2017年12月2日、長野県阿智村にある南沢山に登ってきました、標高は1,564m。
百名山の一つ、恵那山を擁する阿智サブンサミットの一角となります。
とてもマイナーな山ではあるのですか、知る人ぞ知る霧氷の名産地。
冬になれば八ヶ岳等とはひと味違った霧氷を見ることができる山です。緑色の夏と変わらぬ風景が広がる山に突如として真っ白な木々が現れる霧氷の日。
「こういうタイプの霧氷もあるんだ」という気持ちにさせてくれるにくい景色です。
東京からはやや遠い長野県阿智村。
中央アルプスに続く安平路山の稜線、その手前に広がる笹の丘陵と白い桜のような霧氷。
冬の始まりを告げる霧氷の旅が始まるのでした。
南沢山、横川山登山について
中央道をひた走り南沢山へ、雪のない山を登る。
2017年12月2日、6時10分、双葉SA。
早朝の中央道を長野に向かって走り続けます、明け方の富士山はやっぱり絵になる。
深夜、埼玉を出て東京の各地に散らばった仲間を集めるために一路池袋へ。
各地に散らばった仲間を集めたsakuさんと合流し中央道から一路長野へ向かっていました。
車登山の場合、集合場所と集合時刻の決定はとても大変だなぁと再実感しました。
武田勢には常に優しい山梨県、この顔出し看板前は違う武将だったような……。
大河にはなったけど、山本勘助みたいな地味系のキャラで喜ぶ人も少ないような気がする。
信玄、信玄持ってこーい!と思う人も多そう。
明け方の南アルプス、甲斐駒ヶ岳はいつみても綺麗です。
きれいな三角形の山を見ると地元の日高山脈を思い出します。
八ヶ岳方面も快晴の様子、しかし今年は雪が少ない様子で真っ黒です……。年末年始に歩いてみたいと思っているのでもっと雪が積もるといいですね。何を話していたかは覚えていないが、阿智村付近についた時に山があまりにも黒すぎて。雪があるのかマジで焦っていたのは間違いない。
午前8時30分、南沢山登山口到着。
南沢山の麓にあるキャンプ場の駐車場に車を停めました。
午前8時40分、南沢山プレイボール。
全く雪の気配のない南沢山登山の開始です。
車で向かっている途中も山の上に雪は確認できなかった……、本当にあるのか雪。
はたして霧氷が見れるのか、かなり心配なスタートとなりました。
スタート地点は日陰の登山道、凍結すらしていません。冬枯れの山道をしばらくあがることになります。
しばらくは落ち葉の音がシャリシャリいう優しげな登山道、内心霧氷が早く出てきてほしいと祈ります。
阿智セブンサミットはそこまで標高が高くないので、下の方は普通の低山といった景色です。
修行者のような面持ちで誰も喋らない時間が続く、気まずいので一歩離れてついて行きます。
南沢山ではこのような標識が至るところに現れますが、書いてある距離よりも長い距離を歩かされている気がした、罠かな。
午前9時35分、中間点到着。
南沢山登山コースの中間点に到着です、樹林帯だし霧氷もないです。
この山の樹林を構成する木々は落葉松が多く、紅葉の時期もきれいそうな見た目をしている山です。
地図がぺしゃんこになってました、しかも結構大雑把なので頼りにしてはいけません。
「南沢山まで3.4㎞」
え、さっき中間点じゃなかったんじゃ?と思わせてくれる指導標。積極的に前半戦から心を折りにくるストロングスタイルですね。
人と歩くと色々撮影してもらえていいですね。
カメラを2台持っていることを弄られる事が多かったのですが、弄っていた方々が2台持ちになっていたりしてほほえましい限りです。
これがカメラ沼だ、思う存分味わうがいい。
笹を切り開いた立派な登山道を進みます、足元の雪は着々と増えて行く。
地面を覆っている苔も雪と霜に覆われてとても寒そう。
