【丹沢】鍋割山、小丸尾根を登り寄ロウバイ園を目指す日帰り登山

鍋割山荘から見る富士山

2024年1月14日、温かい冬の一日に久々の丹沢登山となる鍋割山を歩いてきました。山頂にある鍋割山荘の鍋焼きうどんが有名な標高1,272mの山になります。
丹沢で一番人気と言っていいくらい常に人で賑わう塔ノ岳のお隣にある鍋割山。塔ノ岳からの縦走の方もいれば単体で登る方も多い山です。ヤマビルが出現する真夏以外は登山シーズンと言えますが、なんで1月に登ったの?と聞かれれば麓の「寄」にあるロウバイ園に合わせて登ることが出来るから。
1月といえばロウバイの花を楽しむ登山をしたいなぁと毎年思うのですが、宝登山や筑波山は家族で訪れたりしている関係上、他にもロウバイ×登山が楽しめるところはないのか!?と探していたら「鍋割山ってロウバイ園直通じゃないか」ということに気が付いたわけです。

大倉バス停を出発し、林道を抜けた先には日本山岳連盟の歴史を感じさせる銅像があったり、富士山眺望の尾根道を歩いたり。神奈川ということで横浜のFM放送を聞き旅情ブーストしたり、鍋焼きうどんだけではない楽しみに満ちていました。

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小型ラジオ片手に登ってご当地FMラジオを聴く、旅先でこれをやるとすごい楽しくなるぞ!

目次

鍋割山日帰り登山の概要

■概要
丹沢の主脈縦走ラインから少しずれた場所にあるのが本日訪れる鍋割山です。様々な雑誌媒体でも扱われる丹沢の人気登山スポットで、塔ノ岳、大山と並ぶエンジョイ登山の聖地じゃないでしょうか?
歴史を辿ってもこの山が現在人気なのは暖かい山小屋と富士山の眺望を言及するものが殆どで、鍋割山でうどんを食べることは一種のステータスというか、実績解除的な扱いを受けている節もあります。
今回は大倉バス停を出発した先、小丸尾根というメジャーじゃない方の道を利用、鍋割山稜を辿って山頂を目指します。下山は尾根沿いに栗ノ木洞を越えて寄(やどりぎ)のロウバイ園を目指すというもので、こちらもロウバイの時期なのにほぼ歩いている人がいないちょっとマイナーな道となります。

下山後は寄の集落にあるロウバイ園を楽しみます。寄と書いてやどりぎと言う地名には諸説がありますが、寄合が木の下で行われていたことから寄木=やどりぎになったとか。集落にはロウバイ園のほか、鎌倉時代の吾妻鏡に記載がある弥勒寺といった史跡が残ります。丹沢エリアでは樹齢2000年を誇る箒杉がありますが、弥勒寺の杉も樹齢600年と歴史を刻んだ木と地が眠ります。

■アクセス
丹沢の大倉バス停がスタートとなりますので、公共交通機関でのアクセスになります。
【電車】新宿→渋沢:小田急線で410円~
【バス】渋沢→大蔵:神奈川中央交通で700円~
【バス】寄→新松田:富士急モビリティで590円~
【電車】新松田→新宿:小田急線で800円~
合計運賃 2,500円~、丹沢は運賃のわりに濃厚な登山を楽しめて良い場所ですよね。

■コースタイム
大倉7:55→小丸分岐9:15→鍋割山荘12:05→土佐原集落14:20→ロウバイ園14:40→寄バス停15:10
合計登山時間 約7時間、ロウバイ園で食べるジビエ豚汁とイワナの塩焼きがおいしすぎた……!

大倉から冬の鍋割山を目指して

2024年1月14日午前7時25分、渋沢駅。
おはようございます、Redsugarでございます。
丹沢は鍋割山と言えば鍋焼きうどんで有名な山で、登山を始めて最初の頃に大体の人は訪れるであろう場所と思います。なんたってどの雑誌でも丹沢を特集するときには出てくる山だから……。
しかし当ブログは南アルプス初めての山が聖岳だったような、メジャーを外してしまう癖があります。鍋割山も登山を始めてから10年近くが経過しようというのに登ったことがありませんでした、びっくり。

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鍋焼きうどんにでっかいシイタケが入ってるでしょ?私キノコが食べれないこともあって、鍋割山で鍋焼きうどんっていうイベントに惹かれなかったのが原因かも

