2018年5月1日、近畿遠征最終日。
ついに近畿地方最高峰である八経ヶ岳の頂に立つこととなりました、標高は1,915mです。
大杉谷から始まった今回の紀伊半島の旅は4日間、
最終日の今回は八経ヶ岳から天川村へと下山して、京都駅から東京に帰ります。
大峯奥駈道を歩くわけでもない今回、
少しでも山の魅力に触れたいという思いで、大普賢岳から歩きました。
大杉谷から大台ヶ原に登り、その足で大峰山へ入山するという
贅沢で欲張りなコース取りですが、大普賢岳から歩いたことにより、
少しは魅力や価値といったものを知ることができたのではないでしょうか?
最終日に待っていたのは快晴の青空。
八経ヶ岳の山頂から見えたのはどこまでも続く紀伊の山々でした。
関西遠征最終日の始まりです。
八経ヶ岳に関して
世間一般の百名山としての登山対象「大峰山」とは八経ヶ岳のことを指しているかと思います。
手前にある弥山からは一旦下ってまた登り返しと言う、ひと手間かかる場所にある八経ヶ岳。
弥山小屋はきれいな小屋ですし、テント場も朝日が美しい立地にあり、
近畿地方の方がテント泊デビューする場合はよく使われているようです。
八経ヶ岳からは先に続く大峯奥駈道の山々を見ることができます、
その中でも目立つのは二百名山「釈迦ヶ岳」。
手前の急登が非常に厳しいと言われている山で、ぜひ登りたかったのですが、
釈迦ヶ岳から下山する場合のルートとバス時間を見ると
「これは無理」となり今回は断念しました。
この無念は大峯奥駈道をしっかりと歩く際に……。
初日から三日目の記事はこちら
- 1.大杉谷と大峰山をつなぐ縦走計画に関して
- 2.早朝の弥山、大台ヶ原からのご来光。
- 3.八経ヶ岳、近畿最高峰の頂きを目指す。
- 4.目指すは狼平、水多き大峰山の懐。
- 5.天川村を目指す、ただただ無心で降りるのみ。
- 6.下山後は京都を目指す、旅の風情を感じる帰宅の路へ。
- 7.まとめ
1.大杉谷と大峰山をつなぐ縦走計画に関して
関西遠征編、大杉谷〜大台ヶ原〜大峰山の工程です、ぜひご参考にしていただければ。
今回の大杉谷から大峰山までを歩く旅は公共交通機関を使用して歩くことを勧めます。
公共交通機関を利用すると三瀬谷から京都まで抜けれるのでおすすめです。
アクセスレシピ
【新幹線】品川→名古屋 11,090円(新幹線のぞみ:6時23分発)
【電車】名古屋→三瀬谷 4,180円(特急ワイドビュー南紀1号:8時5分発)
【バス】三瀬谷→大杉谷登山口 2,500円(要事前予約、エスパール交通)
【バス】大台ケ原→和佐又山 1,010円
【バス】天川川合→洞川温泉 370円
【バス】洞川温泉→下市口 1,280円
【電車】下市口→京都 1,170円
【新幹線】京都→品川 13,910円(新幹線のぞみ)
運賃合計 35,510円 東京方面からの場合は南紀1号に乗れるかが勝負
新幹線始発を利用し名古屋へ向かい、名古屋で南紀1号に乗れれば勝利が確定します。
三瀬谷に到着した時点ではバスの予約がされているはずなので、あとは歩くのみ!
