学したら早速プレイボール。
まずは写真左上へ向かい、姥ヶ岳山頂へ向かいます。
姥ヶ岳方面は木が生えてないので前面のような赤い紅葉は見られません。
月山は超豪雪地帯なので1300mを超えたくらいで森林限界を迎えます、
なのでリフトを降りればすでに森林限界だったりします。
緑と黄色と赤が入り乱れる程よい紅葉の状態、月山の山肌をまだら模様に染め上げています。
雲海の向こうに見えるのは…、多分三方倉山なんじゃないだろうか…
最初は朝日連峰かなと思ったのですが、山の形が違う気がする。
山頂方面を見るとどうやら完全に紅葉が始まっている模様。
この紅葉というビッグウェーブに乗り遅れるわけにはいかない。
早速姥ヶ岳に向かって歩き始めます、最初は木道です。
山全体が金色になってる…。
すこし登って下を見てみると驚きました、リフト付近は真っ赤です。
本日が晴天でないことが悔やまれる。
雲の向こうに見える山を背に姥ヶ岳への道を歩きます。
空気は澄んでいたので遠くに見える高速道路の高架がしっかりと見えました。
草の紅葉ってあんまり見ないんですけど、月山の特徴だなと思います。
小麦畑のように山一面が金色になるその姿は圧巻。
山頂方面まで続く金色の絨毯、まるで山の上の小麦畑。
姥ヶ岳山頂側と巻道の分岐点です。
姥ヶ岳まではここから20分もしないうちに到着してしまします。
分岐点からは裏側の羽黒方面が見えます。
石段と階段に足の体力を削られながらも必死に姥ヶ岳へ登ります。
前日の大朝日岳日帰り登山が無ければ…と思いましたがすごい楽しかったから我慢。
姥ヶ岳から振り返ると感嘆の声が上がりそうな景色でした。
月山の谷間に沿って紅葉が大変なことになっています。
金色に輝く紅葉とその先に立つ月山はこの時期しか見ることができません。
今年の紅葉は去年よりもきれいに感じるから不思議です。
そして遠くに聳え立つ特徴的な独立峰、鳥海山です。
普通登山者がイメージする山形の百名山といえば間違いなくこの鳥海山と月山でしょう。
月山に登った人は鳥海山の特徴的な姿を見て、鳥海山にも登りたくなってしまうもの。
この日はずっと低層の雲が遠くにかかっていました、おかげで雲海の上を歩く気分。
気が付いたら姥ヶ岳山頂についていましたが、展望もそんなによくないので
適度に休憩したら次に進むことにしました。
ここから月山山頂までは鳥海山と一緒に進むことになります。
奥に見える月山山頂神社を目指して歩き始めます、姥ヶ岳からは早い人で1時間半。
長くても2時間半を見れば確実に山頂につけるのではないでしょうか?
画面真ん中の谷間になっている部分は牛首と呼ばれ金色に紅葉しています。
月山の取りつき部分までは比較的なだらかな稜線の昇り降りを繰り返します。
木道が整備されているため歩きやすさは最上級。
木道をすぎるとすぐに石畳の道へ。
月山は修験道の山なので整備したのは昔のお坊さんだと思うのですが、頭が上がりません。
北側斜面は真っ赤に紅葉した木々で覆われていました。
紅い紅葉の正体は小さいもみじ、黄色と赤のコントラストが素晴らしい。
紅葉の時期は写真を撮るので一生懸命なのでなかなか進む速度が上がりません。
何を撮っても綺麗なのはうれしいかぎりですが。
黄色い大草原、この緩やかな草原を見ると月山のとても大きな包容力を実感します。
歩く旅に綺麗な紅葉が姿を現すので一向に先に進める気配がしない。
湯殿山方面へ続く渓谷はリフト側とは違い、紅葉はまだまだといった感じ。
紅葉時期はやはり姥ヶ岳で金色の紅葉を見るのが一番のようです。
東北に来て大朝日岳の紅葉と月山のこの金色の紅葉が見れたらもう満足です。
登山道楽の中でも結構満足できる方だと思う。
11時25分、牛首に到着しました、月山の山頂に取る付く手前のコル部分になります。
ここから山頂までは1時間ほど、早い人なら30分近くで登ってしまいます。
天候はそれほど良いわけではないのですが、この日も登山客はたくさん居ました。
流石東北では人気の山ですね。
早速山頂へのアタックを開始、ここから先は石段で整備された道ではなく
小さな岩や石ころの上を歩いていくロックな登山道になっていきます。
振り向けば雲の上に羽黒の山々が顔を出していました。
雲の向こうに見える山が時折山水画の様な姿になり感動を覚えることがあります。
松尾芭蕉も句を詠んだ山形ですが、確かに趣のある場所は多い土地柄かも?
