2023年8月13日、日本全国がお盆休みへと突入し山は帰省客と観光客で溢れかえっていた!!山形県は月山は一年を通して素晴らしい景色を見せてくれる名峰、夏のお盆ともなれば月山スキー場、八合目登山口双方から凄まじい数の登山客が訪れます。その標高は1、984m!
さて、8月13日は月山にとってはちょっと特別な日で、月山神社本宮柴燈祭が執り行われる日になります。月山山頂では護摩壇を組み、落日の頃に火を放ち供養を行う行事なのですが、23年の当日は羽黒山ではプロジェクションマッピングが執り行われたりイベントが盛りだくさんだったようです。
前日の8月12日、北アルプスは白馬岳、雪倉岳、朝日岳の周回縦走を終えて埼玉の自宅へ戻っていた僕なのですが、お盆ということで翌日には実家帰省中の家族を迎えに行かなくてはなりませんでした。13日の天気予報は晴れ……、夏山は何度登っても満足することはない、渇望に苦しむRedsugar。
「夕方くらいに来てほしいってことはそれまでは自由、つまり山形近郊の山を登ってから実家に行ってもいいのでは?」という登山中毒者特有の思考が働いた結果、早々に準備を済ませ深夜の高速道路へと繰り出していくのでした。
真夏の高層湿原に咲く花々、初めて歩く真夏の月山は草原と花と青空が織り成す気分爽快な景色が楽しい山、山頂神社でご祈祷も行いゲン担ぎをする神事の登山の始まりです!
夏の月山、山頂神社へと初めて踏み入った登山でした。これから1年間の安全と成功を祈って登る信仰の山の記録です。
夏の月山日帰り登山の概要
大盛況、真夏の月山スキー場
2023年8月13日午前8時10分、月山スキー場駐車場。
おはようございますRedsugarでございます。お盆休み突入の8月13日、前日まで北アルプスを練り歩いていたわけですが、舌の根の乾かぬ内に奥州参りといいますか、月山にやってきてしまいました。
白馬雪倉朝日蓮華温泉周回登山を終えて帰宅後、すぐに洗濯掃除帰省準備を整えて就寝。再び深夜に目覚めてからは東北自動車道を頑張って走りぬいて月山スキー場登山口までやってきたというわけです。
到着はちょっと遅めの8時だったのですが、あの広大な駐車場がかなり埋まっていてびっくり……稜線部はすごい登山客の数なんだろうな。
前日までの北ア北部縦走はこちら!
今回はあくまで帰省がメイン、夕方に奥さんの実家に行くという約束をしているのでそこまでに下山して風呂に入っておく必要があります。そうなると使える登山口は八合目かスキー場登山口……、まぁリフト使用かな??
というわけで月山スキー場でリフト券を購入して一気に姥ヶ岳へ向かいます。
技術が発達しスキー場が作られ、山岳信仰の場から自然と触れ合うレジャーの場としての顔が強くなった月山。7月まで夏スキーが楽しめるのですが今はお盆の始まり8月13日、山の斜面を見渡してもさわやかなグリーン一色という状況です。
午前8時45分、山頂駅。
チケットを購入してからリフトに並んでから姥ヶ岳まで30分でした。レジャー登山の対象として月山は美味しいところしかございません。八合目にしろリフト側にしろ降り立った段階で森林限界の清々しい景色が広がっています。
リフトを降りたところにある安全地蔵菩薩には真新しい赤ずきん。信仰の厚い出羽三山を今から歩きますが、調べれば調べるほど面白くなるのが登山や旅のいいところです。
姥ヶ岳方面を見上げると結構な数の登山客が坂道を登っていきます。リフトの上にある姥ヶ岳までなら僕の息子も4歳の時に登ることができたくらい優しい道が続いています。
姥ヶ岳は登りやすくて景色もいいから、観光客の方もたくさん登っているよね。
今回の月山、登山開始時間が遅かったけど結果的にそれが功を奏することになります。山頂にかかる分厚い雲がちょうど取れるタイミングで山頂にたどり着くことになるので。