コースレシピ
一日目
大杉谷登山口11:35→千尋滝13:20→猪ヶ淵14:30~15:20→平等嵓吊橋 15:45→桃の木荘16:20分
合計登山時間 4時間45分(標準CT5時間10分)
桃の木小屋へは16時までに到着したいところです。
二日目
桃の木荘5:40→七つ釜の滝6:10→堂倉滝7:45→粟谷小屋9:05~9:35→シャクナゲ平10:45→
日出ヶ岳11:25~11:35→大蛇嵓12:55~13:10→大台ヶ原ビジターセンター14:00着
和佐又バス停15:25→和佐又山ヒュッテ16:55
合計登山時間 9時間50分(標準CT9時間25分)
和佐又山のバス停からヒュッテまでは車道で1時間とされています。
僕は山道を歩いたためそれ以上の時間がかかりました。
三日目
和佐又山ヒュッテ5:10→和佐又のコル5:40→指弾の窟6:15→日本岳6:40→
大普賢山7:40→七曜岳9:30→行者還避難小屋11:10~11:35→弁天森13:25→弥山小屋14:55
合計登山時間 9時間45分(標準CT9時間20分)
行者還の水場は枯れていることが多いのでお水は多めに持ちましょう。
四日目
弥山小屋6:40→八経ヶ岳7:15~7:30→弥山8:00→狼平避難小屋8:50→栃尾辻10:35→天川川合12:25
合計登山時間 5時間45分(標準CT5時間35分)
この遠征でかかった費用
交通費合計 35,980円(交通費概要参考)
宿泊費合計 24,800円(桃木小屋8800/和佐又山8000/弥山小屋8000)
バッチ合計 2,200円(大杉谷/大台ケ原/大峰山2種)
食料合計 2,850円(ビールや途中で購入したパンなど)
洞川温泉 600円
合計 66,430円 すごく高いと思うかもしれない、でもそれだけの価値があると俺は思う。
この遠征で使用したレンズ
D850×2機
AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
AF-S Nikkor 28mm f/1.4E ED
AF-S Nikkor 58mm f/1.4G
各交通機関、小屋など問い合わせ先
上記のバスと小屋は事前予約が必要です、1週間前には予約しましょう。
2.早朝の弥山、大台ヶ原からのご来光。
2018年午前4時20分、弥山。
早朝ゴソゴソと小屋の中で準備を始め、ご来光の時間に合わせて外に這い出てきました。
意外に人がいません、みんな寝てたけどご来光は見ないのかしら?
全然月が出てるけど……。
ご来光まではあまり時間がないのですが、月がガンガンに照ってます。
小屋周辺の撮影スポットは二箇所。
トイレの後ろ、テント場の端だそうです。
トイレの後ろは流石にないよねと思っていたのでテント場の端っこを目指して徘徊。
そうしているうちに大台ヶ原方面がみるみるうちに明るくなっていくではありませんか。
テント場の端っこにある展望台のような岩場に到着しました。
地平線がゆっくりと明るくなり、空が青と紫の入り混じった何とも言えない色に。
「今こそ目覚めのとき、山々の息吹を感じるのだ」などと考えていますが眠いです。
じっくりと太陽が上がってきます。
ここから太陽がいかにして上がってくるかを延々とD850で撮影する時間になります。
登山が見たい人は目次から次の章に進んでね!
どこだ、どこからくる……と地平線を睨んでいると上がってきました、太陽です。
その丸い顔を地平線から見せてくれました。
グッドモーニングジャパン、おはよう日本は午前7時からのNHKですね。
一気に視界が明るくなり、太陽光が体を暖かく照らしてくれます。
太陽の光がいかに暖かいものか思い知る瞬間。
夜の終わりと朝の始まりを告げる太陽。
ゆっくりと起こされるように山々の稜線が浮かび上がりました。
弥山の山頂斜面を優しく照らす太陽、視線の先には大台ヶ原の姿も確認できました。
周りにいた登山の方々と和気あいあいと話しながら、ゆったりとした時間を過ごします。
ご来光の写真を家族に送る人。
映像通信で家族に今の状況を送る人……、いろいろな人がいました。
みんな山にいながら家族を思っているんだなぁと思いながら、
慌てて奥さんに連絡を入れます。
あれ、ていうかここ電波入るぞ、と気がついたのはその後でした。
テント場に戻ってみれば、テント場が最高の立地であることがわかります。
テントから顔を出したら直ぐにご来光というわけです、朝日に強制的に起こされる……。
午前5時25分、弥山小屋。
ご来光を楽しんだら弥山小屋に一旦戻ります、
なぜかというと朝ごはんの予約をしていたからです。
普段は朝ごはんは小屋で食べないんですけど、
