【東北】窓明山、国体コースから紅葉の南会津の山々を眺める日帰り登山

稜線から見る窓明山

2025年10月17日、福島県は南会津町にある窓明山を歩いてきました。
近くに日本百名山の会津駒ヶ岳や尾瀬燧ヶ岳があるためか、窓明山に登るという人は少ないかもしれません。
1995年、国民体育大会の山岳競技が行われた場所であり、よく整備された登山道があります。
登山道は国体コース登山口を起点とし、会津駒ヶ岳から続く稜線上に位置する三ツ岩岳、
めまうだ湿原を有する紅葉の窓明山へ向かいます。そこから巽沢山を歩いて国体コース登山口へ戻るという、周回行程となります。

この山の特徴は紅葉時期に最高の景色を提供してくれるブナの原生林と広葉樹の森。
そして、三ツ岩岳から窓明山へと続く稜線地帯に点在する湿地帯を歩く登山道でしょう。
登山道自体はよく整備されていますが野趣に溢れた場所が多いことが特徴的です
一部木道がありますが、水が染み出た湿地の草原を突っ切る場所も出てきますし、登り坂が厳しいところもあります。稜線上を西にたどれば日本百名山『会津駒ヶ岳』がありますし。車を少し走らせれば尾瀬の御池……つまり『燧ヶ岳』があります。登山において絶対的な人気を誇る山々が近くにあることから、見過ごされがちな山になりますが
Redsugar的にはそれら百名山二つよりも、登山体験として圧倒的に面白いのは窓明山だと思っています。

というわけで、錦秋の紅葉と己が一体化する、そんな登山を体験できる窓明山登山の始まりです。

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周囲の百名山を登ったなら、次は窓明山です。百名山では味わうことができない楽しさがここにはあります。

目次

窓明山日帰り周回登山の概要

■概要
今回歩く三ツ岩岳から窓明山を辿るコースは、標準コースタイムが9時間ほどとなるロングコースです。(山と渓谷社ヤマタイム基準)
距離にして約14㎞、獲得標高差は1,600m付近となるため、体力が求められます。
日帰りで歩くためには早朝のスタートは当然ですが、同等クラスの山をしっかり歩くことができる体力的な準備と経験が必要です。
『ふくしま国体コース』として設定された登山道は一級品で、稜線部までは素晴らしい登山道が整備されています。稜線地帯には所々に湿地帯があり、木道が置かれているところもあるのですが、水が染み出した草原地帯を歩くという、他の山では中々無い経験を楽しめる場所もあります。

三ツ岩岳の避難小屋はよく整備されていて、小屋のすぐそばに水場もあるため居心地はよさそうです。
ちなみにこの窓明山、日本百名山である会津駒ヶ岳から続く稜線上に位置していることは序文でもお話ししました。それ以外にも、はるか北に位置する三百名山『会津朝日岳』からも稜線は繋がっています。
その稜線上には2004年に山岳雑誌岳人で紹介されたマイナー十二名山に名を残す丸山岳が鎮座しています。
雪の季節には、創造的な山登りを楽しむ人々が、会津朝日岳を出発し窓明山を目指して山中を歩くのだとか……。

さて、一点注意があるのですが、熊の気配がやや強い山になります。
周囲の百名山と違って入山者数が圧倒的に少ない窓明山は野生動物たちの気配を身近に感じられる場所でもあります。入山の際は熊鈴をつけて歩くようにしましょう。僕はスプレーも装備して入山しました。

■アクセス
アクセスは自走となります。公共交通機関の場合はあずき温泉のバス停を利用することとなります。
ですが、時刻表を加味すると公共交通機関アクセスは日数を要しそうです。

■コースタイム
国体コース登山口7:10→旧道分岐8:40→三ツ岩避難小屋10:10→三ツ岩岳山頂10:50→めまうだ湿原12:00→窓明山12:40→巽沢山15:00→国体コース登山口15:50
合計登山時間 8時間40分、会津駒ヶ岳よりは全然難易度が高いです、そして長い。