姥ヶ岳山頂付近からは気分爽快な景色が広がります。リフト方面を見下ろすと草原地帯に大小さまざまな石がゴロゴロ、雲頂高度は低く稜線と同じくらいの場所を綿あめのような雲がふわふわと移動していきます。
山はあの世、山中他界という考え方の中で稜線は極楽浄土と言われることもありますが月山の稜線はまさしく浄土、弥陀ヶ原とか名前がつくのも納得の景色。
夏の月山森林限界登山
姥ヶ岳山頂周辺ですが大草原地帯が広がっています。寝っ転がったら気持ちいいんじゃね?と思えるくらいふわふわの草原地帯の先には眼下に雲、なんていい景色だ。
昔の絵巻などで雲の上にある極楽とかを見ることもありますが、雲海の上に草原が広がる山の景色はまさにそれだよなぁ……。奥州参りや羽黒修験の人たちが見た景色、下山後に登れない人々に口伝で広がる山の光景はどんなものだったのだろう。
月山は本地が阿弥陀如来であり、山中は極楽浄土であるとされていたので、僕のように「極楽でしたわ!ガハハッ!」って言ってたんだろうか。
姥ヶ岳山頂付近の草原には植生保護のために木道が敷かれています。木道脇に咲く金色の花はキンコウカ、月山でも花盛りを迎えていて草原地帯に金色を添えてくれます。
山腹からガスが沸き上がり複雑な模様が視界に浮かび上がる。異界の山〈月山〉を思う存分に演出してくれる今日の雲はいい仕事をしてますね。
午前9時00分、姥ヶ岳。
リフト山頂駅から30分ほどで姥ヶ岳山頂へ到着しました、ゆっくり歩いても30分といった感じ。山頂部は湿原地帯で池塘が点在しています。ぐるりと周回可能な木道が敷かれていて、観光客含め大勢の登山客が月山の優しい高層湿原地帯を堪能していました。
姥ヶ岳山頂から先は稜線沿いに月山山頂を目指します。稜線の鞍部となる牛首めがけて雲がぶわぁーっと流れていくのですが結構爽快な景色。間近で流れる雲とか、巨大な自然現象を見るとちょっと怖いね。
柴灯森方面はガスが流れて白い……、目の前に丸く盛り上がった山が見えるはずなのだが。
ちょっとガスが流れるのを数分ほど待ってみることにしましたが、これが大正解で柴灯森方面のガスが取れてこんもりとした丸いピークと草原に刻まれた木道の登山道が青空の下に姿を現しました。月山らしい景色に気分も上がります。
スタートからずっと森林限界の月山、歩いて気持ちよさそうといった景色が広がります。山頂直下以外大きな起伏もなく本当に歩きやすい。
月山の一番いいところだけ、スイカでいうと真ん中だけを食べるような。そんな登り方ができる時代に感謝したいね。
先ほどの丸いピークの先は一回標高を落とし金姥と呼ばれる湯殿山方面の登山道との合流地点へと向かいます。
出羽三山は近代生まれた言葉で、月山羽黒山湯殿山はその昔「奥の三山」と呼ばれていました。その三つの中で総奥の院として扱われていたのが湯殿山です。室町時代は葉山、月山、羽黒山で湯殿山が入ってなかったんですけども、葉山を奥の院とする慈恩寺と葉山の関係が江戸時代に切れたことをきっかけに湯殿山がINしたんだとか。
明治期以前は月山の本地は阿弥陀如来、だから弥陀ヶ原とかがあるし、山中は極楽浄土と実際に言われていたようです。羽黒山が観音菩薩、湯殿山が大日如来とされていたんだってさ。月読命を祭るようになったのは明治期の廃仏毀釈後になるんですね。
木道じゃなくて鳥海山鉾立ルートを思わせる石畳のスパイシーな道をちょろっと降りれば湯殿山登山道との分岐に到着となります。雲も取れてきて月山の穏やかでありつつ長大な山頂が見えてきました。
別名臥牛山ともいう月山ですが、丸くて巨大な山体は国内でもここだけっていうくらい特徴的な見た目。
8月は高山植物的には後半の時期となりますが、アザミやニッコウキスゲ、キンコウカといった花々がたくさん咲いています。
極楽浄土や~~、花見ているだけでも楽しぃ~!