今回は小屋のすぐそこからご来光見るからお世話になろうという魂胆。
朝からしっかりとご飯を食べると体の動きが変わります。
ただし、食べたあとはお腹がぐるぐるするので出発が少し遅れるのが困りものです。
3.八経ヶ岳、近畿最高峰の頂きを目指す。
午前6時40分、弥山小屋前。
朝の準備をすべて終えて八経ヶ岳へ出発です、
外に出てみれば昨日とは打って変わっての快晴です。
青空から気持ちのいい朝の日差しが降り注ぎ、目を覚まさせてくれます。
目の前には近畿最高峰の八経ヶ岳がキリリと立っていました。
弥山神社にお参りをしたら出発です、モーニンゴッド。
日がまだ傾いており、樹林に入ると黄色い光が強い。
GWといえども朝は冷えます、歩き初めは寒かった……。
倒木と冬枯れの木々の中を進みます。
夏場に訪れれば真緑の山が楽しめるんでしょうけど、僕の特性的に暑いときに標高2,000m以下は蕁麻疹が出そうなんで遠慮いたします……。
八経ヶ岳までの道のりは倒木よりも苔が主役な雰囲気があります。
穏やかな道のりです、笹が全くないので気持ちがいいです。
基本的には一回下がって登り返しというシンプルな登山道、
荷物を軽くしていれば40分位で往復できると思います。
しかし、僕はなぜかすべての荷物を背負って歩いていました、おかげで速度が上がりません。
オオヤマレンゲが咲く場所のようです、モクレンの一種ですね。
特徴的な見た目の花らしいのですが、見たことがない……。
ここも鹿の食害がひどいのか、鹿よけの柵が用意されていました。
鹿の数を抑制するいい方法はないもんですかね、
北海道にいた頃はよく鹿肉をマタギの親戚から頂いていましたが……、
時間たってるとあんまり旨くないんだよなあれ……。
柵を越えると山頂はすぐそこです。
景色がぱっと晴れて大峰山周辺の山々が視界に広がります。
修験の山っていう感じで、樹林に覆われ鬱蒼とした山がどこまでも広がります。
山ごもりっていう言葉がしっくりするような景色ですよこれ。
こちらは進行方向、ひときわ目立つのが釈迦ヶ岳でしょうか。
あそこまでのアップダウンがかなりきつそうです。
上を見ると山頂であることの証、錫杖が突き刺さっているのが見えます。
ついにこの旅の終点か……。
午前7時10分、八経ヶ岳山頂到着。
近畿地方最高峰、八経ヶ岳に到着しました。
えーと……、平凡な山頂です。
でもまぁ、○○最高峰なんてどこもこんなもんだと思います。
北海道最高峰も、九州本土最高峰も、富士山山頂も特に景観的地理的な感動は薄かったし。
それよりはこの四日間の思い出がフラッシュバックし、
なんだかもう終わりに向かうだけなんだなと言う寂しさが体を駆け巡ります。
桃の木小屋で風呂に入ったの楽しかったなとか、大杉谷また行きたいなとか、
そういう気持ちばかりが湧き上がる。
和佐又山の尾根に上がってからずっとあなたのことを見て歩いてきたよ。
立派な山でした。
本来であればここから南にまだまだ下るんですけど、今回はここまでです。
埼玉で帰りを待つ家族のもとに帰らなくてはなりません、家に帰るまでが登山です。
こちらは明星ヶ岳方面、こちらから帰る手段もあるんだけど、
こちらから帰ると道中で狼平に合流できなくなってしまいます。
今回は狼平に行きたいので、弥山から下るルートを使います。
天川村方面は山がない、低山はあるけど南の釈迦ヶ岳のような感じではないですね。
下山はこの方角です、目指せ大阪方面で降りていきます。
グッバイ、大峰山。また会うその日まで!
大峯奥駈道の本番戦であろう南部を最後に目に焼き付けて下山を開始することにします。
ダッフィーたちも近畿地方まで遥々やってきてお疲れ様です本当に。
近畿最高地点の三角点にタッチ、帰ろう。
気持ち良さそうな稜線の続く明星ヶ岳方面に下山はしたいんですけど、今回は諦めです。
倒木と立ち枯れの八経ヶ岳よ、さらば。
4.目指すは狼平、水多き大峰山の懐。
ザックを背負い直すと重量が肩に食い込みます、
ジンとしみる痛みと重い足取りで弥山へ戻りましょう。
太陽もすっかり上がりきり、地面の苔の緑色と、
枯れ木のグレーがぱっきりと別れた景色が目の前に広がります。
地面の苔に目をやると、八経ヶ岳の独特な景観を楽しむことができます。
八経ヶ岳は立ち枯れの木に意思が向きがちですが、地面の苔とセットの山だと思うんですよね。
小さな苔の世界が広がる。
表情豊かな苔が朝露を携えて地面を彩ります。
マクロレンズが欲しくなる。
倒木もまるでデッサン用の頭骨のように、苔の中にひっそりと置かれています。
白い諸肌は風化の風にさらされ、苔に覆われるのを今か今かと待っているようです。
この枯れた木々もまた味があってよし!