一人ぼっちの窓明山登山の始まり

2025年10月17日午前7時10分、国体コース登山口。
おはようございます、Redsugarでございます。深夜に目覚め、暗い中高速道路を走り檜枝岐村の近くまでやってきました。さいたま市からは西那須野塩原ICを降り下道を走り続けてることになります、遥かなる尾瀬御池は遠いなと思うのですが、今回歩く窓明山は尾瀬御池の直前あたりにあります。
檜枝岐村の手前、小豆温泉の近くにあるスノーシェッドの脇に登山者用の駐車場があるのですが、訪れた当時は周辺の道路整備のための工事車両や小屋が置かれている場所になっていました。
登山ポスト付近に3台ほどの駐車スペースがあり、そちらに車を止めたんですが……。

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ちょっと待て、誰もいない……。車の往来はあるけど、SUVはみんな檜枝岐村に向かってここをスルーしていくぞ。

そう、そうなのです。窓明山は……人気がない!!!
ヤマレコやYAMAPで検索しても窓明山は周囲の会津駒ヶ岳、燧ヶ岳といった山々と比較して、圧倒的に記録が少ないのです。ふくしま国体のコースが整備されていて、森もそれら百名山に比べれば野趣に富み美しいというのに!!
ということで、本日の窓明山ですが入山者1名。
『俺と、山』という状況で山と向き合うことができました、僕以外動物っていう状況は緊張感がある。

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ということで、まずはスノーシェッドを歩いて国体コース入口へとやってきました。

窓明山登山ですが、ベーシックなコースは国体コースをスタートして三ツ岩岳をまずは目指し、そこからめまうだ湿原を経由して窓明山に至るという時計回りの周回コースとなります。合計距離が14㎞、獲得標高差1,600mと尾瀬近郊にしてはよく歩いてよく登るコースになります。数値だけで見ると針ノ木岳のピストンとか、立山三山奥大日岳あたりでしょうか。

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あとは御池→燧ヶ岳→裏燧林道コースが数値的には似ています。歩いた感じでも似ているかなと。三条ノ滝の登り返しと、巽沢山の登り返しが似てるんだよね、どちらも後半にある登り返しだし。

足元に生えるホウキダケ

国体コースはスタートからよく整備されています。全然人は歩いてないけど、登山道は一級品です。
登山道わきには季節柄、キノコがたくさん生えていました。写真に写っているのは幻の茸ともいわれる『ハナビラタケ』で、巨大な株を登山道わきにいくつか見つけることができました。
登山口から1時間もしないうちに茸パラダイスなんで、地元の人がキノコ採りに入山していてもおかしくないんだけど……そういう形跡は全くない。

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僕は茸食べれないんだけど、このハナビラタケはちょっと興味がありました。登山しているとたまに見かけるんですよね。

朝の陽ざしが差し込む紅葉の森

ちなみに国体コースの登山口は谷底みたいな場所にあるため、整備はされているものの急な坂を登ることになります。しばらく登っていくと日差しが差し込み、三ツ岩岳下部に広がるカラマツと広葉樹の森がパァーっと明るくなってきました。

道は本当に一級品です。カラマツの葉が堆積していることもありふかふかで、足元に伝わる感覚が柔らかくて気持ちがいいのです。会津駒ヶ岳や燧ヶ岳でこの感触を得たことはないな……。底が厚くシャンク(靴底に入っているプレート)のサポートが効いた登山靴を履いていても感じる地面の心地よさがある山です。

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窓明山の魅力の一つは地面が素晴らしいというところ。歩くというセラピー効果がめちゃくちゃ高いと思いますよ、ここ。坂道はきついけど足に伝わる感覚が気持ちよくて、どんどん足が進んで、恍惚とした感情が湧き上がってくるんです、至福。

ブナの木に刻まれた名前

下部にはカラマツが多いのですが、その上にはブナ林が広がっています。尾瀬らしく昭和の傷跡がいくつか見られますね。木に名前を刻むという文化、登山客が記念に掘るものと、山人が目印として掘る「ナタ目」というものの2種類があるのですが、ナタ目を実際に見たこと……ないかも。秋田とかに行けば見れるのかしら?