午前9時30分、金姥。
コースタイムを見てもらってもすげぇゆっくり歩いている月山。山頂のガスが取れるタイミングを見計らっていたのだが、無事に青空がきれいに見えるようになりました。ここから一気に山頂に登っていきたいところです。
湯殿山からの分岐ですが登山者の数は少ない感じでした、話に聞けば駐車場的に穴場だったりするからおすすめだよーとは聞いていたのですが。
ちなみに月山はたくさんの登山口がある山ですが、奥の三山を詣でるということでは湯殿山側が表口とされたようです。南側にある本道寺と大日寺は裏口的な扱いだったのだとか。所領を持たず寺院経済が苦しい表口の2つの寺を中心に一世行人たちが即身仏となりましたが。裏口側の本道寺と大日寺は年貢義務がなく藩の負荷も過酷ではないため即身仏を生み出す必要がなかったらしい。即身仏も探っていくと経済状況や政治の仕組みががっつり絡んでいるのねぇ……。
青空の月山山頂を詣でる
牛首を過ぎて一気に月山山頂へ向かって坂道を登ります。月山稜線ではここが一番きつい坂道ですが、普段から登山を嗜んでおけば全然つらくはない道です。むしろ振り返った時に現れる気分爽快な景色のおかげで楽しい。
午前10時35分、月山山頂。
金姥から1時間ほどで山頂に到着しました、この日の月山の天候はコロコロと変わりまして……到着時は晴れてたんだよねぇ。月山の山頂部はとにかく馬鹿でかい、日本各地の山を登ってきたけどこんなに山頂部がデカい山ってあったっけ??霧ヶ峰の車山や八幡平みたいなほぼ湿原的な場所を想起させるくらい広い山頂です。
山頂の奥に見えるキュッと盛り上がったところが月山神社。今日はお参りをしていきますよ。
23年は仕事的に非常に厳しい状況に追い込まれていたこともあり、登山も仕事も家庭も苦しかった……。神頼みということで月山山頂に詣でることでツキが回ってきてほしい、藁にも縋る思いで月山神社を詣でることにしました。
ちなみに8月13日は大混雑!まさか月山の山頂で並ぶとは思わなかった。
参拝するとお祓いしてくれたり、神官の方が祝詞を上げてくれます。それらが終わった後、お守りや登山バッジを購入する売店へ……、月山結構来てるけどバッジ持ってなかったんだわ。
参拝している間に山頂にはガスがかかっていき、あたりは真っ白な景色へと様変わりしていました。日差しは届くけど白くてまぶしい光景に包まれてんだよなぁ……。Redsugarは山頂でご飯を食べるとかそういう行事はあまりやらないので、山頂部を散歩してちょっと時間をつぶします。
ちなみに月山のピークとなる場所は月山神社の少し奥にあります。八合目登山口から登ってくると神社よりも先にピークに立つことができるってわけ。神社の裏から東西と見下ろしてみると、写真左は山形方面で穏やかな湿原の斜面が広がっていきますね。写真右は庄内方面ですがこっちは結構入り組んだ形をしています。
月山の看板が立てかけられたピーク部分は結構狭い……。月山は山頂部がデカいからわざわざここに来なくてもいいんじゃないかなと思うけど、一応上っておいて損はないかな??相変わらずガスがかかったり取れたりの天気が続く月山、その後も山頂部のお花畑をうろうろしていたのですが、やっぱり晴れないねぇ。
仕方がないので下山することにしました。相変わらずすごい勢いで登山者が登ってくる道を九合目まで駆け下りてみたら……なんかガスが取れてきたような??
九合目にあるお地蔵様付近で空を眺めていたらガスが取れて青空が広がっていく……、今ならまだ間に合う!ということで登り返して山頂を満喫することにしました。以前も似たようなことを伊吹山でやったような??
登り返して来たら数名の登山客から「あの人さっき降りてた人じゃない??」と指をさされるっていう。晴れたんだから登り返してくるよ、登山ジャンキーは。
快晴!快晴でーす!!と叫びたいくらいきれいな青空と夏の雲に彩られた月山山頂。これだよこれこれ、これが見たかったんだよぉ~と思わず独り言が漏れちゃうくらいいい景色です。晴れてないとせっかくのお花畑も宝の持ち腐れだからね。
再びピークまで歩いて快晴の空と月山山頂をアピっておきます。
庄内側はあれだね、鳥海山の山麓を思わせる複雑な地形に火山の名残を感じるね。月山は楯状火山、中学生の時月山楯状地アスピーテというのを覚えるのに水曜どうでしょうの試験に出るどうでしょうを見てましたね。
「ガッサーン!立てジョー!遊びでねぇんだ!」は今でも好きなネタです。
昨日歩いていた北アルプス北部の白馬岳、雪倉岳、朝日岳ではチングルマはすべて穂になっていたんだけど月山ではまだ花がしっかりと見れました。正午付近の強い光の下で見る白いチングルマの花は「夏ッ!!」っていう感じがするわ。
チングルマのほかにもコバイケイソウもちらほら、さすが花の山月山。アルプスや尾瀬で見れる代表的な花は月山でも当然のごとく見ることができる。