大倉レストハウス

午前7時55分、大倉。
登山を始めた2015年と比較すると、カフェが出来たりと改装が進み随分と様変わりした大倉バス停がスタート地点となります。渋沢駅から大倉行きのバスは丹沢は塔ノ岳を目指す登山者で賑わっていました。

新しくなった大倉レストハウスのカフェ

大倉のレストハウスは登山者向けの営業を行っていて、早朝だというのに珈琲から軽食、デザートからアルコールまで幅広くそろえたお店を提供しています。飾ってある靴にOnが多いというのも、Onを愛用している自分としても目を惹く部分です。

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登山をする体力を維持するというわけではないのですが、身体を動かさないと調子が悪くなるのでランニングをしています。Onをずーっと使っているんだけど、靴底に石が挟まるからそろそろ別のメーカーに乗り換えたいなと思ったり。

大倉を出発したら塔ノ岳組とは別の道を進み、鍋割山の尾根へ続く小丸尾根分岐までは林道を歩くことになります。この林道歩きが結構長く、バス停からすぐに登山道へ入れる塔ノ岳とは差がある。
1月の早朝の林道歩きはとにかく寒い……、防寒具をしっかりと来ていても底から冷えるものがあります。

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雪山よりもこういう低山の谷底の林道のほうが空気が冷えている感じがするヨ。

尾関広氏の像

小丸尾根の分岐手前付近で丹沢の尊仏小屋建築に尽力した尾関広氏の銅像が現れます。説明を読むと日本山岳連盟結成に努め、全岳連会長となった登山界の重鎮の銅像となります。
氏に関して色々調べるうえで、日本の山岳団体も結構入り組んだことになっているのだなということに気が付きます。
パッと日本山岳会、日本山岳スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟などが出てきますが、組織としてはそれぞれ違う。

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詳しい設立の経緯や、それぞれの組織の違いを調べてみると面白い。

午前9時15分、小丸分岐。
林道を進み尾関広氏の胸像を越えたところで小さな渡渉地点がやってきます。この渡渉地点を越えたところで小丸尾根分岐が登場。

小丸尾根へ向かう

メジャールートではない小丸尾根ですが道はしっかりとしています。鍋割山は塔ノ岳と比較すると登山者は少ないんですが……大人気エリアということで、それでも人が多いことは間違いなく。
静かな登山を楽しみたいなぁという方には人が少ない小丸尾根コースがおすすめです。

足元には溶けゆく雪

降雪後ということもあり、足元には雪が少しだけ残っています。

登山道から見える白い富士山

小丸尾根は稜線へ駆けあがる最短ルートということで斜度がきつく苦労は多いのですが、すぐに富士山が見えてくるなどのご褒美もあります。

細い木に巻き付けられたピンクテープ

人通りは少ないけど真新しいピンテも多く、丹沢という人気登山スポット故の整備の良さ。

枯れ木につけられたピンクテープ

洗堀が進みどう考えても間違えることはないだろう道にもしっかりとピンテがある。急登をぐいぐいと登り、1時間以上かけて稜線へ到着です。

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冬場で寒いこともあって、足元は雪が多いけどバキバキに凍っていて歩行は快適でした。ヌタヌタには一切なっていなくて、助かったぁ……。

相模湾と富士山を見渡す丹沢の稜線

鍋割山稜線から見る相模湾

小丸尾根を登りきると背後には太陽の光を反射する相模湾、秦野や小田原の街を見下ろすことが出来ます。
こうして見下ろしてふと思いましたが、青梅って将門由来の名前じゃん?秦野ってなんの由来なのだ??
秦氏(養蚕を伝えたとされる渡来人の一族)が由来にも思えたけど、秦野市のHPを見るに波多野氏起源説が濃厚らしい、波多野氏自体は将門を討った藤原秀郷の孫にあたる佐伯経範がご先祖様となる。

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つまり平安くらいの時期に由来があるんだね。

丹沢から見る冬の富士山

丹沢といえば稜線から見る富士山ですが、小丸尾根を登りきった地点からは眺望バッチリです。

鍋割山稜線から見上げる塔ノ岳

木々の合間から白いピークが見えますが、あちらは塔ノ岳。凝視してみると山頂にはおびただしい数の人、人、人……。

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流石塔ノ岳……、丹沢有数の登山スポットだわ。

薄い雪が積もった登山道

稜線に少しだけ積もった雪は陽光に照らされて徐々に緩んできています。日陰には硬い霜柱が立ちつつ、日向の雪と霜柱は徐々に溶けて柔らかい泥へ。

相模湾を見渡す稜線

鍋割山で気持ちがいいなぁーと思ったのは小丸尾根から鍋割山荘へと向かう南側が開けた稜線です。相模湾と小田原方面を眺めながら歩けるのですが開放感が抜群です。海から登ってくる風に乗せて横浜FMが軽快なトークを繰り広げてくれる。

