【北アルプス】五竜岳、水鏡の八方池と唐松岳が彩る夏の山

八方池と雲

2019年8月2日、北アルプス後立山連峰の一角「五竜岳」を1泊2日で歩いてきました、標高は2,814mで後立山連峰の一角となります。
夏山登山で人気のスポット八方尾根からの唐松岳からよく見える山で、鹿島槍ヶ岳まで続く長大な稜線が特徴的な五竜岳。
夏の八方尾根は登山者としては一度は歩いておきたいスポットだったので、今回念願叶ったりという登山を楽しめました。

八方尾根は高山植物に恵まれ、ところどころ建てられたケルンがアルプスのハイキングスポットという旅情を掻き立ててくれます。
不帰方面の展望がよい八方池は早朝、空の水鏡となり絶景の撮影スポットに。
今回の登山は写真撮影をする方々も多く上る八方尾根を登り、唐松岳に登った後に牛首を経由して五竜岳へと向かいます。
ちなみに下山は再び牛首を登り八方尾根を下ります。

八方池で朝焼けを見る、ということに重点を置いた今回の五竜岳登山。
黒菱平駐車場を利用した登山となりますが、写真撮影に重点を置いて唐松岳や五竜岳を登る方には参考になるのではないでしょうか?
それでは行ってみましょう、真夏の五竜岳写真撮影登山の旅の始まりです。

八方池ケルン

朝焼けの八方池と五竜岳登山を掛け合わせると黒菱平駐車場スタートとなる
五竜岳登山だけで考えれば往路を八方尾根、復路を遠見尾根といった形で周回登山を組むのが楽しそうですが撮影に力を注ぐとやはり見たいのは八方池の朝焼け。
夏の時期は早朝4時には空が明るくなってきてしまいますが、その時間帯に八方池にいるためには黒菱平の駐車場を利用することが必要となります。
風も穏やかな早朝、八方池は天を映す水鏡となり雲が沸き上がる白馬の山々が上下に踊る景色を楽しめます。

八方池で朝焼けを見ることができれば、あとは五竜岳に向かうだけなのですが……気を付けたいのは牛首の下り。
鎖場が連続する細い岩場を降下していくのですが、早朝から活動していた場合集中力が切れる時間帯に当たることもあるので、事前に唐松山荘でゆっくりと休むのがおすすめです。

目次

五竜岳、八方池朝焼け登山の概要

五竜岳の概要
五竜岳の概要は五竜山荘さんや信農毎日新聞さんのサイトに描かれています。
八方尾根からのアクセスと遠見尾根からのアクセスがありますが今回は八方をピストンするという変わった歩き方になります、出来れば八方尾根を往路として復路を遠見尾根にしたいところです。

五竜山荘までは牛首を除き歩きやすい道が続きますが、五竜山荘から五竜岳山頂は岩場が多く危険か個所もあるので注意してください。

黒菱平へのアクセス
黒菱平は車でのアクセス限定です、深夜に到着することになるので運転は注意してください。
スキー場の中の道を登っていきます、ダートもあるのでタイヤのメンテナンスはしっかりと。
目的地は「カフェテリア黒菱」や「白馬東急ホテル」あたりに設定してあとは目視で行く形になります。

一日目のコースタイム
黒菱平駐車場2:55→八方ケルン4:50→八方池5:00-5:50→丸山7:55→唐松岳頂上山荘8:55-9:30→唐松岳10:00-10:15→唐松岳頂上山荘10:35→五竜山荘13:45
合計登山時間 10時間50分(標準CT7時間)
装備がかなり重かったことと撮影でコースタイムを大幅にオーバーしています、真似しないでください。

朝焼けの八方池を目指して登山開始

八方池の水鏡

2019年8月2日午前5時50分、八方池。
目の前に広がるのは宙に浮くような水鏡リフレクション……、天国のようなふわふわとした浮遊感のある景色が広がる八方池。
元気ですか?お疲れ様ですRedsugarですっ!!!