豪雪地帯なので山肌の削られ方と森林限界の低さは結構特徴的だと思う。
東北エリアの山は関東以南とは植生も変われば姿もだいぶ違うと実感します。
マーキングに従って石の上を進んでいきます、たまに浮石があるので注意ですが
慣れている人ならそんなに時間もかからず登っていけると思います。
石場デビューにはもってこい。
石場を超えると再び整地された道に出ます。
ここを過ぎると月山最後の登りである行者返しが始まります。
行者返し、割と斜度はある方なので初心者は大変かもしれません。
正規のルートは左側で、右側に進むと最後はやぶの中を進むことになります。
僕は前回も今回も間違えて右に進んでしまい後悔しました。
行者返しを進むとこのような祭壇がある場所に出ます。
ここまでくれば山頂は10分もありません。
祭壇の後ろから5分ほど登り山頂に到着です。
12時00分山頂到着、リフトから数えて2時間でした。
時期も時期なので大した汗も流さず到着、早速奥に見える山頂神社へ向かいます。
山頂小屋と神社は昨日で今季の営業を終えてしまっていました。
中では従業員の方が閉め作業を行っています。
山頂は風が強くちょっと肌寒かったので皆さん小屋前の通路でご飯を食べていました。
八紘一宇、簡単に言うと世界を一つの家にするという事らしいです。
戦時中の勅語とかで出てきたような気がするな…。
がっちりとした鳥居をくぐれば社はすぐそこです。
月山神社はもちろん閉じていました、この社の中を見る機会は果たしてあるのだろうか。
ここに来たのはお賽銭を入れるためではありません、本当の用事はこの社の裏にあります。
奥社の裏からは鳥海山を見ることができます。
これを見るとやはり月山は鳥海山と二つで一つの様な山だなと…。
鳥海山の方が遥かにつらい山だけど。
お賽銭入れは三日月の形をしています、月の山なのでこういう形なんでしょう。
ちなみにダッフィーの足の裏はミッキー柄です、…常識ですね。
山頂神社の参拝を済ませたら昼食です、山の上でカップヌードル食べたの久々な気がする…。
たまに食べるととてもおいしいですね、寒い中で温かい汁物は本当にありがたいです。
下界はいまだに低層の雲に覆われている、この日下では雨が降っていたらしいです。
山頂とはまるで別世界の出来事。
今まで歩いてきた稜線はなだらかでとても大きいです。
東北の山だからか、どことなく大朝日の雰囲気もある。
でもやっぱり大朝日の方が稜線は美しいかな。
ご飯を食べた後、山頂で用事があったので移動することに。ここから奇跡が始まります。
んー、空が青くなってきた!!
なんと雲の合間から晴れ間が出てきたではありませんか、晴れ男であると自負していますが
この月山でも山頂で晴れ間に恵まれることが出来ました!