丹沢から見る富士山

鍋割山荘に近づくにつれて富士山の眺望は良くなってきました。冬枯れのさびしい山肌だけではなく、透き通った水色の空の向こうに富士山を眺められるのが丹沢の良い所です。富士山の隣にアルプスも見えてお得……。

午後12時5分、鍋割山荘。
鍋割山荘に到着すると、どこからこんな沢山の登山者が……?と思うほど人がいて驚愕。小丸尾根を歩いていて誰かとすれ違うことも少なく、今日は静かに歩けて最高!と思っていたんですが。
あたりに漂う麺つゆの香り、鍋焼きうどんを楽しむ登山者の方々が富士山を眺めながら談笑を楽しみ、小屋番のお兄さんが注文を読み上げる、ここだけ下界のような営みが繰り広げられます。

鍋割山から見る富士山

鍋焼きうどんの香りが漂う鍋割山ですが、眺望は一級品でススキの向こうに富士山がドーンと座っている様子は塔ノ岳よりも気分が良いです。

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塔ノ岳よりもこっちのほうが富士山に近いからな!!

鍋割山周辺の草地

富士山とは逆の方向を見渡し相模湾の東側にある湘南方面を拝めると思ったら、草地を囲うような木々で思うような眺望は無し。ただ、この草地は気持ちよさそうで雪がない季節であれば寝転んで至福の時間を過ごせそう。

シイタケが食べれない、どう我慢しても絶対に無理。鍋焼きうどんを頼んだとしてもシイタケだけを残すことになってしまう……なので食べ物を注文することなく、景色だけを楽しんで下山します。小丸尾根というちょっとマイナーな道を歩いてきましたが、下山もマイナーな道を辿ることになるなんてこの時は思わなかった。

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ロウバイの季節だから鍋割山登山者の多くは寄へ降りるもんだと思っていたんだ……、ところが殆どの登山者は大倉に降りて行った。

古くなったピンクテープ

寄へ向かうために栗の木洞を目指します。劣化したピンクテープが導く登山道を歩き続けるのですが、自分以外歩いている人が居ないんだけど??

山を表す境界杭

尾根道を降る際中に「山」と書かれた境界杭を発見。山って書かれているものは林野庁の境界杭ですね。
林野庁なので林じゃなくてなんで山?と思って調べてみると、明治時代から大正にかけて存在した農商務省山林局時代にデザインされたからのようです。森林官と呼ばれる職員がいまだに赤ペンキを塗って回っているのだとか……。

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帝室林野局所管の旧御料林には「宮」という文字が刻まれているらしい、そんな杭一度でいいから見てみたいねぇ。

ケルンと境界杭

山林境界がいくつも打たれた尾根道には積石も多い。栗ノ木洞を越えて寄まで歩くのはとにかく長い道のりで、ラジオ番組を聞いて体感の時間を圧縮しながら歩かないと中だるみしそうです。

ロウバイの香りとジビエとイワナが待つ寄へ

午後2時20分、土佐原集落。
鍋割山からひたすら降り続けて栗ノ木を越えて土佐原集落の看板が見える場所まで下りてきました。途中林道へ降りてからも緩い下り坂をひたすら歩き、鹿避けのゲートをくぐったら茶畑が見えてきます。
そこまで来たら実質登山は終了、寄の集落の上の方へやってきたということです。

ここまで来たらロウバイ園までうねる様な山の農道を歩くだけです。山間部の集落では段々畑が作られていて、年老いた農家のおじいさんが軽トラを乗り回して農作業をしている様子を横目に降ります。

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こういう集落あるあるで、草ヒロ(廃車)をたくさん見ることが出来ますね。

ロウバイ園のロウバイ

午後2時40分、ロウバイ園。
寄のロウバイ園は下からアクセスすると入園料が必要なのですが、鍋割山から降りてくるとそのままロウバイ園に入れます。出るときに料金を払うと、係の人は山から下りてきたのに払ってくれてありがとうねと労ってもらえました。
ロウバイの甘い香りに満ち溢れた寄ロウバイ園ですが、5分咲きといったところで満開には一歩及ばず、早く来すぎました……。

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宝登山クラスというわけではないが、それでもすごい数のロウバイが植えられていて満開の時はもっと良い香りに包まれるんだろうなと。
1月初旬だとやっぱりまだ早かったかーという感じ。