苔と枯れ枝を楽しんだので弥山へと急いで戻りましょう、
バスの時刻が心配になってきました。
しかし、日が昇ったことにより午前の爽やかな日差しがあらゆる木々を照らします、
くそ、なんでも綺麗かよ。
松の幼木などが瑞々しい緑を見せてくるもんだから撮らずにはいられない。
上り坂に先差し掛かったタイミングで事件は起こりました。
「お、Redsugarじゃーん!」
思わず体がのけぞります、
マジでビビったので一瞬何が起こったのかを理解するまで時間がかかりました。
顔を上げると登山仲間のくまちゃんの姿がそこにはあり、
彼はGWの長期休暇に合わせて関西の百名山に登ったり観光を楽しみに来ているようでした。
かるーく言葉を交わして、下山にうつります。
相変わらず僕は酸素が足りていない頭で何を話したらいいのかわからず、
そっけない対応をしてしまったかもしれない。
くまちゃんと挨拶を交わしたあとは、天川村を目指すために弥山へと登ります。
降りてくる人はみんな軽装、弥山に装備をおいているようでした。
畜生、装備持って歩いてきたの俺だけかよ……、やめときゃよかったー!
弥山に戻るとくまちゃんの抜け殻が……。
カロリーメイトを添えておこうかなと思ったのですが、自分の予備の分も数少ないことから
ザックの前で手を合わせて「ありがとうございます、ありがとうございます……」と
呪文のようにつぶやいてからその場をあとにしました。
さて、それではついに下山です。
天川川合に向かい下山、この旅もようやく終わりを迎えるのか……。
弥山小屋には本当にお世話になりました、きれいな小屋で本当に過ごしやすかったです。
ありがとうございます。
弥山から見える八経ヶ岳は昨日と打って変わって青空、いや本当にありがたかったです。
弥山神社に御参りを済ませ、旅の最後までの安全を祈祷します。
午前8時00分、弥山下山開始。
大台ヶ原、大峰山登山のクライマックス、下山の始まりです!!
今回は多くのブログや記録で見る行者還トンネルではなく、狼平のある天川川合へ向かいます。
枯れ木が林立する登山道、なんか地面の栄養なさそうなんだけどここ……。
幼木と役目を終えた枯れ木が入り交じり、開放感がある登山道を下山していきます。
天川川合へ向けての下山路は……、一言でいうと「とても普通の登山道」です。
ブナ木と松的な木々が入り混じりつつも、足元には比較的苔が多い。
北八ヶ岳と丹沢を足したような景観が広がります。
……つまり奥秩父西部の中腹みたいな景色です。
切り開かれた登山道は歩きやすい。
道の雰囲気は行者還トンネル側に比べると明らかに狼平方面のほうがいいのでは。
木々の隙間から見えるのは山と水平線。
こちら側の道も木道が現れ、狼平までは歩きやすく美しい景色が
視界の端を流れていくようになります。
上をふと見上げれば苔と新緑の木々が広がる世界、癒やしの空間です。
狼平方面は苔が綺麗です。
階段ですが、膝に与えるインパクトはなかなかのもので、
重い荷物を持って調子に乗ると簡単に膝を破壊しそう……。
松の幼木が沿道を彩る、これが可愛くてたまりません。
午前の優しい光も相まって歩いてて一番気持ちいい道でした。
午前8時50分、狼平。
狼平にある避難小屋に到着しました、突如として開けた場所にぽつんと小屋が現れます。
近くには八剣谷から流れてくる清流がサラサラと流れています。
小屋の中はこんな感じ、キレイなログハウスですね。
野便って堂々と書いた注意書きなんて初めて見ました、すげーな狼平……。
緊急用に携帯用トイレ持ってるけど、ここで泊まるときは携帯用トイレたくさんないとだめそう。
狼平小屋を後にしようとしたとき、ふと目に飛び込んできた残念な景色。
地面の下には大量のゴミが埋まっています……、年代的には70年代80年代なんだろうか?