雪の粒子が細かく見えるくらい乾燥して冷えているみたいでした。
苔も雪に埋もれて冬を耐えているようです。
ふと空に目をやると木々が白く染まっていることに気がつきました。
「これは霧氷ッ!!」
山頂手前で霧氷が現れるということはですよ、この先標高が上がればもっと凍っているということです、期待が膨らみます。そしてこの直後、霧氷は姿を表しました……。
冬の山に咲く白い桜のような木々が豪快に目の前に広がったのです。
霧氷輝く稜線、冬に咲く白銀の桜花
登山道を先に進んで現れたのは真っ白な霧氷、そしてその向こうにはミニチュアみたいな景色が広がる南沢山の風景でした。心踊る景色にしばらく立ち止まって景色を楽しむことに、これが冬の花見かー。
霧氷は花というか、山の珊瑚礁みたいです。太陽に照らされてキラキラとした木々が遠くまで続いています。
霧氷の森、落葉松の一部分が真っ白に。地面の笹の緑と、木々の白さの対比がすごく美しい。
足元に目を向けると笹がきれいに凍っています、こういうのはマクロで撮影したりするときれいなんでしょう。足元にもいい景色が広がる山なのは間違いない。
はしゃぎすぎてしまいました、先に進みます。
きれいに霧氷が出来ているというのに地面はいつもと変わらぬ緑色の登山道、そんな変わった景色が続くのがこの山の特徴。
木々についた氷の粒が光を反射してキラキラと輝く景色を産み出している、こういうタイプの霧氷ははじめて見ました。
こんな穴場を教えてもらってありがたいですね、埼玉にこういう山がほしいくらいです。
午前10時15分、南沢山山頂到着。
阿智セブンサミットの南沢山に到着しました、ここから先が本番です。
霧氷の山、南沢山は山頂から先が見所になっています。
南沢山の山頂は少し狭く、ご飯を食べるにはあまり景色がいいところではありません、お昼休憩を撮る場合はこの先の横川山に行くのがいいでしょう。
メリークリスマスな時期でした。
同行者が持っていたメリクリ看板で季節感溢れる写真を撮影します。
こういう写真を撮影する時に58mmはとてもマッチしてますね。
南沢山から先に進みます、もうこの辺は霧氷パラダイス。
道中は霧氷におおわれた素晴らしい登山道が続きます。地面はもちろん凍結しているので、心配な人はチェーンアイゼンをつけて歩くといいでしょう。
称賛せざるを得ない景色が続く。
霧氷の森を進む。
ずーっと青くていい世界、写真を撮影するのに夢中で先になかなか進めません。
ちなみにこの山を歩いているときは、カメラの設定は絞り8~11位を使用していました。
笹の平原は同行者いわく「四国の山」のようだとか、剣山等は笹の稜線なので似ているように見えるんだろう。
笹の平原のなかに一本ポツンと立つこの霧氷の木はいい味だしていました。
昔のタバコの広告とかでこういうのあったよなぁ……、広告で使われるような風景写真をいつか撮影してみたいですね。
横川山の斜面に沿って立つ霧氷林に歓喜の声をあげ写真を撮りまくる人々。
珍しい景色であることは間違いないと思う、地面は青々しいのに木々は白いですからね。
雲もほとんどなく快晴の稜線歩き。
もっと人が歩いていても不思議ではないのですが全然人が見当たりません。
とてもいい山なので人がたくさんいてもいいはずだ……。
最高という言葉しか出ない。
冷えた空気を存分に吸い込み真っ白になった木々はそれぞれが光輝いているようです。
笹の中に分かりやすく登山道が示されている、画面中央をジグザグに歩いて山頂に至るようだ。
近くで見ると凄い密度感だ……。青白く銀色に、キラキラと光を反射している。
後ろを振り替えるとなんとも牧歌的な景色が広がっていました、笹の中に霧氷がポツンと。本当に牧場みたいな景色ですね……。