寄のロウバイ園

場所によっては三分咲きで、すいません本当に早く来すぎてしまいました!という感じ。
それでも香りは一人前で、満開の木を見つけては鼻を楽しませて、少しばかり写真を撮る、そんな散歩を楽しみました。

ジビエ豚汁とイワナの塩焼き

入り口近くに売店があるのですが、そちらではジビエ豚汁とイワナの塩焼きを売っていました。イノシシ肉を使っているらしく、豚よりもパワーみなぎる豚汁っていう感じ。

イワナにかぶりつき、豚汁でのどを潤した際に確信します……。鍋割山の山頂で鍋焼きうどんを食べなくても今日は良かったと、このために今日はロウバイ園に降りてきたんだと。

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ジビエ豚汁滅茶苦茶美味しくって、おかわりしそうになりました。バス停前の定食屋に行きたかったから我慢したけど……。

午後3時10分、寄バス停。
ジビエ豚汁を1杯で我慢してバス停に降りてきました、お目当てはみやま浜膳さんだったのですが、本日の営業は終了!!!マジかよ!!?下山して蕎麦を食べるつもりだったので、豚汁を一杯だけで我慢したのに。
下山時刻が遅く昼営業が終わってしまっていたのは痛恨のミスでした。

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15時近くに下山すると飯屋って準備中になっちゃうことを忘れてたんだよね。

バス停前の廃車

しょうがないのでバス停付近を散策。バス停脇の管理センターでは何やらイベントをやっていますが……それよりも目の前のこの廃車がすげぇ気になる。

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なんでこんな状態で保管してあるんだ……??

やどりぎ玄米茶

バスが来るまで結構待つということで管理センターのイベントを眺めてお土産を物色、妻と一緒にこれなら楽しめるじゃん!ということで購入したのが冬に飲みたい玄米茶でした、こちら香ばしい玄米の香りが食欲を刺激するとてもおいしいお茶でしたよ。

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玄米茶って腹減るよなぁ……、すげぇ美味しいお茶部類だと思うわ。

松みどりの酒蔵「中沢酒造」さんへ

その後、バスに揺られて新松田へ戻ってきたのですが、この日最後の目的地へと向かうために駅から少し離れた酒蔵へ。丹沢へ来たのならば是非ここによって行ってほしい、丹沢の地酒を造る中沢酒造さんです。
中沢酒造さんを代表する松みどりは山登りをしているなら是非楽しんでいただきたい一品です、1月の登山なら新酒が飲めます!!

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大月エリアの笹一、小川町の帝松に清雲、丹沢は松みどりがアクセス抜群。高松山縦走なら川西屋酒造とかね。それ以外の酒造は気になるけど下山してから歩くとちょっと遠い……。金井酒造店、瀬戸酒造店と行きたいお店はたくさんあるんだけど。

しぼりたて原酒とやどりぎ玄米茶

お土産に高y縫うしたのは松みどりの搾りたてのお酒。こちら本醸造ですが大変おいしくいただきまして……、感想を書く前に2日ほどで全部飲んでしまいました、おつまみにエビがあったのが良くないエビが。
海産物を食べながら飲むと異常にすすむお酒だったなと思います、詳しい感想を書きたいから次回新松田へ行ったときにまた買ってこないといけません。
玄米茶は安定のおいしさ、とにかく香りが良く朝の一杯、お昼の一杯に飲んでいたらこちらも数日でなくなってしまいましたとさ。

鍋割山から見る富士山

ロウバイシーズンの鍋割山は寄へ降りて飯を食え!
鍋割山は安定の楽しい丹沢の山でした。大山、塔ノ岳、鍋割山、この辺は冬に登ればまず間違いなく楽しい山です。雪がちょっと積もっているくらいが歩いていて楽しい。富士山の眺望を見ながら鍋焼きうどんもいいけれど、下山後にロウバイを眺めながらジビエ豚汁を飲みながらイワナの塩焼きを食べると、とても贅沢な一日を過ごしたんだなぁ……と呆れるくらい幸せな気持ちになれました。
さらにその後、地酒を抱えて帰路につけば立派な旅行気分で帰れます。登山だけで終わるのではなく、地元の風土を身体全身で楽しむ一日が完成です。
というわけで丹沢鍋割山、ロウバイシーズンは1月の後半くらい。寄への下山はちょっと遠いけど、その分満足度が高い一日が待っているので、ぜひ挑戦してみてください。
人生最高の山は続く。

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