緩やかに下る草原地帯、点在する岩と草地……下界には存在しない景色を眺めながら食べるナッツバーは最高です。
いやぁ、極楽だわ……。泊っていきたいもん。
青空が広がる月山山頂は大盛況です。リフト側と弥陀ヶ原方面からやってきた登山客がいろんなところでランチタイムを満喫していますが、山頂本当に広いから場所には困らなくていいよね。
安達太良山でも見かけた八紘一宇の石碑、歴史的に意味合いや扱いがゴロンゴロン変わり続けてきた波乱万丈な言葉ですが、月山のこれはどの意図で作られたんでしょうね??天下を一つの家のようにする、世界平和の理想を願ったものだよ~と説明されたけども。戦中は大東亜共栄圏のための政治スローガンとして掲げられていました。
月山山頂に奉納された石塔を読んでいくの結構楽しいのでお勧めよ。
青空の山頂をしっかりと楽しむことができたので、これで心置きなく下山できます……。時間的にもちょうどいい感じなので下山開始、少し遅くなったからか登山道は結構空いてきました。
午後12時30分、山頂出発。
結局山頂に2時間近く滞在していたらしい。それでも暇することはなかった……さすが月山。九合目のお地蔵様に感謝の気持ちを込めて手を合わせたら、月山スキー場の駐車場を目指して下山開始です。
牛首、石清水と御花畑の大草原を下る
登りで苦労した牛首からの登り坂ですが、下りはそれだけ早く下山できるということになります。今日は登山渋滞も起きているので、快速という感じではないけど十分な速度で標高を落としていける。
午後1時00分、牛首。
30分ほどで山頂部から牛首の分岐へ到着。ここから先は牛首下の草原地帯を歩いて駐車場へ向かいます。月山の下りってリフトを使わないほうが楽しいので、スキー場から登山をする場合はリフト切符は片道でいいんじゃないかな。
牛首下の登山道は大草原地帯を貫く大変気持ちのいい道となっています。お花畑も点在していて、この大草原を堪能しないのは損!と言えるようないい道が広がります。
牛首下から南側に開けた景色が見えますね。月山湖方面に続く大井沢をずーっと大朝日岳方面に行ったところにあるのが大日寺です。今は大日寺跡湯殿山神社としてひっそりとしていますが、最盛期には「湯殿まで笠の波打つ大井沢」と行者の列が詠まれたほどだったそうです。湯殿山や注連寺と同じく800年代が開基なんだとか、1200年前の東北文化圏ってどんな感じだったんだろうね。
牛首下のお花畑は終盤だったけどちゃんと花は残ってました。お盆なら駆け込みセーフっていう感じみたい。
ニッコウキスゲは登山道わきに多く、群生している場所はまだまだ全盛期といった感じ。しかし牛首下から山頂方面を目指すこの木道もいいなぁ……。
草原地帯を下りリフト直下まで来ると草原地帯は湿原らしさを帯びてきます。小さな池塘はもちろん、湿った地面を流れる小さな水の流れ、ニッコウキスゲの群生を眺めながらゆっくりと標高を落としていく。道の緩やかさからして登山道というよりもハイキングコース。
午後1時55分、水場。
月山リフトへの分岐点からさらに下に降ると水場に到着します。稜線部だけで終わりがちな行楽登山ではあまり見かけることのない月山の水場、キンキンに冷えた東北の清流をいただきましたが……美味い!
大朝日岳や焼石岳で飲んだ至極の名水を思い出しました、身体にしみるいいお水なので、是非一杯飲んでみることをお勧めしたい。
水場から先は徐々に樹林帯へと景色は移行していきます。途中森の中に湿原が現れたりすることもありますが、スキー場の駐車場へ向けて道は森の中へ。
午後2時15分、駐車場。
水場から駐車場まで20分で到着、リフト使わなくても駐車場から登っていくのも全然オッケーだなと思える登山道でした。
月山下山後ですが、さすがに何か食べたいし何か飲みたい……。道中の道の駅で山形県名物パインサイダーとたまこんを購入、パインサイダーは北海道でいうとリボンナポリン・リボンシトロンくらいの立ち位置の飲み物です。
たまこんを食べて元気百倍になったRedsugarですが、最後に風呂に入りたい……!ということでやってきたのは天童温泉はな駒荘、こぢんまりとした入浴施設ですが穴場なのでお勧めです。月山の帰りは西川の水沢温泉、寒河江のゆ~チェリーに行きがちだけど、天童まで来てゆぴあに行くのもいいですよ。
日本屈指の温泉県である山形がいかにすごいかみんなもっと知ったほうがいい。温泉県といえば大分や群馬が思い浮かぶことだろう、だが日本一の温泉県は山形なのだ!!県内の全市町村に温泉施設が存在する。山形県はどこに住んでも温泉がある!!全ての市町村に温泉があるのは山形県だけなのだ!
全市町村に温泉が湧いてるってすごくないですか?ちなみに僕が好きなのは蔵王温泉と温海温泉と赤倉温泉です。特に温海温泉はいいです、温海嶽下山後に入ったあの温泉は忘れられない。
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