早朝というか深夜の黒菱平を抜けてここまで歩いてきましたが「来てよかった!」と思える景色が目の前に広がっていました、登山をしているだけだとなかなかお目にかかれないレアな景色をカメラに収めることができて感無量です。

redsugar

もう帰って寝てもいい、正直かなり眠い。

午前3時00分、黒菱平駐車場スタート。
深夜の高速を移動し頑張ってやってきました早朝の黒菱平、こんな時間帯でもレストハウスの一階は解放されていて自販機が暖かな光を放っていました。この朝の癒しだったことは間違いがない。
「ずっと真夜中」みたいな暗闇の中、登山者の多くはまだ車の中で寝ている状況ですが登山開始です。

redsugar

ヘッドライトの光に誘われて蛾がすげー飛んできてやばい、キモイ!!帰りたい!!!

夏のナイトハイクの一番の敵は光に誘われて現れる虫でしょう、蛾が大嫌いな僕には苦痛な時間でした。

夜明けの木道

午前4時20分、八方池山荘上部。
空が明るくなってきたと思いあたりを見回すと雲が分厚い、眼下の景色を見ると雲海っぽくなっているらしい。
太陽が目の前の雲の壁を超えるのは大変そうなので朝焼けが見れるのかはわからなくなってきた。

八方池へ向かってひたすら歩くのですが途中でロープウェイの頂上駅があったり八方池山荘があったり……、スタートを遅くすればもっと楽に歩けるのになと悪態をつきながら頑張って歩きます。
自分以外一人もいない登山道は薄暗くどことなく終末的な世界観が広がっていました。

夜明けのケルン

山のほうを見ると雲が多く山頂方面では朝焼けは期待できないような状況、今日はこれから晴れるのだろうかと心配になります。

午前5時00分、八方池到着。
黒菱平を出発して2時間で八方池に到着しました、身体がだいぶ温まっている状況ですがここで撮影のため少し停滞することになります。
風がないためどうやら水面は薄く強い水鏡になっているようです。

redsugar

ようやく八方池に着いた……、一日長い戦いになりそう。

水鏡の八方池に映る白馬方面、歩く登山者や優しい朝日。
三脚を立てて角型フィルターを用意して撮影の準備を始めます、この辺素人なんだけどやってみたかったんですよね。

八方池の水鏡

徐々に日が上がり雲が朝焼けの色へと染まっていきます。
目の前には八方池の祠が水面に奇麗にリフレクションしていますね……、本当に凄い奇麗な水鏡だ。

八方池の水鏡

朝焼けが来たと思った直後に空は明るくなり、空は青さを増していきます。
角型を利用して撮影を開始すると、とてもさわやかな八方池の景色を撮影することが出来ました。
流れるような雲の形状が夏山っぽい、朝に撮影したなんて思えない。

redsugar

NDを使って時間を封じ込めると不思議な写真になりますね。

八方池の水鏡

完璧な水鏡の八方池、ファインダーを通してみる景色はまるで祠の道が宙に浮いているようでした。
どことなく浮遊感を感じる景色に満足しました、朝黒菱平から登ってきてよかった……。

ガス舞う八方尾根から唐松岳へ

午前6時00分、八方尾根を唐松岳に向けて登山再開。
八方池で撮影を終えたころには空は午前の色に変わっていました、朝焼けの色が見れる時間は短い。
白樺のように美しい木々が林立した尾根道を登っていきます。

雪渓

午前7時20分、扇雪渓。
扇雪渓に到着、ここは大きな雪渓が見える休憩スポットとなっており先行している登山者が数名休んでいました。
水を飲むにはいいスポットです、まだまだ先は長い。

八方尾根

八方池で撮影をしている間に多くの登山者が登ってきたこともあり、どんどん抜かされていきます。
このころは撮影機材が重くて本当に登るのがしんどかった……。

午前7時55分、丸山ケルン。
丸山ケルンに着く頃には空は青空が広がりすがすがしい景色が広がる、チングルマも満開で夏山感が最高潮。
丸山周辺は「夏」という感覚が漂っており、これぞアルプス登山だぞと言わんばかりの雰囲気でした。

