2023年8月5日から6日にかけて、北アルプスは常念山脈の百名山「常念岳」と二百名山の「燕岳」を歩いてきました。
常念岳の標高は2,857m、燕岳の標高は2,763mとなり、天空の稜線から北アルプスの名だたる山々を一望できるコースは表銀座の一部として知られています。
登山者にはお馴染みの毎日あるぺん号を利用し常念岳一ノ沢登山口を出発し常念岳へ、そこから大天井岳で一泊し燕岳から中房温泉を目指すこのコースは、僕が初めてアルプスの縦走を経験したコース。いつ見ても変わらぬ素晴らしい景色に彩られた素晴らしい縦走路が続きます。
2023年7月の光岳登山をもって「百名山における日本アルプスエリアすべてを快晴で歩いた」という目標が一つ達成され、シーズンに絶対に訪れなければいけない場所の縛りがなくなったというある種「百名山登山の呪い」の1つから解放され、夏のアルプスはもうどこに行くにも自由!となった僕が最初に計画したのがこの常念岳燕岳縦走でした。
約8年前、テント泊装備を背負い体力的に限界で歩いたコースですが、装備も体力もレベルアップした今ならどれだけ気持ちよく歩けるだろう、そう思い全く同じコース、日程を快晴の空の元駆け抜けました。
常念岳から見る穂高連峰、大天井岳の最高の目覚め、燕岳稜線のコマクサ、楽しくて当然なご褒美縦走の始まりです。
晴れていれば絶対に楽しい稜線、体力的にもきつくなくて最後まで気持ちよく歩き抜けることが出来ました。常念岳燕岳は個人的には一ノ沢スタートが好きです。
常念岳燕岳縦走登山の概要
以前歩いた初々しい記事はこちら
幌尻岳登山の練習として日帰りで常念岳を歩いたマッハな記事はこちら
一ノ沢から青空の常念岳を目指して
2023年8月5日午前4時40分、一ノ沢登山口。
おはようございます、Redsugarでございます。前日夜22時に東京は竹橋にある毎日新聞社前のバス乗り場を出発してやってきました長野県安曇野市、常念岳一ノ沢登山口にございます。
毎日あるぺん号ですが、なんと早朝5時前にこちらの登山口に到着するという非常にありがたいバスになっております。深夜自走で登山口を目指しても大体似たような時間に出発となることが多いので、移動の間寝ていられるバスは本当に助かりますね。
登山口の駐車場は満車、日帰り客多めで登山センター前はまだ夜明け前だというのに多数の人で賑わっています。
懐かしい、忘れもしない2015年の7月11日に親友とここから常念岳に登ったことを。
登山口を出発するとすぐに山の神が現れます。登山の安全を願って手を合わせたら登山開始です。一ノ沢登山口はその昔槍ヶ岳アクセスのルートでもありました、一ノ沢~常念乗越~中山乗越~槍沢と東から西へ一直線にアクセスする道がメインルートだったそうです、常念小屋初代主人が切り開いたのだとか。
一ノ沢登山道はその名前の通り一ノ沢沿いに標高を上げていくルートになります。特徴としては登山道中水が大変豊富ということ、なので雨前後はもちろん危ないからおすすめはしないけど、晴れているならとても楽しく歩けます。
水の補給にも困らないというのがこの道の特徴だと思う。道中は水場が豊富なので水をたくさん背負わなくても都度補給することが出来ます。カタダインの浄水ボトルがあれば水を持たなくてもいけんじゃないかという誘惑が。
ザァザァと音を立てて豪快に流れる沢沿いに転がる石を辿っていきます。沢沿いなので涼しい空気が流れ込んできてくれるので、夏場でも日が昇るまでは暑くならないのが救い。
道中はいくつか見所があるのですが、登山客も多く景色を楽しむという雰囲気がそんなにない。このコースは山頂までのアクセスも早いので、一気に登ってしまうのがいいかな。