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岩に名前を刻むというのは鳥海山や十勝岳で見ることができるんですけど、ブナの木に名前を刻むのは……尾瀬でよく見るな。

紅葉する漆の仲間

10月中旬、紅葉はまだ降りてきていないのですが、色づきが早い木々は葉を赤くしています。ウルシとかが最初に赤くなるよね。

白肌のブナの森

午前の陽光がみずみずしいブナの森に差し込みますが、肺が洗われるような空気が満ち溢れていて、本当に気持ちがいい。この森に人間は僕しかいない状況で、『自然と俺』という状況を満喫しています。
普段山を歩いていると仕事のこととか、家族のこととか、制作のことが頭をぐるぐる回るのですが、ある種の自然に身を置いたとき、それらがスッと消えて、景色をただ受け入れる、観るということに専念できる瞬間が訪れるのです。
それは僥倖といって良いような、本当に幸せな時間で、自然に笑みがこみ上げるのです。

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自然を所有しているとか、そういうんじゃなくて。自然と自分が並列というか、一体感のようなものなんですが、この感覚を長いこと感じたくて、山の中を歩いているんですよね。

半生半死のブナの巨木

半分かれているけど半分生きているブナの巨木が現れます、森がねぇ~本当にいいんだよこの山は。久々の『心の底からお勧めしたい山』だなと思います、窓明山。

朽ち木に生えるツキヨダケ

倒木にはツキヨダケと思われるキノコがたくさん。ムキタケだったりするのかな?
循環が豊かな森が広がっているなって思います。周辺の百名山はたくさん人が歩くからか、風光明媚な場所に道が通されてて、循環を身近に感じるような感じを得ることが難しかったんだけど、窓明山はその点が強いと感じました。

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いや、このコースマジでよく作ってくれたなと思う。素晴らしい道ですよこれ。会津駒ヶ岳、燧ヶ岳、平ヶ岳と歩いたなら次は窓明山ですよ。窓明山に登らないは損してると思うくらい良かったです。

紅葉真っ盛りの南会津の山を味わう

気持ちの良い紅葉のトンネルを登り続ける中腹付近。
登山開始直後で、体力にも余裕がある一番楽しい時間帯にいい景色を味わえるとは、このコースはよく出来ている。

午前8時40分、旧道分岐。
旧道との分岐点に到着しました。目印として、コースの案内板が地面に刺さっています。
国体競技のために作られたコースということで、コースの途中には立派な案内板が埋め込まれています。
ただまぁ、距離は長い。プレートは真新しいのかずいぶんとしっかりした作り。
黄色に彩られた光の中を黙々と登ります、人間が僕以外にいない、静まり返った森には鳥の声と木の葉の揺れる音だけが響きます。

紅葉見ごろを迎えるブナの木

周囲を見渡すと輝くような黄色に染め上がった紅葉の巨木がいくつも目に入ります。
このブログを書き始めてから出会った山の中でも、印象に残る紅葉の美しさでした。

紅葉するブナ木から垣間見える光芒
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ブナの巨木の向こうに浮かぶ太陽がまぶしい……。紅葉時期は光芒を写し込んでもいいかなと思える。
発売日に手に入れたNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIですが、光芒の形がウニ型でありがたい。
先端が広がる扇形はあんまり好きじゃないんです。

紅葉が美しい巨木の道

窓明山は何がいいのか、と問われれば間違いなく森と答えます。
稜線部の湿原以上に、森がいいのです、この山は。周囲の山……会津駒ヶ岳・燧ヶ岳・平ヶ岳、それらと比較しても森に関しては窓明山が素晴らしい、僕は思います。

樹木の背丈が低くなり、周囲の山々を一望する場所がやってきました。が、目の前に広がる景色が地味すぎて山座同定ができない。

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燧ヶ岳というわかりやすいランドマークから目を離すと、どれがどの山かさっぱりわからん。

山中の道仏

窓明山の国体コースは周囲の山に比べると歴史を感じられる遺構が少ないのですが、
三ツ岩避難小屋に向かう途中に比較的新しい石仏が置かれていました。
どういう目的で置かれたのかは読み取ることはできず……。

ゆったりと登っていく窓明山の国体コース。落ち葉の道はいつの間にか草の道に姿を変えています。
歩く人が少ないのかフカフカとした草の上を歩いていくのですが、残っている朝露で足元が濡れていく……。