空き缶やビニールと、地面の割れ目から出土していました。
悲しくなる景色ですが、この量を持って帰ることは流石にできません……。
水が無いなと思っていたので、沢の水を汲むことにしました。
北海道じゃないからエキノコックスはダイジョブダイジョブと思います。
心配な人は煮沸しましょう……。
野便の件とか、ゴミの件があるので少し上流まで歩いてそこで水を汲みます。
水はキンキンに冷えています、岩のぬめりもないので好印象。
下山までの水をゲットしました、天川川合までこのお水で頑張ります。
最終日は気持ちのいい晴れ、そのためどんどん気温が上がって汗がひたすら流れるのです。
5.天川村を目指す、ただただ無心で降りるのみ。
午前9時00分、狼平出発。
水を汲み休憩を済ませたら狼平を出発です、目の前の橋を渡り森の中を抜けていきます。
分岐路の表示はかすれててかなり見にくい、
ここで双門の滝方面の下山路にも道が伸びていることに気が付きます。
注意書きが、双門の滝方面は上級者向けだし下りはNGとのこと。
双門の滝は日本の滝百選の中でも、
見に行くのにかなりの難易度が必要な秘境の滝です。
僕の目的地は双門の滝ではないので、天川川合を目指してひたすら下山します。
徐々に標高も下がり、緑も色濃くなってきました。
狼平を出てから先は……、ただひたすら長い。
似たような道を延々と下り続けます。
天川バス停の表示が出たら進んでいる方向が正しいということです。
代わり映えのない景色ですが着実に気温は上がり、僕の体力は削られていきます。
登山道的には下りというよりも横に長いコースで、
途中何度も何度もアップダウンを繰り返す結構キツめのクラシックルートとなっております。
道はよく整備されている、全然降らないけど。
降りたと思えば再び登らされる。
降りだと思えば緩やかな道で全然標高が落ちていかない。
午前10時35分、栃尾辻分岐。
小屋がひっくり返っている栃尾辻分岐に到着しました。
掘っ立て小屋が強風か何かで倒壊したんでしょうか?
見事にごろんとひっくり返っています。
「何があったらお前そんなんになるんだよ……」
ひっくり返った小屋の脇を通り奥へ進むと坪ノ内林道と合流します、
桜が咲く坪ノ内林道はようやく文明に近づいてきたという感覚を与えてくれます。
林道の脇の小高い丘に通された登山道を降っていきます。
降り立った先には分岐路があるようです、そして本日初めて自分以外の人を見つけました。
近づいてみれば大杉谷からずっと一緒の人ではありませんか、
僕が朝日を撮影したり八経ヶ岳に行ったりしている間に下山されていたようです。
軽く会釈を交わして下山路へと僕は吸い込まれていきます、
そしてここから先は私有地とのこと。
ここまで来たらもうすぐだろう、このときはそう思っていました……。
標高はかなり下がっているため新緑が濃い……なんというか、そのうえ暑い……。
食害から木々を守るネットが張り巡らされた杉林を下山します。
畜生なんだって紀伊半島まで来て奥多摩みたいな道を歩かなきゃならないんだ!!
標高は未だ1030m程です、えーと……。
登山口の標高600m地点までまだまだ距離がありますね……。
その後も無言のまま、滝のように汗を流しつつ下山を急ぎます。
とにかく木々が濃い、低地に生えるような木々も増えてきて歩きにくくなってきました。
僕は何度杉林を歩いたのだろう?
午後12時05分、鉄塔前。
突如として開けた鉄塔前、ようやく眼下に街が広がるのを確認できました、
これはもうすぐ下山ですね!!
川合の表示も見えてまずは一件落着です。
最後は階段状に切り開かれた道をひたすら下る感じでした、
あたり一面杉杉杉、気が滅入りそうになったのは間違いない。
午後12時25分、天川川合登山口へ下山完了。
最後ここに降り立った瞬間、何かが切れたような気がしました。
緊張の糸がほぐれ、ホッとした気持ちが胸を包みます。
天川村の野球マウントでしょうか?
市役所の案内表示を尻目にバス停へと向かいます。
川合バス停まではこのように案内板がしっかりと立っているので、
迷うことなくバス停に行くことができるでしょう。
天川村はキャンプとかが流行っているのかな?
観光で成り立っているような雰囲気を醸し出す街だなと思いました。
谷間を流れる川は八剣谷から流れ込んできたのだろうか?