丸山の夜明け

雲が多いのも夏山っぽさを演出してくれる。

丸山からは唐松山荘に向けて登るだけとなります、ここから先は少し瘦せた尾根などが登場しますが夏道なので整備はばっちり。

redsugar

2月に登った時はこの辺の痩せ尾根がナイフな感じになっていて怖かったことを思い出します、滑ったら助からない感じの斜面になってた位置ですね。

不帰方面と雲

白馬岳方面に目をやると不帰キレットが良く見えます……が、あいにく雲が多く白馬鑓までは見えず。
この不帰の崖は垂直の壁が何枚も連なるような厳つい見た目が特徴的。

redsugar

すごい景色なんだけど、八方尾根を歩いていると常に見えるのでだんだん飽きてきます。

標高を上げるとチシマギキョウが咲き始めます、代わりにチングルマは姿を消しました。
ハイマツ帯の尾根を進み続けて唐松山荘前、人口の足場が作られた小さな崖を登ると唐松山荘に到着します。

午前9時00分、唐松山荘。
八方池での撮影を終えて、八方尾根の終点となる唐松山荘に到着しました。
大人気の山荘で多くのテント泊客と宿泊客で賑わう唐松山荘。
トイレをお借りした後、荷物を一部おいて唐松岳に向かいましょう、唐松岳はここから30分もあれば到着するから水だけ持って上がることに。

redsugar

唐松山荘でトイレを借りたり水を飲んだり30分くらい休憩してしまった……。

唐松岳方面

目の前に唐松岳が見えますね、今日踏めるピークは唐松岳のみとなるので晴れているうちに登る!

redsugar

それにしても夏山の雰囲気がいい……、ここ目の前に五竜岳が見えて立山方面の展望もいいからテント場が人気なのもわかるなぁ……。

唐松岳に登ると不帰キレットを越えた先の白馬鑓方面、そしてマチュピチュのような山上要塞といった形の唐松山荘、遠方にそびえ立つ巨大な五竜岳の姿を見ることが出来ます。
特に五竜岳の姿は圧巻で、山体は大きく確かに百名山級のガタイです……。

唐松岳

午前10時00分、唐松岳山頂。
唐松岳山頂に着く頃はうまい具合に晴れ間が広がり、空は抜群の青さでした。
立山方面には雲があって稜線をうかがい知ることはできませんでしたが、五竜岳の景色が見れたから満足。

五竜岳方面の稜線

今日はこの画面左から右に抜ける稜線を歩いて五竜山荘へ宿泊します。

redsugar

まだまだ先は長いけど、稜線を境に天気が違う夏山らしい景色が続く稜線を歩くのは楽しそうだ。

白馬岳方面

白馬方面も長野側から湧き上がる雲に覆われて山頂が見えず、間に雲があるだけで向こうの山頂は晴れてるんだろうなぁ。
この不帰キレット、距離は短そうだけどコースタイムがとても長いうえに危険個所が続くので、僕みたいな登山者にはちょっときつそうだ。

唐松岳山頂を十分に楽しんだので五竜山荘へ向かいます。
本当に景色のいい山なので、ここを目的地として登山するのは全然ありだよなぁと思う。
食材沢山担いでエンジョイキャンプがしてみたいぜ……。

redsugar

いつも食材は小屋のご飯かカロリーメイト、華が無い登山のRedsugarです……。

鎖続く絶壁の牛首を越えて五竜山荘へ

コマクサが咲く唐松山荘周辺、ここでのんびりしたいなぁと思いながら歩みを進めて牛首へと向かいます。
牛首は五竜岳に向かうために通る必要がある難所で鎖が設置された痩せ尾根が続きます。

redsugar

牛首の下りでまずかなり標高を下ろすんだけど、これまで頑張って稼いだ標高を投げ捨てるみたいで本当につらい。

牛首とりつき

午前10時50分、牛首とりつき。
牛首の頂上から降下地点を見下ろすと……。

redsugar

これは中々大変な降り道になりそうです、気合を入れて鞍部に向かいます

牛首下部へ向けて降下を開始しますが鎖がしっかりとしていることと、支点がかなり多いので気を付けていれば問題なく降下することはできる、景色的に気を使うのは確かなんだけど……。