山頂で撮影の用事を済ませているうちに山頂は見る見るうちに青空に囲まれていきます。
大朝日岳に続き月山でも大勝利を収めてしまうのか僕は、本当に幸せな瞬間だ。
雲の合間ではあるのですが晴れ間が覗いて雰囲気が一変。
上層と低層の二つの雲の間を歩くこの時間は感動的でした。
またすぐに曇ってしまうでしょうが、今はこの青空と紅葉を存分に楽しむことに。
やはり太陽光がある中での紅葉は一際美しい。
地面を赤く染めている草木を眺めながら下山を進めて行きます。
光が降り注いだ黄葉、少し赤みがかっていて飴色に輝いていました。
山頂から晴れ始めた月山、西日の中下山することができて幸せです。
牛首から眺める山頂、今から黄金色の姥ヶ岳を見るのが楽しみ。
行きの時は気にもかけなかった紅葉ですが、日の光がある今は輝いて見えます。
やはり青空があるといいものですね…。
湯殿山側への登山道の紅葉も非常に綺麗。
そしてようやく姥ヶ岳方面まで帰ってきました…、黄金色の景色が目の前に広がっています。
ここまで戻ってきたらあとは木道を歩いてリフト乗り場まで帰るだけ。
月山はこの木道を歩いている時が一番楽しい。
月山の素晴らしい景色と金色の草原を同時に味わえる幸せがあります。
再び日が陰ってしまいましたが、金姥周辺まで戻って来ました、すごい金色です。
姥ヶ岳周辺は高層湿原になっており、ところどころに池塘が見られます。
金色に染まった大地と湿原というのもこの月山の見どころの一つか。
昼も回って日が濃くなってきた為か、景色もより濃く見えてきました。
月山の金色の紅葉を目に焼き付けて、月山を後にすることに。
始まりの地月山で紅葉を満喫…、大朝日岳といい今年は東北の紅葉を存分に楽しめた。
朝と同じく姥ヶ岳からリフトを見下ろすと赤と黄色綺麗に別れた紅葉。
リフトを境目にすごい綺麗に別れていますね。
15時30分、リフトに戻ってきました。
山頂を後にして1時間45分、初心者でも多分2時間もあれば帰ってこれるのでは?
リフトから見上げる姥ヶ岳方面はやっぱりすごい赤い紅葉。
色打掛のような絢爛豪華な紅葉を見て幸せな気分で下山します。
下山のリフトは前日の疲れもあって危うく寝そうになりました。
上から見るとわかるのですが9月後半だとこの辺はまだ紅葉してません。
リフトを降りこの日の月山登山は無事終了。
山頂で晴れに恵まれて結果的に最高の登山に、次回は最初から快晴だとありがたい。
下山後は天童まで戻り、山形定番の温泉「ゆぴあ」へ向かいます。
300円で入浴できる上に非常に広い露天風呂があるナイスな温泉です。
売店もちょっとした道の駅のようになっているのも特徴。
露天風呂で汗を流しさっぱりとした後、この日の家路につくのでした…。
今年は紅葉が早かった為9月の後半にすでに紅葉が最盛期となっていましたが
例年だと一週間後くらいが最盛期でしょうか。
月山の紅葉は赤ではなく一面が金色に光り輝く絨毯のようになることが特徴です。
青空と紅葉の最盛期が土日と重なるというのは本当に一瞬しかありません、
年によってはそんな日がないことも。
山は逃げるものですが、そんな最高の一日を今後も捕まえていきたいと思います。
月山は優しい山という名の通り、リフトもあるためとても登りやすい山です。
姥ヶ岳から月山までの稜線はのどかな山歩きが楽しめ、森林限界も手軽に楽しめます。
東北の百名山の中でも手軽に本格的な登山が楽しめる場所なので是非オススメです。
あと山形は意外に観光箇所も多いので楽しいですよ!
月山の地図はこちら
- 作者: 昭文社地図編集部
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コメント
コメント一覧 (2件)
月山は姥沢から登ると楽ちんですが、弥陀ヶ原から登るのもおすすめです。
湿原の彼方に見える鳥海山に震えました。
本当は心の底からそっち側から登りたいです、はい。
鳥海山と合わせて登る月山は最高だと思います、また行きたくなってきた。