急登と言えばどの山も胸突八丁という名前が付きますが、一ノ沢も胸突八丁前を休憩地点にするくらいの気持ちで登るのが良いでしょう。8月の頭ということで夏真っ盛り、太陽が昇ってきたらすぐに気温が上昇するので、早いうちに標高を上げて涼しい所へ。
渓流の流れる音を聞きながら右岸、左岸と行ったり来たりしながら標高を上げるとすぐに稜線が目に入るようになります。登山開始から大体1時間もすればこうやって目標となる稜線が見えるのがこのコースのいい所、山頂までは長いけど真っ青な空と稜線を眺めながら登るのは気持ちがいいのです。
常念乗越まで本当に早い、まだ上高地までの道が無かったころのことを想うと人里の安曇野から槍ヶ岳を目指すには確かにこの道が最短だったんだなぁ。
登山道脇にはトリカブトの花、登山を始めたばかりのころは非常に忙しかったこととパワハラ上司がひどいので、夾竹桃かトリカブトをすりつぶして出てきた汁を電子タバコのリキッドに入れてやろうかと思うことがありました。トリカブトを見るたびにあの頃に比べると業界の働き方改革が進んだなと感じます。
一ノ沢のランドマークといえばこちらの丸太橋、胸突八丁手前というかなり上流にかけられていて、これを渡った先から急登が始まります。
午前6時50分、胸突八丁。
スタートから約2時間で標高2,090m地点にある胸突八丁に到着しました。きつそうな名前がついていますが、少し急な階段が続くだけでゆっくり歩けば全く問題ありません。ここから小屋までの標高差は400mもないので、焦らずにゆっくりと。
斜度が急な時は速度を落として心拍数が上がりすぎないように、心臓がバクバクすると汗が出て疲れてしまうので。
胸突八丁を越えると最終水場がやってきます。常念岳のお水は美味しかったと頭に刷り込まれていることもあり、ここで乾杯は欠かせない……。この水を飲むために今回はわざわざコップを持ってきました。
普段はコッヘルで水を飲むような人間なので、宿泊登山でコップは使わないんだけど、一ノ沢はコップがあると本当に楽です。所々湧水があるので、それをコップで飲みながら登ってみると背負った水をほぼ飲んでない、なんてことも。生水が気になる方は浄水ボトルがお勧め。
胸突八丁を越えると尾根へと上がるための樹林帯に突入しますが、個人的には胸突八丁よりもこの区間のほうがつらいような……?
樹林はそんなに長くないはずだけど長く感じます、2回ほど木製の梯子を越えると森林限界へ。ハイマツが生い茂る森林限界まで登ってきて見えるのは常念岳へと駆けあがる一直線の坂道。常念小屋がある常念乗越からはあの尾根をジグザグと歩きながら山頂を目指します。
午前7時50分、常念乗越。
胸突八丁から1時間ほどで常念乗越に到着しました。最終水場を越えてからの登りがやっぱり一番きつかった気がする。穂高方面は真っ青な青空が広がっていますが、常念岳は安曇野方面から雲が沸き上がってきているため早めに山頂にたどり着きたいなぁという気分です。
ここから山頂まで実はすごく長い、常念乗越から見えるピークは山頂ではなく結構手前の尾根の出っ張り。山頂までは登りで1時間30分は見ておくと安心です。
北アルプス南部を見渡す常念岳山頂
常念乗越から見上げる常念岳は写真のピークのさらに奥、写真だとスケール感が伝わらないためどれくらい登るのかピンと来ないと思いますが……めっちゃジグザグに登る、1時間くらいかかる程度にはでかい。
常念小屋の外に荷物をデポし、水とカメラを持って山頂へ向かうことにします。天気は快晴なので、常念岳の山頂まではのんびりと歩けるかしら?