霧氷の横川山、富士見台高原と恵那山を望む
横川山の山頂までは急な登りで、一気に標高をあげることとなります。
徐々に変わる景色を振り返りながら山頂へ。
霧氷と笹原と中央アルプスの絶景。
「これスゲーな……」
感嘆の声しか出ません、晴れてて霧氷が重なるとこんなにいい景色になるのか。
笹っ原と霧氷エリアのパキッと別れた感じも凄い、斜面は笹だけど稜線には霧氷がところせましとならんでいる。
今だ歩いたことのない中央アルプス北部に思いを馳せます。
阿智とか恵那山みたいな中央アルプスの南端エリアには来ていますが、木曽駒ヶ岳とかには行ったことがないんだよなぁ……。
標高をあげるたびに中央アルプスの景色がよくなる、木曽駒ヶ岳から空木岳、南駒ヶ岳の稜線は見事。
中央アルプスのとなりには一筋に延びる南アルプスが、中央アルプスに比べると黒いですね。
南アルプスと霧氷のコラボっていう景色、僕は初めてなので非常に嬉しかったです。
今まで見たどの冬の景色とも違う景色です、冬の景色のレパートリーが増えた気がします。
雲が多い、御嶽山とかが見えているはずでした……、終日雲に隠れていて見ること叶わず。
中央アルプスに続く安平路山の稜線がよく見える、直線上に山が並んでて素直な形。
珊瑚礁みたいになった木々に太陽が照りつけ、真っ白に輝きます。
午前11時10分、横川山山頂。
富士見台高原と南沢山の中間地点である横川山山頂に到着です。
横川山山頂には先客の方々が恵那山の景色を楽しんでいらっしゃいました。
横川山は霧氷を見るには最高の山なのですが、阿智セブンサミットには含まれていないようです。
富士見台高原方面、鞍部で大きく標高を下げたあとぐいっと登り返して山頂って感じか。
向こうも霧氷がたまらんくらい綺麗みたいですね。
58mmで撮影するとくっきりと山が見えます。やはり悪沢岳、赤石岳、聖岳、光岳の順番で並んでいる感じかな。画面左に少し離れて塩見岳ってところでしょうか。
こちらは中央アルプス、安平路山に行くまでに結構霧氷が見れそうな感じです。
でもずーっと樹林で展望いいところがなさそう……。
山頂に到着したのでクッキングが始まりました、僕以外は山旅を全力で楽しむ上で「山飯も必須だ」というスタイル。
普段僕は山飯に興味がいかないのでありがたいばかり……。
美味しいご飯を恵んでいただく気分です、ありがとうありがとう。
2017年「メリークリスマス鍋」完成。
クリスマスを祝う鍋の具材はモツ、韮、ゴマ、豆腐でした。
男四人で食べるクリスマスもつ鍋の味は格別で、料理人の腕がとてもいいんだろう。
30台とはいえ男が四人いるので、とんでもない速度でご飯はなくなります。
すぐに第二弾の鍋が作られる。
第二弾は味噌もつ鍋でした、これも非常に美味。
登山歴10年に到達しようとしている方々の料理スキルはやはり高かった。
三角点を一応踏んでおきます。
絶景の下山へ
午後12時35分、下山開始
富士見台高原も見納めなので、心残りのないように撮影。
向こうもミニチュアみたいな景色ですね。日も傾き始め、木々がうっすらと黄色く染まる。
南アルプスはきれいなままです、午後に入り雲がかかるかなと思ったのですが終日快晴の様相でした、南アルプス歩いてる人もにっこりだろう。冬の南アルプス、仙丈ケ岳は歩けると聞くのでいつか歩いてみたいなぁ。
帰り道、遠くによさげな霧氷の森があったので撮影を試みる。望遠レンズ持ってないけど、望遠レンズで撮影した「風景を切り取った写真」にあこがれがあります、なのでチャレンジ。
もちろん手持ちの58mmでは撮影できなかったので、トリミングで対応。