稜線上の湿地帯を歩く

避難小屋付近までやってくると足元が水浸しになった個所が所々に現れます。
池塘というほどではないけど、地面から水が染み出し、それが道を浸食しているような状態です。

三ツ岩岳、窓明山、この二つの山々は小さいながら湿原を持っています。
隣に会津駒ヶ岳、燧ヶ岳といった湿原が広がる山があるためか、地味と受け止められてしまうのがかわいそう。
こちらの稜線だって木道が張り巡らされた湿原があるんだけどなぁ。

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ちなみに木道はツルッツルでした。

午前10時10分、三ツ岩避難小屋。
森林限界を超えた稜線地帯に入ってしばらくすると避難小屋が姿を現します。森の中の小屋に見えますが、小屋の裏手は開けていて眺望は良さそう。小屋の前にはチョロチョロと水が流れる水場もあります。

ログハウス風の小屋はまだ新しさが漂う程です。力を込めて重たい扉を開いた先には……木の香りが心地よい、立派な山小屋の室内が広がっていました。日差しが差し込む室内は暖かく、ここに宿泊するのはアリかな。
この避難小屋は残雪期に会津駒ヶ岳方面を含めた縦走の方々などがよく利用しているらしいです。

三ツ岩岳より窓明山へ、黄金色のめまうだ湿原

避難小屋からは三ツ岩岳へと向かいます。窓明山とは逆方向になりまして、往復で1時間ほど……なかなか歩きます。
稜線地帯なんですけど、足元は高層湿原的な状態で、登山道は水で地面が緩んでいるようなコンディション。

目の前に現れる三ツ岩岳山頂

木道をいくつか経由し、青々とした笹に覆われたピークの前までやってきました。目の前にあるのが三ツ岩岳のようですが……周囲を見渡すと三ツ岩岳よりも高い山があるのでいまいち自信がない。

午前10時50分、三ツ岩岳山頂。
どこらへんで山頂になるのかなぁとドキドキしながら歩みを進めていくと……唐突に山頂が現れました。雰囲気的には苗場山とか平ヶ岳の山頂が近いでしょうか、西側の眺望は開けていますが、東側は樹木が生い茂っているため景色は悪いです。

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三ツ岩岳の山頂はちょっと地味ですね。

三ツ岩岳山頂からは会津駒ヶ岳に続く稜線の景色が特徴的です。長い、とにかく長い稜線が続いていく……。
夏道が作られていない稜線地帯なので、雪がある時期に歩かれるのだとか。

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山頂のすぐ隣にあるピークにも、黄色く染まった草紅葉地帯が広がっています。稜線にも所々紅葉した湿原が続く……道が繋がっていればなぁと思わされる。窓明山から尾瀬御池まで歩いたりできればすごく楽しそうだ。

三ツ岩岳山頂は目的の半分ということで、お次の目的地である窓明山へと向かいます。写真二枚目を見てもらうとわかるのですが、見下ろす山々の上部が紅葉していて気持ちがいいですね。
さて、水浸しの登山道を歩いてきたという話ですが、写真三枚目みたいな道を歩き続けて避難小屋まで戻ります。

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山頂がかなり近いんだけど、水がすごく多い……。雨がたまったというわけではなく、地面から水が染み出ているっていう感じでした。

水が染み出る登山道

避難小屋からは窓明山へ向けて緩やかに下降する道を進みます。草地の上を歩くような登山道には驚きました……、こういう場所は普通木道が通されたりしているものですが、窓明山に関してはダイレクトに湿原の上を歩いていきます。
写真のような感じで水が染み出した草地の上をズカズカと進むという……、中々貴重な経験をさせてもらったと思う。

牧草というか、とにかく草が生い茂る湿地帯なんですが、足元はあんまりよくない。ゴロゴロとした岩が所々顔を見せていて、まとわりついた苔は湿っていてやや滑る……。新鮮な水が湧いていることからか、水辺らしい植生を眺めながら歩くことができました。

窓明山山体

目の前に窓明山が見えてきました。写真右手側に黄色い広場が見えますが、あれが「めまうだ湿原」になります。
三ツ岩岳方面から見ていると、窓明山自体は笠をさかさまにしたような均整取れた美しい山だなと思う。