雲が一切ない穂高と槍ヶ岳、今日は北アルプス全土が登山日和ですわ。
常念岳山頂にはゴロゴロとした岩が積み重なるつづら折りの道をひたすら登っていく、という単調なものになります。岩場を歩く練習にはすごく良いと思う、浮石かそうじゃないかを見分けるにはいい道ですわ。
真夏だけど山頂は涼しいのか長袖の方が多い印象。常念乗越から常に山頂近くの稜線が見えますが、富士山登山道のように延々と同じ景色を見続けるような感じ……。
道中常念乗越方面を見返すと小屋が理にかなった場所に建てられてるなぁと納得する眺め。そして、横通岳から続く稜線が今から楽しみです。
常念岳からは穂高連峰の眺めが素晴らしいのですが、逆に言うと穂高以外はあんまり良くない。だけどこの景色は一度は見ておきたい、そんな景色。
ゴロゴロと転がる岩がメインの登山道には白ペンキを使った丁寧な案内が続きます。さっきから道の実況が言葉少なげなのは、このジグザグの登りは本当に無心になるくらい特に語るものが無い景色が続くから。
いい景色だ、確かにいい景色だよ穂高と槍は。でもずーーーっとそれが視界の端にチラつく中30分も1時間もしてご覧、特に話すことがなくなる……。なんなら「きれいだね」以外言わなくなる、壊れかけのレディオみたいなる。
最初に見えたピークにたどり着くと、そのさらに奥にある山頂がようやく見えるようになりました。……ってすでにガスが上がってきてるじゃないか、急いで山頂に向かうことにします。
山頂周辺はハイマツと岩が織り成す森林限界の景色が広がります。個人的に日本アルプスの気持ちよさ基準値ともいえるような山が常念岳です。
山頂方面へ向かって行くと三股から登ってくる登山道の綺麗な稜線が……ガスに包まれていってる。
気持ちよさそうな稜線だけど、盆地に近いからガスが上がってくるのが早いのね。
午前9時00分、常念岳。
撮影しながら歩いて約1時間、常念岳山頂に到着しました。東側はガスが多いのですが、西側は相変わらずすっきりと晴れた景色。できれば大天井岳から西岳を越えて槍ヶ岳まで歩いてみたい、正式な表銀座を歩きたい。
何度見てもここから見る大キレットの綺麗なカーブがすごいな……。
穂高をじっくりと見たことがなかったのですが、こう見ると確かに岩の城っぽい見た目です。前穂高と北穂高がミナレットみたいというか、助さん格さんと水戸黄門っていう感じ。
横一線に見ていくと改めて南岳から槍ヶ岳まで歩く道の気持ちよさそうなことよ……、あの稜線には3,000m級稜線を何の苦労もなくただただ気持ちよく歩くことだけに集中できる素晴らしさが詰まっています。
麓から雲が沸き上がる常念岳山頂では多くの登山者が北アルプスの山並みを眺めながら思い思いの時間を過ごしています。この山頂広いから休むには最適だよね。
THE 北アルプスという感じの光景、初めての北アルプス登山には常念岳一ノ沢コースはとてもおすすめかなぁ。
えーと、今回の目的は何だったか……そうだ大天井岳まで行かないといけないのだ!ということを忘れてしまいそうな時間でした。常念岳山頂の眺望を楽しんだので常念乗越へ引き返して横通岳を目指します。
常念岳山頂にはらいてうが居なかったんだけど、横通岳方面に行くとらいてう出現率が格段に上がります。出会えることを祈りながら下山。
登山道中で腰を下ろす方がまるで岩の地面に潜っていくような……、この道は膝にキツいからなぁ。特に下りは膝にダメージが入りやすいので、調子乗って歩くとケガをしかねない。
ただまぁ、道を少しそれると浮石も多い場所だから極力止まらずに、上を歩く登山者には注意しながら歩いたほうがいいかなとは思う。
雲が描く影が山肌に強いコントラストを生んでいきます、ここから先はどれくらい晴れ間の中を歩けるか。大天井小屋まで青空が続く強運を期待したいところです。
ライチョウ住む横通岳稜線は楽園の道
午前10時00分、常念乗越。
常念乗越まで戻り小屋の外に置いておいたザックを再び装備したら本縦走の核心部分である大天井岳へ続く稜線へと向かいます。常念岳を登る途中、乗越の反対側に見えた山へと登るわけですが、降りた後の登り返しほど面倒なものはないぜ……。
小屋のすぐ上はちょっとした樹林帯、ここを登っているときは中々エンジンがかからない。
常念岳山頂が見える標高まで登ってきました。信州側からすごい勢いで雲が上がってくる……。常念小屋は常念岳から見下ろすよりも、横通岳側から見下ろしたほうがかっこいいんじゃないかな。
穂高方面を見てみると……徐々にガスが上がってきていますがまだ全然晴れてます、今日の北アルプスは大当たり。
ん!?ハトみてーな鳴き声がするぞ!?