地図的には八剣谷から川が続いているけれども。
絵になる景色が続きます。
午後12時40分、かどや。
バスの出発までは時間があるため、バス停の近くにあるかどやさんでご飯を食べることに。
この場所は和佐又山ヒュッテにて現地の玄人的なおじさんに教えてもらったお店で、
地鶏丼を絶対に食べろと言われていた場所です。
入ってみれば確かに地鶏丼が名物として押されていました、
僕も地鶏丼を頼むのですが食べれないしいたけがガッツリ……。
いや、マジしいたけだけは食べれないんだごめん……。
地鶏を利用した親子丼は空腹の胃にいい感じに収まってくれました、
ふわとろな卵に旨味の染み出す柔らかい鶏肉、甘じょっぱい味付けのタレのおかげで
かなり美味しく楽しめたと思います。
肉が柔らかくて美味しいんですね〜、とてもおすすめです!
6.下山後は京都を目指す、旅の風情を感じる帰宅の路へ。
かどやを出たらバス停へと向かいます。
天川川合のバス停までの雰囲気はこんな感じです、
特産品のお店くらいしかないのでバス停までは一直線に行けるでしょう。
こちらの建物の前にバス停があります。
観光案内の資料などがあるのでこちらでそういった物をいただくのもいいですね。
そう、ここは奈良県……。
せんとくんが支配するエリア……。
天川川合のバス停から向かったのは洞川温泉、京都に向けてまっすぐ帰ることも可能なのですが、
温泉に入って汗を流してから帰りたいですよね?
そう、14時までにバス停にいればそれができるのです……!!
14時以降に下山するとバスの兼ね合いでいろいろと帰るのが厳しくなるので注意してください。
普段来ることがない近畿の地で入る温泉は格別、この洞川温泉はまったりとできる場所で、
湯船に浸かりながら景色見て若干ウトウトさせてもらいました。
上がったあとに牛乳がなくてサイダーになってしまったのは悲しいことですけども……。
洞川温泉を出たら近隣の温泉街を見学です。
この洞川温泉は行者の方々が山に入る前に訪れた場所らしく、
当時の名残を感じさせる歴史ある旅館などが立ち並んでいました。
このあたりの民芸品はフクロウさん、軒先にこのフクロウがよく飾られていました。
柿の葉すしって東北以北ではお目にかかったことがありません、
美味しいのか気になるけども、今日はやめときます。
軒先がそれぞれ楽しいことになってます。
午後2時55分、洞川温泉出発。
京都に向かって帰りましょう!!
大杉谷から始まったこの旅もようやく終わりです!!
午後3時45分、下市口駅。
バスに揺られ最寄りの駅である下市口までやってきました、
バスを降りたら高校生がたくさん……。
若い子の中に混じって無精髭の登山者が電車に乗るのはなかなか勇気がいる。
路線図を見るとかっこいい名前が並んでいますね、西の名前は読めないものも多いです。
まぁ、北も和寒、新冠、幌加内、音更、長流枝、弟子屈、倶知安、朱鞠内、留辺蘂とか
読みにくい名前ばっかりなんですけどね。
阿倍野橋駅行き……、アベノ橋魔法商店街しか思い浮かばねぇ……!!
近畿の電車に乗ると関西弁を話す女子高生たちの会話がとても心地よいです、
なんで関西弁ってこんなに可愛いんでしょうか?
恋バナで盛り上がる話の内容が聞こえてくるたびに胸が締め付けられるようです、
そんな青春ほしかったぜ……。
僕の青春はとても寒い十勝で画塾にこもって石膏像を見つめて
「今日もさみーな、だよねー」だったので関西弁が羨ましい。
東京とは全く違う雰囲気の電車に揺られ京都へ。
午後5時55分、京都駅。
修学旅行以来の京都です。
この景色を見るとガメラ3で破壊される京都駅しか思い浮かびません。
定番の京都タワー、時間がないので京都タワーだけ撮影して観光気分を味わいます。
京都駅の中を満杯になったトリオン50リットルで歩く男はただの不審者でしかない……。
円弧で画面右を切り取って、左に京都タワーを入れるのは定番のショットですね。
こちらは正面から、展望台まで行くと京都駅をいろいろと歩けておすすめです。
しかし、こうしてみると京都の周りには山がないですね……。
最後に降りてきてフレームを狙った一枚を撮影しました。
ここのポジションは近くに壁リフレクションを利用したスポットもあるようです。
京都タワーはシンボリックで被写体力が高いので撮影練習には良さそうですね。
午後6時20分、徳島ラーメン東大。
最後に京都でご飯を食べようとしたのですが、
京都ラーメン的なものがどこも満員で食べれなかったので、徳島ラーメンのお店へ……。
なかなかジャンキーで特徴のあるラーメンでした、徳島といえば剣山。
いつ行けるかはわからないけども、
雲海や霧氷と組み合わされた景色は素晴らしいと聞いています、いつか行きたいものです。
ちなみに東大のラーメンはストレート麺、
スープは濃厚でありながら油が多いわけではない、比較的食べやすいラーメンだと思いました。
卵もついててスタミナが付きそうなラーメンですね。
徳島ラーメン東大さん、美味しかったです!