めまうだ湿原と窓明山

三ツ岩岳から窓明山へと続く稜線地帯からはめまうだ湿原が良く見えます。(意外に小さい)
小豆温泉に窓明山の写真が飾られているのですが、大体この辺から撮影したんだろうな……と。
稜線地帯は針葉樹が多いようですが、中腹は紅葉真っ盛りな模様。

三ツ岩岳山腹のダケカンバ

振り返って三ツ岩岳を眺めてみると、黄葉したダケカンバが斜面を彩っております。陰影が強くなる時間帯、濃い影の中に黄色が浮かび上がってきましたね。

三ツ岩岳から窓明山にかけては気持ちのいい稜線歩きが待っています。樹林好きも、稜線好きも満足できる部分があるんですよ窓明山は。会津駒ヶ岳のような開放感があふれる稜線ではないんですけどね、緩やかなアップダウンと、眺望の良さは岩菅山とかを思い出します。

午後12時00分、めまうだ湿原。
窓明山といえば黄金色のめまうだ湿原と聞いていたのですが、やってくると……小さい。小さいんだけども草のフワフワ具合に関していうと唯一無二なところがあります、ど真ん中に木道を通したところもすごい。
映画「風の谷のナウシカ」の最後、「~金色の野に降り立つべし。」という展開を思い出させるような草紅葉。

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僕の場合は青い衣じゃなくて赤い衣なんですけどね。王蟲の血で服が青く染まらないとダメか……。

めまうだ湿原を抜けると少し大きめの池塘が染み出た稜線地帯が現れます。中を覗いてみるけど……生き物の気配はなし。さて、池塘がある地点からは登り返しが始まります。ちなみに、これが最後の登り返しかなと油断していると痛い目を見るのが窓明山周回コースです。

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一番きつい登り返しは窓明山の後。巽沢山の直前に現れます。事前に地図を読んで理解していれば覚悟が決まってるから何ともないんですけど、事前知識が浅いままだと「うわぁ~」となります。

窓明山へ登っていきますが、足元が土の道なんで歩きやすいです。土も粘土質とかではなく、ふかふかとした植物の名残がある土なのでグリップが非常に良い。紅葉に染まる山腹を眺めていると、麓に北日光高畑スキー場を確認することができます。

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南会津という地域を残しながら、ブランドとしては北日光を展開しているんですよね。軽井沢に対する北軽井沢的なものなのかなと思いますが。登山をやっていると、日光市がそもそもデカすぎじゃないかという感想も抱く話です。(袈裟丸山も田代山も山王峠も日光市の部分がある)

窓明山から巽沢山へ、紅葉と登り返し

午後12時40分、窓明山。
本日の目的地窓明山に到着しました。朝7時から歩き始めているので、登山開始から5時間以上たっての到着となります、長い。目的地のピークは晴れていてほしいと願うので、行程の前半(午前中の早い時間)にそこに至るようにしたいものですが、窓明山はちょっと遠かった。窓明山からの眺望と三ツ岩岳の眺望を比較すると……三ツ岩岳のほうがいいかなと思います。

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窓明山は何がよいのか?と言われれば三ツ岩岳から山頂に到着するまでの道中が良い、ということになるでしょう。この山のおすすめ行程は、やっぱり時計回りかなと思う。

窓明山から見る会津朝日岳

窓明山の山頂から周囲をぐるりと見てみますが、これといって特徴的な、目を見張る山は見当たりません。
ただ……北の方角に一つだけ、ギザギザとした会津朝日岳が見えます。

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雪がある時期に、あの会津朝日岳から写真左の稜線を歩いてここまでやってくる人がいるなんて、信じられないわ。

さて、午後1時が近づいています。10月の登山で午後1時に窓明山山頂付近、ちょっとした緊張感が漂います。
下山時刻には谷間が暗くなっていることは理解しているのですが、ここから先は急ぎ足で降りたいところ。

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窓明山下山を開始した直後。山頂直下の登山道のど真ん中にクマの糞(排泄後数日経過と思われる)が落ちていました。上部は食べるものがあまりないのでは?と思っていたんですが、そんなことはないらしい。