横通岳稜線へと上がると聞き覚えのある鳥の鳴き声、斜面を元気よく走り回りらいちょうの親子を発見。この稜線を歩いていれば絶対に見ることが出来るだろうと思っていたけど、すんなりと見ることが出来ました。
常念小屋を目指して大天井方面から歩いてくる登山者の方々とらいちょうを見ながら小話、それが終われば再び稜線歩きに戻ります。ここから大天井岳までは本当に気持ちのいい稜線が続くんだけど、ここが青空かどうかが今回の縦走の満足度を変えると言っていい。絶対に晴れた日にここを歩きましょね。
横通岳ですが、普通に歩いていると写真にあるような中腹を巻く道を歩くのでピークを踏むことが出来ません。ピークに登る道も一応存在しているので、今回は山頂を踏んでから大天井岳へ向かいます。
この山は絶対に山頂を経由して歩いたほうが楽しいです。
横通岳稜線へと登る途中からも見える常念乗越と常念岳、ガスは山頂手前で信州側に巻き返していて、山脈の西側は晴れた時間が続いてる。
午前11時5分、横通岳。
常念岳はガスが上がってきてますが、現在地点の横通岳は両側青空……山の神が晴れをプレゼントしてくれているようだ。横通岳山頂には三角点があるのでタッチ推奨、山頂からは常念岳とはちょっと変わった穂高連峰の眺めが楽しめます。この山は日本で72番目に高い山らしい、100高山で見るとNo.72がこの山。
wikiにも掲載されていたので調べてみると、その昔本当にこの山の東側にロープウェイを建築しようとしていたことがあるそうだ。高度経済成長期の日本人は恐ろしい……塩那道路や日高横断道路みたいな案件が良く出てくる、そういう時勢にアメリカではニュートポグラフィーとして人が造り出した自然風景みたいなのが発表されていたと思うと面白い話ではあるけども。
話がそれました、山頂からの眺めよりも白砂の稜線地帯にはかなりの数のコマクサが咲いていて、コマクサと北アルプスの山々をいっぺんに眺めることが出来るのが最高なところです。これぞ夏のアルプスっていう満足感がある。
最高だぜイェーーーイ!!
山頂稜線からは大天井岳、東天井岳とこれから歩く長い道のりを一望することが出来ます。この先東天井岳手前で結構な標高を降ってから登り返すという苦行が待ち受けてますが、それ以外は気持ちのいい道のりです。
稜線から見渡す穂高連峰の景色はゴキゲン。
白砂の稜線を歩く登山者たちは時間帯的に早朝に燕山荘を出発した人たちかな??皆さんこの稜線を思う存分味わっていた様子、すげーキャッキャしてた。横通岳山頂から降る白砂の下り道は本当に気持ちがいい、ご褒美登山に相応しい道、私も一人で浮かれていました。
ご褒美登山に相応しい道なんだけど、横通岳から降りるとそのまま東天井岳手前で一度降ってから登り返すこのポイント、これが慣れてない人の心を砕きます。前回と違って荷物が軽いので苦ではないけど、それでもまぁ登り返しのインパクトは中々のもの。
大天井岳、天空のテント場を目指して
でもさ……軽い、軽すぎて笑いがこみ上げてくるぞッ!!なんて気持ちのいい登山道なんだ!!この鞍部に来てほぼ無傷といっていいくらい元気な身体に驚きがこみ上げます。山岳写真は重い装備を担いでなんぼという人もいるけど、どういうものを目指すか次第。僕は超軽量装備に40㎜だけつけて歩くようなスタイルに憧れちゃうな。
そちらの方が長いこと歩いて、いろいろなものに出会えるかもしれなくて、何より長いこと集中できて楽しいと思う。
写真集や写真家を色々調べていくと待つスタイル、出会うスタイル、無意識のスタイルとかいろいろあると思う。山岳は待つ人が多いジャンルかなーと思うけどどうだろう。僕は大判や中判だけど出会うスタイルのような作家が好きだなぁ。
鞍部から見上げるとハイマツの中を獣道のような登山道が一本伸びていて、これを登って東天井岳へと向かうわけです。この登り返しを見ても吐きそうとか辛そうとか全く思わないから軽量化はありがたい。
後ろを振り返ると湧きあがる雲と切れ落ちた稜線の眺め、夏山写真ではよく見るのですが実際に歩いていてあんまり見る機会がないんだよなぁ……。
東天井岳手前あたりはちょっと浮石も多い岩の道が続きます。以前歩いたときはここ友達が「膝を殺しに来ている」と苦しそうにしていたのを思いだす。
午後12時20分、旧二ノ俣小屋跡。