そして京都駅で奥さんへのお土産などを購入し新幹線に乗車。
一路関東への帰路につくのでした……。
これにて大杉谷、大台ヶ原、大峯奥駈道、八経ヶ岳の旅、終了です!!!
7.まとめ
4回に渡る連載となった大杉谷、大台ヶ原、大峰山の近畿遠征。
素晴らしい景色が続き、心に深く残る思い出を与えてくれる旅となりました。
大杉谷では美しい滝の流れを幾つも目の当たりにし、
何日も撮影のために入り浸りたいと思いました。
堂倉の滝は特に素晴らしく、また訪れたい場所です。
鏡のような水面を携えたシシ淵。
ここも光の入り方によって様々な美しい風景を残すことができたことでしょう、
今回は一日の限られた時間だったのですが時間によっては光が差し込んで
ドラマチックな景色が見れそうです。
大台ヶ原は関西の霧ヶ峰とも言える場所。
木道を歩きたどり着いた山頂は笹一面の気持ちのいい景色でした。
星空撮影の聖地でもあるこの場所、次回は泊まりでゆっくりと歩きたいですね。
そして隠れたスポット和佐又山。
この大杉谷から大峰山をつなぐルートを教えてくれたみやっちさんには本当に感謝です。
和佐又山は一番目立たないスポットにはなるのですが、苔と水の美しい良い山です。
大峰山の登山は和佐又山ヒュッテから始まり、
長い道のりを少しづつ攻略していくのはとても楽しい時間でした。
ご飯が美味しいからここはまた訪れてみたいです。
大峯奥駈道、その一部分を今回は歩きましたが、
近畿の山のど真ん中を歩いているような感覚を得ることができました。
人里が遠く、自身の力を試されているかのような錯覚を覚える登山道。
大峰山はトンネルから最短路を歩くのではなく、
ぜひとも大峯奥駈道や和佐又山から歩いてみてください。
弥山は山頂に小屋があるゆえに、朝日と夕日を見るにはとてもいい場所でした。
八経ヶ岳の西に開けた展望は夕日を見るのに最適。
次回は是非八経ヶ岳で夕日を眺めたいものです、明星ヶ岳方面の展望に夕日は絶対に良い。
関西遠征最終日、快晴の空に恵まれて終わることができました。
ようやく歩けた近畿の山、関東に住んでいると乗鞍岳から西に行くのは一苦労なのですが、
全国の山を歩いてみたいなという気持ちがより強くなる登山でした。
人生最高の山は続く。
大峰山の地図はこちら
この登山で役に立った装備
引き続き粉飴に助けられました、しかし、最終日分の粉飴まで持ちませんでした……。
次回はもっと大量の粉飴を持っていく必要がありますね。

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スキンメッシュを大量に持ち込んだ今回の登山、三日目は暑く汗をかきましたが
スキンメッシュのおかげでつらい思いをせずに済みました。
すべての登山者にお勧めしたい装備です。
スキンメッシュと双璧をなす快適装備がこちらのインジンジのインナーソックス。
靴下を2枚履くとめちゃくちゃ快適です、足の臭さから解放される可能性が高いので、
登山の際は靴下を二枚履くことをお勧めしたい……!
コメント
コメント一覧 (2件)
くまです。
八経ヶ岳、おつかれっした!
まさか抜け殻まで撮られているとは…w
くまちゃん
本当にお疲れさまでした、まさか最終日に出会うとは驚きです。
今度抜け殻を見つけたらナイスな差し入れを入れておけるように頑張ります笑