クマの糞は木の実や繊維質が多く、ボテっとした俵型、バナナ型の巨大なものなので見ればわかる。カモシカやシカは小さい粒がぽろぽろと落ちているやつね。

燃え盛る赤い紅葉

窓明山の山腹も紅葉が見事だなぁと、景色を眺めながら進みますが。クマの糞を確認した直後なので全身の感覚が鋭敏になっているのがわかります。熊鈴を鳴らしながらも、木の実が落ちる音、鳥が木の上を移動する音、笹の葉の揺れる音、すべてに対して身体が否応なく反応するスイッチが入ってしまいました。

紅葉するカメノキ

紅葉時期といえばオオカメノキの葉は真っ先に赤くなっていきます。緑色の葉が赤く染まっていく過程がわかりやすい葉があったので一枚パシャリ。

紅葉にまみれた森

黄色が強い黄葉の森を眺めながら、今年の実りは豊かなのだろうかという思いが頭をめぐる。

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深山の熊は里に下りてくる個体と違って、ほとんど遭遇することができないかなと。登山道を歩いていて遭遇するのは相当レアな状況だとは思います。10年以上登山をしているけど、クマと鉢合わせたのは秩父破風山の大前集落の畑の1回だけ。とはいっても油断はせずに、熊鈴はつけたほうがいいし、場所によってはスプレーを持っていきましょう。

紅葉する巽沢山

目の前に巽沢山が見えてきました。窓明山からは一直線に尾根を降りていくのですが、降りきったところで登り返しとなります。見事な紅葉に包まれた巽沢山なんですけど……登り返しは嫌だなぁ。

巽沢山への登り返し

写真では普通の上り坂に見える巽沢山の登り返し。実際にその場に立ってみると、かなり急な斜面が一直線に登っていく有様に面喰います。

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九十九折りとかじゃなくて、直線なんだぁ……。『果てしなく遠い男坂』みたいな坂でしたので、足を踏み出しながら『未完!!』とつぶやいてしまった。

『男坂』とは車田正美の硬派喧嘩漫画で、打ち切りによって未完で終わります。その終わり方の最後が「オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠い男坂をよ…」というもので、急な坂を駆け上る主人公の絵に非常にインパクトがあるものでした。
その後、2014年に車田正美が連載終了後30年ぶりに連載を再開し、その後2023年に完結してしまったという逸話を持つ漫画でもあります。車田正美っておじいちゃんになっても漫画連載しててすごい。

巽沢山登山道

急な坂を上りきると山頂は台地状になっていて、平坦な道が続いていきます。登山道の開け具合が素晴らしい、高規格登山道じゃんと思うような美しい道が続きます。

紅葉が進むブナの森

巽沢山付近は黄色が強いです。午後の日差しも相まって飴色の光が差し込んでくる。

黄色とオレンジと輝くような紅葉を見せつけてくれるダケカンバの巨木がありました。三ツ岩岳側の紅葉も素晴らしかったけど、巽沢山の紅葉も素晴らしい。窓明山の周回コースは最後まで景色で楽しませてくれる。

紅葉するブナの森

ブナとダケカンバが競うように背を伸ばす森が広がる巽沢山。幅広の道といい、広葉樹の森といい、森を楽しむには本当に良い山だと思います。

落ち葉が降り積もり、足裏に柔らかい反発を感じる道が続く登山道。いつの間にか熊の不安も立ち消え、森の空気を吸って吐くだけ、山に満ちた空気の中をゆっくりと泳いでいるような感覚になってきました。

巽沢山山頂

午後3時00分、巽沢山。
歩くことがただただ楽しい、頭の中のスイッチが入った状態になったところで巽沢山山頂へ到着です。標高は1,162mで、山頂からの眺望はありません。

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せっかく気持ちよくなっていたところだったんだけど、山頂が現れたのでいったんストップ。撮影をして「ふぅっ」と一息ついたら、足が自然と動き出して森の中をかけていきます。心ではなく、足が体を移動させているのを眺めているような、心地よい時間でした。

下山後は小豆温泉で疲れを癒す

いまだ紅葉が訪れていない青々とした葉が繁る森まで降りてきました。窓明山の登山口方面は、最後の最後、坂道の斜度が非常にきついことになっていきます。反時計回りで登り始めたら、最初の急坂にノックアウトされてしまいそう。

カラマツの紅葉が美しい山肌

木々の隙間から山を見上げると、黄葉したカラマツが山肌を埋め尽くす様子が伺えます。傾いた日差しが黄色をさらに色鮮やかに染めている。そして……森の中はすでに薄暗く、早く下山しないとヘッドライトが登場してしまうという焦りが心の底に湧出します。

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最後の最後にこの坂は急だって、きついって!!足ガクガクになるって!