東天井岳脇には石垣が積み上げられた平地があるのですが、こちらが旧二ノ俣小屋跡地。調べてみるとその昔中山乗越を経由するルートがメインの時代があり、その際に賑わった小屋の様です。中房温泉~大天井岳~二ノ俣尾根~中山乗越~槍沢という道のりで、槍ヶ岳山荘・槍沢ロッヂの創業者・穂苅三寿雄も24歳の時歩いたのだとか。縁が深い槍沢ロッジの方々が研修で辿っている記事などがありますが伊藤新道のような厳しさ……。
一ノ沢~常念乗越~中山乗越~槍沢でも中房温泉からの道でもここは休憩地点として確保しておきたい場所だったのでしょう。中山乗越の記録を見るとここから先がすっごい大変なようだから。
来た道を見返すと谷底へ奇麗な直線が伸びるように続く斜面がとても印象的。
旧二ノ股小屋周辺の稜線からは西岳稜線の奥に槍ヶ岳がドーンと構えています。槍ヶ岳が一番気持ちよく見えるテント場と聞いたことのあるヒュッテ西岳ですが、一度は泊まってみたいもんだなぁ……と思う。確かにここから見ると手前の稜線が若干邪魔なんだよなぁ。
旧二ノ股小屋跡地を越えると大天井岳まではちょっとだけ登る。ここまでくるとさすがに白砂の稜線も見飽きてくることでしょう。コマクサやイワギキョウもその辺に咲いてるけど感覚が麻痺しているのでレア感ゼロです。
稜線の先に大天井岳と大天井ヒュッテが見えてきました。標高2,922mという高所に設けられたテント場は眺望抜群です。小屋のサービスが非常に整っている割には意外に人が少なく静かなテント泊が楽しめる場所。そして予約不要なので直前で登りたいなぁと思って来れるのが良いですね、子供がいると「予定は未定」なので本当に助かります。
前後に燕山荘と常念小屋があるため、登山初日に大天井岳までくる人は「それなりに歩ける人」が多いのかなと思う。この日も好天予報の連日でありながらテント場は適度に空いていた。
午前1時15分、大天井岳。
腕時計を見て思いましたが、やはり一ノ沢で登ると早いんだなぁ……と。そして以前歩いた時よりも3時間以上小屋に早く到着できたので成長を感じます。今回はステラリッジ2を背負ってきました、旧型なので2キロくらいあるけど他の装備が軽かったのでこいつを背負っても苦じゃないのが救いです、軽量化は正義。
23年度はSLソロがまだ出ていないので、雨予報の登山ではステラリッジをもって行ってました。稜線で雨となるとULドームシェルターだと雨漏りが心配だからね。
この後の結果として雨はぱらつく程度しか降らなくて、ULドームシェルターでよかったんじゃねー?という感じにはなってしまった。
でもステラリッジは堅牢だからさ、安心感が違うってばよ。
登山において小屋に到着するのが早いというのは良いことしかありません。大天ヒュッテで宿泊手続きをしていると……お昼営業で「冷やし中華はじめました」だと……!?夏場の登山は疲労のためおなかが空いていても重いものはキツイことがある、酸っぱさとしょっぱさのバランスが神がかった冷やし中華を提供するとか神か、神なのか??
冷やし中華美味しいですよ、食べます?
最高でした、最後の一滴まで冷やし中華を堪能させていただきましたが、山で食べる冷やし中華は満足感が違います。平地でいうと37度の市街をさまよった先で室温22℃の街中華を見つけ、そこで食べる冷やし中華くらいの「救い」を感じることが出来ます。
冷やし中華を食べ終わって外に出たら大天井岳はガスに包まれていました。なんか雨もぱらつくし今日はもう終わりかなぁ~と思いテントに入って昼寝、夏とはいえ標高3,000m近い場所でガスがかかるとテントの中の気温は寝るのにちょうどいいくらいになるんです。
晴れるとバチクソ暑いのだが、曇っていると快適な気温が約束される8月の稜線。昼寝ってこんなに気持ちいいんだぁ~という幸せに包まれる。
午後4時頃まで寝ていてもパラパラと降り続ける雨は変わらず。今日は日没もなさそうだし登山やーめたッ、ということで定番のモンベルベーコントマトクリームリゾッタとおやつカルパスを食べて就寝することにしました。僕はモンベルのリゾッタシリーズではトマトクリームが一強だと思うんだけど、皆さんはどうでしょうか?
あと、おつまみ色々試してみたけどカルパスかジャーキーかなぁ。カルパスは寝起きでお湯の実ながら食べることもできるから個人的に超ありだと思う。
というわけで初日の常念岳から大天井岳までの登山は終了。明日は北アルプスの女王燕岳を目指して大天井岳から爽快な稜線歩きを堪能します。今年は合戦小屋のスイカ食べれるのかなぁ……?
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