これが200mmとかだとどんな景色が取れるんでしょうね。それにしても精細な景色に感心してしまいます。
こちらも相変わらず素晴らしい景色です。午後に入り少し雲も移動して北アルプスがよく見えるようになりました。
クリスマスの長靴を持ち酔っぱらいのように歩く、後ろから見てるとひやひやです。
転べば登山道沿いにきれいに滑り落ちていくことでしょう。
登山道は徐々に溶け始めていて、凍っていた土もぐちゃぐちゃに。
ところどころ歩くのをためらうほどになっているので、うまく回避して進みます。
午後1時10分、南沢山到着。
南沢山に戻ってきました、軽く水分を補給したら下山を再開。
ピストンなので特に見ることもなく通り過ぎていきました。
ピストンの下山は道がわかっているだけに、退屈な道を歩くと知っていると辛いものがある。
南沢山に至るまでの登山道は特に見るものもなく、つまらない道だったのでとにかく無言で、ひたすら歩き続けました。
「おい、unkoが漏れるかもしれないから急ぐぞ」
先ほどまでピンク色の社畜Tに身を包んでいたsakuさんが便意を催したことを宣言。
メンバーに戦慄が走ります、下山が間に合わなければNGS。
タイミングが悪ければ僕のかわいいラクティスに災厄が降りかかることでしょう。
「とっとと下山だッ!! ひきしめろ色々ッ!」
一致団結してからの速度は非常に早く、それまで先頭を歩いていた僕を三人は軽やかにぬかし。
脱兎のごとき速さで下山してゆくのでした、人間ピンチで出る力は侮れない。
午後2時10分、南沢山下山完了。
「登山口にトイレあったよな?? 冬季封鎖中だったらもうダメかも」
そういいつつトイレに向かうsakuさんが見たのは悲しき宣言でした。
「トイレ冬季封鎖」
これにより、絶望的となったトイレ探しですが。
この後、登山口前にあった漬物屋さんに駆け込み何とか事なきを得ました。
いやー、綺麗な樹氷を見た後にこんな話が出るなんて……。
綺麗な男子四人旅とはなかなかいかないようです。
さて、気を取り直して南沢山下山後の温泉です。
阿智には「昼神温泉」と呼ばれる温泉があり、下山後はこちらの温泉地で入浴が可能です。
また、恵那山の登山バッジもこちらの温泉で購入することが可能です。
温泉で身も心もきれいに清め、牛乳で祝杯をあげます。
なんとこの昼神温泉の牛乳は八ヶ岳高原牛乳!!
長野県で牛乳を飲むときに出されるとうれしいやつです、濃厚でとてもおいしい!
久々の男子四人旅ということもあり、晩ごはんを食べて東京に帰ることにしました。
晩ごはんを帰り道検索し、飯田が焼肉の聖地であるという情報を仕入れた我々は長野県飯田市の焼肉徳山へ!! これがまた最高のお店でした。
「換気扇がない店はあたり」
という秩父高砂ホルモン以降の伝統のお約束に当てはまる店で、店内は肉の煙が充満。
非常に美味しそうなお肉をたんまりと頼み勝鬨をあげます。僕は運転するのでコーラを頼みました、勝利の乾杯。
勝利の焼肉。
ここのお肉ですが、めちゃくちゃおいしい。このお店のマトンは生マトンなので臭みが全くありません。
そしてサガリ(ハラミ)が特におすすめで、新鮮な厚切りお肉が目の前でモリモリ焼かれていきます。
北海道では焼肉といえばサガリ、カルビよりも肉の旨味があり食べ応えのある部位です。
お値段もリーズナブルで、お肉1人前600円程度といった感じなので阿智方面に行く際はとてもおすすめできるお店だなと思いました。
その後、中央自動車道をひた走り東京へ。
無事全員を送り届けて、この日の登山は終わりを迎えたのでした。久々に登山「旅」をした一日でした、この感覚、久しい……。
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