思わず言葉が出てしまったのは写真一枚目、大きな落葉に覆われた登山道ですが、トラロープが取り付けられている程度には急です。何がいやって落ち葉で道が見えないんです。急斜面で落ち葉の下が見えない=落ち葉の下に小さくて動く小石が在ったら滑るということです。
登山をしていて注意しなくてはならないところは、こういった何気ない道だと思います。見るからに危ない場所は、注意が働きますが、一見そうは見えないところこそスリップの危険が潜んでいます。

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硬い石や地面の上に砂利や砂がある坂道は粘土以上に滑る。浮石はもちろんやばい。朝露に濡れた木の根や木道もスリップの元凶。あとは乾いていると見える岩も種類によるし、苔や土埃の付着の状態によって靴のゴムが生む摩擦が減衰されることが多々あります。これらに対応するには知識の身体化……つまりいろんな不整地を歩くしかないと思うのですが、靴だけは金で解決ができるので、何とかしましょう。

午後3時50分、国体コース登山口。
急坂を降りると藪が広がっているのですが、道路工事の音が響き渡っています。木々の隙間から国道に抜けた後は、国体コースの入り口まで車道を歩くことになります。工事作業員の方々に会釈をしながら15分ほど歩き続けてようやく駐車場まで帰ってきました。

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下山が日没ギリギリになってしまった、三ツ岩岳~窓明山は長かった!

下山後の温泉ですが、窓明山のいいところは登山口のすぐ隣に小豆温泉「窓明の湯」があるところです。尾瀬エリアで登山した時でも、こちらに入浴しに来ることもあるくらい、僕は好きな温泉です。こじんまりとしていて、落ち着けるんですよね~。
お風呂でさっぱりと汗を流した後は、ノンアルコールと炭酸、ガリガリ君で帰りの英気を養います。

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登山は、家に帰るまでが登山です。ここから先東北自動車道まで長い下道が続きます。温泉は檜枝岐村か小豆温泉で済ませておくのがおすすめです。

車を走らせているときっとお腹が空くことでしょう。檜枝岐村から塩原へ向かう道中はお店が本当にありません。僕のおすすめは国道121号線沿いにある中華料理『あいづ亭』です。というかここが最後の食事スポットなんです……。
352号線沿いの店が営業時間外だった場合は、『あいづ亭』を目指すしかありません。

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空腹の限界を迎えていたので、あいづ亭にIN。唐揚げラーメンを注文し、その待ち時間に黄昏流星群を読む。これ昔は面白いとも何とも思わなかったんだけど、年齢が上がってくると面白いと思える部分も出てくるから不思議です。

ということで窓明山登山後に風呂とご飯をキメて、一路東北自動車道からさいたま市を目指して帰るのでした。

めまうだ湿原と窓明山

百名山に劣らぬ魅力を備えた南会津の名山、美しい森を楽しむなら秋がおすすめ。
めちゃくちゃいい山でした、窓明山。352号線を進めば会津駒ヶ岳・燧ヶ岳・平ヶ岳と百名山がドンドンドーンとあるわけですが、窓明山は全然負けてない良さがあります。
特に森に関しては、三ツ岩岳~窓明山でなければ味わえない良さがあると僕は思っています。
山頂部の湿原地帯を突き抜ける登山道、ほかの山であれば木道から外れることは許されませんが、窓明山はそもそも木道がない水浸しのワイルドルートが現れたりします、こんなのなかなか経験できません。

巨木が彩る紅葉の樹林帯は窓明山の特徴ですが、ミニ平ヶ岳的な三ツ岩岳、ミニ尾瀬的なめまうだ湿原と尾瀬エリアのいいところをギュッと圧縮しながらも、登山としては骨太な日帰り登山を楽しめます。
周囲の百名山を登ったなら、ぜひともこの山も訪れてみてください。
秋にお勧めしたい福島県の名山、窓明山でした。

人生最高の山は続く。

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