祖母谷温泉方面

唐松岳の祖母谷温泉へ向けて下る道が良く見える、唐松岳を見ると山体がそんなに大きくないことがわかる。
比較すると五竜岳はやはり図体がデカい、百名山級のサイズといわれれば納得する。

牛首下部に差し掛かると鎖は少なくなりますが岩場は健在、最低鞍部を目指して歩き続けます。

最低鞍部

牛首下部を抜けるといったん休憩できるポイントが見えてきました、最低下部までは少しあるけどここで休憩するのはアリ。

redsugar

牛首は登りよりも下りのほうが大変、そんなに時間がかかる場所ではないのですが緊張感があるので降りたら休憩して体調を整えるのが良いかと。

五竜岳への道

牛首下部から五竜岳方面を見るとまだまだ距離があることがわかります。
アップダウンの激しい稜線ですが歩く分には楽しい所です。

沸き立つ雲と壁

雲が湧き上がる崖はどこか仙境を感じさせる、今日の五竜岳は山深さの演出がある。

最低下部は砂地を過ぎてすぐになります、最低下部ってことはそこから先は登り返し。
画像3枚目のような五竜岳を眺めながらの緩やかな登り返しが続きます、この日は八方池撮影のために早朝から活動していたこともあり行動時間がそろそろ8時間……。
装備重量も15キロを越えているので体力的な限界が近づいてきた。

五竜山荘登り

五竜山荘への最後の登り返しはガスの中、この登り返しはマジでつらかった……。
この記事を書いている今の装備なら半分以下なのでこの日の工程は余裕でこなせると思うのですが……、この日は本当につらかったです。

午後1時50分、五竜山荘。
五竜山荘に何とか到着しましたが五竜岳方面はガス、そして僕の体力は使い切った状況。
ということで山荘で受付を済ませてご飯を食べたらとっとと寝ることにしました。

ザック置き場

五竜山荘はザック置き場がありまして、このような感じでザックがずらーっと並べられます。
ザックが好きなこともあり登山をしているとよく他人のザックを見るんですけど、オスプレーよく見ますね。
アルプスや行動時間6時間以上の登山となるとオスプレー、カリマー、モンベルあたりが多いという肌感があります。

redsugar

撮影用のザックというか、カメラマン向けの登山ザックは奥地ではあんまり見ないんですよね。
登山用品店ではおいてないから当たり前っちゃ当たり前なんだけど……、使ってみるとどんなもんなんだろうね。

テント場と夕日

五竜山荘でカロリーメイトとカップラーメンをすすっていたら外は夕焼けの時間に、外に出て夕焼けを眺めながらぼんやりとしますが……。

redsugar

寒い……、まるで北海道の夏祭りの夜みたいだ。

沈みゆく太陽を写真に収めて、身体を拭ってもう寝ましょう。
明日は早朝3時くらいに起床して朝焼けの五竜岳に登頂するという予定です、なので早く寝ないと睡眠時間を確保できません。

夕日を撮る人々

登山者たちの夜、明日の登頂と晴れを願って各々テントや小屋へと帰ってゆくのでした。
ちなみに五竜山荘、そんなに広くないので談笑とかをする場合は小屋の外のテーブルで、という感じ。
炊事場でご飯を片付けて身体を手拭いで拭って布団に吸い込まれていくのでした。

八方池の水鏡

八方尾根から五竜岳の道のりは長い、装備はなるべく軽くしましょう。
早朝の八方尾根の水鏡を楽しみ、唐松岳からの五竜岳の眺望を得てから牛首へと向かった五竜岳一日目。
黒菱平から登る場合はピストンとなり定番の八方遠見周回は出来ないので、登山をメインに楽しむ場合は無理に八方池の水鏡を見る必要性はないかもしれません。
今回歩いて思いましたが、一度歩いた道を戻るのはやはりそんなに楽しいものではないので……。

唐松岳から先は鎖場や痩せ尾根が続くスリリングな牛首が待っています。
あんまり初心者向けというイメージが無い五竜岳、訪れる際は入念な体力づくりと岩場歩きの練習をすることをお勧めします。

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